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要素価格曲線とウイクセル効果

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(1)

要素価格曲線とウイクセル効果 1

要素価格曲線とウイクセル効果

児玉元平

1

一般的に,資本の価値と賃金率(または利潤率)との関係は,ウイクセル 効果という名称で考えられている。ウイクセル自身では,この効果を,賃金 率上昇による実質貯蓄吸収効果,またその結果として生ずる生産期間の延長 阻害,資本の社会的限界生産物と利子率との間の離反効果として説明されて いる。この効果はウイクセルによれば,マクロ的経済の水準において資本の みに生起する現象である。このウイクセル効果の理論的意味は今日益々強く 認識されつつあるようである。たとえば,グドウインは,その近著において

「ウイクセル効果は,一見するよりもっと大なる理論的重要性をもってい る。資本設備の物質的ストックは,たとえコンスタントな物価水準において さえ,利潤率が変化するごとに異なった価値をもつかもしれない。もし,労 働が資本設備の生産でより早く投入されると,その設備の実質価値は利子率 がより高いほどより大となる。反対に利子率が低くなるほど,設備の実質価 値は低くなる。」と述べている。ウイクセルでは,正のウイクセル効果は賃

(1)

金率の上昇利子率の低下は資本の価値を高めることで示され,逆のウイクセ ル効果は,賃金率の上昇,利子率の低下は資本の価値を低めることで示され

る。ウイクセルは正常的な場合では正のウイクセル効果が作用すると考えた。

スワンはウイクセル効果のパズル的性格を否定し,ウイクセル効果の問題は 単に資本ストソク評価の問題であることが認識されるならば,それがいづれ

の方向にいこうがそのことは決してノ1ズル的なものではないという。賃金率 が上昇し,利子率が低下する場合,資本財の価値が生産物で測って上昇する か,低落するかは,一方において資本財,他方において生産物に対する一つ の要素の相対的重要性の比較に依存する。

(2)

現代の経済学者のうちでウイクセル効果の重要性を最初に指摘したのはロ

(2)

経 営 と 経 済

ピンソンであった。ロビンソンにあっては,ウイクセノレ効果は資本蓄積論の 鎚であった。彼女はつぎのように述べている。 rウイクセノレが指摘するの は,生産期間の長さは,それ自体では,資本と労働比率を決定するものでな い。なんとなれば,一定の生産方法に必要な資本の価値は実質賃金率に依存 するからである。この乙とは,生産期間の長さは実質資本比率を示す過度に 単純化された方法であるという反論以上に,ベエーム・パヴェルクの理論l 対するさらに根本的な批判なのであるO われわれが既に見てきたごとく,ウ

イクセJレのこの点こそ,資本蓄積,賃金と利潤決定に関する全理論の鎚なの である。」ロビンソン(そしてウイクセJレも〉が最も強く指摘する乙とは,

(3) 

一定の生産方法に必要な資本の価値は実質賃金率に依存するという点であっ i賃金率がより低い場合には,所与の型の機械の価値はより小である。

(ウイクセルだけがこの点を明らかにしているのであって,とのζとは,新 古典学派的教義のなかには適当に取り入れられているようには思われな い。)そして同時に,機械は,より低い機械化技術に向くように考案されて おり,所与の賃金率で労働ー単位当りのより少ない資本をその中に具体化し ているのである。」ロビンソンはウイクセル効果を一種のパズル的問題とし

(4) 

てとらまえるO このパズルは彼女によれば,深化的投資,資本と労働比率,

資本と産出量との比率の上昇,生産関数上の移行,技術の機械化程度の上 昇,生産期間の延長化をこころみつつあるー経済の発展に関連するものであ O このプロセスが進行するにつれて,労働の実質賃金は上昇し,資本利潤 率は低下する。乙のパズJレは,これらの変化が資本設備の品目の価値にあた える効果に関連するものであるO

ところで,ウイクセJレ効果の問題はまた今日盛んに論議されつつある技術 の転換乃至再転換の問題と関連する口ロビンソンは最初乙れをRuthCohen 

(5) 

Curiosumとして提起しつぎのように述べている i一般的なノレールとして は,より高い賃金率によってフロンテイアーの上にもたらされた技術の機械 化程度は,より低い賃金率に対応するものよりも高いが,或る範囲内では倒 錯的な関係が存在するかもしれない。この乙とは,既に見てきたどとし観 念的な利子費用の要素が資本財価格にはいりこむから起るのであるo……乙

(3)

要素価格曲線とウイクセル効果 のようなケースが一般的となるようなことは全体としてはむしろ考えられな い。なんとなれば,より機械化された技術は,普通には,より重量のあり寿 命も長い工場設備を必要とし,したがって,設備費用の利子率の差異にたい する感応度は,機械化程度の低い技術にたいするよりも機械化程度の高い技 術にたいしての方がより大となる傾向があるからである。そして,この場合 には,賃金と機械化との間の倒錯関係はおとりえないからであるoそれ故に われわれは一般的ノレーノレとしては,より高い機械化程度は,生産物で測った より高い賃金水準と結ひ、つくものであって,より低い賃金水準と結びつくも のではないと考えてもよし、」こ乙で,ロビンソンは,利子率(手JI潤率)乃

(6) 

至は賃金率と資本財価格との関係を通じて倒錯関係、を考えているのであるG

これは,ウイクセJレ効果であるq ロビンソンはまた,別の個処でつぎのよう に述べている。 r或る範囲では,機械の費用はより低い賃金率におけるより もより高い賃金率においてより低くなるかもしれないD なんとなれば,より 高い賃金率に対応するより低い観念的利子率が,労働時間で測ったその費用 に影響を及ばすからである。しかし,このことが真実でなくなる或る賃金水 準が常に存在するにちがいない。なんとなれば,利子率がより低くなるほ ど,機械の費用に占めるそのウエイトはより小となり,そして,或る点で ほ,より低い利子率の影響はより高い賃金の影響!とよって相殺されてしまう にちがいないからであるoJ利子率の低下によってより資本集約的な生産方

(7) 

法でなく,より資本集約的でない生産方法への変化を生ぜしめる可能性があ るならば,資本労働比率と賃金率利潤率比率との問lとは新古典派理論のいう ような確定的関係、は存在しないかもしれないo しかし,ロビンソンにあって r一般的には,より低い観念的利子ポの資本財費用lと及ぼす効果が,よ り高い機械化程度とより高い賃金率の影響とを共に相殺するほど十分に大で あると期待すべきでない。」倒錯的な事例がおこるとしても,それは,経済

(8) 

発展の本筋からの逸脱にすぎないのである。

(9) 

ロビンソンがノレ{ス・コーエンのキュリオズムとして提起した問題は,漠 然とした形ではあるが既にウイクセノレにおいて考えられている。ウイクセノレ はつぎのように述べているo rわれわれは既に資本の増加はこのjtj合必ずし

(4)

も賃金と地代の両者の上昇を生ぜしめるとはかぎらないことを注意した。資 本が増加したとき,一方は時には定常的かまたは低下することさえあるかも しれない。また,他方がそれに応じて上昇するかもしれない。しかし,他面 において,資本の増加が他の事情ひとしいとして,賃金と地代の両者の低落 と一致することができるということは先験的には考えられないように思われ o一一しかし,乙の問題はおそらくさらにもっと進んで吟味すべきととで あるが。」ベエーム=ウイクセノレの資本モデノレでは,通常,利子率の低下は

(10) 

平均生産期間の延長化と結び、つくのである r大なる量の資本と比較して小 なる量の労働者は,常により長い生産期間,より高い賃金,より低い利子率 と結び、つくO 換言すれば,資本家が企業者である場合,生産期間の延長化 は,賃金の上昇とそれより生ずる低い利子率とに対抗する資本家側の反作用 である。」ウイクセノレは資本の増加は一部分は賃金の上昇によって吸収さ

(11) 

れ,生産期間の延長化がそれだけ阻害されることを指摘している。したがっ て生産期間の長さはそれ自体資本の大きさの正確な尺度ではない。乙れはウ イクセノレ効果の存在を指摘したものである。同じような意味のことをロビン ソンはつぎのように表現している r蓄積が賃金の上昇に吸収されればされ るほど,一定量の蓄積による機械化の上昇はそれだけ小となる。また,機械 化の程度の上昇に吸収されればされるほど,一定量の蓄積にたいする賃金率 の上昇はそれだけ小となる。」ベエーム=ウイクセノレ的な生産 J~J 間乃至投資

( 12) 

期間の概念は,現代の経済分析では実質資本比率,機械化の程度,または資 本集約度というような概念におきかえられているけれども,提起された問題 の本質は同一であるO ウイクセjレは今日ウイクセjレ効果として知られている 問題を吟味したが,その場合,主として彼は資本の社会的存在呈を生産物で

(13) 

測定しており一定と仮定した定常的経済を取扱ったのである。ロビンソンの 場合はむしろウイクセノレ効果を動態的な発展経済において吟味しており,そ こにまた,ロビンソンのウイクセノレ分析にたいする批判が生起せられる理由 が存在した。 rウイクセノレの分析によって示される主たる困難は,穏々具な れる量の資本をもった静態と,時閣を通じて進行する蓄積過程との間の比較 を,同時に論じているように思われるということであるoflJLの根本的命題は

(5)

要素価格曲線とウイクセル効果 議論の二つの部門においてひとしく重要であるが,しかし,それは二つの部 門が分離されなし1かぎり十分に理解しえないものであるoJウイクセJレ自身

もこのウイクセjレ効果のもつ勤学的性格を彼の資本理論展開の最終的段階で ある固定資本財を取扱ったモデjレにおいて承認するにいたったのであるが,

ウイクセルは遂に勤学理論を展開しなかった。

( 1

ところで,技術転換の問題は今日資本理論におけるパラドックス的課題と して論議されているが,この問題提起の歴史は既にリカードとともに古い。

ヒックスはつぎのように述べている。 r利潤率の低下(実質賃金率の上昇) に対応しうるような技術変化の方向を明確に述べることができる一般的な方 法が存在するか。これは, リカード以来経済学が捜し求めてきた怪動物であ る。」技術の再転換の問題及びこれに関連するケムブリッヂ派批判は,新古

( 16) 

典派的な寓話を完全に破壊するものであるか,この問題は現在尚論議の過程 にあり,怪動物の捕獲は今日ではいまなお不可能であるように思われる。

( 17) 

ウイクセノレはウイクセノレ効果を利子率と資本の社会的限界生産物との間の ヨjE離の問題としてとらまえ,それはまた資本増加による賃金上昇の生産期間 延長の阻害効果と結び付くものであったo ロビンソンでは,ウイクセノレ効果 を,資本財の再生産費と歴史的費用との不一致の問題としてはあくするo 質賃金率の上昇が資本財の再生産費をより高めるかどうかは,部分的には利 子率l乙依存する r資本財の再生産費は,より高い賃金率の効果が,より低 い利子率の効果を相殺する以上のものであるかどうかによって,より大とも なりより小ともなるoJウイクセノレ自身によるウイクセノレ効果の分析につい て,既に別の機会で論及したから,乙こでは,直接現代的な分析手法でもっ

(19) 

てウイクセノレ効果の問題を考案することにしたい。準備的段階として所謂要 素価格曲線,賃金曲線または要素価格フロンティアーの概念について要約的 な説明をあたえておこう。

サムヱノレソンによれば, リカードにしたがって経済学が分配の法則を解明 する研究であるとするならば,要素価格フロンティアーの概念は最も重要な

(6)

経済分析概念である。乙のフロンテイアーによって賃金率と利潤率との関係 が陽表的に示されるのであるo サムヱノレソンは,この要素価格フロンテイア

印)

ーの分析概念を使用することによって伝統的な分配理論乃至資本理論を擁護 するo異質的な資本,固定的な要素比のモデルでも,新古典派的理論の命題 に意味をあたえることができるとした。サムエノレソンの分析では異質的な資 本財は同質的な存在に還元せられ,その限界生産物は利潤率(利子率)にひ としくなるO かくて,サムエノレソンの surrogatefactor  price  frontier 弾力性は所得の相対的分け前を示し,新古典派的な結果を提示するo再生さ れた伝統的理論の説明は,利潤理論,分配理論の基礎的問題を明らかにする 有用な寓話となる。

われわれは以下においてヒックス的な固定資本財モデルを使用しようo

(21) 

こでは減価償却の問題は無視されており,資本財は無限の耐久性をもっと仮 定されている。資本財部門の産出量は純投資にひとしい。資本財は資本財自 身の生産と消賀財の生産とに使用されるo これは単一資本財の仮定である。

一一ヒックスは消費財を穀物,資本財をトラクターで示す。一一国定的な生 産係数をもっ単一生産プロセスを設定し,均衡状態における価格方程式をつ

ぎのごとくあたえるo

eC= WLe +RPKKe  PKI=WLK+RPKKK 

(1)  (2)  名目的賃金率Wと利潤率Rは消費財部門と資本財部門で,同一,また賃金は 生産完了時点で支払はれるとする。 Cは消費財の産出量 1は資本財の産出 Peは消費財の価格, Pkは資本財の価格を示す。 (1)(2)Peで割り(1) Cで (2)Iで割ると,

RPkB 

=WAe+一子;c (3) 

RPkBk 

主トWAk+ 一下~j{ (4) 

この式で有は実質賃金率 (W/Pe) Aeは消費財部門における労働投入係 数を, Beは資本投入係数を, Akは資本財部門における労働投入係数を, IBk  は資本投入係数を示している。さらにPk/Peは消賀財で測った資本財の価格

(22) 

(7)

要素価格曲線とウイクセlレ効果 を示しているo

(3)(4)よりさらに,

=A"RJ"

Pk/P 

iv‑"‑=AkRJ)<

この式では,

(5) 

(6) 

Je =:C.....PIR ....C (7) 

P" 

Jk ニつァ ~='l<__l  P‑B  (8) 

P" 

ロビンソンは商品で測った資本の価値にたいして,労働時間で測った資本 一一商品で測った資本ストックの価値を,その経済で支配的な商品で測られ た労働時間当り賃金で割ったものーーを実質資本 (real capital)とよんで いるoそして,この実質資本と正常生産能力での操業が行われる時に経常的

四)

に雇用される労働量との比率を実質資本比率 (realcapital ratio)という。

ロビンソンによれば,この概念は,生産の技術的要因としての資本の概念に 最も密接に対応しているのであるo実質資本には過去に於て投入された労働 の量が具体化されているoそこで, (7)(8)に示されたJはロビンソン的表現 では,産出物ー単当りの実質資本を示している。そして商品で測った資本の ストックの価値は単純に資本とよばれる。個別的な企業家の観点から見た資 本の意味に最も密接に対応しているo黄金時代では,実質資本比率はコンス タントであるが,商品で測られた資本と労働の比はコンスタントではなく,

実質賃金率とともに上昇しているD また,産出量と資本〈商品で誤.uった)と の比はコンスタントである。ロビンソンが乙のような実質資本比率の概念を 重要な分析ツーjレとするのは,この概念を伎用することによって,異なった 賃金率をもっ諸経済の比較,また,機械化のフロンテイヤーの位置を異にす

る諸経済の比較が相対的に明確に行いうるからである。

単一資本財の仮定を捨てて,複数的な資本財を導入すると,価格方程式

=WA+R ~主LBI" (9) 

(8)

号~=WAJ+R~ 辛子B,

(9)(10)よりさらに,

ハnH U

.. 

=Ac+REJc a︐ ‑ ‑ HH

PkJ/P ~

‑W =AJ+R );JIJ  ω 

産業部門を消費財部門と資本財部門とに区分しても,その生産技術係数が 全く同一であるならば,その分析は単一部門モデルでもって展開することが できょうo今単一部門の仮定の下で要素価格フロンテイアーを求めて見るo

y =L+RK =WA+R 

(13)  ( 14) 

A +B ω

ここで, ABとは均衡係数のみでなく,また固定的な技術の一義的な係数 を示しているo ここで有とBとを決定するものは何にか。これについてロビ

凶)

ンソンはつぎのように述べている。 Iあたえられた技術条件の下で,実質賃 金率が剰余としてあらわれるように,利潤率を決定するようなメカニズムが 体系には存在するだらうか,また,利潤率が剰余としてあらわれるように,

実質賃金の行動を決定するようなメカニズムは存在するだろうか。」

邸) 上式でR=Oの場合の極大実質賃金率を求めるo

WEax=17  (16) 

つぎに育= 0の場合の極大利潤率を求める。

R r t u 7 )  

第 l図の要素価格曲線一一ヒックスはこれを賃金曲線とよぷーーが示され o曲線の勾配は資本労働比率を示しており,また曲線の弾力性は所得分配 率を示す。

dW  R  RK 

( 18) 

dR  W  WL 

実質賃金率と利潤率のどのような組合せも均衡ではこの曲線上に存在しなけ

(9)

要素価格曲線とウイクセノレ効果

A

W

W~--一一一一-斗一一

Rl 

R

1

Nl  No .0  B/A 

2

K一 L

(10)

10 

ればならないD もし育とRのベクトノレポイントがこの曲線の内側に存在する ならば, KLとによって生産される産出量は,生産技術と競争的仮定とに よって可能な量より小となるO 逆 l乙,曲線の外側では技術的な可能な量より も大なる量を示しているO 2図は,

Jf=百十R ω) 

の式を示しているロ即ち,労働の平均生産物と資本労働比率との関係をあた えているo この図では技術のみでは要素価格を決定しえないことが知られ O 所与の賃金率水準耐1では, Rは直線の勾配O W1/ON1で示されるo こで, 要素価格比は有I/Rl=ON1で示されるD 最後に生産関係はまた,ロ ビンソン的な実質資本比率で表現することができる。 (15)式より,

WA 一=l+Ji‑J1‑.1.  B/WAは実質資本比率を示すロ第3図で直線の勾配はRWにひとしい。そ乙

=1/0N。で示されるo

Y一L B

一 一 肌

B  B  W1A WoA 

tr~ 3

単一部門の仮定で二つの技術が存在するとするo要素価格曲線が第4図のご

N N

。 ̲

とく示されるとしよう。 U4)より

(11)

要素価格曲線とウイクセノレ効果 11  =w[λA'+( 1 i¥.)AJ+R[B'+( 1一 入)BJ 1)

wlA 

/// 

況卜一一一一

‑ 1 ‑

R Rs  l/B Ro  l/B' 

4

の式をうるO 乙れは二つの技術の一次結合を示すo 入は二つの技術の選択係 数である。 λ = 0であれば (AB)技術が選択されるo i¥. 1で あ れ ば

(A', B')技術が選択される (w.Rs)で示される点は技術のスウイ ッチ点であるow.以上の実質賃金水準では((A, B')技術が採用され,

w.以下の実質賃金水準では (A'B')技術が採用されるo

再び二部門経済にかえる。前節の(3)(4)よりつぎの二式をうるo

1Bk (1) 

Ac[1 ‑RBkJ +RAkBc 

(12)

12  経 営 と 経 済

Pk  Ak 

c  Ac ‑RBkJ +RAkBe  乙の式で

m=AK/Ae=ke/Le 一 一 一 BK/Bc  KK/LK 

とおくo mは消資財部門における資本労働比率と資本財部門における資本労 (2) 

(3) 

倒比率との比を示しているO そこで(2)(3)の式は,

1‑RB

一 一 一 一 一 一 一 一 一

Ac+RAcBK (m ‑ 1  P AE 

Pc  AcRAcBK (m‑1  となる。

今日)式をRについて微分してみるD

dW  ‑mAcB 

←一一=dR  [Aβ+RAcBK(m 一主一 1)J τ<0

そこでは)式で示される要素価格曲線は右下りであるロさらに,

d2W  2 m(m‑1 )(AcBK)2 [Ae+RAcBK(m‑1 )J 

(7)  dR2  [Ac+RAcBK(m‑1 )J4 

PK/Pc> 0であるためには, ‑RBK) > 0 ,そ乙でw>oで あ る た め に (4) 

(5) 

(6) 

CAc+RAcBK(m‑1 )J> 

であらねばならぬ。そこで, (7)式の正負の符号は 2m(m‑l )(AcBK)2 

の正負によって決まる。

(l)m=し即ち消費財部門と資本財部門とで資本労働比率が同一である場合 では,

dw  Bu 

dR (8) 

d2

百長τ = (9) 

要素価格方程式は直線で示される。実質賃金率と相対価格は,

‑RB

W=~A~ 竺 (10)

P A

Pc  Ac 

となるO 消費財で測った資本財の価格は賃金率に関係なくコンスタントであ

4lA 

4E4

o中立的ウイクセノレ効果であるO 労働価値理論が妥当する。

(13)

要素価格曲線とウイクセル効果 13  (2), m>l,即ち消費財部門の資本労働比率が資本財部門のそれよりも大で ある場合,

d2w¥ 

(12)  dR2  /' 

となり,要素価格曲線は下に向って凸の曲線となる。この場合,賃金率の上 昇,利潤率(利子率)の低下は,消費財で測った資本財の価格を上昇せしめ る。これが正のウイクセノレ効果である。消費財で測った労働一単位の資本も またより大となるO

(3)  m<l,即ち,資本財部門の資本労働比率が,消費財部門のそれよりも 大である場合,

ddR 2;;<0  ~ 要素価格曲線は下に向って凹の曲線となる。実質賃金率の上昇,利 il~d率の低 下はかえって消費財で測った資本財の価格を低下せしめる。これは, lILのウ イクセノレ効果である。以上の関係を第5図と第6図とでまとめて見るo

l/Ac 

1/ Bk 

5

Rが極大率 (Rmaxl/BK)  に達するとNj!C(財・で測った資木財・の価格は二つ の部門の資本係数の比にひとしくなるO 資本の呈は技術的条件と労働の供給

(14)

P

凱一一一一一一一一一一一二一一」一旦<1

Ak """" Acド豆

、、

h

L一一一一一一一一一二三三三一一一斗一一m>l m=l 

1/ Bk 

によってきまるけれども,消費財で測った資本財の価格は相対的な資本集約 度に依存するoJI潤率の水準が低下すると,消費財部門の資本労働比率の方 がより大であると,消費財で測った資本ストックの価値はより高くなるO のウイクセノレ効果である。以上の関係をさらに表でまとめて見るとつぎのよ

dW  dR 

>0 

<0 

<0 

A削 ﹄ ﹃

HH HH  

>0 

>0 

<0 

<0 

価格方程式より,

1‑RB

Pk/P Pk  Ak  うになるo

(15)

要素価格曲線とウイクセJレ効果 15 

d( p~p)Pk/P/ ̲  Bk ノ ハ

dR  Ak¥V  (1

利潤率の低下によって生産物で測った資本の価値は上昇するかもしれない し,また低下するかもしれないが,労働時間で測った実質資本の価値は低下 するo

ととろで,いまm=lの場合をもう一度考えて見ょう。 Ae =Ak, Bc=Bk  であると想定しよう。要素価格曲線は直線となり,

(16)  dw  Bk 

dR  Ac 

となって,要素価格曲線の勾配は全体として経済の資本労働比率を示す0 .たがって,曲線の弾力性は相対的な所得分配率を示すととになるO と の 場

合,資本労働比率と賃金率(または利潤率)とに関する新古典派な対応関係 が存在するととになるo しかし, m=lであっても, A,, ~Ak' BcBkであ るような場合では,

dW  Bk 

一一一一一~--

dR  Ac  ¥  となって,

K¥ 

dW  R  BkR  ~~ dR  Acw Le

RPKK¥ 

PKI 

1/ ‑WL

… 一 一

C

( 1

( 18) 

乙の曲線の開力性はもほや経済企休の所得分配率を示さず,資本財部門にお ける利潤分配率と消費財部門における賃金分配率との比を示すに過ぎない。

つぎに,要素価格線が曲線をえがくm1の場合を考えて見ょう。いま,

消費財をニユメレーJレとしてPe=1とおとうD

=WAc+RPKBe  PK=WAK+RPKBk 

二部門における所得分配率をつぎのごとく示そうo

wAc=αe  WAK 

k =αk, 

RPkBe=βe  RPkBk 

Pk 一 一 川

(19)  (20) 

1) (22) 

(16)

経 営 と 経 済 16 

(

αは各部門における賃金分配率, βは利潤分配率を示すo(20)より,

dPk =AkdW +PkBkdR+BkRdPk 

dP"  A" W  dW . ~ ~ dR . ~ ~ dP" 

~L PKー= 一 一+BkRBkR

P

I .......j{"'"  I.......j{ 

いま比例的変化率をつぎのごとく示そう。

5)

Pk=αk命十βkR+βkPk 

1βρPk=αk命十βk 間)

(30)  (27)  (28)  また, (19)より,

=AcdW+BcRdPk +PkBcdR 

dW ..........  dP k . ~ ~ ~ dR 

=Ac W‑W' +RPkBC 下 κ 十 RPkBc-~R

W  . '"  dP k .   dR '"

0=αぺ「十βc‑pkβc R 

0=αc¥:+βckβcl? 

βC:Pk=αe+βcR 4EEA 

qd J l   t  

3:J 

(26)(31)より,

│αd?k 

‑βc 

(~l2)

αkβcPkβkβCPk

~、γ

(33)  βk 

βc  ここで,

さらl

αkαk:P

令 ー αc  βcPk  一 三 生ιιち 也 会 主

一一←一一一一一一一一 (34) 

_~V_ 一一 dW ̲R̲̲̲osc+skjl..!?)̲

E

2 dR  1?kαkβeαkαc)

一旦里 R "¥αk土lβ11: dR  W  αk  (βc+αc)αk 

そして要素価格曲線の弾力性は,消22財部門における利潤分配率と資本財部 ()

nh u 

n︿ リ

そこで,

門における賃金率分配率との比を示すことになり,経済全体としての所得分 配率を示さない。

(17)

要素価格曲線とウイクセノレ効呆 17 

資本存在量をK,労働量をLとして,均衡状態における数量方程式をつぎ のごとくおこうo

K=Kk+K" 

K=BkI+B"C  L=Lk+L" 

L=AkI+A"C 

いま,資本の成長率をgで示すと,

I=gK  以上の諸式より,

Bc  ‑gBk 

̲I̲̲=̲gB" 

‑gB

gAkB" 

~-=A" 十一一一一 ‑gBk  貯蓄関数として,

S=sY 

(1)  (2)  (3)  (4) 

(5) 

(6)  (7)  (8) 

(9) 

貯蓄投資均等条件として,

PkI=s (PkI+P "C)  乙の式より,

1  P

C  P" 

~~=( gB"  )~~

s  ¥ gBP" 

4 a . '

 

' . A

(12)  もし,実質賃金率があたえられるならば,利潤率がきまり,相対価格PkjPc

がきまるoそ乙で,貯蓄率が大であるほど,IjCはより大となり, IjCが大で あるほど成長率gは大となるであろうO 大なる貯蓄率と大なる均衡成長率と は結びつく。

ところで,いま貯蓄率はコンスタントとしようO 消費財部門の資本労働比 率と資本財部門の資本労働比率とがひとしい場合一一m=lの場合一一要素 価格の変化もPkjP"を変化せしめない。即ち,中立的ウイクセノレ効果の場合

(18)

経 営 と 経 済

では,

Pk  Ak  (1

3 )  Pe  Ae 

でコンスタントである。そこで, コンスタン卜な貯蓄率ではI/Cは不変であ るからgも不変である口価格変化によりてgを変化せしめるノレートは存在し ない口そこでm1の場合を吟味してみようO

実質賃金率変化の可能範囲は (w=0, R=Rmax)から (WmaxR =  0)  の範囲であるoR= 0では,

Pk  Ak  Pe  Ac  そこで,

(13

S  ̲ Ak {  glBe  s  Ae' 1 ‑glBk  m‑AK/A 一 一 一 一

Bk/AC  を利用して,

( 14)  ( 1

gl Bk -l~+ (ní-~frTi二斗7

VI=Oであると,

Pk  Bk  Pc  Bc 

そこで,この場合の成長率をふとすると,

s  ̲ Bk { g2Bc  ¥  l‑S  Bc '1‑g2Bk'  この式より,

g2= )

S<lであると, gl<l/Bk, g2<l/Bkである。二つの場合の成長率はとも に資本財部門の資本の生産性係数より小であるO 既述のごとく ,m =  1であ

nh U  4EEA  e4EE .

{1 Sl

れば, k/P cは不変であり,

gl =g2 =S/Bk  (20) 

となるO 賃金率の変化も成長率に影響をあたえない。 m=lの場合でも,階 級的な貯蓄性向の差異をおき,貯蓄率を上昇せしめることができれば,相対 価格が不変でも I/Cが大となり gも大となるO また複数技術が存在し,

技術選択の余地があると利潤率の上昇によって採用される技術はBkの 低 下 を含み,したがってgは上昇するO

(19)

要素価格曲線とウイクセル効果 19  (16)(18)で示された制限的領域でのみ,相対価格の変イじは成長率を変化せし めるo 乙の制限点のどちらのgが大であるかは, (m‑)符号l乙依存する であろうo

(1)  m > l,即ち消費財部門の方がより機械化されている場合では, gl<g2  であるD そこで,実質賃金率の低下,利潤率の上昇は成長率を高めるであろ

O 乙の場合,正のウイクセノレ効果が作用するから,実質賃金率の低落は Pk/P。を低下せしめ,貯蓄率一定とするとI/Cは上昇するo

(2)  mく し 即 ち , 資 本 財 部 門 の 方 が よ り 機 械 化 さ れ て い る 場 合 で は , gl>g2であるOそこで利潤率を低下せしめると成長率は高くなるo こ の 場 合,逆のウイクセノレ効果が作用するから賃金率の上昇によってPk/Pcは低下 する。しかし,乙の結論は認容し難い。利潤率がきわめて低く,したがって 貯蓄に対する収益がきわめて低くなると,貯蓄誘因に変化が生ずるであら

Q

いま,貯蓄は所得水準に比例的と仮定せずに,カJレドアのモデノレのごと く,貯蓄率は所得分配のパターンに依存せしめて見る7O)カノレドアは資本労働 比率の部門間における差異を仮定する仕方については批判的であるoたとへ ば,フインドレーの分配モデ、jレでは,資本財部門の資本労働比率は消費財部 門のそれよりも大であると仮定されているが,これにたいしてカノレドアはつ

8)

ぎのような批判をあたえているo r私は,資本財産業と消費財産業との相対 的資本集約度に関する特定の仮定に依存するようなフインドレー氏の新古典 派理論とケインズ的分配理論との融合方法は説得的であるとは考えない。」

(291  ガノレドア自身は,二つの生産関数の差異を想定することなくして,ケインズ 的マクロモデルでもって分配問題を誘導ーすることができると考える口 「ケイ

ンズ的モデ、jレでは,より高い資本支出水準は必然的lこ総供給関数に比して総 需要関数を上昇せしめ,そのことによって,完全雇用の状態では,生産関数 の等量生産物曲線や生産物変換曲線とは関係なく,費用にたいして相対的l 諸価格を上昇せしめる。 J

(30) 

いま資本家階級の貯蓄性向をSl,労働者階級の貯蓄率をおとするQ 総貯蓄 i

参照

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