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道徳の授業における児童の「思いやり J の醸成についての調査研究

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Academic year: 2021

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道徳の授業における児童の「思いやり J の醸成についての調査研究

人間教育専攻 人間形成コース 久 保 晶 子

1 問題の所在

「思いやり」の心を子どもたちに育てたいと いうのは、いつの時代でも変わることのない願 いである。生まれた時から、現在に至るまで誰 しも何らかの形で社会に所属し、他者と関わり 合いながら生きている。そこで良好な人間関係 を築くことができるということは、よりよく生 きることが可能になるということでもある。お 互いが心地よく生活するための一つの要因とし て「思いやり」は挙げられる。

文部科学省の平成21年度「児童生徒の問題行 動等生徒指導上の諸問題に関する調査」による

と、小・中@高等学校における暴力行為の発生 件数は約6万l千件で、小・中材交においては 過去最高の件数となっている。また、小・中・

高・特別支援者交におけるし、じめの認知件数は 約7万3千件であり、いずれにしても少ない数 字ではなし L また、友達と遊んでいる時に、自 分の意見が通らなければすねて遊びを放棄して しまったり、「うざしリ「死ね」など相手を傷つ けるような言葉を言ってしまったりということ が日常生活の中に溢れている。これらの問題は、

自分の感情をコントロールで、きなかったり相手 の気持ちを考えなかったりするために起きてし まう。「こころ」の問題が取り上げられるように なeってから、子ども達にどのようにして「ここ ろ」を育てていくのかということが課題となっ ている。

指導教員 伴 恒 信

2 研究の目的とか法

本研究では、まず、今まで「思いやり」とし て定義されてきたものを概観した上で、それら を比較・検討し、「思いやり」の定義とその基礎 力について示すで己次に、学校教育の中で行われ ている道徳の授業に着目して、児童に対して「思 し、やり」の醸成がどのように行われているのか を分析することで、児童の「思いやりJの醸成 について考察することを目的としている。

本研究の目的から観察する授業のテーマにつ いて検討した結果、道徳、の時間の中で、児童の

「思いやりJが最も醸成されやすいと思われる テーマとして「道徳の内容Jの2(2)思し、や

り・親切が挙げられる。このことから、調査・

分析する授業として、 2(2)思いやり・親切に 関する授業を調査の対象とした。

3 思いやり

「思いやりJとは、自分と他者との関係性の 中で、他者が助けを必要としていたり困ってい ることに気付き、自分自身がされてうれしいと 感じたり、ありがたいと感じたりするようなこ とを考えて、その他者に働きかけること、ある いはその行動をした結果のことである。しかし、

行動した本人は「思いやり」のある行動をしよ うとカヘ「思いやり」のある行動ができたと思う のではなく、むしろ、他者がその行動によって 喜んでくれたことに対して、自分自身もうれし く思うのである。これら寸車の流れを客観的に

‑3‑

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見たときに、「思いやり」があるといわれるので ある。

「思いやり」をもって他者と接するためには、

自分自身が他者から「思いやられるJという経 験をしている必要がある。なぜなら、「思いやり」

のある行為が他者にとってうれしいとかありが といったことを知るためには、自分自身がそれ を経験し実感していなければ分からなし、からで ある。その次に、「思いやり」をもって接するた めには、他者の感情や求めていることに気付き (気付く力)、その後、自分はどのように行動す るのかを判断した(判断する力)上で、行動にう っす(行動する力)とし、うプロセスがあることが 分かる。「思いやりJにはこれら3つの基礎的な 力が必要になる。

4 道徳教育

「思いやり」について、個人の経験を取り上 げて考えたり振り返ったりするなどの環境を意 図的に作っているのが、学校教育の中で行われ ている道徳の時間である。特交で行われる道徳 教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動 全体を通じて行う道徳教育を補充、深化、統合 する時間であり、年間指導計画に基づいて児童 生徒や学級の実態に即し、道徳の時間の特質に 基づく適切な指導が展開されている。本研究で は、特に 12主として他の人とのかかわりに関 すること」の中の「思いやりjに着目している。

自分自身の感じ方や考え方と向き合い、他者と の違いを話し合うことで、児童それぞれの「思 いやりJの在り方を明確にしていくことができ る。それを、実際の日常生活の中で役立ててい けるように指導する必要がある。

5 研究結果と今後の課題

「思いやり」は、

f l t

学年から高学年まで段階 的に、そしてより広い人間関係で発揮できるよ

うに醸成されてしザこ。気付く、判断する、行動 するという「思いやり」の基礎力を培うために 思いやった経験や思いやられた経験を取り上げ るだけでなく、その時の感情や考えにも着目し ていた。「思いやり」の大切さは多くの児童が実 感しており、道徳の授業の中で新たな気付きを 持ち実践への意欲を高めていた。

自分が他者に対して「思いやりJをもって接 することができるということは、誰かから「思 いやり」を受け取ることができたから、あるい は、そうしづ場面にいくつも出会うことができ たためである。今度は、自分自身が「思いやり」

をもって他者と接することで、知らないうちに また誰かの「思いやりjを育てていることにな る。このような相互関係の積み重ねによって、

互いに心地よい関係を築きながら生活すること ができる。児童は授業の中で、改めてそのこと に気付いていた。自分と他者の関係について意 識を向け、互いの違いやよさを認め合うという

ことが授業の中では多く行われていた。「思いや り」を共有し、その重要性についてじっくり之 向き合うことで、一人一人がよりよく生きてい くことについて考えることとなる。そのこと自 体が「思いやりjの醸成につながっている。

しかし、「思いやりJは授業の中でだけでなく、

実際の場面の中に生きてこそ意味がある。その ため、日常生活の中で実践できているかについ ては今後も紺捗列な調査が必要であるとともに、

道徳の時間以外の授業の中では「思いやり」は どのように醸成されているかについても分析し ていく必要がある。また、「思いやりJの醸成に は、家庭の在り方や自分と他者との関係の捉え 方とも大きく関わっている。このことから、学 校だけでなく家庭や地南方士会での「思し、やり」

の在り方について考察していく必要がある。

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参照

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