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イギリス・ヨークシャーの地方財政(2・完)--1974~1984年---香川大学学術情報リポジトリ

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イギリス・ヨークシャーの地方財政

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・完)

西 山 一 郎

I はじめに II ノ ー サ ラ ト ン へ の 道 III 北ヨークシャー県の概観とその経済構造 IV 県議会と事務機構 V 北ヨークシャー県の財政 一一経常勘定(その1)一一 VI 北ヨークシャー県の財政 一一経常勘定(その 2)一 一 VII北ヨークシャー県の財政一一資本勘定一一 以上,本誌第58巻第1号 0985年6月〉に掲載 VIII ヨーク市の概観とその経済構造 ヨーク市は北ヨークシャー県の県郡の

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年を最後におこなわれていない。 ヨーク市の歴史についてここで詳しくふれるつもりはないが,一言のべてお く。ロンドンがテームズ川ぞいの名もない寒村であった紀元71年にすでにヨー ク〈その当時は

Eboracum

と呼ばれた〉はローマ帝国の軍事駐屯地となり,そ の後,イングランド北部の軍事・交通の要衝,宗教活動の中心地,交易センター, そして首都としてヴァイキング時代や中世を通じて栄えた。ヨークは,

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403 イギリス・ヨークシャーの地方財政 (2・完) 59-にへンリー 2世から最初の特許状をえ,ジョン壬の治世に自治権を獲得し, 1212 年以降市長を置いた。そして, 1730年にロンドンに先がけて市長公邸 (Mansion House)が建設された。中世末期には織物交易の衰退等によりヨーク市の経済的 地位は低下したが, 19世紀の中葉には鉄道の発展とともに再び活気をとりもど した。そして,それまでの旧自治体 (OldCorporation)は 1835年の都市団体法 にもとづき新しい時代に対応すべく改革され, 1836年には市制 (municipality) がしかれた。今日,ヨーク市には Minsterと称される大聖堂があり,カンタペ リーにつぐ司教座聖堂の所在都市となっている。そして, ヨーク市の市長は,

‘Right Honourable Lord Mayor'とよばれ,同じ市の中でも最も格式のたかい 称号をもっ。 まず, ヨーク市の経済構造をみる。ヨーク市の経済構造に関する最近の学術 的研究は,管見では, ヨーグ大学のファインスタイン教授の論文「人口,職業, そして経済発展」が唯一のもののようであるので,ここではそれを中心に岡市 の経済構造を概観する。 第l表をみよ。第1に,農林業人口について。北ヨークシャー県の経済構造 のところですでにふれたが,岡県の農業人口の比率は全国水準に比較してかな り高い。しかし, ヨーク市のそれは岡市が県内最大の都市であることから著し (1) ヨーク市の歴史に関する文献で私が今回読んだものはつぎの通りである。 John Har -vey, York, London and Sydney, 1975; Patrick Nuttgens, York the Continuing City, London, 1976; HarrγJ Scott, Yorkshire, Norwich, 1977; Charles Feinstein

ed, York1831-1981, York, 1981 なお, ヨーク市の行政史については不明な点もあ り,その解明は今後の課題とする。 (2) 高橋誠「現代イギリス都市財政の分析J(下), r経済宏、林』第47巻第4号, 1979年12 月, 59ベーシ。 ( 3) Charles Feinstein, 'Population, Occupations, and Economic Development, 1831 -1981', Feinstein ed, op.cit, pp..109-159 ただし,この論文は,ヨーク市の過去150年 間の経済の発展をあとづけようとするものであるが,取り扱っている素材は最新のもの でも 1971年の国勢調査までであり 1974年体制下のヨーク市の経済構造は十分に言及さ れていない。しかし, 1984年に短期間ではあるが,ヨ-'7市に滞在した私のせまい見聞に もとづいていえば,最近のヨーク市の経済構造も 1971年のそれと基本的には変化してい ない。しかし,1974年以降のヨーク市の経済構造の分析は今後に残された課題の1つであ る。

(3)

第l表 ヨーク市の就業構造 0971年) ( 単 位 人 ・ パ ー セ ン ト ) 人 数 1.農 林 業 270 2.製 造 業 16.930 3“ 建 設 業 4.200 4.カ ス 震 気 水 道 840 5. 運 輸 通 信 8.400 鉄 道 5.450 道 路 1,230 郵 使 局 1,560 そ の 他 160 6..流 通 8,080 7 ρ 金 融 1,720 8.専 う「 町続 8.070 教 育 3.340 医 療 3,060 そ の 他 1,670 9.家 事 510 10.そ の 他 の サ ヒ ス 5.680 ホ ア ノレ 旅 宣官 等 2.290 自 動 車 修 理 ・ ガ ソ リ ン ス タ ン ド 1,240 そ の 他 2,150 11.公 務 員 2.890 地 方 自 治 体 1.210 そ の 他 1.680 12,軍 人 490 13. 雑 200 l口h ~t 58.280 注〉原資料は国勢調査である。 構 成 比

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3 100 0 〔出所JCharles Feinstein,‘Population, Occupations and Economic Development, 1831 -1981', C. Feinstein ed, York1831-1981, York, 1981, p 137 く低し、。 第

2

。製造業に従事する者の割合は全国水準が

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ノf一セントであるのにく らべて,ヨーク市のそれは29ノξ一セントとやや低し、。しかし,特徴はその内容 にある。製造業に従事する者の内訳をみれば,それは第

2

表の通りである。す

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405 イギリス・ヨークシャーの地方財政(2・完〉 第2表 ヨーク市の製造業就業人口内訳 0971年〕 (単位 人・パーセント) 菓 子 製 造 そ の 他 の 食 品 お よ び 飲 料 鉄 道 車 両 そ の 他 の 機 械 E日

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化 学 製 繊 維 製 そ の メ口込 注〉原資料は国勢調査である。 〔出所Jlbid, p 141 出 ~t 製 造 製 造 版 ン ガ 家 具 口に口3 ロEロ2 他 人 数 9,520 880 2,030 1,420 1,150 1,130 360 130 20 290 16,930 -61ー 構 成 比 562 5 2 12 0 8 4 6 8 67 2 1

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1 1 7 100 0 なわち, ヨ ー ク 市 の 製 造 業 就 業 人 口 の 過 半 は 菓 子 製 造 部 門 に 雇 用 さ れ て い る の で あ る 。 こ の 割 合 は1951年 に は50ノ4ー セγト で あ っ た か ら , こ の20年 間 に 比 率 で は や や 増 大 し て い る く た だ し , 製 造 業 部 門 の 就 業 人 口 は1951年 が9,570人 で あ り , こ の20年 間 に ほ と ん ど 変 化 が な し す 。 ヨ ー ク の 菓 子 製 造 と は チ ョ コ レ ー ト や ミ ン ト 等 の 生 産 で あ り , そ の 中 心 は ヨ ー ク 市 に 本 社 を お く ロ ー ン ト リ ー ・ マ ッ キ ン ト yシ ュ 社 と ジ ョ ウ ジ フ ・ テ リ 一 社 で あ る が , と り わ け 前 者 は 北 ヨ ー ク シ ャ ー 県 最 大 の 従 業 員 を も っ 株 式 会 社 で あ る 。 C 4) North Yorkshire County CouncilC以下, N Y C C,と略称], County Structuve Plan

Rφort17 lndustηI and EmPlo抑nentC以下,lndusか and Employ押zent,と略称],

1976, p..99 ローントリー・マッキントッシュ社は,ヨーク市に本社をおく業界第2位の

ローントリー社 CRowntr田 andCompany Ltd )とハリファ y!Jスに本社をおく業界第

4位のマクキントッシュ社(John Mackintosh and Sons Ltd.)が, 1969年5月に合併

してできたものである。当時の資本金(issuedcapital)は, 1,168万ポンド,従業員は28, 800人。 1982年の売上高は77億ポン凡なお,私事にわたるが,同社の重役をつとめた, 友人のトムソン (FrankThomson)氏夫妻の紹介で,向社の社員教育担当のオリアダン (B. Y.O'Riordan)嬢を知り,ハックスビ一通りの本社工場を見学したことがあった。1984 年5月のある靭,向社の門前に立つと,ミントやチヨコレートの香りがたちこめ,お菓子 工場にきたとL、う実感が体にしみこむようであった。それから2時間余りをかけ,案内係 の湯気な中年婦人の先導で広い工場をまわり,各種のお菓子が生産される工穫を見学し たが,それも今はなつかしい思い出の1つとなっている。

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-62ー 第58巻 第2号 406 製造業就業人口の第2位は,鉄道車両製造であるが,これはヨーク市にある イギリス固有鉄道車両製造会社 (BritishRail Engineering Ltd)が中心である。 もっとも,この部門への就業人口は1951年には3,220人であったが,国有鉄道 の経営不振がひびいたのであろう, 1971年には第2表のように2,030人に減少 している。そして, このことが重要な原因となって, ヨーク市の製造部門全体 の就業人口も 1951年の 19,080人から 1971年には16,930人に減少している。 しかし,今日においてもヨーク市の2大製造業が菓子と鉄道車両の製造である ことにはかわりがない。 第3~こ注目すべきは,運輸・通信部門の就業人口の割合が全国水準では 66 4一セントであるのにたいしてヨーク市のそれは144パーセントと著しく高 いことである。この点について,ファインスタイン教授は,-鉄道輸送のセンター としてのヨークの長い伝統から生まれた地位は,依然として雇用構造の顕著な 特徴であった。それは, ヨークがイギリス国鉄の東部地域全体の総局となった ことにより決定的に増大した。そして,管理部門の職員数の増大は,鉄道で実 際に働くポーター,転轍手,機関助手,その他の大幅な減少を補って余りがあっ た。」という。 第4に, ヨーク市においては観光業ないしそれに関連する部門で雇用される 者が多いということである。それは,-その他のサービスに従事する者」として 示されている。ヨーグ市の観光業は,ファインスタイン教授によれば, 1950年 以降活況を呈した。「それは,当初,所得と余暇の増加,自動車旅行の機会の増 大,そして,ヨークの特色ある魅力が一般に知られたことによって促進された。 過去10年間においては,その成長は異常ともいえるものであった。それは,大 聖堂のすばらしい改修,……1975年の国立鉄道博物館の開館, ヨーク・フェス ティバルと聖史劇 (MysteryPlay)の評判によってもたらされたものと思われ (5) 1983年において,ローントリー・マッキントッシュ社,イギリス国鉄,鉄道車両会社, テリ一社の 4つでヨ-!1市の労働人口の 71ノミーセントを雇用している (Cityof Y ork, Economic Development. Strategy Report, Y ork, 1983, p.10.)。 ( 6) . Feinstein‘P,opulation, Occupations and Economic Development, 1831-1981', Feinstein ed, opα1, p.138

(6)

407 イギリス・ヨークシャーの地方財政 (2・完) -63 る。」ヨーク市を訪れる観光客は,

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万人といわれたが,

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年 にヴァイキング博物館が開館されたことにより更に増加するであろう。ファイ ンスタイン教授は r観光業が過去

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年間のヨークの経済活動を促進する最も 重要な要因であった」とし、う。もちろん観光業の隆盛も自治体からみれば,そ れによってごみの収集と処理,公衆便所の設置,駐車場の整備等余分な経費が 支出されなければならなくなる。しかし,北ヨーグシャー県議会は r地方自治 体にとってはどう考えても余分な経費支出をせまられるが,地方税納税者に とっては,観光客のために用意された施設の改良(たとえば,改善された駐車 場〉のJ恩恵をうけるという副産物があることを忘れてはならない。」とのべ,観 光業にたいして積極的な評価をしている。 以上が就業人口からみたヨーク市の経済構造の特徴であるが,ここで1つの 問題点を指摘しておく。それは, ヨーク市の製造業に関するものである。ヨー ク市の製造業の中心はすでにみたように菓子製造と鉄道車両製造であるが,こ れらはいずれも

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世紀後半にその地位を確立したものである。そして,それ以 降r(ヨーク〕市は,新しい産業ないし新しい企業を誘致するのにほとんど成功 しなかったのである。」したがって,今日のヨーグ市の製造業は前世紀の‘遺物' によって支えられているといえるであろう。もちろん,市議会はこの点を十分 に自覚し, ヨーク市にエレクトロニクスやバイオテクノロジーのようないわゆ る‘ハイ・テク'産業を誘致しようと様々な計画を構想している。ただし,産業 を誘致するさいのヨーグ市にとっての問題点のlつは依然として産業と環境な いし史跡の保存との調和をし、かにしてはかるかである。 ( 7) Jbid"p.. 139 (8) Jbid ( 9) N Y C.C, Coun~y Structure Plan Report 33. Touηsm, 1976, p.29.

(10) Feinstein‘,Population, Occupations and Economic Development, 1831-1981',

Feinstein ed..

ρcit.

p.. 152

(1l) City of York, op. cil, p.29

(7)

-64- 第58巻 第2号 408

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ヨーク市議会と行政機構 私がヨーグ市に滞在中に地方選挙がおこなわれた。投票日は 1984年5月3日 (木曜日)であった。しかし,イギリスの地方選挙では運動期間中に候補者のポ スターがはり出されたり遊説の選挙カーが走りまわったりすることがなく実に 静かなもので,われわれ異邦人にはとんとその実態がわからない。私が

5

5

日の朝,市長公邸のマンション・ハウスにゆくと,あまり大きくない掲示板に 投票結果がはり出され,市民が三々五々見にきていた。ヨーク市議会の議席は 45で,今回はその3分の lの15議席が改選されたので、ある。 地元の新聞に発表された投票結果の一部を記すと,つぎのようであった。 ‘

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ヨーク市の市議会議員選挙の場合,今回の得票結果からみると大体1,000票 で当選のようである。しかし,定員1人の小選挙区制であるため,フォックス ウグド区やウエストフィールド区のようにかなりの票差で当選がきまるという (13) 1974年体制の下での地方選挙についてすこし説明すれば,議員の任期はすべて4年で ある。県では4年任期のl人区の同時選挙。大都市圏県郡では1973年までの3人区の3 分のlの改選(したがって,毎年選挙がおこなわれるわけだが,県議会議員選挙の年には 郡議会議員の選挙はおこなわれない〉であり,非大都市圏県郡では県型の問時改選方式か 大都市圏県郡の旧型方式かのいずれかを選択できた(高橋誠『現代イギリス地方行財政 論』有斐閣, 1978年, 63ベージ〉。ヨーク市では,したがって,大都市題県郡の旧方式が 採用されたわけである。なお,地方選挙の投票日は 5月の第1木曜日となっている。 (14) The Yorkshire Post, May 5, 1984.

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409 イギリス・ヨークシャーの地方財政(2・完〕 -65-ところもあるが,ベッグフィールド区やアコム区のようにその差がわずかl票 というところもある。(なお,アコム区は議席が3つではなく 1つという意味で あり*印は前議員という意味であろう。〕そして,候補者はそれぞれ全国政党 の保守党,労働党,自由党に所属し,旗臓を鮮明にしている。 私は投票率を知りたいと思い,市長公邸の裏にある市の有権者登録事務所 (Electotal Registration Enquiries)に行った。応待してくれた婦人は rそれは 簡単にはわからない。今はヨーロッパ議会の選挙事務で忙しいので,ヨーク シャー・イーヴニング・ポスト社に行って聞いてほしい。」という。そこで,そ こから歩いて

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分のところにあるヨークシャー・イーヴニング・ポスト社 にゆく。受付けの女性がすこし調べてくれたが,やはりわからないという。そ して,彼女は私に,市役所にゆけとし、う。私は,いや,そこでここに行けとい われたのだと言った。どうもイギリス人は投票率にあんまり関心がないのかも しれなし、。そこで,新聞に発表された15選挙区の投票数を合計し (35,715票), それを1984年の有権者数 (79,500人〕で除してみたところ,今回の投票率は 45 と一セントであった。 なぜ、私が投票率に関心をもったかというと,イギリスにおいてはかなり以前 から地方選挙の投票率の低いことが識者によって指摘されていたからである。 たとえば, レッドクリフ・モード卿とウッド氏は r地方選挙における全国平均 の投票率は1945年以降常に低下し, (かつて

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50ノf一セント近くであったのが 〔最近では

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35ノf一セントそこそこになっている。」という。そして,両氏によ れば,この原因は地方自治体にたいする住民の無関心にある。すなわち r低い 投票率は選挙制度に欠点があるというよりも地方自治体にたいする大衆の態度 に多分原因があろう。ほとんどの人は,地方自治体についての知識や関心をす こしも持っていない。」市民のほとんどは,調査によれば,議員の名前する知ら ない。そして,地方議会の議員と接触をもった有権者は全体の 17ノξ一セントで (15) Lord Redcliffe-Maud and Bruce Wood, English Local Goverm仰 uReformed, London, 1974, p 61 (16) Ibid, p.62

(9)

-66 第58巻 第2号 410 ある。すでに, 1967年のモード委員会の報告は r非常に民主的な組織形態が我 国の地方自治体の特色をなしているにもかかわらず,公衆の聞には,自治体の 仕事に関する無知と無関心とが広く存在していることは疑いもない。」と指摘し ている。このような傾向は,私のせまい見聞でも今日においても依然として存 在しているように思う。たとえば,北ヨークシャー県議会は, 1981年, 1982年 の2年間,県議会の活動をまとめた, A 4判のアート紙を使った立派な『年次 報告』を刊行したが,それは, 1983年からタブロイド版の新聞に変わった。そ の理由について,県議会は r これ[D"年次報告 ~J は,

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県民の〕関心をほとん どよばず,なんの反応、ももたらさなかった。本年はわれわれはもっと積極的な 方法をとり,県内のすべての郵便受けに投げこまれる新聞を発行することに決 定した。」という。したがって,今日のイギリスにおいては,地方自治の要をな す地域民主主義の空洞化が相当程度進行していることは否定できないように思 う。 ところで, ヨーク市議会の政党別の議席配分はどのようになっているであろ うか。第3表(ヨーク公立図書館所蔵資料)をみよ。ヨーグ市議会の場合,無 所属は1983年に1名いたのみ!でそれ以外は皆無で、あること, 1976年以降,保守 党の議席は傾向的に減少し,労働党のそれは逆に増加していること,そして, 1980年以降保守党あるいは労働党が第1党とはいうものの,絶対多数の政党が

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ohn Stewart, Loω1 Government the Conditions

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Local Choice, London, 1983,

p..122 この数字は, 1967年のモード委員会の報告にある。なお,イギリスの政党は戸別 訪問によってつねに有権者の支持政党を調査し rどの時点で〔地方〕選挙があっても地 区内の自党の勢力を確実に把握して作戦をたてることができる。j (NHK海外取材班『自 治と民衆一一欧米にみる地方政治一一』日本放送出版協会, 1968年, 68ページ〉という 指摘は,イギりスを地方自治の母国と高く評価するわれわれ日本人の先入観にもとづく 甘い見方のように思う。 (18) 山下茂「英国の地方自治(6)j,W自治研究』第54巻第8号, 1978年8月, 131ページ, から再引用。 (19) これは,1980年地方自治法にもとづき,地方自治体は行財政状況を住民に公開しなけれ ばならないとされたことによりおこなわれたもののようである。高橋誠「イギリス W1980 年地方政府法』の財政的意義j,W経済宏、林』第49巻第3号, 1981年12月, 58ページ, をみよ。 (20) North Yorkshire RetorteκVoL 1, N o.1, September, 1983

(10)

411 イギリス・ヨークシャーの地方財政 (2・完〉 -67-第3表 ヨーク市議会の議席配分の推移 保 守 党 労 働 党 自 由 党 無 所 属 iE3 h 1973年一74年 17 17 5

39 1976年一77年1) 26 10 3

39 1977年一78年 28 8 3

39 1978年一 79年 28 8 3

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45 1980年一82年 20 15 10

45 1982年一83年 19 15 11

45 1983年一例年 18 17 9 l 45 1984年一85年 18 19 8

45 注1)1974年から2カ年間の空白があるが,原資料の通りである。 なくなったことが特徴としてあげられるであろう。私が,財政部次長のオブラ イエン氏に,ヘップワース氏の指摘に示唆をえて, ヨーク市の予算は長期的見 通しの下に編成されているかとたずねた時,民は,政治的な理由でそれは不可 能であると答えたが,それは,このような市議会の議席の政党構成をさしてい たのである。すなわち,近年の予算の編成は政党間のかけひきあるいは妥協に よりおこなわれているとし、うわけである。 ヨーク市議会の委員会の編成はつぎのようになってい

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。 政策・財源委員会(定員, 18名〉 総務小委員会 (12名〕 土地と市場に関する小委員会 (11名〉 行政活動審査小委員会 (11名〉 旅客運輸小委員会 (11名〉 ウーズ川・フォス川航行小委員会c7名〉 (21) r年度予算はド理想的にいえば地方自治体の長期の総合計画から作成されるべきで

ある。J(N P Hepworth, The Finance of Local Government, 1984, 7th ed, p 212.

なお,邦訳は,この本の第6版を底本とする,池上監訳『現代イギリスの地方財政』同文

館, 1983年,を参考にした。〉

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-68ー 第58巻 第2号 コンビュータ小委員会(

3

名〉 職員委員会(1

6

名〉 ヨーク城博物館と市立美術館に関する委員会 (16名〉 開発委員会 (18名〉 開発規制小委員会(16名〉 史跡建物小委員会 (11名〕 交通小委員会

07

名) 直営事業委員会c7名〉 環境衛生とその規制に関する委員会

06

名〉 営業免許小委員会 (11名〉 レクリエーション委員会

06

名〉 娯楽小委員会

00

名〕 観光事業小委員会 (11名〉 住宅委員会

08

名〉 住宅管理小委員会 (11名〉 借家小委員会 (11名〉 412 これらの委員会のうち,職員委員会と直営事業委員会を除く 6つの委員会に は市長が職権上の委員として出席する。したがって,これら6つの委員会が議 会の公式の委員会であろう。 市の事務機構についてみれば, ヨーク市もベインズ報告にもとづき首席支配 人制を採用し,管理チームを編成している。ヨーク市の事務部門と部長職はつ ぎの通りである。 主席支配人部一・1………, " " ~ . . u " " " "・0……・・1…….,…主席支配人兼書記* 市法務部・・1………・…川…・……・""""...…………一法務部長* 市開発計画・不動産部……""""…・・"………t…開発計画部長* 市財政部…一………ぃ...………u ………・・財政部長* 建築部・, ,,,,,,,...",,,,,,,一………・・1……..""""""....建築部長 環 境 衛 生 部 …i… … … …t……・・,,"環境衛生部長

(12)

413 イギリス・ヨークシャーの地方財政(2・完〕 -69-部 木 土 市 一."..,一。…土木部長* 住 宅 部 … 一 一u・・u …・・いわ ω 1…………一一…住宅行政部長* レジャー部 1 公園部 } 博物館・美術館部j 0・・..""レジャー行政部長 管 理 チ ー ム は * 印 を 付 し た6名から編成され,主席支配人が議長となる。 なお, ヨーク市においても,主席支配人は,正式には,‘ChiefExecutive and Town Clerk'と称され i書記」とL、う伝統的名称を放棄してはし、ない。 ヨーク市の職員は約

1

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名であるが,委員会別の内訳を示せば,第

4

表の 通りである。近年では直営事業委員会と政策・財源委員会の雇用する職員が一 番多い。前者は, ヨーク市の場合,主として市営住宅の建設に従事する者であ る。政策・財源委員会の雇用する本庁部門(CentralAdministration)の職員の 内訳をみれば, 1984年度の場合,財政部 92名,主席支配人部75名,土木部63 第4表 委 員 会 別 職 員 の 内 訳 (単位人・パーセント〕 1981年度 1984年度 委 員 メヱ』丈 名 人 員 構 成 比 人 員 構 成 比 開 発 委 員 ~又h 20 1 9 24 2 2 環 境 衛 生 委 員 会 108 10 3 50 4 6 住 宅 委 員 ~ 46 44 72 6 6 博 物 館 ・ 美 術 館 委 員 会 68 6 5 53 49 政 策 ・ 財 源 委 員 会 3335 318 366 337 本 庁 部

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295 5 282 319 29..4 そ の 他 38 36 47 43 レクリエーシヨン委員会 1445 138 146 13 5 直 営 事 業 委 員 会 329 31 3 373 345 メEコL 1,049 1000 1.084 100 0 注〉これらは予算に計上された人員で,常勤職員に換算してある。 〔出所

J

City of York, Rate Demand Note (Part 2),各年度版。 (23) 自治体の直営事業については, Hepworth, ot.a,.tpp.. 188-196,をみよ。

(13)

-70- 第58巻 第2号 第5表 常勤職員と非常勤職員の構成 ( 単 位 人 ) 常 勤 非 常 勤 │ 合 非 現 業 部 門 487 60 現 業 部 門 541 71 メロL 1028 131 注)1983年9月現在の人員である。 〔出所J

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, Budget Strategy 1984-85,

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96 計 547 612 1.159 414 名,建築部

4

8

名が主なものである。のちにみるように,経常勘定の歳出構成を みれば, ヨーク市の場合,住宅委員会の割合が圧倒的に大きいのであるが,職 員数は多くなし、。 なお, ヨーク市の常勤職員と非常勤職員の比率は,第

5

表のようである。非 常勤職員は全体の

1

割程度であり,北ヨークシャー県と比較すれば格段に少な い。しかし,この割合は,北ヨークシャー県下の郡議会全体の平均とほぼ同じ である。非現業職員

(No

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)と現業職員の割合はほぼ半数ず

つである。

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ヨーク市の財政一一経常勘定(その1) 経常勘定の歳出内訳を示せば,第6表の通りである。これは,ヨーク市の『決 算概要』の総括表にそって作成されたものである。総経費は大きく

2

つに区分 され,レート基金が全体の

6

割をしめる。レート基金とは

1

9

7

2

年の地方自治法 第

1

4

8

条によって設置が義務づけられているものであり,そこには住宅経常勘 定,年金基

dL

除く,地方自治体の歳出が計上されることになってい芝総経 費の中で最大の割合をしめるものは住宅委員会であり,それは全体の

6

割ちか くに達する(ただし,

1

9

8

2

年度だけは

515

パーセント〉。それについで大きい のは,固有の委員会では開発委員会, レクリエーション委員会,環境衛生委員 (24) これは,県議会が設置することになっている。 (25)

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39

(14)

AFH日 、﹁札f,宮、︾・出iuvそ寸lδ 笹油田叫阿片(N・尚) ヨーク市の経常勘定歳出内訳 1974 年度 1976 年度 1979 年度 1982 年度 委員会名 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 関 発 委 員 dZE 玄 h 604.790 9.1 902 , 948 9 .4 1 , 276 , 502 9.9 1 , 955 , 570 10.4 環境衛生委員会 465 , 231 7.0 670.729 7.0 1 , 050 , 539 8.2 1 , 436 , 618 7.6 住宅委員会(非法定勘定〉 1 , 446 , 335 2 1. 9 2 , 139 , 001 22.2 2 , 608 , 553 20.3 2 , 571 , 753 13.6 博物館・美術館委員会 176.779 2.7 294 , 403 3.1 468.418 3.6 762.703 4.0 政策・財源委員会 872 , 711 13.2 1 , 135 , 527 11.8 1 , 367 , 666 10.6 1. 825.181 9.7 v !1 リエ一戸ヨン委員会 503 , 899 7.6 873 , 889 9.1 1 , 089 , 073 8.5 1 , 574 , 626 8.4 レー ト徴税費 164 , 115 0.9 レー ト払戻し 59 , 539 0.3 住宅修繕基金への拠出 1. 250.000 6.6 レート基金合計 4 , 069 , 745 6 1. 5 6 , 016 , 497 62.6 7 , 860 , 751 6 1. 1 11 , 600 , 105 6 1. 5 住宅委員会(法定勘定〕 2 , 493 , 892 37.8 3.549.521 36.7 4 , 882 , 104 38.1 7 , 140 , 377 37.9 ウーズ川航行小委員会 49 , 331 0.7 63 , 084 0.7 100 , 802 0.8 113 , 535 0.6 総 経 費 メ口 ミ 計 6 , 612 , 968 100.0 9 , 629 , 102 100.0 12.843.657 100.0 18.854.017 100.0 第 6 表 ポンド・パーセント〉 (単位 〔出所) City of Y ork , Abslracf 01 Accoun お,各年度版。 ーミー

(15)

第58巻 第2号 第7表経常勘定歳出中の人件費と公債費 (単位 ポンド・パーセント〉 1976年度 1979年度 金 額 構成比 金 額 構成比 人 件 費 1,688,272 175 2.321. 703 181 j

2、. 債 費 4,483,052 466 5,642,141 439 その他の経費 3,457,778 359 4,879,813 380 三口h

5

十 9,629,102 100 0 12,843,657 1000 〔出所JIbid,各年度版。 第8表委員会別の人件費内訳 (1982年度〉 (単位 ポント・パーセント〉 委 員 ぷ4i; 名 金 額 開 発 委 員 ぷZ又斗 137,635 環 境 衛 生 委 員 ぷ'"斗z 712.056 住 宅 委 員 dZ2bミh 441,595 博 物 館 ・ 美 術 館 委 員 会 372,687 政 策 財 源 委 員 会 240,443 般 行 政 198.512 ウ ス ;11 航 行 41,931 レ ク リ エ ー シ ョ ン 委 員 会 655,457 メ口% 2,559,873 〔出所 Ibid,1982-83 1982年度 金 額 2,559,873 5,940,183 10.353.961 18,854,017 構 成 会である。そして,これら4つの委員会で総経費の8割以上をしめる。 416 構成比 136 31 5 54 9 100 0 上i七 54 277 173 14 6 9 4 7 8 1 6 25 6 100 0 総経費の性質別内訳ともいうべき,人件費と公債費の割合をみれば,第

7

表 の 通 り で あ る 。 人 件 費 は

1

9

8

0

年 度 ま で ほ ぼ

1

8

ノξ一セント前後,公債費は

4

0

4一セント台であった。イングランドとウエールズでは,地方公務員の俸給, 賃金は全国水準の団体交渉で決定され,地方自治体は大体においてこれを受け 入れていたようである。もっとも Iこれらの合意はlつの地方自治体の決定権

(26) K P Poole, The LOCill Governmenf Se仰化esin England and Wales, London, 1978,

(16)

417 イギリス・ヨークシャーの地方財政(2・完) 73-限をこえるものである。しかし,すくなくとも理論的には全国水準で交渉され た賃金と俸給を受け入れるかどうかの決定は,若干の例外を除いて個別の地方 自治体の判断による。」なお,

1

9

8

2

年度の人件費の委員会別内訳を示せば,第

8

表の通りである。大きい割合をしめるのは,環境衛生委員会とレクリエーショ ン委員会であり,両者で過半をこえる。それらに住宅委員会と博物館・美術館 委員会がつづく。これら4つの委員会で人件費全体の85パーセントに達する。 ところで,イギリスでは地方自治体の経費はほとんどが義務的なものであり, 各自治体の裁量の余地はほとんどないという「神話」があるが,スチュアート 教授は i多くの場合,地方自治体の任務を規定した法律は,活動の水準あるい は活動がおこなわれるべき方法を明記していない。充足すべき明確な最低水準 さえほとんど存在していないりとしづ。たとえば,郡議会の任務であると規定 されているごみ収集を例にとると,収集の回数,使用する車両,紙袋を使うか 缶を使うか,郡の職員がおこなうのか業務を委託するのかなどは郡議会の裁量 にまかされているのである。したがって iその他の経費」のうちどれだけが義 務的経費でありどれだけが義務的経費でないのかを判定するのはかなり困難で あろう。 つぎに経常勘定のいくつかの項目についlて立ち入って検討したし、。第1は, 住宅委員会の住宅費である。

1

9

7

4

年体制の下では大都市圏県と非大都市圏県の 郡議会の大きな任務は住宅政策の遂行である。住宅法にもとづく権限は,住宅 状況の調査,住宅の取り壊し・修繕・改良ならびにスラムの撤去,住宅用地の (27) Stewart, op.a,.tp..200 (28) Ibid, p.147.. C D.Foster et aL, Loω1 Government in a UnifaηState, London, 1980, p. 280,をみよ。 (29) 1983年から1984年にかけて約9カ月間ロンドン・クロイドン都区で私たち一家は生活 したが,ごみの収集は週1回,収集人が自宅の勝手口においてあるごみ缶 (dustbin)を 自ら取りにきて車まで運んだあと再びそれをもとの場所においてくれるというサービス の良さであった。しかも,ごみは台所ごみであろうとビンであろうと新聞紙であろうと, 高松のように区分けすることなくごみ缶に放りこんでおけばよかった(ただし,刈り取っ た芝生や庭木はごみとして出してはいけないと隣人の1人が注意してくれた〉。しかし, 種類のことなるごみをこみで収集したあとどのように処理するのであろうか。それは私 たちにとっては1つの謎であった。

(17)

-74- 第58巻 第2号 418 第9表 住宅保有形態の推移〔イングランドとウエーノレズ〉 (単位ノξ一セント〕 1914年 1938年 1960年 1971年 1975年 個 人 持 家 10 325 438 526 55 0 公 営 住 宅 と ニ ュ ー タ ウ ン 9 6 24 7 28 7 28..9 民 間 賃 貸 住 宅 等 90 57 9 31 5 19 3 16 1 fi gi 100 100 0 100 0 100 0 1000 住 宅 総 戸 数 (100万 戸 ) 79 114 146 17 1 180 〔出所JS.Lansley, Housing and Publ:たPoliの, London, 1979, p 158なお,原資料は, Department of Environment, Housing Policy Techniω1 Volume,1table1.23, p 38,である。 第10表 ヨーク市の住宅保有形態(1976年) (単位パーセント〉 ヨ f1 市 1シ ャヒョ ー グ一 県 イングランドとウ ェ ー ノ レ ズ 個人持家 549 62 5 54 9 公営住宅 30 5 192 28 9 民間賃貸住宅 14 6 18 3 162 会計 100 0 100 0 100 0 〔出所

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N orthY orkshire County Council, County Structure Plan Report 19 Housing, 1976, p“25 買収,住宅組合(HousingAssociations)の援助,レートと家賃の払戻し (rebat. es)をおこなう等広範囲にわたっている。 まず最初にイングランドとウエールズの住宅の保有形態の推移をみれば,第 9表の通りである。 1975年現在,住宅全体の過半は個人持家であり,それにつ いで大きいのは地方自治体が提供する公営住宅であり,これらは民間賃貸住宅 にとって代わってその割合を増大してきた。われわれが関心をもっ公営住宅は, 1914年以降,政府の様々な援助をうけて増加し, 1960年には全体の4分の Hこ 達したのである。そして, 1914年以降1960年までの公営住宅とニュータウンの (30) N.. Y C. c., Coun~y Structure Plan.. Report 19 Housing C以下,Housingと略称J, 1976, p.33

(18)

第 11 表 ヨーク市の公営住宅戸数の推移 (単位戸) 年 度 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 4 月 1 日現在の戸数 11 , 141 11 , 250 11 , 340 11 , 647 11 , 766 11 , 731 11.657 11 , 677 11 , 405 その年度に新築または 125 124 346 159 89 88 106 79 65 購入された戸数 言十 11.266 11 , 374 11 , 686 11.806 11 , 855 11 , 819 11 , 763 1 1. 756 11 , 470 その年度に売却された戸数 16 34 39 40 124 162 86 351 373 3 月 31 日現在の戸数 11 , 250 11 , 340 11 , 647 1 1. 766 11 , 731 11 , 657 11 , 677 1 1. 405 1 1. 097 〔出所) City of York , Abstracf 01 Accoun お,各年度版。 第 12 表 ヨーク市の公営住宅の種類 (単位戸) 年 度 1979 1981 老 人 用 住 宅 1 , 816 1 , 899

般 住 宅 9 , 841 9 , 475 l 寝 室 946 970 2 寝 室 2 , 944 3 , 190 3 寝 室 5.277 4 , 699 4 寝 室 以 上 674 616 ぷ口 斗 計 11.657 11 , 364 〔出所) N orth Y orkshire[ 以下 N.Y. と略称), Local Government Staftsftcs , 各年度版。 品同由

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〉ゐ 出lhyq寸iδ護法湿。黒 /¥ E中 討。

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(19)

-76ー 第58巻 第2号 420 増加の原因をみれば,それは圧倒的に新築された公営住宅の増加による。 ヨーク市の

1

9

7

6

年の住宅の保有形態についてみれば,それは第

1

0

表(北ヨー ク シ ャ ー 県 議 会 開 発 計 画 部 推 計 〕 の 通 り で あ る 。 ヨ ー グ 市 の 場 合 , 北 ヨ ー ク シャー県全体と比較すれば,公営住宅の割合がかなり高い。それは, ヨーク市 が北ヨークシャー県最大の都市であり,公営住宅の入居を希望する低所得者層 が多いことによると思われる。 ヨーク市の公営住宅戸数の推移は,第

1

1

表の通りである。純戸数は

1

1

0

0

0

戸 台で推移しているが,顕著な特徴として,第lに,新しく建設または購入され た 戸 数 が

1

9

7

8

年度以降大幅に減少していること,第

2

に,

1

9

8

1

年度以降売却さ れる公営住宅の戸数が大幅に増加していることである。そして,第lの特徴の 原因は,サッチャー政権の下での住宅補助金の削減である。全国的にみても, 公 営 住 宅 の 建 設 戸 数 は

1

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年 の

1

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千 戸 か ら

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年 の

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千 戸 ( 1

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2

0

年代以降の最低水準〕に減少している。 第

2

の特徴について言えば,地方自治体は元来公営住宅を販売することがで きたが,

1

9

8

0

年の住宅法により,それが一層推進されることになったのである。 つまり,公営住宅の庖子は最も割引率が大きい場合市場価格の半額で公営住宅 を購入する権利を得ることができるようになった。その結果,

1

9

7

9

年 か ら

1

9

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3

年 の 総 選 挙 の 聞 に 売 却 さ れ た 公 営 住 宅 は

5

0

万戸に達し,住宅全体にしめる持家 住 宅 の 割 合 は 54ノミ一セントから 59ノミーセントに上昇したので、ある。ヨーク市 (31) Stewart Lansley, Housing and Public Policy, London, 1979, p 159 (32) これを裏付ける材料を現在もっているわけではない。私の推論の根拠は,ランスリー氏 のつぎの指摘,すなわち r公営住宅は低所得の世帯,特に〔低所得の〕社会経済グルー プを受け入れる傾向をもっていることは明白である。 1976年には,専門職業の世帯のわず か 2パーセントおよび事業主ないし管理職の世帯の11パーセントが地方自治体の応子 であったのに比較し,半熟練労働者の 53パーセント,不熟練労働者の 65パーセントが地 方自治体の庖子であった。第 3・7表 [83ページ〕の示すように,貧困世帯の 45パーセ ントが地方自治体の公営住宅に住んでいるのにたいして,全所得ではそれは 31パーセン トである。j(ibid, p.85)ということにある。なお,貧困世帯とは,社会保障補足給付水 準以下の純所得をもっ世待をさす。 (33) Peter Riddell, The Thatcher Government, London, 1983, p..154 (34) Ibid, p 155 そして,公営住宅購入者の 56パーセントが保守党に, 18パーセントが 労働党に投票した。

(20)

421 イギリス・ヨークシャーの地方財政 (2・完〉 -77-の場合は, 1984年度に 350戸を売却し, 81万3千ポンドの収入をあげる見込み である。 ヨーク市の公営住宅の構成は 1982年度の 11,097戸のうち戦前に建設された ものが4割の 4,534戸, 1945年から 1964年に建設されたものが同じく 4割の 4,396戸,残りの 2,167戸が 1964年以降に建設されたものである。また,第 12 表のように(1981年度の合計戸数は第 11表と若干くいちがう〉全体の公営住宅 のうち老人用住宅が15ノf一セントをしめる。残りの一般住宅では

3

寝室のもの が約半分である。なお,言わずもがなのことであるが,イギリスでは住宅の大 きさは日本のように畳あるいは部屋の数ではなく寝室の数で表示される。そし て, 3寝室の住宅とは,大体において夫婦と子供2人用のためのものであろう。 さて,住宅委員会の歳出は,法定経常勘定(StatutoryRevenue Account)と 非法定(Non-Statutory)経常勘定に分かれる。まず,前者について。住宅法定勘 定は, 1935年以降法律によって地方自治体がその設置を義務づけられているも ので,公営住宅の供給に要したすべての経費が借方に記入され,家賃および国 庫補助金を含むその他の収入が貸方に記入される。この勘定は余剰金の取りく ずしまたは一般レート基金からの拠出によって単年度ごとに処理され,その収 支が均衡しなければならなL、。なお,公営住宅のための借入金はのちにみるよ うに統合借入基金で一体的に計理され, 60年間で償還されることになってい る。 ヨーク市の住宅法定経常勘定は,第13表の通りである。収入のうち最大のも のは公営住宅の家賃収入であるが,このうち10数パーセントは公営住宅の

λ

居 者にたいする家賃払戻しとして差しヲ│かれる。なお,地方自治体が支給するも のに,家賃払戻しとならんで家賃手当てがある。家賃払戻しないし家賃手当て をうける者は,公営住宅および民間賃貸住宅ないし住宅組合の住宅等に入居す町 る者で保健・社会保障省(DHSS)が支給する補足給付 (SupplementaryBenefit) (35) Lansley, opcit, p.109 (36) カリググワース教授は,両者は「本質的に同じものJ(JB Cullingworth, E:針。!yson Housing Policy the British Scene, London, 1979, p.132)という。

(21)

第 13 表住宅法定経常勘定 (単位 ポンド・パーセント〉 1976 年度 1979 年度 1982 年度 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 家 賃 純 収 入1) 1 , 780 , 597 49.0 2.225.819 47.1 4 , 758 , 361 64.5 家 賃 収 入 2 , 365 , 060 65.1 2.903.360 6 1. 4 6.027.514 8 1. 7 家 賃 払 戻 し 584 , 463 16.1 677 , 541 14.3 1 , 269 , 153 2) 17.2 収 国 庫 補 助 金 1 , 404 , 381 38.6 1 , 894 , 498 40.1 1 , 183 , 262 16.0 改 良 補 助 金 135 , 526 3.7 137 , 844 2.9 一一 3) 家賃払戻し補助金 435 , 378 12.0 504.435 10.7 1. 183.262') 16.0 1974 年法補助金 833 , 477 22.9 1. 252.219 26.5 入 一般レート基金からの拠出 284.540 7.8 301 , 336 6.4 479 , 458 6.5 そ の 他 の 収 入 165.937 4.6 303 , 003 6.4 959 , 438 13.0 l口'" 計 3.635.455 100.0 4.724.656 100.0 7.380.519 100.0 ~ 債 費 2 , 431 , 757 68.4 3 , 107 , 443 63.6 3.72 1. 219 52.0 支 修 繕 費 599 , 162 16.9 1 , 018 , 545 20.9 1 , 946 , 370 5) 27.3 管 理 費 513 , 033 14.5 745 , 075 15.3 1 , 454 , 439 20.4 出 そ の 他 の 経 費 5.569 0.2 1 1. 041 0.2 18 , 350 0.3 l 口 h 言十 3 , 549 , 521 100.0 4.882.104 100.0 7 , 140 , 377 100.0 赤 寸 ~ ま た は 黒 十 炉ム噌 85.934 ム 157 手 448 240 , 142 繰 越 金 89 , 303 77.134 240 , 142 注1) 家賃純収入は家賃収入から家賃払戻しを差し引いたもの。 2) 家賃払戻しと住宅給付 (Housing Benefits) の合計。 3) 改良補助金は住宅非法定勘定に計上される。 4) 住宅給付補助金である。 5) 修繕基金へ拠出。 〔出所) City of Y ork , Absfracf 01 Accoun お,各年度版。 ludwl 戦叫印∞蛾瀦Nd AHNN

(22)

423 イギリス・ヨークシャーの地方財政 (2・完) -79-を 受 け て い る 者 で あ る 。 そ し て , そ れ ら は , 補 足 給 付 受 給 世 帯 の 収 入 と 必 要 経 費の差額を計算して算定される。 設例で示そう。 1984年 度 で は1週 間 の1人 当 た り の 必 要 経 費

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は,独身者が訪れ05ポンド,夫婦が63..50ポンド,子供が

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引90ポンド である。ここに,週給90ポンドの収入のある,子供2人 を も っ た 夫 婦 が 家 賃 週 12ポ ン ド の 公 営 住 宅 に 入 居 し て い る ケ ー ス を 考 え る と , こ の 世 帯 の 収 入 と 必 要 経費はつぎのようになり,家賃払戻しが算出される。 収入賃金…・…………一……一………,.""""....……….."..・o・..90ポンド 児童手当…....川……ー・……"",,..…………・・…川ω川""0.…'13..00ポンド 世帯所得補足給付,,"....……川……u ……・…………・………5..75ポンド 合 計 108.75ポンド 賃金控除川…………,..".."“""...(………・…..…l……一17.45ポンド 査定所得………・…ゎ…"………一…・・………・…………9L30ポンド 必要夫婦…"………・…"….,'..……"",,"..…"“',""""0."。川,,,.,,,,,,,..,,・ぃ6350ポンド 経 費 子 供2人一一………".."・刷川川 0・・"'………,...,,23..80ポンド 合 計 8730ポンド 超過所得….",………""""………。…1……4..00ポンド 週当たり家賃………・……一一…"",."..…………・………….12ポンド 基 本 払 戻 し ( 家 賃 の60パーセント〉似)…川…"..0"……ー・7,20ポンド 超 過 所 得 の26パ ー セ ン ト を 減 額

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1

04ポンド 週当たり家賃在疾し似)ー (B)……"..,."...…616ポンド な お , 家 賃 払 戻 し な い し 家 賃 手 当 に た い し て は 国 庫 補 助 金 が 交 付 さ れ る 。 す な わ ち , 前 者 に た い し て は75パ ー セ ン ト , 後 者 に た い し て は80ノξ一セントの (37)Ibid, p..133 (38) City of York, Rent RebatejAllOWa1κe Schemes Effective from2nd April 1984.

(23)

-80ー 第58巻 第2号 424 補助金が地方自治体に交付されるのである。 ヨーク市における家賃払戻しと家賃手当ての支給状況は第14表の通りであ る。すなわち,家賃払戻しは公営住宅入居者の4人ないし5人に1人が受け, その金額は公営住宅家賃のほぼ半分に相当する。家賃手当の受給者は家賃払戻 しのそれに比較すればかなりすくなL、。これは, ヨーク市の場合民間賃貸住宅 等が多くないことが原因であろう。 なお,ヨーク市の公営住宅の1戸当たりの週平均家賃は, 1970年代後半は 3 ポンドないし4ポンド台で推移してきたが,第 14表のようにサッチャ一政権下 では急速な値上がりを示し, 1983年には 10ポンド 57ペンスに達している。 住宅法定経常勘定の支出をみると,最大の支出項目は公債費である。これは, 1974年度以降漸減傾向を示してはいるものの, 1982年度においても支出の過半 をしめている。ついで大きいものは公営住宅の修繕費である。これは1981年 度 以降は独立の住宅修繕基金

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が設置され,そこで処理さ 第14表 ヨーク市の家賃払戻しと家賃手当て 1979年度 1980年度 1981年度 家 賃 払 戻 し 平 均 受 給 者 数 ( 人 )(A) 2,436 2,617 2,944 平均適当たり金額(ポンド〉侶) 2 87 361 4 83 週 平 均 の 家 賃 〔 ポ ン ド )(C) 510 6.88 860 ~、2、B 営 住 宅 数 戸 ) (D) 11.657 11,677 11,405 (B)/(C)(パーセント〉 56 51 50 W/(D) (パーセント〉 21 22 26 2反 賃 手 当 て 3月31日現在の受給者数(人〉 510 523 570 平 均 週 当 た り 金 額 ( ポ ン ド 〉 327 3 52 427 〔出所J

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, Local Government Statisti:cs,各年度版;

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425 イギリス・ヨ クシャーの地方財政 (2 ・完) -81-第15表住宅非法定勘定 (単位 ポント・パーセント〉 1982年度1) 1984年度2) 金 額 構 成 比 金 額 構 成 比 住 宅 の 改 良 69.708 10 2 99,440 11 1 般 住 宅 改 良 事 業 19.785 2 9 28,680 3 2 無 宿 者 保 護 54,652 8 0 37.930 4 2 住 民 保 議 2.338

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3 5.820

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6 住 宅 需 要 調 査 29,500 4 3 不 適 格 家 屋 の 撤 去 4,844

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7 14,960') -17 家賃払戻しと家賃手当の事務 9,324 1 4 10,790 1 2 家 賃 手 当 18,262 2 7 38.220 4 3 法 定 経 常 勘 定 へ の 拠 出 479,459 697 667.320 74 5 住 宅 助 言 セ ン タ 一 等 13,858 2 0 17,920 2 0 住 宅 組 ぷ仁〉3、 2.528')

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3 4.400

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5 住 宅 貸 付 12,918') -19 1.180

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1 メ仁〉1、 686284 100 0 896.740 100 0 注1) 決算である。 2) 予算である。 3) 貸付金の返済により黒字となる。 4) 補助金の交付により黒字となる。 〔出所)Y ork City Council, Budget Strategy1984 -85, p 35 れている。 つぎは住宅委員会の非法定経常勘定である。これは

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年代後半においては 総経費の

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パーセント台をしめていたが,

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年代に入るとその割合は激減 し,

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年度には

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ノ4一セントになっている。レート基金で処理される住宅非 法定勘定の内訳は,第15表の通りである。これは補助金等の収入を差しヲ

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¥,、た 純経費であるが,最大の構成比をもっ項目は法定勘定への拠出である。これは, 家賃払戻しに要した金額のうち国庫補助金によって補填されない部分や家賃払 戻しの事務に要した経費等を自治体が拠出することを法律によって義務づけら れているためにおこなわれるのである。もちろん自治体はある金額を任意に法 (40) Y ork City Council, Budget Strategy1984-8ふp43

(25)

-82 第58巻 第 2号 426 第16表 住 宅 改 良 補 助 金 の 申 請 状 況 1983年4月1日か受ら付同け年た 11月25日まで申請を 件数 1までに承983年11雪月ロ月,b 2した申請件数5日 修 繕 補 助 金 741 632 任 意 補 助 金 170 106 中 間 補 助 金 20 19 特 別 補 助 金 3 2 ぷ口斗 934 759 〔出所Jlbid, p 37 定経常勘定に拠出することができる。ヨーク市の場合, 1984年度の拠出額479, 459ポンドのうち347,580ポンドが任意のもの(Non-Mandatory)である。 しばらく前わが国の住宅が「ウサギ小屋」であるといわれて論議をまきおこ したが,イギリスの住宅状況も必ずしも満足すべきものではなし、。そこで政府 や地方自治体は種々の方策を講じて住宅の改善を試みているが,その

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つが住 宅の改良を促進する補助金の交付である。 1974年住宅法により,住宅が風呂や シャワー,屋内トイレ,給水・給湯設備,台所の流しをそなえていない場合, 家主(個人住宅)は自動的に住宅改良補助金を受ける資格をもつことになった。 ヨーク市議会は, この行政のため7名の職員を雇用している。最近の補助金申 請とその交付の状況は,第 16表の通りである。そして,これに関する中央政府 からの補助金も近年急速に増加して 1984年度には96万ポンドがヨ}ク市議会 に交付される見込みである。 一般住宅改良事業とは,特定の地域の住宅の整備・改善をはかるもので, 1969 年の住宅法にもとづく。住宅一般改良地区(GeneralImprovement Areas)の指 定をうけると,その事業費の60ノf一セントは補助金で補填される。さらに, 1974年住宅法は住宅緊急改良地域(HousingAction Areas)の指定をおこなう とともに,その事業を

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年間で完成することを義務づけ,より一層強力な住宅 の改善を短期間にはかる方策を導入した。このような住宅改良事業の推進の成 (41) Lansley, ot.cil, p 90 (42) lbid, p..230;Cullingworth, ot.ιit, pp..88-91

(26)

427 イギリス・ヨーク、ノャーの地方財政(2・完) 83 果であろうか, 1984年の初夏にヨーク市の旧市街を歩いてみたところ新しい住 宅群がそこここに完成したり建築中であったりした。 無宿者保護とは1972年の無宿者保護法(HomelessPersons Act)にもとづ き,単身者の場合は,まずホステルを提供し,それが一杯の時は一泊朝飯っき の家を与え,家族の場合は,暫定的に第2段階収容施設(StageII accommoda-tion)に収容したのち公営住宅に入居させるものである。ヨーク市において無 宿人として申請をする者は年間420人,申請が受理される者は180人である。 第2に,経常勘定総経費のほぼ1割をしめる開発委員会についてみる。この 委員会の経費支出の過半は駐車場のためのものである。ヨーク市でかつて生活 した経験で言うと,わが国と比較して公営駐車場が格段に発達している。市内 には,今日,観光客や通勤者のための長時間駐車場や買い物客のための短時間 の駐車場等がある。 1984年現在,各種の駐車場の合計収容台数は4,800台にの ぼる。ヨーク市の人口は

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千人であるから

1

台の駐車スペースにたいす る市民の数は20人である。そして,駐車料金は日本と比較してかなり安い。 開発委員会は,道路と下水道の委託事業をおこなうとともに,パス停留所の 椅子や上屋,街頭の時計,街灯の管理をおこなう。われわれがイギリスでよく 世話になる2大物件は街路名を示す道路標識と公衆便所であろうと思うが,開 発委員会は,市内に1.990ある道路標識の維持管理を担当する。取りかえる道 路標識は年間に360個である。なお,この委員会はヨーク市に豊富に存在する 史跡の保存も担当している。 第3に,経常勘定総経費の約8パーセントをしめる環境衛生委員会について みる。この委員会は,害虫・害獣(ネズミ・ウサギ等〉の駆除,野良犬の取り しまり,火葬場・墓地の管理等もおこなうが,経費支出の大きなものはゴミの 収集,街路の清掃と公衆トイレの管理である。ヨーク市では(一般的にイギリ スでは, と言L、かえてもよいであろう〉公衆便所の数が限られているうえにデ 。ートやスーパー,公立図書館等にも便所がなし、。したがって,女性や子供づ (43) N..Y C.C.Housing, p.39.もみよ。

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-84ー 第58巻 第2号 428 れの時など便所さがしにー苦労する。しかし, しばらく生活して公衆便所の場 所が頭に入るとそんなに困らないし,公衆便所には通常管理人がおり,便所は 常に清潔に保たれ気持ちがよい(ただし,男性の大使と女性便所を使用するさ いには料金がL、る〉。ヨーグ市の管理人つきの公衆便所は9カ所,管理人の数は

2

0

人, トイレ清掃人は

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人である。 最後に,経常勘定の約8パーセントをしめるレクリエーション委員会をみる と,この委員会は62のフットボール競技場, 8つのクリケット競技場, 16のテ ニス・コート,そして 3つの水泳プール(温水)を管理している。水泳プール は私たちもかつて利用したことがあるが, ヨーグ市民は四季を通じて水泳をた のしむ。

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年度の利用者は年間

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千人に達したという。もちろん,プー ルを利用するには料金を支払わなければならないが,それもわが国に比較して かなり安い。 さらに,この委員会は,公園,

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か所の市民農園

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人が利用),入会地 (strays) (337ヘクタール〉も管理する。ヨーク市は観光都市を標梼しているだ けあって,市内の公園はよく手入され,美しし、。市の公園部には8名の常勤事 務職員と 93名の常勤の現業職員〔庭師等〉がし、るo< なお,第

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表の

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年度にはレート徴税費とレート払戻しの一部分が計上さ れているが,これらは制度の変更により

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年度以降郡議会が負担することに なったものである。 XI ヨーク市の財政一一経常勘定(その2) 一 一 つぎは経常勘定の歳入である。第

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表をみよ。ヨーク市の場合,歳入の半分 から6割におよぶものがその他の収入から調達されている。収入金額でみると, (44) ‘Budget Report', York City Council, Budget 1981-82, p..l,をみよ。 (45) これは, ョ-11市の『決算概要』の総括表を,北ヨークシャー県議会の歳出・歳入総括 表にそって若干手直しをして作成したものである。なぜ手直しをしたかというと,ヨ-11

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の『決算概要』では総経費からその他の収入を差し号1,、たものが純経費として表示さ れ,それから特定補助金を差し号1,、たものが純負担(NetCost)として表示されているか らである。なお,行政サービス純負担 (NetCost of Services) とは,純経費からレート 援助補助金を差しヲI¥,、たものであり,それがただちにレート負担を示すものではなL。、

(28)

(単位 ポンド・パーセント〉 第 17 表 ヨーク市の経常勘定歳入内訳

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一一一一一一一一一一一一一

ι ー← 1976 年度 1979 年度 1982 年度 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 総 経 費 (A) 9 , 629 , 102 100.0 12.843.657 100.0 18.859.017 100.0 特 定 補 助 金 (B) 1 , 194 , 263 12.4 2 , 447 , 211 19.1 1 , 894 , 202 10.0 そ の他の収入 (C) 5 , 727 , 930 59.5 6 , 695 , 996 52.1 11 ,7 55 , 981 62.4 純経費( A )一( B )ー( C ) 2 ,7 06 , 909 28.1 3 , 700 , 450 28.8 5 , 203 , 834 27.6 V ート援助補助金(財源要素) 996 , 461 10.3 861 , 500 6.7 3 , 440 , 000 ') 18.2 レート援助補助金(需要要素) l. 024 .480 8.0 行政サービス純負担 1 , 710 , 448 17.8 1, 814 , 470 14.1 1 , 763 , 834 9.4 注1) 包括補助金である。 〔出所) City of Y ork , Abslracl 01 Accoun ふ各年度版。 (単位ポンド〉 第 18 表その他の収入内訳(1 982 年度〉 委 員 メヱ主 ミ 名 金 額 主 な 項 目 関 発 委 員 会 1 , 241 , 058 駐車場収入, 729 , 279 ポンド 委託業務 収入, 330 , 655 ポンド 環境衛生委員会 365 , 118 火葬場使用料, 154 , 111 ポンド 住宅委員会(非法定勘定〉 1 , 180 , 242 住宅貸付金の返済, 1 , 184 , 873 ポンド H 博物館・美術館委員会 757 , 809 ヨーク滅博物館収入, 648 , 029 ポンド 政策・財源委員会 74 l. 939 ニューゲイト市場収入, 192 , 492 ポメド V !1 リエーがヨン委員会 343 , 923 水泳プーノレ収入, 132 , 000 ポンド 手リ 子 収 入 802 , 764 言十 5 , 432 , 853 住宅委員会〔法定勘定〉 6 , 197 , 257 家賃, 6 , 027 , 514 ポンド ウーズ川航行小委員会 125 , 871 15 ‘ 百十 11 , 755 , 981 注1) r 決算概要』の通りである。 〔出所) City of York , Abslracl 01 Accounls 1982-83. 品N由 一、 -'/t: ).l 出lhy℃

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86- 第58巻 第2号 430 それは1980年度以降大幅に増加し, 1982年度には1979年度に比較して 18倍 になっている。へ yプワース氏によると,その他の収入は,国庫補助金, レー トにつぐ第3の収入源であり,地方自治体の経費全体の約35パーセントをまか なっている。ヨーク市の 1982年度のその他の収入の内訳は,第四表の通りで あるが, これは公営住宅の家賃,住宅貸付金の返済,利子収入,駐車場収入, 入場料等と多様な形をとる。そして,今日,使用料・手数料等の引き上げは, 〔地方自治体の〕行政活動水準の低下を回避す!る手段となっている。」とは,ス チュアート教授の指摘である。それも,サッチャ一政権下における地方財政の 厳しい抑制に対処しようとする地方自治体の態度のあらわれであろう。 特定補助金はほとんどが住宅委員会に交付されたものである。 レート援助補助金のうち需要要素補助金は,北ヨークシャー県議会の経常勘 定歳入のところですでに言及したが, 1979年度から郡議会にたいしでもその一 部が交付されることになった。このような制度変更の「背景には, これらの非 大都市圏域における

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郡〕にたし、しては,財政需要にみられる地方団体 聞の格差に関しては,何等の財源保障指置がとられてこなかったことが存在し ている。」と高橋教授はしづ。そして, ヨーク市の場合, 1979年度, 1980年度 の両年度におし、ては,財源要素補助金を上回る需要要素補助金が交付され,大 幅な歳入増加がもたらされた。 さらに,これもすでに言及したが, 1981年度から財源要素補助金と需要要素 補助金を統合した単一の包括補助金が導入され,各自治体の標準的な財政支出 を示す補助金関連経費見積り

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と略称〉が算定されることとなった。その結果, ヨーク市議会の場合, 包括補助金は大幅に増加し得をすることになった。市財政部長のシェパード氏 は, 1982年度の予算報告において,

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の計算の重要な変更がおこなわれ (46) Hepworth, opαt, p..105 (47) Stewart, op.. cit, p..205 (48)高橋誠「現代イギリス都市財政の分析J(下), r経済志林』第47巻第4号, 1979年12 月, 41ベージ。 (49) この点は,オプライエン氏も認めた。

(30)

八日ωH 、﹁斗V4ZUN--出ihyそ一守 l見﹀送油田斗阿片 (N・尚﹀ ヨーク市の一般レー卜基金純経費歳入内訳 1979 年度 1980 年度 1981 年度 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 レート援助補助金(財源要素〕 861 , 489 24.4 992 , 230 22.8 レート援助補助金(需要要素) 1. 024 .480 29.0 1 , 233 , 840 28.4 2 , 546 , 000 66.7 レ ト 収 入 1 , 379 , 246 39.1 1. 513.350 34.8 1. 605.770 42.1 余剰金の取崩し(+)または積立(-) (+ )263 , 327 (+)7.5 (+ )610 , 630 (+)14.0 (一 )336 , 942 (-)8.8 l 口 h 計 3.528.542 100.0 4 , 350 , 050 100.0 3 , 814 , 828 100.0 ヨーク市の一般レート基金純経費歳入内訳(つづき) 1982 年度 1983 年度 1984 年度 金 額 構成比 金 額 構成比 金 額 構成比 レート援助補助金(財源要素〉 3 , 440 , 000 63.1 3 , 180 , 000 65.8 3 , 128 , 000 63.5 レート援助補助金(需要要素) レ ト 収 入 1. 469.723 26.9 1. 535.000 3 1. 8 1. 556.000 3 1. 6 余剰金の取崩し(+)または積立(ー) (+ )546 , 589 (+)10.0 (+ )115 , 720 (+)2.4 (+ )242 , 000 (+)4.9 メ口 入 計 5 .4 56 , 312 100.0 4 , 830 , 720 100.0 4.926.000 100.0 。己

注1) 金額は決算額である。但し, 1980 年度言 1983 年度は決算見込額であり, 1984 年度は予算である。 2) 1981 年度からレート援助補助金は包括補助金となる。 〔出所 J Y ork City Council , BUdget , 各年度版。 汁。

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・舟川町関、時理補応)細川判担調。九)汁δgu叫 第 19 表 ポンド・パーセント J (単位 斗hv¥ て藻強川明斗H汁。

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1978年兵庫県西宮市生まれ。2001年慶應義塾大学総合政策学部卒業、

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