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HFNCのメタ解析

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(1)

2017年2月7日ICU勉強会

臨床工学部 井上愛

(2)

HFNC (High Flow Nasal Cannula)

の効果おさらい

• 鼻咽頭死腔洗い流し

• 吸気停止時の送気

• 換気量の効率改善

• 上部気管抵抗の削減

• 呼吸仕事量の削減

• 吸気ガスの加湿が分泌物の乾燥防止と粘液繊毛に

よる喀痰クリアランスの改善、去痰補助。

• 使用への患者抵抗が少ない

Rev Port Pneumol. 2013;19(5):217-227

(3)

成人

HFNCの使用について

①低酸素血症患者に対して使用

②抜管後の挿管予防的な使用

③その他

(ブロンコ・挿管中・挿管拒否患者に対して使用

etc. )

など、確実なエビデンスが少ない中、

多くの患者に使用されてきた!

(4)

いままでも様々な、

HFNCにおける論文が検討されてきた。最近

頻回に使用しているけど、論文

1つ1つのN数も少なく、エビデン

スがなぁ・・・メタ解析があればなぁ・・・

人工呼吸器

NPPV

HFNC

酸素投与

(5)

メタ解析がついに!でた!

《 1 》 14文献 (1)メタ解析 9文献(n=2507) (2) Systematic Review 13文献(n=2121) 《 2 》 12文献 (n=970) 《 3 》 9文献 (n不明) Crit Care Med. 2016 Sep 8 Respiratory Medicine 121;2016:100-108

(6)

今回のメタ解析の対象は

成人の

ARF(Acute respiratory failure)の

低酸素血症患者!!

2012 2013 2014 2015 2016 2017 その他 9 8 5 1 1 抜管後の予防的な使用 8 13 15 34 5 低酸素血症 2 11 34 46 49 12 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 HFNC 使 用 患 者 数 ( 人 ) 当院におけるHFNC使用用途の分類 2012年12月よりHFNC使用開始

(7)

メタ解析 《

1 》

(8)

Methods

①検索、研究選択基準

Ovid Medline, Embase, and Cochrane Database of Systematic

Reviewsにおいて、2人の著者(T.M.S.,M.S.)によって検索された。

また、検索漏れがないよう、議事録や参考文献も調査し、研究

グループに聞き込みをした。

採用研究:

無作為化比較試験

(RCT)

英語で報告されている

成人の呼吸不全患者が対象である

HFNCとusual care

(COT:conventional oxygen therapy またはNIV: noninvasive ventilation)

を比

較 し、結果で利用可能な完全データをもつ

除外研究:

英語で報告されてない

クロスオーバー研究

人ではない実験的研究

結果にデータ不足がある

(9)

Methods

Outcome

(1)

メタ解析

①Primary outcome : 院内死亡率

②Secondary outcome : 挿管率

③サブグループ解析 : 術後呼吸不全、抜管後の呼吸

不全、院内に新たに発症した

ARF患者、vs. COTのみ使

用患者、

vs. NIVのみ使用患者における挿管率

2)質的評価

患者の快適さと忍容性

(10)

P

opulation

何らかの原因で急性呼吸不全を患う

成人患者(

18

歳以上)

I

ntervention

HFNCで治療している患者

C

omparison

他の治療方法

(FM(facemask)、鼻カニューラ、NIV)

O

utcomes

院内死亡率

挿管率

快適さと忍容性

まとめると・・・

Methods

(11)

Evidenceの質

Methods

GRADE(the Grades of Recommendation, Assessment,

Development and Evaluation )の推奨グレードで、

very low, low, medium, highにクラス分けした。

④ データ抽出項目

(1)メタ解析

研究が報告された年、研究された患者群、被験者数、 酸

素供給の比較様式、商業的サポート、院内死亡率、再挿

管の発生率

(2)質的評価

患者の快適さと忍容性

(12)

Methods

P=0.1で有意差ありと判断。

Binaryな結果はオッズ比(95%信頼区間) で示した。

• 異質性検定として、カイ2乗検定と

I

検定(異質性を

25, 50,

75%で示した)を施行。

• 異質性に有意差がなかった時には、

Mantel-Haenszel 法を

用いた

Fixed Effect Model分析を行った。

Funnel plotで評価項目へのバイアスを評価。

TSA(Trial Sequential Analysis)によって、信頼性の高い結論

を出すために十分な患者数

or発生数のInformation Sizeを

推定した。

⑤ 統計分析

(13)

Results

N=1 Outcomeの記載なし N=1 対象が健常人 N=4 気管支鏡下でHFNC N=17 観察研究 N=9 メタ解析(2507人) N=13 質的評価 (2121人)

(14)

研究一覧(

N=14)

国 :ヨーロッパ 7 オーストラリア 4 アメリカ 1 タイ 2 対象 :心外術後 3 急性疾患による 挿管後の抜管後 4 新たにARF発症 8 5 7 9 11 14 9 合計

(15)

(1)メタ解析

Primary Outcome: 院内死亡率 (N=5)

HFNC 60/1006人(5.9%) vs. Usual care 90/1106人(8.1%) 院内死亡率に関しては、P=0.29で明らかな有意差はなし。 2112人の被験者が対象。 HFNC vs. usual care (3文献がvs. FM, 1文献がvs. NIV, 1文献がvs. FM or NIV)

(16)

(1)メタ解析

Secondary outcome: 挿管率 (N=9)

HFNC 119/1207(9. 9%) vs. Usual care 204/1300(15. 7%) 挿管率に関しても、p=0.08で明らかな有意差はなし。 2507人の被験者が対象。 HFNC vs. usual care (7文献がvs. FM, 1文献がvs. NIV , 1文献がvs. FM or NIV)

(17)

Primary OutcomeにおけるFunnel Plot

OR=0.83

Funnel plotsは、primaryおよびsecondary outcomeについて publication biasがないことを示した。

(18)

Evidenceの質(GRADE)

(19)

(1)メタ解析

③サブグループ解析

: 術後(N=3)

1325人の被験者が対象。 HFNC vs. usual care (2文献がvs. FM, 1文献がvs. NIV) HFNC 60/664(9.0%) vs. Usual care 59/661(8.9%) 術後患者に限定した挿管率に関しても、p=0.91で明らかな有意差はなし。

(20)

(1)メタ解析

③サブグループ解析: 抜管後

(N=5)

1957人の被験者が対象。 HFNC vs. usual care (4文献がvs. FM, 1文献がvs. NIV) HFNC 75/981(7.6%) vs. Usual care 102/976(10.5%) 抜管後に使用した患者に限定した挿管率に関しても、p=0.16で明らかな 有意差はなし。

(21)

(1)メタ解析

③サブグループ解析:

院内で新たに呼吸不全発症

(N=4)

550人の被験者が対象。 HFNC vs. usual care (3文献がvs. FM, 1文献がvs. FM or NIV) HFNC 44/226(19.5%) vs. Usual care 102/324(31.5%) 院内で新たに呼吸不全を発症した患者に限定した挿管率に関しても、 p=0.10で明らかな有意差はなし。

(22)

(1)メタ解析

③サブグループ解析:

vs. COTのみ(N=8)

1567人の被験者が対象。 HFNC vs. FMやnasal cannulaのCOTのみ (7文献がvs. FM, 1文献がvs. FM or NIV) HFNC 61/793(7.7%) vs. COT 92/774(11.9%) vs. COTのみ使用患者に限定した挿管率に関しては、p=0.0008で明らかに有 意差があった。

(23)

(1)メタ解析

③サブグループ解析:

vs. NIVのみ(N=2)

HFNC 98/520(18.8%) vs. NIV 112/526(21.3%) vs. NIVのみ使用患者に限定した挿管率に関しては、p=0.33で明らかな有意 差はなし。 1046人の被験者が対象。 HFNC vs. NIVのみ (1文献がvs. NIV, 1文献がvs. FM or NIV)

(24)

(2)

質的評価

①呼吸困難感の評価

(N=9)

• 呼吸困難下でのHFNCの効果は、9論文で示されている。呼吸困難の評

価は、

VAS(visual analog scale), VNS(visual numerical scale), five-point

Likert Scale, Borg Cr10 scalesの組み合わせで施行した。

呼吸困難感 HFNC良 同等 HFNC

Vs. COT

1

Vs. NIV

または

facemask

2

Vs. facemask

4+

有意差なし

2

Vs. NIV

1

(25)

(2)Systematic Review

②快適さと忍容性

(N=11)

11研究がVNS or VASを使用し快適さを評価。

快適さ HFNC良 同等 HFNC悪 Vs. COT 1(忍容性) Vs. facemask 5 有意差なし3 1 1 Vs. NIV 2 1

(26)

(3) TSA

• 死亡率と挿管率において、各々

0.26と0.37の相対的リスク、

type1 error=0.05、type2 error=0.8として、TSAを施行した。

⇒死亡率:

n=6899、挿管率n=4018のサンプル数が必要である。

(27)

Ø 本論文は、

ARFの成人患者における死亡率と挿管率をみた1番

最初のシステマティックレビュー&メタ解析であろう。

Ø

HFNCとusual careを比較した時、死亡率・挿管率に有意差はなし。

⇒必要なサンプル数に達していなかった。より多くの研究が必要。

Ø サブグループ解析で、術後

/抜管後/新たにARF発症/NIVのみ使

用患者における挿管率を比較したが有意差なし。ただ

COTのみ使

用した患者のみ、

HFNCが有意に低かった(p=0.0008)

Ø 呼吸困難、快適さ、忍容性の定性分析では

HFNCは少なくとも

usual careと同等。

Discussion

(28)

Ø 一番大きな

RCTであるFratらの研究では、vs. NIV or COT で挿管率

に有意差なく、サブグループ解析で、重症な低酸素性呼吸不全

p/f<200mmHg) 患者において、挿管率の減少がみられた。

Ø 本研究の強みは、プロスペクティブであり、システマティックレ

ビューであること。弱点は、全研究での盲目化が不確かであり、

研究の質が低いこと。研究ごとの治療期間、酸素濃度と流量の

の差もバイアスになる。

Ø

HFNC治療の欠点として、抜管遅延・酸素毒性が考えらえる。

Discussion

(29)

Conclusion

ARF治療を目的とした成人患者におけるHFNCのシステ

マティックレビュー&メタ解析を施行したところ、死亡率

の減少は示せなかった。

TSAでは、必要なサンプル数に

到達しておらず、今後さらなる研究が必要である。

• 定性分析では、

HFNCは忍容性が良好であり、呼吸困難

スコアも改善され、患者は快適であるとされた。

(30)

メタ解析 《

2 》

(31)

Methods

①検索、研究選択基準

MedlineとEmbaseを用いて、2016/5月に2人の評価者に

よって検索。矛盾があった場合は

3人目の評価者と協議。

得られた研究に関連する参考文献を手動で調査。

採用研究:

英語で報告

前向き研究

フルテキスト

成人(≧

18歳)

除外研究:

症例報告、レター

後ろ向き研究

フルテキストではないもの

未成年(

<18歳)

手技の前後

(手術、気管支鏡etc.)

抜管後

or 移植患者

(32)

Methods

最終的に対象となった研究から、研究デザイン・ サンプル

数・ 患者の特徴を抽出、統計解析を行った。

Outcome

Primary outcome

: 酸素化、呼吸仕事量、人工呼吸器

の必要性、患者の快適さ(忍容性)、

死亡率

(33)

Results

12研究を選出

(n=970)

(34)

12研究(n=970) 多施設無作為化試験 1 前向き無作為化比較試験 4 前向き無作為化経時的試験 1 前向き試験(経時的介入or観察) 6

Results

(35)

Results:①酸素化(vs. COT) (N=11)

5

研究は

PaO2

または

P/F

比が

COT

に比べて

HFNC

の方が高く、

1

研究は有意差

なし(

Itagaki)

Fratはn=310と一番大きいが、HFNCがCOTと比べてP/F比が明らかに低い。 RittayamaiとJonesは、SpO2のみ記載されていて、HFNCとCOTとの有意差はなかった。 859人の被験者が対象。 酸素化の指標:PaO2, SpO2, PaO2/FiO2が使用された。

(36)

Results:①酸素化(vs. NIV)(N=3)

239人の被験者が対象。 酸素化の指標:PaO2, PaO2/FiO2が使用された。

2

研究において、

HFNC

NIV

に比べて酸素化が劣っていた。

Vergas

は有意差なかった。

(ちなみに、COTとHFNCとの比較でも、P/F比において明らかな有意差ない)

(37)

Results:②呼吸仕事量(vs. COT) (N=11)

859人の被験者が対象。 呼吸仕事量の指標:RR, 胸腹部の同調性, 吸気努力が使用された。

RR

6

研究で

HFNC

の方が減少を認め、

4

研究で差がなかった。

Fratは、治療開始後、6時間後ではなく、1時間後に減少を示した。Bell はベースのRRからの20%以上のRR減少がみられた 割合が、HFNCの方が高かった。(p=0.005) 胸腹部の同調性: Itagakiは、 胸腹部位相角の改善(P=0.047)と一回換気量の最大区画振幅比の改善(P<0.001)がHFNCでみられた。 吸気努力:Vergasは、HFNCの方が吸気努力(食道内圧を計測する機器を使用して算出)が減少(P<0.01)

(38)

2

研究では、

RR

に有意差がみられなかった。

Fratは、装着1時間後のRRでHFNCの方が低くなったが、6時間後では差がなかっ

た。

Vergasは、CPAP=5cmH2Oに設定したNIVとHFNCを比較したが、有意差がみら

れなかった。

Results:②呼吸仕事量(vs. NIV )(N=3)

239人の被験者が対象。 呼吸仕事量の指標:RR, 胸腹部の同調性, 吸気努力が使用された。

(39)

Results:

③段階的拡大(

NIV or 挿管)の必要性

(N=4)

3

研究では、段階的な拡大率が

HFNC

の方が低い。

Parkeの研究はRCTであり、HFNCの方が低い。FMを失敗した12人のうち、5人はHFNCへ変 更し、1人は最終的にNIVへ移行した。 Fratの研究では、HFNC, COT, NIVを使用した患者の挿管率には有意差がなかった。しかし、 HFNC群の方がその他の群より、人工呼吸器を使用していない日数がより長かった (p=0.02)。ただサブグループ解析で、P/F<200mmHgの患者に限定した時、HFNC (35%) vs. COT (53%) vs. NIV (58%)で有意に低い挿管率(P=0.009)をHFNCが示した。 769人の被験者が対象。

(40)

Results:④死亡率(N=2)

Fratの研究は、HFNC vs. NRFM vs. NIVの多施設無作為(非盲検法による)

試験である。

NRFMとNIVはHFNCと比べて、ICU死亡率、 90日の死亡率が

高い。

Joresの研究では、HFNCとCOTを比較し、院内死亡率(p=0.73)と90日死亡

率(

p=0.40)ともに有意差なし。

613人の被験者が対象。

(41)

Results:

⑤患者の快適さと呼吸困難の主観的評価

呼吸困難:HFNC vs. COTで、8研究中6研究はHFNCの方が息切れが減少がみられ、2研究で有意差がない。 HFNC vs. NIVで、3研究中2研究はHFNCの方が呼吸困難度の改善が見られ、 1研究では有意差がない。 快適さ:HFNC vs. COTで、 7研究中3研究はHFNCの方か快適で有意差があり、3研究は有意差なし。1研究は、HFNCの方が快適さが低い。 HFNC vs. NIVで、2研究中1研究はHFNCの方が快適で有意差があったが、1研究では有意差がない。

(N=9)

840人の被験者が対象

(42)

Discussion

Ø

HFNCはCOTと比較し、酸素化・呼吸仕事量が有意に良好であり、

忍容性が高く、患者の快適さの改善と呼吸困難の減少を示し

た。

HFNC死亡率は全研究で有意差なし。

Ø

HFNCはNIVと比較し、酸素化と呼吸仕事量が劣っている or 同

等である。しかし、

NIVよりHFNCは忍容性が高く、快適。

Ø

COTで効果のない患者へのHFNCは、NIVや挿管の必要を防い

だ(成功率は

60~70%)⇒HFNCが、NIVや挿管予防に有効?

Ø

Fratらの研究でHFNCはNIVやCOTと比較し、挿管率で有意差な

し。ただ

P/F<200の低酸素血症患者のサブグループでの挿管率

は、

HFNCで有意な減少を認めた。

(43)

Discussion

Ø

HFNCはCOTと比較して患者の快適さの改善がみられたが、

HFNCでの加温加湿が影響しているのでは。乾燥し冷たい空気

では、気管支けいれんを起こしやすい。

Ø 経口栄養を許容することができる事、言語伝達を保持できる事、

酸素療法を受けている間でも歩き回れる事は

HFNCの利点であ

る。

Ø

HFNCによる挿管率改善とHFNC失敗患者の挿管遅延の影響は、

重要な未決問題。

Ø 特異的疾患(閉塞性

vs拘束性肺疾患)、特定の臨床シナリオ(過

剰二酸化炭素親和性の呼吸不全、

COPDと喘息増悪など)の研

究を、今後は施行すべき。

(44)

Limitation

Ø データ不足

n=100以上の研究が3つのみ。結論を一般化するには弱い。

Ø 英語論文に特定したこと

Ø 研究の方法・集団・報告にばらつきがある

Ø 大部分の研究が無作為試験ではなく、観察的もしくは経時的

な介入研究法であった

(45)

Conclusion

HFNCは、AHRF患者に対して、酸素化・患者の快適さ・呼

吸仕事量に関して

COTより優れており、COTとNIVの間に

位置づけされる。

HFNCは、COT失敗患者にとっては合理的なデバイス。た

だ、挿管の遅延と挿管の開始に関連した死亡率増加と

のバランスをとらなければならない

HFNCの臨床影響は、更なる研究が必要である。

(46)

メタ解析 《

3 》

Primary Outcome:侵襲的機械換気の発生率(挿管率),ICU死亡率 結果:① 挿管率:HFNC vs. NIV (OR0.84:95%CIで0.57-1.20,P=0.31) 標準酸素投与(OR0.49:95%CIで0.22-1.08,P=0.17)で有意差なし。 ②ICU死亡率:HFNC vs. NIV (OR0.72:95%CIで0.23-2.21,P=0.56) 標準酸素投与(OR0.69:95%CIで0.33-1.42,P=0.29)で有意差なし。 ③酸素化:標準酸素投与よりは良さそう。しかし、NIVに比べるとガス交換は悪い。 Respir Care 2017;62;123-232 ⇒

HFNCは、重症患者において挿管率&死亡率では、標準

酸素投与&

NIIVに比べて優れているとはいえなかった。

対象患者: 重症患者または急性 呼吸不全のリスクが あった患者 (2015年9月の時点 でデータベースに ひっかかった 9論文) HFNF vs. NIV vs.標準 酸素投与

(47)

今回のメタ解析をふまえて

《2》 酸素化 呼吸 仕事量 段階的な 拡大 死亡率 快適さ 忍容性 Vs. COT HFNC HFNC HFNC(60-70%) 有意差なし HFNC Vs. NIV NIV or 同等 有意差なし ややNIV HFNC(ただし1研究) HFNC(ただし1研究) HFNC 《1》 院内 死亡率 挿管率 術後 挿管率 抜管後の 挿管率 新たに ARF発症 呼吸困難 感・快適 さ・忍容性 Vs. Usual Care 有意差 なし 有意差 なし 有意差 なし 有意差 なし 有意差 なし ほぼHFNC が良い Vs. COT HFNCが 低い Vs. NIV 有意差 なし

(48)

HFNCの問題点!

HFNCによる挿管予防に対する効果

HFNCを失敗した患者の挿管遅延による影響

③酸素毒性

(49)

問題点①

(50)

結局ある研究にたどり着く!

最初の二つのメタ解析において、成人

ARF

患者に対する一番大きな

RCTであり、影響

(51)

High-Flow Oxygen through Nasal Cannula

in Acute Hypoxemic Respiratory Failure

N Engl J Med 2015;372:2185-96 Background : 低酸素血症患者に対するHFNCの 有用性を検討する Design : Randomized controlled trial Setting : multicenter open-label (フランスとベルギーの合計23のICU) Methods : 高CO2血症のない低酸素血症患者 (P/F比<300mmHg)をHFNC群、 通常マスク群、NPPV群に割り振って検討 (n=310) Primary outcome : 28日までの挿管率 Secondary outcome : ICU死亡率、90日死亡率、 28日までのventilator-free days ICU勉強会:「HFNCについて真剣に考える」改変

(52)

Randomization

Criteriaを満たすことを確認したのち、3時間以内にHFNC群、通常マスク群、NPPV群

にランダムに振り分けられる。

Interventions

通常マスク群

: 非再呼吸用のマスクを装着し、10l/min以上の酸素を流す。

目標

SpO2>92%で、患者が回復するか挿管されるまで継続される。

HFNC群 : Optiflowを装着し、50l/minの流量でO2を流しFiO2は1.0から開始。

目標

SpO2>92%で、2日間は使用。通常のマスクになったら終了。

NIV群 : 人工呼吸器のNPPV modeにしてPSサポート換気とする。

呼気の

tidal volumeが7-10ml/kg理想体重となるように調整。PEEPは2-10の間で

調整。目標

SpO2>92%。少なくとも2日間は8時間のNPPVを使用することとした。

その後は

RR>25、SpO2<92%の時は少なくとも1時間、NPPVを使用する。

ICU勉強会:「HFNCについて真剣に考える」改変

(53)

結果

28日までの挿管率はHFNC群

38%、通常マスク群で47%、

NPPV群で50%であった。

3群間で有意差は認められ

なかった。

(p=0.17)

P/F比200mmHg以下の患者で

は、

HFNC群は他の2群に比べて

挿管率は有意に低かった。

(p=0.009)

ICU勉強会:「HFNCについて真剣に考える」改変

(54)

挿管までの時間は

15-27時間で3群間で有意差はなし。

28日でのventilator-free daysは、通常マスク群、NPPV群に比べてHFNC群で有意

に長かった。

ICU死亡率、90日死亡率はHFNC群で有意に低かった。

90日死亡率は通常マスク群はHFNC群に比べて2.01倍、NPPV群はHFNC群に比

べて

2.5倍であった。挿管された患者の90日死亡率では有意差はなかった。

ICU勉強会:「HFNCについて真剣に考える」改変

(55)

Design:観察的なコホート研究 Setting:フランス15施設の集中治療室 Patients:急性呼吸不全であり、NIVまたはHFNCによる 治療が必要な免疫不全の症状を有する患者 Methods:患者は、急性呼吸不全の発症6時間以内に NIVまたはHFNCを含む換気補助の第一選択 の開始からの時間に従って分類された。

急性呼吸不全の第一選択治療として

HFNC単独または

NIVを用いて治療される免疫不全患者の結果を比較

Coudroy et al. Ann. Intensive Care (2016) 6:45 DOI 10.1186s13613-016-0151-7 ICU勉強会:「抜管後のHFNCとNIVの効果」改変

(56)

28日死亡率と挿管率は、

HFNCよりNIVで治療される患者で

高かった。

55対35%、p = 0.04と40対 20%、p = 0.02) Coudroy et al. Ann. Intensive Care (2016) 6:45 DOI 10.1186s13613-016-0151-7

Results】

ICU勉強会:「抜管後のHFNCとNIVの効果」改変

(57)

Ø

HFNC使用時において、挿管率がCOTと比較

し有意に低いという結果はまだ少ないが、

低そうではある。

(58)

問題点②

HFNC治療の安全限界を定義すべき

(59)

NIVを失敗した患者の挿管遅延による影響

N Engl J Med 2004; 350:2452–2460 Thorax. 2000; 55; 819-25;

NIV導入48時間後の呼吸不全発生率は、約20%。

NIVの失敗は、ICU入室前のADLスケール、医学的な合併症(特に高

血糖)の有無、入室中の

pHの低下と有意に関係していた。

• 挿管後

48時間以内に抜管し、抜管後48時間以内に呼吸不全をみと

めた

221人の患者に対して、NIV群と標準治療群に無作為に分け、

治療を施行した。

NIV群(n=114)と標準治療群(n=107)間で再挿管率に有意差はなかっ

たが、

ICU死亡率はNIV群(25%)の方が標準治療群より(14%)有意に

高かった(

P=0.048)。そして、再挿管までの時間は、 NIV群(12時間)

の方が標準治療群より

(2時間半)有意に長かった(P=0.02)。

(60)

患者38人中9人が、平均4時間(最小:1時間、 最大:48時間)以内で挿管された。

患者38人に対し、HFNCの開始前から使用中 における48時間について調査した研究

(61)

呼吸回数 呼吸困難感 鎖骨上窩陥没

心拍数 酸素飽和度

胸腹部の非同調性

(62)

Journal of Critical Care 2012 ; 27:434-9

インフルエンザの急性呼吸不全患者35人が 対象。35人中20人が酸素投与で改善せず HFNCの適応となった。そのうち9人が成功。8 人が24時間以内に挿管となった。

(63)

HFNCを成功した患者と失敗 した患者で、HFNC開始6時 間後のP/F比で失敗した患 者で有意に低い結果となっ た。(p<0.05) HFNCを失敗した患者は48時 間以内に挿管されていた。 HFNC開始6時間で挿管率が 上昇している。 Journal of Critical Care 2012 ; 27:434-9

(64)

Intensive Care Med (2015) 41:623–632 目的: 単施設の後向き観察研究を行い、HFNC失敗群に関してのICU死亡率を評価する。 方法: 2013年1月と2014年3月の間でHFNCを失敗し挿管を必要した第三期の1病院の患者を 対象に、HFNC開始から早めに挿管(48時間以内に)or遅めに挿管(少なくとも48時間 後)の2 群に分類し、ICU死亡率を評価した。 HFNCの使用基準: SpO2>92%を達成するのに9L/分以上の酸素投与が必要な人、適切な酸素投与 にも関わらず呼吸窮迫の症状(呼吸数>24/min、呼吸補助筋の使用、胸腹部の非 同調性)がある人、抜管後呼吸不全のハイリスクがある人。 HFNC失敗定義: 気管挿管が必要となった場合 気管挿管の基準: 酸素投与を100%してもSpO2を90%維持できない低酸素血症の呼吸不全、pH<7.3 の高炭酸ガス血症、呼吸数>35の呼吸窮迫症状がある、コントロールできない低血 圧(SBP<90mmHg or MAP<65mmHg)を伴う代謝性アシドーシス、意識障害や吸引 のために気道確保が必要、心肺停止

(65)

挿管が早い群より、 遅い群の方が全体のICU死 亡率が高い。 抜管成功・呼吸器離脱・人 工呼吸器の未使用日数で も、挿管が早い方が良い。 また有意差はないものの 14/28日死亡率に関しても、 挿管が早い方が低いことが いえる。 結果: 175人のうち、早めに挿管(48時 間以内に)群が130人(74.3%)と 遅めに挿管(少なくとも48時間 後)群が45人(25.7%)に分類さ れた。

(66)

Ø

HFNCでも48時間ルール適応か?

4-6時間後までがひとつの区切り?

(67)

問題点③

(68)

ü 動物実験において、高酸素血症が活性酸素を増加させる。

Am J Respir Cell Mol Biol.2006;34(4):453-463

ü 高酸素血症の直接的な肺毒性が、間質の線維化や無気肺、気

管・気管支炎に至る可能性がある。

N Engl J Med.1983;309(15):878-883. Annu Rev Physiol.1986;48:721-731.

ü 高酸素血症が全身の末梢血管を収縮する。

Chest.1991;99(3):690-694.

ü

The PROXI trialにおいて、周術期のFiO2高値と術後30日死亡率の

増加傾向を報告した。

JAMA. 2009; 302(14):1543-1550

酸素毒性

(69)

目的:ICU患者において、控えめな酸素投与(SpO2:94~98%)は従来の酸素投 与(PaO2≦150mmHgまたはSp2:97%~100%)と比較して、予後を改善するのか。 Conservative群でICU死亡率、院内死亡率、 新規発症のショック・肝不全・菌血症は有 意に少く、またVentilation-free hoursが有 意に長かった。 SpO2:94~98%を目標 ICU勉強会:「ICUにおける酸素療法」改変

(70)

様々な研究をみてみても、

92~94%が

目標の最低値であることが多い。

Ø

94%前後を目標に、酸素濃度を設定

ウィーニングを早めに図っていく?

(71)

今後の研究へ期待されること

Ø メタ解析が施行されているが、まだまだ

n数が非常に少ない。

特に、

NIVとの比較研究が少ない。死亡率・挿管率は、今後

も研究が報告されるのを期待していく。

Ø どんな対象群に

HFNCが有効であるのか特定できれば、

HFNCを選択しやすい。

⇒疾患別(閉塞性または拘束性肺疾患、

ARDS、喘息、心不全など)

状態別(高二酸化炭素による呼吸不全、低酸素血症など)

⇒高二酸化炭素血症が、

NIVとHFNCの使用の分かれめであると思う。

これにおける論文はない。報告されている研究のほとんどが、高二

酸化血症である

2型呼吸不全の患者を除外している。

(72)

私見:当院で使用時にできること!

• 臨床で評価できる項目

酸素化

(PaO2・P/F比)

呼吸仕事量(

RR,吸気努力,呼吸筋疲労)

患者の快適さ・耐用性のスコア評価

• 装着して、何時間目で評価するかが大切

(73)

Lancet 2009; 374: 250–59

(74)

次週!

どんな患者に対し、どんな基準で

HFNCを導

入し、中止するのはいつが良いのか、詳しく

検討!

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