巻 頭 言
研究における「問い」を見出すには
How to find questions in research
眞 鍋 えみ子(Emiko MANABE)
* (日本助産学会編集委員) 本巻頭言を書いているのは,超大型台風 21 号が過 ぎ去った10月の下旬です。各地で大雨や強風が続き, 多くの方が大変な目に合われたと思います。この時期 は,大学教員にとっては,科学研究費補助金(科研 費)の応募書類(研究計画調書)の作成の時期でもあ ります。毎年,学内での説明会や提出締め切りの連絡 に触れる度に,1年の時間の経過を実感する出来事の ひとつです。今年度は,応募書類の一部が変わり, 『本研究の学術的背景,研究課題の核心をなす「問い」 について具体的かつ明確に記述してください』と,な ぜその研究を行っているか?に対するクリアな記述を 求められていました。 研究とは問いを立て,それに答える営みです。その プロセスは,まず,研究の目的である「問い」を明確 にして,その問いを明らかにすることの意義を示しま す。次に「問い」を明らかにするための具体的な方法 を示し,得られた結果を示すことをとおして,「問い」 の答えを整理し,最終的な答えを示します。また,明 らかにできなかった問いを示します。このように文章 でそのプロセスを示すのは容易いことですが,それに ともなう労力,費用や時間は,はかり知れません。時 には労力がかかるわりには成果がなかなかでないこと もあります。 これから研究を始めるに際して,そのきっかけが内 発的か外発的かはさておいて,一番大切なことは, 「問い」をいかにたてるか,いかに良質の「問い」を見 いだせるかだと思います。その「問い」は研究によっ て問う価値のある問いであるのか,自分が集めようと 思っている情報は,本当にその問いの「答え」を導い てくれるのか,どの程度の時間や費用を要するのかな ど,何度も行きつ戻りつ思案しながら,可能な限りの シミュレーションを繰り返し,その問いを確定してい きます。最初から,素晴らしい「問い」が棚から牡丹 餅のように舞い込むことはありません。先行研究にお いても手をつけられておらず,オリジナリティが確保 でき,社会的にも期待される良質の「問い」を見出す には,良い論文をたくさんクリティークして,その研 究の「問い」と「答え」の質を見極める力をつけていく ことが遠回りのようで一番の近道になると思います。 自分よりも少しクリティーク力のある仲間と一緒に, その力を磨いてください。 今後,編集委員会では,研究というハードルが少し でも低くなるように,研究の開始から論文掲載までの 順序を一つひとつ理解していくことを目指して,研修 会を企画していきます。来る3月の第32回日本助産学 会学術集会では『研究を始めよう! 臨床疑問を研究 テーマに ~文献検討のいろは~』のワークショップ を開催します。まず,最初のステップとして助産実践 の中から導き出される看護研究というテーマで,助産 実践での研究とは,研究テーマの選択,文献検討とは 何か,その必要性などについて,分かりやすく,具体 的に説明します。次に,実際にPubMedと医学中央雑 誌(医中誌)を使って,研究疑問からどのように文献 を検索するのか,キーワードの絞り方,検索の方法, 検索した論文のまとめ方とその活用方法について解説 します。会員の皆様の研究推進や仲間づくりのきっか けになれば幸いです。 2017 年12月11日早期公開*同志社女子大学看護学部看護学科(Department of Nursing, Faculty of Nursing, Doshisha Women's College of Liberal Arts)
日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 31, No. 2, 99, 2017 https:// doi.org /10.3418/ jjam.foreword-31-2