粉 末 冶金 法 に よ るアル ミニ ウム/SiCウ ィス カー
複合材料 の押 出 し性 と機械 的性質 について
小林義一
1. 緒 言
ウィスカーは完全肌伽こ近いAI.I('H'lでその執政特化が抽めて良好なため,金成やセラ ミック スの似令伺料必材 として近咋陀Ilをあびている(l). と くに SiCウィスカーを強化材料 と し た AIA=投合材料は,す ぐれた相 生とJr,七度化が胤符で きるため外相研究 され(2)〜(3),一部は実 mの段階に入 っている(4)〜(6). これ らの触造法 としては,SiCウィスカーをいったんプ リフォ ーム (中間素材) した ものに累地金属を溶融含浸 して投合化す る方法を中心に,溶Wu・鍛造法 や粉末冶金法 な ど各種研究 されている.いずれの方法に よって も, この種の校合材料 の特性 を向上 させ るためには,①SiCウィスカーを Al地 の中に どの程度均一に分散 させ ることが で きるか.② ウィスカーの破壊 ・損傷をいかに少な くす ることができるか.③ ウィスカーと マ トリックス界面の結合性をいかに高め られ るか.④ マ トリックス中のボイ ドをいかに少な くす ることがで きるか.等が大 きな問題 となっている.そ こで,SiCウィスカーを Al地 の 中に均一に分散 させ るための一つの方法 として,Alの粉末中にSiCウィスカーを混合 し, さ らに これを熱間押出 し加工す ることに よってどの よ うな特性 の複合材料がで きるかを実験 したので,その結果を報告す る.
2. 試料 と実験 方法
7 トマイズ法に よって作成 した‑350メッシュの純 Al粉Rに市販のSiCウィスカーを 混ぜて, これに混合助剤 としてェクノールを加
A, 日動乳鉢 にて3時間批合 し,SiCウィスカ ー含有率 0, 5お よび10%の混合粉末を作製 し た.次に この混合粉末を直径40mm長 さ120mm の金型に入れ,両押成形法に より成形圧力2.5 tonf/cm2と5tonf/cm2で 加圧 成形 し直径40 mm長 さ40mmの圧粉体 とした.次に この圧粉 体をN2ガス中にて600oCで2時間焼結 して押 出 し用 ビレッ トとした. また,押出 しは熱間で 行 な うため押出 し加工中に統括 され ることも考
え られ るので,焼結な しの ビレッ トも一部作成 写真1 SiCウィスカーの走査電子顕微鏡組織
* 機枕工学科教授
原稿受付 昭和61年9月29日
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した. このよ うに して作成 した ビレッ トを押出し温度600oC,加工度92%で押出して最高押 出 し圧力を調べ;ノ押出し性に及ぼすSiCウィスカー含 有 率,成 形圧力お よび焼結の影響を 調べた.次に,得 られた押出し材か ら直径6mm標点距離30mmゐ引張試験片を切削加工 し て引張試験を行ない,引張強 さ,0.2%耐力および伸びの変化を調べ, また硬 さ測定 も行な った.また強度 と組織の関係を検討す るために元査電子顕徴鏡に よる観察 も行なった.なお 引張試験は島津オー トグラフを使用 し,引張速度 2mm/minで行ない,硬 さはマイクロビ
ッカース硬度計を使用 し荷重500gで測定 した.
表1は今回使用 したAl粉末の化学成分お よび粒度分布を示 し,写真1はSiCウィス カ ーの走査電子離散鏡組織を示す. この ようにSiCウィスカーは,肉眼では JIもぐさ状"を し ているが, ミクロ的には直径0.05‑0.2〃m,長 さ10‑40〝mの単結晶短畝経であることがわ か る.
表l Al粉末の化学成分および粒度分布
化 学 成 分 (%)
I t
粒度分布 (%)メッシCu
l
Si Mnl
Zn3.実験結果 とその考察 3‑1押出 し性
SiCウィスカー含有率,成形圧力お よび焼結条件が押出し性に及ぼす影響 を 調 べ るた め に,各種 ビレットを600oCで押出し加工 した ときの最高押出し圧力の変化および押出し材の 表面状況を調べた・図1は最高押出し圧力が SiCウィ不カー含有率,成形圧力およ び 焼結 条件に どのよ うに影響す るかを調べた ものである. これに よると,成形圧力,焼結条件のい かんにかかわ らず,SiCウィスカーが含 まれ ると最高押出し圧力は高 くな り,押出し性は悪 くなる. これはSiCウィスカーが押出し加工における変形抵抗を高めたため と思 わ れ る.
また,成形圧力が同 じであれば,焼結 した場合の方が押出し圧力は低 くなっているが, これ は圧縮成形のみの圧粉体では,圧粉体内の各粉末粒子間の結合はお もに機械的なか らみ合い のために,押出し加工に際 して,粉末粒子間の変形抵抗が大 きくなるが,焼結すると粉末粒 子間の結合は原子的な結合になる(7)た桝 こ,押出し加工に際 して粉末粒子間の変形抵抗が小 さ くなることおよび焼結に より加圧成形の際に生 じた粉末粒子間のひずみが除去されて ビレ ッ トが軟化 したため と思われ る. また焼結条件が同じであれば,成形圧力が高い場合の方が 押出し圧力は高 くなっているが, これは図2のAl粉末の成形圧力 と圧粉体の密度の関係か らわかるように,成形圧力が高 くなるにつれて圧粉体の密度は放物線的に高 くな り,押出し 加工に際 して変形抵抗が大 きくなったため と思われる.
写真2はSiCウィスカー含有率,成形圧力お よび焼結条件を変 えて作 った ビレッ トを 押 出 し加工 した ときの押出し材の表面状況を示す. これによるとウィスカ‑含有率が10%の場 合には,押出 し材の表面に髪の毛のようなギザギザ模様が発生 している. ウィスカー含有率
粉末冶金法によるアル ミニウム/SiCウィスカー以令村村の州l=̲化と他紙的lJL門について ::・r・
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図1押山し圧力に及ぼすSiCウィスカ ー含有率,成形圧力および焼結の宕珍幣
JiD3'ilS
1 2 3 4 5 6 7 8
成 形 圧 力 (tVcml)
図2 N 粉の成形Jl:ノJと'#度の関係
写真2 押出し材の表面状況
が5%の場 合 には,焼結 な しの押 出 し材 には多少髪 の毛模様 は見 られ るが,焼結 した場 合 に はその よ うな模様 はほ とん ど見 られない. ウィス カー含有率 が10%の場合 の髪 の毛模様 も焼 結 な しの場合 よ り焼結 した場 合 の方 が少 な くな ってお り,焼 結す るこ とに よ り押 出 し材 の表 面 は明 らか に改善 され る こ とがわか る.
以上 に よ り,押 出 し性 とい う点か ら見れば,粉末 の成形圧 力は低 くして, 得 られた圧粉体 は十分焼結 した方 が 良 く, またSiCウィス カーの含有率は少 ない方 が良い こ とがわ か る・
26 長野工業高等専門学校紀要 ・弟17号
3‑2押出し材の機械的性質
図3は押出し材の縦断面 と横断面の硬 さが SiCウィスカー含有率,成形圧力お よび 焼 結 条件に よってどのように変化す るかを調べた ものである. これに よると成形圧力および焼結 条件は押出し材の硬 さにあま り大 きな影響を及ぼさないが,SiCウィスカー含有率の増加に つれて硬 さははは直線的に上昇 し,10%ウィスカーでほぼ50%上昇 している.また押出し材 横断面の硬 さの方が縦断面の硬 さより明 らかに大 きな値を示 している.
図4と図5は押出し材の引張試験の結果で,引張強 さ,0.2%耐力お よび伸びがSiCウィ スカー含有率,成形圧力お よび焼結条件に よって どの ように変化するかを調べた ものである.
これに よると,引張強 さと0.2%耐力はSiCウィスカー含有率の増加につれてほぼ直線的に 上昇 し,10%の ウィスカーで引張強さはほぼ40%,0.2%耐力はほぼ35%上昇 し,引張強さの 上昇率の方が耐力の上昇率 よりわずかに高い. しか し成形圧力お よび焼結条件は これ らの値 にあま り大 きな影響を及ぼ していない.一方,伸びは道にSiCウィスカー含有率の増 加 と
ともに減少 しているが,焼結 した場合の方が減少率は少な くなっている.
以上のように,押出し材の機械的性質はSiCウィスカー含有率によって大 きく影響 さ れ るが,粉末の成形条件や焼結条件によってはあま り大 きな影響を受けない ことがわかった.
そ こで,押出し材中のSiCウィスカーの分散状態を走査電子政教銃に よって観察 してみた.
写真 3と写真 4はその結果で,写真 3は成形 したままの ビレッ トを押出した押出し材横断面 の走査電子顕微鏡組織で,写真4は加圧成形後600oCで2時間焼結 した ビt/ッ tlを押出した 押出 し材縦断面の走査電子顕微鏡組織である. これ らに よ る と,SiCウィスカー含有率が 高 くなるにつれて,押出 し材中の SiCウィスカーは全面に分布す るようにな るが,成形条 件や焼結条件に よる違いはほ とん ど認め られない. これは押出し時の加工度が92%とかな り 大 きか った ことお よび押出し温度が高か ったために, ビレッ トの成形圧力お よび焼結条件の 影響が押出し材にまで引き継がれなかったため と思われ る.
一般に ウィスカーを押出し材中に均一に分散させ,更に一定方向に揃わせることができれ ば良好な機械的性質を持つ材料ができると言われてお り,森本 ら(8)は6061Al合金粉末にSiC
0 5 10 0 5 10
5LCウィスカー含有率(./.) sICウIスカー含有率 (.I.) (a)捉断面 O))秩断面
図3 枚さとSiCウィスカー含有率との関係
粉末冶金法によるアル ミニウム/SiCウィスカー桜合材料の押UlL他と機械的性JffZについて 27
0086
(edM)
0 0 4 2
.p‑仙漉戎ニW
0008
.tPq:脊 +A川d
6
0
0 5
SLCつスか ilT (I/.) 図4 引張強 さ,0.2%耐力 とSiCウ
.1スカー含有率との汎係
SiC免スカーOo/。 5
0 /
oNUbATs.〜zuJ3AIS
40 330
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求 JO
O 0 5 10
5‑⊂ ウ・‑ス^‑1市中 (Y.)
図5伸び とSiCtJ/tス:)7‑介 イj1本
との関係
10
0 / 。
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写真3 押出し材破断面の走査電子原敬鏡組織 (焼結なし)
ウィスカ‑を混合 した後,熱間静水圧 プ レス(HIP)装位 で固化成形 した ビレッ トを 押 ujL 加工 して,SiCウィスカーを一方 向に配 向させ ることに よ り良好 な強度特性 を得た と報告 し てお り,渡辺 ら(9)は高圧凝固鋳造法に よって作 ったSiCウィス カー強化Al合金を押 出 L加 工す る とウィス カーが押 出 し方 向に配列 して良好 な機械的性質を示す とのべている. また, 黒石 ら(2)は2024Al合金粉末 にSiCウィスカーを混合 し圧縮成形後,固相線温度 よ りも高い 温度 でホ ッ トプ レス し,その後,押 出 し加工す ることに よ りSiCウィスカーを一方 向に配列 させ ることがで きると報告 している・ しか し本実験 においては,写真 4の押 EtJ.し材縦断面 の 走査昭子顕微鏡組織 に見 られ るよ うに,SiCウィス カーは小 さ く切断 された よ うにな ってお
28
zLu3AtstN3UbAIS
長野工業ホ■石甘lTill●jI17:校紀懲・節17号
SiC包スD‑O o/0 50/。
:5Llm .,
写真4 州IlLtj縦桁 何の)Ll̲JETErl・似放伐机抱 く机も‑,'あ り)
0o/。 10%
ー㍉ 圭 藻
(a)焼結なし O))脱紡あり 写真6 引張破断面の/t並花 子斬徴税組
織に及ぼす焼結の彫惣 (SiCウィスカー・‑‑10%, 成形圧力‑・・・5tf/cme)
り,配 向性はあ ま り見 られない.本実験で 写真5 引張破断面の走査Tt;(・跡徴銃組織 に は, ビレッ トの焼結温度が600oCで液相線 及ぼす SiCウィスカ一合I布串と成形圧 より低 いことが黒石 らとの大 きな違いであ 力の影響 (焼結あり)
るが,その他に も粉末の混合条件,成形粂 件,押 出 し温度,加工度等に もBg係 してい ると思われ るので今後の検討にゆず りたい.
写真5と写真6は,引張破断面が SiCウィスカー含有率,成形圧力お よび焼結条件に よ って どの よ うな違 いがあるかを調べた ものである. これ らに よ る と,引張破断面は SiCウ ィスカー含有率,成形圧 力お よび焼結の有無に よってほ とん ど変化が見 られず,すべてにデ ィソプル模様が認め られ,脆性破壊の破面 の様子を示 しているが,SiCウィスカーが破壊に 際 して どの よ うな役割 りをはた してい るかは明 らかにな らなか ったので, この点について も 今後 の検討にゆず りたい.
粉末冶金法によるアルミニウム/SiCウィスカ‑接合材料の押出し性と機械的性質について 29
4.結 論
Al粉末にSiCウィスカ‑を0,5お よび10%混合 し,成形圧力2.5tonf/cmモお よび5tonf/ cm色で加圧成形 し,その後600oCで2時間焼結 して作 った ビレッ トを加工度92%,温度600oC で熱問押出し加工 し,その押出し加工性を調べ,得 られた押出 し材の硬 さ測定,引張試験お
よび走査電子国教鏡による組織観察を行なった ところ,次のことがわかった.
(1)押出し性はSiCウィスカー含有率,成形圧力および焼結条件によって大 きく影 響 さ れ,SiCウィスカー含有率が高いほ ど最高押出し圧力は高 くな り,押出 し性は悪 くなる。
粉末の成形圧力は低い方が,押出し圧力は低 くな り,押出 し性は良 くなる. また圧粉体 を焼結すれば,押出し圧力は低 くかつ押出し材の表面状況は良好 とな り,押出 し性は改 善 され る.
(2)押出し材の硬 さは,SiCウィスカー含有率の増加 とともにほぼ直線的に上昇 し,10%
のSiCウィスカーで硬 さは0%のときに比べてほぼ50%上昇す る.押出し材の引張強 さ,0.2%耐力 もSiCウィスカー含有率の増加 とともに上昇 し,10%のSiCウィスカー で引張強 さはほぼ40%,0.2%耐力はほぼ35%上昇す る.伸びはSiCウィスカー含有率 の増加 とともに減少する.
(3) SiCウィスカー含有率が同 じであれば,粉末の成形圧力および焼結条件は押出 し材の 硬 さ,引張強 さお よび0.2%耐力にはあ まり大 きな影響を及ぼ さないが,伸びは焼 結 し た場合の方がい くぶん高 くなる.
終 りに,本研究を行な うにあた り実験に御協力いただいた本校機械工学科卒業生那須野雄 二 (現在豊橋技術科学大学),横山和幸(現在長岡技術科学大学)の両君に感謝の意を表 します.
参 考 文 献
(1)森田幹邸,梅川荘書,按辺捨 :金属基複合材料を知る事典(1984),p.60,アクネ.
(2)黒石農土,明智清明 :軽金属,第34巻(1984)第9号,p.537. (3) HJ.Rack,T.R.Baruch,∫.L Cook:ibid(1982),p.1465.
也)大堀紘一,渡辺英雄,竹内庸 :日本金属学会会報,第25巻(1986)第5号,p.447. (5) NIKKEINEW MATERIALS,1986年3月17日号,p.40.
(6) MaterialsEngineering,May1986,p.33.
(7)若林孝治,技辺枕尚 :粉末冶金(1982),p.30.技術書院
(8)森本啓之,南出俊幸,大内権一郎 :軽金属学会第69回大会講演概要集(1985),p.65. (9) 渡辺英雄,大堀紘一,竹内庸 ;軽金属学会第70回大会講浜概要集(1986),p.119.