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アツケシソウの花粉形態-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川生物(Kagawa Seibutsu)(151・16):91−93,1989”

アツケシソ ウの花粉形態

猪 熊 陽 子り高 橋 正 道

〒760 高松局番町1−・6−1,四国NECソフトウェア一組

*〒760 高松弔事町トー1, 香川大学教育学部生物学教室

Pollen Morphology Qf Sdlicornia eurqpaea Linn.

YokoINOKUMA, Sゐ£ゐのゐ〟〃gC Sq/七びαre見好…J−6−JβのC/lわu,

7bゐαmα£ぴぶ,7即ノ呼肌

* MasamichiTAKAHASHI,BiologicallaboT・atOrγ,Facult.y of EducatiL)n,

ム■′Jい†J′、√JJ−J=、げバJ/\・、71Jん−川=h几打Jト旬ノり′′

材 料 と 方 法 香川県下で採集したアツケシソウから成熟し た花を取り出して,Er・dtman(1960)の方法に 従ってアセトリレス処理を行った。さらに,エ タノール脱水後,酢酸イソアミルに置換し,そ の後で臨界点乾燥装置(日立CPD−1)を用 いてサンプルを臨界点乾燥した。次にイオンス パッタリング装置(EIKO SR−2)を用いて, 白金−・パラジウムをコーーテンダした。観察 は,超高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(日 立S−800)を用いて行った。 結 果 と 考 察 ア、ソケンソウ(5αg加′・花£αe乙‘r叩deαLinn) の花粉粒(直径16−18〝m)は,球状の多孔粒 型であり,40個以上の発芽孔が規則的に花粉の 表面に配置されて−いる(図1)。その表面には, 微小突起が不規則に分布している。発芽孔は, ほぼ円形であり,その周囲では花粉外膜がくぼ んでいる。発芽孔の表面にも9′、−10個の微小突 起が存在している(図2)。これらの結果は, 基本的にレプリカ法による塚田(1986)の結果 と−・致している。ただし,レプリカ法では,約 80m/∠の微小孔が明瞭に示されているのに対し, 今回の走査型電子顕微鏡による観察では,これ らの微小孔が不明瞭になっている。これは,約 20m/′の厚さでコーテングされた金属被膜によ は じ め に 従来,アツケシソウ属(助g£c()rJ乙iαLinn.)は, アかザ科(Chenopodiaceae)の1属として取り 扱われることが多かった(Bentham&Hooker,

1880;Volkens,1893;Ulbrich,1934)・しかし,

最近になってScott(1977)は,アツケシソウ属 とその近縁属の分類学的再検討を行い,その結 果ア、ソケンソウ科(SalicorniaceaeJ.Agardh,) を採用することを主張し そ・の中に12属を認め ている。この属の花粉形態は(CranWell,1942;

TingSu,1949;幾瀬,1955,1956;塚田,1968;

Solomon,et alい1973)によって記載されて いるが,それらのほとんどが光学顕微鏡による もので,多孔粒型であると報告するにとどまっ ている。それらの中で塚田(1968)は,レプリ カ法を用いて透過型電子顕微鏡でアツケシソウ の花粉の表面に微小突起と穿孔が存在している ことを報告しており,Solomon et al.(1973) は,走査型電子顕微鏡を用いてアメリカに分布 しているS..払£αわe花ぶよsの花粉の表面模様が微小 突起(microverrucate)であることを報告して いる。 このたびの研究では,走査型電子顕微鏡を用 いて明らかにされたアツケシソウ(5αgicor花ぬ eαr叩αeαLinnい)の花粉粒の微細形質について 報告し,この属の分類学的位置との関連性につ いて考察す−る。 −91−

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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図2.花粉の表面模様,微小突起が分布し ている.×8,000 図1.アツケシソウの花粉粒.多くの発芽 口をもつ多孔粒型花粉である∴×2,500 って,微小孔が不明瞭になったものと思われる。 このように超微細の構造の中には,金属のスパ ッタリングによって観察できなくなる事もある ことを示している。幾瀬(1956)は,この種の 花粉の表面模様が微細な網目模様であると報告 しているが,光学顕微鏡による観察で,発芽孔 の分布様式をこのように表現したのであろう。 Solomon et al.(1973)は,すでに,アメリカ 産のぶ.昆己αむ飢β£sの花粉の表面模様が,微小突

起であることを報告している。Solomon et

al.(1973)の結果は,アメリカ産のS.比とαわe花S£s の花粉形態が今回の観察結果と一致している特 徴をもっており,この属内で花粉形質が安定し ていることを示唆している。 Nowicke(1975)は,アカザ目とその近縁群 について走査電子顕微鏡による花粉形態の研究 をしている。それによると,アカザ目植物の多 くほ,多孔粒塑の花粉をもつことが明らかにさ れている。〟£cro亡eα属,βorszo∽よα属,功s− pゐα花iα属などに,アツケシソウと類似してい る花粉形質がみられ,花粉にみられる微細形質 は,この属が,アツケシソウ科(Salicdrniaceae) と言う独立した科に含められるとしても(Scott, 1977),アカザ科を構成する分野群と近縁な群 であることを示唆している。 摘 要 アツケシソウの花粉を走査型電子顕微鏡にて 観察した結果,この種の花粉は,微小突起を表 面模様とする多孔型花粉であることが明らかに なった。 謝 辞 本研究の遂行にあたって,多くの御助言をい ただいた国分寛先生に厚くお礼申しあげます。 文 献 Bentham,G.andJ.D.Hooker.1880.Chen− OpOdiaceae.Ge花erαPgα花とαr乙Jm 3:43− 78.LovellReeve,Williams & Norgate, London

Granwell,L.M.1942.New Zealand pollen

studies.月es.A㍑Cゐgα花d 血s己.几れ措. 2:

280−308.

Erdtman,G.1960.The acetolysis method −A revised description.Suensh,Bot.

ridsゐr.54:561−564 幾瀬マサ.1955.日本産植物の花粉粒総説(2). 植物学研究雑誌 30:13−55. .1956.日本植物の花粉.広川書店, 東京. ー92−

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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Nowicke,J。W。1975.Pollen morphology in the order Centrospermae。Grana。15:

51・−て7

Scott,A。J。1977.,Reinstatement and re− Vision of SalicorniaceaeJ..Agardh(Ca− ryophyllales).β0と.ノの肌エわ花.SのC..75: 357−374 Solomon,A。M‖,)..E.PKing,P.,S Martin,andJ… Thomas‖1973.,Fur・ther

SCannlngelectron photomicrographs of

SOuthwestern pollen grains.Jour・.,ATizona

Acαd.、Sc£.8:135−157

Ting,Su..1949..IllustIations of pollen

grains of some Chinese plants..及)t.Not

4:277−282

額田松雄.1968.花粉表面の微細模様とニ,三 の術語の問題小植物学雑誌 81:385−395

Ulbrich,E.1934.Chenopodiaceae.In A Eng1er & H.Harmes(Eds、),Die Naru−

r・J去cゐe花ぞ/gα花Ze咋/dmgge花,ed.2,16c:375

−584.Wilhelm Engelmann,Berlin

Volkens,G.1893.Chenopodiaceae,.In A Engler & K..Prantl(Edsい),Die Naturl−

ic/乙e7乙ぞ/g∽Ze巧/dlmよg£e花,ed..1,31a:36−

91”Wilhelm Engelman,Ber1in.

−93−

参照

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