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インプラント治療におけるニーズが、今 日の歯科用コーンビームCT(以下CBCT) の技術革新と開業医レベルでの普及の 牽引力になってきたことに疑う余地は ない。 実際、私がCBCTを初めて目にした のが、2004年に米国ロマリンダ大学イ ンプラント科を訪問した時である。当 時は医科用のマルチスライスCTを一回 り小さくしたような装置で、専任の放射 線技師が管理、撮影に従事していた。 正直、一般の開業医から見れば高値の 花といったところであった。あれから数 年もたたないうちに、汎用型のAll in oneタイプのX線撮影装置が開発され、 日本国内でも普及するようになろうと は思いもよらなかった。具体的には、 CBCTはよりコンパクトに、短い撮影時 間で、安全にかつ使いやすく進化してき たといえよう。 元来、PLANMECA社のパノラマX線 画像の美しさには定評があった。断層 撮影の宿命ともいえる障害陰影がクリ アにカットされ、下顎前歯部においても 重なりの少ないデジタル画像を可能と していた。デンタル14枚法に匹敵する ほどの画像の鮮鋭度と、撮影時間の短 さには驚いたものである。したがって、6 年前にペリオとインプラント治療に特化 した医院を開業するにあたって、セファ ロと2Dがセットとなった、プロマックス 2Dを導入するのに迷いはなかった。 それから、3年間プロマックス2Dを 主にインプラント治療を中心に活用し、 とくに側方での2D断層画像では非常 に重宝した。3年前プロマックス3Dの 発売とともにアップグレードを行い現 在に至っている(図1-3)。 3Dを3年間使用してみて、2Dでは経験 できなかった3D Imagingの新しい世界 を3 EX、すなわち、Explore、Experience、 Expressionという3つのキーワードを通 して紹介してみたい。はじめに
2004年当時、ロマリンダ大学に 装備されていた最新のCBCT。顎顔面外科 領域以外でのCTの応用は画期的な出来事 であった。 当院に設置されているプロマック ス2D/3D。パノラマ、セファロのAll in one タイプで、軽量で設置面積も改善された。 メインテナンスのために、専任の 放射線技師が従事しており、ランニングコ ストの面でも一般開業医での導入は、ま だ現実的ではなかった。 1-1 1-2 1-3 沖縄県 泊ヒルズ歯科 歯科医師金城清一郎
歯科用CTが変える診査・診断と治療
3 EXによる画像診断のパラダイムシフト
1 CBCTの進化 No.139 2011-11 ジーシー・サークル139号 2011-11 使用しないC A S E
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7 に上顎洞挙上術によりインプラントを埋入した。術中のデンタルX線画像。CT による術前の情報がなければリスクは大きい。 歯牙の先天欠如による、スペース にインプラントによる修復処置が計画され た。2 2 の唇側に著しい骨の陥凹が認め られる。 一回法による、より低侵襲な手術 が可能であった。 術中のインプラント埋入窩。フラッ プレスで、上顎洞底が挙上されていること が確認できる。 吸収性コラーゲン膜で被覆した。 メインテナンス時。このようにプロマックス2D/3DのパノラマX線画像は、金属 や根充材のアーティファクトがあっても、比較的鮮明な画像が得られる。 術直後のCTクロスセクショナル 像。隔壁に沿って直径5.0mm、長さ11mm のフィクスチャーが埋入された。 インプラント埋入後、唇側に異種 骨が移植された。 4ヶ月後、最終補綴終了時。 2-1 3-1 2-4 2-2 3-2 2-5 2-3 3-3 2-6 2 パノラマX線画像の精度 3 2Dから3Dへ No.139 2011-11 ジーシー・サークル139号 2011-11 使用しない今は亡き、天才スティーブ・ジョブス がマウスを世に送り出してから久しい。 彼の功績により、パーソナルコンピュー ターは本格的WYSIWYG(What you see is what you get.)の時代へと突 入したのである。この究極のユーザーフ レンドリーなツールは、我々の好奇心や 想像力をかき立て、画像の閲覧に関し ても、DICOMに基づきCT3次元画像 データをあらゆるソフトウェア上で自由 に行き来することを可能にした。言い 換えると、今まで、アナログレントゲン 写真上で虚像と実像を鑑別し、読影と いう高度な知識と経験に基づいて行わ れていた診断から、マウス一つで自分 が見たい場所へExplore(探索)する診 断へと大きくシフトしたのである。これ により、イマジネーションを働かせて、 リアルタイムで見たい情報を得ること が可能となった。
Explore
6 にインプラント埋入を計画した が、近心根尖部に類円形の骨透過像を認 める。この病巣とインプラント埋入予定部 位との位置関係、他の炎症性疾患との鑑 別診断が必要となった。 4-1 術後5年の3Dクロスセクショナ ル像。2Dと比較しても海綿骨の骨梁の 変化が明瞭にわかる。 3-7 補綴終了時の2D断層画像。唇舌 的な骨幅の増大とインプラントの位置関係 がはっきりとわかる。このようにプロマックス 2Dでもインプラント治療において、充分に活 用可能であった。しかし、撮影に関してはかな りテクニックセンシティブな面もいなめない。 3-6 術前の2D断層画像。唇側の骨の アンダーカットが鮮明に写しだされている。 3-5 No.139 2011-11 ジーシー・サークル139号 2011-11 使用しないC A S E
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診断後、術者の頭の中にインプット された情報は、2Dと3Dでは大きく異 なる。実際、手術中に起こりうる指先の 微妙な動きは、X軸とY軸のみの2Dで はウルトラC止まりであるが、Z軸を加 えた3D画像診断ではひねりも加わり、 ウルトラDも可能ではないかと考える。 これは、画像のイメージと実際の手指 の感覚とのExperience(経験)に基づ いたものであり、シミュレーションによ る学習効果が期待できる。一度、3Dを 体験したら、2Dへ逆行するのは難しい であろう。Experience
術前の口腔内。 インプラントは計画通り、健常な骨に囲まれて埋入された。 術前に3D ImagingでExplore(探索)したところ、病巣 はインプラント予定部位よりも近遠心的にも頬舌的にもずれてい ることがわかった。頬側の皮質骨内に限局しており、単純性骨嚢 胞のような非炎症性の病変を疑った。 最終補綴終了時。 4-4 4-2 4-5 4-3 41歳、女性。上下合わせて7本の歯が先天欠如しており、術前矯正にてスペースをつくった。3次元的に適正な位置に適正な大 きさのインプラントを配置していく。 5-1 5 2 5 5 2 2 5 No.139 2011-11 ジーシー・サークル139号 2011-11 使用しない撮影により得られたCTデータは目 的に応じて、Axial(水平断)、Sagittal (矢状断)、Cross Sectional(歯列横 断)、Volume Renderingといった、さ まざまなExpression(表現)が可能と なる。これにより視覚的にわかりやす いイメージでクオリティの高いプレゼ ンをすることができるようになった。同 時に、あらゆるメディアを通して情報を 共有し、移動することも可能となった。 従来のように、レントゲン写真フィルム の入った大きな袋を持ち歩く必要もな くなったのである。 以上が、私が考える2Dから3Dへの画 像診断の3つのイノベーションである。
Expression
ソケットプリザベーションとGBR を施術した。 2 の骨縁下カリエス、根尖部の嚢 胞様陰影などさまざまな問題を抱えている。 インプラントによる修復が完了し、 メインテナンス時。 2 の抜歯と嚢胞摘出を行った。 根は複雑に湾曲していた。 6-3 6-1 6-2 6-4 MPR(Multiplanar Reconstruction)では、XYZ軸3方向の画像を一度に観察できる。2 を例にと ると、術前の3D Imagingに連動して術中の埋入軸が決定されていることがわかる。このようにExperience (経験)により指先の微妙な動きをコントロールできると考える。 5-2 No.139 2011-11 ジーシー・サークル139号 2011-11 使用しないC A S E
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テクノロジーの進歩は、経験や技術と いう壁、時間を超えて我々にスタンダー ドな治療結果をもたらしてくれる。しか し、私は、それは患者さんのニーズと治 療の妥当性に照らし合わせて用いてこそ 意義のあるもので、決してハードのみを 独り歩きさせてはならないと考える。 今後、さらなるCBCTの歯科臨床で の有効な活用が、インプラント治療は 言うに及ばず、エンド、ペリオ、矯正とい った他領域でも検証され、歯科におけ る画像診断のゴールドスタンダードに なる日はそれほど遠くないと実感する。おわりに
GBR4ケ月後インプラント埋入を 行った。埋入直後の2D画像を示す。唇側 のチタンメッシュは骨の補強のため、あえ て温存することとした。 エンド治療においても、これまでの PAデンタルX線撮影では見ることのできな かった部位がExpression(表現)される ので、患者さんへのモチベーションアップ と医院の差別化につながると思われる。 インプラント埋入6ケ月後の各種 3D画像。Cross Sectional、Axial、Volume Rendering。2Dと比較しても、唇側の骨 量、チタンメッシュの位置、摘出した嚢胞の 大きさなどをクリアーにExpression(表 現)することができ、患者さんへのイン フォームドコンセントにも役だっている。 6-5 6-6 6-7 金城清一郎(きんじょう せいいちろう) 沖縄県 泊ヒルズ歯科 歯科医師 略歴・所属団体◎1986年 徳島大学歯学部卒業。1988年 徳島大学歯学部文部教官助手(口腔外 科学第一講座)。1990年 泊歯科クリニック開設。1996年 テキサス大学歯学部サンアントニオ校 歯周病科留学。2004年 医療法人デンタル・クエスト設立。2005年 泊ヒルズ歯科開設。 AAP(International member)/AO(Active member)/EAO(Active member)/OJ (Active member)/日本顎咬合学会 指導医/日本臨床歯周病学会 認定医/日本審美歯科協会正会員/OSI沖縄 主幹。