108 香川大学農学部学術報告 キャベツ畑のモンシロチョウ幼虫体内における
アオムシコマユ→べチ幼虫の分布*
松沢 寛・久保昌三 筆者の1人松沢ほ,その前任地宮崎における10数年もたった相当に古いデー・タ・−をもとに.して,圃場における・モソ う′ロチョウPicTisrapaecru(ivoT.aBoISDUVAL幼虫体内の17オLムシコマユバチ4タantelesglomeTaiusL、の幼虫の分布に., 重複ポアソソ分布(−一般式)を想定して,最近その解析を試みた.しかして,その結果,それらの頻度分布のデータ が,上記の理論式にきわめで良く−・致する場合が相当に多いことを指摘した しかしながら,その場合取扱ったデータ−・が余りに古いことと,地域によるデータの変動性に若干の懸念を抱いた ので,−・昨年(1967),改めて,香川県東部を舞台とした.同様な調査研究を行なった‖ 以下に・その概要をのべて参考 に供したい.本文に㌧入るに先だって,かねてより有益な助言をいただいた,本学経済学部木村等教授(統計学研究室) 農林省四国虚業試験場河野達郎技官(虫害研究室)に.対し,深甚の謝意を表する. 研 究 方 法 今回の研究材料は,1967年春および秋に.,香川県木田郡三木町付近から,甫ないし南西方向の山地にかけての地域 からえた,4.5令の・モソシロチョウ幼虫を寄主としてえらび,水を張った径125cmのシヤ−・レ内で寄主を解剖し,寄 主ごとのアオ・ムシコマエバチ幼虫数を検したが,このようにしてえた頻度分布のデー・タ一に・対↓ては,既報同様,次 のような重複ポアソソ分布の一L般式を適用したい すなわち,k=0のとき, 1.−Å)p(。,=e−m・誉e−m旦・e−r^地0=e・Mm・冒e,m・e ̄γ^=e ̄m(トe
Ⅰ・=1 r/ 0・/ Ⅰ=1 k≒0のとき,p(k)=冒e ̄m」生.。“γ入地k l_l r
./ ▼ k/ (k==1,2,3 う 寄主体内の寄生虫数がk匹または0匹である確率 r==1 ただし,P(0),P(女) 寄生蜂の攻撃回数 寄生蜂の推定平均攻撃回数 寄主1回攻撃あたりの産卵に由来する寄生蜂幼虫の数 寄主1回攻撃あたりの産卵に由来する推定平均寄生蜂幼虫数 7− nl k 入 しかして,上式中のmおよび入の億は, 次の関係式から求めることとした u/1=m入 u2 ==m入(1+人) ただし,u′1…寄主あたりの平均寄生蜂幼虫数 u2…分 散 研究成績および考察 *アオムシコマユバチの寄生活動に関する研究 第20報OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
第20巻第2号(1969) 109
.spl遥亀ぷq日ぷ︸雇︸SO貞一乳笥︺領内岳d望室山ちこ莞薫ちq雲S苛hU宕各2h・t凹J等↑
香川大学県学部学術報告 110 上記の方法ならびに手順に・もとづいて,えられたデ一夕−・に,重複ポアソン分布の理論式を適用した成番を示す と,第1表および第1図のごとくであるが,まず,今回の調査によってえられたアオムシコマユ・バチの頻度分布曲線 の塾を,第1真の成繚(観測値)から検討してみることにする.そこで,階級(1寄主あたりの寄生虫数)0の部分を 除いて他の部分をみると,大半は階級21−30の附近に曲線のピークがあらわれ,その他ほ,階級11−20の附近に.ピ −クがあらわれており,全般的には,低いなだらかな曲線となっているが,これらは,松沢が過去に宮崎でえた古いデ −・タ−(既報の解折に用いられた)と較べ,特別に変った点もなさそうである. ところで,重複ポアソソ分布の理論値との適合性であるが,筆者等の調査した今回の8例では,そのうち5例は, 有意水準0.05で適合を認めうるが,水準0..01では7例までが適合を認めうる結果となっている..今回のダー・クー・で ほ.,全体の例数の割には,適合した例が少ないが,それでも,5/8で,半分以上は良い適合を示したことになるい そこ で,次に,寄生率と寄生蜂の推定平均攻撃回数mならびに寄主1回攻撃あたりの産卵数に由来する推定平均寄生蜂数 人の関係を検討してみると,第2図のように,80−90%といった高寄生率の場合には,mの値は急激に大きくなり, また,人の値ほ,反対に.極端に小さくなる候向が認められるが,しかしながら,m,人の値の,寄生率の増大にとも なう全体的な増大または減少の傾向は,直線的というに・はやや無理があるように思われ,今後なお,多数の例につい て−検討,吟味して−みる心安があろう. 100 80 60 40 1 5 2 - 6 3- 7 0 0 0 8 2 8 6 ︵S芯01二〇Lぷ§Z︶ンUZ山⊃ロ山鉱山 20 40 60 80 100 PERCENTAGE OF PARASITISM
Fig‥2 Relation between the perCentage Of parasitism and the estimated mean number of attacking times(m)and theestimated mean number of ParaSites per host onglnated from the eggslaid by attack of onetime(入)
⑳Fitat the significancelevelof o05,㊥Fit atthe significancelevdof O‖01,O Unfit
0 20 40 60 80 0 20 40 60 80100
CLASS(Number of parasites per host) Fig.1lCalculated fIequenCV distribution cuIVe Of the
numberofparasitesf把r・host adapted to払efor・ mulaofdoublepoissondistribution(dottedline) showingwith theoriginany obseIVedcurve
(fu111he)
111 第20巻第2号(1969) けれども,いずれにしても,野外の1モソシPチョウ幼虫体内における,t7オムシコマユバチ幼虫の分布が,重複ポ アソソ分布の理論式に,かなり良くあう償向の存することは,今回の例からもたしかなようである ただ,問題は,わずかではあるが,こうした理論的分布に.適合しない場合の存することである.これを理解すること は,■7オムシコマユパチの寄生活動性の本質を正しく理解する上に,きわめて重要と考えるが,そのた捌こは,如何 なる場合に.適合しないかということを,パラメ・一夕ー・m,入の性質あるいはその関連などから探索する必要があると 思うい しかし,現在の段階では,まだ,それらを明らかにするには至っていない 摘 要 香川県内のキャベツ畑における・モソシPチョウ幼虫に寄生している■7オムシコマエバチ幼虫の,最近えた頻度分布 データ−に対して,重複ポ●7ソソ分布の理論式を適用してみた成熟こついて論述した. 一・般に,これらの頻度分布データ一には,著者の1人松沢がすでに才旨摘したように.,監視ポ17ソソ分布の理論式を かなりよく適合できるようで,ある場合にほ..それらの実際の頻度分布曲線と理論曲線とがきわめてよく−・致した. 参 考 文 献 松沢 寛:香川大学農学部紀要,(3),1−125,(1958)り ︶ ︶ ︶ 1 2 3 ・森江 潤ニ:香川生物,(3),12−15,(1967). MATSUZAWA,HL・:KontyB(Jap.Jl・Ent.Soc。),36(1),39−45,(1968)..
Frequency distribution of thelarvae of APanteles glomeratus parasitizingthelarvae of
PieY’is rapae
HiroshiMATSUZAWA and Shozo KuBQ
Summary
This paperdescribes theresult of study on the applicability of the theoretical double poisson distribution tothedataonthefrequencydistributionof thelarvaeof4?aniclesgゐmera如parasitizingthelarvaeOf PibTis rapae(Tu(ivora which were Obtained from thecabbage fieldsin Kagawa Prefecture
Thesedatarecentlyobtainedseemalsotobeapplicabletothetheoreticaldoublepoissondistributioningeneral
asoneofthewriters,Matsuzawa・H”already reported,andinsome casesthecurvesoftheactualfIequenCy distribution of the parasitesin the host bodies closely coincide with theoreticalone.
(1968年11月25日受理)