NII-Electronic Library Service
證
空
教
学
に
見
る
名
目
の
理
解
ー
観
門
の意
義
1
ー
N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
高
城
宏
明
一 、 はじ
め
に 日 本
仏
教 思 想 に お い て 、 従来
の 国家
的 、 又 、 氏族
中 心 の 仏 教 を 一転
し て 民 衆 の 仏 教 と し た の は 、 言 う ま で も な く 法 然 上 人 ( 以 下 、 法 然 と す る ) で あ る 。 そ の 法然
を 師 と し 、 か れ の教
学 を 継 承 し た門
弟 は数
多
く あ る が 、中
で も ひ と き わ す ぐ れ た 学匠
の 一 人 が 、 證 空 上 人 ( 以 下 、證
空
と す る ) で あ る 。 證 空 は 、建
久 元年
、 十 四 歳 で 法 然 の弟
子 と な り 、 そ の後
、 二 十 三年
に わ た り 師事
し 、 法 然 の 説 く 念 仏 往 生義
を熟
知 し て い た も の と思
わ れ る が 、 法 然 の 入寂
に と も な い 、 師 の 教 学 を い か に 受 け継
ぐ か は 、 他 の 門 下 同様
重 大 な 問 題 と な っ た の で あ る 。 證 空 の教
学 は法
然 と 同 じ く 念 仏 往 生義
を 説 い た も の と 言 え る が 、 法 然 の 説 く 本 願念
仏 を 継 承 す る と 同 時 に 新 し い 釈義
を も 施 し た 證 空 独 自 の 本 願 念 仏 説 を 展 開 さ せ て い る 。 證 空 教学
を み て 行 く 場 合 、 か れ の 使 用 す る特
殊
名 目 を 切 り離
す こ と は で き な い で あ ろ う 。 事 実 『観
経 疏 自筆
御鈔
』 を は じ め と し た か れ の 著作
に は 、 そ れぞ
れ特
有
の 名 目 が 用 い ら れ て い て 、 こ の 点 が非
常 に 難 解 と 言 え る の で あ る が 、 言 い か え れ ば 、 こ の 特 殊 名 目 を 通 し て こ そ 、 本 当 の 意 證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 一1
一西
山 学 報 味 で の 證 空 教 学 を 理
解
す る こ と が で き る の で あ る 。 そ こ で 本稿
に お い て は 、 従来
よ り 行 門 . 観 門 . 弘 願 の 三 門 と さ れ て い る 特 殊 名 目 を と り あ げ 、 中 で も観
門 を そ の中
心 と み て 、観
門
の 意義
を 明 ら か に し、 又 、 い か な る 目 的 で 證空
が こ の よ う な 名 目 を 用 い た か に つ い て述
べ る こ と に す る 。 二 、観
に つ い て 本 稿 は 證 空 教 学 に お け る 観 門 の 意 義 を 明 ら か にす
る も の で あ る が 、 こ れ を究
明 す る に は 、 證 空 の 「 観 」 に 対 す る 解 釈 を 理 解 す る 必 要 が あ ろ う 。 一 般 的 に 「 観 」 と 言 え ば 、「 止 」 に
対
す る 言葉
で あ る 。「
観
」 は サ ン ス ク リ ッ ト で い う ヴ ィ ハ シ ャ ナ ( く 甘駄
《 帥,温
)で あ り 、
毘
鉢舎
那 と 漢 訳 さ れ る 。 又 、 新 訳 で い う と こ ろ の 「 伺 」 の 意 に も 用 い ら れ 、 観 念 . 観 察 .観
想 . 観 心 な ど と 熟 語 さ れ る も の で あ る 。 こ こ で諸
経 論 に 説 か れ る 一 般 的 な 観 に つ い て少
し み て お く こ と に す る 。 『 雑 阿 含 経 』 に ほ 、 云何
. 無食
毎
” 謂 . 比 丘 ,離
欲
氈
悪
不善
法宥
覚 有隅
離
、 生喜
装
初
禅
具 足 . 住. . と あ る 。 有覚
( ω 餌 「 一 齢 螢 『 オ 節 )・ 有 観 ( ω 四 ≦
$
「 ) と は 、 文 字 ど お り 「 覚 」 と 「 観 」 を 有 す る こ と で あ り 、 恵 力 に よ っ て尋
求 す る 作 用 を 「覚
」 、 伺察
す る 作 用 を 「観
」 と 言 う の で あ っ て 、 さ ら に こ の 場 合 「 覚 」 は 麁 、 「 観 」 は 細 と 取 り 扱 わ れ る か ら 、 こ こ で い う 「 観 」 は 細 か な分
別 心 と 云 え る 。 『 出 三 蔵 記集
』 序 巻 、第
六 に は 、 還翫
其 身頁
頭免
. . 足 、 反穰
察 、 . 、 内 體 , 汚露
、 .嚢
. 毛 . 堅 、 、猶
壟
.膿
觀
於斯
. 具、里
、 天 地 人凱
其
,臨
. . . . 若 ”衰
ル . 無 コ存
ス ル 。 . . . 不 内 亡 . 信 ⊃佛
. 三寳
→ 衆 冥皆
明 . . . . 謂 コ 之 , 四禅
→ 也NII-Electronic Library Service と し て、
『 安 般 守 意 経 』
序
に お け る 「観
」 即 ち 、 数 息 観 の 第 四 段 階 の 「 観 」 を あ げ て い る 。 数 息観
と は 呼 吸 を 数 え て 心 を 静 め る 方 法 で 、 五停
心 観 の 一 つ であ
り 、 数 ・ 隨 ・ 止 ・観
・ 還 ・浄
の 六 種 の 段 階 に 分 け ら れ る も の で あ る 。 天 台 に お い て ぱ 、 観 法 と し て の 三 種 の 止観
を あ げ る こ と が で き よ う が 、 こ こ に い う 「観
」 は 妄 想 な ど に よ る 散 乱 が と ま り、真
の 智 恵 が 現 わ れ 、諸
法 の 真実
相 を 観 察 す る も の と さ れ 、 . 切 の 心 想 を や め 無 念 に 住 す る 状 態 で あ る 「 止 」 に 対 せ ら れ る も の で あ る 。 詳 し く 述 べ る こ と は 控 え る が 、『 摩 訶 止 観 』
第
三 に 説 か れ る 「 観 の 三 義 」 な ど は そ の 例 で あ る 。 以 上 の よ う に 、 一 般 的 に 「 観 」 と 言 え ば 、 真 理 を 観 じ 、 心 静 か な境
地 で 対 象 の あ り の ま ま を 正 し く な が め る こ と で あ る 。 大 ぎ く は 理 観 と事
観 に 二 分 す る こ と が で き 、 抽 象 的 な 真 理 を 観 じ る 理 観 に 対 し て 、 世 親 の 『浄
土 論 』 、 曇 鸞 の 『往
生 論 註 」 に 説 く と こ ろ の 三 厳 二 十 九 種 の 荘 厳 観 察 や 『 観 佛 三 昧 海 経 』 第 二等
に 見 ら れ る 九想
観
、『 往 生 要 集 』 に 説 か れ る 別 相 ・ 総 相 ・ 雑 略 の 三
観
な ど 具 体 的 な 仏 ・菩
薩 の す が た 、 浄 士 を 観ず
る 事 観 を 意 味 す る こ と も あ り 、 先 に も 述 べ た よ う に 観 察 ・ 観 念 ・ 観 法 ・観
心 修 行 な ど と熟
語
さ れ る の で あ る 。 で は 善 導 ば 「観
」 を ど の よ う に 考 え て い た の で あ ろ う か 。 次 に 、善
導
の 五 部 九 巻 の 内 、『 観 経
疏
』 に見
ら れ る善
導 の 「 観 」 に つ い て 述 べ る こ と に す る 。 浄 土 教 の 成 立 を 通 じ て 、 そ の実
践 法 を 考 え る と 、 ま ず 聖者
中 心 か ら 凡 夫 を 中 心 と す る も の へ の変
化
を窺
い 知 る こ と が で き よ う 。 又 、 念 仏 に つ い て も 観念
と 称 名 を 対 比 さ せ て 、 そ の い ず れ を 勝 れ た も の と 考 え る か に 差 異 を み る こ と も で き る で あ ろ う 。 こ こ で 今 少 し善
導
を さ か の ぼ っ て み る に 、 『論
註 』 に お い て曇
鸞 は 五念
門中
、観
察
と 称 名 に 関 し て 、観
察
を 主 た る も の と し 、称
名 は あ く ま で 傍 意 の も の と し て い る 。 又 、 道 綽 は そ の著
『安
楽
集
』 に お い て 末 法 思 想 を う け 、時
教 相 応 の 必 要 を 述 べ 、 も し 時 機 に 教 法 が適
合 す れ ば 修 し 易 く 悟 り も得
や す い と し 、教
法
が 時 機 に 證 空 教 学 に 見 る 名 口 の 理 解 一3
一 N工 工一Eleotronlo Llbrary西 山 学 報
相
応 し な け れ ば 修 し 難 く悟
り 難 い も の に な る と し て、念
仏
の 一 行 を 浄 土往
生 の 行 と す る 。 さ ら に 、 又 、『 安 楽 集 』
巻
上、第
一 大門
に ル 属 ノ ハ チ ! リ 「丶 ー テ ヲ ノ ノ ニ ク レ ン ノ テ 出 ス ノ ヲ ノ 之 ス レ ハ 計今
時衆
生 即當
二 佛去
レ 世後
第 四 五 百 年 一 正是
懺
悔
修 福 應 レ 稱 二 佛名
號 一 時 者 。 若 一念
稱
二阿 彌
陀
ヲ チ ク ス ノ ヲ 佛 一 即能
除 二卻
八 十 億 劫 生 死 之 罪 一 と し て 、称
名 に よ る 滅 罪 を 説 く こ と も 注 目 す べ き こ と で あ る が、 反 面 、念
仏 三 昧 を 説 く に あ た っ て は 、『 観 佛 三 昧 経 』 、 『 般 舟 三 昧 経 』、 『
華
厳 経 』等
、観
念 念 仏 を 主 に 説 く 経 を 引 用 し て お り 、 こ の こ と か ら し て 道 綽 に お け る 念 仏 は 、観
称 そ れ ぞ れ に意
味 を 持 た せ た も の と考
え ら れ る の で あ る 。こ れ に 対 し 善
導
は 『 観 経 疏 』 玄 義 分 に お い て 、 ハ ア テ ワ ス テ フ ス ト ニ ァ テ ス ル ヲ ニ ス ト今
此 観 経 即 以 二 観 佛 三 昧 一 為 レ 宗 。 亦 、 以 二 念 佛 三 昧 一 為 7宗
。 → 心 廻 願往 二 生 浄 土 一 為 ド 體 と し て 、 『 観 経 』 の 根 本 的 な 要 旨 を
観
仏 ・念
仏 の 両 三 昧 と 規 定 す る 。 そ し て、 そ の後
、 日観
よ り雑
想
観
ま で を 定善
十 三 観 と し て 、 こ の 依 正 二 報 を 観 想 す べ き こ と を 説 く の で あ る 。 し か し な が ら 、 こ こ で い う観
想 は諸
教
に 説 く と こ ろ の 聖 者 中 心 の観
法 を 指 す も の で は な い 。 故 に 、 今 述 べ た 「 観 佛 三昧
為
宗
。念
佛 三 昧為
宗 。 」に つ い て も 、 善
導
が観 仏 ・ 念 仏 を 同
時
に 修 す こ と を 認 め る こ と を 表 わ し て い る の で は な い の で あ る 。 即 ち 、『
観
経 疏 』 玄義
分
、 釈 名門
に お い て 、 ノ も ニ テ フ テ シ テ ヲ ス ノ ヲ 言 〆 観 者 照 也 。常
以 二浄
信 心 手 一 以持
二智
恵 之 輝 一照
二彼
弥
陀 正 依 等 事 一 と い い 、 「 観 」 を 照 と す る 。 つ ま り 、 煩 悩 を 去 り、 お ご る 心 を お さ え 、 常 に 深 く 信ず
る 心 を持
ち 、智
恵 を も っ て 阿弥
陀 仏 の 依 正 二報
を 照 見 す る こ と を 「 観 」 と す る の で あ る 。又
、『 観 経 疏 』 定 善 義 に は 、 ノ ハ ゾ ヲ テ γ ヲ ア ヲ ノ ム ヲ テ サ ヲ ニ ヲ 玉 フ ノ ノ テ ヲ ス ヲ 今 比 観
門
等 、唯
指 〆方
立 〆 相 住 〆 心 而 取 レ境
総 不 レ明
二 無 相離
念 一 也 。 如来
懸 知末
代
罪
濁
凡 夫 立 γ 相 位 〆NII-Electronic Library Service ヲ ノ ハ ル コ ニ ヤ テ フ メ ソ 心 尚 不 レ 能 レ
得
何 況離
〆 相 而 求 〆 事 者 。 と し て 、 こ こ に 指 方 立 相 論 を展
開 し 、 末 世 五 濁 の 凡 夫 に と っ て 、 か た ち あ る 対 象 す ら 想 念 す る こ と が 困 難 で あ る の に 、 ま し て 無 形 の 対象
を 観 想す
る こ と な ど 到 底 不 可 能 な こ と を述
べ て い る 。 ゆ え に 善導
の 『 観経
疏
』 に あ ら わ れ る 「観
」 は 諸 師 の 説 く 聖 者 中 心 の 定 心 観 を 言 う の で は な く、凡
夫 相 応 の い わ φ る 散 心 に よ る 観 法 を 勧 め て い る も の と 考 え ら れ 、 こ こ に諸
師 、 す な わ ち 、 浄 影 慧 遠 、 天台
智 頻 、嘉
祥
吉
蔵 等 と 善導
に お け る 『観
経 』 に 対 す る 解 釈 の 差 異 を み る こ と が で き る の で あ る 。 こ の よ う に 「観
」 は 一 般 的 に 観察
・ 観 想 ・ 観 念 と 熟 語 さ れ 、 真 理 を観
じ 心 静 か な 清 ら か な 境 地 で 対 象 の あ り の ま ま を 正 し く な が め る こ と と さ れ る の で あ る 。 そ し て 、「 観 」 の
対
象
は 時 に抽
象
的 真 理 と な り 、又
、 時 に は 具 体 的 具 象 的 な仏
や 菩 薩 、浄
土 の 荘厳
な ど に も な る の で あ る 。 け れ ど も 、抽
象 的 な真
理 を 観 ず る こ と は 、 聖 道 を 修 す る 者 に と っ て も 成 じ 難 き行
法
で あ り、 具体
的
な 対 象 を 観 ず る と い っ て も 罪 悪 生 死 、 煩悩
具 足 の 凡 夫 に は 到底
修 す こ と が で き る も の で は な い 。 ゆ え に 、 こ れ ら 凡夫
に と っ て 自 力 の 観法
に よ る 得 証 な ど望
め る も の で は な い と 言 え よ う 。 證 空 は 師 ・ 法 然 の 教 え を う け、 本 願 念仏
の → 行 を 唱 え 、 こ れ ら 凡 夫 の 住 生 を 説き
明 し て い る 。 け れ ど も 、 そ の 立 場 は 法 然 が称
名
を 重 視 し 、廃
立 を 主 張 し た も の と は 異 な り 、 證 空独
自
の 「 観 」 に対
す る 解 釈 よ り 説 か れ る と こ ろ の 本 願念
仏 で あ る 。 そ れ ゆ え 、今
『 観 経 』 に 説 か れ る 十 六 観 に つ い て も 、浄
影、 天 台等
聖 道 諸 師 が 十 六観
共 に 正 受 と し、 十 六観
を 悉 く 三 昧 を得
る 為 の 観 法 とす
る に 対 し、 前 十 三 観 を定
善
、後
三 観 を散
善
と し 、 散 善 中 、 下 品 に 説 か れ る 念 仏 を 弘 願 に 配 し て 非定
非散
の 弘 願 念 仏 を説
い た 善導
の 意 を う け る と 同 時 に 、 さ ら に 考 え を す す め て い る 。 す な わ ち 、 『観
経
疏
他筆
鈔
』巻
中 に 、 ニ ニ テ ニ シ テ ワ サ ン ナ ル ニ ヲ ニ ス ル ヲ テ ノ ニ ク ク ト パ フ モ 殊 此 門為
下 料 二簡
定 散 一 顕 中 異 二 諸 経一 謂 上 故 料 二 簡 定 散 両門
一 也 。替
二 諸 経 説相
一 定 散等
名 レ 観 。 或 云 一 二 定 散 證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解5
Nヱ エーEleotronlo Llbrary西 山 学 報 ク ニ テ ス ト ヲ ニ テ シ 等 能 詮 顕 二
念
佛
一 此 門可 二 意 得 司 と し て 、 聖 道 諸
師
の 説 く観
法
の 「 観 」 で は な い が 、 こ こ に 定 散 二 善 を と も に 「 観 」 と す る 。 又 、 同 じ く 『 他 筆 鈔 』巻
上 に は 、 ト ノ ナ リ テ コ ス ヲ ニ ソ ニ ス ト ヲ 定善
者 、韋
提 所請
定善
。 就 二 比 善 一 顕 二 示 観 之 観 一 故 云 二定
善 示 フ 観 也 。 と し て 、「
定
善
示
観 」 を 「定
善
の 観 を 示 す 」 と せ ず に 、 「 定善
に 観 を 示す
」 と 訓 じ て定
善
を 観法
の 意 と し な い こ と が 窺 え る の で あ る 。 又 、『 観 経
疏
六角
鈔
』 に お い て 、 了 音 は 、 義、 云盛
, 者能
観 ・ 此 経 正 宗 . 法 ・士
観
黌
・郵
此 観奮
・今
師 得 様 不 同 也 ・ 諸 師f
ハ 共。 定善
、肱
和 尚. + 三 . 定善
・ 三 輩. 散 善 , 押 .兌
. 而 . 観 , .互
定致
也 ・ 就 けζ
諸師
. + 六 共. 定 善 , 云 “覗
+ 六 共、靴
説 ,堪
. 也 。 諸 経 . 習 . 観 者 定 , 名 . . 故 也 ・ ( 中 略 ) 此裂
得
. 観 , 者 ・ 他 力 .観
,吃
上 、 所搴
. 観 共、巽
. . 也 。 と し て 諸 師 、善
導
、 證 空 の十
六観
釈 を 明 し 、 證 空 の 説 く 「観
」 を 他 力 の 「観
」 だ と す る 。 他 力 の 「 観 」 と は 、 諸 師 の よ う に 「 観 」 を 観 心 修 行 と す る の で は な く 、 一 々 の 「観
」 は 弘 願 を 顕 す た め の 「 観 」 、 具体
的
に は 「 示 観 縁 」 に・、 お け る
韋
提
の 仏力
領 解 を 指 す の で あ る 。 す な わ ち 、『 玄 義 分 自
筆
御
鈔
』第
二 に 、 一 々 ノ 観 ノ 下 、 句 々 文 々 ノ 中 二 、 皆 弘 願 ヲ 詮 ス ト 知 ル ベ キ ナ リ 。 ソ ノ 詮 要 ハ 「 攝 取 不 捨 」 、 ノ文
二 見 エ タ リ 。 故ノ ノ ノ ノ ニ ス ラ シ テ フ ル ロ ヲ ス ル ヲ ニ 、 彼 ノ
文
ヲ釈
ス ル 下 二 、「
又
此 経 定 散 文 中、唯
標 ド専
念 二名
號 一 得 夢 生」、 ト 云 ヘ リ ω
〔、 と す る が
如
く 、定
散 二善
十 六 観 は 弘 願 を 顕す
も の と す る の で あ る 。 又 、善
導
が 、 『 観 経疏
』 玄 義 分 に お い て 、 ブ ト ニ テ ノ ヲ テ シ テ ヲ ス ノ ノ ノ ヲ 言 〆観
者
、照
也
。常
以 二浄
信 心 手 一 以 持 二智
恵 之 輝 一 照 二 彼弥
陀 正 依 等事
→. 冠 と す る の を
受
け て 、 證 空 は 『 玄義
分 自 筆 御鈔
』第
二 に 、NII-Electronic Library Service
ノ 「 言 レ
観
者
照
也 乃 至 正依
等
事 」 、 是 ハ 、 無 量 寿 既 二所
観 ノ境
ト シ テ 、 観 門 ノ 為 二 説 カ レ ヌ レ パ 、 此 ノ境
ヲ 照 シ テ 、 観 門 成 ジ テ 弘 願 二転
入 ス ベ シ 。 観 ノ 字 ヲ 照 ト 釈 ス ル 心 、 此 ノ 如 シ 。観
ハ 行 ト モ 釈 セ ズ 、繋
念 ト モ 釈 セ ズ 、照
ト 釈 ス 。 照 ハ 智 ナ リ 。(
中
略 )「 常 以 浄 信 心 手 、 以 持 智 恵 之
輝
」 ト イ ハ 、 信 ヲ 先 ニ シ テ観
ハ 成 ズ ベ キ ニ 似 タ レ ド モ 、 観 ノ 正 シ キ 相 ヲ釈
ス レ バ 、観
ノ 外 ノ 信 二非
ズ 。 観 門 二 入 レ バ 、浄
土 ノ 信 心 常 ニ ア リ 。 信 、 手 ノ 如 シ 。故
二 、「 持 智 恵 之 輝 」 、 ト 云 フ 。
智
ヨ リ 生 ゼ ル 信 ナ レ バ 、 還 リ テ智
ヲ持
ツ ナ リ 。 と す る 。 つ ま り 、 證 空 の 説 く 「 観 」 は 、「
観
」 か ら 、 照 ・智
・信
へ と 順 次 進 ん で 、 結局
、 信 が あ る と す る の で あ る 。 信 と は 、文
字
通 り信
ず る こ と で あ る が 、 「 観 」 を 照 ら す と受
け と る こ と か ら す れ ば 、 信 じ さ せ ら れ る と い う べ き か も し れ な い 。 こ の よ う に 、 證 空 は 一 般 的 な 「 観 」 の 解 釈 と は 異 な っ た彼
独 自 の 釈 義 を 論 ず る の で あ り 、 そ れ が 以 下 に 説 く であ
ろ う観
門 を 理 解 す る こ と の 要 点 と も な る の で あ る 。三 、
行
門
・観
門
・弘
願
仁 空 実 導 は 『
浄
土 希 聞鈔
』 巻 一 に お い て 、 西 山 上 人 法 門 ヲ茲
、談
.勘
、筑
名旦
始 中 終 カ ア ル ナ リ ・ 初 ・ カ タ ハ 、 行門
観門
、 弘 願 門 三 ・ 謂 ・ ニ テ 被 ” 、報
タ リ と
御 自
筆
ノ抄
ナ ニ ト ハ 此 趣 也 。 中 比 ハ 顕 行 示 観 、 正 因 正 行 ナ ン ト 云 名 目 ヲ 被 レ 用 。 他筆
ノ 御 抄等
ハ専
ラ此
約
束
ヲ 以テ 被 ⊃ 通
用
→ 此 則 チ 法 門 ノ 建 立自
四 驫 至 一 、細
、 見 ヘ タ リ 。 必 シ モ 義 理 浅深
ト ハ 不 γ 可 コ .意
得 一又 、 此 外 事 相 名 目 ア リ 。 と し て 、 證
空
の初
期 の 教 学 と し て の 行 ・ 観 ・ 弘 三 門 の 名 目 を あげ
て い る 。せ
行 門 と い う 名 目 は 、 『 観 経 疏 』 の 序 分 義 に お い て 善 導 が 、
證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 一
7
一 N工 工一Eleotronlo Llbrary西 山 学 報
ハ ト シ テ ス ロ コ ヲ
言 二
當
修
三 福一者
総標 二 行 門 一 也
と す る こ と か ら
来
る も の であ
る 。 こ れ に つ い て 證空
は 、『
序
分 義 自筆
御鈔
』 に 、「 総 標 行
門
也 」 ト イ ハ 、 韋 提 未 ダ 観門
他
力 ノ法
ヲ 悟 ラ ズ シ テ 、「
教
我
思
惟
、 教 我 正 受 」 ト 定 善 ヲ請
ス ル ニ 付 キ テ 、善
ヲ 積 ミ 、 功 ヲ 修 シ テ 生 レ バ 、 三 福 ノ諸
ノ 行業
、皆
生 ル ベ シ ト 思 ハ ヘ テ 、 散 善 ノ諸
行 ヲ挙
グ レ バ 、 定 散等
シ ク 挙グ ル ニ ナ ル 。
故
二 、 「総
標
行 門 」 ト 云 フ ナ リ 。 定 散 ノ ニ 行 二 漏 ル ル 所 ナ キ 故 ナ リ 。 是 則 チ 、 行 門 ノ 行 相 、 悉 ク盡
キ テ 顕 ル ト 云 ブ 心 ナ リ 。
行
門
ノ名
目 此 ノ文
二 明 ラ カ ル ナ ル モ ノ ナ リ 。と し て 、 行
門
の典
拠 を 『観
経
疏 』 の 文 に 見 出 す こ と を 明 し て い る 。 又 、『 観 経 疏 』
玄
義分
に 、 善 導 が 、ニ ツ ス ト ハ ヲ ニ レ ハ ニ シ テ モ ヲ ノ ヲ ニ シ テ モ シ ル ヨ ノ ヲ ノ
第 一 先
標
二序
題
一 者 、 竊 以真 如
廣
大五 乗 不 〆 測 二 其 辺 一 法 性 深 高
十 聖 莫 〆 窮 二 其 際 一 ( 中 略 )
菩
提
テ ゐ テ テ ヲ ニ テ ニ ス テ あ ス ニ ヲ レ リ ニ チ ヲ モ テ ニ フ
種 子
藉
〆 此 以 抽 γ 心 正覚
之 芽 、 念 念 因 〆 茲増
長 。依
γ 心 起 二於
勝 行 一 門餘
二 八萬
四 千 一漸
頓 則 各 称 二 所 宜 一 隨 〆ニ ノ チ ル ヲ
縁
者
則 皆蒙
二 解 脱 鱒 と 述 べ て 、 こ れ よ り 説 く 『 観 経 』 に 先 立 ち 、真
理 を 求 む る法
と し て 聖 道諸
経 に 説 か れ る 八 万 四 千 の 法 門 を 示 す こ と儡一’ に つ い て 、 證 空 は 、
『 玄
義
分 自筆
御
鈔
』 に お い て 、「
竊
以 真 如 」 ヨ リ 、「 皆
蒙
解 脱 」 二 至 ル コ ノ ヵ タ ハ 、 廣 ク 一代
ヲ述
べ テ 、 自 力 ノ行
門 ヲ 以 テ 、 垢障
ノ 凡 夫、 出離
ノ 正 門 ヲ
得
ル 由序
ト ス ル事
ヲ 明 ス 。 ( 中 略 ) 此 ノ 五乗
十 聖 ハ 、 ス ベ テ 妙 覚 ヨ リ来
ル 用 ナ レ バ 、 五 乗 モ 佛 教 ナ リ 、十 聖 モ 佛 ノ 功
徳
ナ リ 。 然 レ バ 、 真 如 法 性 ノ 理 ハ 佛 辺際
ヲ 知 リ窮
メ 給 ハ ズ ト 云 フ ニ ナ ル 。 是 則 チ 、自
力 行 門 ノ 心 ニテ ハ 真 如 法 性 ノ 理 ハ 顕 ル ベ カ ラ ズ 。 顕 サ ザ レ バ 五
乗
ノ 法廣
シ ト 雖 モ 、 其 ノ 辺 ヲ 測 ラ ズ 、 十 聖 ノ 悟深
シ ト 雖 モ 、 又 、其 ノ
際
ヲ 窮 メ ズ ト 云 フ ナ リ 。と 云 い 、 さ ら に 、 同 書 に 、
NII-Electronic Library Service
行
門
ノ 教 二 依 リ テ 證 ヲ得
ル事
、有
リ難
キ 謂 ヲ 釈 シ 置 ク ナ リ 。 と し て 、 聖 道 諸 経 に 説 か れ る 八 万 四 千 の 法 を 行 門 と し 、 こ の 行 門 に よ っ て悟
り を 得 る こ と の 不可
能 な る こ と を 明 し て い る 。 一 般 的 に 、 修 因 得 果 の 法 に は 種 々 が あ り 、 心 を 統 一 し 雑念
を は ら う こ と に よ り 行 な う善
と 散 り 乱 れ た 心、 平常
心 で 行 な う 善 を 区 別 し た り 、 一 乗 三乗
、 さ ら に 五 乗 の 教 え に よ り 理 想 の境
地 へ と 到達
さ せ る等
が あ る が 、 こ れ ら は 、 い ず れ も 自 ら の 修 行 に よ り仏
位 を得
る こ と を 求 め る も の で あ る 。 證空
は 、『 観 経 』 に お い て 、 韋 提 の
他
力 を悟
る ま で の 状 態 、 す な わ ち 、 「 教我
思惟
、 教 我 正受
」 と 定善
を 求 め た こ と 、 又 、 そ れ に 対 し て釈
尊 は 世 、 戒 、 行 の 三福
を修
す べ し と し て 散 善 を 自 開 し た の で あ る が 、 こ の 散善
自 開 も 結 局 の と こ ろ 、 韋 提 の 致 請 に よ り 説 か れ た も の と し て 、 定 散 二 善 は 、 と も に自
力修
行 で あ る と み る の で あ る 。 さ ら に 又 、先
に 述 べ た 聖 道 諸 経 一 切 の 行 法 は 、『 観
経
』 の 定 散 二善
の 修 行 で あ る と み な し 、 自 力 で こ の 定 散 二善
を 修 す る こ と を 行 門 と す る の で あ る 。 そ し て 、 こ の 行 門 の性
格
に つ い て は 、『 玄
義
分
自筆
御 鈔 』 第 一 に 、 三寶
ト イ ハ 、 佛 、 法 、 僧 ナ リ 。 此 ノ 三 寶 二 付 キ テ 、 其 ノ 相 無 量 ナ リ ト雖
モ 、 大 キ ニ 分 テ パ ニ ア リ 。 一 ニ ハ 行 門 ノ 三寶
、 ニ ニ ハ 観 門 ノ 三費
ナ リ 。 大乗
・ 小乗
・ 権教
・ 実 教 ・ 顕 教 ・ 密 教 二 立 ツ ル 所 ノ 三寶
、 其 ノ 相 多 シ ト 雖 モ 、今
総 ネ テ、 行 門 ノ 三 寶 ト 云 フ ベ シ 。 是 則 チ 、 聖道
門
自 力 ノ 三 寶 ナ リ 。今
云 フ 所 ノ 三寶
ハ 、彼
ノ 行 門 ノ 三 賓 ニ ア ラ ズ 、観
門
ヨ リ 弘 願 二 帰 ス ル 三寶
ナ リ 。 是 則 チ 、 浄 土他
力 ノ 三寳
ナ リ 。 と し 、 又 、 同 じ く 『 玄義
分 自筆
御鈔
』 に は 此 ノ佛
果
ヲ 求 ム ル 心 ヲ 、無
上 心 卜 云 フ 。 是 ヲ 求 ム ル 心 多 シ ト 雖 モ 、 大 キ ニ分
ツ ニ 、 ニ ア リ 。 一 ハ 難 行道
、 一 一 ハ 易行
道
ナ リ 。 難 行 道 ト 云 フ ハ 、 自力
行 門 ノ道
ナ リ 。 と 云 う 。 つ ま り 、 仏 教 を 構 成す
る重
要 な 要 素 た る 仏 法 僧 の 三 宝 に つ い て 、行
門 と 観 門 と の 二種
が あ る と し 、 弘 願 に 證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 一9
一 N工 工一Eleotronlo Llbrary
西 山 学 報 帰 す る
浄
土 他 力 の 三 宝 以 外 を こ と ご と く自
力 と す る の であ
る 。 す な わ ち 、 法 相 に い う 一乗
三乗
、 三論
の 二乗
一 仏乗
、 華厳
に い う 三 乗教
一 乗 教 の 分 別 、 天 台 で い え ば 、 五 時 中 の 四時
並 び に 四 教 の う ち 蔵 通 別 三 教 に 対 す る法
華
涅 槃 、 円 教 な ど の権
実
二教
の 立 場 や真
言宗
に い う と こ ろ の 自 宗 を密
、他
宗
を 顕 教 と す る 見方
、 あ る い は 天 台 で い え ば 法 華 、 華厳
の 法門
を 理密
教 と 判 ず る が ご と き 顕密
二 教 の 立 場 な ど浄
土 他 力 の 教 え 以 外 で あ る 自 力 聖道
門 を も っ て行
門 と す る の で あ る Q 次 に観
門
に つ い て で あ る が 、 こ の 名 目 は 『 観 経 疏 』 に お い て 、ニ ハ ス ヲ チ レ ノ ・ ・ ナ 卩 励 ワ 四 明 二 所 説 一
即
是 定 散 二善
十 六 観 門次
下 . 日 想永
想 ゜ 氷想
乃 至 + 三 観 巳 来 .盡
.色
異 方 便 → 也 ・飢
軽
, 衆 生 . . .於
露
.観
歴
二
。得
” 成 . 、 、 .旦
疲
. 妙ヲ ス ル カ ニ チ ヲ
事
一 心 歓喜
故
即得
中 無 生 加ノ 弐 ン テ 昌 ζ フ ノ ゜ ・ 二 昌 ニ ク ス 此
中
畧 己 料簡
至 二 下 観 門 一 更 當 二廣
辨
幻ハ ト テ ノ ゜
二
‘ ・ テ ・ ハ ・ [・ ニ ル ル ニ故
清
浄 也 。 又 、 言 二 清浄
一老
、 依 二 下 観 門 一専
心念
佛
注 二 想 西方
一 念念
罪 除ノ ゜ ° ハ シ ヲ テ テ ヲ テ シ 厶 ヲ 又 、
今
比観
門
等 唯 、 指 レ 方 立 レ 相 住 ノ 心 而取
レ 境 ゆ 等 に そ の典
拠
を見
る こ と が で き よ う 。善 導 は 、 『 観
経
疏
』 玄 義 分 に お い て 、NII-Electronic Library Service 然 . 、 娑
婆
, 化 主 ・駐
. 其 ,亜
故、 即 .廣
.盟
塗
之 要旦
安
楽
.能
人. 顕 二彰
. 別芟
弘 願 →其
, 要 門 ,者
即 . 此 .観
経 . 定 散 二門
是 也 ・ 定.肌
息 ” 慮 , 以 .凝
” 心 .散
肌
廃憲
, 以 .修
μ善
.璽
.斯
. 二 行 → 求 二 願 . 往毟
也 と 云 う 。 つ ま り 、 娑 婆 の 化 生 、 釈尊
は韋
提 の 請 に答
え て 浄 土 に往
生 す る た め の重
要 な 法 門 た る 阿 弥 陀 仏 の 特 別 な 本 願 を 教 え た の で あ り 、 そ の 重 要 な 法 門 を 『 観 経 』 に 説 か れ る と こ ろ の 定 散 二 善 と す る の で あ る 。 こ れ に 対 し 、 證 空は 、
『 玄 義 分
自
筆
御
鈔 』 第 一 に 、今
此 ノ 経 ハ 、 娑婆
ノ 化 主 釈 迦如
来
、摩
竭 提 国 ノ 夫 人 韋 提 凡 夫 ノ請
二 依 リ テ 、廣
ク 浄 土 ノ 要 門 ヲ 開 キ給
フ 。 即 チ 、 定 、 散 二 門 ナ リ 。 此 ノ 要 門 二 依 リ テ 、安
楽 ノ 能 人 阿 弥 陀佛
、別
意
ノ 弘 願 ヲ 顕 シ テ 、 善 悪 ノ 凡夫
、悉
ク往
生 ヲ 得 。 其 ノ 弘 願 ノ 體 ハ 即 チ 、 阿弥
陀 佛 是 ナ リ 。 然 レ パ 、 所詮
ノ佛
ハ無
量 寿 佛 ナ リ ト雖
モ 、 能 詮 ノ 定 散 ハ要
門
ナ リ 。 所 詮 ハ能
詮 二 依 リ テ 顕 ル 。 此 ノ 故 二 要 門 ヲ 一 経 ノ 本意
ト ス 。 其 ノ要
門 ハ 、 定 、 散 二門
ナ レ バ 、 即 チ 十 六 観門
ナ リ 。 定、 散 門 ノ 中 二 「 所 説 、 即 是 定 散 二善
十 六 観 門 」 ト 云 フ 、其
ノ 證 ナ リ 。其
ノ 法 十 六 二 別 レ タ リ ト雖
モ 、 通 ジ テ 、 皆 、 観 ト 云 フ 。 然 レ パ 要 門 ト 云 フ ハ 観 門 ナ リ 。 と し て 、 要 門 と は 『 観 経 』 に 説 く と こ ろ の 定 散 二 善 で あ る と し 、 そ の 定 散 二 門 を観
門 と す る の で あ る 。 よ っ て 、 要 門 は す な わ ち 、 観 門 で あ る と 考 え ら れ 、 韋 提 の 致請
に よ り 釈尊
が 開 い た 浄 土 の要
門
た る 定 散 二善
、 十 六観
を 観 門 と す る の で あ る 。 次 に 、 弘 願 と い う 名 目 は 、 『観
経
疏 』玄
義 分 に 、 ノ ハ メ ゜ ° ヲ安
楽
能
人 顕 二彰
別意
之 弘 願 一 一11
一N工 工一Eleotronlo Llbrary Servloe
ハ の ト シ ニ カ ノ 言 一 一 弘 願 一 者 、
如
二 大 経 説 二 切 善 悪 凡 夫 、 証 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 得 〆 ル 生 ス 万 ヲ 者 、 莫靱
. . 皆塁
.驃
陀
帆
大 願莠
姦
増
上歓
馬
西 山 学 報 と あ る に よ る も の で あ る 。
『 玄 義
分
自筆
御
鈔 』 第 一 、『
観
経 』 を釈
す 段 に お い て 、證
空 は 、 此 ノ 要 門 二依
リ テ 、 安 楽 ノ能
人 阿 弥 陀佛
、 別 意 ノ 弘 願 ヲ顕
シ テ 、善
悪 ノ 凡 夫 、 悉 ク 、 往 生 ヲ 得 。 其 ノ 弘 願 ノ 體 ハ 、 即 チ 、 阿 弥陀
佛
是 ナ リ 。 と 云 い 、 ま ず 、 こ こ に 阿 弥陀
仏 の 別 願 を 示 し て い る 。 さ ら に 、 こ の 弘 願 の 体 を 弥陀
と す る 。 又 、 『 玄 義 分 自 筆 御鈔
』 第 三 に は 、 阿 弥 陀佛
ト イ ハ 、 四 十 八 願 成就
ノ 佛 ナ リ 。 故 二 、 正 シ キ 弘 願 ノ 體 ナ リ 。 「 至 心 信 楽 欲 生 我 国 ノ 者 ノ 生 レ ズ バ 正 覚 ヲ取
ラ ジ 」 、 ト誓
ヒ シ 菩 薩 、 此 ノ 願 二 依 リ テ 衆 生 生 ル ベ キ 謂 極 マ リ テ 、 佛 二 成 リ 給 フ 。 正 二 知 ル ベ シ 、 我 等 ガ 生 ル ベ キ 行 ハ 、彼
ノ 願 力 ニ ア リ 。 願 成 就 セ ル 佛 ヲ 阿弥
陀
佛
ト 號 ス レ バ 、明
ラ カ ニ 知 リ ヌ 、 阿 弥陀
佛 ハ 正 シ ク 往 生 ノ 行 ナ リ ト 云 フ事
ヲ 。 と す る 。 つ ま り 、 弘 願 と は 、『
無
量 寿 経 』 所 説 の 一 切善
悪
の 凡 夫 を等
し く救
済
す る 阿 弥陀
佛
の 本 願 な の で あ る 。 そ れ ゆ え 、 こ の 阿弥
陀佛
を も っ て 弘 願 の 体 と す る の で あ る 。 こ の 弘 願 を 『観
経
』 に つ い て み れ ば 、 第 七華
座 観 に 説 か れ る 住 立空
中 の 阿 弥陀
佛 にあ
る と 言 え よ う 。 又 、 弘 願 の体
は 、 こ の他
にも
示 さ れ て い る 。 す な わ ち 、『 玄
義
分 自筆
御 鈔 』
第
一 に は 、 弘 願 ノ體
ハ 南無
阿弥
陀
佛
ナ リ 。と し 、 又 、
『
序
分
義 自 筆御
鈔
』第
二 に は 、 観 門 弘 願 ヲ 詮 ス ル 故 二 、観
門
二 依 レ パ 、 必 ズ念
佛 ノ 心 立 ツ ナ リ 。念
佛
ハ 即 チ 、 弘 願 ノ軆
ナ リ 。と す る 。 さ ら に 『 定 善 義
自
筆
御
鈔
』 に は 、NII-Electronic Library Service
華
座 ノ 観 法 ト イ ハ 、 此 ノ 義 ヲ 指 ス ナ リ 。 故 二 、 此 ノ 言 二應
ジ テ 三 尊 現 ジ 給 ヘ バ 、 立 所 二 往 生 ヲ 證得
ス 。 「 我 今 因 佛 力 故 、 得見
無
量 寿 佛 及 二 菩 薩 」 ト 云 フ 。 即 チ 、 證得
往 生 ノ 義 ナ リ 。 無 量 寿 佛 ヲ 見 ル ハ 、 弘 願 ノ體
、「 念 佛 衆 生 攝
取
不捨
」 、 ト 知 ル 。 と 云 い、 六字
名
号 、 念 仏 、念
仏 衆 生 攝 取 不 捨 を も 弘 願 の 体 と す る の で あ る 。 こ の よ う に 弘 願 は、 一切
善
悪
の 凡 夫 を等
し く 救 済 す る 阿弥
陀 佛 の 本 願 で あ り 、 『 観 経 』華
座 観 所 説 の 住 立 空 中 仏 で あ り 、 又 、念
仏 と も い え る の で あ る 。 四 、行
・弘
二門
と観
門
の関
係
こ れ ま で述
べ て き た よ う に 、 行 門 、 観門
、 弘 願 の 三 門 は 、 い ず れ も 善 導 の 『 観 経疏
」 に 典 拠 を 見 い出
せ る も の で あ る 。善
導 は 『観
経
』 を 解 釈 す る の に 要 門 、 弘 願 の 二 門 を も っ て し た が 、 證 空 は 要門
を 行、観
二門
に分
け 、 総 じ て 三 門 の 特 殊名
目 を 設 け た も の と 考 え ら れ る 。 本 稿 は 観門
の 意 義 を中
心 に 、何
ゆ え に 證 空 が こ の よ う な名
目 を 用 い た か を 明 ら か にす
る こ と を 目的
と す る も の で あ り、 で き る こ と な ら観
門 だ け を 述 べ れ ば よ い わ け であ
る 。 け れ ど も 、 実 際 に は、 こ の 三門
は 単 に 言 葉 と し て 使 用 さ れ て い る に 過 ぎず
、『
観
経
疏自
筆 御鈔
』 に お け る 具体
的
な使
用 例 か ら そ れ ぞ れ の関
係 を ふ ま え つ つ 、 こ の 三 門 を解
明 し て 行 か な け れ ば な ら な い の で あ る 。 『観
経
疏
自 筆御
鈔 』 に お け る 三 門 の使
用
例 は 、概
ね 、 次 の よ う に 分 類 で き る 。行
門
・ 観門
・ 弘 願 の 三 語 と も 用 い ら れ る 場 合行
門
・観
門
の 二 語 が 用 い ら れ る 場合
観
門
・弘
願
の 二 語 が 用 い ら れ る 場 合行
門
・ 弘 願 の 二 語 が 用 い ら れ る 場 合證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 一
13
一 N工 工一Eleotronlo Llbrary西 山 学 報 行 ・
観
・ 弘 の 三門
は 、右
の よ う に 大 き く は 四 つ の 用 い ら れ か た を し て い る と考
・ 兇 ら れ る の で あ る 。 第 一 に 、 三 語 が と も に 用 い ら れ る 場 合 で あ る が 、 證 空 は 、『 玄 義
分
自 筆御
鈔
』 に お い て 、 宗 旨 ノ 不 同 ト イ ハ 、 三 ノ 義 ア リ 。 一 ニ ハ 、 行門
二 依 レ パ 、 諸 経 、 機 二 隨 ヒ テ其
ノ 宗 各 々 二 不 同 ナ リ 。 今 ノ経
モ 、 韋 提 ノ 請 二 依 レ パ 、 観 佛 ヲ宗
ト ス 。 各 々 不 同 ノ義
ナ リ 。諸
師 ノ 今 ノ 経 ヲ判
ズ ル ハ 一 向 二 比 ノ義
ナ リ 。 ニ ニ ハ 、 娑 婆 ノ化
生 請 二 依 リ テ 要 門 ヲ 開 キ給
フ 。 観 門 二 依 レ バ 、 今 ノ 観 経 諸 経 ト 同 ジ カ ラ ズ 。 観 佛 三 昧 ヲ宗
ト ス レ バ 、諸
経 隨機
ノ 宗 ハ 行門
成 ジ 難 キ 故 二 、宗
二 非 ズ 。今
ノ経
ノ宗
ハ 凡 夫 出 離 ノ 道 ヲ 開 ク真
実
ノ 宗 ナ レ バ是
二 帰 ス 。今
ノ 観 佛 三昧
為
宗 ノ 心 モ 専 ラ 是 ニ ア リ 。 三 ニ ハ 、 観 門 二依
リ テ 、 安 楽 ノ 能 人 ノ 別 意 ノ 弘 願 顕 レ テ 、真
宗
立 チ ヌ レ パ 、観
門
ト ナ ホ 不 同 ナ リ 。 況 ン ヤ 行 門 ヲ ヤ 。 凡 夫 、 道 ヲ得
ル真
ノ 因 果 ナ リ 。 永 ク 諸 宗 二 異 ナ リ 。 念佛
三 昧 為 宗 ノ 心 ヲ 本 ト ス 。 三 門 ノ宗
ヲ モ テ 尋 ヌ レ パ 、 三世
十 方 ノ 諸佛
ノ 教 行 、 全 ク 一徹
ナ リ 。 と し て 、 行 門 に よ る な ら ば 、 ま ず 、 機 に つ い て そ の 能 力 に 差 別 を 設 け 、 求 め る 法 に も 、 ま た 区 別 が あ る か ら 、 こ の 行 門 を 宗 旨 不 同 と し 、 こ れ に よ り 『 観 経 』 を 理解
す
る な ら ば、 韋 提 の 自 請 の ゆ え に 自 力 行 と し て の 観 仏 と な る と す る の で あ る 。 又 、 観 門 を 観 仏 三 昧為
宗 と す る が 、 こ れ は 、 も ち ろ ん 先 の 行 門 の 観 仏 を 指 す も の で は な い 。 釈尊
が 韋 提 の 請 に 応 じ て 要 門 を 開 い た 本 意 は 、 自 力 に よ る観
法 を 教 え た わ け で ば な い 。定
散 二 善 十 六観
を あ く ま で 観法
の 対 象 と す る な ら ば 、 何 ら 行 門 と か わ り は な く 、 こ こ に 聖道
諸 師 の 『観
経 』 観 と は 異 な る 、 凡 夫 出 離 の 要 道 と な る 弘願
に 帰 せ し め る 為 の 観 門 を 示 し 、 こ れ を観
仏 三 味為
宗 の 本意
と す る の で あ る ゆ さ ら に 、 弘 願 が 顕 れ た 時 に つ い て は 、 行 門 に よ る 宗 旨 の 不 同 は 言 う ま で も な く 、 こ れ ら の 不 同 が 弘 願 に 帰 せ し め る 為 の 一 時 的 な 施設
で あ る と す る観
門 ま で を も 総 括 し、 三 世 十 方 諸 仏 の 教 え も → 徹 し て 弘 願 に他
な ら な い と い い、念
仏 三昧
為
宗
の 心 も 、 こ こ に あ る と す る の で あ る 。NII-Electronic Library Service 又 、 『 散 善 義 自
筆
御
鈔
』 第 一 に は 、 正 宗 之 業 ハ 弘 願 ノ 體 ナ リ 。 又 、 是 ハ 所 詮 ノ 法 ナ リ 。 助 業 ハ 観 門 ノ 心 ナ リ 。 弘 願 ノ念
佛 ヲ 助 ケ テ 、 是 ヲ 成 ジ 、 是 ヲ 勧 ム ル 能 詮 ノ 教 ナ ル 故 ナ リ 。( 中 略 ) 正 ・ 助 異 ナ リ ト 雖 モ 、 共 二 正 行 ノ 相 ナ レ 。 ハ 、 此 ノ 正 .
助
ヲ 除 キ テ 外 ノ 諸善
ヲ 指 シ テ 、 雑 行 ト名
付
ク ル ナ リ 。 是 則 チ 、 観 門 ノ助
行 、 弘 願 ノ 正 定 ヲ 除 キ テ外
ノ自
力 行 門 ノ善
ヲ キ ラ ヒ テ 、 雑 ト ス ル 心 ナ リ 。 と し て 、 弘 願 、 観 門 を と も に 正 行 、又
、 そ の 弘 願 、観
門 以 外 を 雑行
と す る 。 さ ら に 弘 願 の 念 仏 を 正定
業 と し 、観
門
は こ の 弘 願 に 帰 せ し め る 働 き を す る も の で あ る か ら 、 弘 願 を 助 け る助
業 と し 、 そ れ 以 外 の 諸善
を も っ て 自 力 行 門 の 雑 行 と す る の で あ る 。 第 二 は 行 門 と 観 門 が 用 い ら れ る 場 合 で あ る が 、 『 玄 義 分 自 筆 御鈔
』 第 一 に お い て 、 證 空 は 、 「 今 佛 法 時 」 、 ト 云 フ ハ 、 ニ ノ 時 ア リ 。 一 ハ 行門
ノ 時、 是 二 在 世 、 滅 後 ノ時
同 ジ カ ラ ズ 、 滅 後 二 又 、 正 像末
ノ 不 同 ア リ 。 佛 、 世 ヲ去
リ給
ヒ 、 正 像 タ ケ ヌ レ バ 、 教 益 ヤ ウ ヤ ウ 疎 カ ニ シ テ 、終
二教
ノ ミ ア リ テ 、 行 證 ナ シ 。此
ノ 差 別 ノ 時 ノ 衆 ヲ 勧 メ テ 、 同 ジ ク 此 ノ 法 ヲ受
ケ シ ム 。 末 世 ノ 凡 夫 、化
ヲ 受 ク レ バ 、 正像
ノ 時 ノ 道俗
キ ラ バ レ ザ ル 故 ナ リ 。 但 シ 、 正 像 ノ時
ノ 道 俗 ニ ナ ホ 自 力 ノ 分 ヲ 与 ヘ テ 、 メ シ ト ル 心 ア レ パ 、今
ノ時
ノ 本 意 ニ ア ラ ズ 。 ニ ニ ハ 、 観 門 ノ 時 、 此 ノ 時 ハ 在世
滅
後
ノ 不 同 ナ ク 、 正 像 末 ノ 差 別 ナ シ 。 故 二 、 在 世 ノ 韋 提 ト未
来
ノ 凡 夫 ト 差 別 ナ ク 、 一 種 ノ機
ト シ テ 駐 提 二 蒙 ラ シ メ テ 、 未 来 ノ衆
生 ノ 為 二 此 ノ 法 ヲ 開 キ 給 フ 。 是 ハ 弥 陀 ノ 弘願
三 世 常 住 ニ シ テ 、 機 ヲ エ ラ バ ズ 、 時 ヲ キ ラ バ ザ ル 故 二 、行
門 差 別 ノ 時 二 次 イ デ 、 弘 願 差 別 ナ キ 時 ノ 相 ヲ 説 キ 顕 セ バ 、 観 門 ノ 時 ト 云 フ 。 と 云 い 、 時 に つ い て行
門
の 時 、 観 門 の 時 が あ る とす
る 。 す な わ ち 、行
門 の 時 と は 、 ま ず 仏 の 在世
と 滅後
に 区 別 を 設 け 、 又 、 像 末 の 差 別 を も認
め る の で あ る 。観
門 の 時 と 解 す れ ぽ 、 仏 の 在 世 滅後
、 正像
末 の 区 別 は な い も の と す る 。 證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 一15
一 N工 工一Eleotronlo Llbrary西 山 学 報 ゆ え に 、
観
門 の時
に よ る な ら ば、時
に い か な る 差 別 を も 認 め な い こ と か ら 、 弥 陀 の 弘 願 に よ り 救 わ れ た韋
提 と 同 様 、 未 来 の 凡夫
も 悉く
利 益 を蒙
る と す る の で あ る 。 又 、『
玄
義
分 自 筆 御鈔
』第
一 に は 、 此 ノ 佛果
ヲ 求 ム ル 心 ヲ 無 上 心 ト 云 フ 。 是 ヲ 求 ム ル 心 多 シ ト 雖 モ 、 大 キ ニ 分 ツ 一 二 一 ア リ 。 一 ハ 難 行 道 、 ニ ハ易
行道
ナ リ 。難
行 道 ト 云 フ ハ 、 自 力 行 門 ノ 道 ナ リ 。 五 乗 垂迹
ノ 用 、 是 二依
リ テ 道 成 ズ 。 彼 ノ 行 門 ニ ハ菩
提 心 ヲ 指 シ テ無
上 心 ト 云 フ 。易
行 道 ト 云 フ ハ 他 力 観 門 ノ 道 ナ リ 。 凡 夫 ] 実 ノ 機 、 是 二 依 リ テ 出離
ス 。 此 ノ 門 ニ ハ 三 心 ヲ 指 シ テ無
上 心 ト 云 フ 。 二 種 ノ道
、 共 二 佛 果 ユ 赴 ク ベ シ ト 雖 モ 、 行 門 ハ 一 実 ノ方
便 ナ リ 。 凡 夫 調 熟 セ ラ ル ト 雖 モ直
チ ニ 成 ゼ ズ 。 故 二今
云 フ 所 ハ無
上 菩 提 心 ニ ハ ア ラ ズ 、 三 心 ヲ 指 シ テ 無 上 心 ト 云 フ ナ リ 。其
ノ 故 ハ 、未
来 末 法 ノ道
俗時
衆
ヲ 指 シ テ勧
ム ル 法 ナ レ バ 、 凡 夫 直 チ ニ 成 ズ ル 道 ハ 、 今 ノ観
門
ナ リ 。 此 ノ 観 門 二 依 リ テ 浄 土 二 生 ジ テ 、無
上菩
提
成 ズ ベ キ故
ナ リ 。 と し て 、 無 上 心 を 説 く に あ た り、 難 易 二 道 を 挙げ
て い る 。難
行 易 行 の 二 道 は 、 も と龍
樹 の 『 十住
毘
婆
沙 論 』 易 行 品 に み ら れ る も の で あ る が 、 こ こ に お い て 龍樹
は 、 長 期 に わ た り 勤 行 精進
し て 不退
を 得 る の を 難 行道
、 阿 弥 陀 仏 を称
念 す る こ と で 速 や か に 不 退 位 に 入 る の を 易 行 道 と し た の で あ る が 、 こ の 難 易 二道
は と も に 此 土 を 対 象 と し た も の で あ る 。 こ の龍
樹 の 説 を う け て 、 曇 鸞 は そ の著
『往
生 論 註 』 に 難易
二 道 を と り あ げ る が 、 か れ は 難 行 道 の み 此 土 入 聖 得 果 と し 、彼
土 に お い て 不 退 を 得 る の を 易 行 道 と し 、 そ れ に は ま ず 弥陀
の 願 力 に よ る 往 生 の 必 要 を 説 い て 、 他 力 を 強 調 す る の で あ る 。 ゆ え に 證 空 に お い て も曇
鸞
の 説 を う け 、難
行 道 を自
力 行 門 、 易 行 道 を 他力
観
門
と し 、 ま ず 、 こ の 観門
に よ り 浄 土 に 生 じ 、 そ の 後無
上 菩 提 を 成 ず べ き こ と を 示 し て い る 。 『序
分
義
自 筆御
鈔 』第
二 に は 、NII-Electronic Library Service 心 眼 ト イ ハ 、
他
力
二 依 リ テ佛
ヲ 見 ル ト 云 フ 名 ナ リ 。 是 則 チ 、観
門 ノ智
ヲ開
ク 心 ナ ル ベ シ 。 父 王 ノ第
三 ノ 果 ヲ得
ルチ リ テ ニ ル ヨ ヲ サ レ ハ ノ ニ ス ル
事
モ 、 他 力 二依
ル ト 顕 ス ナ リ 。 故 二 、 下 二 、 「斯
乃 因 〆光
見
ソ佛
非
二意
所 フ 期」 ト 云 フ 。
是
ハ 、序
分
ニ シ テ 未 ダ 十 六観
ノ 正宗
二 入 ラ ズ ト 雖 モ 遙 二観
門 ヲ開
ク ベ シ ト微
笑 シ給
フ光
ノ 益 ナ レ バ 、 一 向 二 行門
ノ 心 ニ ア ラ ズ 、 観 門 ノ 謂 ヲ帯
セ ル ナ リ 。 然 ラ バ 、 観 門 ノ 益 ヲ コ ソ得
ベ キ ニ 、第
三 ノ 果 ヲ得
ル 事 ハ 、 第 三 ノ 果 ハ行
門 ノ 益 ナ レ ド モ 、彼
ノ 行 門 ノ諸
ノ得
益 ハ 此 ノ観
門
ヨ リ 成 ジ ケ リ ト 云 フ事
ヲ 顕 シ テ 、 諸 ノ 行門
ノ 法 ヲ 今 ノ 経 ノ 化 前序
ト ス ル事
ヲ 顕 ス ナ リ 。 と す る 。 つ ま り 父 王 が 他 力 に よ っ て 見 仏 し 、第
三 の 阿 那含
果 を得
、 不 退位
に達
し た こ と に お い て 、 本来
な ら ぽ 、 こ の 得 果 は 自 力行
門
に お け る 益 で あ る が 、 證空
は こ の得
益 を 観 門 に よ り 成 じ ら れ た 益 と し て 、 観 門 を 『観
経 』 の 正 宗 、 行門
を 化 前序
に 位 置 付 け て い る 。@ 第 三 は 観 門 と
弘
願 の使
用 例 であ
る が 、 證 空 は 『 玄 義 分自
筆
御
鈔
』第
一 に お い て 、今
此 ノ 経 ハ 、娑
婆
ノ 化 主 釈 迦如
来 、 摩 竭 提 国 ノ 夫 人 韋提
凡 夫 ノ 請 二 依 リ テ 、廣
ク 浄 土 ノ要
門 ヲ開
キ給
フ 。 即 チ 、 定 散 ノ ニ 門 ナ リ 。 此 ノ 要 門 二 依 リ テ 、 安楽
ノ 能 人 阿 弥 陀 佛 、 別 意 ノ 弘願
ヲ 顕 シ テ 、 善悪
ノ 凡 夫 、 悉 ク往
生 ヲ 得 。其
ノ 弘 願 ノ體
ハ 、 即 チ 、 阿弥
陀
佛 是 ナ リ 。 然 レ パ 所 詮 ノ佛
ハ 無 量 寿 佛 ナ リ ト 雖 モ 、 能 詮 ノ 定 散 ハ 要 門 ナ リ 。 所 詮 ハ能
詮 二 依 リ テ顕
ル 。 此 ノ 故 二 、 要 門 ヲ 一 経 ノ 本意
ト ス 。 其 ノ 要 門 ハ 定 散 二 門 ナ レ バ 、 即 チ 、十
六 ノ観
門
ナ リ 。 と 云 い 、 定 散 二善
を観
門 、 阿弥
陀
仏 を 弘 願 と し 、 観 門 を 能 詮 、 弘 願 を 観門
所
詮
と す る 。 又 、 同 じ く 『玄
義 分 自筆
御
鈔 』
第
一 に 帰 仏 、 帰 法 を 論 じ て い る 。 す な わ ち 、 観 門 を法
、 弘願
を 仏 と し 、仏
僧 の あ り さ ま を 知 り 帰 す る こ と を帰
法 と 云 い 、 こ れ を観
門
か ら 弘願
に 帰 す る こ と と す る 。 又 、 弘 願 か ら観
門 が開
か れ る こ と を 帰 仏 に よ る も の と す る が 、こ の 帰 法 、 帰 仏 に
前
後
は な い と し て 、 観 門 と 弘 願 の 不離
な る こ と を 述 べ て い る 。『
序
分 義 自 筆 御鈔
』第
二 に は 、證 空 教 学 に 見 る 名 目 の 理 解 一 17 一 N工 工一Eleotronlo Llbrary
西 山 学 報 「 無 為 之 楽 」 ト イ ハ 、
極
楽
ノ 鱧 ヲ 指 ス 。 九 品 、 三輩
ノ 相 ハ 、 皆 用 ヲ 談 ズ ル ナ リ 。 弘 願 ト イ ハ 體 ナ リ 。 観 門 ト 云 フ ハ 用 ナ リ 。 と し て 、 弘 願 を体
、 す な わ ち 、 用 を 離 れ た そ の も の 自体
と 云 い 、 観 門 を 用 、 す な わ ち 、働
き と す る 。 日 常 、 我 々 が 認 識 し 得 る も の に は実
体 が あ る が 、 そ の 実 体 も 単 に 実体
そ の も の と し て だ け で は そ の存
在
を 認 め る こ と は 困 難 で あ り、 何 か の 作 用 な り 、 は た らき
か け が あ っ て こ そ 認 識 で き る の で あ る 。 ゆ え に 證 空 も 弘 願 を 体 、 観 門 を 用 と し て 、 弘 願 を 顕照
す
る 作 用 と し て の 観 門 を 説 い て い る 。 最 後 に 、行
門 と 弘 願 が 用 い ら れ る 場 合 で あ る が 、 こ れ に つ い て は 、『
序
分 義 自筆
御鈔
』第
二 に 、 ノ ノ ノ ト ノ ア ソ ノ ス ズ ル ロ ヲ 「 一 切諸
佛
心 口 常 威 儀 、 法 爾凡 所 レ 出
光
必 有 二利 益 一 」 ト 云 フ ハ 、 行 門 ノ 心 ハ 佛 ノ
利
生 ノ道
一 准 ナ ラ ズ 、 機 二 隨 ヒ テ 差 別 ア リ ト 説 ク 故 二 、今
此 ノ 経 ノ 序 分 ノ 利 益 、 昔 ノ 行 門 ノ 謂改
マ ラ ザ レ バ 、 光 放 ッ 所 二隨
ヒ テ 利 益 異 ナ リ ト釈
シ 顕 ス ナ リ 。 弘 願 ノ道
理 ハ 然 ラ ズ 。 「 一 一 光 明 遍 照 十 方 世 界念
佛衆
生 攝取
不 捨 」 ト 説 ク 故 ナ リ 。 ( 中 略 ) 今 経 ノ 説 ハ 一 道 ニ シ テ 差 別 ナ ケ レ バ 、 光 ノ 照 ス 所 モ 差 別 ナ シ 。 と 云 い 、 行門
の 位 で は 機 の能
力 に 差 別 が あ る為
、 そ の 能 力 に 応 じ て 、 利 益 に も 差 別 があ
る が 、 弘 願 に お い て は、機
に も 被 む る利
益 に も 差 別 の な い こ と を 明 し て い る 。 『 定 善 義自
筆
御
鈔 』第
二 に は 、 今 云 フ所
ノ衆
行 ハ 行 門 ノ 面 ナ レ パ 、 行 門 ト 弘 願 ト ハ 相 対 ス ベ キ 法 ニ ア ラ ズ 。 行 門 ハ 聖 人 ノ 所 行 、 凡 夫 ノ 及. ハ ザ ル 所 ナ リ 。 弘 願 ハ 凡 夫 出離
ノ 法 、濁
世 末 代 隔 ツ ル 所 ナ シ 。 と し て 、行
門
を 聖 人 の 所 行 、 弘 願 を 凡 夫 出 離 の 法 と し 、 行 門 の 聖 道 自 力 性 を 示 し 、 弘 願他
力 と の 対 比 を 述 べ て い る 。 以 上 の よ う に 観 門 及 び 行 門 、 弘 願 の 三 門 に あ る 関 係 を 知 る べ く 、 こ れ ら の 言 葉 の 実例
を 四 通 り の 場合
に 分 け て考
NII-Electronic Library Service え た わ け で あ る が 、 こ れ ら を 通 じ て い え る こ と は、 弘 願 は 常 に