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グリーフキャンプに参加した児童の心のゆとりに関する研究 北川

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Academic year: 2021

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グリーフキャンプに参加した児童の心のゆとりに関する研究

北川 志帆(生涯スポーツ学科 野外スポーツコース)

指導教員 綾子 キーワード:グリーフキャンプ,心のゆとり,児童 1.序論

2011311日に起きた東日本大震災の影 響により多くの市町村が甚大な被害を受けた.

筆者は避難先での急な環境の変化により心身 にストレスを感じていることを指摘され,対処 の必要があると考える.そこで筆者はグリーフ キャンプに着目した.グリーフとは悲嘆という 意味で,このような状態にある人に寄り添い, 援助することをグリーフケアという.グリーフ ケアの中の1つに「グリーフキャンプ」がある.

グリーフキャンプとは,参加者のグリーフを癒 すためのプログラムを実践し安心安全の場所 を提供するキャンプである.井上(2001)は, 人は笑うことで心にゆとりができるのではな いかと示している.また,市原(2008)は,スト レスの対処法に「森林」での活動をあげており, 非日常的な環境で楽しい活動をすることで,リ ラックス・リフレッシュ効果が期待され,同時 に心にもゆとりがもたらされるのではないか と考えた.これらのことからグリーフキャンプ を体験することで心のゆとりに変化があるの ではないかと考えた.

そこで本研究では,被災地と避難先で生活す る子どもたちのためのグリーフキャンプに参 加した児童の心のゆとりの変容を明らかにす ることを目的とした.

2.研究方法

【対象者】

平成26817日から820日にK自然 学校が主催した34日のグリーフキャンプに 参加した小学校3年生から6年生21人(男子 14名,女子7名)を対象とした.

【調査用紙】

富田(2008)が大学生用に作成した心のゆと り感尺度 3 因子(心の充足因子,疲労感のなさ 因子,対他的ゆとり因子)32項目を参考に,筆者 3因子12項目に修正し,考察する際の参考に するために質問項目に記述項目を設けた.

【調査時期】

キャンプの直前(pre),キャンプ直後(post)

2回実施した.

【プログラム】

沢での活動をメインに,仲間作りゲーム,野 外炊事,キャンプファイヤーなどを実施した.

3.結果と考察

1)心のゆとり得点について

1.心のゆとり得点平均値・標準偏差・

心のゆとり得点の変容をみるためにt検定を 行った結果,pre-post 間において有意な変化は 見られなかった.震災からの3年半という年月 が十分にグリーフケアとしての役割を果たし

ており,子どもたちは最初から心のゆとり得 点に関して高い数値を示していたことから変 化がみられなかったと考える.

2)因子別得点について

2.因子別得点平均値・標準偏差・

因子別得点の変容をみるために t 検定を行 った結果,pre-post 間においてすべての因子 で有意な変化は見られなかった.

心の充足因子とは,感情の動きを示す因子で ある.子どもたちは非常にキャンプを楽しんで おり,また,普段の生活の話を聞いていてもと ても楽しいと答えている.さらに習い事などで 自分の好きなことをできていることから,初め から心の充足因子の得点は高く変化が現れな かったと考えられる.

疲労感のなさ因子とは,不安感や疲労感を表 す因子である.震災から3年半の年月が経って おり,キャンプでの活動を非常に楽しみにして いたことから最初から不安感や疲労感は高く なかったと考える.

対他的ゆとり因子とは,周囲に対する配慮や, 周囲に合わせる柔軟さを示す因子である.今回 のキャンプではリピーターが多く,兄弟や友人 での参加が多かった.このため周囲に対する配 慮や周囲に合わせる柔軟さは最初からみられ ており,変化がみられなかったと考える.

4.まとめ

本研究におけるグリーフキャンプ体験では 児童の心のゆとりには変化がみられなかった ことが明らかになった.しかし,プログラムに は沢や森林に囲まれた時間が多くあり,また, たくさんの笑いに包まれたキャンプであった.

このことから,グリーフキャンプの目的である 安心安全の場所を提供するという点は達成で きていたと考える.しかし,震災から3年半と いう年月が経っていたことから,子どもたちは キャンプに対してより活動的なものを求めて いる傾向がみられた.このことから,プログラ ムや活動内容についての工夫が必要とされる と考える.

今後の課題として,心のゆとりの変容をみる ためには対象者と時期に見合ったプログラム を検討していく必要があるといえる.

引用文献

井上宏(2001)笑いと心のゆとり.笑い学研究, 13: 71-84.

市原恒一・豊川勝生・松永裕俊・栢分宏理(2008)森林作業 がボランティアの心理に与える影響.日本森林学会誌,

90(6): 411-414.

富田真弓(2008)心のゆとり感尺度作成の試み(臨床系).

九州大学心理学研究,9: 223-233.

pre post t検定

t値 心の充足 18.48(3.82) 18.05(3.81) 0.48n.s.

疲労感のなさ 14.95(2.64) 14.76(1.97) 0.39n.s.

対他的ゆとり 6.81(1.40) 6.81(1.36) 0.39n.s.

M (SD )

pre post t検定

t値 全体(n=21) 42.48(5.55) 41.76(6.36) 0.70n.s.

M(SD )

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