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当院看護師の朝食摂取の現状と疲労感との関係

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Academic year: 2021

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当院看護師の朝食摂取の現状と疲労感との関係

手術部

 ○谷本有香

  田中忍

安岡 秋田 理香 順子

谷脇実紀

若狭郁子

本久美佐

キーワード:看護師、朝食摂取、疲労感 I.はじめに  生活習慣は、一般的に「食生活」「運動」「喫煙」「飲酒」「休養」などのライフスタイルであり、生活の中で 繰り返し行なっていることを言う。永#1)は、「健康を保つ為には十分な睡眠と適当な運動、そして正しい食 生活を行なう事である」と言っており、食生活は健康の保持・増進の基本であると考える。また粟生2)は「摂 食という行為は自分自身の生命を保ち、日々活動していくための最も基本的なものである」と言っている。た だ、生活習慣は食生活や日々の運動習慣などといった個人的な事ばかりではなく、社会的活動を含む幅広いも のであり、生活習慣の乱れは心身の疲労を生じさせる。尾形3)は「生活習慣は労働の影響を受ける」と報告し ており、夜勤・交代制労働者には不規則な食事時刻などの食習慣の乱れを指摘している。実際、当院看護師は 三交代制勤務という特性や労働時間の長さなどにより食生活を乱しやすく、それに伴う疲労感を強く感じてい るのではないかと考えた。そこで、当院看護師の食生活の中で朝食摂取に焦点をあて、疲労感にどのように関 係しているのかを明らかにする為にアンケート調査を行ったので報告する。 n。研究目的  当院看護師の朝食摂取の現状と疲労感との関係を明らかにする。 Ⅲ。概念枠組み  本研究の概念枠組みを図1のように考えた。  <朝食摂取習慣> 毎ヨ食͡;る 時々1ぺる(週3匝以上) ほとんど食句:い(週3日珊絢 ま売く食ヽ;ない <朝食の内容> ・たんぱく質 ・l讃 ・1襄 ・ミネラル ・ビタミン  <個人の背景> ・年齢・性別 就労(日勤) 図1概念枠組み 87 〈自覚症状〉 I群:ねむ{j感 II群:不知惑 Ⅲ群坏り感 四Sさ感 V群ぼやけ感

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Ⅳ。研究方法  1.研究デザイン   実態調査  2.研究対象   当院で三交代勤務を行っている看護師290名  3.調査期間   平成16年8月23日∼8月31日  4.調査方法   研究グループで作成したアンケート用紙を配布  5.調査内容   朝食摂取に関しては独自のアンケート用紙を作成した。日勤の就労前・後の疲労感については日本産業衛   生学会産業疲労研究会の自覚症しらべを用いた。  6.データ処理方法   朝食摂取習慣の状況と、日勤の就労前および就労後の疲労感(自覚症状)の5群についての関係性を調べ  た。Microsoft Excel 2000 を使用し、統計学的処理を行った。5検法から得られたスコアについて、疲労感  の各項目(I∼V群)について5つの質問項目の平均点を算出し、一元配置分散分析を行い、分散分析にお  いて有意差が認められた場合、下位検定として、t一検定を行った。全ての分析において、5%を有意水準と  した。グラフは、各グループの平均値を示してある。 V。倫理的配慮  以下のことについて紙面上で説明した。  1.アンケートは自由意志であり答える事を拒否することも可能である。  2.個人を特定できない形とし個人のプライバシーの保護に努める。  3.得られたデータは本研究以外で用いず、研究終了後は破棄する。 Ⅵ.結果  回答者数220名(回収率76%)で、有効回答者数200名 (有効回答率91%)であった。 1。対象者の背景:平均年齢33.5歳         女性190名、男性10名         同居108名、一人暮らし92名 2.朝食摂取習慣について  「毎日食べる」117名(58%)、「時々食べる」28名(14%)、 「ほとんど食べない」29名(15%)、「まったく食べない」26名 (13%)であった(図2)。  まったく食  べない,   13% iとんど食 15% T・  毎日食べ       る,58%  時 差  る, 14%   (図2)朝食摂取習慣  朝食摂取状況別の平均年齢は、「毎日食べる」35.0歳、「時々食べる」34.0歳、「ほとんど食べない」33.3 歳、「まったく食べない」32.2歳であった(表1)。同居は108名で、そのうち「毎日食べる」72名(36%)、  「ときどき食べる」17名(8. 5%)、「ほとんど食べない」11名(5. 5%)、「まったく食べない」8名(4.0%) であった。また一人暮らしは92名で、そのうち「毎日食べる」45名(22. 5%)、「ときどき食べる」11名(5. 5%)、  「ほとんど食べない」18名(9. 0%)、「まったく食べない」18名(9. 0%)であった(表2)。  朝食を食べる理由としては、「食べないとお腹がすくから」103名(71.0%)、「一日の活力源だから」57 名(39. 3%)、「習慣になっているから」47名(32. 4%)、「健康のため」44名(30. 3%)が多かった(表3)。 食べない理由としては、「朝食よりも睡眠が大事だから」29名(52. 7%)、「習慣になっている」22名(40.0%)、  「お腹が減らないから」18名(32.7%)が多かった(表4)。  朝食に含まれる5大栄養素については蛋白質118名(81. 4%)、脂質86名(59. 3%)、糖質137名(94. 5%)、

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ミネラル39名(26.9%)、ビタミン93名(64.1%)であった(表5)。5大栄養素の摂取状況については1 種類摂取4名、2種類摂取29名、3種類摂取47名、4種類摂取49名、5種類摂取16名であった(表6)。 3.疲労度について  就労前・後の疲労度については就労前よりも就労後のほうが高く(図3)、5群に分類した就労前・後の疲 労度についても5群全てにおいて就労前よりも就労後のほうが高かった(図4)。 表1朝食摂取状況の平均年齢 平均年齢(歳) 毎日食べる 35. 0 時々食べる 34. 0 ほとんど食べない 33. 3 まったく食べない 32. 2 表2 同居・−入幕しの朝食摂取状況(回答者200名)

人(%) 同居 (108人) 毎日食べる 72(36. 0) 時々食べる 17(8. 5) ほとんど食べない 11 (5. 5) まったく食べない 8(4.0) 一人暮らし  (92人) 毎日食べる 45(22. 5) 時々食べる 11 (5. 5) ほとんど食べない 18(9. 0) まったく食べない 18(9. 0) 表3 朝食を食べる理由(皿互鮪嘔勝世145名》 回答者数(%) 食べないとお腹がすくから 103(71. 0) 一日の活力源だから 57(39. 3) 習慣になっているから 47(32. 4) 健康のため 44(30. 3) 美容のため 5(3. 4) その他 8(5. 5) 表4 朝食を食べない理由(複数回答・回答者数55名) 回答者数(%) お腹が減らないから 18(32. 7) 朝食よりも睡眠が大事だから 29(52. 7) 習慣になっているから 22(40.0) 出かけるまでの支度に時間がかかるから 12(21. 8) 無理に食べると体調が悪くなるから 7(12. 7) 調理をするのが面倒だから 14(25. 4) そもそも必要なしt思うから ダイエットのため 1(1.8) その他 5(9. 1) 表5朝食に含まれる5大栄養素(複数回答・回答者数145名)

回答者数(%)

蛋白質

118 (81.4)

脂質

86 (59. 3)

糖質

137 (94. 5) ミネラル 39 (26. 9) ビタミン 93 (64. 1) 5541D n  10 ≪g lo ^  in0  * n   2  1   0       スコア \a         ^ ス3 コ ア2  1 0    就労前     就労掻 ( ・3)就労首・径の疲労度の比毅 89− 表65大栄養素摂取状況(回答者数145名)

回答者数

1種類摂取 4 2種類摂取 29 3種類摂取 47 4種類摂取 49 5種類摂取 16 ねむけ感 不安定感  不快感 だるき感 ぽやけ感 LにMr:t ;l*燈]り,4∧(,卜)卜げyトI卜仁心yリソI,

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lo  in * lO o  1025150   4   3   2   1   0          スコア ●鎚食ぺる 暗々食ぺる liヒ1ピ食べない まった債ぺない (国5)就労首のねむけ感 (IPく0.05有意差あり) 4 5 3 to 2 5         スコア 0  5。 毎●食べる    峰々食ぺる  │冨ヒ人,ピ産べない ●つた債ぺない (●6)就労甘の不安定S 4。朝食摂取週間におけるグループ間の差について  1)就労前のねむけ感について    一元配置分散分析の結果、有意差あり(F(3. 196)=5.247、Pく0.01)。    t一検定の結果、「毎日食べる」と「まったく食べない」との間(P<0.001)と、「時々食べる」と「まっ   たく食べない」との間(P<0.01)に有意差があった。「毎日食べる」と「時々食べる」は、「まったく食   べない」に比べ有意に低い値を示した(図5)。  2)就労前の不快感について    一元配置分散分析の結果、有意差あり(F(3. 196)=3.550、P<0.05)。    t一検定の結果、「毎日食べる」と「ほとんど食べない」との間(P<0.05)と、「毎日食べる」と「まっ   たく食べない」との間(P<0.01)に有意差があった。「毎日食べる」は、「ほとんど食べない」と「まった   く食べない」に比べ、有意に低い値を示した(図7)。    就労前の不安定感、だるさ感、ぼやけ感については、有意差はみられなかった(図6、8、9)。    就労後のねむけ感、不安定感、不快感、だるさ感、ぼやけ感の全ての項目について有意差はみられな   かった(図10∼14)。     3 . 5       3     2 . 5 ス   2 コ ア 1 . 5 0   5  。 ●●食べる 時々食べる l・と&,ピ食べない 歳った債べない ( ・7)就労甘の不快感( * P< 0.05有憲差あり)   5   3   l A o j u > f -i n O 3       2       1       0               ス コ ア 毎 ● 良 一 4 4 吟 ● 彙 ・ ・ a (目9)就剱首のぽやけS   3.5    3   2.5 ス 2         1 .80O    1 .896    2.069 1     1.629 71 。5    1   0.5    0        魯白煮ぺ驀  叫々煮ぺる  llヒ&,ビ煮ぺない まpた債ぺない 5 \ £ >     ^   u >   n   1 0 2 j   4   3   2   1           ス コ ア 0.5  0 (國8)就旁甘のたるき感 ●B食べる 崎々食ぺる !>):≪>!:'食べーU まった億ぺ●U (圓10)就旁優のaむけS

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to n to 2 5 3    CJ -r-          スコア  1 0.5  0 4 U S U I U ︲ U a        スコア ●a食べる 時々食べる  │・と&ピ食べない ま7た債ぺない ( ・11)藍労後の不安定惑 毎 ● 兪 ・ 4 昌 時 偶 兪 ・ 4 i l 之 ム ど ・ ≫ r < a - >     S I た く ● ・ 4 S j ( ・13)就労後のたるき盛 ス コ ア 4 j I j 2 j         スコア U a 3.5  3 2.5  2 1.5  1 0.5  0          2.007    2.144    2.115 1.811 ●●食ぺる 略 ● 兪 ・ 4 4 時々食べる  Siヒa,ピ食ぺない ●つた喰ぺをい (図12)就労後の不快S 崎 q 兪 ・ 4 4 l七ムど兪・44aヽ  S・たく兪・4魯j ( ・14)就旁後のぽやけ盛 Ⅶ。考察  就労前に「毎日食べる」「時々食べる」「ほとんど食べない」「まったく食べない」の4つのグループ間にお いて、有意差が認められた疲労感の項目は、「ねむけ感」と「不快感」であった。ここで、朝食を摂る習慣があ る人は、まったく摂らない人に比べて就労前の「ねむけ感」と「不快感」は少ないことが窺える。大森ら4)は  「疲労の原因について現在明らかにされている代表的な説は、『エネルギー源の枯渇』『疲労物質の蓄積』『内部 環境の失調』の三説である」と言っていることから、朝食を摂らないことは、疲労の原因の一つと言われてい る「エネルギー源の枯渇」をより助長させることになる。昼食までの間は血糖値の低下に伴い、いらいらした り怒りっぽくなったり、また集中力の鈍化を招く。柳田ら5)は「毎日朝食を摂取することは、体内の代謝やホ ルモンの分泌を安定させ、また体温も上昇し、体の組織が活│生イヒされる」と言っている。通常、脳のエネルギ ー源はブドウ糖であり、脳を活性化するためには、ブドウ糖を供給する必要がある。実際、ブドウ糖の負荷に より、注意力や集中力が向上する。睡眠中にも、絶えることなくブドウ糖が脳で利用される為に、朝日覚める 頃には肝臓に貯えられた糖質はなくなってしまう。また、食事をすると血糖が上昇するだけでなく体温も上昇 し、組織が活性化され、このことも注意力、集中力と密接な関係をもっている。これらから推察すると、おそ らく、就労前の「ねむけ感」は、エネルギー源の不足により脳の覚醒が起こらないことに由来している。また、  「不快感」も血糖の低下が脳に与えた結果、生じているのではないかと考える。  食事の影響のみを考えると、就労後に疲労感の全ての項目において有意な差が認められなかったのは、昼食 後は低血糖状態であったグループも血糖が上昇し、午後からの勤務のスタートラインの条件が同じになったた めであると推察できる。  朝食を食べる理由として「食べないとお腹がすくから」という答えが71%と多く、次いで「一日の活力源だ から」「習慣になっているから」という答えであった。このことから、空腹を感じることが食欲へとつながり、 朝食をエネルギー源であると意識して摂取している人は、食生活のリズムがある程度確立しているのではない かと考える。  また、朝食を食べない理由として、「朝食よりも睡眠時間が大事だから」「習慣になっているから」という答 えが多かった。しかし、「そもそも必要ないと思うから」と答えた人はゼロだったことを踏まえると、誰もが朝 −91−

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食摂取の大切さを認識しつつも、夜勤や時間外勤務などにより、睡眠時間の短縮が要因となって朝食を摂取す る習慣が身につかなかったのではないかと推察できる。これらのことから、朝食摂取の有無は就寝時刻や起床 時刻に影響を受けていると言える。  朝食の主食としては、ご飯やパンが多かった。これら糖質を多く含むものを主食として摂取すること9 活 動のエネルギー源を補給する上において重要である。このことから、これらを摂取することにより就労前の「ね むけ感」「不快感」が少なかったのではないかと考える。  今回の調査では朝食の摂取量は把握できていないが、朝食摂取習慣のある人は、5大栄養素の3種類以上を 摂っている人が多く、比較的バランス良く食べる傾向にある。また、145名中サプリメントを摂っていた人は 12名でそのうちの約半数が、ビタミン類だったが、サプリメントのみを朝食代わりにしている人はなく、主食 はきちんと摂り、その上で栄養を補助する目的で摂っていることが窺える。  ブレスローは、身体的健康の維持推進のための生活習慣の中に「朝食摂取習慣」をあげており6)、朝食を摂 ることは、規則正しい食生活の基本であり、職業人として自らの健康を維持する上でも大切であると言える。 私達看護師は交代制勤務という職業特性を持ち、また、精神的緊張が求められる環境で働いている。その上で、 適切な観察力・判断力を十分発揮するためには朝食を摂取することは重要であると考える。  各個人の生活習慣は既に確立されたものがあり、朝食摂取に対する価値観はそれぞれ異なっているが、患者 に看護を提供する立場として、看護師には自分たちの日々の体調を自己管理する事が求められる。朝食摂取習 慣はそのための一手段として大切であると考える。 VⅢ。おわりに  今回の実態調査により、当院看護師において、日勤就労前では朝食を摂る習慣のある人はまったく摂らない 人に比べて、疲労感の中の「ねむけ感」と「不快感」が少ないことが明らかになった。また、朝食を摂取しな い理由として、そもそも必要ないと考えている人はいなかった。少なくとも、昼食を摂るまでの活動のエネル ギー源としての朝食の位置づけができたと考える。これからは、ただ単に食べる朝食ではなく、意味ある朝食 であることを認識し、自己の健康管理に努め最善の状態で看護を提供できるように心がけていきたい。 引用・参考文献 1)永井勝次:食と健康,建帛社, 1-4, 1989. 2)粟生修司:摂食の病態生理, BME, 14・ 11,21, 2000. 3)尾形希:生活習慣と労働との関連,公衆衛生, 66, 18-21, 2002. 4)大森正英:健康の科学,中央法規出版, 213, 1988. 5)柳田美子:人生は食のコントロールから,ぎょうせい, 154-157, 2001. 6)山根美佐江:健康習慣と健康−ライフスタイルの科学, 88-89, HBJ出版局, 1989. 7)竹内富貴子:ビジネスマン・OLのための昼食の研究,日本実業出版社, 12-16, 1990. 8)山根美佐枝:就労者における生活習慣と健康実態,保健婦雑誌, 58(10), 876-881, 2002. 9)大島清:知性を究める食月薗学,講談社, 128-140, 1996. 10)丹波和子:看護婦の疲労に関する要因分析(第3報)一疲労自覚チェツクリストの作成に向けてー,日本  看護学会論文集(看護管理), 26へ108-111, 1995. 11)土屋いづみ:看護婦の食生活と疲労,日本看護学会論文集(看護管理), 26^ 117-119, 1995. 12)久保田栄子:器械出し看護師の疲労調査−STAI・自律神経との関わりー,日本看護学会論文集(看護総合)。  34'^ 57-59, 2003.

参照

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