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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:本 澤 慶 子

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:低分子量および高分子量

basic fibroblast growth factor

の生物活性の比較 審査委員:(主 査) 教授 鈴 木 直 人

(副 査) 教授 清 水 典 佳 教授 浅 野 正 岳

教授 川

戸 貴 行

電解酸性機能水

(acid-electrolyzed functional water : FW)

は食塩水を電気分解することによって陽極 側に回収される水であり,高い殺菌効果があり,臨床現場において消毒剤として広く使用されている。

FW

の生物学的機能について検討することを目的として,

FW

を子宮頸癌由来線維芽細胞

(HeLa

細胞

)

に作用させ産生されるサイトカインの変化について調べた先行研究では,

basic fibroblast growth factor

(bFGF)

の分泌が促進されることが明らかにされている。

bFGF

は

FGF

ファミリーの

1

つで,多様な生

物活性を有する

18 kDa

のタンパク質である。

bFGF

遺伝子の塩基配列の分析により,

18 kDa bFGF

の 上流に非定型的な

translation initiation codon

である

CTG

が複数存在し,ここから翻訳される

bFGF

の 存在が明らかとなっている。これらは分子量

34, 24, 22, 20 kDa

を示し,成熟型である

18 kDa bFGF

を

low molecular weight (LMW) bFGF

と呼ぶのに対して

high molecular weight (HMW) bFGF

と称する。

HMW bFGF

では

N

末端側に

nuclear localizing signal (NLS)

が存在するという点が構造上異なる。この

ため

LMW bFGF

は主に細胞質に,

HMW bFGF

は主に核に存在するとされている。これまでの研究か

ら,高分子量

bFGF

を強制発現させると細胞の増殖速度が上昇するという報告はあるものの,両者の 生物活性の本質的な違いについては不明な点が多い。そこで本研究では,

HMW

及び

LMW bFGF

の生 物活性の違いについて検討した。

はじめに,

HeLa

細胞を

FW (pH 2.2-2.7, contains 20% Cl

2

and 80% hypochlorous acid)

刺激することに よって分泌促進される

bFGF

の分子量を

immunoprecipitation (IP) -Western blot (IP-W)

法を行い調べた。

さらに,

LMW bFGF

と

HMW bFGF

の生物活性の違いを比較するため,

LMW bFGF

でこれまで報告の

あった血管内皮細胞増殖因子

(vascular endothelial growth factor : VEGF)

誘導能について比較検討した。

LMW bFGF

と

HMW bFGF

の

recombinant bFGF

の作製にあたり,

FW

刺激によって分泌が確認された 全ての

bFGF isoform

のうち,成熟型である

18 kDa

の

LMW isoform

と

34 kDa

の

HMW isoform

に着目 した。本研 究にお いて新 たに構築し た

18 kDa

お よび

34 kDa

発 現ベクタ ーを用いて

in vitro transcription/translation

を行い

18 kDa

および

34 kDa

の

recombinant bFGF

の作製をした。それぞれの

bFGF

isoform

の定量は

ELISA

にて行い,分子量の確認は

IP-W

により行った。さらに

VEGF

濃度の定量は,

ELISA

により検討した。

その結果以下の結論を得た。

1. HeLa

細胞への

FW

刺激は全ての

bFGF isoform

の分泌を促進させた。

2. HMW bFGF

である

34kDa

は

LMW bFGF

と同様に

VEGF

の誘導をした。

以上のことから,

NLS

が存在するにもかかわらず

HMW bFGF

は

LMW bFGF

と同様に

VEGF

を誘導 する作用があり,それによって創傷治癒に貢献している可能性が示唆された。

本研究は

FW

の臨床応用を検討するにあたり極めて有意義な結果であり,歯科臨床分野とくに創傷 治癒に関連した研究の発展に寄与すると考えられた。

よって本論文は,博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上 平成30年3月7日

参照

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