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見直しの意見を受けた場合 まずは現行制度を見直さないという論陣を張るのが一般的であり 国の制度を見直すことは容易なことではない (5) これまでの国が自治体を指導するという一方的な関係ではなく 先進的な自治体の知恵を国が吸収して国の政策に反映するという国と自治体の提携 参画関係を政策形成の場面におい

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国の自治体への関与の改革の検証と今後の課題(上)

― 分権型の政府間関係の構築に向けて ―

小 泉 祐一郎

はじめに

1 政策効果の向上と関与の改革 地方分権改革(以下「分権改革」という。)に対する自治体の期待には、国の画一的 な政策プログラムが地域の実情に適合していないという問題意識が根底にあり(1)、自 治体は地域の実情や意向を政策プログラムに十分に反映したいと願っているのである(2) なぜなら、政策の目的を達成するためには、地域の団体や住民と共通認識を醸成した上 で、自治体、地域の団体、住民が協働、連携していくことが必要不可欠となっているか らである(3) 政策の成果が十分に見られないという場合に、制度と現実との乖離に悩むことが多い のが、自治体の実情である(4)。自治体では、法令で定める制度をこう変えられないか という問題に遭遇することは珍しくないが、国の行政機関の特性として、現行の制度の (1) 西尾勝(2007、p.27)は、地方分権推進委員会に対し「自治体から寄せられた改革要望の大 半は国の関与の縮減を望むもの」と述べている。また、西尾勝(2007、p.221)は、地方分権 推進委員会から地方分権改革推進委員会までの改革の成果は、「一言でいえば、自治体の自由 度の拡大であった。」と述べている。 (2) 今村都南雄(2000、p.8)は、地方分権推進委員会の勧告に基づく分権改革について「自治 体政府における『可能性の範囲の拡大』がキーワードである」と述べている。 (3) 辻山幸宣(2000、p.18)は、「ひとびとの暮らしや地域のありようを中央政府の決定と行政 による充足に依存してきた時代は終わり、地域で自治体で自己決定し多様な主体がそれを実現 していくために役割を担い合う時代への条件整備、それが今回の分権改革である」と述べてい る。 (4) 嶋田暁文(2010、p.193)は、「政策実施の『失敗』は、執行活動の不充分さに起因する場 合もあれば、執行活動の前提となっている『プログラム』(=行政活動に関する客観ルール・ 準則)がそもそも誤った因果関係や理論に基づいていることに起因する場合も珍しくない」と 述べている。

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見直しの意見を受けた場合、まずは現行制度を見直さないという論陣を張るのが一般的 であり、国の制度を見直すことは容易なことではない(5) これまでの国が自治体を指導するという一方的な関係ではなく、先進的な自治体の知 恵を国が吸収して国の政策に反映するという国と自治体の提携・参画関係を政策形成の 場面においても構築していくことが重要であると思われる(6) 自治体の創意工夫が発揮できるようにするためには、自治体の政策裁量の余地を拡大 し、自治体が政策を試行錯誤しながら見直していくことが可能な仕組みとならなければ ならない。 そのためには、現在、国が自治体に対して統制・誘導を行い、自治体の自主性・主体 性を阻害している「関与」の改革が必要である。 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号。 以下「地方分権一括法」という。)による地方自治法の改正により、同法に助言・勧告、 資料提出の要求、是正の要求、同意、許可・認可・承認、指示、代執行、協議といった 行為を対象とした「関与」の定義が規定された。このため、地方自治法の関与を「狭義 の関与」と呼び、国会や裁判所による自治体の統制を含めた広い意味での関与を「広義 の関与」(7)と呼ぶようになっている。 本稿における「関与」についての検討は、いわゆる広義の関与のうち、内閣又は府省 が行う統制(8)、すなわち、政令、省令、通知、許可等による関与を対象としている。 2 関与の問題点 地方自治法の制定だけでは改革することができなかった個別法令による関与(9)の問 (5) スティーヴン・R・リード(1990、p.256)は、都道府県の政策について「日本の地方政府 は、政策の効果的な実施に必要な画一性を維持しているものの、必要な多様性をもたせること にはそれほど成功していない。私は、画一性からの逸脱に対して中央政府が強硬な態度を示し た多くの例を知っている」と述べている。 (6) 大橋洋一(2004、p.236)は、「施策コンテストにおける優秀作品を全国的に広めていく方 式の方が、現場から遠い中央省庁の立案した施策を全国画一的に強制する仕組みよりも、政策 失費のリスクは少ない」と述べている。 (7) 西尾勝(2007、p.11)は、第1期分権改革における「『地方六団体の総意』として提出され た改革要望事項の大半が広義の関与の廃止縮小を要望する事項になっていた」と述べている。 (8) 蝋山政道(1949、p.157)は、「立法機関たる議会によるものを立法的統制というならば、 裁判所によるものを司法的統制というべく、また、行政官省によるものを行政的統制といいう るのである」と述べている。 (9) 辻清明(1947、p.8)は、地方自治法の制定後の問題点として、「その第一として、中央官 廰による多元的拘束である」と述べている。

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題は、長年の懸案となってきた。国の自治体への関与は、本来ならば自治体が自主的に 行うべき意思決定の裁量権を国が留保し、実質的には上級官庁として意思決定に関わる 仕組みである。国の関与の仕組みによって、自治体の行政機関は国の行政機関の稟議制 に組み込まれ、一体として意思決定を行う中央集権型のシステムが構築されている。こ の結果、稟議制の持つセクショナリズムと後見的な上下関係といった問題が関与におい ても自治体の事務処理に影響を与えている(10) 特に、国の行政機関による自治体への関与は、一つの行政機関の内部における決裁権 限の配分と同じ性質を有している。行政機関の本庁と出先機関で決裁権限を配分する場 合においては、個別の事務処理の決裁を本庁にまで求めることはせずに、本庁が事務処 理要綱を定めて出先機関の内部で決裁が完結することが通例である。一方、出先機関と その出張所の関係では、出張所に決裁権限を委ねることはせず、出先機関に進達して決 裁を行うことが通例である。国の行政機関が、自治体の事務処理の運用基準を示して関 与するということは、本庁と出先機関と類似の関係であり、自治体の個別の案件の事務 処理に国が許認可等で関与するということは、出先機関と出張所との関係に類似したも のである。 このように、自治体の事務処理に、国、都道府県、市町村の行政機関が重層的に関わ る状況は、わが国の融合型の中央集権体制の特徴を最も端的に表している。関与は、国、 都道府県、市町村の間における行為であるために、その問題点が顕在化しにくい状況に あるが、国によるコントロールが、自治体の事務処理の様々な段階にまで及んでいるこ とは、住民自治の前提となる団体自治を阻害しているものであり、住民自治によって自 治体を運営していく上で、関与の改革は避けて通れない課題であると言えよう(11) (10) 武藤博己(2009、p.153)は、日本の稟議制の「『セクショナリズムの温存や後見的な上下 関係の確保、情実の要因の混入』といった問題点については、全体として、辻清明の指摘は現 在でも正しいと思われる」と述べている。 (11) 武藤博己(2008、p.223)は、道路行政の分野について「国の省庁が地域で解決すべきこと にまで口を出すという日本の法制度と慣例は、戦前のすべての道路が国の営造物であり、国に お伺を立てないと何も決定できないという法制度・慣例をいつまでも引きずっているようなも のである」と述べている。

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第1章 第1期分権改革

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による国の関与の改革の検証

分権改革の目的は、住民自治の前提となる団体自治の拡充である。団体自治を拡充する ための手段としては、権限を移譲して自治体が分担する事務を拡大する方法と、自治体の 事務処理に対する国の関与を改革して自治体の自主性を向上する方法がある。第1期分権 改革の特徴は、自治体が分担する事務の拡大よりも、自主性の向上に重点が置かれたこと である(13)。この背景には、同一の事務を国、都道府県、市町村が上下の関係で処理し、 国の関与が自治体の事務処理の細部にまで及んできたという実情がある(14)。国の関与を 維持したまま自治体に権限を移譲しても、国の出先機関として事務を処理するだけで、住 民自治の前提となる団体自治の拡充にはあまり寄与しないとの認識が、分権改革の基本に あったものと考えられる。 第1期分権改革における国の関与の改革で重要な内容は、①国の立法の原則の法制化、 ②機関委任事務制度の廃止、③関与のルールの整備、④個別的行政関与の見直しの4つで ある。

第1節 第1期分権改革による国の立法の原則の導入

1 地方分権推進委員会での審議と第1次勧告 地方分権推進委員会の第1次勧告では、国の立法の3原則が勧告された。 (12) 本稿において「第1期分権改革」とは、西尾勝(2007、pp.122-123)の「私は、地方分権一 括法が施行された時点以降の地方分権改革を第2次分権改革と称してきた」との用語法に従っ て、1995年7月の地方分権推進委員会の発足から2000年4月の地方分権一括法の施行までを対 象としている。 (13) 西尾勝(1999、p.139)は、地方分権推進委員会は、地方六団体からの要望を出発点にして いたところ、地方側からの要望が権限移譲ではなく関与の縮小廃止を求めるものが多かったと 述べている。 (14) 水口憲人(2001a、pp.13-16)は、第1期分権改革について「中央の地方への『関与の仕 方』に関わるもの」であり、「『関与の仕方を変える』とは統合の仕方を変えることの別の表 現だと見なすことができる」と述べている。 さらに、水口憲人(2001b、p.38)は、第1期分権改革とは、統合=行政統制から統合=立 法統制に変えることであったとしている。

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この勧告を受けて、地方自治法第2条第11項、第12項、第13項に国の立法の原則(15) が規定され(16)、特に第13項では、「法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が 処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地 域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならな い。」とされた(17)。第13項は、地方分権推進委員会の第1次勧告で示された国の立法 の3原則のうち、「条例制定への配慮」を特に念頭に置いたものである。 2 第1期分権改革の課題:個別の法令の規律密度 機関委任事務制度の廃止により、従来は国の事務とされていた旧機関委任事務につい て、条例の制定の制約がなくなった。第1期分権改革によって条例制定の領域が大幅に 拡大したことは確かであるが、個別の法令の規律密度が高い場合には、事実上の制約を 含め、条例の活用が抑制されることになる。法令の規定と異なる内容を条例で定めるこ とが理論上は可能な場合であっても、自治体の実務上は踏み切れないのが実情である。 前述したように、地方自治法第2条第13項では、法令に基づく自治事務について、国 は自治体が地域の特性に応じて事務を処理することができるよう特に配慮しなければな らないこととされたが、配慮していない法令の規定の見直しまでには至らなかった。こ のため、地方自治法の原則に適合しない個別の法令の規定が存置される結果となった。 第1期分権改革で、地方自治法第2条第13項の規定が置かれた意義は大きなものがあ るが、自治事務に対する個別法による関与(以下「立法関与」という。)及び政省令に よる関与(以下「準立法的行政関与」という。)の規定が見直されなかったことは、分 権型社会を目指す国の法制のあり方として課題を残したと言うことができよう。機関委 任事務制度の廃止により、多くの事務が条例制定の対象となったにもかかわらず、既存 (15) 北村喜宣(2009、p.31)は、「分権改革を踏まえれば、解釈論としては、まず、上記の諸原 則は、憲法92条を分権改革に即して解釈し確認的に規定したものと整理できる」と述べている。 松永邦男(2003、p.17)は「改正後の自治法1条の2及び2条11項から13項までの規定」は、 「条例制定権の有無の問題をめぐって関係法令の規定の趣旨・解釈が問題となる際においても、 指針として、大きな意味を持つこととなるものと考えられる」と述べている。 (16) 岩橋健定(2001、pp.370-378)は、「これらの条文の存在を踏まえた場合、法律と条例の抵 触があるようにみえる場合であっても、自治体の自主性・自立性を尊重し、できるだけ抵触が 存在しない(すなわち、条例が適法である)ものとして解釈することが求められるであろう」 と述べ、「領域先占論から規範抵触論へ」と表現している。 (17) 北村喜宣(2004、pp.64-65)は、「地方自治法第2条第13項の法意からは、たとえ、規律密 度高く規定されている法令であっても、それは、例示であって一応の標準的なものと、受け止 められるべきであろう」と述べている。

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の法令によって事務の細部まで規定されているため、自治体が条例を活用して事務を処 理する余地が限定されていることは、法令の規律密度の問題として第2期分権改革に引 き継がれた。 第1期分権改革では、農地法に基づく農地転用許可制度の許可基準など限られたもの であったが、通達による関与(以下「一律的行政関与」という。)から政省令による準 立法的行政関与への移行があった(18)。通達で定めていた事項は運用基準であったため、 通達の内容を政省令に格上げする動きは全体的な動きとしては広がらなかったが、多く の行政分野に広がっていたら分権改革にとっては逆効果を生じさせていたであろう(19) 平成13年6月14日の地方分権推進委員会の最終報告では、未完の分権改革をこれから 更に完成に近づけていくため、「国の個別法令による事務の義務付け、事務事業の執行 方法や執行体制に対する枠付け等を大幅に緩和する必要がある。」としている。

第2節 第1期分権改革による機関委任事務制度の廃止

第1期分権改革の最大の成果は、機関委任事務制度(20)の廃止であると言われている(21) 機関委任事務制度の廃止は、それまでの行政改革では部分的な見直しが行われてきた中央 集権の仕組みを抜本的に改革するものである(22) (18) 小早川光郎(2001、p.398)は、「条例によって新たに付加される基準が裁量基準たる性質 のものであるときは、それは、要件効果規定の場合とは異なり、自治体機関に、一定の事項を 考慮する余地なしに一定種類の処理をとることを義務づけてしまうという結果を生じるもので はない」ので、「違法ではないと考えられる」としている。こうした考え方によれば、農地法 の運用基準の政省令化は、「裁量基準」の「要件効果規定」化ということになり、自治体によ る裁量基準の定めの可能性を著しく制約したものとなる。 (19) 北村喜宣(2004、p.146)は、「現行の制度を『所与』とみてはならない。法定自治事務と されているにもかかわらずそうした状態になっていることが、違憲的なのである。そうである とすれば、とりあえずは、当該法令を合憲限定解釈する必要がある」と述べている。 (20) 辻山幸宣(1983、pp.59-65)は、「『機関委任事務』という概念は法律上のものではなく、 いわば講学上のものである」とした上で、「概念の不確定さが自治事務の領域を不分明にして いる」と指摘している。白藤博行(1997、p.48)は、「単なる法律の解釈で『機関委任事務』 であるかが決せられている状況のもとでは、ますます解釈によって国の行政機関が作り出され ることになる」と述べている。 (21) 西尾勝(2007、p.57)は、「第1次分権改革の最大の成果は機関委任事務制度を、整理合理 化でも原則廃止でもなく、全面廃止したことである」と述べている。 (22) 東田親司(2008、p.262)は、「機関委任事務制度の廃止とその後の新しい事務制度により 地方公共団体の行政面の自由度とそれに伴う責任の度合いが大きくなり、積年の中央集権構造 を短期間に分権構造に移行させる改革内容であった」と述べている。

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機関委任事務制度の廃止により、従来は指揮監督の手段として多用されていた通達の方 式が廃止された。法定受託事務について国が定める処理基準は、旧機関委任事務制度の指 揮監督権限に基づく通達とは異なり、自治体の事務処理を法的に拘束するものではないも のと解される。処理基準は「よるべき基準」であって「よらなければならない基準」では ないからである。 また、自治事務については、従前の通達の多くは、廃止されるか、又は「指針」等の名 称に変更され「技術的助言」として通知されており、自治体の事務処理を法的には拘束し ないものとされている。自治事務に関する指針等の助言の文書は、自治体の事務処理への 国のサービス的な情報提供の面も有しているが、自治体の事務処理への影響力があること から、一律的行政関与として位置づけ、許可、同意、協議等の狭義の関与(以下「個別的 行政関与」という。)としての「技術的助言」とは別に検討を要するものである。 なお、二級河川の管理など本来は自治事務として整理すべき事務が法定受託事務と区分 されているものがあり、事務区分の個別的な修正又は再区分が将来の検討課題となってい る(23) 1 機関委任事務制度の廃止の意義 機関委任事務制度の下では、自治体の首長を国の機関とみなして国が指揮監督するこ とが可能とされ(24)、自治体は法令の委任がなければ当該機関委任事務に関する条例が 制定できなかった。また、通達によって事務処理の細部にわたり統制を受けてきた(25) さらに、個別の事案について指揮監督権を行使し、命令することや認可を要するとする ことも可能とされていた(26) 機関委任事務制度の廃止は、自治体の事務処理に対する国の統制を抜本的に改革した (23) 本稿では、自治事務と法定受託事務の区分けの問題は、将来の検討課題として内容には立ち 入らない。区分けの課題については、武智秀之(2002、p.139)、島田恵司(2007、pp.22-35)参照。 (24) 白藤博行(1996、p.32)は、「国の機関委任事務の受任機関のすべてが自動的に国の機関と なるといった解釈論がまかり通ったことへの反省が必要」と述べている。 (25) 小滝敏之(1983、p.224)は、「英米に比べ、わが国においては、中央政府の統制が単に量 的に多いばかりでなく、質的にも相当厳しい内容となっている。それは、わが国に機関委任事 務及びこれに対する指揮監督という英米にはみられない特殊な制度が存在するためである」と 述べている。 (26) 室井力(1981、p.122)は、「地方自治法150条の指揮監督は、包括的であるが、事実上、行 政指導的性格のものといえる」と述べている。

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ものと言えよう(27) 機関委任事務制度の廃止によって、制度的には、自治事務はもとより、法定受託事務 についても条例の制定が可能となった(28)。また、通達の廃止によって、自治体が独自 の審査基準を定める余地が拡大した。機関委任事務制度の廃止に伴う自治体の裁量権の 拡大は、①自治体独自の運用基準の決定、②規則制定の領域の拡大、③条例制定の領域 の拡大の3つに整理できる。 これらの3つのうち、特に①自治体独自の運用基準の決定は、第1期分権改革の成果 が最も明確に表れているものである。国の通達による自治体の統制が否定され、自治体 による独自の運用基準の定めが可能となったことの意義は大きなものがある(29) 通達は、行政内部において上級官庁が下級官庁の権限行使を指揮監督する手段として 書面で発する命令であり、国の中央省庁が発する通達については国家行政組織法で「各 省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達する ため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる」(同法第14 条第2項)と規定されている。 機関委任事務については、改正前の地方自治法第150条において、主務大臣が自治体 の長に対して指揮監督権を行使できるとされていたことから、中央省庁から自治体に対 して通達を発することができたわけである。 したがって、本来は「通達」という命令の形式を中央省庁が自治体に対して用いるこ とができるのは機関委任事務に限られていたわけであるが、現実には、団体委任事務に 対する「通達」は、地方自治法に基づく技術的助言であり法的拘束力はないとの説明の 下に、「通達」の形式が濫用されてきた。 第1期分権改革で機関委任事務制度が廃止されたことによって、「通達」という命令 の形式を用いて中央省庁が自治体の事務処理を統制することが不可能になった。通達廃 止の最大の意義は、これまで通達が自治体の事務処理の判断基準や運用方法を細かく定 (27) 辻山幸宣(1997、p.71)は、機関委任事務廃止の意味について「国・地方の関係は機関委任 事務制度のもとでのそれと原理的には大きく転換することになる」と述べている。 (28) 磯崎初仁(2002、p.105)は、「自治体の事務を定める法律の規定は、全国最低限の規制と 解すべきであり、特に自治事務については、全国一律の規制を定めたと解することはごく一部 の例外を除いて認められないと解すべきである」と述べている。 (29) 西尾勝(2007、p.67)は、機関委任事務制度の全面廃止によって生ずる自治体の裁量の余地 は、条例制定の余地の拡大と法令解釈の余地の拡大であるとし、より重要なのは法令解釈の余 地の拡大の方であるという。

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めてきたことから、自治体の事務処理要綱、要領を抜本的に改正することが可能になっ たことである。また、通達による統制が事務処理の細部にまで及んでいたことが、条例 や規則の活用を困難なものにしてきたことも指摘しておきたい。 2 第1期分権改革前における国の通達行政 第1期分権改革前においては、許認可の要件や基準等を法令で定める一方で、運用の 細部にわたった通達等を発することが一般的に行われていた。中には、通達等で自治体 に国との事前協議を義務付けたり、行政機関や職の設置を求めたものもあった。ここで 言う通達等とは、大臣名、事務次官名、局長名、課長名の「通達」はもとより、「係長 事務連絡」、課長の私文書として出されていた「課長内かん」を含むものである。 このような事態が生じた要因は、機関委任事務制度に象徴される日本の中央集権型の 行政システムにあったことは言うまでもないが、事務処理の実務上も、中央省庁と自治 体の両方に次のような要請があったからであると考えられる。 ① 制度創設時における中央省庁の自治体に対する説明責任 ② 国における与党・省庁間調整への対応 ③ 制度改正の猶予・代替手段としての通達の活用 ④ 自治体の中央省庁への依存体質 国の通達は、中央省庁と自治体の担当課が縦割行政の垂直的な一体関係において、国 会や議会を抜きに行政機関同士の馴れ合いで事務を処理するのであれば、便利な道具で あった(30) 3 運用基準レベルにおける国と地方の関係のルール 地方自治法第11章第1節第1款「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与 等」には、自治体の事務処理の実施レベルに対する国の統制手段として、地方自治法で 規定する狭義の「関与」と「処理基準」の2種類のものが規定されており、「関与等」 となっている。 (30) 今村都南雄(2002、p.9)は、「『主任の大臣』による『行政各部』中心の硬直した行政体 制の弊害を克服することをめざした省庁等改革と機関委任事務制度の廃止を主眼とする地方分 権改革との関係にこそ注目すべき」と述べている。 堀江堪(2008、pp.50-51)は、2001年1月6日にスタートした中央省庁の再編について「国 の役割を純化限定し規制緩和と地方分権を進め、政府のスリム化を図る」ものと述べている。

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この「等」の部分が、かつては、通達行政が横行した運用基準レベルの事務処理段階 の関与の規定の存在を示しているものである。 ここで論点として取り上げるのは、技術的助言や資料提出の要求が、個別的行政関与 として行われるだけでなく、後述するように法令の解釈等を示した通知の形式で一律的 行政関与としても行われるため、運用基準レベルの事務処理段階の関与でもあるという 点で、処理基準と共通性を有していることである。 同法第245条の9に規定する法定受託事務に係る処理基準は、一律的行政関与の一形 態であるが、技術的助言や資料提出の要求とは異なり、同法で規定する「関与」には該 当しないこととされている。これは、地方自治法で規定する「関与」とは、国又は都道 府県の機関が自治体に対して、「具体的かつ個別的に関わる行為」、すなわち、個別的 行政関与を中心に据えており、技術的助言や資料提出の要求は、個別的行政関与として 行われる場合と、一律的行政関与として行われる場合の両方があり得るが、処理基準は、 一律的行政関与としてのみ行われるため、地方自治法に規定する「関与」には含まれな かったものと考えられる。また、関与の法定主義や関与の一般法主義、関与の手続きの ルール、関与の係争処理制度が、個別的行政関与を基本に規定されていることも、処理 基準を「関与」に位置づけることをより困難にしていると考えられる。 この結果、地方自治法には、この「等」の部分が、個別的行政関与ではなく、一律的 行政関与であるという明確な位置づけがない状況にある(31)。地方自治法の「関与」に 該当しない「処理基準」を規定するために、付録のように等が付けられているが、運用 基準レベルにおける国の関与を法的に規律する上では、技術的助言、資料提出の要求、 処理基準の3つを一律的行政関与として明確に位置づけ、法的にコントロールしていく 必要がある。地方自治法第11章第1節第1款「普通地方公共団体に対する国又は都道府 県の関与等」には、国と自治体の関係のルールとして、国が自治体の事務処理について 運用基準レベルで関わる場合の3つの手段(技術的助言、資料提出の要求と処理基準) が制限列挙されているものと考えるべきである。 (31) この点は、地方分権推進計画の段階で白藤博行(1999、p.31)は「推進計画における『基準 の設定』の位置付けはきわめて奇異である」と述べ、「『基準の設定』も関与の基本類型と考 えるのであれば、法定主義の原則が妥当するものとして、『基準の設定』も関与の基本類型に 掲げるべき」と指摘している。

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4 法令の解釈等の通知の法的根拠 地方自治法第245条の4に規定する「技術的助言」に関する解説書を見ると、個別的 行政関与として説明され、法令の解釈等を示した「通知」の根拠規定であることが明言 されていないことがある(32) 仮に、同法第245条の4に規定する「技術的助言」は、個別的行政関与に限った規定 であって、運用基準レベルの通知を発する根拠規定ではないとするならば、第1期分権 改革後に出された通達に代わる「通知」は、法令所管省庁が当然にできる自治体への行 政サービスであると考えるか、個別法に根拠規定を定めた上で行ったものと考えざるを 得ない。 しかしながら、地方分権推進委員会の中間報告、第1次勧告から通達廃止に伴う各省 庁の対応に至る経緯を踏まえれば、同法第245条の4に規定する「技術的助言」は、個 別的行政関与の根拠規定であるだけではなく、法令の解釈等を一般的に示す運用上の通 知を発する根拠規定でもあると解すほかはないと考えられる。なお、運用レベルの通知 において事実上の尊重義務を有するとされている勧告に該当するものを発することは想 定し難いことから、国から自治体へ通知する法令の解釈や運用の指針を示す通知は、 「技術的助言」として行い得るものと考えられる。 5 技術的な助言と処理基準の文章表現形式の問題点 技術的な助言の「技術的」とは、「恣意的ともいえるような判断又は意思を含まない 意である」とされている(33) 技術的助言としての通知には、法令の解釈や運用上の指針となる事項が示されるほか、 第1次勧告にもあったように、推奨すべき事項に係る情報提供、事務連絡等にとどまる 事項などが盛り込まれることが少なくない。技術的助言の中には、国から自治体への行 政サービスとして情報を提供しているものもあり、提供する情報には制限がない状況に ある。重要なことは内容よりも文章表現であり、あくまで自治体の自主的な判断を前提 にしたものでなければならない。この点に関し、景観法運用指針(平成16年12月17日付 (32) 明示しているものとして、松本英昭(2007、pp.566-567)は、処理基準の解説の中で、「自 治事務については、技術的助言・勧告として行うことはともかく、個々の法律の根拠規定がな ければ、国として基準を定めることはできず」と述べるとともに、平成12年4月1日の地方分 権一括法の施行に伴い、「従来から助言・勧告として出されていた通知については、従来通り 助言・勧告として位置付けられる」こととされたとしている。 (33) 松本英昭(2007、p.542)

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け農林水産事務次官・国土交通事務次官・環境事務次官通知)は、「①~べきである。 ~べきでない。②~ことが望ましい。~ことは望ましくない。③~ことが(も)考えら れる。」の3つの表現を意図的に区分して用いている。これらのうち、①は処理基準で 用いるべきもので、「技術的」助言で用いる表現としては不適当である。 一方、処理基準は、「事務を処理するに当たりよるべき基準」であるから、法定受託 事務であっても、自治体の判断に委ねるべき内容まで一括して処理基準に盛り込むべき ではなく、処理基準と技術的助言は明確に区別する必要がある。 処理基準においても、重要なことは内容よりも文章表現であり、法令ではなく運用レ ベルのものであることを明確にする意味で、「○○すべき」と表現することが適当であ る。 処理基準は、「よるべき基準」であって「よらなければならない基準」ではないので、 処理基準と異なる自治体の事務処理が直ちに違法と判断されるわけではないと考えられ る(34)。ただし、国の行政機関からの是正の指示や住民等からの違法ではないかとの指 摘を受ける可能性はある。また、処理基準は、運用基準であって法令ではないから、自 治体の条例や規則の規定が処理基準に抵触するからといって直ちに問題になるわけでは ない。運用基準である処理基準が、より上位の段階にある法令基準である条例・規則を 統制する手段にはなり得ないからである。

第3節 第1期分権改革による関与のルールの制度化

第1期分権改革によって、関与のルールが導入された。すなわち、①関与の法定主義(35) ②関与の必要最小限度の原則及び自治体の自主性・自立性への配慮義務、③一般法主義の (34) 小早川光郎(1998、p.116)は、地方分権推進委員会の勧告をベースとして、法定受託事務 についての法令の解釈等についての一般的指示〔現行の地方自治法の処理基準〕について、 「一般的ではあるにしてもそれ自体は法令ではない」とし、「地方公共団体が一般的指示に従 わない事務処理を行ったとしても、国の側から是正の指示や代執行が当然にできるわけではな い」と述べている。 (35) 宇賀克也(2007、p.228)は、「国・地方公共団体と私人間では、法律の留保に服さないと される助言・勧告等の非権力的関与も含めて、本条が関与の法定主義を定めたことは注目に値 する」と述べている。

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原則に基づく自治事務と法定受託事務(36)の関与の類型化(37)、④公正・透明の原則に基づ く関与の適正な手続の確保、⑤関与の係争処理制度の創設、の5つの「関与のルール」が 平成11年の地方自治法改正(38)により制度化された(39)。これらの意義は、大変おおきなも のがあるが、本稿では割愛する。なお、各省庁と地方分権推進委員会の委員との長時間の 折衝により、関与の一部が廃止又は縮減されたが、これについては、第4節で論ずること とする。

第4節 第1期分権改革による個別的行政関与の見直し

1 第1期分権改革スタート時の個別的行政関与の状況 地方分権推進委員会が発足した当時の個別的行政関与の状況は、平成8年3月末現在 で旧総務庁が取りまとめた「国の関与の現況表」によれば、関与の延べ総数で3,346件 に及んでおり、前年対比で13件、昭和63年末に比べ271件増加している(40)。複数の省庁 に共管のものをダブルカウントしない場合は、2,638件となっている。 関与を受ける事務を性質別に区分した場合、旧機関委任事務には953件(うち、権力 的関与337件)、旧団体委任事務には2,248件(うち、権力的関与840件)、国の機関と しての知事と市町村の双方に関与する場合のように、旧機関委任事務と旧団体委任事務 が混在している事務は145件となっている。関与の問題が旧機関委任事務以上に旧団体 (36) 芝池義一(1997、p.39)は、地方分権推進委員会の第1次勧告で示した機関委任事務制度の 廃止に伴う法定受託事務への国の関与について、「現行の主務大臣の包括的かつ無限定な指揮 監督権が解体され、助言・勧告権と3種の指示権に個別化されたことを制度の改善として評価 すべきであろう」と述べている。 (37) 大橋洋一(2004、pp.246-247)は、「立法者拘束の趣旨を形式面からも明確にする趣旨で、 国・地方関係を対象とした基本法を制定し、その中に立法者拘束原則を定めるべきであった」 と述べている。 (38) 高木健二(1999、p.240)は、「自治省が関与の類型とは別に『組織及び運営の合理化に係 る助言及び勧告並びに資料提出の要求』(第252条の17の5)を個別の関与として残したこと は、一般法主義の原則を率先して犯すことになった」と述べている。 (39) 小早川光郎(2002、p.65)は、これらの関与のルールについて「これらは、自治体の独立主 体性にてらして要請されるものであると同時に、逆に自治体の独立主体性を制度的に裏付ける 意味を持つものである」と述べている。 (40) 東田親司(2002、p.211)は、国の関与の件数について「1988年末時点では総数3,075件で あったが、1999年3月末時点では3,412件となっている」と述べており、分権改革の以前はも とより、分権改革の検討の対象となっていた際も関与の件数は増加を続けていた。

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委任事務にあったことは注目すべき事実であり、この問題は、今日の自治事務にも共通 していることに留意する必要がある。 2 事務の性質と国の自治体に対する関与手段との関係 旧機関委任事務については、主として通達による関与が行われ、旧団体委任事務に対 しては、主として許認可等の関与が行われた。これは、国の自治体に対する関与手段が 事務の性質によって異なっていることを意味している。 旧機関委任事務の中には、自治体が私人(法人を含む。以下同じ)の行為に対して行 う許認可事務が多かった。この場合、法令に適合していれば許可しなければならず、迅 速かつ公正な事務処理が求められ、訴訟も意識しなければならないため、国は許認可の 基準を法令で定め、運用を通達で示すことによって自治体の事務処理を統制していた。 このように、個別の許認可に国が関与する余地は極めて少なくなるため、旧機関委任事 務では、個別の法令による関与の数が少なかったのである。旧機関委任事務の中でも、 都市計画決定のように都道府県知事が行う事務の場合には、国の認可や承認が必要とさ れてきた。私人からの申請ではないため国との事前協議に数ヶ月の期間を要するとして も問題とはならなかったのである。 一方、旧団体委任事務には、自治体が主体となる行為が多かった。こうした場合、私 人の行為に対する許認可とは異なり、適法性は当然必要であるが、それ以上に政策性が 重視され、国は政策的な見地から自治体の個別の行為に対して具体的に関与しようとす るのである。問題は、国の省庁の担当課における政策性が、地域における政策性と整合 しない場合が少なくないことである。 3 第1期分権改革による関与の廃止・縮減 第1期分権改革では、地方六団体から関与の廃止・縮減の要請があったものを中心に、 関与の廃止・縮減のための議論が地方分権推進委員会と各省庁との間で行われ、特に、 自治事務に対する指示、許可・認可・承認が焦点となった。このため、地方分権推進委 員会の委員と各省庁の幹部との膝詰め交渉が繰り返し行われ、十分とは言えないものの、 一定の成果を得ることができた(41) (41) 金井利之(2007、p.35)は、「関与に関して、平均化、一般化が進んだ。例えば、旧地方教 育行政法(地教行法)に見られた『特定』的に強い関与が、分権改革によってなくなった」と 述べている。

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4 第1期分権改革における個別的関与の改革の課題 第1期分権改革では、関与のルールが地方自治法に規定されたが、個別の法令に規定 された関与は、一部が縮減されたにとどまり、多くは文言が許認可から同意、命令から 指示へと改められて維持された。 第1期分権改革で、自治事務の関与の基本類型が示されたにもかかわらず、個別法に 基づく特別の関与として多くの例外的な関与が維持された原因は、機関委任事務制度の 廃止に伴う事務の区分における、地方分権推進委員会と各省庁との折衝の経緯が反映さ れたためである。地方分権推進委員会は、旧機関委任事務の廃止後の事務区分について 検討を進める中で、各省庁と調整を繰り返し行ったが、各省庁側は、自治事務にするこ とを承諾する代わりに、既存の法令で定めている関与については例外的に認めてほしい との条件闘争を行った。 また、機関委任事務制度の廃止に伴い、通達による指揮監督権限を失う各省庁からは、 自治事務とすることを受け入れる代わりに、特に緊急の必要がある場合等の指示権限を 対象を絞った上で創設したいという要求が行われ、新たに指示等の関与が個別の法令に 規定された。 田中靖之は、地方分権推進計画の独自の集計結果から、「縮減が314件、廃止が119件 であるが、存続する257件に加えて、新設されるものが216件」としており、「関与の法 定主義が招いた結果ではあるが、関与の縮小・廃止を基本戦略とした改革の意図が反映 されたとは言い難い数字となっている。」と指摘している(42) 地方分権推進委員会は、旧機関委任事務に占める自治事務の割合を高めることを最優 先する方針であったから、個別法令に基づく関与については、一部の縮減で妥協せざる を得なかったわけである。なお、例外的な事例として、旧建設省河川局は、都道府県が 管理している二級河川の事務については、法令に基づく関与を縮減する代わりに法定受 託事務にしてほしいという立場であった。 個別的行政関与については、地方分権一括法の成立過程において、衆参両院で付帯決 議がされ、今後、地方自治法に定める関与の基本原則に照らして検討を加え、必要な措 置を講ずることとされている。 国の関与の法定主義や自治事務に対する関与の原則など、国の関与のルールが地方自 治法に規定されたが、当該ルールに適合しない関与が個別の法令に多く残されており、 (42) 田中靖之(2005、p.31)

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これらの関与の廃止・縮減が課題として残ったわけである。

第2章 第2期分権改革

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による国の関与の改革

第1節 第2期分権改革による義務付け・枠付けの見直しの状況

第2期分権改革においては、「義務付け・枠付け」の見直しという観点から関与の見直 しが行われており、まず、「義務付け・枠付け」の定義から確認しておく必要がある。な ぜならば、地方分権改革推進委員会の理論上の定義と実際の勧告の対象は一致していない からである。 地方分権改革推進法第5条第1項では、「国は、(中略)地方公共団体に対する事務の 処理又はその方法の義務付け及び(中略)関与の整理及び合理化その他所要の措置を講ず るものとする。」とされている。第2次勧告においては、「この『地方公共団体に対する 事務の処理又はその方法の義務付け』を本勧告では『義務付け・枠付け』と呼んでおり、 この見直しこそが立法権の分権にほかならない。」としている。しかしながら、第2次勧 告の「義務付け・枠付けの見直し」の対象には、地方分権改革推進法第5条第1項に規定 する「関与の整理及び合理化」も含まれており、地方分権改革推進委員会の言う「行政権 の分権」も対象となっていることに留意する必要がある。 第2期分権改革では、立法関与及び準立法的行政関与が「義務付け・枠付けの見直し」 として改革の対象とされるとともに、自治体に一定の手続きを義務付ける許可・認可・承 認、同意、協議等の個別的行政関与が、「義務付け・枠付けの見直し」の一環として、改 革の対象に加えられたと言うことができる。しかも、改革の対象は自治事務に対するもの に限定されている。 したがって、第2期分権改革は、第1期分権改革による自治事務、法定受託事務の区分 を前提として、国の関与を特に限定すべき自治事務をターゲットに、第1期分権改革では 個別法の規定までは手が付けられなかった立法関与及び準立法的行政関与の改革に取り組 むとともに、自治体に一定の手続きを義務付ける個別的行政関与の廃止・縮減に取り組ん (43) 本稿において「第2期分権改革」とは、地方分権一括法の施行以降の改革をいうものである が、国の自治体への関与の改革について論ずるため、具体的には、2007年4月の地方分権改革 推進委員会の発足以降の改革を対象としている。

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だと言えよう。別の言い方をすれば、第1期分権改革が築いた自治事務・法定受託事務の 区分、一応の制度的な課題の改革が完了した一律的行政関与、旧機関委任事務の自治事務 化において省庁側から条件とされた個別法による指示権については、改革の対象としてお らず、第1期分権改革の路線を踏襲したものと言える。 地方分権改革推進委員会は、第2次勧告までの調査審議を踏まえ、特に問題があると判 断した、(1)施設・公物設置管理の基準、(2)協議、同意、許可・認可・承認、(3)計画 等の策定及びその手続について、第3次勧告に向けて具体的に講ずべき措置の調査審議を 行った。 第3次勧告で勧告された義務付け・枠付けの見直しの成果と課題は、次のとおりである。 (1) 施設・公物設置管理の基準 自治立法権の充実に向けた取組として、施設・公物設置管理の基準を重点事項と したことは卓見であったと考えられる。自治体の自由度を拡大するという観点から すれば、自治体が設置・管理するものが多い施設・公物に関する基準は、自治体自 らが設定すべき基準の最たるものであり、条例の活用を図る上でも設置条例が存在 しているものが多いという点で自治体が取り組みやすい分野である。 さらに、自治体が設置・管理の主体であるものが多いため、創意工夫の余地が大 きく、地域の実情を反映しやすいほか、ノウハウも蓄積している。特に、市町村合 併や都道府県の出先機関の統合等により、従前の庁舎等が遊休化しており、こうし たストックの有効活用を図る上でも、基準の見直しの潜在的ニーズがあると考えら れる。 (2) 協議、同意、許可・認可・承認の見直し 第2期分権改革においては、第1節で述べたように、「義務付け・枠付けの見直 し」の一環として個別的行政関与の見直しが行われた。このため、自治体による申 請等の行為を義務付ける「協議、同意、許可・認可・承認」等の個別的行政関与が 対象となっている。 地方分権改革推進委員会の第3次勧告では、「同意を要する協議」「同意を要し ない協議」「許可・認可・承認」を規定する233条項が検討の対象となり、許容す る場合として地方分権改革推進委員会が示した基準に該当する場合(67条項)に限 り存続を許容し、これに該当しない場合(166条項)には、より緩やかな関与を許 容する基準に該当する場合には関与類型を変更し、いずれの場合にも該当しない場 合(72条項)は廃止するよう勧告された。

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また、第3次勧告では、より緩やかな関与類型として、「意見聴取」「事前報 告」「事後報告」「届出」「通知」を提示しており、これらの関与類型が許容され る場合の基準を示したことは、関与の改革を進める上で、新たな手法を打ち出した ものと言えよう。 (3) 計画等の策定及びその手続 自治体が策定する法定計画等については、自治体の自主的な施策展開を阻害する おそれが生ずるほど、個別法に基づく縦割り行政の弊害が顕著となっており、第3 次勧告で計画等の策定、内容、手続が重点事項とされたことは、大きな意義がある。 また、現状分析等で多くの共通する事項があるにもかかわらず、法定計画であるた めに別々に計画を策定するということは非効率である。

第2節 第2期分権改革による義務付け・枠付けの見直しの問題点

1 義務付け・枠付けの見直しにおける条例の位置づけ上の問題 第2期分権改革においては、法令による自治体の事務の義務付け・枠付けの見直しを 巡って、理論構成に明確性を欠く点が見られる。 地方分権改革推進委員会の第2次勧告では「見直しの具体的な方針」として、 ① 廃止(単なる奨励にとどめる場合を含む。) ② 手続、判断基準等の全部を条例に委任又は条例による補正(「上書き」)を許容 ③ 手続、判断基準等の一部を条例に委任又は条例による補正(「上書き」)を許容 のいずれかの見直しを行うこととし、その際には、①から③までの順序で見直しを行う よう勧告した。 一方で、第3次勧告では、「条例への委任」をする場合の仕方の問題として、「従う べき基準」「標準」「参酌すべき基準」の3の類型が示されている。そして、「参酌す べき基準」については、条例への委任だけではなく、条例による補正を許容するものと しても位置づけられている。 地方分権改革推進委員会の勧告では、法定自治事務の事務処理の基準を「条例で定め る」とする法律の規定は、法律による条例への委任という用語が用いられている。機関 委任や団体委任の制度の下では、法律に定めのある事務を自治体が処理する場合におい て、法律で一定の基準を条例で定めるよう規定したものは、法律による条例への「委 任」として理論構成されてきた。しかしながら、これは、機関委任又は団体委任の概念

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に基づくものであり、旧制度の残滓の発想である。確かに、租税、刑罰、法人格付与等、 憲法上の制約や当然の法理として、法律の委任がなければ条例で定めることができない 事項があり、これらは、法律によって授権されたという点で、委任を受けたものと理論 構成することが適当である。しかしながら、これらに該当しない事項は、自治体の事務 である以上、法令に反しない限りにおいて条例で定めることは元々可能なのであるから、 法律の委任に基づく条例ではなく、法定された事務に関する自治体の条例として位置づ ける必要がある。 したがって、法律が一定の事項を条例で定めるよう規定しているものは、多くの場合、 法令で定める予定がないことを明確にするか、法令で定めている基準によらない場合を 許容することを明示するものであると考えられる。逆の言い方をすれば、法令による事 務処理の基準の定めは、自治体の事務処理の基準の策定権限を国が代行し、制約してい るものであり、「条例で定める」とする法律の改正は、そうした制約を解除したものと 言うことができる。 平成23年5月2日に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進 を図るための関係法律の整備に関する法律」(以下「第1次一括法」という。)を見る と、「○○の基準は、……地方公共団体の条例で定める。」と規定するなど、一見する と従来の機関委任や団体委任の頃の規定と同じようである。しかし、よくよく見ると、 大きな違いがあることに気が付く。機関委任や団体委任の制度の下では、「条例で定め ることができる。」と規定し、法令で基準を定めることを前提に条例の定めを許容する 場合が多かったが、今回の改正では「条例で定める」、「条例で定めなければならな い」、「条例で定める基準」といったように、条例で定めることを当然のこととしてい る。すなわち、自治体が事務処理の基準を条例で定めることが当然のことであるという 条例の位置づけの大転換が起こったと言っても過言ではない。 しかも、これは第1期分権改革による機関委任や団体委任の概念の廃止によってもた らされたものであるから、自治事務に限らず法定受託事務にも共通するものである。し かし、残念ながら第1期分権改革では、こうした認識があまり広がりを見せなかった。 第2期分権改革においても、地方分権改革推進委員会の勧告や政府の地方分権改革推 進要綱で「法律から条例への委任」という用語が用いられたが、これについては、松本 英昭が論文(44)で次のとおり指摘している。「厳密にいうと『委任』というのは適切で (44) 松本英昭(2008、pp.27-28)

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はないのではないかと思う。何故なら、法律でもって条例で定める(又は定めることが できる。)としている場合も、その地方公共団体の権能は、憲法第8章の地方自治に関 する規定に根拠を有するものと解すべきであり、法律によって地方公共団体に委任され たことを根拠とするべきではないと思う。」 地方分権改革推進委員会の第3次勧告で「従うべき基準」「標準」「参酌すべき基 準」の3の類型において「委任」の用語が用いられているが、理論構成上は、従来の委 任の概念とは次元を異にしていると考えるべきであり、第3次勧告は、その点を明確に 示すべきであったと思われる(45) 2 許認可事務への新たな関与形態の創設の問題 第1期分権改革の以前は、自治体が処理する事務に対する国の個別的行政関与には暗 黙のルールがあった。すなわち、自治体が私人に対して行う許認可事務については通達 等による一律的行政関与は行うが、許認可の事案には国は関与しない、個別的行政関与 は行わないというものであった。国は私人が自治体に申請した事案に関与することはし ないで、許認可の運用基準を通達で細部まで統制することとしていたのである。このた め、自治体へ申請した申請者から個別の申請について国の行政機関に問い合わせがあっ ても、一般的な法解釈として回答し、個別の事案には立ち入らないという態度を示すこ とが通例であった。 一方で、国の自治体に対する許可、認可、承認等の個別的行政関与は、都市計画決定 や都市計画事業の実施のように自治体が実施主体となる事務が対象とされていた。 ところが、第1期分権改革では、地方分権推進委員会が農林水産省との調整の中で、 特殊な関与の形態を創設してしまった。農地転用許可の権限移譲にあたり、当分の間の 経過措置として都道府県が国と協議をするという仕組みを導入したのである。協議であ るので、最終的には国と意見が一致しなくとも都道府県の判断で許可又は不許可とする ことが法律上は可能であるものの、私人が都道府県に申請する許認可にまで国が個別に 関与するというのは異例な仕組みであった。せめて「国の意見を聴く」としたかったと ころであるが、当時は権限移譲の経過措置としてのぎりぎりの選択であったと思われる。 第2期分権改革では、介護保険法に基づく指定介護事業者の指定の権限を都道府県か (45) 斎藤誠(2009、pp.86-87)は、「今次の義務付け見直し作業を含め、『条例への委任』とい う文言が用いられているが」、「法律における条例規定・法律規定条例と言うことが適切であ る」と述べている。

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ら中核市等に移譲するにあたり、個別の指定に都道府県の同意を要するとされた。民間 の事業者が市に申請した場合に、市が都道府県の同意を得た上で指定するということは、 関与の形態としては異例のものであり、このような形で許認可事務への関与が個別法で 定められることは、適当でない。実務上も、訴訟となった場合の責任関係や、指定のみ に都道府県の同意を要したとしても、その後の立入検査や監督処分等を市が単独で行う などの問題もある。 自治体の許認可事務に対する国の行政機関による事前の関与は、運用基準レベルにと どめるべきものであり、国や都道府県の行政機関による許認可事務への事前の個別的行 政関与は廃止する必要がある。

第3節 第2期分権改革における政府の対応状況

地方分権改革推進委員会の勧告を受け、政府は、地方分権改革推進法第8条第1項の規 定に基づき、平成21年12月15日に地方分権改革推進計画を閣議決定した。同計画の内容を 法案化したいわゆる第1次一括法は、平成23年5月2日に公布された。また、平成22年6 月22日には、義務付け・枠付け見直しの第2次分として163法律、308項目、528条項が盛 り込まれた地域主権戦略大綱が閣議決定され、いわゆる第2次一括法案が平成23年8月30 日に公布された。 1 地方分権改革推進計画における義務付け・枠付けの第1次見直し 地方分権改革推進計画には、第3次勧告における「義務付け・枠付け」の見直しの重 点事項896条項のうち、自治体側から要望があった事項を中心に、121条項の先行的な見 直しが盛り込まれている。このうち、自治体要望事項が42項目、70条項、自治体要望事 項と同一の法令に規定されている事項及び総務省関係の事項等に関するものが21項目、 51条項となっている。 自治体要望事項の42項目を主たる内容で分類すれば、法令基準に関するものが11項目、 計画の義務付けに関するものが3項目、許認可等の個別的行政関与に関するものが28項 目となっており、個別的行政関与の見直しが項目上は大きなウエイトを占めている。 第3次勧告で見直すよう勧告された事項のうち、先行的に地方分権改革推進計画の検 討対象とされた66項目、141条項について、勧告と計画を比較すれば、項目ベースでは、 59項目で何らかの見直しを行うこととされており、その実施率は89%となっているが、

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勧告どおり見直すものは44項目であるため、勧告どおりの実施率は67%となっている。 また、条項ベースでは、141条項のうち、103条項で何らかの見直しを行うこととされて おり、その実施率は73%となっているが、勧告どおり見直すものは、65条項であるため、 勧告どおりの実施率は46%となっている。 2 地域主権戦略大綱における義務付け・枠付けの第2次見直し 地域主権戦略大綱においては、第3次勧告の内容を中心に、地方分権改革推進計画の 策定の検討対象とならなかった事項について、義務付け・枠付けの第2次見直しが行わ れた。 第3次勧告で見直すよう勧告された事項のうち、地域主権戦略大綱の検討対象とされ た370項目、748条項について、勧告と大綱を比較すれば、項目ベースでは、308項目で 何らかの見直しを行うこととされており、その実施率は83%となっているが、勧告どお り見直すものは209項目であるため、勧告どおりの実施率は56%となっている。また、 条項ベースでは、748条項のうち、528条項で何らかの見直しを行うこととされており、 その実施率は71%となっているが、勧告どおり見直すものは、434条項であるため、勧 告どおりの実施率は58%となっている。 3 第2期分権改革における政府の対応状況の総括 (1) 施設・公物設置管理の基準の見直しの評価 地方分権改革推進計画では、自治体側が重点的に要望してきた事項について、地 方分権改革推進委員会の勧告よりも後退した内容となっているものがあり、今後の 更なる見直しが課題となっている。 地方分権改革推進委員会の第3次勧告では、条例制定の基準を法令で「従うべき 基準」又は「標準」として定めることが許容される場合が限定されており、利用者 の資格は「従うべき基準」、従事する職員の員数は「標準」、その他は「参酌すべ き基準」とされていたが、政府の地方分権改革推進計画では、福祉施設・事業等の 「従うべき基準」と「標準」が肥大化している。このため、同計画では、「児童福 祉法、老人福祉法、介護保険法、障害者自立支援法及び就学前の子どもに関する教 育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律における施設等基準の条例への委任 については、法施行の状況等を踏まえ、国の基準の在り方を再検討する。」として いる。

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(2) 個別的行政関与の見直しの評価 政府の地方分権改革推進計画では、自治体側が重点的に要望してきた事項につい て、地方分権改革推進委員会の勧告よりも後退した内容となっているものがあり、 今後の更なる見直しが課題となっている。 協議、同意、許可・認可・承認の見直しにおいて、国土利用計画法に基づく土地 利用基本計画が意見聴取ではなく協議とされたほか、都市計画法に基づく都市計画 区域整備方針や区域区分に関する都市計画、農業振興地域の整備に関する法律に基 づく市町村農業振興地域整備計画の農用地利用計画、森林法に基づく地域森林計画 が、いずれも同意を要する協議のまま存置されるなど、土地利用の分野などで地方 分権改革推進委員会の第3次勧告に比べ、政府の地方分権改革推進計画は後退して いる。 (3) 改革の質と量に対する評価 地方分権改革推進計画及び地域主権戦略大綱の策定において検討の対象となった 事項については、地方分権改革推進委員会が重点分野として勧告した第3次勧告ど おりの見直しが行われるものは、地方分権改革推進計画と地域主権戦略大綱のトー タルで、項目ベースで58%、条項ベースで56%と、6割に満たない状況にある。 また、第2次勧告で見直す必要があるとされた4,076条項のうち、第3次勧告で 取り上げられなかった2,860条項(第3次勧告では取り上げられなかったが、既に 見直しの対象とされた地方自治法、地方公営企業法等の条項を除く。)が手付かず のまま残っている。 第1次一括法及び第2次一括法(以下「一括法」という。)により、義務付け・ 枠付けの見直しの対象となった基準の特徴は、自治体が自律的に定める基準が多い ことである。自律的な基準とは、自治体が自ら設置する施設の基準のことである。 一括法で義務付け・枠付けの見直しの対象となった29法律のうち、21法律(うち公 営住宅法と河川法は自律・他律の両方の条文がある)が自律的な基準に係るもので ある。 第1期分権改革では、旧機関委任事務が改革の焦点となったが、第2期分権改革 では、旧団体委任事務が改革の焦点となっている。第2期分権改革では、法令によ る自治体の事務処理の規制・統制=法令の規律密度が改革の重点とされたが、法令 の規律密度の問題は、旧機関委任事務の許認可事務の場合には、自治体の事務処理 に対する規制・統制であると同時に、民間の活動に対する規制・統制でもある。一

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方、旧団体委任事務は、自治体が事業の主体であるから、民間の活動に対する影響 は間接的なものとなる。 第2期分権改革で、義務付け・枠付けの見直しの重点対象を①施設・公物、②協 議等の関与、③計画策定に絞ったということは、旧機関委任事務ではなく、旧団体 委任事務に重点を置いたものであり、自治体に対する統制を緩和するという意味で は効果が大きいとともに、旧機関委任事務のような民間への影響、業界団体・族議 員との調整を最小限にするという意味で画期的であったと思われる。 しかし、条例の活用の本当の場面は、民間への規制の領域であり、その意味では、 義務付け・枠付けの本丸にはまだ一部にしか手が付いていないと言えよう。 今後、関与の改革を進めていく上では、個別法による関与の縮減を進めていく必 要があることは言うまでもないが、第2期分権改革における政府の対応の限界を踏 まえれば、関与のルールの整備・強化を併せて検討していく必要があると考えられ る。この点については、次号で述べることとする。 (こいずみ ゆういちろう 法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【参考文献一覧】 (50音順) 磯崎初仁2002年「自治立法の可能性」松下圭一ほか編『自治体の構想2制度』岩波書店 今村都南雄2000年「自治・分権改革の可能性」今村都南雄編著『自治・分権システムの可能性』敬 文堂 今村都南雄2002年「公共空間の再編」今村都南雄編『日本の政府体系』成文堂 岩橋健定2001年「条例制定の限界」小早川光郎・宇賀克也編『行政法の発展と変革下巻』有斐閣 宇賀克也2007年「地方自治法概説第2版」有斐閣 大橋洋一2002年「自治事務・法定受託事務」松下圭一ほか編『自治体の構想2制度』岩波書店 大橋洋一2004年「行政法 現代行政過程論第2版」有斐閣 金井利之2007年「行政学叢書 自治制度」東京大学出版会 北村喜宣2004年「分権改革と条例」弘文堂 北村喜宣2009年「自治体環境行政法第5版」第一法規 小滝敏之1983年「政府間関係論」第一法規 小早川光郎1998年「国地方関係の新たなルール ― 国の関与と係争処理 ― 」西尾勝編著『地方分 権と地方自治』ぎょうせい 小早川光郎2001年「基準・法律・条例」小早川光郎・宇賀克也編『行政法の発展と変革下巻』有斐 閣 小早川光郎2002年「司法型の政府間調整」松下圭一ほか編『自治体の構想 2制度』岩波書店 斎藤誠2009年「自治体立法の将来」都市問題研究第61巻第5号

参照

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