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20 石川県農業総合研究センター研究報告第 28 号 (2008) Ⅰ はじめに家畜ふん尿処理施設では 収集 運搬された家畜ふん尿は固液分離機に搬入され 固形分は堆肥化処理後 農耕地へ還元利用されている 液状分は好気発酵処理 さらに生物処理等の工程の順に適切な浄化処理が行われ その後 放流されている

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2009 年 5 月 12 日 受理

1) 石川県農業総合研究センター資源加工研究部生物資源グループ 2) 石川県経営対策課

北田敬宇1)・島田義明2)

Application of Cattle Liquid Manure as Fertilizer for Crops Keiu KITADA and Yoshiaki SHIMADA

Summary

To utilize cattle manure as the liquid manure for crop cultivation purpose, effective methods of application were investigated.

1) Seasonal variation of fertilizer constituents in the liquid manure was small, and the characteristics of the liquid manure were as follows: concentration of total nitrogen was 2,300ppm, the ratio of ammonium nitrogen to the total nitrogen was 45%. This means that the effect of the liquid manure as nitrogen fertilizer is confirmed.

2) The effect of the liquid manure application on the growth and yield of feed grass, barley, soybean and paddy rice were investigated.

In upland farming, the rate of nitrogen absorption and utilization by the plants is low, due to the inhibitory effect just after application, such as flow of the liquid manure to the furrow and ammonia vapourization.

In paddy farming, the rate of nitrogen utilization is higher than upland farming, and the yield was equivalent to the plot with chemical fertilizers. This means that paddy rice can be cultivated with the liquid manure.

The results of culture experiment of soil adding liquid manure reflected the effect on the fertilizer response.

3) In soybean farming, the effect of soil injection treatment using an experimental manure spreader was evaluated in order to develop the method of fertilizer application.

It is cleared that the yield of the plot with the liquid manure was equivalent to the plot with the chemical fertilizer application and the effect of the liquid manure as nitrogen basal dressing and topdressing fertilizer was confirmed.

In addition, when the liquid manure is spread, addition of pyroligneous acid avoided the bad smell of the liquid manure.

4) In paddy farming, the application of the liquid manure by pour into the field resulted in a high efficiency of the fertilizer utilization. In addition, the effect of the liquid manure as nitrogen topdressing fertilizer is confirmed.

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Ⅰ はじめに 家畜ふん尿処理施設では、収集・運搬された家 畜ふん尿は固液分離機に搬入され、固形分は堆肥 化処理後、農耕地へ還元利用されている。液状分 は好気発酵処理、さらに生物処理等の工程の順に 適切な浄化処理が行われ、その後、放流されてい るのが現状である。この液状分は作物栽培に必要 な肥料成分を多く含んでおり、その農業生産への 有効活用は、化学肥料の削減や資源循環型農業を 推進する上からも重要と考えられる。 そこで、本報告では、肥料成分濃度が最も高い 固液分離直後の牛ふん尿処理液(以下ふん尿処理 液)を肥料として、作物に対する有効利用法につ いて検討した。また、施用に当たり、悪臭の発生 が問題となるので、悪臭低減対策についても検討 を行った。 Ⅱ 試験方法 1 ふん尿処理液の肥料成分特性 2005 年から 2006 年にかけて、河北潟干拓地内の 牛ふん尿処理施設において、固液分離直後のふん尿 処理液について、肥料成分実態調査を毎月1回の割 合で実施した。 調査項目は、全窒素、リン、加里、石灰、苦土の 他、窒素の形態別成分としてアンモニア・硝酸態の 無機態窒素および有機態窒素(有機態窒素=全窒素 ―無機態窒素)含量を測定した。 2 ふん尿処理液の悪臭低減対策 ふん尿処理液の施用に伴う悪臭発生の低減対策と して、薬液処理法やマスキング法等がある。また、 木酢液の農業利用として、堆肥の悪臭除去や病害虫 の防除効果があることが知られている6)。ここでは アンモニア臭の中和や燻臭成分を有する木酢液の添 加による悪臭低減効果について検討した。また、そ の主成分である酢酸の添加効果についても検討を加 えた。 (1)資材添加による臭気官能試験 ふん尿処理液に木酢液および酢酸をそれぞれ1∼ 5%添加し、この臭気を官能試験により強烈な臭い ∼無臭の5段階評価を行った。酢酸は、木酢液中の 酢酸含量7%と同一濃度になるよう希釈して用いた。 (2)臭気測定試験によるアンモニアガス濃度の測 定 臭気中アンモニアガス濃度は、2L容器に検液20ml を注入し、2∼3回攪拌しながら1時間後に容器か ら気体を吸引し、検知管式気体測定器により測定し た。 3 ふん尿処理液の窒素無機化特性 ふん尿処理液を添加した土壌の畑・湛水条件およ び温度条件による窒素無機化量の変動を調査した。 調査方法は、乾土 10g にふん尿処理液 10 倍希釈液を 4ml 添加した土壌を試験管に取り、培養温度は 15、 25、30℃の3段階とし、それぞれ畑・湛水培養を7、 14、28、70 日間行い、その窒素無機化量を測定した。 対照として、土壌のみについても培養を行い、両者 の測定値の差からふん尿処理液由来の窒素無機化量 を算出した。添加量は、ふん尿処理液含有の全窒素 量として 10a 当たり 10kg となるように設定した。培 養の温度条件は供試作物に対する施用時期を2月か ら9月までと想定し、その期間中の平均気温を基に 培養温度を前記と同様に 15、25、30℃の3段階に設 定した。 4 作物栽培に対するふん尿処理液の施用効果 河北潟干拓地内および農業総合研究センターの圃 場において、2006 年から 2007 年にかけて、河北潟 干拓地における主要作物である飼料(イタリアンラ イグラス)、大麦、大豆の他、水稲を供試して、ふん 尿処理液施用による作物の生育・収量に対する効果 を検討した。ふん尿処理液による施肥窒素は、いず れの施肥も化学肥料の代替率を 100%とし、施肥窒 素の利用率を考慮して施用倍量区も設けた。 (1)2006 年 作物別の試験区および施肥窒素量を表1に示した。 河北潟干拓地内の農家圃場および河北潟研修館の 細粒グライ土圃場において、イタリアンライグラス (品種エクセレント)、大麦(品種ファイバースノウ)、 大豆(品種エンレイ)を、また農業総合研究センタ ーのコンクリート枠圃場において水稲(品種コシヒ カリ)を供試して、ふん尿処理液の施用効果について 検討した。 イタリアンライグラスでは、試験規模は1区面積 6㎡の2連制で実施し、消雪期追肥の効果について 検討した。播種期は前年9月 30 日で播種量は4 kg/10a とした。収穫は止葉抽出期から出穂始め(1 番刈)に実施した。

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写真1 簡易型液肥散布機による作業状況 写真2 ふん尿処理液のパイプを通して土 中注入する方式 表1 作物別の試験区および施肥窒素量(kg/10a) イタリアンライグラス      大麦 試験区 基肥 追肥① 基肥 年内追肥 追肥① 追肥② 追肥③ 9月30日 2月24日 10月26日 12月1日 2月24日 3月24日 4月26日 化学肥料区 10 4 4 2 4 3 2 ふん尿処理液倍量区 10 8(8) 4 2 8(8) 6(6.8) 4(2.9) ふん尿処理液区 10 4(4) 4 2 4(4) 3(3.0) 2(1.4) 無肥料区 10 0 4 2 0 0 0  水稲     大豆 試験区 基肥 穂肥① 穂肥② 基肥 追肥 5月8日 7月14日 7月21日 6月6日 8月21日 化学肥料区 2 2 2 2 4 ふん尿処理液区 2(1.4) 2(1.7) 2(1.7) 2(1.7) 4(3.4) 無肥料区 0 0 0 0 0 ( ):ふん尿処理液由来の施肥窒素量を示す。     ふん尿処理液を設定量施用した後、その含有窒素分析値を基に算出した値。 大麦では、1 区面積6㎡の2連制で実施し、消雪 期、節間伸長期および止葉展開期の追肥としての効 果について検討した。播種期は 10 月 27 日、播種様 式は 30cm 条播で播種量は7kg/10a とした。 大豆では、試験規模は1区面積6㎡の2連制で実 施し、基肥および開花期追肥としての効果について 検討した。播種期は6月28日で、栽植密度は75cm× 12cmの2粒点播とした。 水稲では、2m2のコンクリート枠の2連制で実施 し、基肥、出穂前 17 日および7日の穂肥としての効 果について検討した。 (2)2007 年 ふん尿処理液の効率的施用および実用化に向けて、 大豆栽培における土中施用試験および水稲栽培にお ける圃場での流し込み施用試験を実施した。ふん尿 処理液による施肥窒素は、各施肥とも化学肥料の代 替率を 50%とし、施肥窒素の利用率を考慮して施用 倍量区も設けた。 ア 大豆栽培における土中施用試験 河北潟研修館圃場において、大豆品種、エンレイ を供試し、試験規模は1区面積 100 ㎡の2連制で実 施した。試験区の構成を表2に示したとおり、ふん 尿処理液の基肥および開花期追肥としての効果につ いて検討した。 播種は不耕起V溝条播(開口部2cm、深さ5cm) 条 間30cm、栽植密度12.8株/m2で行い、播種期は6月19 日で、播種量0.3kg/aとした。 圃場散布は写真1に示したとおり、試作した簡 易型液肥散布機を用いた。これは、乗用管理機(I 社JK14)に取り付け、250Lタンクに貯めたふん尿処 理液の流量を吐出バルブにより手動調整して、パイ

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表3 試験区の構成 基肥 穂肥① 穂肥② 穂肥① 穂肥② 化学肥料区 2 2 2 2 2 基肥(各区共通):BB056(10-25-16) ふん尿処理液倍量区 2 1+(2) 1+(2) 2.5 2.5 穂肥(化学肥料区):NK2号(16-0-16) ふん尿処理液倍量区 2 1+(1) 1+(1) 1.8 1.8 〃(ふん尿処理液):N:P:K=1537:740:2063(ppm) 穂肥①、②:出穂15日、7日前施用 ( ):ふん尿処理液由来の施肥窒素量を示す。 試験区 施肥窒素量(kg/10a) 実際の施肥窒素量 備 考 表2  試験 区の構 成 (kg/10a) 基肥 追肥 実際 の施肥 窒素量 播種 2週 後 開花10日後 基肥 追 肥 化学肥 料区 2 4 2 4 ふん尿 処理液 倍量区 1+(2) 2+(4) 1.83 5.1 ふん尿 処理液 区 1+(1) 2+(2) 1.67 3.5 (  ):ふ ん尿処 理液 由来の 施肥窒 素量を 示す。 ・基肥 、追肥:硫安 (N=21%) ・ふん 尿処理液:  N:P:K=1537:740:2063(ppm) 試験区 備 考 表4  ふん尿 処理液 の肥料 成分* 項目 平均 標準 偏差 変 動係数(CV) 全窒 素(ppm) 2,323 319 14 リン(ppm) 591 108 18 加里(ppm) 2,855 517 18 石灰(ppm) 1,285 189 15 苦土(ppm) 562 69 12 無機 態窒素 (ppm) 1,045 230 22 有機 態窒素 (ppm) 1,262 165 13 有機態 窒素の 全窒素 に占め る割合 (%)** 55 4 8 *   数値は 11回の 時期別 デー タから 算出 **  有機態 窒素/全窒 素×100 プを通して土中注入する方式である。土中注入のた め、写真2に示したとおり、作溝部ディスクを3か 所取り付け、また作溝を容易にするため、その前方 にプラウ爪を配置した。 また、ふん尿処理液の散布に当たり、臭気軽減対 策として木酢液を1%添加したふん尿処理液を使用 し、その効果についても検討した。 イ 水稲栽培における流し込み施肥の実証 細粒グライ土の農業総合研究センター圃場におい て、水稲品種、コシヒカリを供試した。試験区の構 成は表3に示したとおりであり、ふん尿処理液の穂 肥としての効果について検討した。試験規模は1区 面積 60 ㎡の2連制で、移植日は5月7日、栽植密度 18.2 株/m2の稚苗機械植とした。また、ふん尿処理 液の臭気軽減対策についても、大豆作と同様の実証 試験を行った。 ふん尿処理液の圃場散布については、通常の灌水 と同時にふん尿処理液を流し込む、「流し込み施肥」 により行った。圃場全面に均一となるよう散布する ため、あらかじめ、施用時の田面水深を3cm程度に 設定後、通常の灌水と同時にふん尿処理液を樋に沿 って4分間流し込み、さらに2分程度灌水を続け、 湛水深を6cm程度とした。要した灌水時間は1.7時間 /10aとなり、これは一般的に行なわれる灌水時間に 相当する。 流し込み施肥による施肥養分ムラが懸念されるの で、試験区内を 10 区画に等分し、区画毎に施用直 後および2日後に田面水中のEC(電気伝導度)を測 定することにより肥料養分濃度を簡便に求め、その 濃度分布ムラを EC 測定値の CV(変動係数)値から 解析した。供試したふん尿処理液の EC 値(1:1)は、 6.6mS/cm と高い値であった。 Ⅲ 試験結果および考察 1 ふん尿処理液の肥料成分特性 ふん尿処理液中肥料成分の実態調査の結果を取り まとめ、表4に示した。ふん尿処理液の成分濃度 の平均値から、加里が 2,855ppm と最も高く、次いで 全窒素が 2,323ppm、石灰が 1,285ppm であり、リン および苦土は 500ppm 程度と低い値であった。 主要な肥料成分として、全窒素および有機態窒素 の全窒素に占める割合について、その季節変動を図 1、2に示した。

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図1 全窒素濃度の季節変動 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 11/8 12/27 1/24 2/21 3/20 4/26 6/6 7/14 8/28 10/2 10/31 月日 全 窒 素 濃 度 (p pm ) 図2 有機態窒素の全窒素に占める割合の季節変動 0 20 40 60 80 11/8 12/27 4/26 6/9 7/14 8/23 10/2 10/31 月日 有 機 態 窒 素 の 全 窒 素 に 占 め る 割 合 (% ) 全窒素濃度は 1,700ppm から 2,800ppm の範囲内で 推移し、変動係数が 14%と比較的小さい値を示した。 また、6月から8月にかけてやや低く推移する傾向 が見られ、この要因として気温が高いこの時期はふ ん尿の乾物含有率が低いことや、アンモニア揮散に よる損失が大きいことが考えられる。この結果は、 窒素肥料の代替効果が期待でき、しかも肥効が安定 していることを示している。 2 ふん尿処理液の悪臭低減対策 家畜ふん尿処理施設から排出されるふん尿処理液 を利用するに当たり、圃場散布時の悪臭低減対策を 講じる必要がある。 悪臭の成分はタンパク質の分解に伴って発生する アンモニアや硫黄化合物等であるが、木酢液および 酢酸添加によるアンモニア中和作用やマスキング作 用による悪臭低減効果について検討した。 ふん尿処理液の資材添加による悪臭低減効果を表 5に示した。臭気は、木酢液添加1%以上でなくな り、また酢酸添加1%でかなり低減できたが、添加 量を増しても悪臭低減効果は見られなかった。pH は、両資材とも添加割合が多いほど低下した。木酢 液5%では pH6.9 と若干低下したが、酢酸では効果 が高く、添加2%でpH5.8 と急激に低下した。 資材添加によるアンモニアガス濃度を測定した結 果を表6に示した。両資材とも添加割合が多いほど 低下し、悪臭が低減できた1%添加について見ると、 木酢液では 61%、酢酸では 66%削減できた。 以上の結果、ふん尿処理液に木酢液添加1%以上 により悪臭低減効果が見られた。木酢液や酢酸の添 加は臭気成分の一つであるアンモニアの揮散を抑制 するが、酢酸では添加2%を超えるとpH の低下に

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湛水培養 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0日 7日 14日 28日 70日 培養日数 畑培養 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0日 7日 14日 28日 70日 培養日数 窒 素 無 機 化 量 ( m g / 1 0 g 乾 土 ) 15℃ 土壌 15℃ 添加 25℃ 土壌 25℃ 添加 30℃ 土壌 30℃ 添加 図3 畑・湛水培養による温度別の土壌窒素無機化量の推移 土壌:土壌 10g のみを培養 添加:土壌 10g にふん尿処理液 10 倍希釈液 4ml を添加して培養 表5 ふん尿処理液の資材添加による悪臭低減効果とpHの変化 資材 木酢液 酢酸* 添加割合 0% 1% 2% 5% 0% 1% 2% 5% 臭気* * +++ ± - - +++ +∼++ ++ pH 7.16 7.11 7.08 6.92 7.69 6.18 5.86 4.76 *  酢酸は、木酢液中の酢酸含有率を7%として同一濃度となるように希釈して使用 ** 臭気の程度は、強烈な臭い(+++)∼無臭(−)の5段階 表6 ふん尿処理液の資材添加によるアンモニアガス濃度の変化 資材 木酢液 酢酸 添加割合 0% 1% 2% 5% 0% 1% 2% 5% アンモニアガ ス濃度(ppm) 50.0 19.5 18.5 12.0 50.0 17.0 1.0 0.0 伴い、硫黄化合物や低級脂肪酸等の溶出を逆に促進 させるため悪臭低減効果が見られなかったものと考 えられる。 3 ふん尿処理液の窒素無機化特性 ふん尿処理液の添加有無の土壌を供試し、畑・湛 水培養による温度別の土壌窒素無機化量の推移を図 3に示した。両培養とも土壌窒素無機化量は、ふん 尿処理液の添加の有無にかかわらず、温度が高いほ ど高く推移し、培養 28 日までは湛水培養のほうがよ り高く推移したが、培養 70 日では逆転し、畑培養の ほうが上回った。また、ふん尿処理液添加による窒 素無機化量の増加程度は、培養前半では湛水培養の ほうが、培養後半では畑培養のほうが大きい傾向が 認められた。 さらに、ふん尿処理液からの窒素無機化量を明ら かにするため、ふん尿処理液の添加有無の土壌窒素 無機化量の差から、1L 当たりの窒素無機化量を算 出し、結果を図4に示した。 窒素無機化量は、畑培養については、培養温度 15℃では培養 28 日まで、培養温度 25℃および 30℃ では培養 14 日まで減少傾向が見られたが、それ以降 はいずれの培養温度とも急激な増加に転じた。これ は、培養 14 日までの窒素の形態は、その 90%以上 がアンモニア態であることから、アンモニア揮散に よる影響が考えられる(データ省略)。両培養とも、 培養温度が高いほど窒素無機化量は高く推移し、特 に湛水培養では培養7日から 14 日にかけて増加す るものの、その後は脱窒現象による影響もあり、減 少傾向が認められた。 このことから、ふん尿処理液を畑圃場に施用した 場合を想定すると、施用時期を問わず、施用 14 日ま では無機態窒素量が減少するものの、その後、施用 70 日目にかけて、1,000L 当たり 1.8kg 窒素(85%の

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写真3 ふん尿処理液が土壌表面に停滞し た状況 図4 ふん尿処理液1L当たりの窒素無機化量 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 0日 7日 14日 28日 70日 培養日数 窒 素 無 機 化 量 ( g / ℓ ふ ん 尿 処 理 液 ) 水田 15℃ 水田 25℃ 水田 30℃ 畑 15℃ 畑 25℃ 畑 30℃ 表7  作物別の収量・ 構成要素および品質      イタリアンライ グラス 大麦 試験区 生 重 乾重 硝酸態窒素 子実重 穂数 子実タンパ ク

(t/10a) (t/10a) (乾物ppm) (kg/10a) (本/m2) 含有率(%)

化学肥料区 4.1 0.64 7.0 375 203 8.0 ふん尿処理液倍量区 4.1 0.63 7.4 214 140 8.6 ふん尿処理液区 3.4 0.56 2.7 144 120 8.6 無肥料区 3.2 0.54 2.4 79 79 7.9 水 稲 大豆 試験区 精玄 米重 穂数 m2当たり着 登 熟歩合 千粒重 玄米タ ンパク 精子実重 一莢粒数 莢数 百粒重 (kg/10a) (本/m粒数(×102) 3) (%) (g) 含有率(%) (kg/a) (莢/株) (g) 化学肥料区 512 234 22.9 90.5 23.3 6.2 28.9 1.83 62.4 23.0 ふん尿処理液区 505 230 24.5 88.4 22.1 6.1 22.0 1.75 51.5 22.1 無肥料区 437 249 22.9 90.7 21.0 5.8 24.7 1.85 52.8 23.0 表8  作物別の窒素吸 収量および施用窒素の利用率 (kg/10a) イタ リアンライグラス     大麦     水稲     大豆  試験区 窒素 吸収量施用窒素 の 利用率* 窒素吸収量 施 用窒素 の 利用率* 窒素吸収量 施用窒素の 利用率* 窒素吸収量 施用窒素 の利用率* 化学肥料区 8.7 75.5 5.4 45.2 14.1 32 2.0 4.6 ふん尿処理液倍量区 8.7 37.7 3.5 12.4 ふん尿処理液区 7.0 31.4 2.5 13.9 14.9 55 1.5 − 無肥料区 5.7 − 1.3 − 12.2 − 1.7 − *  施用窒素の利用率 (%)=(施肥区 −無肥料区の窒素吸収量)/施用窒素量×100 無機化率)程度の施肥効果が期待できることを示し ている。一方、水田に施用した場合には、培養温度 15℃を除き、1,000L 当たり 1.3∼1.5kg 窒素 (60∼ 70%の無機化率)の施肥効果が期待できることを示 している。 4 作物栽培に対するふん尿処理液の施用効果 各作物の収量・収量構成要素を表7に、施肥窒素 の利用率を表8に示した。 イタリアンライグラスについて、収量はふん尿処 理液倍量区で化学肥料区と同様に目標の生草重4 t/10a を確保できたが、ふん尿処理液区では 20%程 度の減収となった。これは、施用時期の平均気温が 10℃以下と低く、施肥窒素の利用率が低いことが伺 われる。飼料の品質面では、硝酸塩中毒発生の面か ら、茎葉中硝酸態窒素含量は乾物中 2,000ppm 程度 が許容限界とされている。この点、いずれの区も2 ∼7ppm と微量であり、飼料として品質上の問題は 見られなかった。 大麦について、葉色はふん尿処理液・倍量区とも 淡く推移し、生育は劣り、穂数は 120∼140 本/m2 化学肥料区に比べ 31∼41%の減少となった。この結 果、収量は化学肥料区に比べ 43∼62%の減収となっ た。ふん尿処理液の施肥窒素の利用率は 12∼14%と 低かった。この要因として、消雪期および節間伸長

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写真4 湿害による出芽不良 表9 ふん尿処理液施用による大豆の生育・収量の効果 主茎長 倒伏 精子実重 同左指数 一莢粒数 莢数 百粒重 (cm) (kg/a) (莢/株) (g) 化学肥料区 43.4 無 17.3 100 1.7 54.7 27.6 ふん尿処理液倍量区 39.0 無 17.7 102 1.9 36.9 30.1 ふん尿処理液区 35.2 無 15.1 85 1.9 31.9 29.2 表10 ふん尿処理液施用による大豆の窒素吸収量の効果  乾物重(g/m2) 窒素含有率(%) 窒素吸収量(g/m2) 茎・枝 子実 茎・枝 子実 茎・枝 子実 計 化学肥料区 411 515 0.6 6.9 2.5 35.4 38.0 ふん尿処理液倍量区 307 416 0.6 7.0 1.9 29.1 31.0 ふん尿処理液区 299 356 0.7 7.1 2.0 25.1 27.2 試験区 試験区 期追肥の施用において、この時期の平均気温が 15℃ には達しておらず、肥料的効果が劣ったこと、また、 土壌水分過多や土壌表面硬化のため、ふん尿処理液 の土壌中浸透が不良となり、写真3に示したように ふん尿処理液が土壌表面に停滞し、一部は畦間へ流 出するなど、作物の利用効率の低下をもたらしたこ とが挙げられる。 水稲について、葉色はふん尿処理液区では化学肥 料区と同等に推移し、収量はふん尿処理液区で 505kg/10a と化学肥料区とほぼ同等となった。これ は施用時期の平均気温が 25℃程度であり、ふん尿処 理液の無機化が促進されたためであり、これは施肥 窒素の利用率が 55%と高いことからも伺われる。 大豆について、収量はふん尿処理液区では化学肥 料区に比べ、莢数が少なく 24%の減収となった。こ れは、施用時期の平均気温が 20∼30℃であるため肥 料的効果が劣るとは考えられず、施用時の畦間への 流出等による利用効率の低下によるものと思われる。 以上の結果、畑作ではふん尿処理液による施肥窒 素の利用率が全般に低く、これはふん尿処理液添加 土壌の培養実験結果が示すように、施用直後の肥料 的効果が小さく、また施用時の土壌水分過多等に起 因する畦間への流出やアンモニア揮散等による損失 等が考えられる。この点について、新良5)はスラリ ーを小麦収穫跡地へ散布し、その窒素成分を微生物 の麦稈分解に必要な成分として利用固定させて溶脱 を抑制させる効果を期待したが、スラリー中無機態 窒素の土壌からの溶脱やアンモニア揮散等により散 布効果が小さかったとしている。 畑作では、施用法の改善によりふん尿処理液によ る施肥窒素の利用率を向上させれば、有効活用が可 能と考えられる。一方、水稲作では、施肥窒素の利 用率が比較的高く、化学肥料区と同等の収量が得ら れ、有効活用が可能と考えられる。この点について、 次の項でさらに検討する。 5 ふん尿処理液の土中施用による利用効率向上 ふん尿処理液の土中施用を行う場合、ふん尿処理 液タンクを積載した散布機が、その重量により沈下 して走行作業に支障を来たす恐れがある。そこで、 地耐圧を維持するため、大豆不耕起 V 溝条播を行っ た後、ふん尿処理液の簡易型液肥散布機による施用 方法を検討した。 不耕起 V 溝条播を行うに当たり、 大豆の湿害を回 避するため、排水溝施工などの排水対策を実施した ものの、写真4に示したとおり、播種翌日の降雨が 湿害による出芽不良をもたらし、出芽率は化学肥料 区では 52%、ふん尿処理液両区では 65%と低下した。 浜田ら2)は本播種法では播種後5日間における冠水 害の回避、軽減が必須であると指摘しているが、大

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表11 ふん尿処理液施用による水稲生育への効果 草丈(cm)   茎数・穂数(本/m2) 試験区 幼穂形成 出穂期 成熟期 期 稈長 穂長 幼穂形成期 出穂期 成熟期 化学肥料区 86 111 102 19.4 578 535 378 ふん尿処理液倍量区 87 115 107 19.0 546 555 472 ふん尿処理液区 84 112 104 18.4 606 589 447 表12 ふん尿処理液施用による水稲の収量・収量構成要素の効果 精玄米重 穂数 m2当たり着 登熟歩合 千粒重 倒伏 玄米タンパク (kg/10a) 指数 (本/m2) 粒数(×103) (%) (g) 程度*1 含有率(%)*2 化学肥料区 509 100 378 30.7 80.9 21.4 多 7.1 ふん尿処理液倍量区 382 75 472 41.7 51.3 20.4 甚 7.4 ふん尿処理液区 437 86 447 38.0 64.4 20.8 多∼甚 7.2 *1 倒伏程度は無∼甚の6段階 *2 水分15%換算値 試験区 表13 ふん尿処理液施用による稲体への 窒素供 給効 果 窒素 含有 率(%) 窒素吸収量(g/m2) 試験 区 7月13日 8月6日 7月13日 8月6日 9月 12日 A∼Cの 茎 葉 茎葉 わら 穂 A B C 増加量 化学肥料区 1.96 1.29 0.64 1.08 5.3 12.7 11.3 6.0 ふん尿処理液倍量区 2.05 1.40 0.73 1.17 5.4 13.4 12.6 7.2 ふん尿処理液区 2.00 1.30 0.68 1.18 6.2 14.1 12.8 6.6 9月12日 豆不耕起 V 溝条播においても同様に、生産安定条件 のためには、土壌構造の発達した圃場での導入が望 ましいことが言える。 生育・収量調査および作物体の窒素吸収量を表9、 10 に示した。いずれの区も 15∼17kg/a と低収とな り、これは出芽不良による株数不足が原因と考えら れる。このような生育不足の条件下であったが、ふ ん尿処理液の施用効果を検討した。その結果、ふん 尿処理液倍量区では、化学肥料区と同等の生育・収 量および窒素吸収量が得られた。 圃場散布作業については、簡易型液肥散布機は低 速の 1,500 回転、走行速度は 8.6m/分に調整するこ とにより、効率的な作業が実証できた。今後、実用 化に向けては、覆土処理や吐出量調整システムを組 み込む必要があろう。 以上の結果、土中施用により施肥窒素の利用率が 向上し、ふん尿処理液が含有する無機態窒素量を基 肥および追肥として代替でき、その結果、化学肥料 区と同様の生育・収量が達成できることが実証でき た。また、ふん尿処理液の圃場散布作業に当たり、 木酢液の1%添加によりアンモニアの揮散が抑制さ れ、悪臭の不快感が抑制できた。 6 水稲作における流し込み施肥の実証 流し込み施肥による圃場散布は写真5に示したよ うに、通常の灌水と同時にふん尿処理液を流し込む よう、灌水量を調整した。また、施肥養分ムラにつ いては、区画毎に施用直後および2日後の田面水中 EC測定値のCV値から解析した。 生育調査および収量・収量構成要素を表11、12に 示した。いずれの区も生育旺盛で草丈は長く、ふん 尿処理液倍量区では成熟期の稈長が107cmと最大値 を示した。しかし、ふん尿処理液施用の両区とも長 稈化による倒伏および着粒数の過剰により登熟歩合 および千粒重が低下し、化学肥料区に比べ14∼25% の減収となった。 ふん尿処理液施用による窒素供給効果を見るため、 幼穂形成期から成熟期にかけての稲体窒素吸収量を とりまとめ、結果を表 13 に示した。ふん尿処理液施 用両区の窒素吸収量は、化学肥料区に比べ 0.6∼ 1.2g/m2増加し、ふん尿処理液が含有する窒素全量が ほぼ吸収されたことを示す。安西1)は、豚尿を灌水 チューブを用いて水稲の穂肥として施用した結果で も、化成肥料と同等の施用効果があることを実証し ている。

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    表14 流し込み施肥後の田面水のECおよびCVの変化     EC(mS/cm)     CV(%) 施用直後 施用2日後 施用直後 施用2日後 化学肥料区 0.12 - 10 -ふん尿処理液倍量区 0.19 0.17 13 14 ふん尿処理液区 0.16 0.15 19 15 試験区 写真5 ふん尿処理液の圃場散布状況 流し込み施肥後の田面水中EC測定値およびCV値の 変化を表14に示した。CV値はふん尿処理液施用両区 とも施用2日後には14∼15%と低く安定化し、施肥 養分がほぼ均一になった。土屋ら7)は、大区画の水 田圃場において流し込み専用肥料を用い、肥料投入 ―灌水―肥料投入―灌水の体系で2分割施肥した結 果では、追肥施用5日後にCV値は11%と低下し、施 肥養分がほぼ均一になったと報告している。悪臭低 減対策について、ふん尿処理液の圃場散布作業に当 たり、木酢液の1%添加により悪臭の不快感が抑制 できた。 以上の結果、水稲作に対してふん尿処理液の施肥 窒素が効率良く吸収され、化学肥料と同等の施用効 果が認められ、穂肥として代替できることを実証し た。その肥料養分は、窒素量を若干上回る加里も含 有しており、穂肥用肥料の成分バランスから考えて 適していると判断される。今後、野菜作に対する利 用を考える場合、特に土壌の塩基バランスが懸念さ れ、ニガウリでの豚尿の利用では、化学肥料施用と 同等の収量が得られるが、土壌中加里の集積が見ら れるので、加里基準で施用量を決定するのが望まし いとしている4) 本試験は小区画の圃場で実施したものであるが、 流し込み施肥により施肥養分ムラの問題は見られず、 一般圃場でも適用できるものと考えられる。 最後に ふん尿処理液の施用に当たり、その成分は速効性 養分を有しており、作物の養分要求量に応じた施用 をしないと、土壌養分の過剰集積や水質負荷等の原 因にもなるので、適期適量の施用が重要と考えられ る。実用化に向けては、低コストで高能率な散布機 の開発や貯留処理等による衛生面での安全性3)を図 る必要がある。さらに、搬送の不便さを考えると、 ふん尿処理施設近辺において耕種農家との連携によ り利用促進を図ることが合理的であると考えられる。 謝辞 簡易型液肥散布機の開発に当たり、(株)ヰセキ北 陸の各位には多大なご協力をいただいた。また、牛 ふん尿処理液の供試に当たり、(株)河北潟ゆうきの 里には色々と便宜を図っていただいた。ここに、深 く感謝の意を表する。 引用文献 1) 安西哲郎:水稲に対する豚尿の追肥としての施 用効果、土肥誌 58、369-373(1987) 2) 浜田千裕・釋一郎・澤田恭彦・小島元:大豆 不耕起播種栽培の出芽期における冠水害の発生要因、 日作紀 76(2)、212−218(2007) 3) 小柳渉:貯留処理および曝気処理による乳牛 尿汚水の肥料化、新潟畜セ研報 13、13-15(2001) 4) 九州沖縄農業研究成果情報平成 15 年度:ニガ ウリ栽培における豚ぷん尿処理上澄液の施用効果、 589-590(2004) 5) 新良力也:液状きゅう肥(スラリー)を散布 した小麦収穫跡地土壌の微生物バイオマスと窒素無 機化活性の変動、北海道農研研報 178、1-8(2003) 6) 三枝敏郎:木酢液・炭と有機農業、創森社 (2002) 7) 土屋一成・菅原修・金和裕・金田吉弘:大区画

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圃場における流し込み施肥による水稲の省力的追肥 技術、東北農業研究 49、49-50(1996) Ⅳ 要約 作物に対して、牛ふん尿処理液の窒素肥料として の有効利用法について検討した。 1)ふん尿処理液中の肥料成分の季節変動は小さ く、平均的な全窒素濃度は 2,300ppm で、アンモニア 態窒素の全窒素に占める割合は 45%である。これは、 窒素肥料としての代替効果が期待でき、肥効が安定 であることを示している。 2)飼料、大麦、大豆および水稲を供試して、ふ ん尿処理液施用による生育・収量に対する効果を検 討した。畑作では全般にふん尿処理液による施肥窒 素の利用率が低く、これは施用時の土壌水分過多等 に起因する畦間への流出やアンモニア揮散等による 損失等が考えられる。一方、水稲作では、施肥窒素 の利用率が高く、化学肥料区と同等の収量が得られ、 有効活用が可能と考えられた。これらふん尿処理液 施用による肥料的効果は、ふん尿処理液添加土壌の 培養実験結果から確認できた。 3)大豆作において、試作した簡易型液肥散布機 を用いたふん尿処理液の土中施用により、施肥窒素 の利用率が向上し、ふん尿処理液が含有する無機態 窒素量を考慮した施用により化学肥料と同様の生 育・収量が期待できることから、基肥および追肥と して代替できることを実証した。また、ふん尿処理 液の圃場散布作業に当たり、木酢液の 1%添加によ り悪臭の不快感が抑制できた。 4)水稲作において、流し込み施肥の実証試験を 実施した結果、ふん尿処理液が含有する窒素全量が ほぼ吸収され、化学肥料と同等の施用効果があるこ とから、穂肥として代替できることを実証した。

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