CIS・中東欧ビジネストレンド
(2004年10月分)1.対ロ貿易・投資
◇ルスアルが日本に現地法人を設立 先月号では初めて関西に進出したロシア企業、ヒムエクスペルト社について紹介したが、10 月 には世界第3位のアルミニウムメーカー、ロシア・アルミニウム(ルスアル)が日本に現地法人 「ルスアル・ジャパン」を設立した。同社は 2004 年5月 28 日、アジアの拠点としてシンガポー ルと東京に販売事務所を開設する旨を発表している。日本のエンドユーザーに直結した取引を拡 大することで、付加価値品の比率をアップし、今後、形状・サイズなどユーザー仕様への対応も 視野に、スラブ、ビレット、高純度地金などの販売増に照準を合わせていくという。 プレスリリース→http://www.rusal.com/press/issues/?ID=179 ◇ロシア人訪日客が急増 目立つ観光客 ここ数年、ロシアからの訪日客が増加している。国籍別外客数のデータ(第1 ∼3表)によると、訪日ロシア人の数(総数)は欧州からでは 2002 年にイタリアを抜いて4位と なった。その後も順調に増えており、2004 年1月∼6月は約2万 5,222 人、対前年同期比 30%増 を記録。なかでも観光客の増加が目立ち(対前年同期比 54%増)、その多くは極東からの訪問客 であろうことから、同地域住民の所得の上昇がうかがえる。日本国内の名所旧跡やディズニーラ ンド等の娯楽・レジャー施設、家電量販店や 100 円ショップでも、ロシア人旅行者の姿は珍しく ない。 一時上陸客は減少 統計には一時上陸客の数値も掲載しており、ロシア人のそれは 2002 年以 降、マイナス傾向にある(2003 年は 3,132 人、対前年比 4.5%減)。一時上陸客にはロシア船の船国籍別訪日外客数(総数) 2001 2002 2003 2004.1-7 2004.1-7 /2003.1-7 (%) アジア:韓 国 台 湾 中 国 香 港 欧 州:英 国 ドイツ フランス ロシア イタリア 北 米:米 国 1,133,971 807,202 391,384 262,229 197,965 87,740 82,710 34,771 35,254 692,192 1,271,835 877,709 452,420 290,624 219,271 93,936 87,034 37,963 36,396 731,900 1,459,333 785,379 448,782 260,214 200,543 93,571 85,179 44,512 35,826 655,821 772,374 533,526 298,741 142,164 107,482 52,615 45,419 25,222 17,425 384,436 117.4 183.3 149.9 126.0 110.7 119.3 112.7 130.3 114.4 124.0 (注) 2004.1-7 は暫定値。 (出所)出所:国際観光振興機構(http://www.jnto.go.jp/info)。以下同じ。 国籍別訪日外客数(観光客) 2001 2002 2003 2004.1-7 2004.1-7 /2003.1-7 (%) アジア:韓 国 台 湾 中 国 香 港 欧 州:英 国 ドイツ フランス ロシア イタリア 北 米:米 国 653,370 708,065 72,118 226,862 101,122 34,259 34,902 14,549 14,164 377,109 756,991 769,074 101,299 255,294 124,244 36,616 38,261 15,146 15,989 412,845 917,590 681,490 95,991 228,073 110,510 35,328 38,787 18,342 15,903 350,674 501,637 474,589 91,960 127,602 60,212 21,984 20,738 11,974 7,750 224.510 127.3 193.5 250.7 129.3 111.1 129.3 117.8 154.3 132.2 134.6 国籍別訪日外客数(商用客) 2001 2002 2003 2004.1-7 2004.1-7 /2003.1-7 (%) アジア:韓 国 台 湾 中 国 香 港 欧 州:英 国 ドイツ フランス ロシア イタリア 北 米:米 国 338,482 68,689 74,309 27,699 72,743 45,572 37,281 8,665 17,189 251,088 354,623 78,468 91,189 28,460 70,755 49,095 37,788 10,181 17,003 252,700 367,663 78,021 96,177 26,175 66,557 49,923 35,605 12,364 15,622 242,055 185,272 43,762 63,068 11,852 34,532 26,389 18,962 7,195 8,219 126,597 103.1 131.5 182.9 103.2 110.3 113.2 107.8 123.3 112.0 112.9
員が多く、彼らが北陸地域で中古車の買い付けをしているのは有名であるが、ロシア側による中 古車の個人向け輸入関税の引き上げや日本の港での積み出しバースの制限等により、一時の勢い がやや下火になっていると考えられる。なお、2003 年で一番多かったのは韓国の一時上陸客(6 万 7,770 人、同 29.1%増)であった。 ◇プロムテック・ビズがサハリン製ウオッカを販売 ロシア CIS 諸国との貿易、酒類輸入販売等を行っているプロムテック・ビズがサハリン製ウオ ッカ「サハリンスカヤ」の販売を開始した。高級エチルアルコールとサハリンの良質な水を使い、 さらに天然はちみつと乳酸を添加して仕上げたもので、アルコール分は 40%。まろやかでライト な口当たりが特徴である。ボトルのラベルはソ連時代をほうふつとさせる素朴なデザイン。500ml で、小売はオープンとしているが参考価格は 1,600 円前後。お問い合わせはプロムテック・ビズ (TEL:03-5347-0392)まで。なお、同社より、日本市場におけるロシア産ウオッカの現状につい てご説明いただいたので、以下紹介する。 ソ連時代のブランド 現在もロシア国内で生産・販売されているが、商標権問題で係争中により 輸出はストップされている。そのため、ソ連時代からこれらのブランドを日本に輸入してきた白 樺(ベリョースカ)が 2003 年に閉店した。しかしながら、日本でロシアウオッカを愛好する層は、 「スタルカ」、「リモーナヤ」、「クバンスカヤ」などソ連時代のブランド=ロシアウオッカとのイ メージをもっているので、これらの輸入再開を待つ人も多い。 プレミアムウオッカ 「ルースキースタンダルト」をはじめ、高級ウオッカが数年前からロシア でも生産・販売されるようになった。高価にもかかわらず、ロシア国内では人気があり、よく売 れている。濾過の回数と方法、添加物の違い、ボトルやラベルデザインなどで差別化された多く の銘柄が生まれ、日本にもわずかに入っている。 隠れた名酒、地酒 モスクワに本社をもつ大手酒造会社(ソユーズプロドインポルト、ロスア ルコなど)が商標権とレシピを保有する銘柄は、ロシア各地の工場がロイヤリティを払って製造 しているが、これらの地方工場は自社独自の銘柄も開発製造していることが多い。上記のサハリ ンスカヤもそのひとつである。また、まだ輸入されていないがバシコルトスタン共和国の「アク サコフスカヤ」も非常にまろやかな高品質のウオッカで「隠れた名酒」といえる。探せばまだま だそういう名酒が多くあると思われる。 日本市場での問題点 ウオッカがロシアのお酒ということは誰にでも知られているし、銘柄も 多く(現在 2,500 種強といわれる)、品質レベルも非常に高い。プロムテック・ビズにより輸入さ
れているロシアウオッカも主にロシア料理店、ショットバーなど専門家に評価され買われている。 だが、残念なことに一般消費者層にまでは普及していない。他社の輸入品を含めても、ロシアウ オッカが日本のウオッカ市場に占めるシェアは 10%程度であり(現在、日本で最も売れているブ ランドは米国の「スミノフウオッカ」だという)、ロシアメーカー側の宣伝力不足もその原因のひ とつと思われる。2004 年3月9日∼12 日、幕張メッセにて開催された「第 29 回国際食品・飲料 展−Foodex Japan 2004」では、ロシアのウオッカメーカーも自社製品を出展したが、日本国内で ロシアウオッカを普及させるには、ウオッカの歴史、ひいてはロシアの文化や歴史を紹介しなが ら消費者に浸透させていくなど、ロシアメーカー側と日本の輸入会社の努力を支える仕掛けも必 要であろう。 ◇サンクトペテルブルグ美容研究所所長が来日 日本の化粧品に関心 10 月 12 日∼15 日に来日したマトヴィエンコ・サンクトペテルブルグ市 長(後記「大阪・サンクトペテルブルグ姉妹都市提携 25 周年記念講演会」を参照)に同行したサ ンクトペテルブルグ美容研究所(“Saint-Petersburg Aesthetic and Plastic Surgery Clinic”, Address: 8/2, Savushkina str. Saint-Petersburg, Russia, Tel:+7-812-430-26-77)のネスヴァトヴァ理事長(Valentina Nesvatova, President, E-Mail:[email protected])ならびにリュバキン医療部長(Arther Rybakin, Medical Director, Principal Doctor, E-Mail:[email protected])が日本の化粧品に強い関心を示した。買い付け の可能性を探しているという。日本の化粧品はナチュラルで肌に優しいとの評判があり、日本食 ブームが起こって久しいロシアにおいて、無添加の基礎アイテムやスキンケアなどは大いにチャ ンスがあると思われる。 拡大するロシアの化粧品市場 近年、ロシアの化粧品市場は急激に拡大しており、ロシアでの 売上げは年間 20∼25%の成長を記録している。ロシアの女性は収入の 12%を化粧品に支出する (米国女性の2∼3倍に相当)といわれており、こうした旺盛な購買意欲と最近の好景気が同市 場の好調を支えている。外国化粧品メーカーの多くは、通常、ロシア資本の輸入業者と独占輸入 契約を締結し、輸入・卸売りを実施しているのが普通であるが、最近ではロシア市場でのノウハ ウを覚えて輸入業者との契約を打ち切り、現地法人を通し化粧品の輸入・卸売りを直接行うケー スも増えている。 ◇住友電工がロシアから PLC モデムを受注 住友電気工業株式会社は 10 月 29 日、住友商事と共同で、ロシアの電力線通信(Power Line
Communication=PLC)事業者、Electro-Com 社より世界初の 200Mbps 超高速 PLC モデムを受注、 9月より納入を開始したと発表した。 PLC は既存の電力線を利用することで、新たな通信線を敷設することなく ADSL を上回る高速 通信を可能とする技術。家庭の電源コンセントに情報プラグを差し込むだけで、容易にインター ネット、IP 電話などの利用が可能となる。現在、ロシアでは電話線の距離、品質等で ADSL の普 及に技術的課題があるため、ブロードバンドインターネットサービスの普及は進んでいない。そ のため、Electro-Com 社はロシアでの PLC によるブロードバンドインターネットサービスの事業 性に注目し、モスクワをはじめとした5都市で、1年以内に合わせて 10 万世帯をカバーするイン ターネットおよび VoIP サービスを展開することを計画している。 今回住友電工と住友商事が納入したモデムは、集合住宅においてアクセス系高速通信の商用サ ービス提供(インターネットおよび IP 電話)を実現するもので、高速の通信信号を注入する親機、 途中で信号を増幅するリピータ、宅内装置(CPE)から構成されている。 プレスリリース→http://www.sei.co.jp/news/press/04/prs366_s.html
2.経済協力・技術交流・見本市・代表団等
◇日本商工会議所がロシア連邦商工会議所と中小企業の相互交流などで協力協定 ロシア初訪問 日本商工会議所は9月 18 日∼27 日、訪中欧・ロシア経済ミッション(団長:山 口信夫会頭)を派遣した。訪問先はプラハ、ブダペスト、モスクワ、サンクトペテルブルグ。毎 年1度派遣される日本商工会議所の会頭ミッションがロシアを訪問したのは初めて。その背景に は、サハリンプロジェクトを中心としたエネルギー産業の重要性、ロシア国民の購買力上昇によ る昨今の消費ブーム等がある。 中小企業関係を重視 モスクワではロシア連邦商工会議所との間で、中小企業の相互交流や育 成協力などをめざした協力協定を締結した。山口団長とペトロフ副会頭が9月 24 日に調印。これ までのロシア・ビジネスはほぼ大企業が中心となっているが、今回の日商の協力協定調印により 中小ビジネスが切り開かれるものとして期待される。協力協定では、2国間ビジネスの法的およ びその他の障害を取り除くため、両国ビジネス界がより密接で生産的な関係を築くように相互協 力する、2国間貿易や経済協力に関する情報交換を行い、関連する出版物や電子データを提供し あう、可能な範囲内で展示会、貿易フェア、シンポジウム、ビジネス会議などの行事開催、参加について相互支援する等の事項が盛り込まれている。 ロシア市場の見方 ミッション参加者には今回初めてロシアを訪問した方も複数おり、ロシア 側の歓待振り、また、モスクワ、サンクトペテルブルグといったロシア大都市の発展に瞠目する 一方、国内で広がる貧富の差、人口の減少傾向(いわゆる BRICs 諸国で唯一人口が減っている) 等についての懸念もあったという。とはいえ、団員のロシア市場への関心は高く、ロシア側が WTO 加盟への努力を表明したことに好印象を与えられた。 ◇大阪・サンクトペテルブルグ姉妹都市提携 25 周年記念講演会 マトヴィエンコ・サンクトペテルブルグ市長らが講演 大阪・サンクトペテルブルグ姉妹都市提携 25 周年記念事業実行委員会の主催により、10 月 12 日に大阪国際交流センターでサンクトペテル ブルグ市の観光、芸術、経済など、同市の魅力を紹介する講演会が行われた。講演者はマトヴィ エンコ・サンクトペテルブルグ市長、クドリャフセヴァ・バルチックトラベル社長、グゼフ国立 ロシア美術館館長、リハチョフ・レンネルゴ(電力会社)社長。同日にはサンクトペテルブルグ 展も開催された。 大阪市とサンクトペテルブルグ市は 1979 年に姉妹都市提携を行って以来、文化・スポーツなど 様々な分野で交流を深め、友好親善と相互理解を図っている。2004 年は、両市の姉妹都市提携 25 周年にあたることから、大阪・サンクトペテルブルグ姉妹都市提携 25 周年記念事業実行委員会が 設立された。なおマトヴィエンコ市長はその後、東京に移動し、政府要人のほか、民間経済関係 者との会談を行い、地方レベルの日露交流や経済分野における協力等について意見交換を行った。 サンクトペテルブルグ市の外資受入状況 2003年における同市の外国投資受入額は6億9,580万 ドル(対前年比 21%減)、ロシア全体に占める割合は 2.3%(前年は 4.5%)である。うち直接投 資額は 7,030 万ドル、ロシア全体に占める割合は 10.1%。産業分野別にみると、食品(産業分野 への投資の 44.6%)、工作機械・金属加工(同 26%)、通信(同7%)、商業・飲食業(同 2.1%) となっている。また、投資国別では1位:オランダ(24.8%)、2位:米国(19.4%)、3位:キプ ロス(17.2%。ただし、その多くはオフショアからの資本の還流)、4位:フィンランド(10.9%)、 5位:英国(7.6%)、6位:ドイツ(6.5%)の順であった(在サンクトペテルブルグ・ドイツ商 工会議所による)。主な進出外国企業は Wrigley(チューインガム)、Gilette(かみそり)、Rothmans (たばこ)、Unilever(洗剤、化粧品)、Coca-Cola(飲料品)等。日本企業との合弁や現地法人と しては、NEC Neva Communications Systems、Hitachi Svetlana Power Electronics、Petro(JT 子会社 JTI が 100%出資)等が挙げられる。
3.ロシア以外の諸国との貿易・投資
◇石川島播磨など3社がブルガリアで排煙脱硫設備を受注 石川島播磨重工(IHI)は 10 月4日、三井物産と東芝と共同で、ブルガリア・エネルギー省が 保有する国営電力会社マリッツァ・イーストⅡ社の石炭火力発電所(対象ユニット:改修後出力 17 万 kW×4基)向け排煙脱硫装置一式を土木工事込みのフルターンキーで受注したと発表した。 納期は 2008 年 10 月。 同プロジェクトは、既設の石炭火力発電設備6基の蒸気タービンと発電機のリハビリ(改修工 事)および排煙脱硫装置を新設するもの。リハビリにより、同発電所の6基の総出力は 97 万 5,000kW から 114 万 3,000kW に増大される。また、IHI が担当する排煙脱硫装置の新設により、 排煙に含まれる硫黄酸化物が従来比で 94%減少させる見込みである。この案件には国際協力銀行 (JBIC)の輸出金融が適用され、ブルガリアの政府保証も出ることが決定している。JBIC とブル ガリア政府間との融資契約は 2004 年7月にすでに調印。10 月 4 日には、現地で IHI、三井物産、 東芝などの幹部、JBIC、在ブルガリア日本大使、ブルガリア・エネルギー大臣、同国首相・副首 相クラスの政府高官などが出席し、鍬入れ式が行われた。 ブルガリアほか中東欧諸国では EU 加盟を見越して、EU の環境規制に適合するため、老朽化し た発電所のリハビリおよび排煙脱硫装置の設置を急ピッチで進めている。IHI では同工事を足が かりに、今後、中東欧向け脱硫装置およびボイラリハビリの市場を開拓していく計画である。 プレスリリース→http://www.ihi.co.jp/ihi/ihitopics/topics/2004/1004-1.html ◇住友商事が国内で初めて本格的にポーランド産鶏肉を輸入 住友商事株式会社は 10 月5日、米国豚肉加工最大手スミスフィールド・フーズ社の子会社でポ ーランド豚・鶏肉加工最大手のアニメックス社と代理店契約を締結し、アニメックス社が生産す る履歴管理がなされた安全・安心な鶏肉の輸入販売を開始したと発表した。日本がポーランドか ら本格的に鶏肉を輸入するのは初めて。住友商事 100%子会社の食品専門商社である住商フレッ シュミート株式会社(本社:東京都港区)を通じ、外食・量販店向けを中心に拡販を図る。2005 年度には 10 億円の売上を見込んでいる。 アニメックス社の前身は社会主義政権時代に畜産物の輸出を一手に握っていた畜産輸出公社で、 1983 年の民営化後、1999 年にスミスフィールド社の子会社として同グループの傘下に入った。豚 肉・鶏肉生産では国内最大手。概要は以下の通り。−社 名:アニメックス・カンパニー・リミテッド(Animex Co., Ltd.) −設 立:1951 年2月
−本 社:ワルシャワ市
−社 長:モーテン・M・ジェンセン(Morten M. Jensen) −株 主:Smithfield Foods Inc.他
−事 業:鶏肉、鴨肉、豚肉、ダウン等の生産・販売 −売上高:4億 1,000 万ドル(2003 年度) −純利益:2,000 万ドル(2003 年度) プレスリリース→http://www.sumitomocorp.co.jp/news/20041005_155328_seikatu.shtml ◇国際協力銀行がウズベキスタン共和国政府向け円借款契約の調印 国際協力銀行(JBIC)は 10 月 15 日、ウズベキスタン共和国政府との間で「タシグザール・ク ムクルガン鉄道新線建設事業」を対象として 163 億 5,900 万円を限度とする円借款貸付契約に調 印した。円借款は、ウズベキスタン南部のタシグザール・クムクルガン間の鉄道新線の建設 (222km)、既存の軌道のリハビリ(31km)、橋梁、軌道、信号・通信設備の建設およびメンテ ナンスのための機材調達、コンサルティングサービスに必要な資金を供与するもの。 対象となる路線は現在、ウズベキスタン南部からトルクメニスタン国内を迂回し、再びウズベ キスタンに入るというようにいくつもの国境を跨いでいる。そのため、国境駅における通関手続 きや機関車付け替え、列車分割等に時間を要し、遅延も日常化。近年では、アフガニスタンにお ける人道支援や復興需要により、同路線を経由したアフガニスタンへの輸送路が重要性を増して いる。このような状況の下、トルクメニスタンを経由せずにすむ最短ルートの構築により、ウズ ベキスタンとその他の地域をつなぐ鉄道路線の輸送コストの削減、輸送距離および国境通過に伴 う手続きに要する時間の短縮、輸送量増強への対応、輸送信頼性の確保を図ることが期待される。 同借款は本邦技術活用条件(STEP。日本の優れた技術やノウハウを活用し、途上国への技術移 転を通じて日本の「顔の見える援助」を促進するため 2002 年3月に創設、同年7月より適用され ている。通常の円借款の条件と比較して金利・期間等が借入人にとって有利)の適用案件である。 プレスリリース→http://www.jbic.go.jp/autocontents/japanese/news/2004/000091/index.htm ◇三洋電機がハンガリーに太陽電池モジュール、業務用空調機の新拠点を設立 三洋電機株式会社は 10 月 19 日、環境意識が高い欧州にエナジー&エコロジー分野の製品を供
給するため、太陽電池のモジュール化工場および業務用空調機の生産工場を設立したと発表した。 所在地はハンガリー共和国の同社生産拠点であり、欧州最大のリチウムイオン電池製造工場であ る三洋ハンガリー有限会社内。生産開始は 2005 年 10 月。2005 年度は半期 2,500 台、2007 年度は 12 万台に生産を拡大する。三洋電機は、商品の生産から流通にいたる総合的な事業効率の改善を めざし、三洋ハンガリーを拠点として、積極的に関連事業の欧州展開を進めるという。新規生産 拠点および三洋ハンガリー有限会社の概要は以下の通り。 【新規生産拠点】 −所在地:三洋ハンガリー有限会社敷地内 (ハンガリー共和国ドログ市=首都ブダペスト市の北西 35km) −建物面積:1万㎡ −投資額:約 35 億円(初年度) −生産能力:太陽電池:年産 100MW(初年度は年産 50MW で開始) 業務用空調機:12 万台(2007 年度) −稼動時期:2005 年6月から順次 −従業員数:約 400 名(増加分) 【三洋ハンガリー有限会社】 −名 称:三洋ハンガリー有限会社 SANYO Hungary Kft. −所在地:ハンガリー共和国ドログ市 −設 立:1999 年9月 −代表者:林 佳彦(はやし よしひこ) −従業員数:約 1,500 名(2004 年2月現在) −事業内容:リチウムイオン電池などの二次電池の製造 ニュースリリース→http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0410news-j/1018-1.html ◇国際建設技術協会がカザフスタンおよびウズベキスタンへの援助方針策定調査を実施 国際建設技術協会は国土交通省の委託を受け、道路、都市交通、治水・水資源、上下水道の各 インフラ整備に関する調査のため、9月 28 日∼10 月6日にカザフスタン、ウズベキスタンに調 査団を派遣した。調査結果の概要は次の通り。 カザフスタン 道路、都市交通については、南北方向主体の道路ネットワークは整備されている ものの、東西方向や地方での整備は遅れており、ハードとしての道路整備の進捗に対して都市部
の信号制御や交通誘導といった管理システムが不十分な状況。また、治水・水資源、上下水道に 関しては、同国の水道普及率 86%、都市部 96%、地方 72%と一定の整備が完了しているものの、 都市部での老朽施設更新が大きな課題。下水道の全国普及率は 72%、うち都市部は 87%、地方部 は 52%であり、排水施設の策定と確実な整備が求められている。 ウズベキスタン 道路は都市間では比較的整備されているが、地方部は維持管理体制が不十分。 道路資産が有効に活用されておらず、長期的な道路網計画の策定が必要となっている。上水道の 普及率は都市部 97%、地方 68%。大都市では給水施設の老朽化による効率低下や故障が頻発して いることから、計画的な施設更新および効率的な設備の配置計画が求められている。下水道につ いては、全国普及率が 57%と低く、国家計画やマスタープランの早期策定が必要とされている。 ニュースリリース→http://www.idi.or.jp/
4.政府・業界の動き
◇第4回日露フォーラムが開催 日本で初めての開催 「第4回日露フォーラム−グローバル化の中でのアジア太平洋地域にお ける日露関係の展望」が日本側:総合研究開発機構(NIRA)、ロシア側:戦略策定センターの共 催で、10 月 20 日∼21 日に石川県金沢市において開催された。共同議長は有馬龍夫政府代表とメ ゼンツェフ連邦院(上院)副議長。日露フォーラムは、平和条約締結の重要性を両国の世論に説 明するための措置として、2001 年1月の日ロ外相会談においてその開催が決定された。第1回は 2001 年5月にモスクワ、第2回は 2002 年5月にサンクトペテルブルク、第3回は 2003 年9月に イルクーツクで開催され、日本での開催は今回が初めてである。 突っ込んだ討議が展開 同フォーラムでは「北東アジアの平和と安定に資する日露関係−歴史 的視座に立って」および「シベリア・極東と日本の交流−イルクーツクから石川へ」をテーマと して議論が行われたが、参加者によると、領土問題が主題とされなかった過去3回のフォーラム に対して今回は領土問題を焦点に絞った討議を行われ、日ロ両政府において、領土問題、平和条 約締結の議論を避けることはしないとの共通認識がなされたという。 問題点としては、日本側から、ロシア側が参加議員を決めるのに苦慮し、その結果、領土返還 不要論者が多かったのではないかとの指摘がなされた。また、ロシア側からの要望として、次回 フォーラムは日露通商友好条約締結(1855 年)から 150 年という節目の年として、より広い範囲で代表団を選ぶべきだとの意見が述べられた。 北陸地方の対ロ・ビジネスの現状 同フォーラムの個別テーマであったシベリア極東と石川県 はじめ北陸地方との経済交流については、金沢星陵大学経済研究所の野村允専任研究員の論文「対 ロ・ビジネスの変化と北陸の課題」(財団法人北陸経済研究所『北陸経済研究』2004 年 11 月号) に詳しい。北陸地域3県(富山、石川、福井)の対岸貿易では、対ロ貿易が長らく首位を占めて いたものの、1998 年に対中貿易にトップの座を奪われている。対ロ貿易は戦前・戦後を通じて日 本側の入超であったが、1998 年以降、対ロ輸出は増加に転じており、貿易商品にも変化がみられ る。たとえば 1991 年時点での輸出はプラスチック製品、一般機械等が中心だったのが、2003 年 には中古自動車とともに、中古重機やバス、日常生活品のシェアが高まった。一方、輸入は木材、 非鉄金属、石炭といった伝統的商品に変わりはないが、木材関連では原木が減少し、製材・木材 製品が増加傾向にある。 林業への支援事業 当会では、日本の専門家をハバロフスク地方はじめロシア極東に派遣し、 日本の製材および木材加工の最新技術・設備の状況を紹介するとともに、製材・木材製品の品質 向上、高付加価値化を支援している。ハバロフスク地方行政府は木材加工の増産を促進する措置 を 2003 年以降実施しており、製材・木材製品の輸入の増加は、同地における製材業・木材加工業 の技術レベルの向上を反映したものといえるのではないか。 2003 年の北陸地域の対岸貿易 富 山 石 川 福 井 合 計 貿易総額 輸 出 輸 入 2,643 971 1,672 1,203 584 619 2,138 767 1,371 5,984 2,322 3,662 対岸貿易合計 輸 出 輸 入 1,197 545 652 377 197 180 947 516 431 2,521 1,258 1,263 対ロシア 輸 出 輸 入 398 105 293 28 3 25 115 1 114 541 109 432 対中国 輸 出 輸 入 501 205 296 224 140 84 694 425 269 1,419 770 649 対韓国 輸 出 輸 入 298 235 63 125 54 71 138 90 48 561 379 182 (出所)『北陸経済研究』2004 年 11 月号(原典:各県税関支署)。 ◇小泉首相がハンガリー首相と会談 小泉首相は 10 月 25 日、首相官邸でジュルチャーニ・ハンガリー首相と会談し、民間有識者に
よる「日本・ハンガリー協力フォーラム」を設立することなどを盛り込んだ共同声明を発表した。 フォーラムは両国の有識者5人ずつで構成、関係強化について両国首脳に提言する。また、両国 の経済関係については、貿易関係の拡大、ビジネス・パートナーシップの確立および両国間の双 方向投資を実現するために、「日 EU 規制改革対話」および「日 EU 双方向投資促進のための協 力の枠組み」を積極的に活用する意思を表明。ジュルチャーニ首相は、ハンガリーで活動中の日 本企業や新たな日本の投資家が、同国の EU 加盟後も、高い透明性、法的安定、かつ可能な限り 有利な条件の下で投資を実現できるよう、ハンガリー政府が特別な配慮を行うことを強調した。
5.ロシア東欧貿易会の活動
◇ヌルガリエフ駐日カザフスタン大使によるプレゼンテーションを開催 日本カザフスタン経済委員会(事務局:ロシア東欧貿易会経済協力部)は在日カザフスタン共 和国大使館と共催で、10 月8日、如水会館においてヌルガリエフ駐日カザフスタン共和国特命全 権大使による「カザフスタン共和国・産業イノベーション発展戦略」と題するプレゼンテーショ ンを開催した。 カザフスタンは原油価格の高騰により近年高い経済発展を遂げているが、原料産出国から脱却 し経済の発展分野の多角化を目指すべく数々の政策がとっている。なかでも 2015 年を期限として カザフスタン政府が採択した「産業イノベーション発展戦略」は国内生産における加工産業の比 重の向上、民間セクターの活性化、ハイテク輸出品の生産、生産物の国際基準に達する品質向上 を目的としており、セミナーでは「投資基金」「開発銀行」「イノベーション基金」「輸出信用・投 資保証国営保険会社」についての説明がなされた。また、カザフスタンの WTO 加盟には「産業 イノベーション発展戦略」の実現が必要不可欠との言及があった。 ◇ロシア産業家企業家同盟ディレクタークラブ代表団との交流会を開催 韓国訪問後、日本に立ち寄ったロシア産業家企業家同盟ディレクタークラブ代表団13名が、10 月27日にロシア東欧貿易会を訪問し、当会事務局および商社メンバーと名刺・情報交換を行った。 日本側出席者はロシア東欧貿易会(佐藤隆保経済協力部長、高橋浩ロシア東欧経済研究所次長、 吉田臣吾当会嘱託)、住友商事(イワン・ポクロフスキー市場業務部次長海外市場第2グループ CIS担当)、伊藤忠商事(岡林一郎海外市場グループ中東・アフリカ・CIS部部長)、丸紅(松本邦夫業務部CISチーム長)、三井物産(村田貢海外室次長、中川原俊輔海外室地域主幹)、大陸貿 易(鈴木政義常務取締役)。 ロシア側主席者はヴェレシャーギン・ロシア産業家企業家同盟エキスパート研究所副所長・デ ィレクタークラブ事務局長(団長)、ドミトリエフ・ペンザ機械工場社長 (石油ガス・パイプラ イン建設用機材製造、ペンザ)、ドゥニュシュキンLiner-Belt社長(木工機械の販売、研磨材製造、 モスクワ州ヒムキ)、グリードネワBiokhim社営業部長(アルコール、食品着色剤製造、タンボフ)、 カンUniversal Fotos社長(アルバム、額縁、写真用品販売、モスクワ)、ヘイフェッツ・ヘイフェ ッツ事務所弁護士(著名な商務関係弁護士、モスクワ)、クリメントフ機械据付国有企業Aljtair 社長・無線技師(モスクワ)、ロバチョワElit-Business社長(靴下・ストッキング製造、スモレン スク)、サルジンABC-Continent社長(石油製品販売、モスクワ)、ヴォルコワMosmebelj家具工 場社長(家具製造、モスクワ)、オフシャンニコフMosmebelj家具工場副社長(家具製造、モスク ワ)、ユダシュキンKMCコンサルタントグループ専務(医療機械輸入コンサル、モスクワ)、グ ニンMonolit社長(アルハンゲリスク)。 ◇「日本ポーランド経済合同会議−2004」を開催 当会が事務局を担当する日本ポーランド経済委員会は、ポーランド側のカウンターパートナー であるポーランド日本経済委員会とともに「日本ポーランド経済合同会議−2004」を 10 月 11 日 ∼13 日、ワルシャワおよび下シレジア県で開催した。11 日の全体会議では、ポーランド側から EU 加盟後の経済の現状、投資環境について、日本側からは日本経済の現状、日ポ経済関係等に ついての報告が行われ、12∼13 日は日本代表団が日本からの投資が活発な下シレジア県を訪問し、 レグニッツェ、バウブジェフ両経済特区の視察、県知事および経済関係者との交流、日本デー・ セミナーを行った。