平成 27年度
日本商工会議所
簿記検定試験
1級
【解答・解説】
この解答例は、当社編集部で作成したものです。 著作権者 株式会社東京リーガルマインド (C)2015 TOKYO LEGAL MIND K.K.,Printed in Japan 無断複製・無断転載等を禁じます。第 141 回 解 説 -商業簿記・会計学-
2商
業
簿
記
【総 評】 141回本試験の商業簿記は決算整理後残高試算表作成問題で、一部を除き比較的解きやすいオーソドックスな問題だったと 思われます。ただ、長期貸付金の売却は金融商品の消滅についての論点であり、テキストなどでほとんど触れていない論点で すし、仮に触れていたとしても「軽く見ただけ」程度であれば、本試験の中で正答を導き出すのは困難だったと考えられます。 また、商品売買も普段見慣れない形式での出題で、かつ、難易度も非常に高いものになるので本番中に自信を持って解答でき た方はほとんどいらっしゃらなかったのではないでしょうか。上述した2つの論点に固執することなく他の比較的容易な問題 を確実に正解するといったスタンスを貫くことができた方は点数が伸びたと考えられます。簿記の総合的な力を判断すること ができる良問でした。 目標点としては、長期貸付金の譲渡、商品売買の2つは獲れなくても仕方ないですが、他の論点は獲らなければいけない問 題ですので、本試験の緊張感等を考えて18~20点以上を確保しておきたい問題でした。 【解 説】(金額単位:千円) 1.長期貸付金 金融資産の譲渡に係る消滅の認識には、金融資産を構成する財務的要素に分解して財務構成要素ごとに消滅又は存続 を認識する。また、消滅部分と残存部分の帳簿価額は、消滅部分と残存部分の時価の比率により、金融資産の帳簿価額 を按分して計算する。 本問においては、まず、①現金収入から譲渡部分の時価を求め、②残存資産である回収サービス業務資産の時価を合 わせて貸付金全体の時価を求める。そして、③それらの時価の比率で、長期貸付金の帳簿価額5,000を譲渡部分と残存 部分である回収サービス業務資産に按分する。 また、金融資産の消滅に伴って新たに発生した資産(買戻権)・負債(リコース義務)は時価で計上する。 (借) 回 収 サ ー ビ ス 業 務 資 産 98(*1) (貸) 長 期 貸 付 金 5,000 買 戻 権 150(*4) リ コ ー ス 義 務 90(*4) 未 収 金 4,950 長 期 貸 付 金 売 却 益 108(*5) (*1) 残存部分の帳簿価額:長期貸付金の簿価5,000×回収サービス業務資産(残存部分の時価)100/貸付金の時価 5,110(*2) ≒98 (*2) 貸付金の時価:譲渡部分の現金収入(譲渡部分の時価)5,010(*3)+回収サービス業務資産100=5,110 (*3) 譲渡部分の現金収入(=譲渡部分の時価):譲渡部分を含む全体としての現金収入4,950+買戻権150-リコース義 務90=5,010 (*4) 時価 (*5) 譲渡部分の時価5,010-譲渡部分の帳簿価額4,902(*6)=108 (*6) 残存部分の帳簿価額:長期貸付金の簿価5,000×譲渡部分の時価5,010(*3)/貸付金の時価5,110(*2)≒4,902 2.リース (1) 期中の誤仕訳 (借) 支 払 リ ー ス 料 1,000 (貸) 当 座 預 金 1,000 (2) あるべき仕訳 本問リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するとの指摘を受けたのでリース資産及びリー ス債務を計上する必要がある。リース資産及びリース債務の計上金額は見積現金購入価額とリース料総額の割引現在 価値となる。リース料総額の割引現在価値を算定する際、貸手の計算利子率は問題文に与えられてないので貸手の計 算利子率は知り得ないと判断し、問題文中の追加借入利子率2%を用いて算定する。3 (借) リ ー ス 資 産 5,601(*1) (貸) リ ー ス 債 務 5,601 (借) 支 払 利 息 112(*4) (貸) 当 座 預 金 1,000(*3) リ ー ス 債 務 888(*5) (*1) 見積現金購入価額5,760 > リース料総額の割引現在価値5,601(*2) ∴ 5,601 (*2) 1,000/(1+0.02)+1,000/(1+0.02)2+1,000/(1+0.02)3+1,000/(1+0.02)4+1,000/(1+0.02)5+1,000/(1+ 0.02)6≒5,601 (*3) リース料総額 (*4) 利息相当額:下記(*6)参照 (*5) 元本返済額:下記(*6)参照 (*6) リース債務の返済スケジュール 支払日 ①期首元本 ②リース料 ③利息分 (≒①×2%) ④元本分 (=②-③) ⑤期末元本 (=①-④) ×4.3/31 5,601 1,000 112(*4) 888(*5) 4,713 ×5.3/31 4,713 1,000 94 906 3,807 ×6.3/31 3,807 1,000 76 924 2,883 ×7.3/31 2,883 1,000 58 942 1,941 ×8.3/31 1,941 1,000 39 961 980 ×9.3/31 980 1,000 20 980 0 合 計 ―― 6,000 399 5,601 ―― (3) 修正仕訳 (借) リ ー ス 資 産 5,601(*1) (貸) リ ー ス 債 務 5,601 (借) リ ー ス 債 務 888 (貸) 支 払 リ ー ス 料 1,000 支 払 利 息 112 (4) 減価償却費 所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当するリース資産の減価償却費は、残存価額をゼロとし、耐用年数は リース期間で計算する。 (借) 減 価 償 却 費 1,865(*1) (貸) リース資産減価償却累計額 1,865 (*1) 5,601×償却率0.333≒1,865 3.商品売買 (1) 売上処理の取消し(当期末返品期限未到来分) 期末において返品期限の到来していない分については、売上処理を取消す必要がある。 (借) 売 上 34,500 (貸) 売 掛 金 34,500 (2) 売上原価の算定 ① 期首商品 (借) 仕 入 70,960 (貸) 繰 越 商 品 ( 甲 商 品 ) 47,160 繰 越 商 品 ( 乙 商 品 ) 23,800 ② 期末商品 (借) 繰 越 商 品 ( 甲 商 品 ) 67,700 (貸) 仕 入 92,540 繰 越 商 品 ( 乙 商 品 ) 24,840(*1) (*1) 当期末返品期限未到来分売価34,500×当期乙商品原価率72%=24,840
第 141 回 解 説 -商業簿記・会計学-
4 ④ 商品評価損(甲商品)、棚卸減耗損(甲商品) (借) 棚 卸 減 耗 損 1,100(*1) (貸) 繰 越 商 品 ( 甲 商 品 ) 2,900 商 品 評 価 損 1,800(*2) (*1) 甲商品期末帳簿棚卸高(原価)67,700-甲商品期末実地棚卸高(原価)66,600=1,100 (*2) 甲商品期末実地棚卸高(原価)66,600-甲商品期末実地棚卸高(正味売却価額)64,800=1,800 (3) 商品BOX 甲商品+乙商品 期首甲商品 47,160 前期販売原価(乙商品) 18,360 (*1) 売上( 甲商品) 982,680 (*3) 期首乙商品 23,800 当期販売原価(乙商品) ( ) 売上( 乙商品) 588,070 当期販売原価(甲商品) ( ) 1,111,500 乙商品前期販売分 △27,000 (*4) 前 T/B 仕入 1,126,600 1,543,750 期 末 乙 商 品 ( ) 期末甲商品帳簿原価 67,700 当期乙商品原価率 72% (*1) 前期販売当期返品期限到来分売価27,000×前期原価率68%(*2)=18,360 (*2) 前期販売前期末返品期限未到来原価23,800÷前期販売前期末返品期限未到来売価35,000=前期原価率68% (*3) 甲商品売上862,000×(1+0.14)=982,680 (*4) 前期に販売して前期末に返品期限が未到来だった乙商品35,000のうち27,000は当期に返品期限が到来したため、前期 の原価率で当期に売上げが計上されている。そのため、当期の原価率を算定するための売価からは控除しなければなら ない。一方、前期に販売して前期末に返品期限が未到来だった乙商品35,000のうち8,000は返品され、当期の原価率で 販売されているため、当期の原価率を算定するための売価に含める必要がある(588,070に含められている)。 4.貸倒引当金 (1) 売上債権 (借) 貸 倒 引 当 金 44(*1) (貸) 貸 倒 引 当 金 戻 入 44 (*1) 当期末貸倒引当金76(*2)-決算整理前残高試算表貸倒引当金120=△44 (*2) 期末売掛金残高3,800(*3)×貸倒実績率2%=76 (*3) 決算整理前残高試算表売掛金38,300-売上処理の取消しに伴う売掛金減少34,500(上記3(1)参照)=3,800 (2) 長期貸付金 当期に譲渡した長期貸付金(上記1参照)以外は破産更生債権等に分類されるため、債権額から担保の処分見込額及 び保証による回収見込額を控除した残額が貸倒見積高となる。 (借) 貸 倒 引 当 金 繰 入 200(*1) (貸) 貸 倒 引 当 金 200 (*1) (決算整理前残高試算表長期貸付金30,000-譲渡長期貸付金5,000)-(担保の処分見込額19,000+保証の回収見込 額5,800)=200 5.固定資産(リース資産は上記2参照) (1) 建物(減価償却費) (借) 減 価 償 却 費 6,000(*1) (貸) 建 物 減 価 償 却 累 計 額 6,000 (*1) 取得原価200,000×0.9÷耐用年数30年=6,000 (2) リース資産を除く備品(減価償却費) (借) 減 価 償 却 費 2,379(*1) (貸) 備 品 減 価 償 却 累 計 額 2,379 (*1) 改定取得価額7,122×改定償却率0.334≒2,379((*2)~(*4)参照) (*2) 7,122(取得原価24,000-決算整理前残高試算表備品減価償却累計額16,878)×償却率0.333≒2,3725 (*3) 24,000×保証率0.09911≒2,379 (*4) 調整前償却額2,372(*2)<償却保証額2,379(*3) ⇒ 「改定取得価額×改定償却率」で当期の減価償却費を計算 する (3) 機械装置 ① 資産除去債務調整額の計上 (借) 資 産 除 去 債 務 調 整 額 33(*1) (貸) 資 産 除 去 債 務 33 (*1) 決算整理前残高試算表資産除去債務1,098×割引率3%≒33 ② 除去費用の見積りの減少 除去費用の見積りが減少する場合、負債計上時の割引率を使用して計算する。 (借) 資 産 除 去 債 務 283(*1) (貸) 機 械 装 置 283 (*1) 1,131(*2)-848(*3)=283 (*2) 除去費用当初見積1,200÷1.032≒1,131 (*3) 除去費用修正後見積900÷負債計上時割引率1.032≒848 ③ 減価償却費 (借) 減 価 償 却 費 30,207(*1) (貸) 機械装置減価償却累計額 30,207 (*1) (取得原価150,000+当初除去費用1,035(*2))÷耐用年数5年=30,207 (*2) 除去費用当初見積1,200÷1.035≒1,035 6.投資有価証券 (1) A社社債 (借) 投 資 有 価 証 券 1,005 (貸) 有 価 証 券 利 息 42(*1) 為 替 差 損 益 963(*5) (*1) 償却額372ドル(*2)×期中平均相場114円/ドル≒42 (*2) 1,872ドル(*3)-1,500ドル(*4)=372ドル (*3) 取得原価48,000ドル×実効利子率3.9%=1,872ドル (*4) 額面50,000ドル×クーポン利子率3%=1,500ドル (*5) 5,853(*6)-4,890(*7)=963 (*6) (取得原価48,000ドル+償却額372ドル)×当期末為替相場121円/ドル≒5,853 (*7) 帳簿価額4,848+有価証券利息42(*1)=4,890 為替差損益 963(差額) 有価証券利息 42 取得価額 4,848 CR121 円 AR114 円 48,000 ドル 48,372 ドル
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6 (2) 固定利付国債 ① 期末時価評価 (借) その他有価証券評価差額金 500(*1) (貸) 投 資 有 価 証 券 500 (*1) 時価54,500-帳簿価額55,000=△500 ② ヘッジ会計 金利スワップに対して繰延ヘッジを適用しているので、金利スワップの時価評価差額600を繰り延べる。 (借) 金 利 ス ワ ッ プ 資 産 600 (貸) 繰 延 ヘ ッ ジ 損 益 600 (3) C社株式 関連会社株式であるC社株式は、取得原価の50%よりも実質価額が下回っているので評価損(減損)を計上する。 (借) 関 連 会 社 株 式 評 価 損 48,500(*1) (貸) 関 連 会 社 株 式 48,500 (*1) 取得原価76,000-実質価額27,500(*3)=48,500 (*2) 取得原価76,000×50%=38,000>実質価額27,500(*3) ⇒ 評価損(減損)を計上 (*3) C社純資産110,000×25%=27,500 7.社債 (1) 期中の処理 (借) 仮 払 金 105,400 (貸) 当 座 預 金 105,400 (2) あるべき仕訳 (借) 社 債 100,000 (貸) 当 座 預 金 105,400 社 債 利 息 5,400(*1) (*1) (額面総額500,000-過年度償還額200,000)×クーポン利子率1.80%=5,400 (3) 修正仕訳 (借) 社 債 100,000(*1) (貸) 仮 払 金 105,400(*1) 社 債 利 息 5,400 (4) 当期償却額の計上 (借) 社 債 利 息 2,756(*1) (貸) 社 債 2,756 (*1) 8,156(*1)-5,400(上記(2)(*1))=2,756 (*2) 決算整理前残高試算表社債294,449×実効利子率2.77%≒8,156 (5) 償却原価法のスケジュール (誤差は最終年度で調整している。) 期首償却原価 実効利息 クーポン利息 償却額 償還額 期末償却原価 ①=前期⑥ ②=①×2.77% ③ ④=②‐③ ⑤ ⑥=①+④-⑤ X0年度 482,000 13,351 9,000 4,351 - 486,351 X1年度 486,351 13,472 9,000 4,472 100,000 390,823 X2年度 390,823 10,826 7,200 3,626 100,000 294,449 X3年度 294,449 8,156 5,400 2,756 100,000 197,205 X4年度 197,205 5,463 3,600 1,863 100,000 99,068 X5年度 99,068 2,732 1,800 932 100,000 - 8.経過勘定 (借) 前 払 販 売 費 1,855 (貸) 販 売 費 1,855 (借) 前 払 一 般 管 理 費 1,214 (貸) 一 般 管 理 費 1,214 (借) 販 売 費 1,517 (貸) 未 払 販 売 費 1,517 (借) 未 収 受 取 利 息 1,228 (貸) 受 取 利 息 1,2287
会
計
学
【総 評】 会計学の第 1 問では関連する用語を結びつける記号問題、第 2 問では有価証券の売却を題材にした①包括利益、②現先取引、 ③持分変動に関する金額や用語を答えさせる問題、第 3 問では連結損益計算書の作成問題が出題されました。 第 1 問は、関連性の高い用語をグルーピングさせる問題でしたが、難易度はそれほど高くないので第2、3問のことを考える とここで点数を確保しておきかったです。ただ、常日頃漫然と機械的に電卓をたたいていた方にとっては難しく感じられたか もしれません。簿記の問題は解答数値を導出できるようになることはもちろん大事ですが、なぜこのような処理をするのか? この処理の特徴は何なのか?と言った点を考えなければ、応用的な問題や理論的な問題は解けるようになりませんので、普段 から能動的な学習を心がけましょう。本問は予想配点箇所8ヵ所中6ヵ所は正解しておきたかった内容です。 第 2 問は(4)、(5)の難易度が高かったです。有価証券の売却に事業分離の考え方を使う複合的な問題でしたので、金額を求 められなくても特に問題でしょう。ただ、用語は何となく想像できたと思いますので、白紙にせず何とか解答を埋めることが できれば…という感じです。さらに(3)も解答の検討はつくもののテキストなどではあまり扱っていない論点でしたのででき なくても仕方ないのかなと思います。用語の想像が何となくつきますので(4)同様勘で書いて当たればいいかなという問題で した。ただ(1)、(2)は容易に解けますので、包括利益は手薄な方もいるかと思いますが何とか正答して頂きたかった問題です。 これを踏まえて、5問中3 問は正解しておきたい問題でした。 最後の第 3 問は、連結損益計算書の作成問題でした。一見簡単そうに見えますが、建物における評価差額の実現という難易 度の高い論点が混ざっていますので、思っている以上に点数が伸びていないのではないでしょうか。また、商品売買も税効果 か有り、かつアップストリームですので、それなりに解答時間がかかったことでしょう。売上高、のれん償却額、受取配当金、 支払利息、法人税等など確実に得点しなければいけない箇所を取りこぼすことなく正答できないと厳しくなってきます。本問 は12点中6~7点を確保しておければいいでしょう。 以上より、会計学全体では、第 1 問で6点以上、第 2 問での3点、第 3 問で6点以上、合計15点以上得点したい問題でした。 第1問 1.取替法(A群) 取替法の特徴は以下のようにまとめることができる。なお、取替法は減価償却とは異なる費用配分方法である。 意 義 取替資産の部分的取替に要する費用を収益的支出として処理する方法 適用対象資産 同種の物品が多数集まって 1 つの全体を構成し、老朽品の部分的取替を 繰り返すことにより全体が維持されるような固定資産(取替資産) ↓ ex.軌条(レール)、信号機、送電線 類似する 費用配分の方法 棚卸資産の費用配分における後入先出法に類似 これらより、B群は「後入先出法」、C群「収益的支出」となる。 2.退職給付引当金(A群) 退職給付引当金は、退職給付費用の計上に伴い増加する。退職給付費用は、勤務費用と利息費用の合計額から期待運用収 益を控除して算定することとなる。また、退職金規定の改訂が行われると、改定の前後で退職給付債務に差異が生じ、こ のような差異は過去勤務費用と呼ぶ。 これらより、B群は「期待運用収益」、C群「過去勤務費用」となる。 3.株式報酬費用(A群) 株式報酬費用は、ストック・オプションの公正価値を示す公正な評価単価にストック・オプションの数を乗じて、スト ック・オプションの公正な評価額を算定し、これを期間按分することにより算定する。また、株式報酬費用の計上額と同 額の新株予約権を計上することとなる。 これらより、B群は「公正価値」、C群「新株予約権」となる。第 141 回 解 説 -商業簿記・会計学-
8 4.自己株式(A群) 自己株式は株主資本を控除するという性質があるので、自己株式を取得し、期末まで保有すると貸借対照表の純資産の部 にマイナス計上される。また、取得した自己株式を処分した場合、処分した自己株式の帳簿価額と払込金額との差額(自己 株式処分差額)はその他資本剰余金として処理される。 これらより、B群は「株主資本」、C群「その他資本剰余金」となる。 第2問 1. 空欄 (1)及び(2)について 『包括利益』とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対す る持分所有者との直接的な取引によらない部分をいい、『その他の包括利益』とは、包括利益のうち当期純利益に含まれ ない部分をいう。すなわち、『包括利益=当期純利益+その他の包括利益』という算式が成り立つ。また、これらから、 純資産が増加した場合に①直接的な取引でなく、かつ②損益計算書を経由しない部分がその他の包括利益と言える。 (1) 期首洗替仕訳 (借) その他有価証券評価差額金 40,000(*1) (貸) 投 資 有 価 証 券 40,000 (*1) 前期末時価340,000-取得原価300,000=40,000 (2) 売却時仕訳 (借) 現 金 預 金 な ど 360,000 (貸) 投 資 有 価 証 券 300,000 投 資 有 価 証 券 売 却 益 60,000(*1) (*1) 売却価額360,000-取得原価300,000=60,000 ⇒ 当期純利益の構成要素となる (3) 包括利益計算書 (*1) 当期発生額20,000(*2)-組替調整額△60,000(*3)=△40,000 当期純利益を構成する項目のうち、当期又は過去にその他の包括利益に含まれていた部分を組替調整額として、 注記する。ここで、当期にその他の包括利益に含められた金額は20,000(*2)、過去にその他の包括利益に含められ た金額は40,000(*4)となるので合計60,000を組替調整額として調整する。 (*2) 売却価額360,000-前期末時価340,000=20,000 (*3) 売却価額360,000-取得原価300,000=60,000 (*4) 前期末時価340,000-取得原価300,000=40,000 これらより(1)に当てはまる金額は「60,000」、(2)に当てはまる金額は「△40,000」となる。 包括利益計算書 当 期 純 利 益 60,000 そ の 他 の 包 括 利 益 △40,000 (*1) 包 括 利 益 20,000 取得原価 300,000 前期末時価 340,000 売却価額 360,000 当期純利益 60,000 包括利益 20,0009 2. 空欄 (3)について (3)の空欄は、その他有価証券を売却時に370,000で買い戻すことに合意している場合の取引について問われているが、こ のような取引は現先取引といわれる。現先取引とは、将来の一定期日にあらかじめ定められた価額により反対売買を行う ことを約束したうえで行う債券等の売買取引である。現先取引は、形式的には有価証券の売買取引であるが、その実質は 有価証券を担保とした短期資金の賃借取引である。そのため、会計上は金融取引(資金取引)として処理する。 (1) 現先取引開始時 (借) 現 金 預 金 な ど 360,000 (貸) 短 期 借 入 金 360,000 これらより、(3)に当てはまる用語は「借入金」となる。 3. 空欄 (4)及び(5)について (1) 甲社(個別上の処理) 甲社は、100%子会社(完全子会社)としてK社を支配していたが、K社株式を乙社に売却した。この売却により甲社 は乙社の60%の持分を取得し、当該乙社株式の保有を通じてK社への投資が継続していると考えられるため、取得し た乙社株式の取得原価はK社株式の帳簿価額を引き継ぐこととなる。 (借) 乙 社 株 式 300,000(*1) (貸) K 社 株 式 300,000 (*1) K社株式の帳簿価額 (2) 乙社(個別上の処理) 乙社は、自社の株式を発行してK社株式を取得したが、当該取引の結果甲社から支配されることになった。そのた め、乙社における甲社株式の取得は逆取得に該当する。逆取得の場合、適正な帳簿価額による資産及び負債を引き継 ぐ。 (借) K 社 株 式 300,000(*1) (貸) 資 本 金 な ど 300,000 (*1) 帳簿価額 (3) K社に対する持分の変動(連結上の処理) 乙社へK社株式を売却することにより、甲社のK社に対する持分比率が100%から60%に40%減少している(乙社株 式60%の保有を通してK社に対する投資も60%分継続している)。 (借) 資 本 金 な ど 300,000 (貸) 乙 社 株 式 156,000(*1) 非 支 配 株 主 当 期 変 動 額 128,000(*2) 資 本 剰 余 金 当 期 変 動 額 16,000(*3) (*1) 乙社株式300,000-144,000(下記(4)(*1)参照)=156,000 (*2) K社純資産簿価320,000×40%=128,000 ⇒ 乙社の非支配株主へ持分が移ったと考える (*3) 144,000(*4)-128,000(*2)=16,000 ⇒ K社の40%を時価で売却したと考える (*4) K社事業の時価360,000×40%=144,000 (4) 乙社を取得することによるのれんの計上(連結上の処理) 乙社へK社株式を売却することにより、甲社の乙社に対する持分比率が0%から60%に60%増加している。つまり、 乙社を60%分取得したと考え、のれんが発生する。 (借) 資 本 金 な ど 210,000 (貸) 乙 社 株 式 144,000(*1) の れ ん 18,000(*3) 非 支 配 株 主 当 期 変 動 額 84,000(*2) (*1) 乙社事業の時価240,000×甲社取得割合60%=144,000 (*2) 乙社の資産の時価から負債の時価を差し引いた純資産の時価210,000×非支配株主持分割合40%=84,000 (*3) 144,000(上記(*3))-126,000(*4)=18,000 ⇒ 144,000で乙社の60%を取得したと考える。つまり、K社の40% で乙社の60%を取得したこととなる。 (*4) 乙社の資産の時価から負債の時価を差し引いた純資産の時価210,000×甲社取得割合60%=126,000 これらより(4)に当てはまる用語は「資本」、(5)に当てはまる金額は「18,000」となる。
第 141 回 解 説 -商業簿記・会計学-
10 第3問(金額単位:千円) 連結修正仕訳(問題文から判明する事項のみ) (1) のれんの償却 (借) の れ ん 償 却 320(*1) (貸) の れ ん 320 (*1) のれん3,200÷10年=320 (2) 当期純利益の按分 (借) 非支配株主に帰属する当期純利益 600(*1) (貸) 非支配株主持分当期変動額 600 (*1) S社当期純利益3,000×非支配株主持分割合20%=600 (3) 剰余金の配当 (借) 受 取 配 当 金 720(*1) (貸) 剰 余 金 の 配 当 900 非支配株主持分当期変動額 180(*2) (*1) S社剰余金の配当900×親会社持分割合80%=720 (*2) S社剰余金の配当900×非支配株主持分割合20%=180 (4) 商品売買 ① 売上と仕入の相殺消去 (借) 売 上 高 6,000 (貸) 売 上 原 価 6,000 ② 未実現損益(期首商品:アップストリーム) (借) 利 益 剰 余 金 当 期 首 残 高 200 (貸) 売 上 原 価 200(*1) 法 人 税 等 調 整 額 60(*2) 利 益 剰 余 金 当 期 首 残 高 60 非支配株主持分当期首残高 28 利 益 剰 余 金 当 期 首 残 高 28(*3) 非支配株主に帰属する当期純利益 28(*4) 非支配株主持分当期変動額 28 (*1) 期首商品に含まれる未実現利益200(問題文より) (*2) 売上原価200×実効税率30%=60 (*3) (利益剰余金当期首残高200(*1)-利益剰余金当期首残高60)×非支配株主持分割合20%=28 (*4) (売上原価200-法人税等調整額60)×非支配株主持分割合20%=28 ③ 未実現損益(期末商品:アップストリーム) (借) 売 上 原 価 300(*1) (貸) 商 品 300 繰 延 税 金 資 産 90 法 人 税 等 調 整 額 90(*2) 非支配株主持分当期変動額 42 非支配株主に帰属する当期純利益 42(*3) (*1) 期末商品に含まれる未実現利益300(問題文より) (*2) 売上原価300×実効税率30%=90 (*3) (売上原価300-法人税等調整額90)×非支配株主持分割合20%=42 (5) 利息の相殺消去 (借) 受 取 利 息 800 (貸) 支 払 利 息 800 (6) 評価差額 ① 評価差額の計上 (借) 土 地 1,000(*1) (貸) 評 価 差 額 700 繰 延 税 金 負 債 300(*2) (借) 建 物 600(*3) (貸) 評 価 差 額 420 繰 延 税 金 負 債 180(*4) (*1) 土地の評価益1,000(問題文より) (*2) 土地の評価益1,000×実効税率30%=300 (*3) 建物の評価益600(問題文より) (*4) 建物の評価益600×実効税率30%=18011 ② 評価差額の実現(減価償却による実現) 個別上の減価償却費は個別貸借対照表上の建物の帳簿価額に基づき計上されるが、連結上あるべき減価償却費は評 価差額計上後の帳簿価額(個別貸借対照表上の建物よりも評価益600分上乗せされた金額)に基づく金額であるため、 減価償却費を修正する必要がある。なお、評価益600部分は残存耐用年数にわたり償却することとなる。また連結上、 減価償却費を追加計上することにより、子会社の利益が変動するので、それに伴い非支配株主への按分計算が必要に なる。 (借) 利 益 剰 余 金 当 期 首 残 高 50(*1) (貸) 減 価 償 却 累 計 額 100 一般管理費( 減価償却費) 50(*2) (借) 繰 延 税 金 負 債 30 (貸) 利 益 剰 余 金 当 期 首 残 高 15(*3) 法 人 税 等 調 整 額 15(*4) (借) 非支配株主持分当期首残高 7 (貸) 利 益 剰 余 金 当 期 首 残 高 7(*5) (借) 非支配株主持分当期変動額 7 (貸) 非支配株主に帰属する当期純利益 7(*6) (*1) 建物の評価益600(問題文より)÷残存耐用年数12年×1年=50 (*2) 建物の評価益600(問題文より)÷残存耐用年数12年=50 (*3) 利益剰余金当期首残高50(*1)×実効税率30%=15 (*4) 一般管理費(減価償却費)50(*2)×実効税率30%=15 (*5) (利益剰余金当期首残高50(*1)-利益剰余金当期首残高15)×非支配株主持分割合20%=7 (*6) (減価償却費50(*2)-法人税等調整額15(*4))×非支配株主持分割合20%=7
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
12工
業
簿
記
【総 評】 141回本試験の工業簿記では、第1問において費目別計算から損益計算書の作成までの一連の数値計算が問われました。非 常に細かな知識を必要とされ、どれか一つでも集計漏れやミスを犯すと営業利益や税引前利益を算定できないというシビア な問題であったと言えます。しかしながら、このような問題であっても必ず取れる箇所が存在しますので、そこを間違える ことなく解答できれば合格はぐっと近づきます。具体的には、問1①間接労務費、④直接材料費、⑤直接労務費の3つ、問 2の仕訳は簡単に求めることができますので、最低限正解したい箇所となります。 次に、第2問において部門別計算における第二次集計(補助部門費の配賦計算)の理論的な理解が問われました。答えを 見ればテキストに記載されている内容そのものですが、短い文章の中にいくつも穴埋め箇所が用意されているため、思うよ うに解答できなかった方もいるでしょう。近年では原価計算基準や理論の穴埋めもよく出題されているため、単に計算がで きるだけでは十分でなく、計算の背景にある理論を学習する重要性が高まっています。とりわけ今回のように、計算で高得 点を取ることが困難な場合、理論でカバーするしかありませんので、安定して点数を取れるようにテキストの読み込みを行 う必要があるでしょう。 正答可能性 第1問 第2問 高 問1①、④、⑤、問2 ①、②、③、④、⑥、⑦、⑧、⑨ 中 問1②、③ ⑤ 低 問1⑥、⑦、⑧ ― 【解 説】(金額単位:万円) 第1問 問1 製造間接費勘定の借方には実際発生額、貸方には予定配賦額が記入されるため、本問で解答の求められている①(借方)間 接労務費、②(借方)間接経費はそれぞれ実際発生額を計算、③(貸方)仕掛品は予定配賦額を計算することになる。なお、 解答を直接求められている箇所以外にも、例えば間接材料費や直接経費も計算しなければ当月製造費用の金額が判明せず、仕 掛品勘定ひいては製品勘定を完成させることはできないため、結局のところ頭から順番に勘定連絡図を作成していく必要があ る。 1. 直接材料費(素材(材料勘定)) 資料1で与えられている素材費に関するデータをまとめると次の通りである。 材料(素材) 月初有高 40 直接材料費 2,261 ←差額 ④の解答 棚卸減耗費 2 購入代価 2,220+引取費用 40→ 当月購入 2,260 月末実際有高 37 月末帳簿有高 39 なお、棚卸減耗費2は「間接経費」になることに留意する。13 2. 間接材料費 間接材料費に分類されるものは、補修用鋼材(資料2)、製造用切削油、機械油、電球などの当月消費額(資料7)、耐用年 数1年未満の製造用工具・測定器具などの取得原価(資料13)、工場の机、いす、黒板、自転車など(資料16)である。 (1)補修用鋼材の計算 補修用鋼材の当月消費高を計算すると次のとおりである。 材料(補修用鋼材) 月初有高 15 間接材料費 95 ←差額 当月購入 90 月末実際有高 10 (2)間接材料費の合計金額 間接材料費となるものをすべて合計する。なお、工場用切削油、機械油、電球などの当月消費額は「工場消耗品費」とい う名目で間接材料費となり、耐用年数1年未満の製造用工具・測定器具などの取得原価、工場の机、いす、黒板、自転車な どは「消耗工具器具備品」という名目で間接材料費となる。 資料2 補修用鋼材 95 資料7 製造用切削油、機械油、電球などの当月消費額 21 資料13 耐用年数1年未満の製造用工具・測定器具などの取得原価 60 資料16 工場の机、いす、黒板、自転車など 17 間接材料費の合計金額 193 3. 直接労務費 機械工および組立工賃金のうち、直接作業賃金のみが直接労務費となる。直接工賃金に関するデータをまとめると次の通り である。 直接工賃金 前月未払高 60 直接作業賃金 225 →直接労務費(⑤の解答) 当月支払高 240 間接作業賃金 17 当月未払高 65 手待賃金 3 差額→ 賃率差異 8 割増賃金 8 なお、源泉所得税、社会保険料などの控除額は賃金勘定を作成する上では利用する必要のない資料であることに注意が必 要である。なぜならば、以下の賃金支払時の仕訳を確認すればよい。
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
14 (借) 賃 金 240 (貸) 預 り 金 18 現 金 222 この仕訳からもわかる通り、賃金勘定の相手勘定科目については、預り金と現金がそれぞれいくらであっても合計は 240万円になるため、賃金勘定の借方に支払賃金として転記される金額は預り金の金額に関わらず240万円である。 4. 間接労務費 機械工および組立工賃金のうち、間接作業賃金および手待賃金が間接労務費になる。加えて、本問では予定賃率に定時外作 業割増賃金部分を含まず、間接労務費として処理することを銘記しておかなければいけない。また、工場修理工賃金(資料 3)、工場倉庫係の賃金(資料8)、製造関係の事務職員給料(資料10)、工場技術職員の給料(資料20)が間接労務費となる。 (1)直接工賃金の間接労務費 直接工賃金のうち間接労務費となる部分をまとめると次の通りである。 直接工賃金 前月未払高 60 直接作業賃金 225 当月支払高 240 間接作業賃金 17 当月未払高 65 手待賃金 3 差額→ 賃率差異 8 割増賃金 8 間接労務費 28 なお、賃率差異8(貸方差異)については、「原価計算基準」に則って処理するため、売上原価に賦課(直課)する。参考 として、賃率差異についても仕訳を表すと次の通りである。 (借) 賃 金 8 (貸) 賃 率 差 異 8 (2)間接労務費の合計金額 間接労務費となるものをすべて集計すると次の通りである。 資料3 工場修理工賃金 95 資料6 直接工間接労務費 28 資料8 工場倉庫係の賃金 15 資料10 製造関係の事務職員給料 25 資料20 工場技術職員の給料 38 間接労務費の合計金額 201 ←①の解答 なお、間接労務費になる費目の判別方法として、製造に関係する従業員に対する賃金か否かという点から判断すればよい。 つまり、「工場」や「製造関係」などの単語が付いた費目については間接労務費と考えればよい。15 5. 直接経費 外注加工賃(資料19)だけが直接経費に分類されるため、直接経費の金額は100である。 6. 間接経費 間接経費に分類されるものは非常に多岐にわたるため、丁寧に集計していく必要がある。間接労務費の分類時と同様の考え 方で、「工場」や「工員」などの単語が付いた費目については間接経費と考えればよい。なお、工場従業員のための英会話、 茶道講師料(資料18)は「厚生費」という名目で間接経費、工員用住宅と託児所などの福利施設負担額(資料15)は「福利施 設負担額」という名目で間接経費となる。また、工員訓練費のような従業員一人当たりでいくらかかったのか明確でないもの は間接労務費ではなく、間接経費に分類される。 資料1 棚卸減耗費 2 資料4 工場固定資産税 5 資料5 工員募集費 4 資料15 工員用住宅と託児所などの福利施設負担額 32 資料18 工場従業員のための英会話、茶道講師料 40 資料25 工員訓練費 10 資料31 工場電力料・ガス代・水道料 12 資料35 工場減価償却費(長期休止設備の減価償却費を除く) 812 ←902-90 間接経費の合計金額 917 ←②の解答 長期休止設備の減価償却費90は、「原価計算基準5」でいうところの「経営目的に関連しない価値の減少」に該当するた め、非原価項目に分類される。したがって、損益計算書上、営業外費用に計上されることになる。 7. 製造間接費の計算 製造間接費については、予算差異4(資料9)、操業度差異15(資料21)が与えられていることから、予定配賦を行ってい ることがわかる。しかしながら、予算額や予定配賦率に関する指示がないため、予定配賦額を通常の計算で求めることはでき ない。そこで、実際発生額に予算差異と操業度差異を加減算することで予定配賦額を計算する。 (1)実際発生額の計算 製造間接費の実際発生額は、間接材料費、間接労務費、間接経費の合計であるため、これまでの計算結果を用いればよい。 間接材料費 193 間接労務費 201 間 接 経 費 917 製造間接費の実際発生額 1,311 (2)予定配賦額の計算 製造間接費の予定配賦額から実際発生額を控除すれば、製造間接費配賦差異△11(予算差異+4+操業度差異△15)が求 まる。したがって、実際発生額に製造間接費配賦差異を加算すれば予定配賦額が求まることになる。 予定配賦額?-実際発生額1,311 = 製造間接費配賦差異△11 予定配賦額 = 1,300 ←③の解答 製造間接費勘定の貸方、つまり、仕掛品勘定へ振替えられる金額は、予定配賦額である1,300である。
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
16 8. 仕掛品勘定の作成 仕掛品勘定を作成するには、当月製造費用の計算が必要となる。当月製造費用は、直接材料費、直接労務費、直接経費、製 造間接費予定配賦額の合計である。 直接材料費 2,261 直接労務費 225 直 接 経 費 100 製造間接費 1,300 当月製造費用 3,886 なお、仕掛品勘定を作成するに当たり、異常仕損費81(資料23)を考慮することを忘れてはいけない。当月製造費用の中 には、異常仕損品の製造にかかった部分もあるため、それは完成品原価からは除外する必要がある。計算された異常仕損費 は、異常なものは原価にならないという基本的な考え方のもと、非原価項目として処理し、損益計算書の営業外費用となる。 仕掛品 資料 39 より→ 月初有高 34 完成品原価 3,800 ←差額(⑥の解答) 異常仕損費 81 ←資料 23 より 当月製造費用 3,886 月末有高 39 ←資料 39 より 9. 製品勘定の作成 製品勘定を作成すると、次のようになる。 製 品 資料 24 より→ 月初有高 65 売上原価 3,820 ←差額 完成品原価 3,800 月末有高 45 ←資料 24 より17 10. 損益計算書の作成 損益計算書を作成し、営業利益と税引前利益を計算する。資料およびこれまでの計算で判明しているところまで作成すると 次の通りである。なお、原価差異については賃率差異8(貸方差異)と製造間接費配賦差異11(借方差異)の合計3(借方差 異)と求まり、売上原価に賦課(直課)する。 損益計算書 売上高 5,705 ←資料34より 売上原価 期首製品棚卸高 65 当期製品製造原価 3,800 合 計 3,865 期末製品棚卸高 45 差 引 3,820 原価差異 3 3,823 ←原価差異は借方差異なので売上原価に加算する 売上総利益 1,882 販売費及び一般管理費 ? 営業利益 ? 営業外収益 ? 営業外費用 ? 経常利益 ? 特別利益 ? 特別損失 ? 税引前利益 ? 売上総利益以降の計算にあたり、販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失が必要となる。 (1)販売費及び一般管理費の計算 販売費及び一般管理費に分類される費目を資料から集計する。なお、販売費及び一般管理費に費目を分類する方法として、 売上を獲得するために直接的もしくは間接的にかかるであろう費用や、「本社」という単語が付いた費目については販売費 及び一般管理費と考えればよい。 資料11 本社企画室費 2 資料12 新技術基礎研究費 15 資料14 社長秘書室費 15 資料17 広告宣伝費 60 資料26 本社役員給料 300 資料27 本社役員賞与 500 資料28 出荷運送費 9 資料30 営業所長給料 19 資料32 本社事務員給料 18 資料33 販売員給料 15 資料38 本社・営業所の減価償却費など 20 販売費及び一般管理費の合計金額 973
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
18 (2)営業外収益 営業外収益としては、受取利息2(資料29)のみが該当する。したがって、営業外収益は2である。 (3)営業外費用 営業外費用としては、異常仕損費81(資料23)、長期休止設備の減価償却費90(資料35)が該当する。 資料23 異常仕損費 81 資料35 長期休止設備の減価償却費 90 営業外費用 171 (4)特別利益 特別利益に該当するものはないため、ゼロである。 (5)特別損失 特別損失としては、工場設備の除却費用30(資料36)のみが該当する。したがって、特別損失は30である。なお、除却し た設備の取得原価600、前月末の減価償却累計額590との間にズレが生じているため、除却損が発生するかのように見えるが、 除却した設備の当月減価償却費10(資料35)を減価償却累計額に含めると600になるため、取得原価との間にズレは生じな い、つまり除却損は発生しないことに留意する。 (6)損益計算書の作成 損益計算書を作成し、営業利益、税引前利益を計算すると次の通りである。 損益計算書 売上高 5,705 売上原価 期首製品棚卸高 65 当期製品製造原価 3,800 合 計 3,865 期末製品棚卸高 45 差 引 3,820 原価差異 3 3,823 売上総利益 1,882 販売費及び一般管理費 973 営業利益 909 ←⑦の解答 営業外収益 2 営業外費用 171 経常利益 740 特別利益 0 特別損失 30 税引前利益 710 ←⑧の解答19 第1問 問2 外注加工賃に関しては、下請企業との間に無償契約を結んでいるのか、有償契約を結んでいるのかにより仕訳処理が異なる。 また、無償契約でも加工後すぐに製造現場へ投下するのか、倉庫にいったん保管するのかによっても仕訳処理が異なる。うま く頭の中で整理できていないと、自信をもって解答することはできない問題と言える。 本問では、無償契約で加工後すぐに製造現場へ投下するときの仕訳処理が問われており、その時の仕訳は次の通りである。 (借) 仕 掛 品 100 (貸) 外 注 加 工 賃 100 なお、参考として、材料支給時と納入時の処理も示しておく。 <材料支給時(参考)> 支給した材料の金額が不明であるため、?とする。 (借) 仕 掛 品 ? (貸) 材 料 ? <納入時(参考)> 外注加工賃を支払う義務を負うため、相手勘定科目として買掛金もしくは人名勘定を用います。 (借) 外 注 加 工 賃 100 (貸) 買 掛 金 100
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
20 第2問 部門別計算の第二次集計(補助部門費の配賦計算)について理論的な理解が問われている。まず、そもそも部門別計算の 目的は2つあり、1つは正確な製品原価計算(①の解答)、もう1つは合理的な原価管理(②の解答)である。この2つの目 的を達成するためには、どのような計算を行えばよいのか考えるのが典型論点としてあるが、部門別計算の第一次から第三 次までの計算の中でも、とりわけ第二次集計(補助部門費の配賦計算)において議論される。 直 接 配 賦 法 単一基準配賦法 実際配賦法 階梯式配賦法 複数基準配賦法 予定配賦法 相 互 配 賦 法 <第二次集計の全体像> 第二次集計では種々の計算方法があり、補助部門が複数あり補助部門間で用役授受を行っている場合、それを計算上どのよ うに取り扱うのかという観点から、直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦法がある。本問では、問題文に「1つの補助部門」 と明記されているため、補助部門間の用役授受というのは問題とならない。したがって、選択肢から関連用語を除外する。 次に、補助部門費を変動費と固定費に分類した時の発生原因に着目し、それぞれの配賦基準をどうするのかという観点から、 単一基準配賦法(③の解答)と複数基準配賦法(⑦の解答)がある。単一基準配賦法では変動費も固定費も用役消費量とい う一つの基準で配賦を行うことになるが、固定費は用役消費量の多寡に関わらず必ず一定額生じるものであるため、配賦基準 と発生原因がミスマッチとなる。そのことにより、特定の製造部門に対する補助部門費の配賦額が、他の製造部門(⑥の解 答)の補助部門用役消費量により変わってしまうという、責任会計(⑤の解答)の見地から望ましくない結果となる。 最後に、補助部門費の実際発生額を製造部門へ配賦する実際配賦(④の解答)と、予め決められた予定配賦率にもとづく予 定配賦(⑨の解答)がある。実際配賦によると、補助部門(⑧の解答)における原価管理活動の良否の影響が製造部門へ転 嫁されるため、責任会計の見地から望ましくない結果となる。 <模範文章> 補助部門費の配賦は、(①:製品原価の計算)目的と(②:原価管理)目的のために必要となる。1つの補助部門が2つの 製造部門にのみサービスを提供している例を考えてみよう。この場合、(③:単一基準配賦法)による(④:実際配賦)は、 (⑤:責任会計)の見地から好ましくないので、その改善が望ましい。第1の改善法は、他の(⑥:製造部門)によるサービ ス授受の影響を排除するため、(③:単一基準配賦法)に代えて(⑦:複数基準配賦法)の採用である。これに加えて、第2 の改善法は、(⑧:補助部門)の(②:原価管理)活動の良否を(⑥:製造部門)に転嫁しないように、(④:実際配賦)に代 えて(⑨:予定配賦)の採用である。21
原
価
計
算
【総 評】 続いて原価計算についてですが、第1問が多品種製品のCVP分析に関する問題です。非常に平易な問題であり、完答できた 方もいらっしゃるのではないでしょうか。問題のレベルとしては、テキストの設例、もしくは問題集の基本問題ぐらいの水 準であるため、ケアレスミスに気をつけて高得点を狙いたいところです。唯一注意すべきところは、C製品の個別固定費 860,000円はC製品を製造しなければ発生しない回避可能固定費であるため、C製品を製造しない時の計算において除外する 必要があります。資料を見た瞬間に、共通固定費と個別固定費を合算した方は反省する必要があるでしょう。 次に、第2問ですが、事業部制の業績評価について問われています。事業部制の業績評価は、事業部長という「人」の評 価と、事業部という「モノ」の評価の2つの側面があり、本問では前者の側面が問われています。事業部長の業績評価の目 的は、目標整合性の確保、つまり、事業部長の意思決定を全社的に望ましい方向に導くことにありますが、投資利益率にも とづく評価を実践すると、意思決定をミスリードすることになります。それに対して、残余利益にもとづく評価を実践する と、事業部長の意思決定を全社的に正しい方向へ導くことができるという、基本的な理解ができていれば全体の流れは簡単 に把握できるはずです。あとはパズルのような形式ではありますが、事業部制の損益計算書を想起しながら、落ち着いて問 題に臨めば、完答することも不可能ではないでしょう。 正答可能性 第1問 第2問 高 問1、問2、問3、問4 ①~⑤ 中 問5、問6 - 低 - ― 【解 説】(金額単位:円) 第1問 問1 製品単位当たりの貢献利益の計算が求められているため、それぞれの製品の販売価格から、変動製造原価と変動販売費を 控除すればよい。なお、B製品とC製品はA製品に追加加工を施したものであるため、A製品の変動製造原価を考慮して計 算することに留意する。 A製品 1,000円-(200円+150円+50円) = 600円 B製品 1,200円-(350円+80円+30円+90円) = 650円 C製品 1,400円-(350円+100円+40円+110円) = 800円第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
22 第1問 問2 特定のセールスミックスの下での営業利益の算定が問われており、直接原価計算を前提とした損益計算書を想起しながら 計算すればよい。 1.A製品16,000個、B製品4,000個を製造・販売した時の営業利益 本問では営業利益の計算が問われているだけであるため、問1で計算した単位当たり貢献利益を用いて、貢献利益総額 を直接求め、そこから固定製造原価を控除すればよい。 (1)貢献利益 A製品 @600円×16,000個 = 9,600,000円 B製品 @650円×4,000個 = 2,600,000円 貢献利益合計 12,200,000円 (2)固定費 共通固定費の加工費6,150,000円+販売費および一般管理費3,000,000円=9,150,000円 (3)営業利益(=(1)-(2)) 貢献利益12,200,000円-固定費9,150,000円=3,050,000円(①の解答) 2.A製品15,000個、C製品5,000個を製造・販売した時の営業利益 上記と同様に営業利益を算定する。なお、固定費の算定においてC製品を製造する場合には個別固定費も発生すること に留意する。 (1)貢献利益 A製品 @600円×15,000個 = 9,000,000円 C製品 @800円×5,000個 = 4,000,000円 貢献利益合計 13,000,000円 (2)固定費 共通固定費の加工費6,150,000円+販売費および一般管理費3,000,000円+個別固定費860,000円=10,010,000円 (3)営業利益(=(1)-(2)) 貢献利益13,000,000円-固定費10,010,000円=2,990,000円 3.貢献利益の差額算定 2.(1)13,000,000円-1.(1)12,200,000円=800,000円 したがって、貢献利益が800,000円(解答②)増加(解答③)する。 4.営業利益の差額算定 2.(3)2,990,000円-1.(3)3,050,000円=-60,000円 したがって、営業利益が60,000円(解答④)減少(解答⑤)する。23 第1問 問3 セールスミックスを一定と仮定した時の損益分岐点販売量の計算が求められている。セールスミックスを一定と仮定する 方法としては、「販売量を一定」と仮定する方法と「売上高を一定」と仮定する方法の2つがあるが、本問では前者が問われ ており、基本最小セットに着目した分析を行えばよい。 1.基本最小セットの貢献利益 A製品とB製品の販売量を4:1と仮定するため、A製品4個を販売した時にB製品1個を販売することになる。これ が基本最小セットである。 1セット A製品 4個 B製品 1個 基本最小セットの貢献利益を計算すると次の通りである。 A製品 @600円×4個 = 2,400円 B製品 @650円×1個 = 650円 基本最小セットの貢献利益 3,050円 2.固定費 共通固定費の加工費6,150,000円+販売費および一般管理費3,000,000円=9,150,000円 3.損益分岐点販売セット数(=2÷1) 営業利益をゼロにするためには、1セット当たり貢献利益3,050円のものを何セット販売する必要があるのか計算する。 すなわち、固定費を基本最小セットの貢献利益で割り算することで算定する。 固定費9,150,000円÷基本最小セットの貢献利益3,050円=3,000セット 4.A製品とB製品の損益分岐点販売数量 1セットの中にA製品4個、B製品1個含まれるため、3,000セット販売した時に、A製品とB製品がそれぞれ何個含ま れているのか計算する。 A製品 3,000セット×4個 = 12,000個 B製品 3,000セット×1個 = 3,000個
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
24 第1問 問4 今度は損益分岐点販売数量ではなく、損益分岐点売上高の算定が求められている。しかしながら、計算手順は基本的には 同じで、損益分岐点販売数量を算定してから販売価格を掛け算するという手間が一つ増えるだけである。冷静に対処すれば よい。 1.基本最小セットの貢献利益 A製品とC製品の販売量を3:1と仮定するため、A製品3個を販売した時にC製品1個を販売することになる。これ が基本最小セットである。 1セット A製品 3個 C製品 1個 基本最小セットの貢献利益を計算すると次の通りである。 A製品 @600円×3個 = 1,800円 C製品 @800円×1個 = 800円 基本最小セットの貢献利益 2,600円 2.固定費 共通固定費の加工費6,150,000円+販売費および一般管理費3,000,000円+個別固定費860,000円=10,010,000円 3.損益分岐点販売セット数(=2÷1) 営業利益がゼロにするためには、1セット当たり貢献利益2,600円のものを何セット販売する必要があるのか計算する。 すなわち、固定費を基本最小セットの貢献利益で割り算することで算定する。 固定費10,010,000円÷基本最小セットの貢献利益2,600円=3,850セット 4.A製品とC製品の損益分岐点販売数量 1セットの中にA製品3個、C製品1個含まれるため、3,850セット販売した時に、A製品とC製品がそれぞれ何個含ま れているのか計算する。 A製品 3,850セット×3個 = 11,550個 C製品 3,850セット×1個 = 3,850個 5.A製品とC製品の損益分岐点売上高 損益分岐点販売数量に販売価格を掛け算することで損益分岐点売上高を求めることができる。 A製品 @1,000円×11,550個 = 11,550,000円 C製品 @1,400円×3,850個 = 5,390,000円25 第1問 問5 セグメント別損益計算書に関する問題であり、セグメント・マージン(貢献利益-個別固定費)の計算が問わている。あ まり解き慣れていない論点かと思われるが、セグメント・マージンの計算方法が与えらているため、指示に従えばよい。 1.C製品5,000個販売した時の貢献利益 単位当たり貢献利益@800円×販売数量5,000個=4,000,000円 2.個別固定費 860,000円 3.セグメント・マージン(=1-2) 貢献利益4,000,000円-個別固定費860,000円=3,140,000円 第1問 問6 C製品5,000個を製造・販売することを前提に、A製品を残り何個販売すれば営業利益がゼロになるのかを計算する。まず、 C製品5,000個の貢献利益を求め、残りいくらの貢献利益をA製品で稼ぐ必要があるのかを計算する。 1.C製品5,000個販売した時の貢献利益 単位当たり貢献利益@800円×販売数量5,000個=4,000,000円 2.固定費 共通固定費の加工費6,150,000円+販売費および一般管理費3,000,000円+個別固定費860,000円=10,010,000円 3.A製品で回収すべき固定費(=2-1) 固定費10,010,000円-C製品貢献利益4,000,000円=6,010,000円 4.A製品の損益分岐点販売数量 A製品で回収すべき固定費6,010,000円÷A製品単位当たり貢献利益@600円=10,016.666…個 したがって、A製品を10,017個販売すれば損益分岐点に達すると考えられる。
第 141 回 解 説 -工業簿記・原価計算-
26 第2問 (金額単位:万円) 事業部制の業績評価について問われており、投資利益率、残余利益の計算が主に求められている。総評でも述べた通り、 事業部長の業績評価を行うに当たり残余利益(金額)を用いれば目標整合性が確保される反面、投資利益率(比率)を用い れば目標不整合をきたすことになる。したがって、比率よりも金額が⑤の解答となる。 本問の計算問題を解くにあたって、どこから手をつければよいのか難しく感じるかもしれないが、投資利益率や残余利益 の計算方法が整理できていればうまく対応できるはずである。 <状況整理> 現 行 新規プロジェクト 新規プロジェクト採用後 管 理 可 能 利 益 910万円 ? ? 管理可能投資額 7,000万円 1,000万円 8,000万円 管理可能投資利益率 ?(③) ?(②) 12.5% 管理可能残余利益 532万円 ? ?(④) 1.現行の管理可能投資利益率 管理可能投資利益率は、管理可能利益を管理可能投資額で割り算することで求めることができる。 管理可能利益910万円÷管理可能投資額7,000万円=13%(③の解答) 2.資本コスト率 管理可能利益から資本コストを控除すれば残余利益を計算することができる。現行の残余利益532万円と与えられており、 ここから資本コストを逆算し、資本コスト率を算定する。 (1)資本コストの算定 管理可能利益910万円-資本コスト = 残余利益532万円 資本コスト = 378万円 (2)資本コスト率の算定 資本コストは、管理可能投資額に資本コスト率をかけ算することで求めることができる。 管理可能投資額7,000万円×資本コスト率 = 資本コスト378万円 資本コスト率 = 5.4%(①の解答)27 3.新規プロジェクトの管理可能投資利益率 新規プロジェクトを採用すれば、管理可能投資利益率が12.5%になると指示があるため、これを利用して新規プロジェ クトの管理可能利益額および管理可能投資利益率を算定する。 (1)新規プロジェクト採用後の管理可能投資額 現行7,000万円+新規1,000万円=8,000万円 (2)新規プロジェクト採用後の管理可能利益 管理可能投資額に管理可能投資利益率をかけ算すれば、管理可能利益を求めることができる。 管理可能投資額8,000万円×管理可能投資利益率12.5%=1,000万円 (3)新規プロジェクトの管理可能利益 新規プロジェクト採用後の管理可能利益から現行の管理可能利益を控除すれば、新規プロジェクトの管理可能利益を 算定することができる。 新規プロジェクト採用後1,000万円-現行910万円=90万円 (4)新規プロジェクトの管理可能投資利益率 管理可能利益を管理可能投資利益率で割り算すれば、管理可能投資利益率を求めることができる。 新規プロジェクトの管理可能利益90万円÷新規プロジェクトの管理可能投資額1,000万円=9%(②の解答) 4.新規プロジェクトの残余利益 新規プロジェクトの残余利益は、新規プロジェクトの管理可能利益から資本コストを控除すればよい。 (1)管理可能利益 90万円 (2)資本コスト 管理可能投資額1,000万円×資本コスト率5.4%=54万円 (3)残余利益(=(1)-(2)) 管理可能利益90万円-資本コスト54万円=36万円 5.新規プロジェクト採用後の残余利益 新規プロジェクトを採用すれば、36万円の残余利益が増加するため、現行の残余利益に合算すればよい。 現行532万円+新規36万円=568万円(④の解答)