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本日の話題 Ⅰ. 環境アセスメント法制度の改正主な改正事項の概要 対象事業の追加 Ⅱ. 風力発電施設に係る環境アセスメント風力発電施設の概要 制度導入の経緯 風力発電による環境影響 技術的手法等 Ⅲ. 法制度における基本的事項の見直し基本的事項の位置づけ 新たな基本的事項の検討 ( 計画段階配慮事項

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(1)

風力発電施設に係る環境

影響評価の課題

法政大学社会学部・同大学院 教授

環境アセスメント学会・理事

田中充

環境影響評価研修

福岡・西部ガスパピオン24

2012年2月3日

1

(2)

本日の話題

Ⅰ. 環境アセスメント法制度の改正

主な改正事項の概要、対象事業の追加

Ⅱ.風力発電施設に係る環境アセスメント

風力発電施設の概要、制度導入の経緯、風

力発電による環境影響、技術的手法等

Ⅲ.法制度における基本的事項の見直し

基本的事項の位置づけ、新たな基本的事項

の検討(計画段階配慮事項、事後調査等)、検

討会報告書の概要

2

(3)

3

Ⅰ. 環境アセスメント法制度の改正

環境アセス制度見直しの必要性と経緯

環境アセスメント法は大規模かつ国が一定の関与を行う事

業(例:道路、ダム、発電所等)の実施前に、事業者自らが

環境影響を調査・予測・評価することにより、より環境に

配慮した事業の実施を確保するもの

法施行後10年が経過し、社会状況の変化や法の運用実態か

ら明らかになった課題に対応することが必要である

*「政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、

この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基

づいて必要な措置を講ずるものとする」(環境影響評価法

附則7条)

→平成23年4月22日改正法の成立、同27日改正法公布

(4)

4

1.交付金事業を対象事業に追加

風力発電を法対象事業に加える

2.計画段階配慮書手続の新設:戦略的環境アセ

スの制度化

3.方法書における説明会の開催の義務化

4.電子縦覧の義務化

5.政令で定める市から事業者へ直接の意見提出

6.方法書における主務大臣への環境大臣意見

7.評価書における環境大臣の助言

8.環境保全措置結果(事後調査)の報告・公表

(1)環境アセス法改正の主な要点

(5)

5 出典:環境省資料

改正環境アセ

ス法の手続

赤字・赤矢印が

改正事項

(6)

対象事業に係る改正:交付金事業を対象に追加

【改正事項】

交付金事業を対象

事業に追加

【従来】

・補助金が交付金化

【必要性】

・交付金化によりこれまで法対象

の事業が対象外となる可能性

【改正事項】

風力発電所を対象

事業に追加

(政令改正事項)

【従来】

・風力発電アセスは一部の自治体が条

例や要綱で義務付け

・NEDOマニュアルは自主アセス

【必要性】

・風力発電事業の大幅な増加 ・騒音等への苦情・鳥類への被害 自主アセスでは住民参加が不十分と指摘

対象事業種の拡大:風力発電施設の追加

(7)

7 13.宅地の造成の事業(「宅 地」には、住宅地、工場用地 も含まれる。) 面積 100ha 以上 面積 75ha~100ha ○港湾計画 埋立・堀込み面積の合計 300ha 以上

(参考)

これまでの

法対象事業

*風力発電所

の新規追加

・第1種:出力

1万kW以上

・第2種:7500

kW以上

(1万kW未満)

事業の種類 第一種事業 第二種事業

(8)

施行令改正、23年11月16日公布、24年10月1日施行

風力発電所に係る主な環境影響

1.騒音・低周波音

・風力発電所近隣では、地域住民が騒音・低周波音の苦情を訴え

る問題が生じている

・風力発電所389か所(環境省調査)のうち騒音・低周波音に関す

る苦情や要望書が提出されたものは64か所

2.バードストライク

・鳥類が風車の羽根(ブレード)に衝突する事故が発生

3.景 観

・風力発電設備は、相当の高さ(定格出力が1000kWから2000kW

の風車ではタワーの高さ60~80m、ブレードの直径は60~90m)

を有し、稜線上、海岸、岬、高原等の見通しの良い場所等に建設

される場合が多く、景観問題が生じている

4.その他

・工事用道路の自然破壊、シャドーフリッカー等

8

Ⅱ.風力発電施設に係る環境アセスメント

1.風力発電に係る環境影響評価制度の導入(1)

(9)

風力発電施設が環境アセス対象になる背景

中央環境審議会の答申(2010年2月)において、「風力発電施設の設置を法

の対象事業として追加することを検討すべき」とされた。

(低炭素社会への転換に向けた期待)

• 低炭素社会への転換に当たり、再生可能エネルギーの導入は重要。中

でも、風力発電は、出力が不安定といった課題が指摘されるものの、相

対的に発電コストが低いこともあり、導入に期待。

(環境影響の懸念)

• 一方、騒音・低周波音に関する苦情、希少な鳥類の衝突事故(バードス

トライク)、土地改変に伴う動植物や水環境への影響、景観への影響等

の環境影響が指摘。

(環境アセスメントの実施状況)

• 一部自治体においては条例による環境アセスメントが義務付け。また、

「NEDOマニュアル」による自主的な環境アセスメントが実施。しかしなが

ら、条例以外のアセスにおいては、約1/4の案件で住民の意見聴取手

続きが行われていないなどの課題。

9

2.風力発電に係る環境影響評価制度の導入(2)

(10)

環境影響評価法改正に伴う審議・中央環境審議会答申

Ⅱ.今後の環境影響評価制度の在り方

2.対象事業について

(5)風力発電施設への対応 近年我が国における風力発電施設の導入量は増加しており、地球温暖化対策の推進 により、今後、民間事業者による大規模な風力発電事業の大幅な増加が予想される。 風力発電施設の設置に当たっては、騒音、バードストライク等の被害も報告されている。 現在は、一部の地方公共団体において条例による環境影響評価が義務付けられている 他、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が作成したマニュア ルによる自主的な環境影響評価が実施されているものの、条例以外による環境影響評 価等を実施した風力発電設備設置者に対するアンケートにおいては、環境影響評価を実 施した案件のうち約4分の1が住民の意見聴取手続を行っていないこと、また、NGOへの ヒアリングにおいては、方法書・評価書案の縦覧を行わずに補助金の申請がなされてい る事例があること、といった課題が挙げられている。また、電気事業法(昭和39年法律第 170号)の許認可を捉えて環境影響評価を実施することが可能である。以上の点も踏まえ、 風力発電施設の設置を法の対象事業として追加することを検討すべきである。 なお、専門委員会における議論の中では、風力発電施設は風況の関係から適地も限ら れるため、条例やNEDOのマニュアルにより対応することが適切であるという意見もある。 また、自然公園区域を管轄する個別法等の手続と法の手続が重複するような場合が出 てくるかもしれず、整理が必要ではないかという意見もある一方、生物多様性保全の観点 から自然公園区域では風力発電施設も含め規制されるべきという意見もある。 10

(11)

出典: NEDO「風力発電導入ガイドブック」 11

①風力発電の仕組み:風力エネルギーで風車を回し、その回転運動を発電機に伝

えて電気を起こす発電方法

ロータ系 ブレード:回転羽根、翼 ロータ軸:ブレードの回転軸 ハブ:ブレードの付け根をロータ軸に連結 伝達系 動力伝達軸:ロータの回転を発電機に伝達 増速機:ロータの回転数を発電機に必要な回転数に増速するギア装置 電気系 発電機:回転エネルギーを電気エネルギーに変換 電力変換装置 :直流、交流を変換 変圧器:系統からの電気、系統への電気の電圧を変換 系統連系保護装置:異常・事故時等に設備を系統から切り離し、系統側の損傷を防ぐ 運転・制 御系 出力制御:風車出力を制御 ヨー制御:ロータの向きを風向に追従させる ブレーキ装置:台風時、点検時等にロータを停止 風向・風速計:出力制御、ヨー制御に使用 運転監視装置:風車の運転、停止、監視、記録 支持・構 造系 ナセル:伝達軸、増速機、発電機等を収納する部分 タワー:ロータ、ナセルを支える部分 基礎:タワーを支える基礎部分

2.風力発電施設の概要(1)

(12)

12 実際の風力発電は、単数又は複数の風力発電設備により発電を行っている。 検討会では、下記のとおり関連語句を定義する。 • 風力発電設備:風が持つ運動エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムのう ち、発電所の郊外に設置させる遠隔監視制御装置、表示板等を除く発電装置(ブレー ド、ナセル、タワー等で構成) • 風力発電所:1グループ又は複数グループの風力発電設備 • 風力発電事業:風力発電所を設置する事業 電力系統 発電所敷地境界 風力発電所 風力発電設備

②風力発電所の構成

出典: 環境省資料

2.風力発電施設の概要(2)

(13)

出典: NEDO「風力発電導入ガイドブック」、NEDOホームページ 13

風力発電設備は大型化が進んでおり、1基当たりの平均出力は

2009年度で2,012kW

※我が国に導入されている風力発電設備は最大で3,000kW 1 基当た り の平均出力 ( kW / 基)

③風力発電設備の大きさ

2.風力発電施設の概要(3)

(14)

14 地方公共 団体 事業種 規模要件 実施 福島県 風力 発電所 第1区分:総出力1万kW以上又は風力発電の台数15台以上 第2区分:総出力7,000kW以上かつ1万kW未満又は風力発電 所の台数10台以上かつ14台以下

長野県 風力 発電所 総出力 1万kW以上

滋賀県 風力 発電所 総出力 1,500kW以上

兵庫県 風力 発電所 一般地域:1,500kW以上、自然公園等特別地域:500kW以上

岡山県 風力 発電所 総出力 1,500kW以上

長崎県 風力 発電所 総出力 15,000kW以上又は風力発電所10台以上

新潟市 風力 発電所 一般地域:1万kW以上、特別配慮地域:6,000kW以上

2.風力発電施設の概要(4)

風力発電所建設に係る地方の環境アセス制度

出典:環境省資料

(15)

風力発電の環境影響評価マニュアル

1.NEDOの自主マニュアルに基づく環境アセス

・ NEDOは、風力発電に関する環境影響評価の調査・予測手法

としての手順を示すことを目的に、マニュアルを策定している

・NEDOマニュアルは、風力発電に関する環境影響評価の調査

手法として具体的なモデル例を示したもの

・マニュアルは、概ね総出力1万kW以上の風力発電事業を対象

15

2.風力発電施設の概要(5)

(16)

3.風力発電施設の立地の背景 (1)我が国の自然環境

•我が国は、幅広い気候帯、大きい標高差、地質的複雑性・脆弱性、高い固有種割合を有し、生態 系は複雑で多様。また、日本列島全体が渡り鳥にとって重要な渡り経路。 → 風力発電は尾根等脆弱な環境に立地されることから、こうした自然特性を十分考慮する必要。 地点間のデータが連続し て得られている区間 地点間のデータが2日以 上空いている区間 サシバ 秋期 ハチクマ 春期 国名 森林 面積率 動植物の固有種割合 ほ乳類 鳥類 は虫類 両生類 維管束 植物 日本 68.2% 22% 8% 38% 74% 36% フランス 28.3% 0% 0% 3% 9% 3% 韓国 63.5% 0% 0% 4% 0% 8% スペイン 35.9% 0% 2% 21% 14% 19% イタリア 33.9% 0% 0% 3% 29% 13% 英国 11.8% 0% 0% 0% 0% 1% ドイツ 31.7% 0% 0% 0% 0% 0% 中国 21.2% 0% 6% 24% 54% 56% 出典 (社)全国地質調査業境界連合会、FAO、WRI、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ、環境省 16

(17)

3.風力発電の立地の背景 (2)地球温暖化対策との関係

出典:NEDOホームページ

•温室効果ガス削減目標の達成や東日本大震災を受け、再生可能エネルギーに対

する期待が高まっている。

•今後の風力発電は、透明性の高い環境アセスを適切に実施し、環境保全への配慮

を図ることで、再生可能エネルギー導入促進や地球温暖化対策を推進していくこと

が重要。

•2009年度に新たに30.6万kW(152基)が稼働を開始、2009年度末までに導入された

風力発電は219万kW(1,683基)。また近年、一基当たりの定格出力、一事業当たりの

総出力とも、大型化の傾向。

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000 ~ 1 9 8 9 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 年度 総 設 置 基 数 ( 基 ) 総設置基数 総設備容量 総 設 備 容 量 (k W ) • 「エネルギー基本計画(2010年6 月閣議決定)」 2020年までに一次エネルギー 供給に占める再生可能エネル ギーの割合を10%とする目標 • 「中長期の温室効果ガス削減目 標を実現するための対策・施策 の具体的な姿(中間整理) (2010年12月)」 2020年までの風力発電の導入 量として1,131万kWを見込む ・再生可能エネルギー買取法の 成立(2011年7月、12年7月施行) <再生可能エネルギーの導入等> <我が国の累積の設備容量及び基数の推移> 17

(18)

3.風力発電の立地の背景

(3)我が国の導入状況

出典:NEDOホームページ

2009年度には、新たに30.6万kW(152基)が稼働を開始している。

0 50 100 150 200 250 300 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 450,000 500,000 ~ 1 9 8 9 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 稼働年度 設 置 基 数 (撤 去 さ れ た も の を 含 む )( 基 ) 設置基数 設備容量 設 備 容 量 (撤 去 さ れ た も の を 含 む )( kW ) 18 稼働開始年度

各年に稼働を開始した発電所の設備容量の推移

(19)

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 北 海 道 青 森 県 岩 手 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 県 新 潟 県 静 岡 県 愛 知 県 岐 阜 県 三 重 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 滋 賀 県 京 都 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 県 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 山 口 県 徳 島 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 県 沖 縄 県 2007 2008 2009 総 設 備 容 量 (k W )

3.風力発電の立地の背景

(4)我が国の導入状況

出典:NEDOホームページ

上位5道県は①青森県、②北海道、③鹿児島県、④島根県、⑤秋田県

19

都道府県別の累計の設備容量の推移

(20)

4.風力発電事業による主な環境影響 (1)

64か所の風力発電所において苦情等が発生 総出力別の苦情等の発生状況(最寄り苦情 者宅までの距離が600m以内): •5,000kW~1万kW : 27%で苦情等が発生 •1万kW~1.5万kW : 38%で苦情等が発生 •1.5万kW~2万kW : 44%で苦情等が発生 •2万kW~3万kW : 69%で苦情等が発生 風力発電所から最寄り住宅までの距離: •300m未満 : 107か所(28%) •300m~500m : 91か所(23%) •500m~1,000m : 112か所(29%) •1,000m以上 : 72か所(19%) ○ 騒音・低周波音 出典 環境省 B風力発電所 C風力発電所 D風力発電所 A風力発電所 ○ 景観 眺望景観の中で複 数の風力発電所が 視認される例(下) 近隣の住宅から 見た風力発電設 備の例(右) 13 33 38 30 30 15 14 11 8 42 15 4 4 7 15 9 4 4 6 3 2 2 8 2 2 6 17 12 7 3 8 3 2 2 2 4 1 1 0 10 20 30 40 50 60 70 1,000kW以上 500kW以上~1,000kW未満 20kW以上~500kW未満 (m) (箇所) 施 設 数 (定格出力) 20kW以上~500kW未満 500kW以上~1,000kW未満 1,000kW以上 (定格出力) (いずれも愛媛県佐田岬) 出典 環境省 20

(21)

28 12 6 24 17 18 39 38 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 ( 個体 ) 可能性が高い 死因判明 可能性が高い 要因判明

4.風力発電事業による主な環境影響(2)

○土地改変(動植物・生態系への影響、水の濁りの影響) 尾根等での風 力発電設備、 建設に伴う道 路付設等によ り、自然環境へ の影響や土砂 流出等の懸念 出典 当該風力 発電所に関する ホームページ ○バードストライク 出典 環境省 判明している限り、オジロワシ(※)の傷病原因の第2位が「風車衝突」(北海道内) (参考) 土地改変面積の スケール感 ・風力発電1万kW 当たり5ha前後 ・火力発電15万kW 当たり3.3ha程度 出典 環境省 ※オジロワシは、絶滅危惧ⅠB類(環境省レッドリスト)、国内希少野生動植物種(種の保存法)、天然記念物(文化財保護法)に該当 21

(22)

3.風力発電事業による主な環境影響の状況(3)

(23)

※1:アセス必須の規模以下のものは簡易なアセス実施 ※2:アセス必須の規模以下のものはスクリーニング実施 ※3:定格出力2,000kWの場合、タワーの高さは60~80m 程度、全体の高さは90~120m程度

5.風力発電事業の対象規模(1):自治体等の制度状況

<条例で風力発電を対象としている自治体> 地方公共 団体 規模要件 福島県 ○第1区分事業: 総出力10,000kW以上又は15台以上 ○第2区分事業: 総出力7,000kW~10,000kW又は 10台~14台 長野県 総出力10,000kW以上 滋賀県 総出力1,500kW以上 兵庫県 (神戸市) ○県下一律:総出力1,500kW以上 ○自然公園等特別地域:総出力500kW以上 岡山県 総出力1,500kW以上 長崎県 総出力15,000kW以上又は10台以上 新潟市 ○一般地域:総出力10,000kW以上 ○特別配慮地域:総出力6,000kW以上 <自主的な環境影響評価> • 補助金の交付に当たって、NEDOマニュアルに基 づき、環境アセスを実施。 • NEDOマニュアルは、総出力1万kW以上を対象と して想定。一定の制約はあるものの、関係市町 村への情報提供、供用段階における環境影響の 調査、予測及び評価手法等が示されている。 <法令で風力発電を対象としている諸外国> 23 国名 規模要件 米国 5万kW超(発電所共通の規模) ※1 フランス タワーの高さ50m超 ※1、3 韓国 10万kW以上 スペイン 50基以上、ラムサール条約湿地等では10基 以上 ※2 オランダ 1.5万kW以上又は10基以上(スクリーニング) ポ ル トガ ル 20基以上、ラムサール条約湿地等では10基 以上(スクリーニング) イタリア 0.1万kW以上 ※2 イギリス 3基以上(スクリーニング) デンマー ク 4基以上又は全体の高さ80m超 ※2、3 ドイツ 20基以上 6~19基(一般的スクリーニング) 3~5基(簡易スクリーニング) カナダ 新設(簡易的なアセス) 中国 5万kW以上 ※1 出典 各国政府ホームページ等 ※2011年5月時点で風力発電事業を条例の対象又はその予 定がある自治体は約半数に留まる(環境省アンケート調査)

(24)

5.風力発電事業の対象規模(2):規模要件の指標・水準

【条例との関係】 法未満の要件が設定されないケースもある ため、ナショナルミニマムとしての水準を設定すべき。 【自主取組との関係】 NEDOマニュアル(1万kW以上)との継 続性を考慮すべき。 【苦情等の発生】 騒音・低周波音に関する苦情は、1万kWか ら4割近くに増加。 【動植物・生態系への影響】 立地場所の動植物の脆弱性の 観点で風力と類似する地熱発電(1万kW)を参考とすべき。 火力の土地改変面積(5ha)と対応する風力の規模(1万 kW)を考慮すべき。 【カバー率との関係】 法成立時の他の発電事業のカバー率 (火力97%、水力84%)を参考とすべき(風力1万kW:80%)。 【エネルギー政策との関係】 エネルギー基本計画における導 入目標を達成できる水準が必要。震災の影響も考慮すると、 2万、3万ないし5万kWとすべき。 「制度の整合性や簡便性の観点 を踏まえ、総出力を指標とする」 基数も候補となりうるが、近年の大型化の傾向に対応不能。 • 原発除く発電事業は、指標として総出力を設定。 • 基数も候補となりうるが、近年の大型化の傾向に対応不能。 「環境影響の程度が著しいもの となるおそれがある規模として 1万kWとすることが適当 ただし、再生可能エネルギーの 導入促進の観点から2万kW以 上とすべきとの意見もあった 騒音・低周波音やバードストラ イク等の影響が現に生じている こと等の理由から、5,000 kW又 はそれ以下とすべきとの意見も あった。」

規模要件の水準について

いる。 。 【騒音・低周波音】 1基から現に健康被害の訴えが生じている。 【鳥類】 1,000~2,000kW以上から希少種の衝突死の事例あり。 24

(25)

5.風力発電事業の対象規模(3):規模等の他の事項

【複数の事業による複合影響の取扱い】

• 地域特性に基づく規模要件: 第二種事業で地域の状況に応じたスクリー ニングを行うことが適切。 地域特性に応じた対応が必要な場合は、 条例において措置されるべき。 • 規模要件に満たない事業:法や条例の規模 要件に満たない事業であっても、自主的な環 境アセス等を積極的に行うべき 国内の洋上風力は いずれも陸地近く。 特別の規模要件は 不要。

【洋上風力の取扱い】

【増改築の取扱い】

既設 増設 増改築事業は、新設事業と 同じ規模要件とすべき。 隣接する工事中の事業 新設 スクリーニング判定において、隣接する工事時期 が重なる風力発電所により、総体として第一種事 業の規模を超える場合は、環境アセスを行うべき 25 出典 環境省

(26)

6.環境影響評価の対象範囲と項目選定等の基本的考え方

地域特性等に応じて評価項目を 絞り込み、効果的・効率的な環境ア セスを行うことが重要。

【評価項目の具体例】

• 工事に伴う環境影響も対象(供用時の影 響に限定しない)。 • 環境影響を受けるおそれのある自治体 を広く設定して意見聴取。

【環境アセスの対象範囲】

<風力発電所における従来の対象事業実施区域> 騒音・低周波音 景観 シャドーフリッカー 動物、植物、生態系 26 出典 NEDOマニュアル これに加え、他の発電事業と同様に 取付道路や土捨て場を含める

(27)

7.調査、予測及び評価手法等の基本的考え方 (1)

① 騒音・低周波音

② 景観

• 調査手法:A特性・C特性音圧レベルと1/3オ クターブバンドごとの音圧レベルを測定。 • 予測手法:影響が最大となる風況下で実施。 • 評価手法: 現況騒音からどの程度騒音が増加するかについ ても評価。 配置の調整や定格出力の変更等について評価。 • 事後調査:必要に応じて、騒音・低周波音の 発生状況、住宅等での受音状況、住民等へ の影響を把握し、適切な対策を検討。 • 調査地域:周辺に自然公園等がある場合、これ らの区域内から見た眺望景観への影響を調査。 • 自然環境と一体をなしている歴史的・文化的な 景観資源も調査。 • 環境保全措置:風力発電設備の配置、高さ、色 彩等についての配慮等。 風力発電設備の可視領域の予測の例 住宅Bは、住宅Aよりも風に伴う自然の音が 小さくなるため、調査・予測地点に含める 27

出典 Whistling Ridge Energy Project(米国) 出典 風力発電の環境影響評価に関するガイド(フランス)

(28)

7.調査、予測及び評価手法等の基本的考え方 (2)

③ 動物、植物及び生態系

④ シャドーフリッカー

• 調査期間:四季の情報を収集。 • 調査手法:個々の動植物ある いは生態系の特性に応じた手 法により、現地調査を行う。 • 環境保全措置:緑化を行う場 合、外来種の使用を避け、地 域在来の植物を用いる。 • 事後調査:必要に応じて状況を 把握し、その結果に応じた適切 な対策を検討。 • 環境保全措置: 設備の位置や基数の変更 影が及ぶ時間帯における運転停止 影を視覚的に遮る措置(カーテン、 植栽等)等 風車の影になる時間が30時間/年 となる範囲の予測の例 バードストライクに関する 空間飛翔調査の例 直接的影響 間接的影響 • 土 地 改 変 に 伴 う 動 植 物 の 生 息 ・ 生 育 環 境 の 消 失・分断化 • バードストライク • 鳥類等の移動経路の阻 害 • 土地改 変に 伴う水 の濁 り 予測・評価を行う影響の例 28

出典 Gray Highlands Plateau Wind Farm (カナダ) 出典 環境省 風力発電設備 住宅等 風車の影に なる時間が 年間30時間 となる境界線

(29)

8.風力発電施設のアセス実施に向けた今後の課題

【洋上風力の取扱い】

【アセス情報の収集と活用】

騒音等の回避・低減技術の開発 沖合の洋上風力について、 今後の知見の蓄積や、諸 外国の事例等を活用 • 工事時期の重ならない隣接事業:スクリー ニング判定において、 工事時期の重なら ない隣接する事業についても、「総体とし て」の規模を考慮するよう、適切な対応を 検討すべき。 • 風力発電設備の撤去:撤去等の供用後は 法の対象外だが、諸外国の例を参考に、 必要に応じて景観等への適切な措置を検 討すべき。 • 送電線の取扱い:送電鉄塔や既存送電線 は、条例において適切に措置されるべき。 事後調査で得られたデータの収集・分析や、風力発 電事業の環境アセスを担う人材の育成も求められる 生態系等の情報整備を国が促進し、一定の水準を確 保しつつ、環境アセスの迅速化・円滑化を図るべき

【技術開発】

29 出典 環境省

(30)

おわりに

風力発電は様々な環境影響に関する苦情等により、立地が進まないケースも少

なくない。法対象とすることにより、透明性の高い環境アセスが確保され、住民の

理解が一層進み、環境と調和した風力発電の健全な立地が促進される。

風力発電については、環境アセスの適切な重点化・絞り込みが可能で、再生可能

エネルギーの導入促進や地球温暖化対策の推進からも強く望まれる。

クリーン・エネルギーとして脚光を浴びてきた風力発電であるが、一部地域ではイ

メージの低下が見られる。効率的かつ適切な環境アセスの確保によりクリーン・エ

ネルギーとしての正当な地位が回復される。

30

(31)

政令改正:環境影響評価法施行令の一部を

改正する政令

2011年11月16日公布

○対象事業の規模要件(別表第1関係)

出力が1万kW以上である風力発電所の設置の工事の事業を

第一種事業とし、出力が7,500kW以上1万kW未満である風力

発電所の設置の工事の事業を第二種事業とする。

変更の工事においても同様とする。

○軽微な修正の要件(別表第2関係)

発電所の出力が10%以上増加しないこと、修正前の対象事業

実施区域から300メートル以上離れた区域が新たに対象事業

実施区域とならないことを要件とする。

○軽微な変更の要件(別表第3関係)

発電所の出力が10%以上増加しないこと、変更前の対象事業

実施区域から300メートル以上離れた区域が新たに対象事業

実施区域とならないこと、発電設備の位置が100メートル以上

移動しないことを要件とする。

○施行 2012年10月1日予定

31

(32)

(参考1) 風力発電施設に係る環境影響評価の基本的

考え方に関する検討会 報告書 目次構成

1.はじめに

2.風力発電を取り巻く状況

我が国の自然環境の状況、地球温暖化対策・エネルギー政策との関係、 風

力発電の導入状況

3.風力発電事業による環境影響の状況

4.風力発電事業についての環境影響評価の実施状況等

5.風力発電事業に関する規模要件等について

規模要件の指標、規模要件の水準、規模要件等に関する他の事項、軽微な

修正・変更等について

6.環境影響評価の対象範囲及び項目の選定等の基本的考え方について

環境影響評価の対象範囲、評価項目の選定

7.調査、予測及び評価手法等の基本的考え方について

騒音・低周波音、動物、植物及び生態系、景観、シャドーフリッカー

8.今後の課題

工事時期が重ならない隣接する風力発電事業、風力発電設備の撤去、洋上

風力発電の取扱い、送電線の取扱い、環境影響評価情報の収集と活用等、環

境保全措置に関する技術開発

9.おわりに

32

(33)

風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方

に関する検討会 委員名簿

(座長)

浅野 直人 福岡大学法学部教授

(座長代行)柏木 孝夫 東京工業大学ソリューション研究機構教授

荒井 歩

東京農業大学地域環境科学部准教授

北澤 大輔 東京大学生産技術研究所准教授

佐々 恵一 福島県生活環境部環境共生課環境評価景観室長

鈴木 雅一 東京大学大学院農学生命科学研究科教授

瀧澤美奈子 科学ジャーナリスト

田中 充

法政大学社会学部教授

樋口 広芳 東京大学大学院農学生命科学研究科教授

福嶋 司

東京農工大学農学部教授

松井 利仁 京都大学大学院工学研究科准教授

33

(34)

(参考2)

世界の風力発電の導入状況:累計の設備容量の推移

出典: Global Wind Energy Council 「Global Wind 2009 Report」

世界の風力発電の総設備容量は、15,851万kW(対前年比31.8%増)。

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 480 610 760 1,020 1,360 1,740 2,390 3,110 3,943 4,762 5,909 7,405 9,384 12,030 15,851 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000

kW

34

(35)

アメリカ (3,506万kW) 中国 (2,581万kW) ドイツ (2,578万kW) スペイン (1,915万kW) インド (1,093万kW) イタリア (485万kW) フランス (449万kW) イギリス (405万kW) ポルトガル (354万kW) デンマーク (347万kW) カナダ (332万kW) オランダ (223万kW) 日本 (206万kW) その他 (1,379万kW) 総導入量 15,851万kW

(参考3)世界の風力発電の導入状況:国別風力発電導入量

2009年)

出典: Global Wind Energy Council 「Global Wind 2009 Report」

国別導入量でみると、我が国は13位

(36)

平成9年12月12日 環境庁告示第87号 平成9年12月3日 政令第346号 平成10年6月12日 総理府令第37号 主務省令 ※13事業・36主務省令 道 路 河 川 平成9年6月13日 法律第81号 鉄 道 飛行場 発電所 廃棄物最終処分場 公有水面の埋立及び干拓 土地区画整理事業 新住宅市街地開発事業 工業団地造成事業 新都市基盤整備事業 宅地の造成の事業 港湾計画 基本 的事項の内容 全般に つ いては、5年程度ごとを目途 に点検し、その結果を公表す る。 (基本的事項 第5その他) 環境影響評価法 環境影響評価法 施行令 環境影響評価法 施行規制 法施行後10年を経過した場合に おいて、この法律の施行の状況 について検討を加え、その結果 に 基 づ い て 必 要 な 措 置 を 講 ず る。 (法附則第7条) 基本的事項 平成18年3月30日公布 平成18年9月30日全面施行 平成17年3月30日 環境省告示第26号 主務省令の改正 基本的事項の改正 流通業務団地造成事業 ※港湾計画・1主務省令

1.環境影響評価法の体系(基本的事項の位置付け)

Ⅲ. 法制度における基本的事項の見直し

36 出典:環境省資料

(37)

2.現行の基本的事項の位置づけ

対象事業となるか否か の判定(スクリーニング) 調 査 予 測 評 価

環境保全措置

の検討

基本的事項[現③] (全事業種共通) 事業者による環境アセスの実施

【方法書】

評価項目・手法の選定(スコーピング) 【準備書】 → 補正 → 【評価書】 許認可等・事業の実施 環境保全措置・事後調査の実施 全て アセス 対象 事業種別の指針 (主務省令) 基本的事項[現②] (全事業種共通) 事業種別の選定指針 (主務省令) 基本的事項[現①] (全事業種共通) 事業種別の判定基準 (主務省令) 第1種事業(大規模) 第2種事業(準ずる規模) 37 出典:環境省資料

(38)

方法書

準備書

評価書

補正評価書

スクリーニング

計画段階配慮書

環境保全措置等の

結果報告書

計画段階アセス(SEA)

の実施と意見聴取

事後調査報告書の提出

と公表

:改正法で付加された手

続と基本的事項

従来からの手続に対する

追加的な検討

38

1.スクリーニングの判定基準

2.評価項目・手法等の選定指針

3.環境保全措置検討指針

3.法改正の主な付加手続と基本的事項

(39)

対象事業となるか否かの 判定(スクリーニング) 調 査 予 測 評 価 環境保全措置 の検討 基本的事項[現③] (全事業種共通) 事業者による環境アセスの実施 【方法書】 評価項目・手法の選定(スコーピング) 【準備書】 → 補正 → 【評価書】 許認可等・事業の実施 全て アセス 対象 事業種別の指針(主務省令) 基本的事項[現②] (全事業種共通) 事業種別の選定指針(主務省令) 基本的事項[現①] (全事業種共通) 事業種別の判定基準(主務省令) 第1種事業(大規模) 第2種事業(準ずる規模) 計画段階アセス(SEA)の実施

【配慮書】

配慮手続における意見聴取 基本的事項[新①、新②] (全事業種共通) 事業種別の指針(主務省令)

【報告書】

環境保全措置等の結果の報告・公表 基本的事項[新③] (全事業種共通) 事業種別の指針(主務省令)39

4.改正法における新たな「基本的事項」の検討(1)

出典:環境省資料

(40)

①計画段階配慮事項の選定、調査・予測・評価手法に関する指針

(主な検討事項)配慮書の作成時期/複数計画案の設定方法/評価項目の選定方法 /調査、予測及び評価の手法/ティアリング* の考え方 等 * 計画段階配慮手続きにおける評価結果のその後の環境影響評価への活用

②配慮書手続における関係行政機関及び一般の意見を求める場合の指針

(主な検討事項)意見聴取の実施時期、周知方法及び期間/環境大臣意見、地方自治 体及び一般からの意見聴取の先後関係/意見聴取を不要とする場合の考え方等

③環境保全措置等の報告書の作成に関する指針

(主な検討事項)報告書の提出時期、周知方法及び期間/報告書の記載事項/環境 保全措置を含む事後調査の手法及び実施期間/報告・公表すべき環境保全措置の 考え方** 等 ** 回復することが困難であるためその保全が特に必要であると認められる環境に係るものであっ て、その効果が確実でないもの(環境省令で規定する予定)

1.法改正により新たに導入される手続に関する基本的事項

40

2.現行の基本的事項の点検

これまでの実施事例を検証するとともに、近年の環境保全施策やアセス技術に関する 動向を踏まえ、新たな考え方や改正事項等を整理する 出典:環境省資料に加筆

4.改正法における新たな「基本的事項」の検討(2)

(41)

主な論点の例

1.複数案は、事業の位置・規模又は配置・構造の適切な複数案を設定する 2.調査・予測・評価の手法、既存文献を活用して必要により現地調査や専門家ヒア等を行う 3.住民や自治体等からの意見聴取、実施する、できれば大臣意見の前に実施する 4.自治体制度との関係の整理 など スクリーニング手続 41 ※災害等に準じる 特例規定 対象事業に係る計画策定 配慮書の内容等を考慮 事業実施段階前 の 手続 許認可等権者が判定

交付金事業を対象事業に追加

(政令改正:風力発電所を追加)

対象 事業

計画段階配慮事項の検討(SEA)

【配慮書】 SEAの結果 知事意見 住民・ 知事等意見 環境大臣の意見 主務大臣の意見

5.新たな2つの手続に伴う基本的事項の検討(1)

(1)計画段階配慮手続に係る検討事項

第1種事業の判定 ※第2種事業は事業 者が任意に実施 出典:環境省資料に加筆

(42)

1.計画段階配慮事項の範囲は、環境要素の区分及び影響要因の区分に従う。 2.原則として、事業の位置・規模又は配置・構造に関する適切な複数案の設定を基本と する。複数案を設定しない場合は、その理由を明らかにする。 位置・規模に係る複数案を検討するよう努める。ただし、重大な環境影響の回避、低減 のために配置・構造に係る複数案の検討が重要となる場合があることに留意する。 複数案には、現実的である限り、当該事業を実施しない案を含めるよう努める。 3.計画段階配慮事項の調査予測及び評価は、設定された複数の案ごとに、選定された 計画段階配慮事項ごとに行う。 4.調査は、原則として既存資料により行う。重大な環境影響を把握する上で必要な情報 が得られない場合には、専門家等からの知見の収集を行い、必要な情報が得られない場 合は現地調査・踏査等を行う。 5.予測は、科学的知見の蓄積や既存資料の充実の程度に応じ、可能な限り定量的に行 うことに努める。それが困難な場合には定性的に行う。想定される予測の不確実性の程 度等について整理する。 6.評価は、複数案間における重大な環境影響の比較整理を行うことを基本とし、適切な 場合には、重大な環境影響の要素以外の要素についても可能な限り比較整理を行う。 単一案のみが設定されている場合は、重大な環境影響が回避、低減されているかにつ いて評価を行う。これらの場合において、国や地方公共団体の環境保全上の基準又は目 標が示されている場合には、これらとの整合性についても可能な限り検討する。

計画段階配慮事項の選定等の基本的事項(案)

42 出典:環境省資料に加筆

(43)

43 アセス結果の確定 (評価書の補正) 国民等 都道府県知事 市町村長 国等 環 境 保 全 措 置 の 実 施 事 後 調 査 の 実 施 報告 環境大臣の意見 許認可等権者の意見 公表 事業の実施 (工事中) 施設の存在・供用 公告・縦覧 環境省令で 定める措置 事業者 発電所 【電気事業法】 事業の許認可等 <認可等条件> 評価書に従ってい ること(違反した場 合には罰則) 使用前検査 ※ ※ ※発電所には適用されない 変更命令 事 後 調 査 に より判 明 し た 環 境 の 状 況 に 応 じ て 講 ず る 環境 保 全 措 置 の 実 施

(2)環境保全措置等報告書(事後調査)手続に関する検討

5.新たな2つの手続に伴う基本的事項の検討(2)

出典:環境省資料に加筆

(44)

報告書の作成に関する基本的事項(案)

1. 報告書は、事業(建設工事)が終了した段階で1回作成することを基本とする。その際、 事業の実施中に講じた環境保全措置の効果を確認した上で、その結果を報告書に含める よう努める。 2.必要に応じ、事業の途中段階又は供用開始後に行う事後調査等の結果を公表する。 3.報告書の記載事項は、以下のとおりとする。 ア 事業者名及び住所、対象事業の名称、種類及び規模、対象事業が実施されるべき 区域等、対象事業に関する基礎的な情報 イ 事後調査の項目、手法及び結果 ウ 環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度 エ 専門家の助言を受けた場合はその内容等 オ 報告書作成以降に事後調査や環境保全措置を行う場合はその計画、及び、その結 果を公表する旨 4.事業途中で事業主体が変わった場合にはその対応状況を、事業主体と供用段階での 運営管理主体が異なる場合等には他の主体との協力又は要請等の方法及び内容を、報 告書に記載する。 44 出典:環境省資料に加筆

(45)

45

6.その他の追加的な検討事項(1)

環境影響評価項目等の選定

・大気質の微小粒子状物質(PM2.5)

大気中の

粒径10μm(1μm=0.001mm)以下の粒子 を「浮遊粒子状物質」とし、環境基準を定めて対策を 進めている。粒径2.5μm以下の「微小粒子状物質」 は粒径がより小さいことから、肺の奥深くまで入りや すく、2009年9月大気環境基準(日平均35μg/m3、 年平均15μg/m3)が設定された。 関係する技術動向を見極めつつ、引き続き調査・予 測・評価の技術の開発を進め、対応を検討する

・低周波音

低周波音は、周波数が概ね1Hz~100Hzの音であ る。中でも人の耳では特に聞こえにくい20Hz以下の 音は超低周波音と呼ばれる。 低周波音は、現行の基本的事項別表では環境要 素としての例示がなく、すべての主務省令でも参考 項目として設定されていない。 今回、対象事業に風力発電施設が追加されたこと に伴い、別表中「騒音」を「騒音・低周波音」に改める 出典:環境省資料に加筆 45

(46)

放射性物質汚染への対応

現行のアセス法体系では放射性物質汚染は対象ではなく、原発事故等のリスクが評価されていない。 放射性物質汚染対処特措法附則により環境規制の体系を見直すべきとされたことから、今後の環境規 制体系の見直しの動向を踏まえ、アセス制度における適切な対応も検討すべき 46

生物多様性オフセット

開発事業により引き起こされる生物多様性に対する悪影響を、それを低減するのに適切 な措置を実施した後、それでもなお残る悪影響を対象とした代償行為により得られる定量 可能な保全の効果(「ビジネスと生物多様性オフセットプログラム」の定義) 損失した生態系と同じタイ プの生態系を代償 湿地の 消失 既設のミティゲーショ ン・バンクを利用する 事業地から離れた既にある 湿地を担保し保全管理する 事業地から離れた場 所で湿地を創出する 事業地から離れた場所 で干潟の再生を行う 事業地に隣接する森林 を担保し、保全管理する 事業地に隣接する 残存湿地を適切に 保全管理する 事業地の隣接地 で湿地を創出する 損失した生態系とは異な るタイプの生態系を代償 ※オフサイトの代償措置は可能な限り 同一の地理的な範囲内(例えば同一 流域など)で行うこととされている。 *オフサイトの代償措置は可能な 限り同一の地理的な範囲内(同一 流域など)で行うとされるが、米国 では実施区域から離れた場所で の生態系の創出や維持管理など、 新しいタイプの事例がある。 *平成22年2月の中環審答申にお いて「基本的事項の検討において 議論すべき」 *今回の検討では、定量的なオフ セットの導入可能性についてさら に調査研究を行う。 出典:環境省資料に加筆

6.その他の追加的な検討事項(2)

(47)

配慮書手続 報告書 手続 スクリー ニング ス コ ーピン グ 環境 保全 措置 基本的事項検討委員会報告書(案)の主な内容 調査・予測・評価の実施方法の提示 ○複数案を原則設定 ○重大な環境影響の比較整理により評価 ○原則として既存資料により実施 ○生態系を「場」として捉える考え方を導入 意見聴取する場合の方法の提示 ○意見聴取を原則実施 ○複数の各案の関係地域(自治体)で実施 ○考慮すべき「重要な自然環境」の範囲の適正化 メリハリの強化 ○地域特性・事業特性の整理の合理化 ○参考手法の適正化(最新知見の反映、複数手法の提示) 透明性の向上 ○助言を受けた専門家の所属等の開示 報告書作成方法等の提示 ○原則、事業(工事)終了段階で1回作成 リンク 「ティアリング」 (前段階の結果の活用) 環境施策動向への対応 ○評価範囲に「低周波音」を追加 法制度全体に関する課題への対応 ○放射性物質への対応 ○報告書手続における特例措置への対応 環境施策動向への対応 ○生物多様性オフセットの調査研究の推進 ○PM2.5のアセス技術の開発 ○温室効果ガスへの対応強化 SEAの結果等の反映 ○SEA段階の検討結果の活用 :改正法に伴い追加される手続 :現行の手続き(現行規定の見直し等) 凡例 制度の円滑な運用(メリハリの強化等) ○項目選定の簡略化・重点化(条件の明確化) ○講じた環境保全措置の効果の確認 SEA関係 ○SEAでの関係者意見等を方法書等に記載 1.基本的事項(告示)により対応する事項 2.環境省令により対応する事項 3.制度の円滑な実施に向けて SEAの結果等の反映 ○SEA等早期段階の検討による回避・低減 の効果の明示 透明性の向上 ○事後調査・環境保全措置における専門家の関与の強化 報告書手続き関係 ○報告すべき環境保全措置の内容を規定 ○報告書の公表方法を規定 47

(48)

基本的事項委員会報告書(案)の意見募集

1.意見募集の対象

環境影響評価法に基づく基本的事項等に関する技術検討委

員会報告書(案)

2.意見募集要領

(1)意見募集期間

平成24 年1 月17 日(火)~平成24 年2月16 日(木)

(※郵送の場合は2月16 日必着)

(2)意見提出方法

必要事項を日本語で記入のうえ、郵送、ファックス、電子メール

のいずれかの方法で(3)の提出先へ提出

(3)意見提出先

環境省総合環境政策局環境影響評価課 あて

[1]郵送の場合 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2

[2]ファックスの場合 03-3581-2697

[3]電子メールの場合 sokan-hyoka@env.go.jp

48

(49)

ⒸMitsuru Tanaka 49

・環境省総合環境政策局、2011、風力発電施設に係る環境影響評価の基本的

考え方に関する検討会 報告書

・風力発電施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会 配布資

・環境影響評価法に基づく基本的事項等に関する技術検討委員会報告書(案)

・環境影響評価法に基づく基本的事項等に関する技術検討委員会 配布資料

引用・参考文献

ご清聴、ありがとうございました

参照

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