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第9回

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講演会及び研究集会の記録

 講演会及び研究集会の記録 

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第9回

(平成22年度)

弘前大学FDワークショップ

(21世紀教育センター) 

 21 世紀教育センターの主催による第9回FD ワークショップが、青森ロイヤルホテルを会場に、

6 月 19 日・20 日の 1 泊 2 日で開催されました。こ のワークショップでは、昨年度に引き続き「単位制 度の実質化を図るための能動的学習の実践〜ラーニ ング・ポートフォリオの活用〜」をテーマにした合 宿研修の形式でした。参加者は、21 世紀教育科目 を担当する各学部の教員や「助教」以上で就任 5 年 未満の教員(他大学教員を含む)26 名と各学部の 学生 10 名を加え、学務部スタッフ及び 21 世紀教育 センター関係者を合わせて 50 名となりました。阿 闍羅山からの眺望を期待していましたが、生憎の曇 り空でしたので、逆に研修に集中できたのではない でしょうか。

 今年度のワークショップは、ラーニング・ポート フォリオの導入を視野に入れ、単位制度の実質化を 図るために能動的学習の実践をどのように進めれば 良いか、学生の視点を反映させるために、学生参加 型とし、教員と学生との相互交流を深めながら、効 果的な授業シラバスの作成を目指すという内容でし た。

 記念写真の撮影を終え、そのまま会場に移動し、

神田理事の挨拶からワークショップが始まりまし た。『菊と刀』を知らない学生が多いことに驚いた という事例を通して、学生の資質の変化や学力のバ ラツキが目立つなど大学教育に対する現状と課題に ついて指摘がありました。その後、5 つのミニレク チャートなどを挟みながら、5 つのグループに分か れて、それぞれにシラバスの作成作業を行いました。

各グループの成果についてパワーポイントを使用し た全体発表と質疑応答を 3 回行いました。

○ミニレクチャー 大高副センター長の「 21 世紀 教育のFD活動」では、21 世紀教育センターにお けるFD活動の概要と学生アンケート結果の紹介を はじめとして、大学教育における 21 世紀教育の位 置づけとその役割、21 世紀教育を担当する教員の 役割と課題、全学部の学生を相手にする点を意識す る必要性などについて指摘されました。また、所属 学部や専門領域が異なる教員集団で展開するFD活 動では、学部や専門領域の利害を超えた新たな視点 の必要性、教員同士が気軽にアイディアを利用し相 談できるような機会の設定や情報提供の体制の整備 等を行い、多様な専門とスキルを持った人材が集 まっている教員集団の特徴を活かした連携の必要性 を指摘していました。

 土持前高等教育研究開発室長の「FDの動向:ファ カルティ・デベロップメント(FD)からエデュケー ショナル・デベロップメント(ED)への移行」「学 習目標  ―  中央教育審議会『答申』と単位制度の実 質化」「学習方略  ―中央教育審議会『答申』と授業 シラバス」と「評価  ―  ラーニング・ポートフォリ オと評価基準」のミニレクチャー及び初任者研修の ための「ティーチング・フィロソフィー(授業哲学)

と教育者総覧」の講義がありました。我が国におけ るFD義務化の背景やEDの先進国であるカナダの 現状紹介を通し、授業改善は学生のためであり、学 生を取りまく教育環境全体の改善・向上に向けられ るべきであるというEDへと移行する意義が説かれ ました。また、単位制度の形骸化の責任は大学側や 教員にあり、従来の教授法を抜本的に改める必要性 があり、講義形式から学生を主体とした能動的学習 形態への移行が強く求められていることを指摘して いました。そのためには、学習目標の設定、学習方 略と評価が重要であると強調されました。

 研修初日の最終プログラムでは、話題提供として

「学生から見た『学ぶ』とは何か ― ラーニング・ポー トフォリオを書いてみて  ―  」と題して、実践した 6 名の学生による感想発表と資料の回覧もあり、

ラーニング・ポートフォリオを具体的にイメージす ることができました。

○シラバス作成と成果 5 〜 6 名の教員と 2 名の学 生とで1つのグループが編成され、5 つの机に分か れて、所属学部・学科の枠を超えて教員と学生によ るグループ作業のもと、弘前大学 21 世紀教育科目 テーマを一つ設定し、その科目のシラバスを完成さ せました。グループ作業は、授業目的の設定、学習 方略と評価方法の 3 ステップで展開し、ステップご との成果をパワーポイントを使用して全体発表を行 い、質疑応答により参加者から評価を受けるという 形式でした。具体的な内容は、「国際社会を考える 

― 目からウロコ !? の国際理解」「健康と生活習慣 ―  健康維持につながる予防法」「国際社会を考える  ―  ワールドカップ対戦国を中心に」などの科目テーマ が設定され、授業目的を設定し、授業の展開内容か ら成績評価まで一つのシラバスを完成させました。

発表ごとに評価を受けて修正するという進行はグ ループ間の刺激となり、また学生と教員との共同作 業により相互交流の良い機会となりました。

 作業にあたっては、PC機器、プリンターや大型 ディスプレーが大学から持ち込まれ、グループごと

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に設置され討議環境が整備されており、視覚的にも 参加者全体の共通理解が深まりました。

 今後のワークショップの改善に向けた資料とする ために、昨年度と同様に「北海道大学FDワーク ショップ」で使用されている項目を基にしたアン ケートを実施しました。内容は、8 つの設問と 3 種 類の自由記述からなる無記名式質問紙調査で、終了 後に参加者を対象として実施しました。学生 10 名を 含めた参加者全員 36 名からの回答を集計した結果が 下記のグラフです。

 

さい。

  ⑴ 内容の価値についてどう評価しますか。

    (回答数 36)

   ■ A 価値なし(0%)

   ■ B 価値少ない(13.9%)

   ■ C いくらか価値あり(33.3%)

   ■ D かなり価値あり(44.4%)

   □ E きわめて価値あり(8.3%)

0 50 100(%)

B C D E

  ⑵ 内容に対する時間量はいかがでしたか。

    (回答数 36)

   ■ A 多すぎ(11.1%)

   ■ B やや多い(16.7%)

   ■ C ほぼ適当(38.9%)

   ■ D やや少ない(30.6%)

   □ E 少なすぎ(2.8%)

0 50 100

A C D E

(%)

  ⑶ 内容の難易をどう感じましたか。

    (回答数 36)

   ■ A きわめて難しい(5.6%)

   ■ B やや難しい(16.7%)

   ■ C ほぼ適当(63.8%)

   ■ D 少し難しい(13.9%)

   □ E 易しすぎ(0%)

0 50 100

A C D

(%)

  ⑷ このようなワークショップ形式の教育方法とし    ての効果についてどう思いましたか。(回答数 36)

   ■ A 効果なし(0%)

   ■ B 効果少ない(16.7%)

   ■ C ある程度効果的(50.0%)

   ■ D かなり効果的(27.8%)

   □ E きわめて効果的(5.6%)

0 50 100

B C D E

(%)

  ⑸ このワークショップの内容はあなたの興味に対    して適切でしたか。(回答数 36)

   ■ A 全く不適切(2.8%)

   ■ B やや不適切(22.2%)

   ■ C ある程度適切(38.9%)

   ■ D かなり適切(33.3%)

   □ E きわめて適切(2.8%)

0 50 100

B C D E

(%)

 ほとんどの参加者が内容に価値があると評価して いました(設問 1

1 )。また、7 割の参加者が興 味に対して適切な内容であったと回答していました

(設問 1

5 )。ワークショップ形式の教育効果に対 しても大方の者が効果的であると判断しています

(設問 1

4 )。内容に対する時間量(設問 1 − 2 ) や内容の難易度(設問 1

3 )に対しても、大半の 者が適当であったと回答していました。以上の結果 から、今回のワークショップの企画・運営は概ね妥 当であったと推定できます。

 

かったと思われる点(自由記述)

 38 件の記述がありました。アンケートは無記名 式であったため、回答者が教員によるものか学生に よるものかは不明ですが、最も多かった記述内容は

「バラバラの領域の人々が集まるため多面的な意見 が得られた」、「他学部の教員・学生とグループワー クをすることで認識を深めることができた」や「教 員は学生がどのように考えているか,また逆に学生 は教員がどのように考えているかというのを,話し 合いを通じてある程度理解できたのではないかと思 う」というような「他学部・学科の教員や学生との 交流」( 18 件)でした。次に多かった記述は「大学 教育として日頃おろそかになりがちな部分に目を向 ける良い機会となった」、「シラバス構築のプロセス を学ぶことができたのは満足」や「学生にいかに授 業をアピールするかわかった点」など「自分の授業 の見直しや新たな知見」( 11 件)についてでした。

生が参加することにより,議論が盛り上がった」な ど学生参加の形式( 9 件)に関する内容でした。

設問3.今回のワークショップ全体にわたり良くなかっ たと思われる点(改善すべき点)(自由記述)

 37 件の記述がありました。「架空のシラバスを作 るという設定である時点で,取り組み方がよく分か

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らなかった。各作業の前のレクチャーもそのあとの 作業との関係もよく分からないし,配付資料のどこ を見ればいいのかもよく分からない」、「せっかく他 学部の教員や学生と一緒なのにレクチャーや作業ば かりで自由に話す時間がなかった」や「全体的とし て詰め込みすぎ」など展開( 12 件)についての記 述が最も多くありました。また、「シラバスを作る それぞれの項目の制限時間が短かったと思う」や「グ ループ討論の時間を充分にとってほしかった」など 討議時間の短さ( 9 件)についての要望が多くあり ました。講義内容についての記述は 8 件で、「初め て聞く言葉が多くてよく分からなかった」や「初め ての参加で分からない言葉が多かった。特にカタカ ナ用語の定義をしてほしい」など講義前に用語を共 通理解できるようにして欲しいという指摘がありま した。これらの指摘については、展開についてのガ イダンスを十分に行うことや用語が理解しやすいよ うな資料作成など何らかの工夫が必要であり、今後 の改善点です。

 設問 2(良かった点)において、学生の参加意義 を評価する意見が多くありましたが、「教員に対し て学生の割合が少ない。さすがにこの人数では少数 派の意見しか出ないと思う」や「教員の方が親しく 話しかけてくれるとはいえ,やはり少々圧迫感があ る」など学生への配慮不足( 3 件)を指摘する内容 もありました。この点については、何らかの配慮が 必要であるといえるでしょう。

 また、「現実にこのような方式で授業を行うこと は不可能だと思う」や「 21 世紀の授業を考えるとき,

実現不能な内容になりがちである。例えば指定図書 を指定して,90 分読むとしても 100 人超の授業で は図書を読むことは不可能。1・2冊なら教科書に できるが毎回となると暴力的」などのように実現は 無理という意見もありました( 3 件)。

 その他にはマイクやパワーポイント等機械類の充 実を求める記述( 2 件)もありましたので、これは 反省点です。

設問4.今後の活用についての設問

  ⑴ このワークショップで示されたような教育学的    方法を今後取り入れようと思いますか。

(回答数 30)

   ■ A 全く取り入れる気はない(0%)

   ■ B 余り取り入れようとは思わない(23.3%)

   ■ C 少し取り入れてみたい(56.7%)

   ■ D かなり取り入れてみたい(16.6%)

   □ E 大いに取り入れたい(3.3%)

0 50 100(%)

B C D E

  ⑵  ⑴において「少し取り入れてみたい」から右3 つのどれかに○をつけた方は、現時点であなたの 教育現場で実現の見通しは?    (回答数 22)

   ■ A 極めて難しい(0%)

   ■ B かなり難しい(18.2%)

   ■ C ある部分では可能(68.2%)

   ■ D かなり可能(9.1%)

   □ E 全面的に可能(4.5%)

0 50 100

B C D E

(%)

設問5.今後ともこういうワークショップを持つことに 対して       (回答数34)

   ■ A 反対(0%)

   ■ B 特に持たなくても良い(11.8%)

   ■ C 持っても良い(52.9%)

   ■ D 持つ方が良い(20.6%)

   □ E 是非持つべきである(14.7%)

0 50 100

B C D E

(%)

 参加者の約 8 割が、今回学んだ教育学的方法を取 り入れてみたいと考えており、現時点での可能性に ついてはある部分では可能性があると回答していま した。一方では、2 割はあまり取り入れようとは思 わず、実現性についてもかなり難しいと回答してい ました。

 また、今回のようなワークショップを今後も開催 することに対しては、9 割が肯定的な考えを持って いることが示唆されました。

設問6.このワークショップの成果に関連して,今後1 年の間に実施したいと考えていることを箇条書 きにしてください。(自由記述)

 23 件の記述がありました。記述内容の多い順で は、「具体的な評価基準の提示」「評価方法を学生に 事前に十分説明する」などの評価方法の見直しや「グ ループディスカッションの導入」「講義内における 学生との対応」など授業方法の見直しが、それぞれ 7 件でした。その他には、「担当講義(少人数の専 門科目)においてラーニング・ポートフォリオを利 用してみたい」や「ゼミに反映は可能かと思われる」

などラーニング・ポートフォリオの導入( 5 件)、「シ ラバスを重視して作成する」や「実習シラバス作成 への応用」などシラバスの見直しや導入( 4 件)に ついてでした。

 以上の内容から、ほとんどの参加者がこのワーク ショップでの経験を今後に活かしたいと述べていま した。

参照

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