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第16回日本ヘルニア学会学術集会.indd

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支部推薦演題

(2)

支部推薦演題

支部1-1

支部1-3

支部1-2

支部1-4

【目的】大腿ヘルニアは比較的頻度は低いが、高齢女性に多く、嵌 頓のリスクが高い疾患である。我々は、大腿ヘルニアの治療に際し、 myopectineal orificeを十分補強する目的でTAPP法による修復を 行っている。腹腔鏡下に観察した大腿ヘルニアについて検討した。 【方法】2000年10月から2017年9月の間に県内3施設で鼠径部ヘル ニアに対し、TAPP法を施行した症例のうち、記録の収集し得た692例 を対象とした。大腿ヘルニアの発症リスクについて検討し、さらに性別 による大腿ヘルニア発症について検討した。 【結果】692例中、64例(9.2%)に大腿ヘルニアを認めた。男性567 例中22例(3.9%)、女性125例中42例(33.6%)、年齢中央値77歳 (42-89歳)、10例は両側に大腿ヘルニアを認めた。手術時間、術後 在院日数、術後合併症は非大腿ヘルニア症例と差を認めなかった。多 変量解析では、女性(P < 0.001)、80歳以上(P = 0.002)、BMI 18.5未満(P = 0.001)が独立した発症危険因子であった。続いて、性 別を分けて検討を行った。男性大腿ヘルニアにおいて喫煙歴および心 血管併存疾患を有する症例が有意に多かった。また、男性大腿ヘルニ アは併存ヘルニアの構成要素としての発症が有意に高かった(84.0% vs. 44.9%, P = 0.001)。 【結語】男性大腿ヘルニアは全鼠径部ヘルニアの3.9%と少数ではあ るが、併存ヘルニアの一部として認められることが多く、鼠径部切開法 による修復を行う際にも留意する必要があると考えられた。 【はじめに】縫合閉鎖術で再発をきたした上腰ヘルニアの1例を経験 したので報告する.【症例】67歳,男性.当院形成外科にて左腰背部 の皮下軟部腫瘤の術前診断で手術が施行された.術中所見で後腹膜 から皮下に脱出する脂肪組織を認めたため,脂肪組織の切除及び腹 壁欠損部の縫合閉鎖術が施行された.半年後に再び左腰背部膨隆を 自覚し,当科紹介となった.腹部CT検査で左腰背部筋に欠損があり, 同部より皮下に下行結腸の脱出を認めた.以上より左上腰ヘルニア再 発と診断し,手術を施行した.手術所見では第12肋骨下縁,内腹斜筋 後縁,脊柱起立筋外縁より構成される7cm大のヘルニア門を認めた. 15cm×15cmのMarlex meshをonlay patch縫着し,ヘルニア門を 閉鎖した.現在,術後6ヶ月を経過し再発は認めていない.【考察】稀 な腹壁ヘルニアである上腰ヘルニアで再発を来した1例を経験した. 腰背部膨隆の鑑別には本疾患を念頭に置き,画像検査を行うことが肝 要である.また,再発予防・再発治療においては全身麻酔下に十分なヘ ルニア門の観察を行い,ヘルニア門が大きい症例はメッシュを用いた tension-freeヘルニア修復法を選択することが重要である. 第10回東北ヘルニア研究会を開催するにあたり、第4回の東北ヘルニ ア研究会以降2回目のアンケート調査をおこなったので報告する。東北 地区、外科系施設の330施設にアンケートを依頼し、59施設(18%) から回答を得た。成人鼠径ヘルニア手術は、57施設で年間4351例(4 から256例、中央値:75例、平均値:76例)が行われ、術式の第一選 択は、Kugel法を含む鼠蹊部切開メッシュ法42施設、腹腔鏡が15施設 であった。鼠蹊部切開メッシュ法ではUnderlay法が27施設と最も多 かったがKugel法を第一選択にしている施設は3施設であった。次に Direct Kugel法、Plug法、PHS法、リヒテンシュタイン法の順となっ た。腹腔鏡の術式は、TAPPを第一選択としている施設のみで、TEP 導入施設も3施設認めたが、いずれもTAPP導入施設の第二選択以降 の術式としていた。再発例に対する手術は173例に施行され、再発前 の術式は鼠径部切開法が158例、腹腔鏡13例、ハイブリッド法2例で あった。前回のアンケートとの比較では、腹腔鏡導入施設が4施設から 30施設に増加、ヘルニア専門クリニックが開設され年間200例以上の 手術が行われている施設がみられた点が大きく異なっていた。小児鼠 径ヘルニア手術は、24施設(40.6%)で年間562例(1から114例、中 央値:10例、平均値:23例)が行われ、第一選択はPotts法 18施設、 LPEC法 5施設であった。LPECは9施設で実施されていた。 膀胱ヘルニアは鼠径ヘルニアの中で比較的まれな病態で、術前診断 されず術中偶発的に見つかることもあるが、中でも腹膜外型は腹腔 側からヘルニア門を確認できないためTAPP ( transabdominal preperitoneal repair ; 以下TAPP) 法での見落としが生じうる。 今回、我々は1) 術中認識できず鼠径部切開法による再手術を要した 両側膀胱ヘルニアの症例と、その経験を生かし2) 術前診断しTAPP 法を遂行した症例を経験したので報告する。 症例1) 64歳、男性。左鼠径部の膨隆を主訴に受診。診察および超 音波検査で両側鼠径ヘルニアが疑われ、術式はTAPP法を選択した。 初回手術で右はヘルニア所見なしと判断、左のみ施行した。約2ヶ月後 に左鼠径部の膨隆を自覚し再診。CTで両側鼠径部に膀胱の脱出を認 め、両側鼠径部切開法( UHS) による再手術をおこなった。結果とし て、左は不十分な内側剥離による再発( 膀胱ヘルニアの見落とし) 、 右は術前診断が付いていないことによる腹膜外型膀胱ヘルニアの見落 としであったと考えられた。 症例2) 66歳、男性。右鼠径部の膨隆を主訴に受診。排尿時の違和感 の訴えがあり術前にCTまで施行したところ、右の外鼠径ヘルニアと左 で膀胱脱出を伴う内鼠径ヘルニアを認めた。術中腹腔内から左はヘル ニア門を観察できなかったが、術前診断に基づき両側でTAPP法を完 遂した。 福島健太郎1)、横山 隆秀1,2)、三輪 史郎3)、小林  聡1) 清水  明1)、本山 博章1)、野竹  剛1)、北川 敬之3) 寺田 立人1)、坂井 紘紀1)、細田 清孝1)、宮川 眞一1) 水戸 正人 高野 祥直1)、川村 英伸2)、金田 晃尚1)、小林 拓史1) 阿左見亜矢佳1)、河村 英恭1)、中山裕次郎1)、外舘 幸敏1) 藁谷  暢1)、鈴木 伸康1) 小倉加奈子、辺土名克彦、林  圭吾、卸川 智文、間山 泰晃、 大森 敬太、當山 鉄男、大城 直人 1)信州大学医学部 消化器外科、2)昭和伊南総合病院 外科、 3)岡谷市民病院 外科 新潟県立中央病院 外科 1)総合南東北病院 外科、2)盛岡赤十字病院 外科 中頭病院 外科

腹腔鏡下に観察した男性大腿ヘルニアの特徴

縫合閉鎖術後の再発上腰ヘルニアの1例

第10回東北ヘルニア研究会アンケート調査

-東北地方の鼠径ヘルニア手術の動向-

腹膜陥凹のない腹膜外型膀胱ヘルニアの2症例の経験

(3)

支部1-5

支部1-7

支部1-6

支部2-1

【症例】81歳女性【主訴】嘔吐【現病歴】X月Y日14時頃からの嘔気・ 嘔吐あり、症状改善ないためY+1日未明に当院救急搬送となった【既 往歴】4年前に直腸癌に対してMiles手術後【来院時身体所見】右鼠 径部、鼠径靱帯尾側に鶏卵大の膨隆あり【CT】右大腿管から小腸の 脱出を認める【来院後経過】右大腿ヘルニア嵌頓の診断で、徒手整復 施行。その後、腹部症状は速やかに改善し、腹痛の増強などは認めな かった。来院翌日に準緊急で腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した【手 術所見】腹腔内に少量の血性腹水を認め、約10cmにわたって暗赤色 に変化した小腸を認めた。右大腿管にφ1.5cmのヘルニア門を認め た。腹腔鏡下ヘルニア修復術(TAPP法)を行い、3D max light(M) を使用した。腹膜を完全に閉鎖後、臍部を約3cm小開腹して壊死小腸 を切除、器械吻合(FEEA)を行い手術終了した【術後経過】術後経 過は良好で、メッシュ感染などなく術後12日目に軽快退院となった。 鼠径ヘルニア手術後の対側発症の中には膨隆などの症状のない潜在 性の鼠径ヘルニア,いわゆる“不顕性鼠径ヘルニア”の顕性化が含まれ ている. しかし,“不顕性鼠径ヘルニア”の有病率や顕性化について画 像を用いて検討した報告は少ない.当院では,鼠径ヘルニアの術前に 鼠径部を除圧した状態での腹臥位CT(ヘルニアスタディ)を撮影し ており,術前に不顕性ヘルニアの診断が可能である.鼠径ヘルニアの 術前に施行されたヘルニアスタディによって不顕性ヘルニアを指摘さ れ,経過観察を行った症例を対象として,不顕性ヘルニアの顕性化と, その危険因子について検討した. 2006年1月から2015年12月まで に鼠径部ヘルニアの術前に対側の不顕性ヘルニアと診断されたが経 過観察となった77例を対象とした.このうち27.3%(21例)が顕性し, 5年の顕性化率は23.3%であった.危険因子の検討では,初回手術を 行った側のヘルニアの大きさが有意な因子であった(顕性化群で平均 157.6cm3,非顕性化群で77.8cm3;P= 0.029).また,有症状側の大き さがcut off値で44.5cm3以上での5年の顕性化率は32.5%(13例) で, 44.5cm3未満では13.5%(5例)であった (P= 0.0205 ). 不顕 性ヘルニアの顕性化率は比較的高く,特に有症状側のヘルニアが大き い症例での不顕性ヘルニアは顕性化しやすいので,注意深い経過観察 や,同時もしくは早期の手術を考慮すべきであると考えられた. 【緒言】滑脱鼠径ヘルニアは,ヘルニアsacの一部を臓器が裏打ちし た状態で,手術操作が困難で再手術率が高いと言われている.当院で 経験し再発した1例を提示する. 【症例】71歳男性.10年前より左鼠径部膨隆を自覚,1年前より同部の 圧迫感が出現し用手還納できなくなったため左鼠径ヘルニアの診断で 紹介された.既往にリポイド類壊死症があり,抗凝固2剤でコントロー ルされていた.前方アプローチにより根治術を施行.最終的には鼠径 部6㎝の皮切で開創.ヘルニア嚢が一部開放されたため内腔を確認す ると,陰嚢先端までS状結腸後腹膜癒着部が滑脱脱出しており左外鼠 径ヘルニアS状結腸滑脱(Ⅰ-3型)の診断.陰嚢を反転するようにし, ヘルニア嚢全体を剥離し還納しDirect Kugel Mで修復した.術翌日 ~翌々日に後出血による腫脹を認めたが保存的に軽快した.術後6か 月でヘルニア再発を認めたため,再手術とした.腹腔鏡下誘導前方ア プローチで施行.パッチの尾側が剥がれるように逸脱,ヘルニア嚢およ びS状結腸が滑脱していた.恥骨・Cooper靭帯背側の癒着が軽度で あり,前回手術の際の剥離不十分が示唆された.前回のMのパッチを 覆い隠すよう, Direct Kugel Lで定型的に修復,現在まで再発はな い. 【まとめ】滑脱型に対しての腹膜前腔剥離は,膀胱損傷等の危険性が あるものの,恥骨後面までの十分な剥離操作が必要であり,再発時に は腹腔鏡下誘導前方切開法(ideal-HYBRID法)が有用である事が 示唆された. 【はじめに】股関節痛は、外傷や運動負荷などの筋骨格系疾患や膠原 病の多関節症状の部分症状として出現する場合が多い。今回、関節リ ウマチ治療中に出現した股関節痛に対して閉鎖孔ヘルニアと診断し手 術をおこなった症例を報告する。【症例】60歳代、女性。主訴は左股 関節痛と左大腿部痛。既往は虫垂切除術、関節リウマチの治療中。約 3年前に左大腿部痛が出現し近医整形を受診。左股関節の内外旋で 股関節と膝関節痛が誘発された。MRI検査で左股関節筋壊死が疑わ れたものの症状が軽快し保存的治療が行われていた。通院途中から 開脚位で両側の股関節痛が出現し軽快せず当院紹介となった。両鼠 径部に膨隆なく両鼠径部に圧痛軽度。骨盤MRI検査では、左恥骨筋と 内外閉鎖筋間に高信号領域を認め、CT検査では、同部位に脂肪と同 等の低吸収域を認めた。股関節炎としては疼痛範囲が広く典型的でな く、関節リウマチ関連の股関節痛と鑑別を要したものの、Howship-Romberg徴候類似の所見があり両側閉鎖孔ヘルニアと診断した。手 術は腹腔鏡下手術(TAPP)を施行、所見では両側閉鎖孔ヘルニアと 両側大腿ヘルニアであった。手術時間2時間11分。術後から股関節痛 は消失し1年経過し疼痛の再燃はない。【まとめ】股関節痛の原因とし て筋骨格系疾患や膠原病内科的疾患を鑑別として疾患検索を行うこと が多いが、両側閉鎖孔・大腿ヘルニアを念頭に診療を行う事も重要で ある。 加藤 隆二1)、大曽根勝也1)、高橋  遼1)、高田 考大1) 茂木 陽子1)、小川 博臣1)、桑野 博行1)、調   憲2) 井田 圭亮、小林慎二郎、佐々木奈津子、小泉  哲、 大坪 毅人 小松﨑修平1)、久倉 勝治2)、金子 宜樹2)、馬上 頌子2) 栗盛  洸2)、大和田洋平2)、小川 光一2)、大原 佑介2) 明石 義正2)、榎本 剛史2)、大河内信弘2) 仲地  厚、知念 澄志、辻村 一馬、安里 昌哉、澤岻 安勝、 大田 守仁、嵩下英次郎、比嘉 国基、我喜屋 亮、照屋  剛 1)群馬大学医学部総合外科学 消化管外科、2)群馬大学医学部総 合外科学 肝胆膵外科 聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科 1)筑波大学附属病院 消化器外科、2)筑波大学附属病院 豊見城中央病院 外科

大腿ヘルニア嵌頓に対して腸管切除を伴う腹腔鏡下

ヘルニア修復術を施行した一例

不顕性ヘルニアの顕性化に関する検討

鼠径ヘルニアS状結腸滑脱に対する根治術後再発に対

する治療approach

股関節痛の原因が両側閉鎖孔・両側大腿ヘルニアで

あった関節リウマチの1例

(4)

支部推薦演題

支部2-2

支部2-4

支部2-3

支部2-5

【はじめに】鼠径部ヘルニア嵌頓は発生部位、ヘルニア内容など複雑 で治療法に難渋することも多い。当院で2011年から2017年に受診し た鼠径部ヘルニア嵌頓について報告する。【対象】対象は、鼠径、大 腿、閉鎖孔ヘルニア嵌頓で当院を受診した62例で、17例は還納可能で あり、準緊急で手術加療となったが、45例は還納されずに緊急手術に 至った。【結果】準緊急で手術となった17例は鼠径13例、大腿3例、閉 鎖孔1例で、緊急手術に至った45例は、鼠径22例、大腿10例、閉鎖孔 13例であった。ヘルニア修復には、主にKugel or D.Kugel法が施行 され、その他McVayやIPTR、Lichtenstein、TAPP、2期的に根治し た症例もあった。ヘルニア内容が腸管で、切除を要したのは7例で、当 院では鼠径部の創と別に正中小切開創で行うことで、メッシュ感染と ヘルニア再発を極力減らす方針としている。正中創の感染は1例認めた が、メッシュの感染やヘルニア再発はなかった。癌末期であった2例は 死亡退院となった。【結語】腹膜炎のない鼠径部ヘルニア嵌頓のうち、 小腸切除が必要となった症例は当院では11.2%と多くはないが、鼠径 部切開法、人工膜修復術と別創による腸管切除を行うことで安全に施 行可能であると思われた。 【はじめに】腹壁瘢痕ヘルニアに対する治療法としてメッシュなどの 人工材料を用いた修復術が広く行われているが術後合併症として感染 や再発が報告されている。今回、臍部の腹壁瘢痕ヘルニアに対して他 院でメッシュを用いた修復術を施行され、術後メッシュ関連合併症が 疑われた2症例を経験した。【症例1】88歳男性。虫垂切除後の腹壁 瘢痕ヘルニアに対して2年半前に腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術を 施行された。術後に臍部のポート創の腹壁瘢痕ヘルニアを認め、疼痛 を伴うようになったため半年前に腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行され た。術後も臍部の疼痛が持続しメッシュ感染が疑われたため手術を施 行した。臍直下にメッシュが拘縮し癒着していたため臍と共に合併切 除し単純閉鎖法による腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した。【症例2】 52歳男性。3年前に腹腔鏡下胆嚢摘出術の臍部ポート創に腹壁瘢痕 ヘルニアが出現した。1年半前に腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行され たが、半年前より臍部の疼痛と排膿が出現しメッシュの露出を認めた。 メッシュ感染の診断で手術を施行した。臍直下にメッシュが拘縮し小 腸と高度に癒着していた。メッシュを臍と共に合併切除し単純閉鎖法に よる腹壁瘢痕ヘルニア修復術、小腸部分切除術を施行した。【考察】2 症例とも術後の経過は良好で、現在明らかな感染徴候や再発は認めて いない。腹壁瘢痕ヘルニア修復術後のメッシュ関連合併症について若 干の文献的考察を含めて報告する。 【緒言】前立腺全摘除術後の合併症として高頻度に鼠径ヘルニアを発 症することが知られている。 【目的】前立腺全摘除術後に当科で修復した鼠径ヘルニアについて検 討する。 【対象・方法】2011年1月から2017年9月に当科で鼠径ヘルニアに対 して手術を施行した231症例(265病変)について、前立腺全摘除術の 既往がある29例(40病変)を既往群、他の192例(225病変)を対照 群としてretrospectiveに検討した。なお異時性手術例は同一症例と した。 【結果】手術時(異時性両側例は初回時)年齢中央値は既往群73 (56-80)歳、対照群72(17-98)歳、BMI平均値は既往群22.6kg/ m2、対照群23.3kg/m2で有意差を認めなかった。ヘルニア患側につ いて、両側例は既往群11例(38%)、対照群33例(17%)で、既往 群で優位に多かった(p=0.011)。また片側例(既往群18例、対照群 159例)のうち、右側例は既往群14例(78%)、対照群76例(48%) で、既往群で優位に多かった(p=0.017)。前立腺全摘除術は開腹10 例(34%)、ミニマム創9例(31%)、ロボット支援下10例(34%)で あった。前立腺手術からヘルニア手術までの期間の中央値は19.5(1-205)月であった。既往群の手術診断は全て間接鼠径ヘルニアであり、 修復は鼠径部切開法で行い、39病変に対してPlug法、1病変に対して Lichtenstein法で修復し、全例で再発を認めていない。 【結語】前立腺全摘除術後の鼠径ヘルニアは両側例や右側片側例が 多い特徴を有し、鼠径部切開法で再発なく修復しえた。 症例は74歳男性、2015年6月に胃癌で開腹胃全摘施行(StageIA)、 2016年6月のサーベイランスCTで腹壁瘢痕ヘルニアを認め、11月に 腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術(IPOM-plus)を施行した。ヘルニ ア門は6×6cmで、20×12㎝のメッシュを用い、タッカー45発をダブル クラウン法で腹壁に固定した。 1ヶ月後の12月に右鼠径部の疼痛と膨隆の訴えがあり、右鼠径ヘルニ アの診断で、同月に前方アプローチで手術を行った。右I-2ヘルニアに 対し、UHSメッシュを用いたヘルニア根治術を施行したが、術中ヘルニ ア嚢を解放したところ、ヘルニア内容は腹壁瘢痕ヘルニアの手術で使 用したタッカーであった。 ヘルニア内容であったタッカーは計12個であり、腹壁瘢痕ヘルニアの メッシュのタッキングが1ヶ月後の時点で少なくとも25%前後は脱落し ている可能性が示唆された。本邦での鼠径ヘルニアのヘルニア内容に タッカーを認めた報告はなく、大変興味深い症例と思われる。 有末 篤弘、川村 英伸、佐藤  馨、石橋 正久、伊藤 千絵、 青木 毅一、畠山  元、杉村 好彦 伊達 聡美、三浦 敬史、藤井  圭、小原井朋成、橋爪健太郎、 当間 宏樹、廣田伊千夫、江口  徹 大谷 将秀1)、長谷川公治1)、庄中 達也1)、大原みずほ1) 宮本 正之1)、谷  誓良1)、浅井 慶子1)、玉木  岳2) 松野 直徒1)、古川 博之1) 佐野 恵美1)、伊藤 嘉智1)、吉松 和彦1)、小池 太郎1) 宮野  裕1)、今泉 理枝1)、荻原  哲1)、小寺1)麻加1) 成高 義彦2) 盛岡赤十字病院 医療法人原三信病院 外科 1)旭川医科大学外科学講座 消化器病態外科学分野、2)旭川医科 大学 腎泌尿器外科学講座 1)埼玉済生会栗橋病院 外科、2)東京女子医大東医療センター  外科

当院を受診した鼠径部ヘルニア嵌頓の治療方針

臍部の腹壁瘢痕ヘルニア術後のメッシュ関連合併症

を起こした2症例について

当科における前立腺全摘除術後の鼠径ヘルニア手術

例の検討

IPOM-plus術後の鼠径ヘルニア手術時にヘルニア嚢

内に脱落したタッカーを認めた1例

(5)

支部2-6

支部3-1

支部2-7

支部3-2

当科での鼠径部ヘルニア手術症例は、年間約110~130例で、約8割を 前方アプローチで行っている。前方アプローチの術式は、2013年まで はBilayer patch法を行っていたが、2014年からはDirect Kugel法 を第一選択としている。前方アプローチの約2割を、初期研修医が執 刀している。初期研修医の指導のため最近では、術前に教育用の手術 動画を使用し、術後も執刀した動画を編集し発表する機会を与えてい る。初期研修医が執刀した症例を検討したところ、手術時間は81分と 有意に長くかかっていたが、術後成績は問題なかった。また、過去2年 間に研修した初期研修医にアンケート調査を行ったところ、外科を志さ ない研修医でも、鼠径ヘルニア手術の執刀は必要との回答がほとんど で、執刀について前向きな意見が多かった。初期研修医が執刀する鼠 径ヘルニア修復術の安全性は問題ないと思われ、外科研修にとっては 有用なものと思われた。 腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術として腹腔内にメッシュを 置くIPOMが広く行われている。しかしながら筋膜欠損部が遺残するこ とによる漿液種、bulgingが機能面、整容面で問題になることがあり、 これらの問題を解決する術式として筋膜欠損部を閉鎖したのちに腹腔 内にメッシュを置くIPOM-plusが開発された。今回Knotless Tissue Control Devicesにて縫縮しIPOM-plusを行った腹壁瘢痕ヘルニア の一例を報告する。Tissue Control Devicesはテンションのかかる 筋膜閉鎖での使用を目的に開発されたノットフリー縫合デバイスで結 紮を行わずに組織を安定保持することが可能である。症例は69歳、 女性。既往歴:S状結腸癌、糖尿病、高血圧。現病歴:S状結腸癌の follow中に左下腹部の小切開部の腹壁瘢痕ヘルニアが出現。手術を 希望された。腹部所見は左下腹部に小切開があり、切開部には約7× 15cmのヘルニア門を認めた。CT:左下腹部に腹壁瘢痕ヘルニアを認 め、S状結腸癌の再発はない。手術:腹腔鏡下腹壁瘢痕修復術を予定 した。術中所見:左下腹部に8×20cmのヘルニア門を認めた。ヘルニ ア門をKnotless Tissue Control Device(STRATAFIX)にて縫縮 したのちにメッシュ(20.3×25.4cm)を腹壁に固定した。術後経過良 好で、術後8日目に退院となった。術後6か月の現在も再発などはない。 Knotless Tissue Control DevicesによるIPOM-plusは有用であっ たため、術中ビデオを供覧し報告させていただく。 【はじめに】メッシュを用いたテンションフリー法後の再発例では高 度の癒着が考えられ、手術は困難である。当科で施行した再発鼡径ヘ ルニアに対する手術手技を供覧し治療成績につき報告する。【手術手 技】メッシュプラグ(以下MP)法後の再発ではTAPP法を第一選択と しており、プラグ周囲以外の癒着は軽度で腹膜前腔の剥離が可能の場 合が多い。前回挿入されたプラグは無理には摘出せず、新たにメッシュ を貼付している。Direct Kugel法やTAPP法など腹膜前修復法後の再 発例では腹腔鏡観察下に手術方法を選択している。TAPP法を行う場 合は腹膜縫合を意識した丁寧な剥離が重要で、メッシュを前回のメッ シュとオーバーラップするよう固定した後に内側の腹膜やヘルニア嚢 を利用して腹膜縫合を行っている。【結果】10年間に23例(24側)の テンションフリー法後の再発例を経験した。メッシュプラグ法後の13例 (14側)に対しては全例TAPP法を施行した。腹膜前修復法後の10例 (TAPP法後8例、Direct Kugel法後2例)に対しては、8例にTAPP 法を施行し、I型で再発した1例には腹腔鏡観察下にMP法で修復し た。現在のところ全例再発なく経過している。【結語】再発鼡径ヘルニ アに対しては腹腔鏡観察下に、それぞれの症例に合わせた手術方法の 選択が重要と考えられた。 症例は97歳の女性。約4時間前からの繰り返す嘔吐を主訴に当院へ 救急搬送された。来院時、左鼠径部にゴルフボール程度の大きさで圧 痛を伴う腫瘤を認めた。腹部X線検査では骨盤腔に小腸ガスを多量 に認め、腹部・骨盤部単純CT検査では左鼠径部の大腿動静脈内側 に小腸とみられる腫瘤、また骨盤内に拡張した腸管を認め、左大腿ヘ ルニア嵌頓と診断された。ヘルニアは用手的に還納された。同日より 経過観察目的に入院し、入院3日目に腹腔鏡下ヘルニア根治術を行っ た。 全身麻酔下、体位は仰臥位、臍部、右側腹部に5mmポート、左側 腹部に3mmポートを留置し、計3ポートで行った。腹腔内を検索した ところ、術前の診断通り左大腿ヘルニアであった。右側には鼠径部ヘ ルニア、閉鎖孔ヘルニアは認めなかった。嵌頓していた部位と思われ る発赤を伴った小腸を認めたが明らかな虚血壊死所見は認めなかっ た。腹膜前腔の剥離を進め、大腿輪を含めたmyopectineal orifice (MPO)を露出し、メッシュを使用しヘルニア修復術を行った。手術 時間は56分、出血は少量であった。術当日の夕方から歩行、食事を開 始し、術後2日目に軽快退院した。大腿ヘルニアの多くは、非還納・絞 扼の状態で緊急手術することが多いが、今回の症例は幸いにも還納が 可能であった。97歳と超高齢であったが待機的に腹腔鏡下ヘルニア根 治術を行い、良好な結果が得られたので若干の文献的考察を加えて報 告する 岩谷  昭、窪田  晃、塩井 生馬 藤田 正博、谷口 桂三、渡部 真人、平能 康充、小林 隆司、 内藤 善久、奧村 武弘、丸野  要、藤野 昇三 安居 利晃、東野信之介、松井 大輔、藤本  悟 島田 幸典、井上 諭、古垣 浩一、都志見貴明 新潟市民病院 消化器外科 帝京大学医学部附属溝口病院 外科 JCHO金沢病院 外科 嶋田病院 外科

初期研修医が行う鼠径ヘルニア修復術の検討

Knotless Tissue Control Devicesにて縫縮し

IPOM-plusを行った腹壁瘢痕ヘルニアの一例

当科における再発鼡径ヘルニアに対する鼡径ヘルニ

ア修復術

嵌頓解除後に腹腔鏡下修復術を行った超高齢者大腿

ヘルニアの一例

(6)

支部推薦演題

支部3-3

支部3-5

支部3-4

支部3-6

当院では腹壁瘢痕ヘルニアに対する基本術式をIPOM-plus法とし ている。ヘルニア門を閉鎖し腹壁機能を改善させる術式であるが、術 後にCT検査を再検討するとヘルニア門が再開大している症例を多 く経験する。ヘルニア門に対する緊張を緩和することで、再開大によ る再発を抑制し有効な腹壁機能を維持できると考え、Endoscopic Component Separation (ECS)をIPOM-plus法に併施した術式 を導入している。 ヘルニア門径4cm以上10㎝未満の症例(EHS分類W2)に対しては、 腹直筋後鞘の切開受動のみを追加したPartial ECS併施の対象として いる。ヘルニア門径10㎝以上15cm未満の症例(EHS分類W3)に対 しては、両側外腹斜筋健膜の切開受動をさらに加えたComplete ECS 併施の対象としている。ヘルニア門径15cm以上の症例に対しては、ヘ ルニア門閉鎖後の腹腔内視野確保が困難になるためComplete ECS を加えた開腹手術の適応としている。 2016年12月以降、Complete ECS併施の腹壁瘢痕ヘルニア手術を6 症例に対して施行した。手術時間に有意な延長があるものの、再発や 合併症、手術出血量、術後在院日数に有意な差は認めなかった。短期 経過は良好であり、長期経過について引き続き検討していきたい。 症例は69歳女性。2015年10月、腹膜播種、後腹膜浸潤を伴う切除 不能膵体尾部癌に対し、開腹胃空腸吻合術を施行。その後上腹部正 中創の腹壁瘢痕ヘルニアとなり、しばしば結腸の脱出による疼痛を 認めていた。推定予後は半年以内であったが、QOL向上を目的として 2017年7月にPosterior component separation(Transversus Abdominis Muscle Release:TAR法)による腹壁瘢痕ヘルニア修 復術を施行した。術後は症状改善し、経口摂取も可能となったが、病勢 進行により術後2か月で永眠した. 本症例のように腹腔内の癒着や播種病変が予想される場合でも、腹腔 内処置を必要としないCS法による修復術は有用であると考えられた。 特にTAR法による修復術は上腹部の腹壁瘢痕ヘルニアでも肋骨の制 約を受けることなく修復が可能であり、またメッシュ非使用でも短期成 績に問題なく、有用な術式になり得ると思われた。 Parastomal herniaは人工肛門造設術後の比較的頻度の高い晩期合 併症の一つであり、単孔式結腸人工肛門の4-48.1%、双孔式結腸人 工肛門の0-30.8%にみられると報告されている。嵌頓、腸閉塞、疼 痛、装具装着困難、皮膚障害、整容性などが手術適応として挙げられ るが、多くは無症状でありほとんどが保存的に経過観察とされる。 予防法として、腹直筋内法・後腹膜経路・Cleaveland Clinicマーキン グ法などが挙げられるが、いまだ確立された治療法がないのが現状で ある。手術治療として、筋膜縫縮術、人工肛門再造設術、メッシュを用 いた修復術などが報告されているが、高い再発率や前回手術後の癒着 の影響、メッシュ感染の危険性など、危惧する点が多い。 当科ではparastomal herniaに対してメッシュを用いた腹腔鏡下修復 術を行っており、腹腔内からヘルニア門を十分に観察できること、メッ シュ汚染の危険性を少なくできること、高度肥満患者でも低侵襲の手 術が可能であることなどがメリットとして挙げられる。 今回我々は、傍ストマヘルニアに対して腹腔鏡下修復術を施行し、良 好な結果を得た症例を経験したので、若干の文献的考察を交え報告す る。 メッシュ感染は発症すると治療に難渋することが多い合併症である。 今回、治療に難渋した1例と良好な経過であった1例の腹壁瘢痕ヘルニ ア術後メッシュ感染を経験したので報告する。 【症例1】76歳女性。腹壁瘢痕ヘルニア(ヘルニア門23x18cm)に 対しベントリオ3Lを用いて修復術を施行した。術後メッシュ腹側で膿 瘍形成を認め、保存的治療が奏功しないためメッシュ除去術を計画し た。しかし、腹壁欠損部が大きく、腸管も著明な浮腫を呈して閉腹は困 難なため、陰圧閉鎖療法(VAC療法)を施行した。経過中に消化管穿 孔をきたし、最終的に小腸切除と結腸右半切除を施行し、皮膚と皮下 組織のみでの閉腹となった。現在も腸管機能が回復せず、経口摂取が 困難な状況が継続している。 【症例2】61歳男性、維持透析施行中。臍ヘルニア嵌頓に対して、他 院でメッシュ修復術が施行された。2年後に臍部の腫脹を認め、維持 透析中の病院でメッシュ感染による腹壁膿瘍と診断され、当科紹介と なった。メッシュ除去術を施行したところ、小腸が何ヶ所もメッシュと 癒着し、腹壁・メッシュ・小腸が一塊となっていた。これらを一塊に切除 して、Components separation法を用いて修復した。術後経過は良 好で術後第13病日に退院した。 宮木祐一郎、田原 俊哉、髙部 裕也、町田 浩道、牛田進一郎、 鈴木 一史 黒河内喬範、五十嵐陽介、田口 理子、鈴木 英之、松田  実 助川  誠1)、千原 直人1)、鈴木 英之1)、中田 亮輔1) 渡辺 昌則1)、内田 英二2) 櫻谷 卓司、山田  誠、後藤亜也奈、横井 亮磨、土屋  博、 佐々木義之、奥村 直樹、松井 康司、長田 真二、杉山 保幸 聖隷浜松病院 外科 春日部中央総合病院 外科 1)日本医科大学武蔵小杉病院 消化器外科、2)日本医科大学 消 化器外科 岐阜市民病院 外科

巨大腹壁瘢痕ヘルニアに対するIPOM-plus with

Endoscopic Component Separationの経験

Transversus Abdominis Muscle Release:TAR

法)により修復した腹壁瘢痕ヘルニアの1例

Parastomal herniaに対するメッシュを用いた腹腔

鏡下修復術

(7)

支部3-7

はじめに:腹壁瘢痕ヘルニアに対してIPOM法を施行する例が増えて きているが、腹腔内へメッシュを留置することによる安全性の担保はな されていない。open Rives-Stoppa法がgold standardであり、当院 においても第一選択の術式である。近年endoscopic Rives-Stoppa 法の報告が欧米で認められるようになり当院で施行する機会があり 報告する。症例:67歳女性、現病歴:昨年2月に絞扼性腸閉塞で手術 を受け、術後半年頃に下腹部膨隆を認めるようになった。下腹部正中 に4×9cmの筋膜欠損を認め腹壁瘢痕ヘルニアと診断した。手術:左 季肋下にtrocarを挿入し気腹し、腹腔内をまず観察した。trocarを一 度抜去し、TEP層を広範囲に鈍的に剥離していった。左側の腹直筋後 鞘を切開し白線を超え、白線を温存し、右側の腹直筋後鞘を切開し右 側のTEP層へ入った。両側の外側は腹直筋の外縁まで、尾側は恥骨 まで剥離した。創部直下、ヘルニア門直下は腹膜を離断し開腹となっ ている。筋膜欠損部をV-Locを用いて縫合閉鎖し、腹膜は2-0バイク リルを用いて縫合閉鎖した。13×23cmのメッシュ(プログリップ)で augumentationした。経過:術後合併症なく術後7日目に退院となっ た。現在も再発なく経過良好である。考察:同法はendoscopeとopen 法のそれぞれのadvantageをcombineしたものであり、理想的な修復 術と思われる。 太田 智之、深澤 基児、中山 幹大 安房地域医療センター

腹壁瘢痕ヘルニアに対しendoscopic Rives Stoppa

repairを施行した一例

(8)

一般演題(口頭)

(9)

一般演題

口頭

O1-1

O1-3

O1-2

O1-4

症例 患者は2歳、女児。0歳時より近医で臍ヘルニアと白線ヘル ニアの診断で経過観察されていた。臍ヘルニアについては増大傾向 を認めず、ヘルニア門は約1cmで腹圧・啼泣時に膨隆がみられてい た。白線ヘルニアについては、当初は臍部から約2cm頭側に約1cm 大の膨隆を認めるのみであった。定期的に経過観察するも増大傾向 を示すため当科へ転院となった。来院時、臍ヘルニアについては不 変であったが、白線ヘルニアの大きさは約4cmであった。自然軽快 する可能性が低いと考え手術を計画することとなった。手術は梶川 らによるI法(S字皮膚切開)でアプローチした。臍ヘルニアのヘル ニア門は約1cmであり、その頭側に約8mm程度やや強度が保たれ た白線が存在し、さらに頭側に約4cmの脆弱な白線を認めた。強度 がある白線部を含め一つのヘルニア門としてから腹壁を閉鎖した。 梶川I法に準じて臍形成を行った。術後1.5年経過しているが、あき らかな再発や新規発生はみられていない。また審美的には、白線ヘ ルニアが存在していた部位の脂肪組織が薄いため、同部位にやや凹 凸がみられているが、家族の理解は得られている。結語 臍ヘルニ アと増大傾向にある白線ヘルニアを有する症例に対して梶川法を用 いた臍形成術を施行することで、臍ヘルニアと同様な手技・皮膚切 開で施行することが可能である。また、白線ヘルニアは増大傾向を 示す際は積極的に外科的介入を行う必要があると考える。 Spigelianヘルニアは腹直筋外側縁と半月線の間のSpigel筋膜より 発生する腹壁ヘルニアである。我々は3例のSpigelianヘルニアを経 験したので、報告する。症例1は70歳女性、右恥骨付近の鶏卵大膨 隆と左傍腹直筋外縁、鼠径靭帯より頭側に鶏卵大膨隆を認め、両側 鼠径ヘルニア疑いで紹介。TAPP(transabdominal preperitoneal repair)法による腹腔鏡下ヘルニア修復術を行った。症例2は91歳 女性、左下腹部痛で当院救急来院。立位で左下腹部膨隆を認め、容 易に用手還納可能であった。腹部CTで左外側腹筋の筋膜欠損部か ら小腸壁の脱出する所見を認め、Spigelianヘルニアと診断、IPOM (intraperitoneal onlay mesh repair)法による腹腔鏡下ヘルニ ア修復術を行った。症例3は68歳男性、右下腹部膨隆を主訴に来 院、腹部CTで右腹直筋の一部が菲薄化し、外縁から膨隆する所見 を認め、前方アプローチによるDirect Kugel法で修復術を行った。 ヘルニア手術に関する直接の合併症は認めなかった。また現在まで に再発を認めた症例はない。Spigelianヘルニアの治療は外科手術 が基本で、最近ではメッシュを使用した修復が主流となっており、 腹腔鏡による修復も散見される。Spigelianヘルニアの診断、治療 に関して、文献的考察を加え報告する。 林   豊1)、柴田  大2)、石山明日香1)、四柳 聡子1) 長江 逸郎1)、勝又 健次1)、松村  一2)、土田 明彦1) 豊田 英治、阿部 由督、松林  潤、中山 雄介、北口 和彦、廣瀬 哲朗、土井隆一郎 1)東京医科大学 消化器・小児外科学分野、2)東京医科大学 形 成外科学分野 大津赤十字病院 外科

増大傾向にある白線ヘルニア・臍ヘルニアに対する

梶川法による手術経験

当院で経験したSpigelianヘルニア3例の報告

【はじめに】肥満は成人臍ヘルニアのリスク因子の一つと考えられる。 当科では臍ヘルニアを伴う高度肥満者に対し、減量手術と同時、もしく は二期的に臍ヘルニア根治術を施行している。【対象・方法】2006年 6月から2018年1月の間に当院で手術を行った臍ヘルニア9例の手術 成績を検討した。感染のリスクが高い同時手術ではナイロン糸による 直接縫合を、二期的の場合はメッシュ留置を行った。【結果】全例、腹 腔鏡下で修復術を行った。臍ヘルニア根治術時の平均体重121.6kg、 平均BMIは44.8kg/m2であった。6例に対して減量手術と同時に臍ヘ ルニアの縫縮を行い、3例に対して減量手術後に二期的にメッシュによ る修復を行った。縫縮症例の2例で再発を認めた。1例は術翌日に再発 した。1例は術後3ヶ月目に創感染を発症し、ナイロン糸を抜糸したとこ ろ臍ヘルニアが再発したため、腹腔鏡下にメッシュを用いての再修復 を行った。二期的にメッシュ留置を留置した3例は、フォローアップ期 間がそれぞれ7年、2年、5ヶ月と短いものの再発を認めていない。【考 察】高度肥満者の腹壁ヘルニアは直視下の修復は困難であることが多 く、腹腔鏡下修復術が有効であることに異論はないものと考えられる。 一方、術式選択に関しては、直接縫合で2例に術後早期に再発をきたし ていることから、今後、さらなる検討が必要と考えられた。 【目的】成人臍ヘルニアは肥満の増加により近年増加傾向にあると言 われている。成人臍ヘルニアに対し当院で手術を施行された症例の 術式の変遷と成績について検討を行った。【対象】2006年から2017 年に当科で成人臍ヘルニアに対し手術を施行された33例を対象とし た。【結果】1)年齢は平均58.9±16.5歳(32~91歳)、男性11例、 女性22例。2)BMIは平均30.0±7.1kg/m2と高く、23例(69.7%)が 25以上の肥満。3)9例で糖尿病、5例で肝硬変、3例で慢性腎不全、 2例で気管支喘息の基礎疾患を有していた。4)7例が緊急で(3例は 高度腹水を伴う肝硬変合併例)、26例は予定で手術が行われた。5) 術式は単純縫合閉鎖14例、メッシュ修復14例、腹腔鏡下修復5例。前 期(2006~2011)13例から後期(2012~2017)20例と増加してお り、前期で単純縫合閉鎖8例、メッシュ修復5例、後期で単純縫合閉鎖 6例、メッシュ修復9例、腹腔鏡下修復術5例が施行された。6)術後合 併症は6例で、創部感染3例、後出血1例、皮膚潰瘍1例、無気肺1例を 認めた。2例で再発を認め、再手術が行われた。【結語】術式は単純縫 合閉鎖術からメッシュ修復術、そして平成28年度の保険収載から腹腔 鏡下臍ヘルニア修復術と変遷してきていた。緊急手術例に高度腹水を 伴う肝硬変・糖尿病・慢性腎不全合併例が多く、これらの症例に対す る術式選択が課題である。 網木  学、関  洋介、笠間 和典、北川美智子、梅澤 昭子、 黒川 良望 山田  誠、櫻谷 卓司、松井 康司、杉山 保幸 四谷メディカルキューブ 減量・糖尿病外科センター 岐阜市民病院 外科

高度肥満症者に対する臍ヘルニア根治術の治療成績

当院における成人臍ヘルニア手術症例の検討

(10)

O1-5

O2-1

O1-6

O2-2

【はじめに】根治的恥骨後前立腺摘出術(R PP)は成人鼠径ヘル ニア発症の一因とされている。当院におけるRRP術後に発症した鼠 径ヘルニア症例について検討した。【対象及び方法】2009年1月~ 2015年12月の7年間に当科で施行された成人男性初回鼠径ヘルニア 手術例283例(314鼠径)を対象とした。鼠径ヘルニア手術例283例 (314鼠径)中、RRP術後は20例(25鼠径)で、RRPの既往のある 群:RRP(+)群20例(25鼠径)と、既往のない群RRP(-)群263例 (289鼠径)で比較し、ヘルニアの部位、種類、術式、鼠径ヘルニア手 術までの期間などを検討した。【結果】2009年1月~2015年12月の 鼠径ヘルニア手術例中、RRP術後の占める割合は、7.0%(20/283 例)であった。また2008年1月~2015年12月の当院泌尿器科での R R P施行例97例のうち、18例に鼠径発症がみられ、その発症率は 18.6%(18/97)であった。発症部位は、RRP(+)群では右側10例 (50%)、左側5例(25%)および両側5例(25%)、RRP(-)群では 右側142例(54%)、左側90例(34.2%)及び両側31例(11.8%)で RRP(+)群においては両側発症が多い傾向にあった(P=0.087)。 鼠径ヘルニア手術までの期間は、1年以内が50%と、比較的早期の手 術施行例が多く、術式に関してはRRP(+)群は25例中17例がUPP で、68%を占めていた。【結語】RRP後鼠径ヘルニアは、術後比較的 早期に発症し、両側病変が多い傾向にある。UPP法はRRP後鼠径ヘ ルニアには有効な術式と考える。 【背景・目的】前立腺全摘術後の晩期合併症として鼠径ヘルニアを発 症することが知られている。鼠径ヘルニア手術時に腹膜前腔、鼠径管 内の癒着が強いことが問題となる。今回、当院で経験した前立腺全摘 術後の鼠径ヘルニア症例の特徴と治療成績について検討したので報 告する。【対象・方法】当院で鼠径ヘルニア手術を施行した症例のう ち、前立腺全摘術既往群51症例(63病変)と、前立腺全摘の既往のな い初発鼠径ヘルニア(年齢階層マッチング)744症例(807病変)とを 後方視的に比較検討した。【結果】前立腺全摘既往群の術後鼠径ヘ ルニア発症時期は平均で術後36.4か月だった。手術の内訳は、ロボッ ト支援手術後21症例(27病変)、後腹膜鏡術後12症例(13病変)、 恥骨後式手術後18症例(23病変)だった。鼠経ヘルニアの分類は、既 往のない群では1型が75%、2型が23%、3型が2%だったのに対し、 既往群では1型が89%、2型が10%、4型が2%と、既往群で1型が有 意に多かった。鼠経ヘルニアの患側については、両側発症が既往のな い群では8%に対し、既往群では29%と有意に多かった。鼠経ヘルニ アの手術術式としてmesh plug法を選択したのは、既往のない群では 55%、既往群では98%であった。既往群ではヘルニア再発症例は現 在のところみとめていない。【結語】前立腺全摘術後の鼠経ヘルニアは 1型が多い臨床的特徴がみられ、手術術式としてはmesh plug法の良 好な成績から、妥当な術式と考える。 堀  英昭1,2)、坪内 斉志1)、徳田 浩喜1)、島名 昭彦1) 泊 賢一郎1)、森  勝久1)、川越 真理 長谷  諭、津村 裕昭、金廣 哲也、山岡 裕明、村尾 直樹 1)小林市立病院 消化器外科腫瘍外科、2)堀胃腸科外科医院 広島市立舟入市民病院

根治的恥骨後前立腺摘出後に発症した鼠径ヘルニア

の検討

前立腺全摘術後に発症した鼠経ヘルニアの検討

ストマ傍ヘルニアは人工肛門造設術後の頻度の高い合併症である. 治療法は確立されておらず,再発率の高さや侵襲性が問題となる.近 年,再発の低減を目指したメッシュを用いた修復術の報告が散見され る.術式は統一されておらず感染や腸管との瘻孔形成などの合併症も 報告されている.今回,われわれはセンターバンドタイプバリテックス コンポジットメッシュを用い,腹腔鏡下ストマ傍ヘルニア根治術を行 い良好な結果を得た3症例につき報告する.症例1:65歳男性,S状結 腸癌に対してハルトマン術後にストマ傍ヘルニアを認めた.20cmの メッシュを用いてダブルクラウン法にて固定した.症例2:82歳女性,S 状結腸穿孔にてハルトマン術後のストマ傍ヘルニアを頻回に繰り返し ていた.20cmのメッシュにてSugarbaker(Indirect)法にて固定し た.症例2:87歳女性,下行結腸壊死に対してハルトマン術施行しスト マ傍ヘルニアを認めた.用手的還納が可能であったが脱出を繰り返し た. 15cmのメッシュにてSugarbaker(Indirect)法にて固定した.セ ンターバンドタイプメッシュは腹腔側が全面,腹壁側の一部がコラーゲン シートで覆われるため,血管系に損傷を与える可能性が少なく再発も少な い.正中創での再開腹はメッシュの腹壁への癒着部が不十分となり, 腹腔鏡手術が妥当と考える. 当科で上腰ヘルニアを2例経験したので報告する。症例1は70歳女性。 3年前に右腎癌に対して右腰部斜切開で腎摘出術を行っていた。その 後右腰部の膨隆が出現し、徐々に増大したため当科紹介受診となっ た。右腰部膨隆部に7cmの斜切開を認めた。CTではヘルニア門は10 ×5cm、ヘルニオグラフィーでは5cmほどであり右上腰ヘルニアと診断 した。手術ではIn-layメッシュ、ヘルニア門閉鎖およびOn-layメッシュ を使用して修復した。術後は再発なく経過している。症例2は80歳女 性。6年前に右腎癌に対して右腰部斜切開で腎摘出術を行っていた。 約1年前より右腰部の膨隆を認めるようになり、当科紹介受診した。同 部位に5cmの斜切開を認めた。CTでは5×2cm程のヘルニア門を認 め右上腰ヘルニアと診断した。手術では腎摘後の癒着及び腹膜の脆 弱性のため、第12肋骨付近での剥離に難渋したため、ヘルニア門に mesh plug L sizeを充填し、ヘルニア門周囲組織と縫合固定した。ヘ ルニア門前面を全周に剥離してOn-layメッシュを縫合固定し、内外腹 斜筋を寄せて修復した。術後は再発なく経過している。二次性に生じ た腰ヘルニアでは腹膜損傷が生じやすいので修復には柔軟な対応が 必要であると思われた。 大越 悠史、旗手 和彦、桑野 紘治、横井 圭悟、櫻谷美貴子、 飯塚 美香、坂本友見子、二渡 信江、石井健一郎、金澤 秀紀、 井上 準人、金田 悟郎 川村 雄大1)、東海林 裕1)、星野 明弘1)、谷岡 利朗1) 奥田 将史1)、山口 和哉1)、中嶋  昭2)、小嶋 一幸1) 独立行政法人国立機構相模原病院 1)東京医科歯科大学 消化管外科、2)日産厚生会玉川病院 外科

腹腔鏡下にセンターバンドタイプのコンポジット

メッシュを用い治療した傍ストマヘルニアの3症例

当院で経験した腎摘後の上腰ヘルニアの2例

(11)

一般演題

口頭

O2-3

O2-5

O2-4

O2-6

【目的】鼠径ヘルニア(IH)は前立腺癌恥骨後式前立腺摘除術(RRP) の代表的合併症である.近年ロボット支援下前立腺全摘術(R ALP)が 急速に普及しているがIH発症頻度/対策に統一見解は無い. 【方法】当院での前立腺癌全摘除術症例 274例(2009~2017年)に 対し,傾向スコア解析を用いてIH発症頻度の術式間比較を行った.同 時に当科で施行した前立腺摘除術後IHの修復術成績を摘除術式と修 復方法の観点から検証した.当科ではRALP症例への術式は前方アプ ローチのみとし,RRP症例ではTAPP/前方アプローチのいずれも適 応している. 【結果】前立腺摘除術後のIH発症は46例(17%)で,術式毎の累 積発症率(5年)はR R P群24%,R A LP群19%と同等だった(P= 0.650).傾向スコア解析により背景因子を均質化した154例でも同様 の結果だった(P=0.876).ヘルニア修復術は全58例で,内訳はRRP 症例へのTAPPもしくは前方アプローチを19/17例,R ALP症例22例 だった.RPP症例に対するTAPP施行例6例に術後合併症(水腫5例, 血腫1例)を認めたが,前方アプローチ症例では合併症発生を認めな かった(P=0.010).全例で再発を認めていない. 【結語】前立腺摘除術後IH発症は摘除術式によらず高かったが, RALP後IHは前方アプローチにて安全かつ確実に修復しうると考えら れた. 【目的】 1)前立腺全摘術後鼠経ヘルニア症例の特徴を検討する。 2)TAPP法での手術手技の変遷をレビューする。【方法】1)両側性、 ヘルニア分類、手術時間、臓器損傷、再発について、前立腺全摘術後 症例(P群)の非前立腺全摘術後症例(N群)間で比較した。2)剥離 層、使用メッシュと腹膜縫合方法について経時的に比較した。【結果】 1) 28症例34病変の前立腺全摘術後鼠径ヘルニアに対して、TAPP 法を行った。同時性両側ヘルニア6例(P群:N群=21%:16%, n.s.) だが全例術中発見だった。ヘルニア分類はI型32病変(P群:N群 = 94%: 64%, p<0.05)で、手術時間(片側)は優位に長かった(P 群:N群 = 138分: 108分, p<0.05)。臓器損傷例・再発例とも認 めず、両群間で有意差を認めなかった。2)後腹膜アプローチの前立腺 術後例ではクーパー靭帯近傍まで剥離できることが多い一方で、経腹 腔アプローチの場合は困難な傾向にあった。2003年以後連続7例に Composite meshが使用され、3例は不完全な腹膜閉鎖だった。2011 年以後は全例通常メッシュで腹膜閉鎖可能であった。ロボット支援下 術後の症例には高位腹膜切開を採用し、瘢痕のない層での剥離が可 能になり腹膜縫合時間は短縮傾向(P=0.07)にあった。【結語】前立 腺全摘術後の症例に対するTAPP法は手術時間が長くなるが、臓器損 傷や再発は認めなかった。前立腺全摘の術式を理解することで、安全 性の向上や腹膜縫合時のストレス軽減が期待できる。 本山 博章1)、横山 隆秀1)、坂井 紘紀1)、細田 清孝1) 増尾 仁志1)、福島健太郎1)、野竹  剛1)、清水  明1) 小林  聡1)、小川 輝之2)、石塚  修2)、宮川 眞一1) 佐藤 正範、小野田貴信、渡邊 貴洋、松山 温子、佐藤 智仁、 椎谷 紀彦 1)信州大学 消化器外科、2)信州大学 泌尿器科 浜松医科大学医学部 第一外科

傾向スコア解析による前立腺癌術後鼠径ヘルニア発

症の術式間比較と至適修復術式の検討

当科における前立腺全摘術後の鼠径ヘルニアに対す

るTAPP法の成績と手技の変遷

【はじめに】前立腺全摘術後の鼠径ヘルニア手術では腹膜前腔の癒 着が危惧されるため、ガイドラインにおいても鼠径部切開法が推奨さ れている。【目的】前立腺全摘後の鼠径ヘルニア手術として合理的な鼠 径部切開法ついて考察すること。【対象と方法】2009年1月から2017 年12月の期間に当院で鼠径ヘルニアの手術を受けた症例を対象とし た。前立腺全摘術後症例(A群)と男性の非再発非前立腺全摘術後症 例(B群)で検討した。【結果】期間中の鼠径ヘルニア手術症例は841 例で、A群56例、B群586例であった。I型はA群96.4%、B群73.5% で有意にA群にI型が多かった(p<0.0001)。A群の術式決定は、腹 膜前腔剥離に問題がない症例はUHS、癒着はあるが大腿輪の確認が 可能な症例はUPP、大腿輪の確認も不可能な症例はLichtensteinと した。A群の術式はUHS1例、UPP54例、Lichtenstein1例で、1例を 除き大腿輪の確認は可能であった。なお期間中の男性鼠径ヘルニア全 体の大腿ヘルニアは不顕性も含め0.86%であった。A群のUPPの麻酔 法は膨潤麻酔21例、腰椎麻酔31例、全身麻酔4例で膨潤麻酔と腰椎 麻酔で手術時間に差はなかった(p=0.18)。【結語】前立腺全摘術後 の鼠径ヘルニアの大多数がI型で、腹膜前腔剥離も困難なためUPPは 合理的な術式と思われた。大腿ヘルニアの発生率を考慮すると大腿輪 の確認にこだわらないLichtensteinの選択も合理性があると考えた。 麻酔法では癒着があっても膨潤麻酔で十分な除痛が得られた。 当院におけるロボット支援下前立腺全摘術(R A LP)後に発生し手 術を施行した鼠径ヘルニアについて臨床的特徴を検討した。方法は 2012年4月から2017年12月に当院で施行したRALP症例において、 術後の鼠径ヘルニア合併症例(R ALP群)と、同時期に当院で根治術 を行った前立腺全摘既往のない鼠径ヘルニア症例(対象群)について 比較検討を行った。結果、RALP群456症例中46例(10.1%)・50病 変に鼠径ヘルニアの発生を認めた。ヘルニア分類はR ALP群で外鼠 径ヘルニアが94%と対象群に比べ多く認められた。術式はUltra Pro Plug法またはLichtenstein法を施行し現在再発は認めていない。ま た、2016年10月から鼠径ヘルニアの発生を予防する目的でPALPに おける前立腺へのアプローチ法を変更したところ、その後ヘルニアの 発症率が軽減されていた。以上から前立腺全摘後術後は自然発生率に 比して外鼠径ヘルニアの合併が多く認められ、前立腺へのアプローチ 法を変更する事でRALP術後の鼠径ヘルニアの発症率を改善できる可 能性が考えられた。 吉田 貢一、家接 健一、岡本 純平、林  沙貴、浅海 吉傑、 太田 尚宏、菅原 浩之、田畑  敏、金木 昌弘、酒徳 光明、 清原  薫 丸山 翔子、木村 泰生 市立砺波総合病院 外科 聖隷三方原病院 外科

前立腺全摘後の鼠径ヘルニア手術についての検討

当院におけるロボット支援前立腺後全摘後に発生し

た鼠径ヘルニアの検討

(12)

O3-1

O3-3

O3-2

O3-4

【目的】アンケートを通じて、患者目線から鼠径ヘルニア診療のある べき姿を検討すること。【対象と方法】2008年1月から2016年12月 までの鼠径部ヘルニア1936例(2160病変)に対してアンケートを施 行した。内容は,1.患部の痛み、しびれ、違和感 (なし、時々、いつ も)。2.手術に対する満足度(満足、どちらでも、不満)。3.診察の 希望の有無、であった。【当院の治療方針】局麻下前方アプローチで メッシュ法か全麻下TAPP。嵌頓例で腸管切除を要した場合、修復は 組織縫合法。退院2-3週後に外来受診し、異常を認めなければ終診。 【結果】回収率は77.1%(1325/アンケート到達数1718症例)。1. 痛み、しびれ、違和感はある/ないと答えた人がそれぞれ3%/84%、 1%/94%、5%/76%。2.満足との回答は89%。しかし合併症のな い場合の満足度は90%であったのに対し、あった場合は74%(P< 0.001)であった。合併症別(再発、感染、出血、漿液腫、慢性疼痛)の 満足度は再発、感染、慢性疼痛の合併では有意に満足度低かったが、 出血、漿液腫の合併では満足度に有意差を認めなかった。3.診察の 希望の有無は11%(149/1325症例)で診察希望あり、診察の結果5 例に再発を認めた。観察期間平均値は46ヶ月(0-112ヶ月)であった。 【結語】何らかの合併症、特に再発、感染、慢性疼痛を生じることで 有意に患者満足度は低下した。術後約1割の患者で診察希望があり、 follow upの体制づくりが必要である。 私たちは、患者になるべく大きな恩恵をもたらす治療を選択すべき であるが、そのための先進医療の多くは最先端の医薬品や医療材料 を用いるため実は医療費高騰の大きな原因であり、無秩序にそれを 採用すると医療財源を圧迫するというジレンマを抱えている。その ため、世界に比類なき高齢化社会を迎える我が国の社会保障制度の 持続可能性を真摯に考えると、医療の質を保ちつつ医療資源を有効 に使うセンス、知識を身につけ、それを実践する自律性が求められ る。医療資源とは、単純に医療費のことだけではなく、いずれも有 限(希少)な労働力・時間、空間(病床や手術枠など)等の概念が 含まれる。本邦のガイドラインの文脈や、エキスパートの報告等を 見る限り、ラパヘルであれ鼠径部切開法であれ、熟練者が行えば患 者の受ける恩恵(治療成績や社会復帰など)は同等の可能性が高 い。だとすると、医療資源の有効利用という観点から見れば、鼠径 部法に比べて医療費が倍近くかかるうえに、多くの医療資源が投入 されている(外科医と麻酔医を束縛し、手術室を占拠している) ラパヘルを第一選択とする合理的理由はない。私たちは腹膜前到 達法が最も合理的な術式と考え、年間約800例の日帰りヘルニア手 術(クーゲル法)を行っている。一方で手術室の効率的な運営で約 350例の腹部緊急手術にも対応している当院の現状をふまえ、医療 資源の効率利用という観点から私たちの進むべき道を考察したい。 高山 祐一、金岡 祐次、前田 敦行、深見 保之、高橋 崇真、 宇治 誠人、岡本 和浩、手嶋浩也 小川  稔、上村 佳央、丹羽 英記 大垣市民病院 外科 多根総合病院 外科

患者から見た鼠径部ヘルニア術後診療のあるべき姿

-8年間1936例のアンケートから-

医療資源の効率利用という観点から考察したヘルニ

ア術式の選択

【はじめに】日本でこれまで多く行われてきたPlu g 法が Wor ld Guidelineでは推奨されなかった理由は、その治療成績ではない。横 筋筋膜上と腹膜前腔の2層にメッシュを留置するため、再発した際に 前方、後方いずれのアプローチでも修復が困難であることが危惧され たことが大きい。その妥当性について考察する。【方法】2014年から 2017年までに当科で経験したPlug法後の再発症例は7例であった。 Plug法では、腹膜前腔の剥離範囲はヘルニア門周囲に限られているた め、再発に対してはいずれも、後方アプローチであるTAPP法で修復し た。初回手術でのJHS分類とその再発形式とともに、再発に対する手 術の安全性を検討した。【結果】初回手術時の所見は、I型3例、II型2 例、IV型2例であった。IV型の2例ではプラグが2個挿入されていた。 再発形式はI型1例、II型6例であった。Perfix Plugを用いた症例の多 くはプラグの切断を要したが、TiLENE Plugでは切断を要しなかっ た。I型に対する修復後の症例では安全に通常のTAPP法を行うことが 可能であった。一方、II型に対してPerfix Plugを使用して修復した後の 恥骨上再発では、膀胱前腔に入ることが極めて困難であった。【結語】 再発時にTAPP法で安全に修復できるか、という視点のみから考察す ると、Plug法は、外鼠径ヘルニアに対しては推奨できる術式であるが、 先端が鋭でないプラグの使用が望ましい。 【はじめに】腹腔鏡下鼠径部ヘルニア手術が普及しているが、高齢者 に対する術式選択に関して各ガイドラインでの言及はない.【目的】高 齢者へのTAPPの安全性を評価し、高齢者に対する術式としての妥 当性を検討した.【対象・方法】2011年3月から2016年3月の期間に、 TAPPを施行した140名を対象とし、80歳以上群(n=26)と80歳未 満群(n=114)の2群間で、患者背景および手術成績・周術期合併症 を後方視的に比較し、また術後合併症のリスク因子を検討した.【結 果】患者背景では、80歳以上群で併存疾患数でのみ有意に多かった が(p=0.027)、Performance states(PS)、ASA score、ヘルニ ア分類、再発例、緊急手術数、開腹歴(前立腺手術後を含む)では差 はなかった.手術成績(手術時間、開腹移行例、出血量、在院日数)、 周術期合併症(他臓器損傷、漿液腫、血腫、創感染、全身合併症)は 差がなかった.合併症の発生は併存疾患、ASA score、再発例、開腹 歴などでは差はなく、PSとのみ関連しており(PS 0-2 vs. 3-4: p =0.014)、多変量解析ではPS不良が独立危険因子であった(OR: 5.115 [95%CI:1.130-23.64]).【考察】年齢は術後合併症の危険因 子とはならず、高齢者に対してもTAPPは安全に施行可能である.また 高齢でもPS良好であれば、若年者と同様に早期社会復帰、術後疼痛 軽減、整容性などTAPPの利点を享受できると考えられる.【結語】高 齢者に対するTAPPは安全で、妥当な術式である. 田崎 達也、佐々木 秀、香山 茂平、杉山 陽一、新宅谷隆太、 亀田 靖子、新原 健介、今村 祐司、中光 篤志 江川 紀幸1)、岩崎 寛智1)、中村  淳1,2)、真鍋 達也1) 能城 浩和1) JA広島総合病院 外科 1)佐賀大学 一般・消化器外科、2)祐愛会織田病院

World Guidelineの「Plug法は推奨されない」は妥当か

-再発所見からの考察-

TAPPは高齢鼠径部ヘルニア患者に対して妥当な術式か

参照

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