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参-52

3.開水路の主要な機能診断調査手法

3.1 現地調査手法の検討

現地調査は、事前調査・現地踏査で得られた結果及び施設の重要度や経過年数等を踏まえ、 適切な調査範囲において実施するもので、施設性能の低下状態やその要因について定量的な調 査を行う。現地調査による調査結果だけでは判定できず、さらに詳細な調査が必要であると判 断された場合には、専門家や試験研究機関等による調査(詳細調査)を実施する。 また、調査費用と求めたい結果との費用対効果についても十分検討し、例えば、小断面開水 路で施設の重要度が低く、事故歴や変状が無い場合や機能診断調査を行うよりも事後保全の方 が明らかに経済的と判断される場合には、現地調査の対象外とすることも検討する。 (1)調査の留意点 1)鉄筋・無筋コンクリート水路 コンクリート水路は、躯体部分のひび割れと摩耗、不同沈下や外荷重による変形、及び目地 部の劣化が多いので、調査にあたっては、躯体の一般的な劣化の他に、周辺地盤の状況や目地 部の調査に注意を払うことが必要である(図 3-1、図 3-2)。 図 3-1 鉄筋・無筋コンクリート水路調査のポイント(1) 背面土の不同沈下、陥没、崩落を 調べ、側壁部 で打音調査と併せて空洞化の兆候を 判断 ※不同沈下、地盤の状況は、躯体調査地点の上 下流も含めて行う 1バレル全面(側壁・底版)について、ひび割れや剥離、析 出物、欠損、構造物の変形変状を調査する バレル中央部で、リバウンド ハンマー、中性化試験を行う

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参-53 なお、ひび割れや摩耗などの躯体の劣化は、位置によって特徴的に現れることが多いので、 下図に示す位置については特に留意することが望ましい。 図 3-2 鉄筋・無筋コンクリート水路調査のポイント(2) ※ 二次製品の場合において、PC 鋼線により接続されている水路については、ひ び割れを許容できないことから特に注意して調査することが重要である。 2)矢板水路(柵きょ含む) 矢板水路や柵きょは、鋼矢板の腐食、コンクリート矢板の劣化のほかに地盤の変状の影響が 大きく、笠コンクリートや矢板の沈下、はらみ、ズレ、変形、背面地盤の陥没、崩壊及び滑り などの変状に留意して調査する必要がある(図3-3)。

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参-54 図 3-3 矢板水路(柵きょ含む)調査のポイント 3)コンクリートブロック積水路・石積水路、無ライニング水路 コンクリートブロック積水路・石積水路、無ライニング水路は、矢板水路(柵きょ含む)と 同様に、地盤の変状の影響が大きく、笠コンクリート、ブロックの剥落、沈下、はらみ、ズレ、 背面地盤の陥没、崩壊及び滑りなどの変状に留意して調査する(図3-4)。 なお、石積水路では歴史的な価値がある場合があり、現状保存が要求される水路であるかど うかについて、予め把握しておく必要がある。 図 3-4 コンクリートブロック積水路調査

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参-55 (2)調査地点の表示 現地調査(定点調査)地点を以後の継続調査時に現地で容易に特定できるように、以下のよう な方法で現地調査(定点調査)地点を明確にしておく。 ①図上表示 現地調査(定点調査)地点を平面図に記載し(現地調査(定点調査)番号、施設番号、測点等)、 保存しておく(図3-5)。 図 図3-5 現地調査(定点調査)図の例 ②マーキング 調査地点が現地で確認できるように、杭、ピン、ペンキ等によってマーキングする。雑草 繁茂等で見通しが悪い場所では、旗など目印になるようなものを設置しておくと良い。 ③GPSの利用 GPSを利用した位置確認方法も有効であり、ハンディタイプのものもある。 ④地理情報システム(GIS)の利用 GISの整備が進んでいる地区では、現地調査(定点調査)位置や調査地点の写真、調査記 録等をGISの属性データとして登録しておくとよい(図3-6)。 図 図 3-6 GISの属性データ化の例

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参-56 (3)性能低下要因の推定 調査手法の検討にあたっては、水路形式の特徴に合わせた調査手法を選択するとともに、類 似地区の事故事例や使用・劣化環境条件も参考にする必要がある。具体的には、事前調査、現 地踏査で得られた資料をもとに劣化要因推定表(表 3-1)による主要な性能低下要因の推定を 踏まえ、調査項目を設定する。 表 3-1 開水路の劣化要因推定表 注)劣化要因推定表による劣化要因の推定(例) 下表において、まず対象施設の使用・劣化環境を赤枠で囲み、次に劣化要因の各列と赤枠の交 点において、◎や複数の○が該当する列を青枠で囲み、関連性が高い劣化要因と評価する。また、 ◎や複数の○がなく、△が該当する列にあっても、事前調査や現地踏査の結果を踏まえ、状況に 応じ劣化要因と推定する。 劣化要因推定表による評価(例) 鋼矢板 中性化 ※1 塩害 ※1 ASR ※2 凍害 化学的 腐 食 疲労 摩耗 風化 腐食 土圧・ 後背土 滑り 凍上圧地下 水圧 地盤 沈下 その他 転石衝 突等 底面 浸食 盤膨れ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ △ △ △ △ △ △ ○ ○ △ △ △ ○ ○ △ ○ △ △ △ ○ △ △ △ ○ ○ △ ○ ○ △ △ ○ △ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ △ △ ○ △ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ △ △ △ △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ①自動車荷重(直接) ○ ◎ ②自動車以外の荷重 △ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〔関連性:高 ← ◎・○・△・なし → 低〕 ※1 無筋コンクリートの場合は劣化要因としない。 ※2 1986年以降の施工の場合は劣化要因としない。 ③過去に地震被害を受けた 外部要因       劣化要因 ①腐食性土壌(酸性土壌) ②地下水位(高い) ⑤地山の透水性が高い ④片盛土区間・切盛境界 ⑤海水の流入あり ④周辺に樹木等の植生あり ③軟弱地盤 供用環境 ⑤塩害、凍害複合劣化地域  使用・劣化環境 ①塩害を起こしやすい(起きた)地域 ②ASRを起こしやすい(起きた)地域 ③凍害を起こしやすい(起きた)環境 摩耗条件 ①射流の水路 ②砂礫・転石の流下 材料 ①水セメント比60%以上 ②海砂の使用 ③反応性材料使用 水質 ①硫黄分水質(温泉) ②化学工場・食品加工場等の廃液流入 ③硬度が小さい 土壌・地盤 地圧 繰返荷重 ①設計荷重を大きく上回る荷重の負荷 ②極端な偏荷重が作用 供用年数 40年以上 20~40年未満 コンクリート 内部要因 ⑥凍害、ASR複合劣化地域 ①南向き面の部材 ②融雪剤・凍結防止剤の使用 ③接水時間が長い(常時) 施工年 1986年以前 1978年以前 鉄筋被り t<30mm 地域 ④ASR、塩害複合劣化地域 鋼矢板 中性化 ※1 塩害 ※1 ASR ※2 凍害 化学的 腐 食 疲労 摩耗 風化 腐食 土圧・ 後背土 滑り 凍上圧 地下 水圧 地盤 沈下 その他 転石衝 突等 底面 浸食 盤膨れ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ △ △ △ △ △ △ ○ ○ △ △ △ ○ ○ △ ○ △ △ △ ○ △ △ △ ○ ○ △ ○ ○ △ △ ○ △ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ △ △ ○ △ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ △ △ △ △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ①自動車荷重(直接) ○ ◎ ②自動車以外の荷重 △ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 〔関連性:高 ← ◎・○・△・なし → 低〕 ※1 無筋コンクリートの場合は劣化要因としない。 ※2 1986年以降の施工の場合は劣化要因としない。 ③過去に地震被害を受けた 外部要因       劣化要因 ①腐食性土壌(酸性土壌) ②地下水位(高い) ⑤地山の透水性が高い ④片盛土区間・切盛境界 ⑤海水の流入あり ④周辺に樹木等の植生あり ③軟弱地盤 供用環境 ⑤塩害、凍害複合劣化地域  使用・劣化環境 ①塩害を起こしやすい(起きた)地域 ②ASRを起こしやすい(起きた)地域 ③凍害を起こしやすい(起きた)環境 摩耗条件 ①射流の水路 ②砂礫・転石の流下 材料 ①水セメント比60%以上 ②海砂の使用 ③反応性材料使用 水質 ①硫黄分水質(温泉) ②化学工場・食品加工場等の廃液流入 ③硬度が小さい 土壌・地盤 地圧 繰返荷重 ①設計荷重を大きく上回る荷重の負荷 ②極端な偏荷重が作用 供用年数 40年以上 20~40年未満 コンクリート 内部要因 ⑥凍害、ASR複合劣化地域 ①南向き面の部材 ②融雪剤・凍結防止剤の使用 ③接水時間が長い(常時) 施工年 1986年以前 1978年以前 鉄筋被り t<30mm 地域 ④ASR、塩害複合劣化地域

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参-57

3.2 開水路の主要な機能診断調査手法

開水路の機能診断調査における主要な現地調査項目及びその内容を表 3-2 に示す。 表 3-2 標準的な現地調査項目の例 区分 調査項目 調査手法 記録手法 内 部 要 因 コ ン ク リート ひび割れ ひび割れ最大幅 定量計測(ひび割れスケール) 定量記録、 写真記録 ひび割れ延長 定量計測(スケール) 定量記録、 写真記録 ひび割れタイプ タイプ判別 〃 材料劣化 浮き 目視による観察 写真記録、図化 剥離・剥落・スケーリング 〃 〃 ポップアウト 〃 〃 析出物(エフロレッセンス) 〃 〃 析出物(ゲルの滲出) 〃 〃 錆汁 〃 〃 変色 〃 〃 磨耗・風化 〃 〃 漏水(痕跡) 〃 〃 鉄筋露出 〃 〃 圧縮強度 反発硬度 リバウンドハンマー 定量記録 中性化 中性化深さ/中性化残り ドリル法 〃 鉄筋被り 設計図書等 〃 鋼矢板 材料劣化 鋼矢板の腐食 目視による観察、簡易計測 外 部 要 因 変形・歪み 目視による有無 簡易計測(下げ振り、ポール等) 有無の記録、写真 記録、定量記録 転倒・滑動 〃 〃 浮上 〃 〃 欠損・損傷 目視による有無 〃 不同沈下 構造物の沈下・蛇行 目視による有無 簡易計測(下振り、ポール等) 有無の記録、写真 記録、定量記録 側壁・法面部材のズレ・ 緩み、欠損、消失 目視による有無 有無の記録、 写真記録 漏水・湧水 背面土砂吸出し 目視による有無 〃 底版・水路底 侵食、深掘れ スタッフ挿入等による確認 (必要に応じて測量) 写真記録、 スケッチ 矢板の露出 目視による有無 有無の記録、 写真記録 地盤変形 背面土の空洞化 打撃法 定量記録 周辺地盤の陥没、ひび割れ 目視による有無 有無の記録、 写真記録 抜け上がり 目視による有無・簡易計測 〃有無の記録、写 真記録、定量記録 そ の 他 の 要 因 目地の劣化 目地の開き 目視による有無 有無の記録、 写真記録 段差 〃 〃 止水板の破断 〃 〃 漏水痕跡 〃 〃 周縁コンクリートの欠損等 〃 〃 附帯構造物との取付境 界部の変状 目視による有無 〃 ※ 有無を目視で調査する項目で、変状が「有」の場合は、定量的な調査を行う。

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参-58 (1)コンクリート表面の外観目視等調査方法 1)調査方法と変状・劣化の記録 ひび割れ位置やその他の表面変状は、調査物表面に直接チョークで書き込み、写真で記録し ておき、写真記録と調査票から変状展開図を作成すると効率的である(写真3-1)。 2)ひび割れ及びひび割れ付随物の調査 ①ひび割れ幅の測定 ・ 図3-9に示すようなクラックスケール、ルー ペなどを用いて行う。 ・ 測定単位は、mm単位とし、小数第2位まで 0.05mmきざみで測定する。 ・ 測定値は最大値とするが、最大幅を示すひび割れ全長のうち、僅かな一部分である場合 などには適当な数箇所のひび割れ幅を測定し、記録しておく。 写真3-1 記録写真例 図3-8 変状展開図の作図例 図3-9 ひび割れ幅測定器具 【チョーキング記載例】 【ひび割れ記載例】

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参-59 ②ひび割れ長さの測定 ・ 通常用いられるスケールなどを用いて、ひび割れに沿って測定する。 ・ あまり厳密にひび割れの屈曲に沿った長さの測定をする必要はない。 ・ 測定単位は、cm単位とし、小数第1位まで測定する。 ③その他の変状調査 その他の変状(エフロレッセンス、ゲルの滲出、錆汁、変色、漏水(痕跡)、鉄筋露出、目 地の劣化等)は、変状箇所の有無、箇所数、位置を記録する。 3)空洞化の調査(水路側壁) 目視調査する際にハンマーなどを用いた打音法を併用することにより、コンクリート表面近 傍の浮き、剥離、空洞の有無をある程度把握できる。打音法はコンクリート表面をハンマーで 打撃し、その音質によりそれらの有無を推定する方法である。 音 質 空洞化の可能性 カンカン・キンキンなど硬い音がする 空洞化は起きていない ボコボコのように鈍い音がする 空洞化が起きている可能性が高い 4)構造物の変形等 ・ 構造物全体が観察できる位置から構造部位を目視し、側壁の変形・傾きや水路全体の不 同沈下、蛇行の有無を確認する。 ・ 変形・歪みが発生している箇所の最大量を測定・記録する(㎜単位)。 ・ 下げ振り、水平器、メジャー、簡易な測量器具等を利用する(図3-10)。 5)摩耗・風化 一般に、摩耗は、「表面の相対運動の結果として起きる物体の操作面からの物質の逐次損失」 と定義されるが、農業水利施設においては流水の作用による表面からコンクリート材料の流失 が主要な現象である。 図3-10 下げ振りを用いた水路の変形測定

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参-60 実際の農業水利施設の摩耗は、流速や土砂・礫の混入率、流下物の大きさなどによって多様 な形態をとり、現象としてもエロージョン摩耗、衝撃摩耗、キャビテーションなどのほか、経 年的なコンクリート表面の凍結融解や乾湿繰り返しなど水流とは直接関係のない風化作用と も関連して進行していると考えられる。 一般に、農業水利施設でよく見られる摩耗のイメージを図 3-11 に示す。図に示すとおり、 比較的流れが緩やかで土砂の混入が少ないフリューム開水路では側壁を中心として選択的な 摩耗※が多く観察され、頭首工の床版やダムの越流部底版では選択的ではない摩耗が認められ る。 図 3-11 農業水利施設でよく見られる摩耗のイメージ 写真 3-2 開水路における選択的な摩耗 写真 3-3 頭首工の越流部での選択的ではない摩耗 ※ ここでいう選択的な摩耗とは、施設の構成材料がコンクリートであった場合、その摩耗 現象は比較的脆弱なモルタルで顕著となり、粗骨材が露出する状態をいう。 選択的な摩耗:フリューム開水路で多く見られる 粗骨材露出 粗骨材剥離 選択的ではない摩耗:頭首工の堰堤で多く見られる

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参-61 また、農業水利施設(コンクリート構造物)に対する摩耗・風化の影響は、「構造性能に影響 を与える断面の損耗」と「水理性能に影響を及ぼす表面の粗度」に大別される。 このうち、摩耗・風化が「構造性能」に与える影響としては以下のことが挙げられる。 ① 表面部のコンクリートが消失または粗になることで、かぶりコンクリートの耐久性が低 下し、内部鉄筋の腐食が進みやすくなる。 ② 表面部のコンクリートが消失または粗になることで、部材厚が薄くなり、構造体として 耐荷性が低下する。 摩耗・風化のうち、選択的な摩耗については、細骨材の流出と粗骨材の露出の形態になる(写真 3-4)。 また、粗骨材の露出後は、一般に摩耗の進行速度 が遅くなり、骨材の剥離に至る例は少なく、通常の かぶりコンクリートが確保されていれば、選択的な 摩耗によってコンクリートの耐久性・耐荷性が極端 に低下することはない。 しかし、施工によりコンクリートのかぶりがもと もと小さい場合には、これらの摩耗が直接、内部鉄 筋の腐食の原因になることもあるため、注意を要す る。 一方、摩耗・風化が「水理性能」に与える影響としては、表面の凹凸が生じることによる粗 度の上昇とこれによる「通水性の低下」が挙げられる。 これらの問題については、近年、現場でのコンクリート開水路の表面の凹凸と粗度の関係に 関する研究が多く実施されている。このなか、水路表面の形状から粗度を算定する手法や水路 表面状態を段階的に区分し、これらの変化の経年予測手法などが明らかにされている。 しかし、一方で、摩耗・風化による粗度の上昇が現場の通水性能に影響を与えている状況や 機構については、未だ明らかになっておらず、今後の検討が期待され、かつ、現状では総合的 な判断が必要な事項となっている。 写真 3-4 摩耗による鉄筋の露出

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参-62 5)リバウンドハンマーによる圧縮強度試験 コンクリートの表面をリバウンドハンマーによって打撃し、その反発硬度から圧縮強度を求 める方法である。 リバウンドハンマーの調査位置は、左右側壁1 箇所について行い、1 箇所あたり9 点の測定 値の平均を求める(JIS A 1155)(図3-12)。なお、リバウンドハンマーによる圧縮強度は、 ハンマー角度、コンクリート表面の乾湿を考慮して補正する必要がある。 リバウンドハンマーによる調査の留意点は以下のとおりである。 ① 表面処理 付着物があるような場合には砥石等を用いてこれらを除去する。 ② 測定 1箇所につき9回打撃を行うものとし同一点は打撃しない。打撃は、測定器を測定面に 対して垂直に配置し、ゆっくり壁面に押し付けるようにして打撃する。 ③ 特異値の除外、平均反発度の算定 記録紙から測定値を読み取り、反響やくぼみ具合などから判断して明らかに異常と認 められる値、または、その偏差が平均値の20%以上になる値であれば、その反発度を捨て、 これに変わる測定値を補うものとする。反発度は有効な9個の測定値から計算した平均 値とする。 ④ 強度の推定 現地調査後に反発度を集計し、角度補正、乾湿状態に応じた補正を行い、換算式によ り推定強度を求める。 F=1.27×(R+R1+R2)-18.0 ここに、F :推定強度(N/mm2) R :平均反発度(有効反発度の平均値) R1:打撃角度による補正値 R2:コンクリート表面の乾湿による補正値 概ねバレル中央付近とする 最多頻度水位 H 5cm×5cmマス目を 3×3=9点打撃する リバウンドハンマー調査位置 (水位の上の位置) リバウンドハンマー 調査位置拡大図 ※打撃点を最低2.5~5cm離す必要が あるため、安全を見て5cm間隔とする 2.5~5cm 図 3-12 開水路におけるリバウンドハンマー調査位置

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参-63 各補正係数、補正値は以下のように求める。 なお、材齢補正は行わない。 R1 角度補正 打撃角度(α)が水平でない場合、平均反発度(R)に角度補正値(R1)を加える。 打撃角度(α) 平均反発度(R) +90° +45° ±0° -45° -90° 備考 10 - - - +2.4 +3.2 20 -5.4 -3.5 - +2.5 +3.4 30 -4.7 -3.1 - +2.3 +3.1 40 -3.9 -2.6 - +2.0 +2.7 50 -3.1 -2.1 - +1.5 +2.2 60 -2.3 -1.6 - +1.3 +1.7 ※ なお、使用機材のマニュアル等に補正係数が示されている場合はこれを用いる。 R2 コンクリート表面の乾湿による補正 定点調査時に乾燥状態にあるコンクリート表面が得られない場合などは、打撃面の状態 に応じて下表に示す補正を行う。 打撃面が気乾の場合 補正なし 打撃面が湿っており打撃の跡が黒点になる場合 平均反発度(R)に3 を加える 打撃面が濡れている場合 平均反発度(R)に 5 を加える 表3-4 打撃角度による補正値(R1) 表3-5 コンクリート表面の乾湿による補正値(R2)

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参-64 6)中性化深さ ドリルでコンクリートを削孔し、試薬(フェノールフタレインの1%溶液)をしみ込ませた試 験紙の反応から中性化深さを測定する(図3-13)。削孔径が小さいので、構造物に対する負担 が少なく、非破壊検査に分類されている。なお、調査実施の際には、試薬の反応速度に見合っ た削孔速度で行い、正確な中性化深さを確認できるように注意する。 出典:コンクリート診断技術’09(社団法人日本コンクリート工学協会) 図 3-13 ドリル法による中性化試験

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参-65

3.3 開水路の機能診断調査方法の総括

現地調査における機能診断調査は、施設種類、求められるデータ、精度に応じて適切な選択 が必要となる。コンクリート構造物に適用される機能診断手法をとりまとめたものを表 3-6~ 表 3-8 に示す。なお、専門的な詳細調査を実施する場合には、その目的により適切なものを選 定するものとし、採用にあたっては、必要最小限とし調査費用にも十分留意する。

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参-66 表 3-6 コンクリート構造物の機能診断調査方法総括表(1/3) 調査内容 検査・試験項目 検査・試験方法 調査概要 0 機能劣化度 1 劣 化 状 況 の 概要把握、記 録 1 目視 コンクリート表面に顕在化した損傷の状況やコ ンクリート構造物全体の変形状況、構造物周辺の 環境状況等を目視観察や簡単な器具等を用いて 把握する. 2 写真撮影 コンクリート構造物の点検・調査にデジタルカメ ラを利用することにより効率化や電子ファイル 化を容易にする. Ⅰ 引 張 ・ 圧 縮 強 度 1 コア強度 1 圧 縮 試 験 方 法 JIS A 1107,1108 コア試料による圧縮強度試験により、構造体の強 度を評価する. 2 反 発 ( 硬 ) 度 法 に よ る 強 度推定 1 リバウンドハンマー 法 JIS A 1155,2003 コンクリートの表面をリバウンドハンマーによ って打撃し、その反発強度から圧縮強度を求め る. 3 局 部 破 壊 試 験 に よ る 強 度推定 1 プルオフ法 コンクリート表面に鋼製ディスクを接着し,ディ スク外のコンクリート表面に反力をとってディ スクに接着されたコンクリートを引張破断させ, 最大引張荷重により求めたプルオフ強度から圧 縮強度を推定する. 2 プルアウト法 コンクリート表層に埋込み具をセットし、反力リ ングを用いて円錐台状のコンクリートコーンを 引き抜き、引き抜くのに要する最大荷重(引抜き 耐力)から圧縮強度を推定する. 3 ブレークオフ法 コンクリート表層にコアスリットを設け、コア上 端部を加力してコア底部を曲げ破壊させ、 破壊 時の曲げ折り耐力から圧縮強度を推定する. 4 弾性係数 1 弾性係数 静的載荷によって得られた応力-歪み曲線から 求める静弾性係数とコンクリートに縦振動また はたわみ振動を与えてコンクリート中に伝播す る弾性波速度から求める動弾性係数がある. 5 超 音 波 パ ル ス速度 1 超音波パルス速度 超音波伝搬速度(音速)を求め、コンクリート強度 の管理および構造体コンクリートの強度推定を 行う. Ⅱ 鉄筋腐食 1 中性化深さ 1 コア法 中性化深さを測定し、コンクリート構造物の劣化 予測を行う. 2 はつり法 3 ドリル法 ドリルの削孔粉を用いて中性化深さを測定し、劣化予測を行う. 2 塩 化 物 イ オ ン含有量 1 ドリル法 ドリル削孔粉による塩化物イオン量を測定し、塩 害やアルカリ骨材反応の劣化予測を行う. 2 重量法(塩化銀沈殿 法) 硫酸塩溶液中で,塩化物イオンが銀イオンと反応 して生じる塩化銀(沈殿物)の重量を測定するこ とにより、塩化物イオン量を算出する. 3 クロム酸銀吸光光度 含有塩化物イオン量を測定し、塩害やアルカリ骨材反応の劣化予測を行う. 4 電位差滴定法 含有塩化物イオン量を測定し、塩害やアルカリ骨材反応の劣化予測を行う. 5 モール法 指示薬としてクロム酸カリウムを用い、硝酸銀溶 液で塩化物イオンを滴定する. 3 鉄筋腐食量 1 腐食面積率の算出 コンクリート中の鉄筋の腐食面積率を調べるこ とにより、鉄筋の腐食状態を把握でき、そのコン クリート構造物が保有している耐荷性能や耐久 性能を評価する. 2 鉄筋重量減少率の算 出 コンクリート中の鉄筋の腐食面積率を調べるこ とにより、鉄筋の腐食状態を把握でき、そのコン クリート構造物が保有している耐荷性能や耐久 性能を評価する. 4 腐 食 の 可 能 性 1 コンクリート構造物 における自然電位測 定方法(案) JCSE-E601-2007 コンクリート表面で測定されたコンクリート中 の鋼材の自然電位の値から、鋼材の腐食状況を推 定する. 5 腐食速度 1 分極抵抗法 コンクリート表面に当てた外部電極から内部鉄 筋に微弱な電流または電位差を負荷したときに 生じる電位変化量または電流変化量から、腐食速 度(腐食電流密度)と反比例の関係にある分極抵 抗を求め、内部鉄筋の腐食速度を推定する.

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参-67 表 3-7 コンクリート構造物の機能診断調査方法総括表(2/3) 調査概要 Ⅱ 鉄筋腐食 6 腐食性評価 1 電気抵抗法 かぶりコンクリートの電気抵抗を測定することに よって、その腐食性および鉄筋の腐食進行のしやす さについて評価する. 1 水溶性アルカリ コンクリート中のアルカリ量を測定することによって、アルカリシリカ反応の可能性を予想する. 2 酸溶性アルカリ コンクリート中のアルカリ量を測定することによって、アルカリシリカ反応の可能性を予想する. 1 化学法 JIS A 1145 コンクリート用骨材のアルカリシリカ反応性を、化学的な方法によって判断する. 2 モ ル タ ル バ ー 法 JIS A1146 モルタルバーの長さ変化を測定することによって、骨材のアルカリシリカ反応性を判定する. 3 迅速法JIS A 1804 主としてコンクリートの生産工程管理用に適用する もので、モルタルバーを高温・高圧で養生し、その 特性の変化を測定することによって、骨材のアルカ リシリカ反応性を迅速に判定する. 3 アルカリシリ カゲルの判定 1 走査型電子顕微鏡観察 (SEM-EDXA) 電子顕微鏡によりコンクリートに生じているアルカ リシリカゲルを、遊離石灰やエフロレッセンスと識 別する. 1 JCI-DD2法 解放膨張率および残存膨張率を測定する(湿気槽にて試験する方法). 2 デンマーク法 解放膨張率および残存膨張率を測定する(外部からNaOHが供給される条件下で試験する方法). 3 カナダ法(NBRI法) 解放膨張率および残存膨張率を測定する(外部からNaClが供給される条件下で試験する方法). 1 セメント協会法 コア試料を採取し、セメント量、水量、骨材量を定量分析し、コンクリートの配合を把握する. 2 ICPを用いる方法 コア試料を採取し、セメント量、水量、骨材量を ICP装置(誘導プラズマ発光分光分析装置)により測 定を行うものである. 1 偏光顕微鏡観察 コンクリートの劣化に関係する骨材の観察. 2 粉末X線回折 水和物、骨材などを問わず、その含有鉱物の定性、定量を行う. 3 赤外線吸収スペクトル分析 各種結晶における原子団の存在や、構成原子間の相互の結合状態を確認検討する. 4 走 査 電 子 顕 微 鏡(SEM) 粗骨材周囲の内部、ゲル、粗骨材の割れの観察を行う. Ⅵ コンクリー トの化学成 分 1 1 電子線マイクロアナラ イザー(EPMA) X線などでは分析が難しいアルカリ骨材反応に関連 する骨材の含有鉱物を観察する. 迅速にモルタルバーの長さ変化を測定することに よって、骨材のアルカリシリカ反応性を判定する. 促進モルタルバー法 ASTM C 1260 1 アルカリ量 2 アルカリシリ カ反応性 Ⅴ コンクリー トの微細構 造 1 骨材の岩種お よび反応性鉱 物の種類 アルカリシ リカ反応 Ⅲ Ⅳ コンクリー トの配合 調査内容 検査・試験項目 検査・試験方法 4 1 4 残 存 膨 張 量 (コアの促進 養生試験)

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参-68 表 3-8 コンクリート構造物の機能診断調査方法総括表(3/3) 調査概要 1 赤外線法 1 サーモグラフィー 物体の表面温度分布を映像として記録できる温度計 装置を用い、浮き(剥離)、漏水調査等を行う. 1 超音波法 使用周波数が20kHz以上の超音波域と呼ばれる周波 数帯を主に使用し、到達時間、波形、周波数、位相 などの変化を測定装置で読み取ることにより表面ひ び割れ深さ内部の空隙および鉄筋および鉄筋位置を 測定する. 2 衝撃弾性波法 ハンマーなどによりコンクリート表面を打撃して弾 性波を発生させ、これを受振子で測定し、ひび割れ 深さおよび内部欠陥の検出. 3 打音法 打撃によって生じる空気振動を音響機器を使用して検出し、ひび割れ、剥離、空洞を測定する. 4 ア コ ー ス テ ィ ッ ク エ ミッション法(AE) ひび割れ発生や既存ひび割れ面のこすれのような音 源からのAEが、対象物に設置されたAE変換子(セン サ)によって検出し、コンクリート構造物内部にお けるひび割れ進展を空間的に調査する. 3 電 磁 波 レ ーダー法 1 電磁波レーダー法 電磁波をコンクリート内へ放射し、躯体厚・空洞の調査を行う. 1 電磁誘導試験 1 電磁誘導法 鉄筋との間に発生する電磁誘導現象を利用してコン クリート中の鉄筋、埋設金属の探査を行う. 2 1 電磁波レーダー法 電磁波をコンクリート内へ放射し、コンクリートと 電気的性質の異なる物体(鉄筋、埋設管)を検知す る. 3 1 X線透過撮影法 構造物に対して一方からX線を照射し、対向する裏 面にフィルムを配置することによって透過像を撮影 し、鉄筋径、鉄筋配置、鉄筋かぶり、埋設物を把握 Ⅸ 凍害 1 凍結融解試験 (試料作成) 1 JIS A 1148-5001 コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性を、供 試体を用いて凍結及び融解の急速な繰り返しによっ て試験する. 2 弾性波法 Ⅶ ひび割れ・ 剥離・空洞 検査・試験項目 Ⅷ 鉄筋・かぶ り・埋設物 調査内容 検査・試験方法

参照

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