著者 西村 保三, 大西 美穂
雑誌名 福井大学教育・人文社会系部門紀要
号 5
ページ 45‑58
発行年 2021‑01‑19
URL http://hdl.handle.net/10098/00028604
*1 福井大学教育・人文社会系部門教員養成領域
*2 福井大学大学院連合教職開発研究科
西村 保三*1 大西 美穂*2
内容要約:合同な複数の正三角形の辺同士を合わせた多角形をポリアモンドという。本稿で は,6個以下の正三角形からなる全てのポリアモンドおよび正八面体の展開図になる11種 のポリアモンドについて,辺同士を接着する「辺々接着」で作られる凸多面体を分類する。
1 はじめに
与えられた多角形が,どのような多面体の展開図になるかという問題は,個々の多角形を個 別に調べるしか方法がなく,あまり研究されていない。与えられた多角形に対して,その境界 の接着を決めれば,その多角形を展開図とする凸多面体は一意的に決まることが知られている
(アレクサンドロフの定理)。凸でない多面体では,各面が合同で組合せ構造が同じでも,立体 として合同になるとは限らないので,本稿で扱う多面体は凸多面体に限定する。また,多角形 の境界の接着は,辺同士を合わせる「辺々接着」に限定して議論する。辺々接着が行える多角 形は,同じ長さの辺同士の組を持つ偶数角形に限られる。
同じ大きさの正方形の辺同士を合わせた多角形をポリオミノと呼ぶ。1999年,ドメインとオ ルークは,立方体の展開図として代表的なラテンクロス型ポリオミノから,辺々接着によって 5通りの多面体が構成できることを示した([2, 9章]参照)。また西村・坂口[3]は,正方形5 個以下で作られるポリオミノの辺々接着によって作られる凸多面体を完全に分類した。
ポリオミノの正三角形版として,同じ大きさの正三角形の辺同士を合わせた多角形をポリア モンドと呼ぶ。本論文では,6個以下の正三角形で作られる全てのポリアモンドと,正八面体の 展開図になる11種のポリアモンドについて,辺々接着で作られる凸多面体を分類する。なお,
本論文は大西の卒業論文[4]を基にしている。
2 アレクサンドロフ接着
本論文で扱う多面体は,3次元凸多面体とし,その表面のみを指す。ただし,2つの合同な 凸多角形の,対応する境界を貼りあわせた厚みが0の「二重被覆多角形」も凸多面体とみなす ことにする。多面体の展開図について,次の定理が知られている([1, 23.3節])。
*1福井大学教育・人文社会系部門教員養成領域
*2福井大学大学院連合教職開発研究科
西村 保三*1 大西 美穂*2
内容要約:合同な複数の正三角形の辺同士を合わせた多角形をポリアモンドという。本稿で は,6個以下の正三角形からなる全てのポリアモンドおよび正八面体の展開図になる11種 のポリアモンドについて,辺同士を接着する「辺々接着」で作られる凸多面体を分類する。
1 はじめに
与えられた多角形が,どのような多面体の展開図になるかという問題は,個々の多角形を個 別に調べるしか方法がなく,あまり研究されていない。与えられた多角形に対して,その境界 の接着を決めれば,その多角形を展開図とする凸多面体は一意的に決まることが知られている
(アレクサンドロフの定理)。凸でない多面体では,各面が合同で組合せ構造が同じでも,立体 として合同になるとは限らないので,本稿で扱う多面体は凸多面体に限定する。また,多角形 の境界の接着は,辺同士を合わせる「辺々接着」に限定して議論する。辺々接着が行える多角 形は,同じ長さの辺同士の組を持つ偶数角形に限られる。
同じ大きさの正方形の辺同士を合わせた多角形をポリオミノと呼ぶ。1999年,ドメインとオ ルークは,立方体の展開図として代表的なラテンクロス型ポリオミノから,辺々接着によって 5通りの多面体が構成できることを示した([2, 9章]参照)。また西村・坂口[3]は,正方形5 個以下で作られるポリオミノの辺々接着によって作られる凸多面体を完全に分類した。
ポリオミノの正三角形版として,同じ大きさの正三角形の辺同士を合わせた多角形をポリア モンドと呼ぶ。本論文では,6個以下の正三角形で作られる全てのポリアモンドと,正八面体の 展開図になる11種のポリアモンドについて,辺々接着で作られる凸多面体を分類する。なお,
本論文は大西の卒業論文[4]を基にしている。
2 アレクサンドロフ接着
本論文で扱う多面体は,3次元凸多面体とし,その表面のみを指す。ただし,2つの合同な 凸多角形の,対応する境界を貼りあわせた厚みが0の「二重被覆多角形」も凸多面体とみなす ことにする。多面体の展開図について,次の定理が知られている([1, 23.3節])。
*1福井大学教育・人文社会系部門教員養成領域
*2福井大学大学院連合教職開発研究科
ポリアモンドの辺々接着で折る多面体について
西村 保三*1 大西 美穂*2
n本の辺からなる木Tの葉の一つを基点として固定しu0とおく。等辺2n角形Pの頂点v0を u0に対応させ,反時計回りにPの境界をTに2重に被覆させる辺々接着をG0(T)とおく。辺々 接着G0(T)で,Tの節点に集まるP の頂点の添え字の集合をJ0(T)と表す。定理2.1を辺々接 着に限定すると,次の補題が得られる。
補題 2.3 等辺2n角形Pの辺々接着で,アレクサンドロフの条件1を満たすものは,基点付き の木(T, u0)と,整数k(0≤k <2n)の組でGk(T)として決まる。ここでGk(T)はG0(T)の全 ての成分にkを加えた辺々接着である。さらに,Gk(T)がアレクサンドロフの条件2を満たす 必要十分条件は,次式が成り立つことである。
Mk(T) = max{∑
i∈I
∠vi+k |I∈J0(T)} ≤360◦
n= 2,3,4,5のとき,G0(T)のリストを表1に列挙する。ただし,白丸の頂点は基点とする。
また,辺の本数nのi番目の木をniと表すことにする。
表1: 辺々接着G0(T) (n= 2,3,4,5)
ni T G0(T) J0(T)
21 {(0,3),(1,2)} {{1,3}}
31 {(0,5),(1,4),(2,3)} {{1,5},{2,4}}
32 {(0,5),(1,2),(3,4)} {{1,3,5}}
41 {(0,7),(1,6),(2,5),(3,4)} {{1,7},{2,6},{3,5}}
42 {(0,7),(1,6),(2,3),(4,5)} {{1,7},{2,4,6}}
43 {(0,7),(1,2),(3,4),(5,6)} {{1,3,5,7}}
51 {(0,9),(1,8),(2,7),(3,6),(4,5)} {{1,9},{2,8},{3,7},{4,6}}
52 {(0,9),(1,8),(2,7),(3,4),(5,6)} {{1,9},{2,8},{3,5,7}}
53 {(0,9),(1,4),(2,3),(5,8),(6,7)} {{1,5,9},{2,4},{6,8}}
54 {(0,9),(1,2),(3,8),(4,5),(6,7)} {{1,3,9},{4,6,8}}
55 {(0,9),(1,8),(2,3),(4,5),(6,7)} {{1,9},{2,4,6,8}}
56 {(0,9),(1,2),(3,4),(5,6),(7,8)} {{1,3,5,7,9}}
注意 2.4 木Tが1/m回転対称性を持つとき,辺々接着Gk(T)とGk+2n
m(T)は同じになるので,
kは0≤k <2n/mの範囲で動くと考えて良い。
定理 2.1 (アレクサンドロフの定理) 任意の多角形の以下の条件を満たす境界の接着(アレク
サンドロフ接着と呼ぶ)に対して,得られる凸多面体が一意に決まる。
1. 接着で得られる曲面は,球面と同相である 2. 接着される各点での内角の和は360◦以下である
一般に,アレクサンドロフ接着は,多角形の辺や頂点を無視した境界の接着で,無限通りの 可能性がありうるが,以下では,多角形の辺同士の接着を考える。
定義 2.2 多角形の同じ長さの辺同士の接着を,辺々接着と呼ぶ。
以下,多角形P は等辺2n多角形とし,その辺を反時計回りにe0, e1, e2, . . . , e2n−1と表し,辺 eiの端点をvi, vi+1とする(図1)。ただし,辺と頂点の添え字は,mod 2nで動くものとする。等 辺2n角形の辺々接着は辺のペアリングG={(ei1, ej1),(ei2, ej2),· · ·,(ein, ejn)}で表される(こ れを添え字のみでG={(i1, j1),(i2, j2),· · ·,(in, jn)}とも表す)。辺々接着によって多角形の境 界は,n本の辺からなるグラフT(G)を2重に被覆する。
グラフT(G)は,多面体を展開する際に切り開く部分であるから,接着Gがアレクサンドロ フの条件1(接着で得られる閉曲面が球面に同相)を満たすのは,T(G)が木(サイクルをも たない連結グラフ)になるときである。またこのとき,接着される辺の添え字は偶数と奇数と なる。グラフT(G)をGの接着木と呼ぶ(図2)。ただし,接着木は平面的リンケージとして移 り合うときに同型とみなす。
図1: 等辺多角形
図2: 接着木
等辺多角形の辺々接着に対応する接着木において,次数dの頂点に対応する多面体の点には,多 角形Pのd個の頂点が集まる。これらの内角の和が360◦以下であれば,アレクサンドロフの条件 2が満たされる(この条件は,多面体の凸性を規定する)。接着木の葉(次数1の頂点)については,
この条件は自明なので,節点のみチェックすればよい。接着Gによって,接着木の節点に集まる頂 点の集合をJ(G)と表す。例えば,図2の辺々接着では,J(G) ={{v1, v5, v9},{v2, v4},{v6, v8}}
である(これを添え字のみでJ(G) ={{1,5,9},{2,4},{6,8}}とも表す)。
n本の辺からなる木Tの葉の一つを基点として固定しu0とおく。等辺2n角形Pの頂点v0を u0に対応させ,反時計回りにPの境界をTに2重に被覆させる辺々接着をG0(T)とおく。辺々 接着G0(T)で,T の節点に集まるPの頂点の添え字の集合をJ0(T)と表す。定理2.1を辺々接 着に限定すると,次の補題が得られる。
補題 2.3 等辺2n角形Pの辺々接着で,アレクサンドロフの条件1を満たすものは,基点付き の木(T, u0)と,整数k(0≤k <2n)の組でGk(T)として決まる。ここでGk(T)はG0(T)の全 ての成分にkを加えた辺々接着である。さらに,Gk(T)がアレクサンドロフの条件2を満たす 必要十分条件は,次式が成り立つことである。
Mk(T) = max{∑
i∈I
∠vi+k |I∈J0(T)} ≤360◦
n= 2,3,4,5のとき,G0(T)のリストを表1に列挙する。ただし,白丸の頂点は基点とする。
また,辺の本数nのi番目の木をniと表すことにする。
表1: 辺々接着G0(T) (n= 2,3,4,5)
ni T G0(T) J0(T)
21 {(0,3),(1,2)} {{1,3}}
31 {(0,5),(1,4),(2,3)} {{1,5},{2,4}}
32 {(0,5),(1,2),(3,4)} {{1,3,5}}
41 {(0,7),(1,6),(2,5),(3,4)} {{1,7},{2,6},{3,5}}
42 {(0,7),(1,6),(2,3),(4,5)} {{1,7},{2,4,6}}
43 {(0,7),(1,2),(3,4),(5,6)} {{1,3,5,7}}
51 {(0,9),(1,8),(2,7),(3,6),(4,5)} {{1,9},{2,8},{3,7},{4,6}}
52 {(0,9),(1,8),(2,7),(3,4),(5,6)} {{1,9},{2,8},{3,5,7}}
53 {(0,9),(1,4),(2,3),(5,8),(6,7)} {{1,5,9},{2,4},{6,8}}
54 {(0,9),(1,2),(3,8),(4,5),(6,7)} {{1,3,9},{4,6,8}}
55 {(0,9),(1,8),(2,3),(4,5),(6,7)} {{1,9},{2,4,6,8}}
56 {(0,9),(1,2),(3,4),(5,6),(7,8)} {{1,3,5,7,9}}
注意 2.4 木Tが1/m回転対称性を持つとき,辺々接着Gk(T)とGk+2n
m(T)は同じになるので,
kは0≤k <2n/mの範囲で動くと考えて良い。
定理 2.1 (アレクサンドロフの定理) 任意の多角形の以下の条件を満たす境界の接着(アレク
サンドロフ接着と呼ぶ)に対して,得られる凸多面体が一意に決まる。
1. 接着で得られる曲面は,球面と同相である 2. 接着される各点での内角の和は360◦以下である
一般に,アレクサンドロフ接着は,多角形の辺や頂点を無視した境界の接着で,無限通りの 可能性がありうるが,以下では,多角形の辺同士の接着を考える。
定義 2.2 多角形の同じ長さの辺同士の接着を,辺々接着と呼ぶ。
以下,多角形P は等辺2n多角形とし,その辺を反時計回りにe0, e1, e2, . . . , e2n−1と表し,辺 eiの端点をvi, vi+1とする(図1)。ただし,辺と頂点の添え字は,mod 2nで動くものとする。等 辺2n角形の辺々接着は辺のペアリングG={(ei1, ej1),(ei2, ej2),· · ·,(ein, ejn)}で表される(こ れを添え字のみでG={(i1, j1),(i2, j2),· · ·,(in, jn)}とも表す)。辺々接着によって多角形の境 界は,n本の辺からなるグラフT(G)を2重に被覆する。
グラフT(G)は,多面体を展開する際に切り開く部分であるから,接着Gがアレクサンドロ フの条件1 (接着で得られる閉曲面が球面に同相)を満たすのは,T(G)が木(サイクルをも たない連結グラフ)になるときである。またこのとき,接着される辺の添え字は偶数と奇数と なる。グラフT(G)をGの接着木と呼ぶ(図2)。ただし,接着木は平面的リンケージとして移 り合うときに同型とみなす。
図1: 等辺多角形
図2: 接着木
等辺多角形の辺々接着に対応する接着木において,次数dの頂点に対応する多面体の点には,多 角形Pのd個の頂点が集まる。これらの内角の和が360◦以下であれば,アレクサンドロフの条件 2が満たされる(この条件は,多面体の凸性を規定する)。接着木の葉(次数1の頂点)については,
この条件は自明なので,節点のみチェックすればよい。接着Gによって,接着木の節点に集まる頂 点の集合をJ(G)と表す。例えば,図2の辺々接着では,J(G) ={{v1, v5, v9},{v2, v4},{v6, v8}}
である(これを添え字のみでJ(G) ={{1,5,9},{2,4},{6,8}}とも表す)。
証明 平行四辺形テトラモンド:対称性より,G1(32)はG0(32)と同じになり,4通りの辺々接着 がある。G0(31)からはダイヤモンド,G1(31)からは平行四辺形,G2(31)からは正四面体,G0(32) からは直角三角形が作られる。
凹六角形テトラモンド:対称性より,G1(31)はG0(31)と同じになり,4通りの辺々接着があ る。G0(31)からは直角三角形,G2(31)からはダイヤモンド,G0(32)はM0(32) = 480◦より不適,
G1(32)からはダイヤモンドが作られる。
正三角形テトラモンド:対称性より,可能な辺々接着はG0(31)とG0(32)の2通りである。前 者からは直角三角形,後者からは正四面体が作られる。□
3.2
ヘキサモンドの辺々接着正三角形6個からなるヘキサモンドは,図6に示す12種がある。本稿ではこれらを順に,I, J, T, V, Y, L, C, h, H, S, O, Uと命名し,図に示すe0によって辺と頂点に番号を付ける。
図6: ヘキサモンド
等辺八角形の辺々接着Gk(T)は,木Tが41,42,43の3種あり,パラメータkの取り方が,41
は点対称なので4通り,42は8通り,43は1/4回転対称なので2通りの合計14通りある。各ヘ キサモンドについて,14通りの辺々接着を全て調べれば,それからできる多面体が分類できる が,本稿では一部の型のみを調べ,他の型はそれらを変形して得られることを証明する。
定義 3.2 (カット&ペースト) ポリアモンドの辺々接着において,辺eiは異なる正三角形の辺
ejと接着されるとする。ポリアモンドを,eiとejを分けるように,正三角形の辺に沿って2つ の部分に切断したのち,辺eiとejを接着して別のポリアモンドを構成する変換をカット&ペー ストと名づける(図7)。連続する複数の辺に沿ったカット&ペーストも同様に定義できる。
図7: カット&ペースト
3 ポリアモンドの辺々接着
同じ大きさの正三角形を辺同士合わせた多角形をポリアモンドと呼ぶ。1,2,3,4,5,6個の正 三角形から作られるポリアモンドをそれぞれ,モニアモンド,ダイヤモンド,トリアモンド,テ トラモンド,ペンタモンド,ヘキサモンドと呼ぶ。偶数個の正三角形から作られるポリアモン ドは等辺偶数角形である。本節では,6以下の偶数個の正三角形から作られるポリアモンドの 辺々接着で作られる凸多面体を分類する。本節では,辺々接着はアレクサンドロフの条件1を 満たすGk(T)に限定する。
3.1
ダイヤモンドとテトラモンドの辺々接着正三角形2つからなるダイヤモンドは1種,正三角形4つからなるテトラモンドは3種あり,
図3に示すように辺と頂点に番号を付ける。ダイヤモンドは,60◦の内角をもつ菱形である。前 節より,等辺四角形(菱形)の辺々接着は,Gk(21) (k= 0,1)の2つある。これらの接着によ り,菱形は対角線で半分折りされて,2種類の二重被覆三角形が作られる。図4の左に辺々接 着から決まる展開図(点線は折り線)を示し,右に対応する凸多面体を示す。
図3: ダイヤモンドと3種のテトラモンド
図4: ダイヤモンドの辺々接着 テトラモンドは3種とも等辺六角形である。等辺六角形の辺々接着はGk(31) (k = 0,1,2),
Gk(32) (k= 0,1)の5通りある。各テトラモンドについて,5通りの辺々接着を調べることで次 の定理を得る。以下,二重被覆多角形は,「二重被覆」の呼称を省略する。
定理 3.1 テトラモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,正四面体,平行四辺形,菱形(ダイ ヤモンド),直角三角形の4種に限る(図5:左は展開図,一番右は多面体を示す)。
図5: テトラモンドの辺々接着
証明 平行四辺形テトラモンド:対称性より,G1(32)はG0(32)と同じになり,4通りの辺々接着 がある。G0(31)からはダイヤモンド,G1(31)からは平行四辺形,G2(31)からは正四面体,G0(32) からは直角三角形が作られる。
凹六角形テトラモンド:対称性より,G1(31)はG0(31)と同じになり,4通りの辺々接着があ る。G0(31)からは直角三角形,G2(31)からはダイヤモンド,G0(32)はM0(32) = 480◦より不適,
G1(32)からはダイヤモンドが作られる。
正三角形テトラモンド:対称性より,可能な辺々接着はG0(31)とG0(32)の2通りである。前 者からは直角三角形,後者からは正四面体が作られる。□
3.2
ヘキサモンドの辺々接着正三角形6個からなるヘキサモンドは,図6に示す12種がある。本稿ではこれらを順に,I, J, T, V, Y, L, C, h, H, S, O, Uと命名し,図に示すe0によって辺と頂点に番号を付ける。
図6: ヘキサモンド
等辺八角形の辺々接着Gk(T)は,木Tが41,42,43の3種あり,パラメータkの取り方が,41
は点対称なので4通り,42は8通り,43は1/4回転対称なので2通りの合計14通りある。各ヘ キサモンドについて,14通りの辺々接着を全て調べれば,それからできる多面体が分類できる が,本稿では一部の型のみを調べ,他の型はそれらを変形して得られることを証明する。
定義 3.2 (カット&ペースト) ポリアモンドの辺々接着において,辺eiは異なる正三角形の辺
ejと接着されるとする。ポリアモンドを,eiとejを分けるように,正三角形の辺に沿って2つ の部分に切断したのち,辺eiとejを接着して別のポリアモンドを構成する変換をカット&ペー ストと名づける(図7)。連続する複数の辺に沿ったカット&ペーストも同様に定義できる。
図7: カット&ペースト
3 ポリアモンドの辺々接着
同じ大きさの正三角形を辺同士合わせた多角形をポリアモンドと呼ぶ。1,2,3,4,5,6個の正 三角形から作られるポリアモンドをそれぞれ,モニアモンド,ダイヤモンド,トリアモンド,テ トラモンド,ペンタモンド,ヘキサモンドと呼ぶ。偶数個の正三角形から作られるポリアモン ドは等辺偶数角形である。本節では,6以下の偶数個の正三角形から作られるポリアモンドの 辺々接着で作られる凸多面体を分類する。本節では,辺々接着はアレクサンドロフの条件1を 満たすGk(T)に限定する。
3.1
ダイヤモンドとテトラモンドの辺々接着正三角形2つからなるダイヤモンドは1種,正三角形4つからなるテトラモンドは3種あり,
図3に示すように辺と頂点に番号を付ける。ダイヤモンドは,60◦の内角をもつ菱形である。前 節より,等辺四角形(菱形)の辺々接着は,Gk(21) (k= 0,1)の2つある。これらの接着によ り,菱形は対角線で半分折りされて,2種類の二重被覆三角形が作られる。図4の左に辺々接 着から決まる展開図(点線は折り線)を示し,右に対応する凸多面体を示す。
図3: ダイヤモンドと3種のテトラモンド
図4: ダイヤモンドの辺々接着 テトラモンドは3種とも等辺六角形である。等辺六角形の辺々接着はGk(31) (k = 0,1,2),
Gk(32) (k= 0,1)の5通りある。各テトラモンドについて,5通りの辺々接着を調べることで次 の定理を得る。以下,二重被覆多角形は,「二重被覆」の呼称を省略する。
定理 3.1 テトラモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,正四面体,平行四辺形,菱形(ダイ ヤモンド),直角三角形の4種に限る(図5:左は展開図,一番右は多面体を示す)。
図5: テトラモンドの辺々接着
命題 3.4 J, T型ヘキサモンドの辺々接着から得られる凸多面体は,I, S型のヘキサモンドから 得られる凸多面体の展開図をカット&ペーストしたものに限る。
証明 J型:辺e5と接着する辺を考える。i)e6の場合,v2v6でカットし,e5, e6をペーストすれ ばS型に変形できる。ii)e4の場合,(e3, e6)が接着され,v0v6でカットし,e3, e6をペーストす ればI型に変形できる。iii)e2の場合,v2+v6が360◦を超え不適。iv)e0の場合,(e1, e4)(e2, e3) が接着され,v3v5でカットしてe2, e3をペーストすればS型に変形できる。
T型:辺e7と接着する辺を考える。i)e6の場合,v2v7でカットしてe6, e7をペーストすれば S型に変形できる。ii)e4の場合,v5+v7が360◦を超え不適。iii)e2の場合,(e3, e6)が接着さ れ,v5v7でカットし,e3, e6をペーストすればI型に変形できる。iv)e0の場合,対称性よりe3
と接着する辺がe4以外のときは,i)~iii)のケースと同じになる。(e7, e0)(e3, e4)が接着される とき,(e1, e6)が接着され,v2v7でカットし,e1, e6をペーストすればS型に変形できる。□
命題 3.5 h, V型ヘキサモンドの辺々接着から得られる凸多面体は,I, S, J型のヘキサモンドか ら得られる凸多面体の展開図をカット&ペーストしたものに限る。
証明 h型:辺e0と接着する辺を考える。i)e7またはe5の場合,v0v5でカットし,e0をe7ま たはe5とペーストすればJ型に変形できる。ii)e3の場合,(e1, e2)が接着され,v2v5でカット し,e1, e2をペーストすればJ型に変形できる。iii)e1の場合,v0+v2が360◦を超え不適。
V型:辺e1と接着する辺を考える。i)e2の場合,v2v7でカットし,e1, e2をペーストすれば I型に変形できる。ii)e4の場合,v4v6でカットしてe1, e4をペーストすればS型に変形できる。
iii)e6の場合,(e0, e7)そして(e2, e5)(e3, e4)の接着が決まり,v4v7でカットしてe3, e4をペース トすればI型に変形できる。iv)e0と接着する場合,対称性よりe4と接着する辺がe5以外のと きは,i)~iii)のケースと同じ。(e0, e1)(e4, e5)が接着されるとき,(e2, e7)の接着が決まり,v2v7
でカットし,e2, e7をペーストすればI型に変形できる。□
命題 3.6 C, H, Y, L, U, O型ヘキサモンドの辺々接着から得られる凸多面体は,I, S, J, h, V 型のヘキサモンドから得られる凸多面体の展開図をカット&ペーストしたものに限る。
証明 C型:辺e0と接着する辺を考える。i)e3の場合,v3v7でカットし,e0, e3をペーストすれ ばV型に変形できる。ii)e5の場合,v5v7でカットし,e0, e5をペーストすればJ型に変形でき る。iii)e7の場合,(e1, e6)の接着が決まり,v3v7でカットし,e1, e6をペーストすればS型に変 形できる。iv)e1の場合,(e6, e7)さらに(e2, e5)(e3, e4)の接着が決まり,v4v7でカットしてe3, e4
をペーストすればJ型に変形できる。
H型:頂点v0を,偶数番目の他の頂点v2, v4, v6と合わせると360◦を超えるので,辺e0はe7
と接着するしかなく,v0v4でカットし,e0, e7をペーストすればV型に変形できる。
I型とS型のヘキサモンドは点対称なので,Gk(T)とGk+4(T)は同じになり,可能な辺々接 着は10通りである。それらのMk(T)の値を,表2, 3に示す。表において,等脚台形は底角30◦ のもの,台形は底角30◦と120◦で上底と下底の比が1 : 2のものとする。双三角錐は正三角形 と頂角120◦の二等辺三角形2面を側面とする三角錐2つを底面で合わせたもの,二等辺三角形 は頂角120◦のものである。I,S型ヘキサモンドにおいて,凸性の条件を満たす辺々接着に対応 する展開図と多面体を,図8と図9にそれぞれ示す。
表2: I型ヘキサモンドの辺々接着 T k Mk(T) 凸性 多面体 41 0 360 ○ トリアモンド
41 1 360 ○ 等脚台形
41 2 240 ○ デルタ六面体
41 3 300 ○ 双三角錐
42 0 480 ×
42 1 420 ×
42 2 420 ×
42 3 300 ○ 双三角錐
43 0 480 ×
43 1 600 ×
表3: S型ヘキサモンドの辺々接着 T k Mk(T) 凸性 多面体 41 0 240 ○ デルタ六面体
41 1 360 ○ 正三角形
41 2 480 ×
41 3 360 ○ 二等辺三角形
42 0 480 ×
42 1 360 ○ トリアモンド
42 2 600 ×
42 3 360 ○ 台形
43 0 360 ○ トリアモンド
43 1 720 ×
図8: I型ヘキサモンドの辺々接着
図9: S型ヘキサモンドの辺々接着
命題 3.3 I, S型ヘキサモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,図8, 9 に示したデルタ六面 体,双三角錐,台形(3種),二等辺三角形,正三角形の7種類に限る。
他のヘキサモンドから作られる多面体は,図8, 9に示した展開図をカット&ペーストで変換 したものに限ることを証明する。
命題 3.4 J, T型ヘキサモンドの辺々接着から得られる凸多面体は,I, S型のヘキサモンドから 得られる凸多面体の展開図をカット&ペーストしたものに限る。
証明 J型:辺e5と接着する辺を考える。i)e6の場合,v2v6でカットし,e5, e6をペーストすれ ばS型に変形できる。ii)e4の場合,(e3, e6)が接着され,v0v6でカットし,e3, e6をペーストす ればI型に変形できる。iii)e2の場合,v2+v6が360◦を超え不適。iv)e0の場合,(e1, e4)(e2, e3) が接着され,v3v5でカットしてe2, e3をペーストすればS型に変形できる。
T型:辺e7と接着する辺を考える。i)e6の場合,v2v7でカットしてe6, e7をペーストすれば S型に変形できる。ii)e4の場合,v5+v7が360◦を超え不適。iii)e2の場合,(e3, e6)が接着さ れ,v5v7でカットし,e3, e6をペーストすればI型に変形できる。iv)e0の場合,対称性よりe3
と接着する辺がe4以外のときは,i)~iii)のケースと同じになる。(e7, e0)(e3, e4)が接着される とき,(e1, e6)が接着され,v2v7でカットし,e1, e6をペーストすればS型に変形できる。□
命題 3.5 h, V型ヘキサモンドの辺々接着から得られる凸多面体は,I, S, J型のヘキサモンドか ら得られる凸多面体の展開図をカット&ペーストしたものに限る。
証明 h型:辺e0と接着する辺を考える。i)e7またはe5の場合,v0v5でカットし,e0をe7ま たはe5とペーストすればJ型に変形できる。ii)e3の場合,(e1, e2)が接着され,v2v5でカット し,e1, e2をペーストすればJ型に変形できる。iii)e1の場合,v0+v2が360◦を超え不適。
V型:辺e1と接着する辺を考える。i)e2の場合,v2v7でカットし,e1, e2をペーストすれば I型に変形できる。ii)e4の場合,v4v6でカットしてe1, e4をペーストすればS型に変形できる。
iii)e6の場合,(e0, e7)そして(e2, e5)(e3, e4)の接着が決まり,v4v7でカットしてe3, e4をペース トすればI型に変形できる。iv)e0と接着する場合,対称性よりe4と接着する辺がe5以外のと きは,i)~iii)のケースと同じ。(e0, e1)(e4, e5)が接着されるとき,(e2, e7)の接着が決まり,v2v7
でカットし,e2, e7をペーストすればI型に変形できる。□
命題 3.6 C, H, Y, L, U, O型ヘキサモンドの辺々接着から得られる凸多面体は,I, S, J, h, V 型のヘキサモンドから得られる凸多面体の展開図をカット&ペーストしたものに限る。
証明 C型:辺e0と接着する辺を考える。i)e3の場合,v3v7でカットし,e0, e3をペーストすれ ばV型に変形できる。ii)e5の場合,v5v7でカットし,e0, e5をペーストすればJ型に変形でき る。iii)e7の場合,(e1, e6)の接着が決まり,v3v7でカットし,e1, e6をペーストすればS型に変 形できる。iv)e1の場合,(e6, e7)さらに(e2, e5)(e3, e4)の接着が決まり,v4v7でカットしてe3, e4
をペーストすればJ型に変形できる。
H型:頂点v0を,偶数番目の他の頂点v2, v4, v6と合わせると360◦を超えるので,辺e0はe7
と接着するしかなく,v0v4でカットし,e0, e7をペーストすればV型に変形できる。
I型とS型のヘキサモンドは点対称なので,Gk(T)とGk+4(T)は同じになり,可能な辺々接 着は10通りである。それらのMk(T)の値を,表2, 3に示す。表において,等脚台形は底角30◦ のもの,台形は底角30◦と120◦で上底と下底の比が1 : 2のものとする。双三角錐は正三角形 と頂角120◦の二等辺三角形2面を側面とする三角錐2つを底面で合わせたもの,二等辺三角形 は頂角120◦のものである。I,S型ヘキサモンドにおいて,凸性の条件を満たす辺々接着に対応 する展開図と多面体を,図8と図9にそれぞれ示す。
表2: I型ヘキサモンドの辺々接着 T k Mk(T) 凸性 多面体 41 0 360 ○ トリアモンド
41 1 360 ○ 等脚台形
41 2 240 ○ デルタ六面体
41 3 300 ○ 双三角錐
42 0 480 ×
42 1 420 ×
42 2 420 ×
42 3 300 ○ 双三角錐
43 0 480 ×
43 1 600 ×
表3: S型ヘキサモンドの辺々接着 T k Mk(T) 凸性 多面体 41 0 240 ○ デルタ六面体
41 1 360 ○ 正三角形
41 2 480 ×
41 3 360 ○ 二等辺三角形
42 0 480 ×
42 1 360 ○ トリアモンド
42 2 600 ×
42 3 360 ○ 台形
43 0 360 ○ トリアモンド
43 1 720 ×
図8: I型ヘキサモンドの辺々接着
図9: S型ヘキサモンドの辺々接着
命題 3.3 I, S型ヘキサモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,図8, 9 に示したデルタ六面 体,双三角錐,台形(3種),二等辺三角形,正三角形の7種類に限る。
他のヘキサモンドから作られる多面体は,図8, 9に示した展開図をカット&ペーストで変換 したものに限ることを証明する。
図10: J型ヘキサモンド 図11: T型ヘキサモンド
図12: V型ヘキサモンド 図13: C型ヘキサモンド
図14: L型ヘキサモンド 図15: Y型ヘキサモンド
図16: h型ヘキサモンド 図17: U型ヘキサモンド
図18: O型ヘキサモンド 図19: H型ヘキサモンド
Y型:辺e0と接着する辺を考える。i)e7またはe5の場合,v0v5でカットし,e0をe7または e5とペーストすればI型に変形できる。ii)e3の場合,(e1, e2)の接着が決まり,v2v5でカット し,e1, e2をペーストすればI型に変形できる。iii)e1の場合,(e2, e7)の接着が決まり,v2v5で カットし,e2, e7をペーストすればh型に変形できる。
L型:辺e0と接着する辺を考える。i)e7の場合,v0v6でカットし,e0, e7をペーストすれば I型に変形できる。ii)e5の場合,v0+v6が360◦を超え不適。iii)e3の場合,v2v6でカットし,
e0, e3をペーストすればS型に変形できる。iv)e1の場合,(e2, e7)の接着が決まり,v2v6でカッ トし,e2, e7をペーストすればS型に変形できる。
U型:v6が300◦あるので,(e5, e6)の接着は決まる。辺e1と接着する辺を考える。i)e2の場 合,v2v6でカットし,e1, e2をペーストすればI型に変形できる。ii)e4の場合,v2v6でカット し,e1, e4をペーストすればJ型に変形できる。iii)e0の場合,(e2, e7)(e3, e4)の接着が決まり,
v4v6でカットしてe3, e4をペーストすればJ型に変形できる。
O型:辺e0と接着する辺を考える。対称性よりe1かe3のときを考えればよい。i)e1の場合,
v1v4でカットし,e0, e1をペーストすればV型に変形できる。ii)e3の場合,(e1, e2)の接着が決 まり,対称性よりi)のケースと同じ。□
命題3.3~3.6から,次の定理が得られる。
定理 3.7 ヘキサモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,図8, 9に示したデルタ六面体,双 三角錐,台形(3種),二等辺三角形,正三角形の7種類に限る(表4,図8~19)。
辺々接着と展開図はほぼ一対一に対応しているが,唯一,L型ヘキサモンド(図14-1)によ るデルタ六面体の展開図には,2種類の辺々接着G2(41), G3(42)がある。
表4: ヘキサモンドから作られる凸多面体
多面体 I J T C h H V Y L S U O デルタ六面体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
双三角錐 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ トリアモンド ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
等脚台形 ○ ○
台形 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
二等辺三角形 ○ ○ ○
正三角形 ○ ○ ○ ○
図10: J型ヘキサモンド 図11: T型ヘキサモンド
図12: V型ヘキサモンド 図13: C型ヘキサモンド
図14: L型ヘキサモンド 図15: Y型ヘキサモンド
図16: h型ヘキサモンド 図17: U型ヘキサモンド
図18: O型ヘキサモンド 図19: H型ヘキサモンド
Y型:辺e0と接着する辺を考える。i)e7またはe5の場合,v0v5でカットし,e0をe7または e5とペーストすればI型に変形できる。ii)e3の場合,(e1, e2)の接着が決まり,v2v5でカット し,e1, e2をペーストすればI型に変形できる。iii)e1の場合,(e2, e7)の接着が決まり,v2v5で カットし,e2, e7をペーストすればh型に変形できる。
L型:辺e0と接着する辺を考える。i)e7の場合,v0v6でカットし,e0, e7をペーストすれば I型に変形できる。ii)e5の場合,v0+v6が360◦を超え不適。iii)e3の場合,v2v6でカットし,
e0, e3をペーストすればS型に変形できる。iv)e1の場合,(e2, e7)の接着が決まり,v2v6でカッ トし,e2, e7をペーストすればS型に変形できる。
U型:v6が300◦あるので,(e5, e6)の接着は決まる。辺e1と接着する辺を考える。i)e2の場 合,v2v6でカットし,e1, e2をペーストすればI型に変形できる。ii)e4の場合,v2v6でカット し,e1, e4をペーストすればJ型に変形できる。iii)e0の場合,(e2, e7)(e3, e4)の接着が決まり,
v4v6でカットしてe3, e4をペーストすればJ型に変形できる。
O型:辺e0と接着する辺を考える。対称性よりe1かe3のときを考えればよい。i)e1の場合,
v1v4でカットし,e0, e1をペーストすればV型に変形できる。ii)e3の場合,(e1, e2)の接着が決 まり,対称性よりi)のケースと同じ。□
命題3.3~3.6から,次の定理が得られる。
定理 3.7 ヘキサモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,図8, 9に示したデルタ六面体,双 三角錐,台形(3種),二等辺三角形,正三角形の7種類に限る(表4,図8~19)。
辺々接着と展開図はほぼ一対一に対応しているが,唯一,L型ヘキサモンド(図14-1)によ るデルタ六面体の展開図には,2種類の辺々接着G2(41), G3(42)がある。
表4: ヘキサモンドから作られる凸多面体
多面体 I J T C h H V Y L S U O デルタ六面体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
双三角錐 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ トリアモンド ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
等脚台形 ○ ○
台形 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
二等辺三角形 ○ ○ ○
正三角形 ○ ○ ○ ○
図22: オクタモンドI 図23: オクタモンドII
図24: オクタモンドIII 図25: オクタモンドIV
図26: オクタモンドV
図27: オクタモンドVI
3.3
正八面体の展開図となるオクタモンドの辺々接着正三角形8個からなるオクタモンドは66種類あるが,本稿では,そのうち正八面体の展開図 になる11種類について,辺々接着で作られる多面体を調べる。11種のオクタモンドを図20の
順にI, II,· · ·, XIのローマ数字による番号で呼ぶことにする。また,図に示す辺e0によって,
各辺と頂点に番号を割り振る。
図20: 正八面体の展開図となるオクタモンド
等辺十角形の接着木は,表1に示す6通りがある。それぞれの木Tを接着木とする辺々接着 Gk(T)は0 ≤ k <10の10通りあるが,点対称の51, 54は5通り,1/5回転対称の56は2通 りとなるので,全部で42通りである(ただし,オクタモンドI, IV, VI, XIは点対称,VIII, X は線対称なので,これらについては異なる接着はもっと少ない)。各オクタモンドの42通りの (T, k)におけるMk(T)の値を巻末の表6に示す。Mk(T)≤ 360◦の条件を満たす辺々接着につ いて,対応する凸多面体は一意的に決まるので,それぞれについて展開図の折り線を調べるこ とで次の結果を得た(大西[4]参照)。
結果 3.8 正八面体の展開図となるオクタモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,図21に示 す正八面体,双四角錐(2種),六面体,四面体,平行四辺形(3種),長方形,台形,凧形,
二等辺三角形の12種類に限る(表5,図22~27)。
図21: 正八面体の展開図となるオクタモンドの辺々接着で作られる凸多面体
図22: オクタモンドI 図23: オクタモンドII
図24: オクタモンドIII 図25: オクタモンドIV
図26: オクタモンドV
図27: オクタモンドVI
3.3
正八面体の展開図となるオクタモンドの辺々接着正三角形8個からなるオクタモンドは66種類あるが,本稿では,そのうち正八面体の展開図 になる11種類について,辺々接着で作られる多面体を調べる。11種のオクタモンドを図20の
順にI, II,· · ·, XIのローマ数字による番号で呼ぶことにする。また,図に示す辺e0によって,
各辺と頂点に番号を割り振る。
図20: 正八面体の展開図となるオクタモンド
等辺十角形の接着木は,表1に示す6通りがある。それぞれの木T を接着木とする辺々接着 Gk(T)は0 ≤ k < 10の10通りあるが,点対称の51, 54は5通り,1/5回転対称の56は2通 りとなるので,全部で42通りである(ただし,オクタモンドI, IV, VI, XIは点対称,VIII, X は線対称なので,これらについては異なる接着はもっと少ない)。各オクタモンドの42通りの (T, k)におけるMk(T)の値を巻末の表6に示す。Mk(T)≤ 360◦の条件を満たす辺々接着につ いて,対応する凸多面体は一意的に決まるので,それぞれについて展開図の折り線を調べるこ とで次の結果を得た(大西[4]参照)。
結果 3.8 正八面体の展開図となるオクタモンドの辺々接着で作られる凸多面体は,図21に示 す正八面体,双四角錐(2種),六面体,四面体,平行四辺形(3種),長方形,台形,凧形,
二等辺三角形の12種類に限る(表5,図22~27)。
図21: 正八面体の展開図となるオクタモンドの辺々接着で作られる凸多面体
表5: 正八面体の展開図から作られる凸多面体
多面体 I II III IV V VI VII VIII IX X XI
正八面体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
双四角錐1 ○ ○ ○ ○
双四角錐2 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
六面体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
四面体 ○ ○ ○
平行四辺形1 ○ ○ ○ ○
平行四辺形2 ○ ○ ○ ○ ○ ○
平行四辺形3 ○
長方形 ○ ○ ○ ○
台形 ○ ○ ○ ○ ○ ○
凧形 ○ ○ ○ ○ ○
二等辺三角形 ○ ○ ○ ○ ○
表5において,双四角錐1は頂角120◦の二等辺三角形8面からなるもの,双四角錐2は正三 角形6面・頂角120◦の二等辺三角形2面からなるもの,六面体は正三角形・頂角120◦の二等辺三 角形・頂角30◦の直角三角形2面ずつからなるもの,四面体は六辺の比が1 : 1 : 1 : 2 :√
7 :√ 7 のもの,平行四辺形1は二辺の比が2 :√
3で挟角30◦のもの,平行四辺形2は二辺の比が1 : 2 で挟角60◦のもの(平行四辺形テトラモンド),平行四辺形3は二辺の比が1 : 2√
3で挟角30◦ のもの,長方形は二辺の比が1 :√
3のもの,台形は底角が30◦,60◦で上底と下底の比が1 : 3の もの,凧形は120◦,60◦の対角をもつもの,二等辺三角形は頂角120◦のものである。
参考文献
[1] エリック・D・ドメイン&ジョセフ・オルーク〔上原隆平 訳〕,“幾何的な折りアルゴリズ ム”,近代科学社,2009.
[2] ジョセフ・オルーク〔上原隆平 訳〕,“折り紙のすうり”,近代科学社,2012.
[3] 西村保三,坂口一成,“ペントミノの辺々接着で折る多面体について”,福井大学教育地域 科学部紀要6(2015),p.125–137.
[4] 大西美穂,“多面体の展開図について”,福井大学教育学部卒業論文,2020.
図28: オクタモンドVII
図29: オクタモンドVIII
図30: オクタモンドIX
図31: オクタモンドX
図32: オクタモンドXI
表5: 正八面体の展開図から作られる凸多面体
多面体 I II III IV V VI VII VIII IX X XI
正八面体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
双四角錐1 ○ ○ ○ ○
双四角錐2 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
六面体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
四面体 ○ ○ ○
平行四辺形1 ○ ○ ○ ○
平行四辺形2 ○ ○ ○ ○ ○ ○
平行四辺形3 ○
長方形 ○ ○ ○ ○
台形 ○ ○ ○ ○ ○ ○
凧形 ○ ○ ○ ○ ○
二等辺三角形 ○ ○ ○ ○ ○
表5において,双四角錐1は頂角120◦の二等辺三角形8面からなるもの,双四角錐2は正三 角形6面・頂角120◦の二等辺三角形2面からなるもの,六面体は正三角形・頂角120◦の二等辺三 角形・頂角30◦の直角三角形2面ずつからなるもの,四面体は六辺の比が1 : 1 : 1 : 2 :√
7 :√ 7 のもの,平行四辺形1は二辺の比が2 :√
3で挟角30◦のもの,平行四辺形2は二辺の比が1 : 2 で挟角60◦のもの(平行四辺形テトラモンド),平行四辺形3は二辺の比が1 : 2√
3で挟角30◦ のもの,長方形は二辺の比が1 :√
3のもの,台形は底角が30◦,60◦で上底と下底の比が1 : 3の もの,凧形は120◦,60◦の対角をもつもの,二等辺三角形は頂角120◦のものである。
参考文献
[1] エリック・D・ドメイン&ジョセフ・オルーク〔上原隆平 訳〕,“幾何的な折りアルゴリズ ム”,近代科学社,2009.
[2] ジョセフ・オルーク〔上原隆平 訳〕,“折り紙のすうり”,近代科学社,2012.
[3] 西村保三,坂口一成,“ペントミノの辺々接着で折る多面体について”,福井大学教育地域 科学部紀要6(2015),p.125–137.
[4] 大西美穂,“多面体の展開図について”,福井大学教育学部卒業論文,2020.
図28: オクタモンドVII
図29: オクタモンドVIII
図30: オクタモンドIX
図31: オクタモンドX
図32: オクタモンドXI
表6:オクタモンドの辺々接着における ( )
T k I II III IV V VI VII VIII IX X XI 5_1 0 300 480 420 300 480 420 300 480 420 480 300 5_1 1 420 480 420 360 480 360 480 360 480 480 360 5_1 2 360 360 360 360 420 300 360 360 360 360 360 5_1 3 240 480 240 480 480 240 360 480 360 480 420 5_1 4 360 360 420 300 420 420 420 480 300 360 240 5_2 0 420 600 540 420 660 600 420 480 420 600 420 5_2 1 540 480 480 360 480 360 540 360 600 480 420 5_2 2 360 600 360 600 660 420 360 600 360 600 540 5_2 3 480 240 480 480 240 480 420 360 420 240 420 5_2 4 360 600 360 540 540 420 480 720 480 600 480 5_2 5 420 480 480 420 480 600 420 360 360 480 420 5_2 6 540 600 420 360 540 360 480 600 540 600 420 5_2 7 360 360 420 600 420 420 420 360 360 360 540 5_2 8 480 480 480 480 480 480 480 480 480 480 420 5_2 9 360 360 420 540 300 420 420 480 420 360 480 5_3 0 420 360 360 360 420 480 360 480 420 360 360 5_3 1 480 720 480 540 720 480 360 600 360 720 540 5_3 2 540 360 600 420 420 480 600 360 540 360 480 5_3 3 420 480 300 480 480 300 420 600 540 480 420 5_3 4 360 480 360 480 480 420 240 480 240 480 420 5_3 5 420 600 540 360 540 480 540 600 420 600 360 5_3 6 480 360 480 540 420 480 540 480 540 360 540 5_3 7 540 600 420 420 660 480 300 480 420 600 480 5_3 8 420 480 420 480 480 300 420 480 420 480 420 5_3 9 360 480 420 480 480 420 540 600 420 480 420 5_4 0 360 600 360 540 540 300 480 720 480 600 480 5_4 1 420 600 540 420 660 600 420 480 360 600 420 5_4 2 540 600 480 360 540 360 540 600 600 600 420 5_4 3 360 600 420 600 660 420 420 600 360 600 540 5_4 4 480 480 480 240 480 480 480 480 480 480 300 5_5 0 600 360 540 600 360 540 600 480 660 420 600 5_5 1 600 840 600 660 900 660 480 720 480 840 660 5_5 2 660 420 660 480 300 540 660 420 660 360 540 5_5 3 480 720 480 660 720 480 600 840 600 720 600 5_5 4 540 360 540 480 420 660 480 240 480 360 480 5_5 5 600 840 600 600 780 540 600 840 600 840 600 5_5 6 600 420 660 660 420 660 660 420 600 420 660 5_5 7 660 720 540 480 720 540 540 720 660 720 540 5_5 8 480 480 480 660 480 480 480 480 480 480 600 5_5 9 540 720 660 480 720 660 660 720 540 720 480 5_6 0 720 960 720 720 960 720 720 960 720 960 720 5_6 1 720 480 720 720 480 720 720 480 720 480 720