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スプラウ トにおける対外政策研究の再検討

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(1)

スプラウ トにおける対外政策研究の再検討

―パ ワー概念再解釈 の試みの観点か ら一

は じめに

1.スプ ラウ トにおけるパ ワー概 念再解釈 の試 み (1)時系 列 的 な流れ

(2)パワー概念再解釈 の試 みの ロジ ック

1)第二次世界大戦後 における国力 をめ ぐる議論の複雑化

2)核兵器 の登場 とステー トクラフ トの手段 な らびにテ クニ ックの多様化

3)「

行動 関係」 としてのパ ワー概念へ の関心

4)「

軍事 的含意」が強調 され る「 アメ リカにお ける一般 的用法」

5)「

パ ワー」 に代 わる用語 の模索

6)「

パ ワー」「 インフルエ ンス」の総称 としての「ポテ ンシャル」

7)よ り個別的で特定的な概念 としての「ケイパ ビリテ イー」の提起

2.パワー概念再解釈 の試み と「 エ コロジカル・パ ラダイム」 の有機的連 関 (1)パワー概念再解釈 の試みの結実 としての「エ コロジカル・パ ラダイム」

(2)国家 の対外政策行動 の分析枠組 み としての「 エ コロジカル・パ ラダイム」

お わ りに

は じめに

筆者はこれ までの一連の論考 において、スプラウ ト

(Harold Sprout&Margaret

Sprout)が果たした先駆的役割の中でも、とりわけ、スプラウトが国際政治におけるパワー 概念の重要性 にいち早 く覚醒 し、パワー概念を自己の理論的枠組みに積極的に取 り入れる ことによってアメリカ国際理論研究におけるパワー概念の「アメリカ的受容」において大 きな役割を果たしたことについて、重ねて言及 してきた

とくにスプラウ トに焦点を合わせた拙稿①では、国際理論研究の間隙を埋めるとともに、

スプラウ トをいわば「再発見」する目的で、「パ ワー・アプローチによる対外政策研究の 先駆者」としてのスプラウ トの国際政治学の理論体系 を′鳥隊 した。この拙稿①では、まず、

こうしたスプラウ ト国際政治学の思想的背景として、(1)人間観、(2)国家観、(3)政治観、

(4)国際政治観、を明らかにした上で、彼 らの方法論的模索として、(1)分析志向的アプロー チ、(2)学際的アプローチ、

(3)「

決定論的思考」批判、

(4)「

中範囲理論」の模索、に注 目す ることによって、最終的にスプラウ ト国際政治学の理論体系 としての「エコロジカル・パ ラダイム」 を導 き出し、その大枠を示 した。

―‑ 15 ‑―

(2)

また同様 に拙稿② においては°

、スプラウ トにおける対外政策研究の再検討 をパ ワー概念 の覚醒 と受容の観点か ら試み、スプラウ トが、1930年代か ら40年代 にかけてパ ワー概念 に 覚醒 しこれを受容す るとともに、「モーゲ ンソー との対話」 な どを通 じて 自己のパ ワー論 を相対化 しなが ら自らの対外政策研究の礎 を築いてい く、スプラウ トにおける一連の「パ ワー・アプローチ」による対外政策研究の醸成過程 を1940年代 まで考証 した。

そ こで本稿 は、拙稿② までの考証 を踏 まえた上で、スプラウ トにおける対外政策研究の 再検討 を、彼 らによるパワー概念再解釈の試みの観点か ら行なうものである。具体的には、

1950年代か ら60年代 にかけてなされたスプラウ トによるパ ワー概合再解釈 の試みが、国家 の対外政策行動の分析枠組みの構築 にいかに有機 的に結びつけ られてい くのかについて考 証す ることを通 じて、スプラウ トにおける対外政策研究 を再検討するものである。その意 味で本稿 は、 こうした一連の拙稿の問題関心の延長線上 に位置づけられるものである。

なお、本稿 の考察の手順 としては、 まず第1章で、スプラウ トにおけるパ ワー概念再解 釈の試 みを取 り上げ、その時系列的な流れを整理するとともに、そのロジックを明 らかに す る。 また第2章では、パ ワー概念再解釈の試みの結実 としての「エ コロジカル・パ ラダ イム」 に注 目し、国家の対外政策行動の分析枠組み としての「エコロジカル・パ ラダイム」

の全体像 を示す ことによって、パ ワー概念再解釈 の試み と「エ コロジカル・パ ラダイム」

の有機 的連関を考証する。

1.パワー概念再 解釈 の試 み (1)時系列的な流れ

スプラウ トにおけるパワー概念再解釈の試み とは、パ ワー概念 を「行動関係」 とみなす 立場か らの一連の試みを指 している°

。具体的には、「パ ワー」 とい う言葉の「軍事的含意」

(military Connotation)を 強調す る「 アメリカにおける一般的用法 (popular usage)」 受けて、 この概念の分析用語 としての妥当性 に疑念 を抱 きその使用 を留保 (reseⅣe)し パ ワー概念 に代わって機能的な役割 を付 した「ケーパ ビリテイー」なる分析概念 を提起 し、

それを もって国家の対外政策行動 をめ ぐる分析枠組みの提示 を試みる一連の過程である。

これ を時系列的に見るならば、1949年以前 に もパ ワー概念の再解釈 に向けた萌芽が見 ら れる ものの、実質的には1949年の書評論文

9以

降本格的に開始 され、1962年の著書°

まで にほぼ全体的な枠組みが提示 され、1968年の著書において完成する継続的試みである。

このパ ワー概念再解釈の試みは、次の5つの視座か ら見 ることによって、その時系列的な 流れが より具体的に理解で きる。

まず第1に「パ ワー」(国

)の

明確 な定義づ けに関 しては、すでにパ ワー概念再解釈 の試みが開始 されている時期 に出版 された1951年の編著が最初であるD。

2に、すでに1949年の書評論文においてケイパ ビリテイー概念が提起 されているが、

それ とパ ワー概念 との関係 についての説明は1957年の論文°を待 たねばな らない。

3に、パ ワー概念か らケイパ ビリティー概倉 を導 く論理的説明については1962年の著 を待 たねばな らない。

4に、「ステー トクラフ トの手段 とテクニ ック」 については、すでに1949年の書評論 において提起 されているが、それがケイパ ビリテイー概念 と結びつけ られて議論 され るのは1951年の編著 以降である。

‑ 16‑一

(3)

5に、1931年 の論文D以

来 のス プ ラウ トの問題関心の具体化 である「 エ コロジカル・パ ラダイム」の提示 は1956年 の論文°

以 降であ るが、それがパ ワー概念 の再解釈 の試 み と結 びつ け られ るのは1957年 の論文°

以 降であ り、それが体系 的 な形 で提示 され は じめ るのは 1962年 の著書で あ る。

(2)パ ワー概 念再解釈 の試 み の ロ ジ ック

パ ワー概念再解釈の試みは、以下のような論理展開をもって具体化される。

1)第 二次世界大戦後における国力をめ ぐる議論の複雑化

スプラウ トは、すでに拙稿②で指摘 したように、アメリカ国際理論研究におけるパワー 概念の受容という観点か ら見た場合、1945年という極めて早い時期に、パワーの広範な構 成要素 とその行使をめ ぐる多様な方策の存在 を提示 している

D。

スプラウ トはこの1945年 の編著において、「パワーは単一の要素から成 り立つものではなく、経済的な誘引や、イ デオロギーに訴えるといった多 くの説得的な方法をも含み、一国の生活様式、理想、博愛 活動、知的水準、富 と経済的生産性、ステー トクラフトの質、文化の質などの多 くの要因 が、他国との関係、および一国の世界 における地位に関わってくる」と説いているめ。

このような認識に至った経緯を、スプラウ トは後の1962年に次のように述べている。戦 間期において「常備兵力」の比較は、それ自体「国際社会における国家のランクづけの基 準」 として、いわば「戦争の数量化 しうる代替」 としての意味を持っていたが、テクノロ ジーの発展とそれに起因する「軍事的な諸手段およびテクニックの多様化」によって、「効 果的な軍事力に転化 しうる潜在的 (latent)な諸資源」 までもが国力の構成要素に含 まれ ることになった。その結果、「常備兵力」そのものが「国力の十分かつ有益な指標である かどうか疑わしく」な り、スプラウ トは「国力をめ ぐる議論が第二次世界大戦の終わり頃 から複雑化 した」との認識を持つに至ったのである20。

2)核 兵器の登場 とステー トクラフ トの手段ならびにテクニックの多様化

とりわけ、核兵器の登場とそれに続 くより破壊的な水素爆弾の登場は、その巨大な破壊 力 とリスクの高さがゆえに、ステー トクラフ トの「積極的な政策の手段」 としては敬遠さ れ、「それほど暴力的でなく破壊的ではないステー トクラフ トのテクニックの有効性」が 相対的に高まってきた。スプラウ トはこのような認識か ら、「政府によって実際になされ ている広範囲にわたるステー トクラフ トのテクニック」を重要視 した2つ

もちろん、このことは、軍事力が国家間の政治関係において重要な要素ではなくなって きた、ということを意味するものではない。今 日の「ステー トクラフ トのテクニック」が、

「破壊的なものから、強制的なもの、さらには影響力の行使に至るまで多岐に及んでいる」

との認識から、「非軍事的なステー トクラフ トのテクニックが、以前にも増 して有効に機 能するに至 り、より重要なものになってきたJという主張である。スプラウ トは、その具 体的な例 として、「外交、会議、破壊転覆活動、広報宣伝活動、経済・技術援助、ボイコッ

トや通商禁止令など」を挙げている。

ちなみにスプラウ トによれば、「ステー トクラフ トの手段」 とは、「意図した国家 目標を 達成するために用いられる物理的な諸手段 (phySical instruments)」 を意味し、「ステー ト クラフ トのテクニック」 とは、「意図 した国家 目標を達成するために用いられる行為の諸 形態」を意味する。例えば、ラジオの送信機は「ステー トクラフ トの手段」であ り、海外 向けラジオ放送のボイス・オブ・アメリカ (Voice Of America)は 「ステー トクラフ トの

(4)

テ クニ ック」 であ る。 また、軍事 力 は「ステー トクラフ トの手段 」 であ り、軍事力 の誇示 あ るい は戦争 は「 ステー トク ラフ トのテクニ ック」である2"。

3)「行動関係」 としてのパワー概念への関心

スプラウ トは、前述 したような状況認識を受けて、パワー概念は「近年、微妙に変化」

し、「計量可能なかたま り」(quantiiable mass)と してのパ ワーか ら、「行動関係」

(behavioral relationship)と してのパワー、つまり「要求一反応 (demand―response)の 相互作用」という視座か らパワーを捉える考え方に取って代わ りつつある、と主張 した20。

こうして、パワーの「行動関係」に注目したスプラウトは、政治学を「社会におけるパワー の研究」 と位置づけ

、国内外 を問わず政治的な相互作用を記述するのはパワー概念であ るとの認識を説いた29。 スプラウ トの学問的関心は「社会におけるパワーの研究」の中で も、とりわけ「ポリテイカル・パワーの解明、パワーの基盤、世界政治において変化する パワーのパターンの研究」に向けられたのである20。

4)「軍事的含意」が強調 される「アメリカにおける一般的用法」

だが「パワー」 という言葉は、アメリカでは「戦聞的な言葉 (aghting WOrds)の ひと つ」 として捉えられがちであ り、「パワー」が「アメリカにおける一般的用法において、

しばしば革事力そのものを意味 し、あるいは少なくとも軍事力の本質である強制ないし強 制の脅 しなどの『軍事的合意』が強調され、説得や妥協 といった要素が過度に軽視 される 傾向にある」ことから2の、スプラウ トは、「パワーが、いかに注意深 く定義され擁護されよ うとも、国際政治現象の合理的な分析 を阻む、感情的な諸誘因 (emOtional triggers)に 引きず られる」 との認識を示 した

こうして、「戦聞的な言葉のひとつ」 として「軍事的合意」が強調される「アメリカに おける一般的用法」 と、 自らが「パワー」に与えた意味づけ (例えば、前述 したように、

1945年の編著で示 された、パワーの軍事力以外の広範な構成要素 とその行使をめ ぐる多様 な方策の存在の提示)との間の乖離を痛感 したスプラウ トは、分析用語 としての「パワー」

の妥当性に疑間を抱 くに至ったのである。

5)「パワー」に代わる用語の模索

そこでスプラウ トは、国家間の政治関係を解明する上で、より満足のい く分析用語を創 出する必要性 を説 き、「国際システムの中において、国家が及ぼす全般的ない し総体的な インパク トを考察するために、パワー以外の別個の用語を創 り出すことが有益である」と いう考えに達 した

スプラウ トは、パワー概念の取 り扱いについて、「パワーという用語 を国際政治の語彙 から完全に抹消することができたならば、より明らかに国家間関係 を考察できたかもしれ ない。 しか しこの用語は、深 く、そしてしっか りと根づいているので、今 日になってしま えば容易に根絶することはで きない」 と述べた上で、前段の議論を展開している。 こう したスプラウ トの主張は、これまでパワー概念の普遍的な分析的有効性 を信 じていたスプ ラウ トの苦悶の跡が感 じられ、万感の思いが込められた一節であるといえよう。

もっとも、スプラウ トは、パワー概念が「軍事的要素 と非軍事的要素のすべてを包摂す るのであれば、この概合は、ステー トクラフ トにおける至高価値 となる」 と指摘 している ように

、依然 としてパワー概念に期待感を抱いていたがゆえに、パワー概念を全面的に 拒否・否定せず、「軍事力が実際に効力を持つ ものであれ潜在的なものであれ、それが最

― ‑ 18 ‑―

(5)

も有 意義 な構 成 要素であ る と考 え られ る、要求 と反応 の諸 関係 を意味す る Fパワー』 とい う用語の使用 を今後、留保する」との結論に達 したのである

こうして、スプラウトは「パワーの軍事的意味合いが強調される」アメリカにおける「一 般的用法」を嫌いながらも、現実の趨勢に即 した形で、後述するように「パワー」を強制 暴力・威嚇的な政治関係に限定するとともに、自らの主張を十分に反映させた新 しい用語 の創出へ と向かったのである。

6)「パワー」「インフルエンス」の総称 としての「ポテンシャル」

こうした経緯か らスプラウ トは、「パワー」を「強制や暴力、威嚇がその本質を占める と思われる政治関係」に限定 し、「暴力ない し威嚇 とはさほど関わ りを持たない効果」を 意味する「インフルエンス」 という用語に紺置させた。 しか し、この 2つ の用語の厳密な 区別は、ステー トクラフ トにおける「要求一反応」関係が広範囲に及ぶがゆえに意味を持 たないとの認識から、双方の意味を含む「第 3の 用語」 として、物理学から「ポテンシャ ル」なる用語 を借用 した。

この「ポテンシャル」 は、物理学において、「顕在化 し観察 しうる圧力、牽引力、引力 のように、ある物体が他の物体に与える効果」を意味 し、そこか らの類推 として、スプラ ウ トは「ある政治共同体の行動 もしくはその存在が、他のそれの行動に及ぼす総体的な効 果」を意味する「ポリテイカル・ポテンシャル」

(あ

るいは単に「ポテンシャル」

)な

る概 念を導 き出した。この「ポテンシャル

Jは

、具体的には「他国の行動に与える総体的な効 果」 を指 し、「国際社会の構成員間で、誰が誰に影響 を与えるのか、あるいは誰が誰に従

うのかといった総体的なパ ターン」を示す ものとされた

7)よ り個別的で特定的な概念 としての「ケイパビリテイー」の提起

だが、この「ポテンシャル」 という用話 も、「パワー」 と同様に「極めて多義的な概念」

であ り、相互に作用 し合っている政治共同体の「ポテンシャル」を制約する「人間的要素 ないし非人間的要素Jが「国家間の政治関係」に与えるインパク トを考察する上でも3り また「過去 と将来の Fポテンシャル』の分布 を説明・予測する」上でも、「特定の用語を 持つことが有益である」 と認識 したスプラウ トは、より個別的で特定的な意味を付与 した

「ケイパビリテイー」なる概念を提起 した。スプラウ トは、ケイパ ビリテイー概念の発展 可能性について、「ケイパビリテイーズ (capabilities)[複数形

]は

、国家内比較、国家間 比較、時代的比較、あるいは機能ごとの比較が可能であるJと説いた。ちなみにスプラウ トは、この複数形のケイパ ビリテイーズを、個別的・特定的な内容をさす場合に使用 して ヤヽる35)。

スプラウ トは、ケイパビリテイー概念の定義づけを念頭に置 きつつ、パワー概念 との関 係 について、「パワー概念が、強制力だけでなく影響力 までも包摂 し、他国の行動に影響 を与える国家の力量 (state's capacities)の 総体 として定義されるのであれば、それは限 りな くケイパ ビリテイーの意味に近づ く」 と述べている30。 この点か らも分かるように、

ケイパ ビリテイー概念は、パワー概念の再解釈の試みの過程で、スプラウ ト自身の主張を 十分に反映 した新たな用語 を模索する中で生まれた概念である。その意味において、両者 は概念的な属性を共有 しているといえる。

―‑ 19 ‑―

(6)

2.パ

ワー概念再解釈の試みと「エコロジカル・パラダイム」の有機的運関

(1)パワー概念再解釈の試みの結実 としての「エコロジカル・パラダイム」

それでは、このようにケイパビリテイー概念の創出へ と至ったスプラウ トにおけるパヮー 概念再解釈の試みは、国家の対外政策行動の升紙 枠組みとしての「エコロジカル・パラダ イム」 といかに有機的に結びつき、その完成を見るのであろうか3の。その有機的連関は、

以下に見 るように、スプラウ トによるパワー概倉再解釈の試みによって創出されたケイパ ビリテイー概念が「エコロジカル・パラダイム」において媒介的役割を果たすことによっ て達成されることになる。

スプラウ トによれば、ケイパ ビリテイー概念をめ ぐる議論は、その国家が関与 している

「要求一反応」関係の中で、他国のそれ との相姑化のうちに展開されるべ きであると説い 30。 このようにスプラウ トは、ケイパビリティー概念に「国力を評価 し、比較するため の信頼で きる方法論」を構築するための鍵概念 としての役割を付与 したである3の

このケイパ ビリティー概念は、1951年の編著において、具体的なステー トクラフ トの枠 組み、つまり国家の対外政策行動の文脈の中で用いられるべ きである、とされた。この「ス テー トクラフ トの本質と技術

(art)」

に関して、スプラウ トは、次のように述べている。

「国力の相違、パワー関係、パワーの潮流 を知 り理解することは、ステー トクラフ トの本 質である。 しかしなが ら、この点はしばしば無視 され、蔑まされてきた。…ステー トクラ フ トの技術 は、その9割が直感 と即興である。これ らの特性は、間違いなくステー トクラ フ トの中に入 り込んで くる。 しか し、直感 と即興だけが、決定 と政策を構成する素地を提 供するわけではない」40。 そこで、スプラウ トは、「当てずっぽうな判断 (guesswoI・k)を らし、信憑性のある判断基準を構築するための基本的な準備」 として、1951年の編著にお いて、「国家のケイパビリテイーズの問題を、あらゆる国家に適用可能な具体的な問いかけ に分解する必要性」を説き、次の 4つ のケイパビリティーズをめぐる問いかけを提起 した。

(1)実現可能な目的

(o荀

ect e)を設定するケイパビリティーズは何か

?

(2)ステー トクラフ トの手段 とテクニ ックとを効果的な戦略に結びつけるケイパビリ テイーズは何か

?

(3)ステー トクラフ トの手段を提供するケイパ ビリティーズは何か

?

(4)提供 された手段 を効果的に用いるケイパビリテイーズは何か

?

さらに、これらケイパ ビリテイーズをめ ぐる4つの問いかけは、次のケイパ ビリティー ズの 4つ の機能、すなわち、

(1)「

情報提供 (infOrmation― providing)機能」、

(2)「

意思決定 (decision̲making)機 能」

(3)「

手段提供 (means―prOviding)機 能」

(4)「

手段 利用 (meansぃutilizing)機能」にそれぞれ姑応 してお り、 これらは「いずれも効果的なステー

トクラフ トの本質的要素」 とされた

またスプラウ トは、1962年の著書において、これ ら4つ のケイパビリティーズの機能に 加えて、第 5の 機能として「相手の要求を回避 し、圧力に抵抗 し、攻撃か ら国を守 り、緊 張と破局の中で前進する能力」という「抵抗 (resistance)機能」を付け加えた

こうして、ケイパビリテイー概念は、「要求一反応」の相互作用の中で、目的、手段、テ クニック、戦略の選択などに作用するものとして、これらとの連関において機能的に捉え られるに至ったのである。このケイパ ビリテイー概念は、後述するように、1956年以降に 展開される、国家の姑外政策行動をめ ぐる分析枠組みである「エコロジカル・パラダイム」

―‑ 20 ‑―

(7)

の中において機能的な役割が付与 される。パ ワー概念再解釈の試みは、単 に「パ ワー」に 代わる代替用語の提示 にとどまらず、国家の対外政策行動 をめ ぐる分析枠組み と有機的に 結 びつ き、「エ コロジカル・パ ラダイム」 において、 より実質的な議論が展 開されるに至 るのである。

スプラウ トは、1962年の著書 において、「現実の冷静な理解の必要性」 を説 き、(1)国 政治の体系 的な研究 に関わる知的道具や知 的作業 についての考察、(2)問題点 についての 全体 的な形状 と構造 を示す概念ない し原理か らなる枠組みの提示、(3)国際政治 システム において国家戦略 と個 々のパ ワー、イ ンフルエ ンスに作用する様 々な要因の妥当性お よび 意義 を確認 しそれ らを類型化・判断す るための枠組みの提示、を自らの学問的使命 とした 40、 スプラウ トは、 これ ら自らに課 した使命 を「エ コロジカル・パ ラダイム」 として具 体化 させたのである。

「エコロジカル・パラダイム」におけるスプラウ トの着眼点は、

(1)「

個人の心理的行動 (psychological behavior)」 (2)政策作成に携わる政策決定者の「企て」(undertakings) と「決定」、

(3)「

決定が遂行 された末の帰結」 を意味する「オペ レーシ ョナルな結果」

(operatiOnal results)」 の 3点 に集約できる。 このようにスプラウ トは、 この「エコロジ カル・パラダイム」において、「従来のモデルにおいて省かれがちであった人間の営為」

とりわけ「個人の心理的行動」を分析枠組みの中に取 り入れようと腐心 したのである。

スプラウ トは、「認知J(perception)イ こ代表される一般化・抽象化 とは本来的に馴染ま ない「実体を伴わない人間的要素」(human intangibles)を 、分析枠組みの中に取 り入れ る余地を残 した。 このような試みが必要なのは、スプラウ トによれば、「分析する上で困 難極 まりない要素、つまり『実体を伴わない人間的要素Jが、国力の最 も重要な基盤のう ちのひとつである」との理由からである。スプラウトはこれを「詩的許容」(poetic hcense) の観点か ら説明した。「詩的許容」 とは、一般的に創作的効果のため規貝Jな どの破格が許 容 されることを意味 しているが、スプラウ トは、これを「一般理論

Jを

指向する「高 レベ ルの抽象化」のアンチテーゼとしている。スプラウ トによれば、「高 レベルの抽象化」は

「逆に事実の曲解のもと」であるとされ、モデル化の過程における「事実の単純化。一般 化の要請」に不可避的に付随する「事実の歪曲

Jを

避ける意味で、「低 レベルの抽象化」

を提唱 したのである441。

(2)国家の紺外政策行動の分析枠組み としての「エコロジカル・パ ラダイム」

こうした「エコロジカル・パラダイム」は、「国際政治における相互作用の諸パターン を記述・説明・予測する」ための、あ くまでも理念的な分析枠組みの提示であ り40、 国家 の対外政策行動の具体的な分析 (推)は、アクター間の相互作用 を説明・予測するパラ ダイム としての役 割 を担 った「認知行動論」(cognitive behaviorism)、「蓋然 論」

(probablism)、「可能論J(possibilism)の コンビネーションによって規定され、以下に詳 述するように「対外政策分析J(foreign policy analysis)と 「ケイパ ビリテイー分析」

(capability analysis)という2つ の視座から展開される。

スプラウ トはこの「エコロジカル・パラダイム」において、政策決定者の主観に着 目す る「姑外政策分析」と、政策決定者の主観にとらわれず、分析者の独立 した判断が要請さ れる「ケイパビリテイー分析」とをll■別 し、誤方のバランスのとれた分析 と相互補完を要 請 した。

‑21‑

(8)

まず「姑外政策分析」では、政策決定者が「いかに環境的諸要因を認知 し、政策の決定 に至ったのか」が問題 とされ、政策決定者が自ら認知 した「心理的環境」を意味する「サ イコロジカル・ ミリュー」(psychological milieu)イ こ内在する「機会」 と「制約」をいか に考慮 し「決定」に至ったのかについて、政策決定者の視点か ら推論される。政策決定者 の「心理的行動」を説明・予測する「姑外政策分析」の推論は、次のような手順で展開さ れる。

(1)「

汁外政策分析」では、「人間は自らの経験・必要性・願望に照 らして、環境に対 し て意識的に反応する」 という認知行動論の立場から、「政治的決定 とその後の行動 パ ターンとスタイルは、政策決定者の認知に基づいてなされる」と仮定される。

(2)「

姑外政策分析」において、政策決定は「合理性と論理性の観点」か らなされる「熟 慮の過程」 として描かれる。政策決定者は「自らが設計 した目的に向かって常識 的・合理的見地か ら政策決定に至るもの」 として仮定 され、政策決定者の「常識 的判断」が前提 とされる (常識モデル)。 また彼 らの「選択 と決定」は「『蓋然論』

的な調和の原則」か ら推論 される。

(3)分析者は、政策決定者の発言や行動などか ら、政策決定者のイメージや「心理的 環境」つまり「サイコロジカル・ミリュー」を間接的に記述 し、その状況や方向 性を推論する40。

また後者の「ケイパビリテイー分析Jでは、「対外政策分析

Jに

よって得 られた推論を、

より確かなものにするために、分析者が、政策決定者の視点か ら離れ第三者の立場から、

実存 している環境、つまり「オペ レーショナル・ミリュー」(operaional milieu)に 内在 し「決定が遂行された末の帰結

J(オ

ペ レーショナルな結果)に影響 を及ぼす「機会」や

「制約」 といった環境的諸要因とアクターとの相互作用についての検討がなされる。 この

「ケイパビリテイー分析」では、「環境的諸要因が、一国の対外政策行動にいかなる影響を 及ぼすか」が問題 とされ、「オペ レーショナルな結果」(必要であれば「決定」に至るまで の段階)が、次のような手順で、分析者の視点から考察される。

(1)「

ケイパビリテイー分析」の目的は「歴史的な事例」 もしくは「将来起 こりうる事 柄」の説明・予測である。「ケイパビリティー分析」では、特定の歴史的事実や将 来における「決定が遂行 された末の帰結Jと しての「オペ レーショナルな結果」

が説明・予測される。

(2)歴史的事例では「当該国家 によって実際に行使 された影響力が、いかにして行使 されたのか」が説明・予測 され、将来起こりうる事柄では「仮定 した特定の条件 において、国家が行使 しうる影響力、あるいは当該国家が果たしうる国際的役割」

などが前 もって評価 される。

(3)環境的諸要因は、たとえそれが政策決定者によって認知されなくとも、「オペレー ショナルな結果」に影響を及ぼすことから、ここでは、政策決定者の「心理的環境」

である「サイコロジカル・ ミリュー」 よりも、当該国家の周囲を港在的・暗黙的 に取 り巻 く「オペ レーショナル・ミリュー」における「機会」と「制約」の査定が 問題 となる。

(4)「

ケイパビリティー分析」は、分析者によって「可能論」的に推論 される「論理的 諸仮定J(logical premises)で あ り、「Aのような諸条件が特定されれば、Bの

―‑ 22 ‑一

(9)

うなことが多分起 こるであろう」 といった説明・予測がなされる。そこでは、い かなる環境的諸要因が妥当性を持ち、 またそれが当該国家の目的や戦略にいかに 関わるかについて、「『機会』 と[制約』のマ トリックス」の観点から、「可能論」

的に推論がなされる。

(5)その「可能性の範囲の限界」 を画定する国家のケイパ ビリテイーズの評価は、常 こ「予期される緊急事態」 を念頭に置 くなど、たえず何 らかの仮定の枠組み、つ まり、政策の目的、遂行 される戦略、当該国家の政治的諸関係などの「政策一有 事の枠組み」

(policy‐

contingency lramework)の 中で行われる。

(6)「

ケイパビリテイー分析」では、政策決定者の視座か ら離れた分析者独 自の判断が 要請 され、その推論の結論は「ほとんどの場合、考慮 される要因やそれぞれの要 因に付随する価値関係、さらには分析者によって異なる」ものとされる。なぜなら、

「ケイパビリテイー分析」は「本来的に完全なものではな く、観察された出来事か らの一般化の過程で派生する想像力のなせる業である」か らである

このようにスプラウ トは、以上の2つ の視座から構成される、国家の姑外政策行動を分 析する枠組みを提示 したのである。

この分析枠組みの中で、パワー概念再解釈の試みの過程で提起されたケイパビリテイー 概念は、常に「所与の事実、 もしくは仮定の枠組み」としての「政策一有事の枠組み」の 中で取 り扱われる必要性が強調 された。例えば、「中国のケイパ ビリテイーズについて語 る場合、中国政府が、いかなる姑抗勢力に対 して、いかなる手段 をもって、いかなる場所 で、いかなる時間をかけて、いかなる目的を達成 しようとしているのかについての主題の セットを設定 しなければ、意味を持たない」というように、「国家の統治者が、誰に対 して、

どのような手段 をもって、いつ、 どこで、何 を企てようとしているのか」 という具体的な 仮定が与えられることによって、はじめて相互に作用 し合っている諸国家の相姑的なケイ パビリテイーズの査定に移ることができる、とされたのである40。

こうして、ケイパビリテイ概念は、すでにケイパビリテイーズの機能、つまり「情報提 供機能」「意思決定機能」「手段提供機能」「手段利用機能」「抵抗機能」 として確認 したよ

うに、これら2つ の分析枠組みの中において、「アクターの『企て』ないしは『決定』」 と

「決定が遂行された末の帰結」に「機会」もしくは「制約」を与えるものとして、アクター と環境的諸要因との間の相互作用の中で機能することになる。機能的役割を担ったケイパ ビリテイー概念は、「姑外政策分析」において、政策決定者 によって認識されるものとし て「蓋然論」的に用いられ、また「ケイパビリテイー分析」においては、政策決定者の視 点か ら離れて、分析者による独立 した評価が、「『機会Jと 『制約』のマ トリックス」の観 点か ら、「可能論」的になされたのである。

さて、1951年の著書においてスプラウ トは、政策決定者ならびに姑外政策行動の分析者 に対 して、具体的なステー トクラフ トの枠組みの中でケイパ ビリテイー概念を議論すべ き であるとの主張を展開したが、その際に、双方が留意すべ き点 として、以下の事項を列挙

した。

まず他国について留意すべ き点として、次の7つを挙げた。

(1)諸国が切望する対外政策上の日標。

(2)諸国がわが国をも含む他国に対 して行 うであろう要求。

― ‑ 23 ‑―

(10)

(3)他国が 自らの要求を押 し付けようとする際に用いるであろう、手段 とテクニック の組み合わせ としての対外政策上の戦略。

(4)他国のパワー、すなわち他国のケイパビリティーズの正確な評価。

(5)わが国の反応をめ ぐる他国の期待。

(6)他国の世界に関する状況の定義。

(7)現実政治の趨勢。

また自国について留意すべ き点として、次の4つを挙げた。

(1)外交、宣伝、対外援助プログラム、同盟、軍事力によってもたらされるであろう、

われわれ自身の要求 と期待に関する批判的評価 (ctttical evaluaion)。

(2)自 己破壊的でな く実行可能な対外政策を定めるケイパビリテイーズ、ならびに採 用する目標 と戦略に必要な手段を提供するケイパビリティーズに関する批判的評価。

(3)予想 される結果についての現実的な評価。

(4)それほど危険ではない他の選択肢に関する考慮49。

こうした主張は、政策決定者に対 しては、政策の策定までに至る「心理的行動」におい て、スプラウ トが提示 したステー トクラフ トのチャー トにしたがって、ケイパビリティー ズのフォローアップを要請するものであ り、他方、分析者に対 しては、ステー トクラフ ト のチャー トにしたがって、政策決定者の視点から「対外政策分析」を行うとともに、「対 外政策分析」による推論をより確かなものにするために、分析者の視点から「ケイパ ビリ テイー分析」を行 うことを要請するものである。スプラウ トは、このような機能的な分析 を、政策決定者 と射外政策行動の分析者双方に求めたのである。 このようにケイパビリ テイー概念は、「姑外政策分析」において、政策決定者 によって認識されるものとして「蓋 然論」的に用いられ、また「ケイパビリティー分析」においては、政策決定者の視点にと らわれず、分析者の視点か ら「可能論」的に用いられることによって、国家の対外政策行 動の分析枠組みとしての「エコロジカル・パラダイム」に有機的に結びつけられたのであ

る。

これ ら2つの分析の視座 において、ケイパ ビリテ イー概念 は、 目的、手段、テクニ ック、

戦略の選択、あるいは実存する環境 としての「オペ レーシ ョナル・ ミリュー」などに関与 し、 また所与の 目的、手段、テクニ ック、戦略、あるいは政策決定者の「心理的環境」で ある「サイコロジカル・ ミリュー」などによっても影響 を受けるものとして、アクターと 環境的諸要因との間の相互作用において、コンテクス トごとに展開する媒介 として捉えら れた。

こうして、ケイパビリテイー概念は、この 2つ の分析レベルにおいて、政策決定過程と 政策遂行過程 (国家間の相互作用過程)とを結びつける「連結概念」 として、さらに政策 決定者 と分析者によって共に意識される「共有概念」 として、機能的な役割を果たしたの である。こうした 2つ の分析 レベルを設定 した、スプラウ トによる国家の対外政策行動の 分析枠組みは、ひとつの現実を複数の分析 レベルか ら多角的に捉えようとする、いわばブ レーンス トー ミング的な複眼的思考の試みであり、決して「ひとつの解答を求める」もの ではなく、「蓋然論」的なものと「可能論」的なものとの知的姑話の中から、将来の政策 立条への寄与 をも念頭において、複数の政策の選択肢 を提示 しようとする試みであったと 結論づけることができる。

―‑ 24 ‑―

(11)

おわ りに

以上、本稿では、スプラウ トによるパ ワー概念再解釈の試みが、彼 らの国家の対外政策行 動の分析枠組みの構築にいかに有機的に結びつけられてい くのかについて考証することを通 じて、スプラウ トにおける対外政策研究を再検討 して きた。次稿では、こうしたパ ワー・ア プローチ によるスプラウ トの対外政策研究の学問的意義について考察する予定である。

1)例

えば、拙稿「アメリカ国際理論研究におけるパワー論の登場(2)‑1930年代一」『早稲田政 治公法研究』第48号1995年2956頁、拙稿「アメリカ国際理論研究におけるパワー論の登場 (3)‑1940年 代前半―」『早稲田政治公法研究』第50号1995年3362頁、拙稿「アメリカ国際 理論研究におけるパワー論の登場(4)―パワー論の分類 とその確認―」『早稲田政治公法研究』

53号1996年149‑171頁、拙稿「国際理論研究におけるパワー概念の『アメリカ的受容』

(2)

―パヮー論をめぐる7潮 流―」『総合政策論叢』第 2号 、2001年2342頁、拙稿「国際理論研究 におけるパワー概念の『アメリカ的受容』(3)―パワー論争の多元化 と収敏一」『総合政策論叢』

第■号、2006年27‑46頁、拙稿「国際理論研究におけるパワー概念の『アメリカ的受容J(4) 一その意義一」『総合政策論叢』第13号2007年6181頁、参照。

2)拙稿「スプラウトにおける封外政策研究の再検討の試み(1)一その国際政治学の理論体系に注 目して一」『北東アジア研究』

(島

根県立大学北東アジア地域研究センター)第1号 、2001年 43‑56責。以下、拙稿① として言及する。

3)拙

稿「スプラウトにおける対外政策研究の再検討の試み(2)―パワー概念の覚醒と受容の観点 から一」『北東アジア研究』

(島

根県立大学北東アジア地域研究センター)第2号 、2001年147

159頁。以下、拙稿② として言及する。

4)]王 arold Sprout and  largaret Sprout,eds,,Fbレ

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Poι

,cs,New York:D.Van Nostrand,1962,p.139,

5)Harold Sprout, In DeFense of Diplomacゝ "蘭br,,fbJカθs,Vol l,No.3,1949,pp.404‐ 413 6)H.Sprout and M.Sprout,op.o,サ

.,1962.

7)1■arold Sprout and  argaret Sprout,Aん βcοJο

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J PoJ'ι

'cs,New」

ersey:Center of lnternational Studies,Princeton Universit湧

1968.

8)「 パワー」

(国

力)と いう用語は、1951年以前の時期においても常套語的に用いられていたが、

1951年に出版された1945年の編著 (Har01d Sprout and Margaret Sprout,eds.,コο

,れ 'α

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ιtt New Vork:D.Van Nostrand,and New」 erseyI Princeton Un ersity Press,1945.)の 2版にお い て は、新 た に

The Anatolny of Power"とい う独 立 した章 が 設 け られ、体 系 的 なパ ワー論 が初 めて展 開 され る に至 っ た。 そ こで は 「 国力 」(national power)の定 義 と して、「 他 国 に対 して、 望 ま しい 目的 を達 成 す る た め の一 国 の トー タル な ケ イパ ビ リテ イー」 と定 義 され た (Harold Sprout and

Iargaret SprOut,eds,Foレ

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S9c,r,軌 2nd ed.,New York:D.Van Nostrand,1951,pp.39‐

43.)。

9)H.SprOut,op.cit,,1949,pp.404‐ 413

10)IIarOld Sprout and Margaret Sprout,  Environmental Factors in the Study of

lnternational Politics,"jο

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,Vol.1,No.4,1957,pp.309‑328, 11)H,SprOut and M Sprout,op.c力

.,1962.

― ‑ 25 ‑―

(12)

12)H Sprout,Op cit,1949,pp 404‑413 13)H.Sprout and M.SprOut,Op.c力

.,1951.

14)Harold Sprout, Political Geography as a Political Science Field,"空 ん9Aれぞれ

Fb'力 ,cα

,

Sc,9れ

c9R9υ,9滉

Vol.25ゥ

No.2,1931,pp.439‑442.

15)Harold Sprout and Margaret Sprout,雄 儀れ―〕r,J,9,R9Jαサο

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cs, New Jersey: Center of lnternational Studies,Princeton UniversitЙ  1956

16)H.Sprout and M.Sprout,op.cit,1957,pp.309‑328 17)Ho Sprout and M,Sprout,op.c力

.,1962.

18)拙 稿②152買、参照。

19)H.SprOut and M Sprout,οp.c'サ.,1945,p.4 20)H.SprOut and M.Sprout,op.o'サ .,1962,pp■37‐

138.

21)fb,J.,pp■

38‑140.

22)Ho Sprout and M,SprOut,op.o,ι.,1951,p.105,

23)H.Sprout and M.Sprout,Op.c力.,1962,pp.139‑140  スプラウ トは「要求」 と「反応」に見 ら れ る多岐 にわたる様 々な レベ ルについて、次 の ように指摘 している。「要求」は「命令 的 な もの か ら、極 めて特定的な もの、 さ らには曖味で漠然 的 もの まで多様で」あ り、 また「反応」 も「友 好 的 な ものか ら、渋 々応 じる もの、 さ らには総力 的 な抵抗 に至 るまで様 々な段 階が存 在す る」

とされた (rbケo.,pp.139‑140)。

こうした「要求―反応」の相互作用において様々なレベルに注目する必要性を説いたスプラ ウ トの指摘には、パワーの「行動関係」に注目したスプラウトの考え方がよく出ているといえる。

24)rb,,.,pユ39 25)rb,,.,pユ

36.

26)H Sprout and M.Sprout,op c力,1951,p,761 スプラウ ト国際政治学の着眼点は、(1)国の強 弱 の源泉 は何 かについての考察、

(2)国

際社会 にお けるパ ワー とインフルエ ンスの諸パ ター ンの 究明、

(3)こ

のような諸パターンの時系列的変化の考察、の3点に基本的に集約しうると思われ る。この点については、拙稿②のとくに4849頁 、参照。またスプラウト国際政治学の骨子につ いては、H.Sprout,op.cit.,1949,pp.405‑40鏡 拙稿①44‑45頁、参照。

27)Ibid.,p.408;H.Sprout and M.Sprout,op.c,サ ,1962,p140,pp.157‑158 28)H.Sprout,op.cit,1949,p.408

29)H,SprOut and M,Sprout,9p.o'ι .,1962,pユ

40,pp.157‐ 158.

30)rb,o.,p工

19.

31)コ党J.,p■

19.

32)rbj,,p.140,p.158 もっとも、このような「留保」は、スプラウ トが「パワーJを軍事力 と同 一視するに至った、ということを意味 しない。それは、(1)パワー概念の再解釈の試みを展開 し 始めた初期段階、つまり新たな分析用語の模索期 において、パ ワーが括弧つ きで「パ ワーJと

言及 され、 きわめて慎重な議論が展開されている点、

(2)「

再解釈」がすでに開始 されている時 期である1951年 の編著において、「国力は、軍事力ないし軍事的な潜在力を意味するだけでなく、

交渉力、バーゲエング・パ ワー、非軍事的な圧力 を行使する力量

(capacity)、

国外か ら行使 さ れるこれ らの圧力に対抗する力量をも意味する」 といったスプラウ トの指摘か らも容易に確認 す ることができるように、パ ワーの多様な行使の諸パ ター ンが確認された「再解釈」以前のパ ワー論が、「再解釈」開始後にも継承 されている点、

(3)ス

プラウ トが依然 としてパ ワー概倉 に

―‑ 26 ‑―

(13)

対 して期 待 感 を抱 い て い る 点 、 か ら も裏 づ け る こ とが で きる (H Sprout and M Sprout,

op.o,サ

.,1951,p39,p.111)。

33)]■.SprOut and M.Sprout,op.cと ,1962,p■ 58,pp■ 62‑163;Harold Sprout and Margaret Sprout, Retreat from World Power:Processes and Conceqtlences of ReadiuStment,"VorJα

Poι

,チjθtt Vol.15,No.4,1963,pp.657‑658,ス プラウ トは、 この「ポテ ンシャル」 とい う用語 の使 用 に際 して、 これ は「潜在 力」 (latent capacity)を 意味す る もので はな く、「物 理学 にお ける 用例 か らの類推」であ る点 を強調 してい る。

34)H Sprout and A江 .Sprout,9p c力 ,1962,p■63 35)rb,,。 ,pp.167‑174.

36)H.Sprout and M Sprout,op cit.,1957,pp.324‑327,

37)筆者 は、すでに拙稿① において、スプラウ ト国際政治学 の理論林系 を取 り上 げる文

LFRに

おいて、

スプラウ トが提起 した「エ コロジカル・パ ラダイム」 とその実体である「対外政策分析」 と「ケ イパ ビリテ イー分析 」 につ いて取 り上 げたが、 本稿 では拙稿① との部分 的重複 を承 知 の上 で、

スプラウ トに よるパ ワー概念再解釈 の試み との有機 的連 関 を考証す る

(拙

稿①5154買、参 照)。

38)H.Sprout and M.Sprout,9p c力 ,1962,p.164.

39)H.Sprout,op.cit.,1949,p.410.

40)H,SprOut and M SprOut,oP,c'チ ・,1951)p■

05,

41)rbl口

,pp.105‐

108

42)H.Sprout and Mo Sprout,op.c力 .,1962,pp.167‑174  ケイパ ビリテ イーズの第 5の 機能である

「抵抗機能」 は、1971年 の著書 で は、「 上記 の4つの類型 には当ては ま らない、 その他 の機能」

と再度改 め られた (Harold Sprout and Margaret Sprout,Topα ′J α

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rサん,New York:D.Van Nostrand,1971,pp 176‑185.

43)H.Sprout and M Sprout,oP,c'サ .,1962,pユ4

44)]■,SprOut and WI.Sprout,op.c,チ .,1951,p工 10;H Sprout and WI Sprout,op cit.,1957, pp.310‑311;]■,Sprout and WI.Sprout,oP c'チ ,,1962,p49;]王 ar01d Sprout and Margaret Sprout,Tん

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,cs,New」erseyi Center of lnternational Studies,Princeton lJniversitゝ 1965,p.8,pp.26‑27;]■.SprOut and Sprout,9p c'サ .,1968,p4,p.17,p.21,p.63

45)H Sprout and M.Sprout,op.c'ナ .,1968,pp 7‑8,p21,p.62

46)H.Sprout and M.Sprout,op.cit,,1957,pp.314‑326;H Sprout and M Sprout,ψ c'ι,1962, p.163,H.Sprout and M.SprOut,op.c,ι.,1965,p140お よび‡出稿①51‑54買、参照。

47)H Sprout and M.Sprout,op.cit.,1957,pp.310‑326,H.Sprout and M.SprOut,op.c力

.,1962, p.165;]■

 Sprout and山。Sprout,op.c,ι ,1965,p.33;H Sprout and WI.Sprout,9p c'歩 ,1968, p.35,pp.63‑64お よび拙稿①5154頁 、参照。

48)]■ Sprout and WI Sprout,op.cit,1957,p.310;H.SprOut and WI,Sprout,9p.c'サ ,1962, p.164,H.Sprout and Wf.Sprout,op.c'サ ,1968,p.35,

49)H.SprOut and M SprOut,oP c'サ .,1951,p.

キーワー ド:スプラウ ト  国際政治 対外政策 政策決定 パ ワー 権力

―‑ 27 ‑―

(AKASAKA IChinen)

(14)

参照

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