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大腸憩室出血に対する内視鏡診断と治療 第60巻9号1558頁

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総 説

大腸憩室出血に対する内視鏡診断と治療

青山大輝 永田信二

広島市立安佐市民病院 消化器内科

要  旨

本邦では高齢化に伴う大腸憩室症の増加,また背景の併存疾患増加を受けて大腸憩室出血の頻度は高ま

り,臨床的重要性が増している.大腸憩室出血は間欠的な動脈出血を来すという疾患特性からしばしば

内視鏡診断に難渋する.自然止血率も高いが,適切な内視鏡治療がなされないと再出血率も高い.クリッ

プ法や結紮法といった内視鏡治療は止血率が高く有効であるが,そのためには内視鏡検査で

SRH(stig-mata of recent hemorrhage)の所見を捉えることが必須である.出血後できるだけ早期の大腸内視鏡検

査,造影 CT 検査を行い,また新しい責任憩室同定法 “step clipping” 法などを用いることで出血源の診

断率向上が期待できる.

Key words 大腸憩室出血/内視鏡診断/内視鏡治療/再出血率/SRH/造影 CT 検査

Ⅰ はじめに

 大腸憩室症は日常臨床で遭遇する機会が多いが,

誘因解明は未だ不十分である.現状では誘因とし

て確実なのは加齢のみで

1)

,バリウム造影検査や大

腸内視鏡検査の解析データから,高齢化の進む本

邦における無症候性大腸憩室の頻度は,1970 年代

から 30 年以上にわたって増加し続けている

2)

.無

症候のまま一生を終える大腸憩室患者が 70〜85%

とされるが

3)

,大腸憩室症の頻度増加に伴う憩室出

血や憩室炎といった合併症を診療する機会は明ら

かに増加している.本邦において,大腸憩室保有

者の累積出血率は 1 年で 0.2%,5 年で 2 %,10 年

で 10%とされ

4)

,大腸憩室出血は発症頻度・臨床

的重要性がいずれも上昇している疾患であると言

える.内視鏡検査はその有用性,安全性から大腸

憩室出血症例に対する診療の中心的な役割を担っ

ている.しかし,間欠的な出血形式をとり,かつ

多発する憩室の中から責任憩室を特定し完全止血

することは依然として困難な症例が多いのも事実

である.

 大腸憩室出血の診療には内視鏡によるものの他

に,血管造影,RI 検査,外科手術などがあるが,

本稿では内視鏡診断,内視鏡治療を中心に最新の

知見を含め概説する.

Ⅱ 大腸憩室出血の病態と危険因子

 大腸憩室出血は憩室の直動脈が機械的刺激によ

り進展され,脆弱化し破綻するために生じるとさ

れる

5)

.血管造影を行うと屈曲・蛇行といった血管

変化が見られ

6)

,実際の血管内治療では造影剤の血

管外漏出像を認めなくてもこうした間接的な所見

が治療対象となることがある.大腸憩室出血の外

科切除例の検討及び内視鏡所見の詳細な検討に

よって,血管の破綻部位は憩室底部が 3 / 4 ,頸部

が 1 / 4 であると考えられている

7),8)

 憩室内直動脈破綻には憩室炎の関与も指摘され

ており

9)

,そうした局所因子の他,高血圧や動脈硬

化関連疾患,内臓脂肪増加といった全身性の因子な

ど,大腸憩室出血の危険因子は複数存在する

10),11)

服用薬剤と大腸憩室出血の関連については,アス

Gastroenterol Endosc 2018;60:1558-71. Taiki AOYAMA

Endoscopic Diagnosis and Treatment for Colonic Diver­ ticular Bleeding.

別刷請求先:〒 731-0293 広島県広島市安佐北区可部南 2 丁目 1 番 1 号       広島市立安佐市民病院 消化器内科 青山大輝

(2)

ピリンを含む NSAIDs は憩室粘膜傷害を介して出

血を誘発する重要な危険因子である.高齢化に伴

う整形疾患の増加により NSAIDs の長期内服症例

が増加しており,また虚血性心疾患や脳卒中の二

次的発症予防目的

12),13)

にアスピリンの長期内服症

例も増加している.メタ解析の結果では

14)

,大腸憩

室出血リスクはアスピリン内服でリスク比 1.73(95

%信頼区間 1.31-2.30),アスピリンを除く NSAIDs

内服でリスク比 2.24(95%信頼区間 1.63-3.09)と

され,NSAIDs とアスピリンの併用でさらに出血

のリスクが上がることが報告されている

15)

Ⅲ 大腸憩室出血の内視鏡診断

 大腸憩室出血の内視鏡診断には,SRH(Stigmata

of recent hemorrhage:活動性出血,非出血性露出

血管,除去によって活動出血もしくは露出血管を

伴う凝血塊付着)を捉えることが必要であり(Fig-ure 1 ),SRH があるにも関わらず保存的加療を

行った場合の 30 日未満の早期再出血率は 65.8%

と高い

7)

ため,SRH を伴う憩室は内視鏡的止血術

の適応である.しかし,憩室出血は間欠的な動脈

出血を来すという疾患特性から,特に自然止血後

に膨大な数の憩室の中から責任病変を見つけ出す

のは容易ではない.実際の臨床の場でしばしば経

験する大腸内の残便や血液貯留は内視鏡検索をよ

り困難にしている

16)

.SRH 同定率を上げるため,

内視鏡検査を行うタイミングや検査時の工夫,経

口洗浄剤による前処置,造影 CT 検査併用など個々

のケースに見合った選択をする必要がある.

Figure 1 SRH(Stigmata of recent hemorrhage)の内視鏡像. a:活動出血. b:非出血性露出血管(黄色矢印). c:凝結塊付着. d:凝結塊除去により現れた非出血性露出血管(黄色矢印). a c d b

(3)

1  大腸内視鏡検査のタイミング

 出血源同定率と大腸内視鏡検査のタイミングは

関連が乏しいという報告はあるが

17)

,多くの study

では最終血便から 24 時間以内の内視鏡検査の有

用性について報告している.大腸内視鏡検査を行

うタイミングについては,出血源同定率,偶発症

について考察してみたい(Table 1 ).血便を来す

疾患群を対象とした study においては,最終血便

から 24 時間以内の内視鏡検査は出血源同定率向

上や内視鏡治療の頻度向上により貢献するが,再

出血率や入院日数,外科手術移行率,死亡率は改

善させないとし

18)〜21)

,すなわち重要なクリニカル

アウトカムを変えるものではないとされている.

ただし,ここでいう血便を来す疾患群とは大腸憩

室出血以外にも,治療後出血,痔出血,虚血性腸

炎,大腸癌,感染性腸炎,(狭義の)炎症性腸疾

患,直腸潰瘍,放射線性直腸炎,血管性病変,小

腸出血を含むので注意が必要である.血便を来す

疾患群に対する内視鏡検査での出血源同定率は

study によってばらつきが大きいが,最終血便か

ら 24 時間以内であると 26.4%〜88.6%と報告され

ており

22)〜25)

,24 時間以上が経過したものと比較

するといずれの study でも出血源同定率で勝って

いる.大腸憩室出血症例に限った study でも同様

で,最終血便から 24 時間以上が経過して行った内

視鏡検査での出血源同定率 3.3〜3.9%に対して 24

時間以内に行ったものは 22.0%〜40.0%と出血源

同定率は高くなっている

26),27)

.最終血便から大腸

内視鏡検査までの時間の検討では,小南らは出血

源同定可能群では平均 13.8 時間,不可群では 29 時

間と報告し

28)

,Sugiyama らは,それぞれ平均 23.5

時間,43.6 時間と報告している

29)

.いずれも最終

血便から 24 時間以内に行う内視鏡検査の有用性

を示唆した結果となっている.Nagata らは,最終

血便から 24 時間以内でも 24 時間以降でも内視鏡

検査自体および前処置による偶発症の頻度に差を

認めなかったと報告している(それぞれ 0% vs 0

%,1.8% vs 1.2%)

25)

.したがって,出血源同定の

ためには最終血便より 24 時間以内に大腸内視鏡

検査を行うほうが効果的であると言える.

2  大腸内視鏡検査の前処置の必要性(Table 2 )

 大腸内視鏡の前処置の必要性に関しては,経口

洗浄剤 PEG(ポリエチレングリコール)での前処

置を行わなかった症例では,全大腸観察率が 55〜

70%と低い

16)

.Saito らは,全大腸観察を必要とし

Table 1 大腸内視鏡検査のタイミング別にみた出血源同定率. Table 2 内視鏡前処置有無別にみた出血源同定率. 報告者 報告年 症例数 最終血便から 24 時間以内 最終血便から 24 時間以降 対象 Kouanda ら22) 2017 1,261 88.6% 85.9%血便を来す疾患群 Seth ら23) 2017 699 76.0% 69.5%血便を来す疾患群 Sengupta ら24) 2017 863 36.5% 20.4%血便を来す疾患群 Nagata ら25) 2016 326 26.4% 9.2%血便を来す疾患群 Niikura ら26) 2015 215 22.0% 3.9% 大腸憩室出血 水城ら27) 2013 80 40.0% 3.3% 大腸憩室出血大腸憩室出血の他に,治療後出血,痔出血,虚血性腸炎,大腸癌,感染性腸炎,(狭義の)炎症性腸疾患,直腸潰瘍,放 射線性直腸炎,血管性病変,小腸出血を含む. 報告者 報告年 症例数 PEG 前処置あり PEG 前処置なし 対象 水城ら27) 2013 110 28.2% 12.0% 大腸憩室出血 Obana ら31) 2013 52 87.5% 16.7% 大腸憩室出血 Sugiyama ら29) 2015 99 21.3% 33.3% 大腸憩室出血 Lim ら32) 2013 194 97.1% 84.0%血便を来す疾患群大腸憩室出血の他に,治療後出血,痔出血,虚血性腸炎,大腸癌,感染性腸炎,(狭義の)炎症性腸疾患,直腸潰瘍,放 射線性直腸炎,血管性病変,小腸出血を含む.

(4)

ない症例も入っているという limitation はあるが,

PEG を用いた前処置を行った場合の全大腸観察

率は,その他(グリセリン浣腸,前処置なし)の

ものよりも高い(74% vs 27%)としており,さ

らに前処置不良という理由で検査不可であったも

のが PEG 使用例ではその他の(グリセリン浣腸,

前処置なし)ものよりも低い( 5 % vs 21%)と

報告している

30)

.すなわち全大腸観察を目的とす

る場合には PEG による前処置を行う方が良いと

言える.PEG による前処置有無別に出血源同定率

をみると,大腸憩室出血症例の検討では,前処置

ありの症例では 21.3%〜87.5%,前処置なしの症

例では 12.0〜33.3%であった

27),29),31)

.血便を来す

疾患群での検討では,前処置ありでは 97.1%,前

処置なしでは 84.0%であり

32)

,ほとんどの study

で PEG による前処置を行った方が高い出血源同

定率を得られるという結果であった.PEG による

偶発症(嘔吐や血圧低下)発生率は消化管出血患

者と非消化管出血患者で比較しても有意差がない

( 9 % vs 14%)と報告されている

33)

.大腸憩室出血

症例においては見つける対象のサイズが小さいた

め,正確な診断,適切な治療のためには大腸内視

鏡検査前には前処置を行った方が良いと言える.

大腸憩室症ガイドラインでも,禁忌例を除き,経口

洗浄剤を用いた前処置を推奨している

4)

.Ameri­

can Society for Gastrointestinal Endoscopy のガイ

ドラインでも,血便を来した患者は入院後 24 時間

以内に速やかな前処置後に大腸内視鏡検査を行う

ことを推奨している

34)

3  造影 CT 検査併用の有用性について

 消化管出血に対する造影 CT 検査の有用性はす

でに報告されている

35),36)

.造影剤の血管外漏出像

(extravasation)を捉えることは消化管出血の確診

的所見であり,出血部位を解剖学的に把握するの

に大いに役立つ.Extravasation を正確に診断し,

また描出率を少しでも上げるため,消化管出血症

例における造影 CT 検査は 2 相(動脈相,門脈相)

撮影することが勧められている

37)

.Extravasation

は CT 検査時に 0.2ml/分の出血があれば描出可能

で,大腸憩室症例において extravasation が描出

されれば責任憩室の location が判明し,続いて行

う大腸内視鏡検査の参考になる(Figure 2 ).出血

源同定率向上のため大腸内視鏡検査前に造影 CT

検査を行うことで,大腸内視鏡検査を単独で施行

するよりも 15〜20%の診断率上乗せ効果があると

報告されている

28),38)

.実際に extravasation 描出

例での大腸内視鏡の出血源同定率は 50.0〜68.3%

で,非描出例の同定率 20.2〜36.3%と比較して高

い(Table 3 )

29),31),39)

.しかし,Obana らは大腸憩

室出血症例全体における造影 CT 検査での extrav­

asation の描出率は 15.4%と報告しており

31)

,決し

て高くない.その中で extravasation 描出例は最

終血便から CT 検査までの時間が平均 1 〜1.6 時間

と短く

28),31)

,血便があれば速やかに造影 CT 検査

をすることが望ましい.よってガイドラインでは,

大腸憩室出血全例に造影 CT 検査は推奨されない

が,血便から 2 時間以内であれば考慮するとされ

ている

4)

4  大腸内視鏡検査での工夫

 責任憩室同定率を上げるため,内視鏡先端アタッ

チメント装着

40)

,Water jet 併用の有用性が報告さ

れている

26),41)

.村野らは,注腸を標準とした場合,

内視鏡による大腸憩室の正診率は 47.1%であった

と報告している

42)

.すなわち,先端アタッチメント

を用いない内視鏡では憩室の半数は見落とされて

いることとなり,大腸憩室出血の正確な内視鏡診

断はできない.先端アタッチメントはハウストラ

の陰に隠れた憩室を見つけたり,ヒダ間に位置す

る場合もヒダを捲り病変との適切な距離を保ち正

面視できる(Figure 3-a,b).憩室が接線報告に位

置する場合も正面視することが可能になり,正確

かつ迅速な処置を行うことができる.千原らは,

Figure 2 造影 CT 検査での血管外造影剤漏出像. S 状結腸憩室のひとつから造影剤漏出を認める.

(5)

先端アタッチメント装着群と非装着群でクリッピ

ング止血成績を比較検討し,装着群では非装着群

と比べて確実な止血を行うことができ早期再出血

を認めなかったと報告している

43)

.Water jet を使

用した水深下の観察は水圧で憩室を広げることに

よって憩室内の視認性を向上させるというもの

で,過送気による腹痛の心配もほとんどなく,SRH

同定に有用であると報告されている(Figure 3-c,

d)

41)

5  新しい責任憩室同定法 “step clipping” 法

- 大腸憩室症例において,上述のごとく造影 CT

検査で extravasation があっても続いて行う大腸

内視鏡での責任憩室同定率は 50〜68%にとどま

Table 3 造影 CT 検査での extravasation 有無別にみた内視鏡検査での出血源同定率. 報告者 報告年 症例数 Extravasation あり Extravasation なし 対象 Sugiyama ら29) 2015 55 60.0% 31.4% 大腸憩室出血 Obana ら31) 2013 52 50.0% 36.3% 大腸憩室出血 Nakatsu ら39) 2015 346 68.3% 20.2% 大腸憩室出血 Figure 3 大腸内視鏡検査時の工夫. a:ヒダとヒダの間(黄色矢印)に責任憩室が存在することもある. b: 非出血性露出血管を伴う憩室.ヒダをヒダの間の狭いスペースでは先端アタッチメントがなければ病変との 適切な距離を保つのは困難. c:送気のみでは憩室は広がらない. d:水圧によって憩室開口部は広がり,水深下観察では憩室内部まで視認可能となる. a c d b

(6)

29),31),39)

.内視鏡検査では実際の CT 検査ほどの

正確で客観的な位置把握が難しく,さらに自然止

血後の責任病変を多数の憩室の中から同定するこ

とが難しいということが原因である.大腸の形態

には個人差があり,内視鏡検査において絶対的な

位置の指標となり得るのは盲腸,回盲弁,直腸で,

その他の部位に造影 CT 画像で extravasation を認

めてもその部位を内視鏡で正確に探り当てるのは

困難である.“step clipping” 法

44)

は,大腸に人為

的な指標を作り出し,それにより内視鏡での客観

的な位置把握を可能にする方法である.具体的な

方法を示す.①造影 CT 画像にて extravasation

のある責任憩室を特定する.② PEG による前処

置後に大腸内視鏡検査を行い,自然止血後であれ

ばほとんど探す作業をせず責任憩室近傍に任意の

間隔でマーキングクリップを数個留置する(Fig-ure 4 ).③内視鏡検査 1 時間後に単純 CT 検査を

施行し,①の責任憩室とそれぞれのマーキングク

リップとの位置関係を正確に把握する(Figure 5 ).

④その対比情報を基に大腸内視鏡検査にて責任憩

室を同定,治療する.この方法を用いることで,

例えば「責任憩室の位置は,口側から 2 番目と 3

番目のクリップの中間の背側に位置する」という

具体的な情報を得ることが可能となる.CT 画像

は 1 mm スライスであれば詳細な解析が可能であ

るが, 5 mm スライスであってもクリップが撮像

されていれば内視鏡で検索する範囲をかなり絞り

込むことができる.大腸憩室出血症例で内視鏡検

査時間についての報告は少ないが,45-140 分と報

告されており

45),46)

,通常の大腸内視鏡検査と比較

すると明らかに長い.Tamari らの報告では,責

任憩室同定に費やした時間は 1 分未満である

44)

“step clipping” 法は,造影 CT 検査で extravasation

がある症例に限定はされるが,責任憩室を極めて

短時間に同定できる方法であり,その臨床的な有

用性は症例を重ねて検討されるべきである.

Ⅳ 大腸憩室出血の内視鏡治療

 大腸憩室出血は保存的加療のみでの自然止血率

は 70〜90%と高い

4)

が,内視鏡治療介入がなされ

ない場合,再出血する頻度も高い

7),47)

.頻回の輸血,

入院日数の延長などは日常臨床でしばしば問題と

なり,内視鏡治療の果たす役割は大きい.内視鏡

治療による偶発症については症例報告が散見され

る程度であることから,安全性は高いと言える.

 クリップ法,結紮法,凝固法は初回止血率が高

く,また早期再出血率(治療後 30 日未満に起こる

再出血)が低い止血法である.凝固法は,筋層の

欠落した仮性憩室,特に憩室底部からの出血では

穿孔リスクがあり推奨されていないが,クリップ

Figure 4 step clipping 法の実際(マーキングクリップ留置). a:被疑部位を中心にマーキングクリップを任意の間隔で数個留置する. b:マーキングクリップ留置後のシェーマ像(文献 44 より引用).クリップが一定間隔に留置されているのがわかる. a b

(7)

法,結紮法はその有用性,安全性の高さから広く

用いられている方法である.内視鏡的止血術には

いくつか選択肢があり,それぞれの方法の特性を

理解し,個々の症例に応じた治療と経過観察を選

択していくことが重要である.

 これまで英語,日本語論文で報告(2000 年 1 月

〜2018 年 3 月の文献を PubMed,医学中央雑誌に

てキーワード「colon diverticular bleeding」「en­

doscopic treatment」「大腸憩室出血」「内視鏡治

療」で検索,一部不足分はハンドサーチ)された

治療法別の早期,後期再出血率について以下に要

約する (Table 4 ).

1  クリップ法

 組織傷害が少なく安全な方法であり,大腸憩室

出血に対しての内視鏡的止血術として多用されて

いる.早期再出血率(治療後 30 日未満に起こる再

出血)は 0-50%,後期再出血率(治療後 30 日以降

に起こる再出血)は 0-67%である

45),48)〜55)

.クリッ

プ法には憩室内の露出血管を直接クリップする方

法(直達法)

(Figure 6-a,b)と,憩室開口部を縫

縮し閉鎖する方法(縫縮法)

(Figure 6-c,d)が

ある.直達法は憩室内の露出血管を直接処置する

ので,報告では 67 例

45),48)〜51),53)

のうち早期再出血

は 3 例( 4 %)のみであり止血効果は高い.直達

法は第一に試みるべき方法であるが実施不可なこ

とも多い.露出血管が深い憩室の底部にあり直接

クリップが届かない場合や,大量出血時,あるい

は憩室口が小さく露出血管が目視できない場合に

は直達法は困難で,憩室口を機械的に閉じる縫縮

法が選択される.縫縮法は安全で難易度も高くな

いため選択されやすい

56)

が,露出血管に力が加

わっていなかった場合,数日後クリップの脱落に

より再出血しやすい.とくに上行結腸の憩室出血

はクリップ治療で再出血しやすく難治とされてい

ることから

53)

,同部位からの出血に対しての内視

鏡治療でクリップ縫縮法は first line として推奨さ

れていない

57)

.クリップ法の偶発症としては,大

腸菌による敗血症が報告されており,大量出血時

に縫縮法にて憩室を閉じたことにより憩室内圧が

上昇し,憩室内の大腸菌で菌血症を起こしたもの

と考察されている

58)

 近年,大腸憩室出血に対するクリップ法で,従

来の止血用クリップとは別に

OTSC(Over-the-scope clip)の有用性が報告されている

59),60)

.内科

―外科の間を埋める画期的な消化管壁全層縫合器

として,Ovesco Endoscopy AG 社(Germany)に

より開発された.欧米での 2009 年の臨床導入以

降,その臨床的有用性が報告され,本邦でも 2011

年より臨床使用が可能となった.穿孔,瘻孔,縫

Figure 5 step clipping 法の実際(画像の対比). a:内視鏡検査前の造影 CT 画像.造影剤漏出像を認める責任憩室が描出されている. b: マーキングクリップ留置後の単純 CT 画像.責任憩室は②と③のクリップの間 に位置することがわかる. a b

(8)

合不全とともに難治性消化管出血も適応疾患と

なっている.従来の止血用クリップと比較して,

より強く,持続性の高い組織把持力を有する.方

法は,内視鏡的結紮術で使用する O リング結紮に

類似しており,組織を先端アタッチメント内に引

き込み,その基部を 4 本歯が左右から噛みこむ機

序により組織を持続圧迫し止血効果を発揮する.

消化管出血に対しては早期再出血率 9 %で

61)

,従

来のクリップを使用した止血よりも効果が高いと

言える.ただし,慢性炎症などで組織の瘢痕・硬化

を伴う症例は治療不成功となりやすい.穿孔,逸

脱,狭窄などの偶発症発症率は全体の 0.5%程度で

あり比較的安全に行うことができる.従来の内視

鏡的止血術で不成功となった場合は外科手術が考

慮されるが,高齢であったり併存疾患を多く有し

ている症例はリスクが高い.この OTSC は外科手

術となる前に一考されるべき治療のひとつである.

2  結紮法

 2000 年に Witte によって大腸憩室などの大腸出

血性病変に対する内視鏡的バンド結紮法(Endo­

scopic band ligation:EBL)の有用性が報告され

62)

.早期再出血率は 0-15%,後期再出血率は 0-21

%である

46),48),52)〜54),63),64)

.結紮法は出血部位(憩

室頸部,底部)によらず機械的な止血が可能で,ク

リップ法と比較して早期再出血をより抑制し

48),54)

また,動脈塞栓術や外科手術への移行率が低いこ

とが報告されている

65)

.EBL 治療の 1 - 3 カ月後

Table 4 内視鏡治療法別にみた治療成績. 止血法 報告者 報告年 症例数 早期再出血 後期再出血 偶発症 平均経過観察期間 クリップ法 (OTSC 除く) Yen ら45) 2008 11 0( 0 %) 2(18%) 0( 0 %) 13 カ月 Setoyama ら54) 2011 48 16(33%) NR 0( 0 %) NR Ishii ら53) 2012 89 30(34%) 6( 7 %) 0( 0 %) NR Kaltenbach ら50) 2012 21 0( 0 %) 14(67%) 0( 0 %) 38 カ月 小南ら51) 2012 89 8( 9 %) 10(11%) 0( 0 %) 28 カ月 Couto-Worner ら49) 2013 1(20%) 0( 0 %) 0( 0 %) 22 カ月 Fujino ら55) 2013 16 8(50%) NR 0( 0 %) NR Nakano ら48) 2015 39 15(38%) 11(28%) 0( 0 %) 65 カ月 樋口ら52) 2016 11 0( 0 %) 4(36%) 0( 0 %) 20 カ月 結紮法(留置スネア法除く) Farrell ら46) 2003 0( 0 %) 0( 0 %) 0( 0 %) 12 カ月 Setoyama ら54) 2011 18 1( 6 %) NR 0( 0 %) NR Ishii ら53) 2012 27 3(11%) 0( 0 %) 0( 0 %) 11 カ月 Shibata ら63) 2014 27 1( 4 %) 1( 4 %) 0( 0 %) 18 カ月 Nakano ら48) 2015 61 8(13%) 13(21%) 0( 0 %) 30 カ月 Ikeya ら64) 2015 101 15(15%) NR NR NR 樋口ら52) 2016 37 0( 0 %) 2( 5 %) 0( 0 %) 20 カ月 エピネフリン局注法(単独) Ramirez ら76) 1996 0( 0 %) 0( 0 %) 0( 0 %) 5 カ月 Bloomfeld ら75) 2001 3(38%) 1(13%) 0( 0 %) 34 カ月 凝固法 Foutch ら78) 1996 1(25%) 0( 0 %) 0( 0 %) 13 カ月 Jensen ら47) 2000 10 0( 0 %) 0( 0 %) 0( 0 %) 30 カ月 Bloomfeld ら75) 2001 2(40%) 2(40%) 0( 0 %) 36 カ月 NR:Not reported

(9)

には,憩室が消失し,瘢痕化することが再出血を

抑制する根拠と言える

53),63)

.早期再出血例は,O-リングの脱落,潰瘍形成などで起こるとされる

64)

EBL は先端アタッチメント内に憩室を吸引反転し,

その反転憩室の基部をバンドで結紮する方法であ

る(Figure 7-a).吸引により筋層や漿膜まで引き

込むことはないとされているが(Figure 7-b)

46)

ex vivo では回腸,右側結腸での EBL で筋層の巻

き込みがあったとされ注意が必要である

66)

.実際

の臨床では,長期のステロイド使用例,慢性腎不全

の症例で EBL 後の遅発性穿孔の報告がある

67),68)

NSAIDs,麻薬,ステロイド使用は結腸内圧の上

昇や粘膜傷害による壁脆弱化を伴い,憩室穿孔の

リスクと言われており

69)〜71)

,こうした症例の内視

鏡治療は注意が必要である.EBL は 2018 年 3 月

現在適応外となっており,保険外使用に対する患

者へのインフォームド・コンセントが必要となる.

 同じく結紮法には,留置スネアを用いる方法が

ある.出血点を確認後,留置スネアを先端アタッ

チメント内に展開しておく.次いで憩室を吸引反

転し,憩室基部をスネアで結紮する.治療対象とな

る部位の確認後にスコープ再挿入の必要がなく,

EBL と比較して時間の短縮に大きな利点がある.

Akutsu らは責任憩室同定から治療完遂まで 5 ±

2 分と報告している

72)

.また,コストも EVL デバイ

スの約 1 / 6 と安価である(2,400 円 vs 14,500 円).

留置スネアを用いた結紮法の治療成績は,Akutsu

72)

は 8 例に行い早期再出血が 1 例のみであり,

奈良坂ら

73)

は 6 例に行い早期再出血が 1 例のみで

あったと報告している.偶発症はともに認めてい

Figure 6 クリップ法による止血術. a:噴出性の活動出血を伴う憩室. b:直達法:露出血管に直接クリッピングすることにより止血を得る. c:湧出性の活動出血を伴う憩室. d:縫縮法:露出血管の視認は困難で,憩室の開口部を縫縮,閉鎖し止血を得る. a c d b

(10)

ない.

3  局注法(高張ナトリウム - エピネフリン局注)

と凝固法

 局注法は,高張ナトリウム - エピネフリン(Hy­

pertonic saline-epinephrine:HSE)を出血憩室の

周囲に局注する方法で,比較的簡便で有効な方法

である.エピネフリンの血管収縮作用と高張ナト

リウムによるエピネフリン薬理作用の延長,組織

傷害作用によって止血される

74)

.単独治療での早

期再出血率は 0-38%,後期再出血率は 0-13%であ

75),76)

.出血量が多い時にはその量を減らすため

に用いる方法だが,止血効果は一時的であるので,

他の治療法と組み合わせて行うべきである

75),77)

 凝固法はヒートプローブやバイポーラ鉗子を用

いて露出血管を熱凝固する方法である.早期再出

血は 0-40%,後期再出血は 0-40%である

47),75),78)

処置には注意が必要で,穿孔リスクを減らすため,

鉗子の低圧把持,低出力(10-15W),短時間( 1

- 3 秒)で行うべきとされる

16)

.Green らは angio­

dysplasia 症例に対して凝固法を用いて 1 例の穿孔

があったと報告している

79)

.大腸憩室出血症例で

の偶発症は報告されてはいないが

47),75),78)

,大腸憩

室は筋層を欠くという解剖学的な特性から選択は

慎重に行うべきであり,特に憩室底部からの出血

に対して凝固法は避けるべきである

4)

.以上の理

由より,局注法や凝固法は大腸憩室出血に対する

内視鏡的止血術の第一選択とはなりにくい

57)

4  バリウム充填法

 バリウム充填による止血機序はまだよくわかっ

ていないが,バリウムによる憩室内の充填圧迫,

血液や露出血管の凝固作用が考えられている

80)

大腸内に多数の憩室があり出血源が特定できない

場合に有効である.しかし,憩室自体は筋層を欠

いており,内圧に対して脆弱なため穿孔に注意す

る必要がある.Matsuura らは 20 例に対してバリ

ウム充填法を行い, 1 例の穿孔を報告している

81)

バリウム充填法には,内視鏡的バリウム散布法と

高濃度バリウム注腸法がある.使用するバリウムは

低濃度(50w/v%程度)と高濃度(200w/v%程度)が

あり,高濃度バリウムでの治療は再出血率を有意

に抑えるとされる

82),83)

.内視鏡でのバリウム散布

はある程度区域を選択的に治療でき,また内視鏡

治療時に責任病変が見つかった場合にはバリウム

散布以外の内視鏡治療を併用できる利点がある

84)

Figure 7 結紮法による止血術. a:バンドにより結紮された憩室. b: 内視鏡的結紮術のシェーマ(文献 46 より引用).憩室の吸引反転により筋層・漿膜を引き込むことはないとさ れる. a b

(11)

しかし,シリンジでの用手的な注入では加圧の限

界があるため高濃度のバリウムは注入が難しい.

バリウム充填法の再出血の予防効果は内視鏡治療

とほぼ同等と考えられているが

80),85)

,再出血した

際に次に行う内視鏡検査や血管造影に支障を来す

懸念があり,ガイドラインでは施行しないことが

提案されている

4)

Ⅴ 大腸憩室出血のその他の治療

 大腸憩室出血に対してはまず内視鏡治療を試み

るが,視野確保が困難な大量出血,内視鏡治療に

抵抗性の再出血,出血箇所同定困難な反復性出血

などは動脈塞栓術の適応となる.しかし,その場

合は血管造影において出血部位を同定しなければ

ならない.造影検査時に 0.5〜1.0ml/分の出血があ

れば出血源診断可能であるが,実際に出血部位を

同定できるのは 24〜48%と報告されている

86)〜88)

動脈塞栓術の偶発症は腸管虚血であり,複数の直

動脈を塞栓することでリスクが高まり,その頻度

は 13〜33%と報告されている

49)

.また,塞栓部位

の再開通による再出血もあるため,止血後も臨床

経過に十分な注意が必要である.

 内視鏡治療,動脈塞栓術が不成功であった重症

例は大腸切除術の適応となる.術前に出血部位が

同定できている場合には結腸部分切除を施行し,

同定できていない場合には結腸亜全摘術を施行す

4)

 なお,本邦と欧米では前処置 PEG 投与量の違い

はあるものの,診断の first choice は大腸内視鏡検

査である

4),89)

.さらに,大腸憩室出血に対する治療

として手術選択となる前にあらゆる内視鏡治療,

血管内治療を試みるという方針は本邦と欧米で相

違ない

90)

Ⅵ おわりに

 大腸憩室出血に対する内視鏡診断と治療につい

て概説した.内視鏡的止血術は,有用性や安全性

が高く,第一に試みるべき方法である.しかし,

質の高い内視鏡治療を提供するためには,正確な

内視鏡診断が前提である.症状出現後の速やかな

大腸内視鏡検査,造影 CT 検査は責任憩室の同定

率を向上させる.責任憩室のロケーション,出血

の状態,露出血管の位置は治療法選択に重要な要

素である.

 将来的には,まだまだ十分とは言えない責任憩

室診断率の向上,内視鏡検査時間の短縮,長期的

な再出血まで予防する止血法の開発など解決する

べき課題が残っている.今後増加していく大腸憩

室出血に対しての診療が進化し続けていくことを

期待したい.

 本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

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論文受付 平成30年 4 月10日 同 受理 平成30年 6 月 8 日

ENDOSCOPIC DIAGNOSIS AND TREATMENT FOR

COLONIC DIVERTICULAR BLEEDING

Taiki AOYAMA

AND

Shinji NAGATA

Department of Gastroenterology, Hiroshima City Asa Citizens Hospital.

  The increasing frequency of colonic diverticular bleeding along with the increasing frequency

of diverticulosis in the background of the rapidly-aging population and more comorbidities has be­

come clinically significant. We often encounter difficulties in identifying the bleeding site in pa­

tients with colonic diverticular bleeding due to its feature of intermittent bleeding. Spontaneous

cessation of hemorrhage is often experienced; however, rebleeding occurs at a high rate unless

proper intervention is provided. Endoscopic clipping and ligation are useful because of their high

hemostatic success rates. It is essential to identify SRH (stigmata of recent hemorrhage) during

endoscopic examination. There is a high probability of identifying the responsible diverticulum if

colonoscopy/contrast-enhanced computed tomography (CT) is performed at the onset of bleeding

and a new technique, the “step clipping” method, is used.

Figure 1 SRH(Stigmata of recent hemorrhage)の内視鏡像.

参照

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