組み込みソフトウェア開発技術:8.事例2-車載ソフト開発の現状
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(2) 特集 組み込みソフトウェア開発技術. 19.0. ソ. 年間のソフト開発本数 1本当りのソフト容量 1本当たりのソフト容量 年間ソフト開発量. New version software. フ. 情報系. ト ェ. 8 7 6. Highly reliable software. ウ. 5. 制御系. 4. Compact software, LAN. ア 規. 3. 1.0. ボデー系. 9. 2 1. 模. 要求 され る 信頼 性. 0 94. 95. 図 -2 ソフトウェア分類. 96. 97. 98. 02. 図 -3 ソフトウェア開発量の推移. ●社外と連携した開発形態. 護貿易) の道具にされることもある.. 大半の車載 ECU は自動車会社から仕入先に発注される. 例として,安全性,大気汚染,電波,灯火に関する法. が, 一部内製で開発される場合もある.よってソフトウェ. 規がある.このために同一の車両であっても,国ごとに. ア開発の大半は一部の内製開発を除き,仕入先で行われ,. 仕様が異なり, 複数のソフトウェア開発を余儀なくされ,. 自動車会社は要求仕様開発,発注管理,品質管理を行っ. 開発を複雑にする一因となっている.. ている.仕入先は近年のグローバル調達の方針により, 海外のサプライヤを採用するケースも増えてきている.. ●多様な使用環境 シベリアからアフリカまで使用環境はさまざまであ. ●開発規模の多様性. り,高低温・静電気対策も不可欠である.また長距離を. 開発プロジェクトの規模も多岐にわたり,少人数で数. 走るタクシーや長時間停車状態の VIP 車両など特殊な用. Kbyte のプログラムサイズのものから数百人で数 Mbyte. 途に対応する必要もある.ソフトウェア開発でも,これ. までのものまでさまざまである.1 台の車両開発の中で,. らの使用環境を配慮したバラツキを考慮した制御や外乱. それぞれの ECU が同期をとって開発していくことが重. に強いセンサ入力動作等が求められる.. 要である.. ●納期の絶対的な厳守. 自動車用組み込みソフトウェアの分類. 車両の開発は何万点もの部品から構成され,それぞれ が量産開始を厳守しなければ,成り立たない大きなプロ. ECU のソフトウェアは部品に求められる信頼性や開. ジェクトである.車両の製造・出荷・輸送・流通・新車. 発規模により,いくつかの特徴に分類される.グラフを. 発表・販売が世界規模で組み立てられており,たった. 図 -2 に示す.. 1 点の ECU の納期遅れがこれらのすべての計画を揺るが. ナビゲーションに代表される情報系は開発するソフト. す大問題となるために,絶対的な納期厳守が求められる.. ウェアの規模が大きいが,車両の基本運動制御に直接か かわることは少ない.また非常に信頼性を求められる制. ●リアルタイム制御. 御では,ブレーキ制御やエアバッグ制御がある.最近で. エンジン ECU に代表される制御では,エンジンの高. は, パワーウィンドウやメーター等も電子化されていて,. 速回転時に,点火・噴射演算制御は数 ms で実行され,. 小型コンパクトな設計が求められている.. 実行時間遅れが正常なエンジン動作に多大な影響を及ぼ す.このように非常に限られた時間単位で,正確に動作 をするソフトウェアが求められている.. ●法規対応. 自動車用ソフトウェア開発が抱える課題と 取り組み. 自動車は世界各国で,さまざまな使われ方をされ,そ. 自動車の電子化が進むにつれ,ソフトウェアの開発が. れぞれの国で法規もさまざまである.法規は社会・文化・. 急増している(図 -3 参照:1994 年を 1 とした場合の開発. 経済を反映して常に変化し,場合によっては,政治(保. 量,すなわちプログラムサイズを表している) .このため. 714. 45 巻 7 号 情報処理 2004 年 7 月.
(3) 8. 事例 2 −車載ソフト開発の現状. いくつもの課題が浮き彫りになってきており,自動車会 社各社はその対応に真剣に対応する必要に迫られている. また前述のようなソフトウェアの特徴により,高信頼 性要求を実現していく上でエンジニアリングプロセスに 関する課題と,開発形態や規模,期間的な面に対応する ための管理プロセスにも一層の工夫が必要とされてい る.以下にその概要を説明する.. ●エンジニアリングプロセスに関する課題. + I T,I TS. 地球環境保護 T/M・エンジン精密制御, EHV, FC 制御,. ・渋滞緩和 • ・インフラ連携車両制御 • ・ユビキタスネットワーク対応. 交通事故死傷者削減 パッシブセーフティ(エアバッグ) アクティブセーフティ(衝突緩和). 走る・曲がる・止まる + “繋がる”. 楽しさの追究 ドライバ意思推定,車両運動統合制御 人. 快適性・利便性の追究. 車. 社会. 路車間,車車間通信. 要求定義に関する課題 さまざまな新機能を開発する際に,その機能の要求仕. 図 -4 車に求められる将来像. 様がなかなか決められないという課題がある.製品の企 画段階∼要求定義に至るまでのプロセスでは,企画レベ ルでの検証ができず要求仕様確定段階で商品のコンセプ. 度のシステム開発では,個人のスキルだけではなく,組. トを左右する変更が発生する.この仕様変更は後の工程. 織的なプロセス定義も必要になってきている.自動車の. に行けば行くほど,変更工数が多大になりプロジェクト. 場合,非常に多くの仕入先(サプライヤ)に部品を発注. 全体に対する影響は多大になっていくため開発の初期の. しており,その部品の信頼性確保の対応も大きな問題で. 段階から管理している.. ある.仕入先のソフトウェアの品質を測るためのいくつ かの施策が必要で,発注もとの自動車会社と仕入先とは. 要求分析に関する課題. 綿密に連携している.. 要求仕様を獲得する際に,要求仕様を分析し仕様の意 図するところを正確に把握し,確認することが重要であ. ●支援や教育に関する課題. る.しかし,要求定義のプロセスが未熟である場合には,. 信頼性の高いソフトウェアを開発するためのノウハウの. 要求分析段階で大量の疑問点や矛盾点の指摘項目が発生. 伝授をする方法が大きな課題となっている.現状の組み込. し,工程の手戻りが発生する.また要求仕様記述手法が. み車載システムでは,ハードウェアやシステムの知識に加. 確立されていないプロジェクトについては,記述の矛盾. え,不具合を未然に防ぐリスク回避判断もノウハウとなっ. や記載漏れなどが発生しないよう未然に防止している.. ている.それぞれのシステムで異なる判断が求められるこ ともあるために,これらの知識やノウハウの伝授も含め,. 検証・テストに関する課題. 設計現場に依存しない教育体制を構築している.. 機能の複雑化・大規模化に伴い,検証・確認漏れが発 生しやすくなってきている.机上での確認や,ベンチテ スト,実車評価を体系だてて,漏れのない検証・テスト. カーエレクトロニクスの将来展望. を実施することが重要であるが,開発期間や投入できる リソースに限りがあるために,自動で検証ができるテ. 今後ますますネットワーク化が進み車内のネットワー. スト環境が重要となってきている.しかし,テスト仕様. クから車対インフラや車対車へと情報ネットワーク化が. 書やテストパターンの作成にも相当の技術と時間が必要. 進むと思われる.ソフトウェアのアーキテクチャの標準. で,要求仕様からテスト仕様を正確に・効率的に生成し. 化やコンポーネントの流通等自動車会社や仕入先の枠を. ている.. 超えた協業や協調が必要とされている. 図 -4 に示すように,車を取り巻く環境はますます厳. ●管理プロセスに関する課題. しくなってきており,求められる要求は環境保護・安全・. 開発するシステムが大規模化するに伴い,それを管理. 運転する楽しさ・利便性と多様に渡ってきている.これ. するマネージメントも困難になりつつある.特に開発ボ. らの要求に応えるために,社会のインフラ基盤を含めた. リュームが急激に増えている場合には,以前のマネージ. 情報技術(IT・ITS)を活用する必要があり,人と車と社. メント知識を超えた予想外の事態がおきることがあり,. 会のますますの融合が必要不可欠である.. これに対処する能力を持ったマネージャの育成が急務で. (平成 16 年 6 月 4 日受付). ある.数人で開発するシステムでは,個人のスキルに依 存することでリスク回避することができるが,十数人程 IPSJ Magazine Vol.45 No.7 July 2004. 715.
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