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子ども・若年介護者の実態The population of young carers and young adult carers in Japan森田久美子

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Ⅰ.はじめに―研究の背景と目的

 本研究の目的は,子ども・若年介護者の実態を明らかにすることを通じて,彼らの置かれ た環境を改善し,効果的な支援につなげていくことを可能にしてくことである。

 子ども・若年介護者とは,慢性的な病気や障害,精神的な問題,アルコール依存症などの ある家族員の世話をしている子ども・若者のことである。イギリスの Becker(2000)は,子 どもの介護者(young carer)について,「家族メンバーのケアや援助,サポートを行ってい る(あるいは行うことになっている)18歳未満の子ども。子どもたちは,恒常的に,相当量 のケアや重要なケアに携わり,普通は大人がするとされているようなレベルの責任を引き受 けている」と定義している(Becker 2000)。子どもの介護者は,家族員の役に立つ喜びや誇 りを感じているが,その一方で,その役割や責任が年齢に相応しくないものである場合,健 康や学校生活にネガティブな影響を受けることが指摘されている(Aldridge & Becker 2003,

Dearden and Becker 2004)。イギリスでは,これらの指摘を受けヤングケアラー支援事業が 展開されてきたが,2000年代に入ると青年期に入った子どもの介護者が高等教育を受けるこ とや就業,離家等の問題に直面することが認識されるようになり,18歳から24歳前後の介護 者を若年介護者(young adult carer)として独立して概念化し,成人への移行の実態を把握 するための研究が行われるようになっている(Becker & Becker 2008三富2010)。

 日本において,子ども・若年介護者が取り上げられるようになったのは2000年代の後半か らである。家族員の介護を行っている若者の中に,高等教育の中断や就業の断念,不安定な 雇用等の問題に直面している者がいることが指摘されてきた(土屋2006,武田2008,森田 2010,澁谷2012)。これらの研究は少数の事例に基づく質的研究であったが,近年では子ども の介護者の実態を量的に把握する試みも行われ出している(渋谷2014,北山等2015,森田 2015)。これらは特定地域を対象としたものであり,全国的な子ども・若年介護者の実態を把 握することが課題となっている。そこで,本研究では,介護者に関わる政府統計の二次集計 を通して,子ども・若年介護者の規模や構成,介護することの子ども・若年者への影響を明 らかにすることを目的としていく。

*立正大学社会福祉学部准教授

キーワード:ヤングケアラー,若者ケアラー,成人への移行,社会生活基本調査

子ども・若年介護者の実態

The population of young carers and young adult carers in Japan

森田久美子

Kumiko Morita

(2)

 なお,本研究では子ども・若年介護者を,「ふだんより家族員の介護を無償で行なってい る,24歳以下の者」と定義している。日本の子ども・若者施策では,子ども・若者の年齢範 囲を40歳まで広げて捉えているが,本研究では学校から仕事への移行期にある子ども・若者 への介護をすることの影響を把握するとの観点から,年齢範囲を教育のステージにある者が 多くを占める24歳までとし,ロストジェネレーション対策が課題となっている25歳以上40歳 未満とは分けて考えていく。

Ⅱ.先行研究と仮説

⑴ 子ども・若年介護者の規模と構成

 1990年代より子ども・若年介護者の支援が行われているイギリスでは,国勢調査において 子ども・若年介護者の存在を視野に入れた介護者の実態把握が行われている。2011年の国勢 調査では,子ども・若年介護者の規模は,0 -15歳で119千人(同年齢階級に占める割合-以 下,介護者比率,1.1%),15-24歳で324千人(介護者比率4.9%)と報告されている。

 日本の介護者に関わる政府統計である平成24年就業構造基本調査は,15歳以上30歳未満の 介護者数を177千人と推計している(総務省統計局2013)。この15歳以上30歳未満の介護者数 の,介護者全体に占める比率は3.2%,介護者比率は0.9%と推定される。この結果は,子ど も・若年介護者が一定の規模で存在することを示唆しているが,精確な子ども・若年介護者 の規模は明らかではない。また,子どもの介護者の規模について,公立中学校に勤務するク ラス担任の教員を対象にした調査が,子どもの介護者比率を1.2%と推定している(北山等 2015)。これは,特定の年次,地域,教育状況での結果であることから,本研究では,全国的 な子ども・若年介護者の規模を,年齢階級別,教育状況別,年次別に検討することを課題と していく。

 また,子ども・若年介護者の男女の構成については,女性が多く,誰が介護者になるかに はジェンダーの影響が存在すると指摘されている(土屋2006,森田2010,澁谷2014,北山等 2015)。先の就業構造基本調査は,30歳未満の介護者のうち女性の占める割合は58.1%である と報告している。そこで,本研究では,子ども・若年介護者に占める比率の性別による変動 の有無を検討していく。

⑵ 介護を担うことの子ども・若年者への影響

 日本の子ども・若年者への介護をすることの影響については,中学校の生徒では宿題や準 備物の忘れなどの学校生活上に現れることが指摘されている(北山等2015)。また,若者の高 校卒業後のライフコースを追跡した調査では,ケアをすることが,高等教育の機会の制約や,

家庭問題の深刻さ,厳しい就業環境での両立の困難から,就業の断念や非正規雇用での不安 定な就業に結びついていることが指摘されている(宮島2013)。また,高等教育の継続や就 業,友人関係への影響も指摘されている(土屋2006,武田2008,森田2010,澁谷2012)。これ

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らの指摘は,少数の事例に基づき行われており,子ども・若年者全体でこれらの影響が出て いるかはわかっていない。そこで,本研究では,介護することが教育状況や就業状態に影響 を及ぼしているのかを,子ども・若年者全体を対象に検討していく。

Ⅲ.調査方法

 今回の分析で用いるデータは,平成 8 年から平成23年の社会生活基本調査のデータ及び,

平成 8 年から平成18年の社会生活基本調査の匿名データである。

 社会生活基本調査は,国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを 目的に実施される政府統計である。昭和51年以来 5 年に一回実施されており,平成23年調査 はその 8 回目にあたる。現在,二次利用ができるように匿名データの貸し出しが行われてい るが,この貸し出しの対象は平成18年調査分までとなっている。

 社会生活基本調査では,標本の抽出は,第 1 次抽出単位を国勢調査の調査区とし,第 2 次 抽出単位を世帯とする層化 2 段抽出法で行われている。社会生活基本調査の各年次の調査概 要は次の通りである(表 1 )。

表 1  社会生活基本調査の概要

調査年 調査の対象 調査日 調査日 匿名データ

レコード数 平成 8 年 約 9 万 9 千世帯に居住する

10歳以上の世帯員 10月 1 日 9 月28日から10月 6 日のう

ちの連続する 2 日間 201,209 平成13年 約 7 万 7 千世帯に居住する

10歳以上の世帯員 10月20日 10月14日から10月22日のう

ちの連続する 2 日間 143,313 平成18年 約 8 万世帯に居住する10歳

以上の世帯員約20万人 10月20日 9 月28日から10月 6 日のう

ちの連続する 2 日間 136,756 平成23年 約 8 万 3 千世帯に居住する

10歳以上の世帯員約20万人 10月20日 10月15日から10月23日のう ちの連続する 2 日間

 また,本研究で用いる匿名データは,統計法に基づいて独立行政法人統計センターから提 供を受けたものである。匿名データは,世帯を単位としてまとめた上で等確率抽出する匿名 化措置が取られており,全体の約 8 割のレコード数となっている。このため,集計結果は,

行政機関等が作成・公表している統計とは異なっている。

 本研究では,この調査において10歳以上24歳以下の者であって,「ふだん介護をしている」

及び「ふだん介護をしていない」と回答している者を対象に分析を行っていく。また,変数 には,「教育状況」及び「就業状態」を用いていく。さらに,年齢階級は 5 歳刻みでデータ化 されており,集計にあたっては,義務教育の期間である10歳以上14歳以下(以下「10-14 歳」),後期中等教育及び高等教育を受けている者と仕事をしている者が混在する15歳以上24 歳以下(以下「15-24歳」)を基準としている。

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 また,各個別データには集計乗率が付され,補正されるようになっている。集計にあって は,この集計乗率を加重している。

 なお,社会生活基本調査では,介護は「日常生活における入浴・衣服の着脱・トイレ・移 動・食事等の際に,なんらかの手助けをすること。介護保険制度で要介護認知を受けていな い人に対する介護も含む」と定義されている。また,社会生活基本調査のデータを用いた年 齢階級別の介護者数の集計については,総務省統計局に依頼している。

Ⅳ.結果と考察

1 .若年介護者の規模と構成

⑴ 若年介護者の規模

 平成 8 年から平成23年の社会生活基本調査のデータをもとに,10歳以上24歳以下の者につ いて,年齢階級別の介護者数及び介護者比率を,年次ごとに示したのが,次の表である(表

2 )。

表 2  子ども・若年介護者数及び介護者比率

10-14歳 15-24歳

(千人)総数 介護者数

(千人) 人口比

(%) 総数

(千人) 介護者数

(千人) 人口比

(%)

平成 8 年 7315 34 0.5 17932 189 1.1

平成13年 6364 59 0.9 15457 239 1.5

平成18年 5984 58 1.0 13633 244 1.8

平成23年 5891 12359 225 1.8

 表 2 からは,平成23年の「15-24歳」の介護者数は225千人であり,介護者比率は1.8%で あることがわかる。このことから,若年者の介護者比率は先行研究で指摘された中学生の介 護者比率1.2%より高いことが判明した。なお,平成23年調査では,「10-14歳」については 介護をしているか否かの質問の対象となっておらず,データは存在していない。ちなみに,

平成18年の「10-14歳」の介護者数は58千人,介護者比率は1.0%であった。

 次に,介護者比率の年次推移を見ていく。表 2 からは,介護者比率は各年齢階級で漸増傾 向にあることがわかる。「10-14歳」の平成 8 から平成18年の介護者比率は,0.5%,0.9%,

1.0%,「15-24歳」の平成 8 から平成23年の介護者比率は,1.1%,1.5%,1.8%,1.8%であっ た。また,介護者全体の介護者比率の推移は,平成 8 年3.6%,平成13年4.4%,平成18年5.0%,

平成23年6.3%となっており(総務省統計局2012),子ども・若年者における介護者比率の増 加幅は,介護者全体に比べると,小さなものであることがわかる。

(5)

⑵ 若年介護者の男女別構成

 平成 8 年から平成23年の社会生活基本調査のデータをもとに,10歳以上24歳以下の者につ いて,年齢階級ごとに男女別・年次別の介護者数を示したのが次の表である(表 3 )。

表 3  年齢階級別・男女別若年介護者数

10-14歳 15-24歳

(千人)総数

(千人)

(千人) 総数

(千人)

(千人)

(千人)

平成 8 年 34 14 20 189 72 115

平成13年 59 31 28 239 100 138

平成18年 58 32 26 244 123 121

平成23年 225 94 131

 表 3 からは,「15-24歳」の平成23年の介護者数は,男性94千人,女性131千人であり,女 性が多いことがわかる(女性の占める比率58.2%)。このことから,「15-24歳」における平 成23年の介護者の発生には,ジェンダーの影響があることが判明した。

 次に,男女別構成の年次推移を見ていく。表 3 からは,「10-14歳」では年次によって男女 いずれが多いかは異なっているのに対し,「15-24歳」では平成18年を除く全ての年次で,女 性が多くなっていることがわかる。このことから,子ども・若年者における介護者の発生へ のジェンダーの影響は,義務教育が終わる15歳以降で顕著であり,女性で介護する者が多く なる方向が平成 8 年以降継続していることが判明した。

2 .子ども・若年介護者の教育状況

⑴ 男性の子ども・若年介護者の教育状況

 介護をすることの,男性の子ども・若年者の教育への影響を見ていく。そこで,平成 8 年

表 4  年次別,介護の有無・教育状況別介護者数及び教育状況別介護者比率(男性)

平成 8 年 平成13年 平成18年

総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率

(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)

小学 在学 1417 1413 4 0.3 1203 1194 9 0.7 1223 1213 11 0.9

中学 在学 1849 1841 8 0.4 1633 1619 14 0.8 1453 1430 23 1.6

高校 在学 1982 1972 10 0.5 1702 1687 15 0.9 1564 1541 22 1.4

短大・高専 在学 295 287 8 2.7 267 264 3 1.0 231 226 5 2.2

大学・大学院 在学 1240 1232 7 0.6 1349 1330 19 1.4 1143 1135 8 0.7

小学・中学 卒業 407 403 4 0.9 305 299 6 2.0 252 240 12 4.7

高校 卒業 2020 2005 15 0.8 1380 1371 9 0.7 1189 1167 22 1.9

短大・高専 卒業 449 444 5 1.1 358 347 11 3.0 293 286 7 2.2

大学・大学院 卒業 429 427 2 0.4 391 384 7 1.8 411 402 8 2.1

在学したことがない 2 2 0 0.0 0 0 0 0.0 0 0 0 0.0

不詳 0 0 0 0.0 0 0 0 0.0 0 0 0 0.0

総 計 10088 10026 62 0.6 8589 8496.1 93 1.1 7757 7640 118 1.5

(6)

から平成18年の社会生活基本調査の匿名データをもとに,男性の10歳以上24歳以下の者につ いて,年次ごとに介護の有無と教育状況とをクロスさせ,教育状況別の介護者比率を集計し た結果を示したのが,次の表である(表 4 ) 。

 表 4 からは,男性の子ども・若年介護者の介護者比率は教育状況によって違いがあること,

その違いは年次によって相違のあることがわかる。

 まず,平成18年を見ていく。平成18年の介護者比率は「小学・中学 卒業」で最も高く 4.7%,「短大・高専 在学」及び「短大・高専 卒業」で次に高く2.2%,「大学・大学院 卒 業」で2.1%であることがわかる。また,最も介護者比率が低いのは「大学・大学院 在学」

で0.7%,次に「小学 在学」で0.9%であった。このことから,男性の子ども・若年者の平成 18年の介護者比率は,短大・高専に在学の者及び小学・中学及び高等教育で教育を終えた者,

とりわけ低学歴の者で高いこと,大学・大学院に在学の者で低いことがわかった。

 次に,介護者比率の推移を見ていく。平成 8 年から平成18年の介護者比率は,「短大・高専  在学」及び「大学・大学院 在学」,「短大・高専 卒業」を除くすべての教育状況で,増加 傾向にあることがわかる。とりわけ,「小学・中学 卒業」で増加幅が大きく,平成18年の介 護者比率は平成 8 年に比べ3.8ポイント高くなっていた。このことから,男性の子ども・若年 者における,平成 8 年から平成18年にかけての介護者比率は,多くの教育状況で増加傾向に あり,その傾向は低学歴の者で顕著であることが判明した。

⑵ 女性の子ども・若年介護者の教育状況

 介護をすることの,女性の子ども・若年者の教育への影響を見ていく。そこで,平成 8 年 から平成18年の社会生活基本調査の匿名データをもとに,女性の10歳以上24歳以下の者につ いて,年次ごとに介護の有無と教育状況とをクロスさせ,教育状況別の介護者比率を集計し た結果を示したのが,次の表である(表 5 )。

 表 5 からは,女性の子ども・若年介護者の介護者比率は教育状況によって違いがあること,

その違いは年次によって相違のあることがわかる。

 まず,平成18年を見ていく。平成18年の介護者比率は「高校 卒業」で最も高く2.7%,「大 学・大学院 在学」及び「短大・高専 卒業」で次に高く2.5%,「短大・高専 在学」及び

「大学・大学院 卒業」で1.7%であることがわかる。また,最も介護者比率が低いのは,「小 学校 在学」及び「中学校 在学」で,介護者比率は1.0%であった。このことから,女性の 子ども・若年者の平成18年の介護者比率は,高等教育に在学の者や,高校及び高等教育で教 育を終えた者で高く,学齢が小さい者で低いことが判明した。

 次に,介護者比率の推移を見ていく。平成 8 年から平成18年の介護者比率は,「短大・高専  在学」及び「小学・中学 卒業」,「大学・大学院 卒業」を除く教育状況で,増加もしくは 横ばい傾向にあることがわかる。とりわけ,「大学・大学院 在学」で増加幅が大きく,平成 18年の介護者比率は平成 8 年に比べ2.1ポイント高くなっていた。一方,「短大・高専 在学」

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の介護者比率は,平成 8 年に比べ0.3ポイント低くなっていた。このことから,女性の子ど も・若年者における平成 8 年から平成18年にかけての介護者比率は,多くの教育状況で増加 もしくは横ばい傾向にあり,その増加傾向は大学・大学院に在学する者で顕著であること,

短大・高専に在学する者では漸減傾向にあることが判明した。

4 .子ども・若年介護者の就業状態

⑴ 男性の子ども・若年介護者の就業状態

 介護をすることの,男性の子ども・若年者の就業への影響を見ていく。そこで,平成 8 年 から平成18年の社会生活基本調査の匿名データをもとに,男性の15歳以上24歳以下の者につ いて,年次ごとに介護の有無と就業状態とをクロスさせ,就業状態別の介護者比率を集計し た結果を示したのが,次の表である(表 6 ) 。

 表 6 からは,男性の子ども・若年介護者の介護者比率は就業状態によって違いがあること,

その違いは年次によって相違のあることがわかる。

 まず,平成18年を見ていく。平成18年の介護者比率は「家事」で最も高く14.1%,「その 他」で次に高く5.7%,「家事などのかたわらに仕事」で5.6%であることがわかる。一方,最

表 5  年次別,介護の有無・教育状況別介護者数及び教育状況別介護者比率(女性)

平成 8 年 平成13年 平成18年

総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率

(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)

小学 在学 1323 1315 8 0.6 1172 1165 7 0.6 1162 1150 11 1.0

中学 在学 1734 1726 8 0.5 1519 1505 14 0.9 1384 1370 14 1.0

高校 在学 1897 1883 14 0.7 1605 1584 22 1.3 1492 1474 18 1.2

短大・高専 在学 623 611 12 2.0 475 466 9 1.8 377 371 6 1.7

大学・大学院 在学 647 644 2 0.4 840 824 16 1.9 785 765 20 2.5

小学・中学 卒業 243 240 2 0.9 190 187 3 1.6 165 163 2 1.1

高校 卒業 1704 1677 27 1.6 1223 1198 25 2.0 959 933 26 2.7

短大・高専 卒業 1210 1190 20 1.6 884 863 22 2.5 710 692 18 2.5

大学・大学院 卒業 260 255 5 1.8 338 336 2 0.5 371 365 6 1.7

在学したことがない 0 0 0 0.0 0 0 0 0.0 0 0 0 0.0

不詳 0 0 0 0.0 0 0 0 0.0 1 1 0 0.0

総 計 9640 9542 98 1.0 8245 8127 118 1.4 7405 7284 121 1.6

表 6  年次別,介護の有無・就業状態別介護者数及び就業状態別介護者比率(男性)

平成 8 年 平成13年 平成18年

総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率

(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)

主に仕事 2902 2882 21 0.7 2025 1999 25 1.3 1862 1828 35 1.9

家事などのかたわらに仕事 25 25 0 0.4 19 18 1 4.6 21 19 1 5.5

通学のかたわらに仕事 683 669 13 1.9 905 890 15 1.6 765 753 12 1.6

家事 8 8 0 0.0 14 13 2 11.6 27 23 4 14.1

通学 3329 3314 15 0.4 2894 2867 27 0.9 2524 2499 26 1.0

その他 217 214 3 1.4 243 240 3 1.4 168 158 9 5.7

不詳 1 1 0 0.0 6 5 0 3.8 8 8 0 0.0

総  計 7165 7113 52 0.7 6106 6032 73 1.2 5374 5287 87 1.6

(8)

も介護者比率が低いのは「通学」で1.0%であった。このことから,男性若年者の平成18年の 介護者比率は,家事をしながら仕事をしている有業者及び家事をしている無業者,家事も仕 事もしていない無業者で高く,とりわけ家事をしている無業者で高いこと,通学をしている 無業者で低いことが判明した。加えて,家事をしている無業者の 7 人に一人が介護をしてい ることがわかった。

 次に,介護者比率の推移を見ていく。平成 8 年から平成18年の介護者比率は,「通学のかた わらに仕事」を除くすべての就業状態で,増加傾向にあることがわかる。とりわけ,「家事な どのかたわらに仕事」及び「家事」,「その他」で増加幅が大きく,平成18年の介護者比率は 平成 8 年に比べ,「家事などのかたわらに仕事」で5.1ポイント,「家事」で14.1ポイント,「そ の他」4.3ポイント高くなっていた。このことから,男性若年者の平成 8 年から平成18年にか けての介護者比率は,多くの就業状態で増加傾向にあり,その傾向は家事をしている無業者 及び家事のかたわらに仕事をする無業者で顕著であることがわかった。

⑵ 女性若年者の就業状態

 介護をすることの,女性の子ども・若年者の就業への影響を見ていく。そこで,平成 8 年 から平成18年の社会生活基本調査の匿名データをもとに,女性の15歳以上24歳以下の者につ いて,年次ごとに介護の有無と就業状態とをクロスさせ,就業状態別の介護者比率を集計し た結果を示したのが,次の表である(表 7 )。

 表 7 からは,女性の子ども・若年介護者の介護者比率は就業状態によって違いがあること,

その違いは年次によって相違のあることがわかる。

 まず,平成18年を見ていく。平成18年の介護者比率は「その他」で最も高く7.9%,「家事」

で次に高く4.1%,「家事などのかたわらに仕事」で3.5%であることがわかる。一方,最も介 護者比率が低いのは「通学のかたわらに仕事」で1.2%であった。このことから,女性若年者 の平成18年の介護者比率は,家事をしている無業者及び家事も通学もしていない無業者で高 く,とりわけ家事も通学もしていない無業者で高いこと,通学のかたわらに仕事をする有業 者で低いことがわかった。

表 7  年次別,介護の有無・就業状態別介護者数及び就業状態別介護者比率(女性)

平成 8 年 平成13年 平成18年

総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率 総数 介護していない 介護して

いる 介護者

比率

(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)(千人)(千人)(千人) (%)

主に仕事 2637 2597 40 1.5 1998 1958 40 2.0 1715 1685 30 1.8

家事などのかたわらに仕事 170 167 2 1.3 150 149 1 0.7 107 103 4 3.5

通学のかたわらに仕事 604 597 7 1.2 755 747 8 1.1 796 787 10 1.2

家事 420 415 6 1.4 294 284 9 3.2 227 218 9 4.1

通学 2901 2874 27 0.9 2513 2473 40 1.6 2146 2112 34 1.6

その他 155 154 1 0.7 147 146 1 0.8 127 117 10 7.9

不詳 1 1 0 0.0 1 1 0 0.0 2 2 1 30.1

総 計 6888 6805 83 1.2 5858 5759 99 1.7 5120 5022 98 1.9

(9)

 次に,介護者比率の推移を見ていく。平成 8 年から平成18年の介護者比率は,「主に仕事」

及び「家事などのかたわらに仕事」を除くすべての就業状態で,増加もしくは横ばい傾向に あることがわかる。とりわけ,「家事」及び「その他」で増加幅が大きく,平成18年の介護者 比率は平成 8 年に比べ「家事」で2.9ポイント,「その他」で7.2ポイント増加していた。この ことから,女性若年者における平成 8 年から平成18年の介護者比率は,多くの就業状態で増 加もしくは横ばい傾向にあり,増加傾向は家事をしている無業者や家事も通学もしていない 無業者で顕著であることが判明した。

Ⅴ.結 語

 本論では,子ども・若年介護者の規模と構成及び,平成 8 年及び平成13年,平成18年にお ける介護をすることの子ども・若年者の教育や就業への影響を,明らかにしてきた。本論に よって明らかになったことは,以下の 5 点である。

 第一に,子ども・若年介護者の規模については,平成23年の15歳以上24歳以下の介護者数 は225千人,介護者比率は1.8%と推定された。これは先行研究での推定よりも,やや高い数 値である。これは,年齢があがるほど介護者比率が高くなることによるものと考えられる。

また,子ども・若年者の介護者比率は,年次によって変動しており,平成 8 年から増加傾向 にあることが判明した。ただし,この増加幅は介護者全体の増加に比べ,小さくなっていた。

 第二に,子ども・若年介護者における男女の構成については,女性が男性よりも多い傾向 にあり,子ども・若年者における介護者の発生にはジェンダーによる影響があることが判明 した。その影響は義務教育が終わる15歳以降に明確に表れていた。

 第三に,子ども・若年者における教育状況別の介護者比率が明らかとなった。子ども・若 年介護者の介護者比率は教育状況によって違いがあること,その違いは性別によって相違の あることがわかった。

 平成18年の子ども・若年者の介護者比率は,男女ともに,短大・高専に在学の者及び高等 教育卒業の者で高く,小学校に在学の者で低いことがわかった。一方,女性の子ども・若年 者では,大学・大学院に在学の者の介護者比率は2.5%であり,男性の子ども・若年者に比し て,大学・大学院に在学する者で介護者の発生する確率が高いことが判明した。さらに,男 性の子ども・若年者では小学・中学を卒業の者の介護者比率は4.7%であり,女性の子ども・

若年者に比して,低学歴の者で介護者の発生する確率が高いことがわかった。

 また,子ども・若年者における平成 8 年から平成18年にかけての介護者比率は,男女とも 各教育状況で増加傾向または横ばい傾向にあり,その増加傾向は男性では小学・中学を卒業 の者で,女性では大学・大学院に在学の者で顕著であった。加えて,女性の子ども・若年者 では,介護者比率は短大・高専に在学する者で漸減傾向にあった。

 近年の大学の定員増による入学の容易化や,新規高卒労働市場の変化を受け,高等教育,

特に大学に進学する若者が増加している。本結果からは,平成 8 年以降,若年者全体で男女

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ともに短大・高専に在学する者が減少し,大学・大学院に在学の者が増加していること,こ れらの傾向は介護をしている者でより強く表れており,特に女性若年介護者で強くなってい ることがわかった。また,バブル崩壊以降,低学歴のより若い者ほど無業の状態に陥りやす い傾向にあることが指摘されている(小杉2010)。本結果からは,低学歴の男性若年者におい て介護者の発生する確率が高くなっていることが示されており,介護をしていることが低学 歴の男性若年者の無業状態に影響を与える可能性が示唆されている。

 第四に,若年者における就業状態別の介護者比率が明らかとなった。若年介護者の介護者 比率は就業状況によって違いがあること,その違いは性別によって相違のあることがわかっ た。

 若年者の平成18年の介護者比率は,男女ともに,家事をしながら仕事をしている有業者及 び家事をしている無業者,家事も仕事もしていない無業者で高くなっていた。特に,男性で は,家事をしている無業者で介護者比率の高い傾向が強く,家事をしている無業の男性若年 者の14.1%が介護をしていた。また,女性では,家事も通学もしていない無業者で介護者比 率の高い傾向が強く,家事も通学もしていない無業の女性若年者の7.9%が介護をしていた。

 また,若年者の平成 8 年から平成18年の介護者比率は,男女ともに,各就業状態で増加も しくは横ばい傾向にあり,その増加傾向は家事をしている無業者及び家事も通学もしていな い無業者で顕著であった。また,この傾向は,男性では家事をしている無業者で強く,女性 では家事も通学もしていない無業者で強くなっていた。

 バブル崩壊後の景気悪化と雇用市場の構造変化の影響を受け,平成13年には若年者全体で 主に仕事をする有業者が減少し,家事をしている無業者や家事も通学もしていない無業者が 増加している。本結果からは,この家事をしている無業者や家事も通学もしていない無業者 の増加傾向が,介護をしている若年者でより強くなっていたことが示されている。

 最後に,今後の課題を述べる。本研究の今後の課題は,平成18年以降の介護をすることの,

子ども・若年者への影響を検討していくことである。本研究では,匿名データの貸し出しを 受けられるのが平成18年分までであったため,平成18年以降のことについては取り扱うこと ができなかった。介護をすることが,子ども・若者の教育や就業を制約するのか否かは,社 会の経済状況や介護をすることへの認識等によって異なってくる。従って,介護をすること が,平成18年以降,どのような社会状況との関連で,子ども・若年者の教育や就業にどのよ うな影響を与えているのか,検討していくことが課題である。

参照文献

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Becker, F. and Becker, S. (2008) Young Adult Carers in the UK: Experiences, Needs and Services for Carers aged

16-24

, The Princess Royal Trust for Carers

(11)

Becker,S.(2000)Young Carers, Davies, Martin and Barton, Rose ed. The Blackwell Encyclopedia of Social Work, Wiley-Blackwell

Dearden, C and Becker, S.(2004)Young Carers in the UK: the

2004

Report, Carers UK 乾彰夫(2010)『〈学校から仕事へ〉の変容と若者たち-個人化・アイデンティティ・コミュ

ニティ』青木書店

北山沙和子・石倉健二(2015)「ヤングケアラーについての実態調査 -過剰な家庭内役割 を担う中学生-」『学校教育学研究』 27, 25-29頁

小杉礼子(2010)『若者と初期キャリア』勁草書房

三富紀敬(2010)『欧米の介護保障と介護者支援』ミネルヴァ書房.

宮島基(2013)「家族を支える女性たち―若者の移行とケアワーク」乾彰夫編『高卒 5 年ど う生き,これからどう生きるのか』大月書店,145-180頁

宮本みち子(2005)「家庭環境から見る」小杉礼子編著『フリーターとニート』勁草書房,

145-198頁

森田久美子(2010)「メンタルヘルス問題の親を持つ子どもの経験-不安障害の母親を持つ 青年のライフストーリー」『立正社会福祉研究』12- 1 , 1 -10頁

澁谷智子(2012)「子どもがケアを担うとき-ヤングケアラーになった人/ならなかった人 の語りと理論的考察」『理論と動態』 5 , 2 -23頁

澁谷智子(2014)「ヤングケアラーに対する医療福祉専門職の認識―東京都医療社会事業協 会会員へのアンケート調査の分析から―」『社会福祉学』54- 4 ,70-81頁

総務省統計局(2012)「第 8 表 男女,介護の有無,年齢,行動の種類別総平均時間-週全 体,15歳以上」『平成23 年社会生活基本調査報告 全国 生活時間編』日本統計協会 総務省統計局(2013)「第203表 男女,就業状態・仕事の主従,就業希望意識・従業上の地

位・雇用形態・就業希望の有無,求職活動の有無,介護の有無,介護休業等制度利用の 有無,年齢別15歳以上人口」『平成24 年就業構造基本調査報告全国編』日本統計協会 武田卓也(2009)「若年家族介護問題の基礎的研究‐分析枠組みの構築に向けて-」『桃山

学院大学社会学論集』42(2), 117-145頁

土屋葉(2006)「『障害』の傍らで- ALS 患者を親にもつ子どもの経験」『障害学研究』 2 , 99-123頁

参照

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