研究・技術計画学会第27回年次学術大会での講演[PDF:1.1MB]
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(2) 報告:構成学(シンセシオロジー)の論文分析による技術の社会導入に向けた方法論. つ以上を結びつけたものです。これらの論文の考察か. ほどのスピントロニクスで「新材料・新デバイスの開発. ら、技術の構成の基本型として、アウフヘーベン型、ブ. から量産技術の開発」という説明がありましたが、社会. レークスルー型、戦略的選択型があることに加えて、そ. が欲しがっていた高性能かつ高速な低消費電力のメモリ. の過程で社会との相互作用を繰り返しフィードバックす. の要素技術を開発しただけでなく、企業が活用できる製. る螺旋型という構成方法の重要性も確認することができ. 造技術にまで持っていったという例です。もう一つ、社. ました。また、技術の構成型は一様ではなく、種々の型. 会での使われ方が定まっているものとして計量標準のト. の多段の組み合わせがなされることや、分野によって構. レーサビリティ体系があります。社会でのニーズが明確. 成型に特徴があることも明らかになりました。. な場合のポイントは、製品につながる技術であれば、要. 以上で、技術の社会への導入についてお話ししました. 素技術および大量に製造できる工業製品にするための製. ので、次に技術の社会での活用についてご紹介します。. 造技術を併せて研究開発すること、性能を安定化させる こと、そしてもう一つ大事な観点としては既存の製造プ ロセスからの最小限の変更で対応が可能ということで. 分野ごとに4類型に分類した結果. す。計量標準のケースでは、技術の供給システムに対応. (組合せ型を各類型に重複して計数) 0%. 20 %. 環境・エネルギー. 40 %. 2. ライフサイエンス(バイオテクノロジー). ナノテク・材料・製造. 6. アウフヘーベン. る”というものがあります。持ち運びできるコンパクト. 1. 8. 3. な長さ標準器の試作品を作る、あるいは全時間全焦点顕. 8. 標準計測 1 1. させ、使いやすい設計にしたことです。 すが、一つのやり方として“製品の形にしてやってみせ. 3. 6. 4 3. 100 %. 次に、「社会のニーズが明確化されていない」場合で. 3. 1. 情報通信・エレクトロニクス 1. 80 %. 6. 6. ライフサイエンス(人間生活技術) 1. 地質. 60 %. 4. 微鏡を試作してインパクトを与えたという例です。 “試. 11. しに使ってもらう”方法もあります。サンプル提供でき 2. 6 ブレークスルー. 戦略的選択. る量の有機ナノチューブを製造する、またサイバーアシ. 螺旋. スト(状況依存の情報サービス)を実フィールドに近い 展示会やイベントで使ってもらう。技術を実際の形にし. 赤松 どれほど素晴らしい技術や製品(プロセス)で. てみせることでインパクトを与え、汎用的な技術で製品. あっても、また社会ニーズに対応していても、社会の中. 化できることを示すことができます。多様な使い方が試. でそう簡単に使われるわけではなく、社会に導入された. されることで、技術の適用可能性の検討や技術課題の抽. からといって必ずしも社会の中で簡単に広がるわけでも. 出もできます。. ありません。. 「ニーズは理解されているが、躊躇がある」場合もあ. Synthesiology の論文を対象にして、どのような方法. ります。こういうケースが多いと思うのですが、それに. で技術や製品が社会導入されたかについて、技術とニー. は“相手の理解を待つ”か“懐に飛び込む”ことが行わ. ズの関係の観点から分析しました。 「社会でのニーズが. れていました。 「紫外線防御化粧品と評価装置」は基本. 明確化されている」場合と「社会のニーズが明確化され. 技術が完成し、ニーズは理解されたのですが、意思決定. ていない」場合の二つに大きく分けることができます。. に時間がかかるので落ち着いて待ったという事例です。. まず、「ニーズが明確化されている」場合ですが、先. 「ディペンダブル情報システム」は、現場で必要な情報 を見極め、説明するだけでなく、実際にやってみせて重 要性や価値を共有することができたという事例です。 次の段階は、製品化ができて社会に定着させる場合で す。「IH 調理器に対する調理システムの開発と普及」で は感性的な先導的ユーザーである料理研究家が新しい使 い方にチャレンジして、価値が付与されました。また、 日本ではカーナビが普及していますが、カーナビメー カーだけでなく国やセンシングメーカー、地図会社等、 多様な官民のステークホルダーの連携によって広まった ものです。. 小林 直人 氏. 研究分野ごとの社会導入の特性として、環境・エネル. −127 −. Synthesiology Vol.6 No.2(2013).
(3) 報告:構成学(シンセシオロジー)の論文分析による技術の社会導入に向けた方法論. ギー分野においては製造技術を併せて開発することが多. フロア 研究側の自己評価とその成果を使う産業界等. く行われていました。エネルギー問題は産業界で出す. の外部からの評価との齟齬があるのではないでしょう. CO2 問題の比率が高く、トータルとしてのエネルギー問. か。それがイノベーティブなものが出てこない原因では. 題の解決から製造技術開発が比率的に高くなったと考え. ないかと思うのですが。. られます。ナノテク・材料・製造も製造技術そのものが 対象です。一方、社会構造に適合した形での導入が多い. 赤松 シンセシオロジーで論文を書くことは、自分が. のはライフサイエンス(人間生活技術)や標準計測、地. どのように社会にフィードバックさせるかを考えてきた. 質です。試用とスパイラル型に関してはライフサイエン. かを振り返ることでもあります。自分でどこまでシステ. ス(バイオテクノロジー)および情報通信・エレクトロ. マティックに考えていたかが明確に評価できるようにな. ニクスが多くなっています。. ると、社会なり企業の側と話がしやすくなる面があると. 社会導入に向けた構成を連続して起こすことが研究成. 思います。. 果の社会導入には重要です。その際、社会ニーズが明確 になっている場合とそうでない場合、産業としての拡大. フロア 基礎研究は論文の引用でモニタリングができ. を図る場合、それぞれ異なったアプローチが求められま. ると思うのですが、社会への応用に関して、自動的にマー. す。 「社会導入からイノベーションの創出」 を考えると、. キングできるようなモニタリングの方法があるのでしょ. このような構成例の分析を積み重ね、そのダイナミズム. うか。. を分析すること、さらにシナリオをどのように構築して 赤松 従来の論文誌では、実際に社会で使われるかど. いくかの分析が必要です。. うかわからないことから、そこを表現できる論文誌とし て Synthesiology があります。社会への導入には運・不. 研究分野ごとの社会導入の特性 環境・エネルギー ライフサイエンス(バイオテクノロジー). 3. 2. ライフサイエンス(人間生活技術) 情報通信・エレクトロニクス. 3 2 1. 標準計測. 1. 3. 1. 40 %. 製造技術も併せて研究開発. 社会構造に適合した形で導入. インパクトを見せる / 理解を待つ. ステークホルダーとの協業. スをどのように評価するかは可能だと思います。社会へ. 2. 5 20 %. 数等の定量的な形で測るのは難しいです。ただ、プロセ. 2. 1. 10. 地質. が大きなファクターになります。そこをアウトプットの. 2. 3. 5. の努力なり、仕掛けをどれだけ作ってきたかということ. 1. 2 1. 3. ナノテク・材料・製造. 0%. 運もありますが、その運・不運をコントロールするだけ 1. 6. の導入を考えて必要なプロセスをとったかで評価するこ. 1 60 %. 80 %. 100 %. 試用とフィードバック. 小林 我々としては事例を積み重ねていくことが大切 だと思っています。特に企業の方々はこういうところは. 社会導入と技術的構成の関係 ステークホルダーとの協業 インパクトを見せる / 理解を待つ 試用とフィードバック. 2. 2 1. 4. 3. 3. 社会構造に適合した形で導入. 2. 10 20 %. 戦略的選択. ブレークスルー. 60 %. 2 3. 8 40 %. だきたいと思います。. 1. 5. 20. 製造技術も併せて研究開発 0%. 得意だろうと思いますので、論文をたくさん出していた. 6 3. とが考えられます。. 80 %. アウフヘーベン. 100 %. 螺旋. 赤松 幹之 氏. Synthesiology Vol.6 No.2(2013). −128 −.
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