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平成30 年 3 月 29 日

基 礎 編

相続税の

土 地 評 価 ③

~ゼロから学ぶ初心者向け土地評価~

税理士

風 岡 範 哉

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1 <第3回目 目次> 第3 章 各種の補正(応用論点) 5.私道の用に供されている宅地の評価 6.セットバックを必要とする宅地の評価 7.都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価 研修教材として実際の資料を使用していますが、研修内容をイメージしやすくするた めに示すものですので、無断転載・コピーはご遠慮ください。 また講師の所属する事務所の顧客情報とは関係はありません。

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5.私道の用に供されている宅地の評価

1 私道3つの評価方法

(1)私道の評価 私道には、不特定多数の者の通行の用に供されている道路と、袋小路のようにもっぱら特 定の者の通行の用に供されている道路とがあります。 その私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価し ません。 一方、私道の用に供されている宅地の価額は、30%相当によって評価します(財評通 24)。 (2)ゼロ評価の私道 不特定多数の者の通行の用に供されている私道はゼロ評価を行います。 この場合の不特定多数の者の通行の用に供されている私道とは、以下のような私道が該 当するとされています1 イ 公道から公道へ通り抜けできる私道 ロ 行き止まりの私道であるが、その私道を通行して不特定多数の者が地域等の集会所、地 域センター及び公園などの公共施設や商店街等に出入りしている場合などにおけるその 私道 ハ 私道の一部に公共バスの転回場や停留所が設けられており、不特定多数の者が利用し ている場合などのその私道 【コメント】 通り抜け道路はゼロ評価を行います。 これは車両通行の可否、建築基準法上の道路種別は問いませんので、人が一人通れるよう な路地でも通り抜け道路として取り扱われることが考えられます。 1 国税庁質疑応答事例「不特定多数の者の通行の用に供されている私道」参照

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3 (3)3 割評価の私道 特定の者の通行の用に供されているいわゆる行き止まり道路のような私道は、原則とし て、以下の算式により3割相当額によって評価することとされています。 (算式) 私道の価額=正面路線価×各種補正率×0.3×地積 なお、周辺の複数の地主で持ち合っている私道については、他人所有の土地も含めて一体 として評価をし、所有地積で按分して評価します。 地型は公図でわかりますが、他人所有地の地積は登記簿謄本を取得しなければなりませ ん。 位置指定道路図があれば、正確な地型及び面積を知ることができます。 長方形の私道なら幅員×奥行で面積を算出しても良いでしょう。 短冊のように持ち合っている私道 相互に持ち合っている私道

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4 これは、袋小路のように専ら特定の者の通行の用に供される行き止まり私道については、 ある程度の制約はありますが、私有物としての使用、収益、処分は可能であること、特にそ のような私道に沿接する土地が同一人の所有に帰属することとなると、私道はその敷地内 に包含され宅地になる可能性があり、相応の財産的価値があると解されているからです(平 成24 年 11 月 13 日裁決〔裁決事例集 89 巻・333 頁〕)。 【コメント】 固定資産税が非課税となっていても、相続税においては行き止まり私道は3割評価とな るので注意が必要です。 (4)10 割評価の私道 次の図のA の部分のように、宅地 B への通路として専用利用している路地状敷地につい ては、私道として評価することはせず、隣接する宅地B とともに 1 画地の宅地として評価 します2 2 国税庁質疑応答事例「私道の用に供されている宅地の評価」参照

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5 <公図> 路地が建物の敷地延長である場合 路地が私道の形状である場合 宅地部分の評価 旗状地として評価します。 宅地部分の評価 旗状地として評価し地積按分します。 私道部分の評価 私道として評価しない。 私道部分の評価 私道は私道として評価します。 2 評価対象地 評価対象地 2 評価対象地

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2 行止り私道に路線価が付されている場合

行止り私道に路線価が付されている場合があります。これは、何らかの理由で不特定多数 の者の通行の用に供されているということです。 不特定多数の者の通行の用に供され ている私道は、ゼロ評価となるわけです から、路線価の付されている行止り私道 はゼロ評価と考えることができます。 A=B、B=C ゆえに A=C の理屈です。 突き当たりが神社や公園などの場合 は路線価が付くことが多いです。

3 評価する私道に特定路線価が付されている場合

その行き止まり私道に特定路線価を設定した場合は、設定された特定路線価を基に評価 しても差し支えないものとされています3 (算式) 特定路線価×0.3

4 貸宅地内の私道の評価

貸宅地と一体となって効用をなす私道の評価にあたっては、原則として、私道の評価額か ら貸宅地の評価における借地権等の価額を控除した金額によって評価することができます。

5 現況すみ切りとなっている部分の評価

一筆の土地のうち一部が角切りとして、不特定多数の者の通行の用に供されている場合 は、その部分については評価しないこととなります。 《公図》 → 《現況》 3 国税庁質疑応答事例「側方路線影響加算等の計算―特定路線価を設定した場合」参照 評価対象地 すみ切り部分は私道としての 評価を行う 評価対象地 ※訂正 講義の中で借地権割合 70%の地域を D 地域としていますが、C 地域の誤りです。

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7 【コメント】 私道として評価するかどうかは現況の判断によります。課税地目が公衆用道路になって いたり、位置指定道路であったりしても、現況が車庫や看板用地、駐車場となっている場合 には私道に含まれないことに留意が必要です。 現行の実務においては、不特定多数の者の通行の用に供されている私道は評価しな いこととされ、特定の者の通行の用に供されている私道は100 分の 30 によることとさ れています。 その「不特定多数の者の通行の用に供されている私道」であるか否かの判断のポイン トは以下の3 つがあります。 (イ)道路内建築の制限があるか否か 不特定多数の者の通行の用に供されている私道は、①第三者が通行することも容認 せざるを得ないものであること、②道路内建築の制限により、通行を妨害する行為が禁 止されること(建基法44)、及び③私道の廃止又は変更が制限されること(同法 45) といった公法上の制限が認められることから評価しないものと説明されることが多い といえます。 しかし、通行者の種類とこれら制限との間に法的な因果関係はなく、不特定多数の者 の通行用であれ、特定の者の通行用であれ、建築基準法の道路と認定されていれば、道 路内建築の制限(建基法44)や私道の廃止又は変更の制限(同法 45)があり、認定外 であれば制限がありません。 (ロ)通り抜け道路か行き止まり道路か また、通り抜け道路は、公共性が強く、①第三者が通行することも容認せざるを得な いものであること、②道路内建築の制限により、通行を妨害する行為が禁止されること (建基法44)、及び③私道の廃止又は変更が制限されること(同法 45)といった公法 上の制限が認められることから評価しないものと説明されることもあります。 しかし、道路の形態とこれら制限との間にも法的な因果関係はなく、通り抜け道路で あれ、行き止まり私道であれ、建築基準法上の道路と認定されていれば、道路内建築の 制限(建基法44)や私道の廃止又は変更が制限(同法 45)があり、認定外であれば制 限がありません。 (ハ)宅地化の可能性があるか否か 袋小路のように専ら特定の者の通行の用に供されている私道は、所有権の移転、抵当 権の設定若しくは移転は妨げられず、また、将来沿接する敷地に包含されて宅地になる 可能性があることから相応の財産的価値があるとされています。

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8 しかし、道路の位置と宅地化可能性との間に法的な因果関係はなく、不特定多数の者 の通行用であれ、特定の者の通行用であれ、宅地化が困難な私道もあれば宅地化の可能 性が認められる私道もある。また、不特定多数の者の通行の用に供されている私道であ っても有償での処分可能性が認められる私道もあります。 本来は、相続税法における時価(相法22)の追求のためには、すべての私道におい て、私道の利用状況、私道の用途制限、宅地化の可能性、有償での処分可能性など取引 実態において客観的な交換価値の有無を判定し、これを基に評価されるべきものです。 他方で、土地(私道)は個別性の強いものであるため、上記のような個別的な評価は、 主観的な判断の介入や、基礎資料の選択方法等により評価額に格差が生じ、納税者間の 公平性が保たれない事態が生じます。 そこで、実務上、一つの割り切りとして、公共性を有する通り抜け道路であれば評価 しないこととし、行き止まり道路であれば将来宅地化の可能性が高いとして 3 割評価 を行うといったような画一的な判断基準により運用されているのが現状です。

6 歩道状空地の取扱い

(1)歩道状空地の取扱い 平成29 年 7 月、国税庁の質疑応答事例に「歩道状空地の用に供されている宅地の評価」 が追記されました。

歩道状空地の用に供されている宅地の評価

【照会要旨】

都市計画法所定の開発行為の許可を受けるため、地方公共団体の指導要綱等を踏ま えた行政指導によって設置された、次のような「歩道状空地」の用に供されている宅地につ いては、どのように評価するのでしょうか。 なお、この「歩道状空地」はインターロッキング舗装が施されたもので、居住者等以外の 第三者による自由な通行の用に供されています。

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【回答要旨】

「歩道状空地」の用に供されている宅地が、法令上の制約の有無のみならず、その宅地 の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転 用の難易等に照らし、客観的交換価値に低下が認められる場合には、その宅地を財産評 価基本通達 24 に基づき評価します。 具体的には、①都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指 導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、②道路に沿って、歩道としてインターロッ キングなどの舗装が施されたものであり、③居住者等以外の第三者による自由な通行の 用に供されている上図の「歩道状空地」は、財産評価基本通達 24 に基づき評価することと なります。 上図の「歩道状空地」が、不特定多数の者の通行の用に供されている場合には、その価 額は評価しません。 (2)今回の取扱い変更の対象となる土地 今回の取扱いの対象は、相続財産である土地の中に、都市計画法に定める開発許可を要す る面積以上のものであり、かつ、現存する建築物を建築する際に開発許可の受けたようなケ ースが該当します。 そのような土地の中で、開発許可を受けるにあたって、各自治体の行政指導により設けた 「歩道状空地」がある場合は、その部分について財産評価基本通達24を適用して評価する こととなります。 これをフローチャートで示すと図表1の通りです。

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10 (図表1)今回の取扱い変更の影響の判断のためのフローチャート (3)開発行為とは 開発行為とは、主として、建築物の建築又は特定工作物の建設を目的とした「土地の区画 形質の変更」をいいます(都計法4⑫)。 つまり、マンションやビルといった建築物を建築する際に、土地に区画形質の変更を加え るのであれば許可がいるということです。 「区画」の変更とは、元の土地にあった道路や公園等を廃止するとか、新たに開発に伴っ て道路や公園等を新設することをいいます。 「形」の変更とは、元の土地に50 ㎝超の盛土をしたり、1m超の切土をしたりすること をいいます。 評価対象地は、開発許可を要する面 積基準以上である No Yes 現存する建築物を建築する際 に開発許可を受けた 自治体の開発指導要綱に基づい て歩道状空地を設けた Yes Yes 私道評価の適用がある。 No No 今 回 の 変 更 の 影 響 な し ( 私 道 評 価 な し ) (例)開発に当たって下記のような区画形質の変更をした。 区画:道路や公園の廃止や新設 形 :一定の高さの盛土や切土を行った 質 :農地や雑種地を宅地にした (例)三大都市圏の市街化区域 500 ㎡以上 それ以外の市街化区域 1,000 ㎡以上 非線引き区域 3,000 ㎡以上 市街化調整区域 全域

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11 「質」の変更とは、元の土地が農地や雑種地である場合に、これを宅地化することをいう。 農地や駐車場を宅地転用してマンションを建築する場合がこれにあたります。 (4)開発許可を必要とする基準 上記の開発行為の目的となっている土地が、一定の面積以上である場合には、都道府県知 事等の許可が必要とされています(都計法29)。 その開発許可を要する面積とは、例えば、市街化区域においては1,000 ㎡(三大都市圏は 500 ㎡)以上、非線引き都市計画区域においては 3,000 ㎡以上の土地など、図表2のように 定められています(都市計画法施行令19)。

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12 (図表2)開発許可を必要とする面積基準 都市計画法の区域区分 面基基準 都 市 計 画 区 域 線 引 き 都 市 計画区域 市街化区域 三大都市圏は500 ㎡ それ以外は1,000 ㎡以上 ※開発許可権者が条例で300 ㎡まで引き下げが可能 市 街 化 調 整 区域 原則として全ての開発行為 非線引き都市計画区域 3,000 ㎡以上 ※開発許可権者が条例で300 ㎡まで引き下げが可能 準都市計画区域 3,000 ㎡以上 ※開発許可権者が条例で300 ㎡まで引き下げが可能 都市計画区域及び準都市計画区域外 1ha 以上

Step1 机上調査

私道を共有で持ち合っています。 私道の地積80 ㎡、持分は 6 分の 1 です。 <住宅地図> <公図>

Step2 現地調査

行き止まりの私道であり、幅員を測量したところ4mでした。 なお、現地を見たところ、隅切りがあることがわかりました。

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Step3 役所調査

評価対象の私道が位置指定道路(建基法42⑤)であるかどうかを確認します。位置指 定道路である場合は、市区町村に「位置指定道路図」(道路の幅員、奥行きの記載がある 測量図)があります。

Step4 評価

今回は、位置指定道路図があったので、それに基づいて評価します。 2m 2m 3割評価を忘れずに

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.セットバックを必要とする宅地の評価

1 セットバックとは

セットバックとは、接面する道路が幅員4m未満の建築基準法42 条 2 項道路であり、将 来建築物の建替え時に道路として提供する必要がある部分をいいます。 建物は、建築基準法の規定により、接面する道路の幅が4m以上ないと建てることができ ません。道路幅員が4mとなるように道路中心線より 2m、評価対象地の一部を道路から後 退させます。 セットバックの後退距離 (4−3) 2 = 0.5m 片側が水路やがけ地などの場合は、対岸から4mを確保しなければなりません。 セットバックの後退距離 4m-3m=1m 実際の建替え時には、道路向かい側(対岸)の所有者と双方合意のうえ、行政が関与して セットバック後退距離を決定していくことになります。 道 路 水 路 評価対象地 4m 3m 1m

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2 セットバックを必要とする宅地の評価

建築基準法第42 条第 2 項に規定する道路に面しており、将来、建物の建替え時等に 同法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地の価額 は、次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除して評価します(財評通 24-6)。 (算式)

3 セットバックの見分け方

(1)セットバックの要否 2 項道路の状況は、4つのパターンが考えられます。 (イ)両側ともにセットバックしていない。 評価対象地と対岸の土地の両側ともにセットバックしていないパターンは、通常道路中 心線から2mずつ後退するのが原則となります。 この場合は、実務上、以下の算式によりセットバック後退距離を求めます。 (算式) (4m‐現況幅員)÷2 (ロ)対岸のみセットバックしている。 対岸がセットバック済みであり評価対象地のみセットバックを必要とするパターンです。 この場合には、実務上、以下の算式によりセットバック後退距離を求めます。 (算式) (4m-現況幅員) (ハ)両側ともにセットバック済み。 両側ともにセットバックをしているパターンは、現況幅員も4mとなっており、評価対象 地においてセットバックの評価減はありません。 (二)片側のみセットバックしている。 評価対象地のみセットバック済みであるパターンがあります。 この場合、セットバックの評価減は行えませんが、公図がセットバックを反映して分筆さ れていない場合は、その後退した部分を道路提供済みであるものとして私道の評価を行い

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16 ます。 ≪具体例≫ 実務上、道路台帳を使用することでより客観的にセットバックの評価を行うことができ ます(道路台帳が現況を表しているかの検証は必要です)。 道路台帳を使用したセットバックの例を見てみましょう。 ※黄色部分はセットバック済みであることを表します。 (イ)eとf部分 eとfについて、現況幅員は2.28mであり、両岸ともセットバックが済んでいない ためセットバックの評価減を行います。 両岸ともセットバック後退距離は、0.86m(=4m−2.28m 2 )です。 4.00 3.20 2.28

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17 (ロ)cとd部分 cとdについて、現況幅員は3.2mであり、cはセットバック後退済みですが、dは セットバックが済んでいないためセットバックの評価減を行います。 dのセットバック後退距離は、0.80m(=4.00m-3.2m)です。 (ハ)aとb部分 aとbについて、現況幅員は4.00mであり、両岸ともセットバックの後退が済んで いるため、評価減はなしです。 (二)g と h 部分 g と h について、現況幅員は3.32mであり、g はセットバックが済んでいません が、hはセットバックが済んでいるためセットバックの評価減はなしです。 (3)道路提供済みの部分の評価 公図上は一筆(未分筆)であっても、すでにセットバックが済んでおり、道路提供がされ ている部分は公衆用道路としてゼロ評価を行います。 <住宅地図>

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18 <公図> 未分筆の土地であっても、固定資産税課税明細書において宅地と公衆用道路部分が分か れていることがあります。 【コメント】 評価対象地の一部が道路となっているが公図上分筆されていないケースはよくあります。 固定資産税の評価や周辺公図の様子をよく確認しましょう。

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19

①現地をみると、道路がまっすぐになっている。 ⇒ゼロ評価

道路提供済み

(ゼロ評価)

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20 ②現地をみると、塀になっている。 ⇒3 割評価

セットバック必要 (3 割評価)

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21

Step1 机上調査

周辺の公図からセットバックがありそうかあたりをつけます。 隣地にセットバックをして分筆した形跡があることから、評価対象地(13-1)にもセット バックがありそうです。

Step2 現地調査

前面道路を測ります。 その結果、道路幅員は東端で3.79m、西端で 3.74mでした。 4mまで20cmほど足りません。 理論上、道路中心線からの距離を測りますが、実際の現場では道路中心線は不明です。 周辺の状況をみて、隣地や対岸がセットバックされているのか否かを確認しながら判断 します。

Step3 役所調査

①道路の種別を確認します。 接面する道路が建築基準法上の道路であるか否かを確認します。 建築基準法第42 条 2 項道路であればセットバックを必要とします。 ②道路台帳の取得 道路台帳を確認して、市区町村が把握している道路幅員を調べます。

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22 北側部分について、すでに対岸はセットバック済みであり、評価対象地につき 0.21m (4m-3.79m)~0.26m(4m-3.74m)のセットバックが必要となることがわかった。 東側部分については、両方ともセットバックが済んでいないことから、評価対象地につ き0.55m( 4.00−2.89 2 )~0.725m( 4.00−2.55 2 )のセットバックが必要となることがわかっ た。

Step4 評価

①セットバックを必要とする宅地の評価においては、セットバックを必要とする部分を 測量する必要があります。ただし、評価実務では、簡便的に両端の道路幅員を測り、平 均をとる方法も考えられます。 ②セットバック後退距離を算出します。 (イ)北側部分 4m - (3.79+3.74) 2 = 4m - 3.765m ≒ 0.23m (ロ)東側部分 4m - (2.55+2.89) 2 = (4m - 2.72m)÷2 ≒ 0.64m 隣地はセットバ ックが済んでい るため幅員が4 mある。 隣 地 評価対象地

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23 ③セットバック部分を求積します。 上の図では、三斜求積をしていますが、実務上は間口×後退距離で良いでしょう。 (イ)北側部分 16m×0.23m=3.68 ㎡ (ロ)東側部分 13m×0.64m=8.32 ㎡ (ハ)合計 (イ)+(ロ)=12.00 ㎡ 0.23m 0.64m 16m 13m

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.都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価

1 都市計画道路とは

(1)都市計画道路とは 都市計画道路は、安心で安全な市民生活と機能的な都市活動を確保するため、都市施設と して都市計画法に基づいて計画された道路のことをいいます。 都市計画道路予定地に指定されると、その予定地内に建築物を建築しようとするときに は、原則として都道府県知事の許可を受けなければなりません(都市計画法53)。 ただし、その建築物が、次に揚げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、または除却する ことができるものは原則として許可されます。 (イ)階数が2以下、かつ、地階を有しないこと。 (ロ)主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造 であること。 (2)都市計画道路の事業段階 なお、都市計画道路には「計画決定」と「事業決定」、「整備済み」の三つの段階がありま す。 「計画決定」とは、事業に着手する時期などがまだ具体的に決まっていないものです。 「事業決定」とは、事業の着手が決まったものです。 「整備済み」とは、すでに都市計画道路の工事を終了したものです。 建物の新築や増築が許可されるのは「計画決定」のときに限られます。事業の着手が決ま った「事業決定」の段階では、土地収用や立ち退き交渉、実際の道路の築造工事に取り掛か るため、災害時の応急措置的な建築などを除き、新たに建物を建築することはできなくなり ます。 評価対象地における都市計画道路の段階がどの段階であるのかを市区町村の都市計画課 にて確認する必要があります。 12.00 18,567,360

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25 【コメント】 すでに都市計画道路が整備済みである場合には、評価減ができないので必ず役所で確認 します。 (3)都市計画道路の形態 都市計画道路は、既存の道路を拡幅するケースと、全く道路のないところに新しく道路を 作るケースの2つがあります。 既存の道路を拡幅するケースは、前述の設例のとおりです。全く道路のないところに新し く道路を作るケースは、以下のとおりです。 <全く道路のないところに道路を作るケース> 上図のように現存の道路を拡幅するものではない場合、道路予定地を把握するのが難し い場合があります。 この場合には、自治体によっては都市計画課にいくと都市計画予定ラインがわかる図面 があることが多いです。

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26 また、測量図を持ち込むと都市計画道路線を引いてくれる自治体もあります(公図は不可 となることが多い)。 都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価は、地積割合に応じて減価がされますの で、ある程度はおおまかな位置関係がわかれば評価ができます。

2 都市計画道路予定地の評価

評価対象地の一部が都市計画道路予定地となっている場合は、次表の地区区分、容積率、 地積割合の別に応じて定める補正率を乗じて評価します(財評通24-7)。 ビル街地区、 高度商業地区 繁華街地区、 普通商業・ 併用住宅地区 普通住宅地区、 中小工場地区、 大工場地区 600%未満 600%以上 700%未満 700%以上 300%未満 300%以上 400%未満 400%以上 200%未満 200%以上 30%未満 0.91 0.88 0.85 0.97 0.94 0.91 0.99 0.97 30%以上 60%未満 0.82 0.76 0.70 0.94 0.88 0.82 0.98 0.94 60%以上 0.70 0.60 0.50 0.90 0.80 0.70 0.97 0.90 (注) 地積割合とは、その宅地の総地積に対する都市計画道路予定地の部分の地積の割合

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27 をいう。

3 容積 2 以上の場合の都市計画道路予定地の容積率

次の図のように、容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定 地の区域内となっている場合、都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価に定める補 正率表の適用に当たり、「容積率」は、各容積率を加重平均して求められる容積率(建築基 準法第52 条第 7 項)によります4 【コメント】 明文の規定はないですが、都市計画道路と同様の都市施設に「都市公園」というものがあ ります。都市公園の予定地となっている場合も都市計画道路予定地の評価に準じて評価す べきものと考えられます。 4 国税庁質疑応答事例「容積率の異なる 2 以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定 地の区域内となる宅地の評価」参照

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Step1 机上調査

机上調査でとくに調べることはありません。

Step2 現地調査

現況道路の幅員を測る必要がありますが、実際に何mもある幹線道路を測るのは困難 であるため図面で対応するのが一般的です。

計画道路予定地

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29

Step3 役所調査

市区町村の都市計画課で都市計画道路の予定の有無を確認したところ、評価対象地の 一部が都市計画道路予定地となっていることがわかりました。 ①道路を管理している事務所(国道管理事務所や県)において、現況道路の幅員を調べま す。今回は、10mであることがわかりました。 ②次に、市区町村の都市計画課において、何mに拡幅される計画なのかを確認します。 今回は、20mとのことでした。したがって、都市計画道路予定地における後退距離は 5m=20m−10m 2 となります。 (必ずしもセットバックのように両側に等しく後退とは限らないことに注意が必要です)

Step4 評価

これを公図に落とし込み、都市計画道路予定地の面積を求積します。 地積:621 ㎡ 間口:23m 奥行:27m 5m 道 路 15-3 ①都市計画道路を線引き ②前面部分を求積

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都市計画道路予定地は、拡幅距離5m×間口 23m=115 ㎡となり全体地積(621 ㎡)の 18.5%、つまり 30%未満に該当します。

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31 執筆書籍 講師プロフィール 税理士 宅地建物取引士

風岡範哉

(かざおか・のりちか) 相続専門としてこれまで従事した案件は 200 件を超え、100 億円以上の大型案件の 経験もあります。特に判断の難しい土地の評価や名義性財産の判定に強みがあります。 主な論文に「財産評価基本通達 6 項の現代的課題」第 28 回日税研究賞入選(2005 年)、「相続税・贈与税の課税処分における理由附記」租税訴訟№8(2015 年)、「特別対 談 相続税税務調査の最前線 松林優蔵×風岡範哉」税務弘報(2016 年 11 月号)など があります。 グレーゾーンから考える 相続・贈与税の土地適正評価の実務 税理士 風岡範哉 著 定価:4,320 円(税込) 出版社:清文社 【概要】 評価通達及び有益な裁判例・裁決例を数多く(役 210 例)織り交ぜながら、評価者 によって数字が異なるグレーゾーンに挑んだ土地評価書籍の決定版 4STEP で身につく<入門>土地評価の実務 税理士 風岡範哉 著 定価:3,888 円(税込) 出版社:清文社 【概要】 (1)基礎情報をどのように確認し、(2)土地の何をみて何を測り、(3)役所では何の資 料をどこで集め、(4)評価明細書にどのように記入するのか。教科書的でない実務 で本当に活きる評価手法を徹底解説!

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