近畿大学法科大学院構想
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(2) 近畿大学法学 付 録A A-1 (1) (3) (5) A-2 (1) (3) 付 録B B-1 B-2 B-3 B-4 (1) (3) 付 録C C-1 C-2 C-3 C-4 (1) (3) 付 録D D-1 (1) (3) D-2 D-3 (1) (3) 付 録E E-1 (1) E-2 E-3 E-4 (1) (3) 付 録F F-1 F-2. 第49巻第1号. 科 目一覧 種類別科 目一覧 導入科 目(2)基 幹科 目 発展科 目(4)実 務科 目 学際科 目 学年別科 目一覧 1年 生(2)2年 生 3年 生 基礎法関連科 目カ リキ ュラムの概要 法科大学 院 にお ける基礎法学の役割 基礎法関連科 目一覧 学年配当の基本的指向 科 目内容 1学 年配当科 目 ②2学 年配当科 目 3学 年配当科 目 憲法 ・行政法関連科 目カ リキ ュラムの概要 法科大学 院 にお ける憲法 ・行政法教育の役割 憲法 ・行政法関連科 目一覧 学年配当の基本的指向 科 目内容 1学 年配 当科 目 ②2学 年配当科 目 3学 年配当科 目 民事法関連科 目カ リキ ュラムの概要 法科大学 院 にお ける民事法教育の役割 地域 住民 ② 中小企業 国際化 民事法科 目一覧 科 目内容 1学 年配 当科 目(2)2学 年 配当科 目 3学 年配 当科 目 刑事 法関連 科 目カ リキ ュラムの概要 法科大学 院理 念 と刑事法教育 の課題 地域特化 〔2)国 際化 刑事 法科 目一 覧 学年 配当の基 本的指向 科 目内容 1学 年配 当科 目 (2)2学 年 配 当科 目 3学 年配 当科 目 学 際科 目 学 際科 目の位 置づけ 学 際科 目の教 育内容. 一249一.
(3) 近 畿大学法科大 学院構想. 1司. 法制度改革 の基本的視点. ・ ,・t:1. 社 会 が複 雑 多 様 化 し,国 際化 と規 制 緩 和 の 時代 を迎 え,行 政 を は じあ社 会 が 事 前 規 制 型 か ら事 後 チ ェ ッ ク型 に移 行 す るな ど社 会 構 造 の 変 化 に伴 い,紛 争 の多 発 が予 想 され る昨今,迅 速 な紛 争 解 決 が グ ロバ リゼ ー シ ョン の 中 で不 可 欠 とな ろ う。 従 って,こ の よ うな救 済 型 ・事 後 監 視 型 社 会 へ移 行 しつ っ あ る今 日,'透 明 な ル ー ル と自 己責 任 の理 念 に則 った司 法 機 能 の充 実 は,こ れ まで の よ うな 行 政 の 不透 明 な事 前 規 制 を廃 し,「法 の 支 配 」の理 念 を よ り徹 底 す る上 で 緊 要 の課 題 と言 わ な けれ ば な らな い(司 法 機 能 の充 実 は国 際 社 会 で の信 頼 を得 る た め の国 家 的 な基 本 的 イ ンフ ラで あ る)と い う声 が 各 界 か ら沸 き起 こ って来 た。 まず,制 度 を担 う,制 度 を活 か す 人 的 基 盤 は ど うか 。 昭 和39(1964)年 の臨 時 司 法 制 度 調 査 会 意 見 書(臨 司 意 見 書)は,法. 曹 一 元 制 導 入 の前 提 条. 件 と して,弁 護 士 の 大 都 市 へ の 偏 在 や 弁 護 士 間 の質 の 格 差 の 解 消 と と も に,裁 判 官 の 給 源 と な る た あ のす ぐれ た法 曹 を 確 保 す る たあ の 法 曹 人 口の 飛 躍 的 増 大 を 指 摘 して い るが,し か し,わ が 国 の 法 曹 人 口 は,諸 外 国 に比 べ 非 常 に少 な く,・裁 判 官,検 察 官,弁 護 士 の 法 曹 三 者 の 人 口 は,ア メ リカ が 約96万8,000人,イ ス約3万6,000人. ギ リス約8万3,000人,ド. イ ッ約11万1,000人,フ. ラン. に対 し 日本 は約2万 人 と非 常 に少 な い。 と りわ け裁 判 官. の 数 が 極 あ て 少 な い。 そ の た め,裁 判 の 長 期 化 を 招 い て い る。 と くに東 京 ・大 阪 な どの 大 都 市 圏 の 裁 判 官 不 足 は極 め て深 刻 で,大 都 市 地 裁民 事 担 当 の 裁判 官 は年 聞250件 前 後 を担 当 し,裁 判(事 る。. 件 処 理)に. 忙 殺 され て い. ・'lI・. 次 に,こ の よ うな法 曹 人 口 の量 的 問 題 に加 え て,質 的 問題 は ど うか。「判 例 や通 説 を能 率 よ く覚 え込 む こ とに専 心 す る,平 均 的 な 司法 試 験 受 験 者 像 一248一. 馬f♂ 訳 ¶.
(4) 近畿 大学 法学. 第49巻第1号. を み る と,人 聞 に対 す る洞 察 力 や これ か らの 社 会 が いか に あ るべ きか を考 え る教 養 と思 考 能 力 が 十 分 備 わ って い る か ど うか,疑 問 を もっ こ とが あ る」(伊 藤 真教 授 談)と の指 摘 に み られ るよ うに,法 曹 人 口の 量 的 拡 大 に伴 う質 的 向上 にっ い て は,と りわ け知 的 財産 権 の分 野 を は じあ とす る専 門 性 の高 い分 野 につ い て の(と. くに国 際紛 争 の 多発 に備 え て)素 養 を 十 分 備 え. た裁 判 官 の育 成 ・増 強 につ い て 強 く望 まれ て い る。 政 府 も こ こ に至 り,司 法 改革 を積 極 的 に検 討 し始 め,平 成7(1995)年. に. 法 曹 養 成 制 度 等 改 革 協 議 会 が,意 見書 の 中 で,司 法 の機 能 を充 実 し,国 民 の法 的 ニ ー ズ に応 え るた め,法 曹 人 口 を増 加 させ る必 要 を訴 え,平 成9年 に行 政 改 革 会 議 が,そ の最 終 報 告 の 中 で,法 の支 配 の拡 充 発 展 を 図 るた め の積 極 的措 置 を講 ず る必 要 性 を強 調 した。 平 成10年 に は,大 学 審 議 会 が そ の答 申 「21世紀 の大 学 像 と今 後 の改 革 方 策 につ い て 個 性 が輝 く大 学. 」 の 中 で,法 科 大 学 院(ロ. 競 争 的環 境 の 中 で. ー ス クー ル)構 想 の検 討 を. 示 唆 した。 政 府 が司 法 改 革 に本 腰 を入 れ始 あ た の は,平 成11年 に な って か らで あ る。す な わ ち,21世 紀 に 向 け て,そ の 司 法 の あ るべ き姿 を 語 り合 い, 基 盤 整 備 の た め に必 要 な施 策 を検 討 す る司 法 制 度 改 革 審 議 会 設 置 法 を成 立 させ,13人. の委 員 よ りな る審 議 会 の第1回 会 合 を平 成11年7月. 2年 以 内(平 成13年6月12日. に開 催 し,. 予 定)に 答 申(意 見 書)を 得 る運 びで あ る。. 審 議 会 で は,① 迅 速 な裁 判 や法 曹 人 口(裁 判 官)の 増 員 な ど国 民 が よ り利 用 しや す い 司 法 の実 現,② (参加),③. 陪 審 制 度 や 参 審 制 度 な ど国 民 の 司 法 へ の 関 与. 法 曹 一 元 を は じめ とす る法 曹 の在 り方 と その 機 能 の充 実 強 化,. ④ 現 行 司 法 試 験 の在 り方 や 法 科 大 学 院 いわ ゆ る ロ ー ス ク ール 構 想 な ど の法 曹 養 成 制 度 の 改 革 な ど,司 法 改 革 全 般 にっ いて さ ま ざ まな 角 度 か ら議 論 さ れ,今 般 の司 法 制 度 改 革 を,政 治 改 革 ・行 政 改 革 ・地 方 分 権 推 進 ・規 制 緩 和 を は じめ とす る経 済 構 造 改 革 な どの 一 連 の 改 革 を 「法 の 支 配 」 の 下 に有 機 的 に結 び合 わ せ るた め の 「最 後 の か な め 」 と位 置 づ け,人 的 基 盤(の 拡 一247一.
(5) 近畿大学法科大学院構想 充)・ 制 度 的 基 盤(の 整 備)・ 国民 的基 盤(の 確立)と. い う改 革 の 三 本 柱 を. キ ー ワー ドに,第 一 に,国 民 と司 法 とを っ な ぐ人 的基 盤(法. 曹)の 拡 充 ・. 強化 を 図 る こ と,第 二 に,国 民 に分 か りや す く利 用 しや す い 司 法 を構 築 す る こ と,第 三 に,司 法 を して統 治 主 体 た る国民 の確 か な基 盤 の上 に立 た し め る こ とを 目指 す もの で な けれ ば な らな い,と. して い る中 間報 告 が平 成12. 年11月 に提 出 さ れ た と ころ で あ る。 中間 報 告 は,21世 紀 の 司法 を担 う質 ・量 と もに豊 か な法 曹 を育 成 し,司 法 の人 的 基 盤 を確 立 す る た め,司 法 試 験 とい う 「点 」 の み に よ る選 抜 で は な く,法 科 大 学 院(仮 称)(以. 下 「法科 大 学 院 」)を 中核 と し法 学 教 育 ・司. 法 試 験 ・司 法 修 習 を有 機 的 に連 携 させ た 「プ ロセ ス」 と して の法 曹 養 成 制 度 を新 た に整 備 す べ きで あ り,法 科 大 学 院 は,司 法 試 験 ・司 法 修 習 と連 携 した基 幹 的 な高 度 専 門 教 育 機 関(専 門 大 学 院)と. して,公 平 性,開 放 性,. 多 様 性 を 旨 と し,理 論 的 教 育 と実 務 的 教 育 の 架 橋 を 図 る もの で あ り,計 画 的 に,し か もで き るだ け早 期 に 年 間3,000人 程 度 の新 規 法 曹 の確 保 を 目指 す と して い る。この よ うな 養成 過 程 を経 た法 曹 が,「国 民 の 社 会 生 活 上 の 医 師 」 と して,広. く様 々 な 分 野 にお い て も活 躍 す る こ とが 期 待 され る,と 提. 言 す る。 この よ うな 法科 大学 院構 想 は,前 掲 「21世紀 の大 学 像 と今後 の 改 革 方 策 に つ い て」 の具 体 的 改善 方 策 の ポ イ ン トの一 つ と して提 示 した課 題 探 求 能 力 の育 成 一. 教 育 研 究 の質 の 向上. お よ び高 度 専 門職 業 人 の 養成 に特 化. した専 門 大 学 院 の設 置 促 進 と くに,法 律 実 務 分 野 に つ い て,大 学 院 の修 了 と資 格 制 度 と の関 係 で は,法 曹 養 成 の た あ の専 門 教 育 の課 程 を修 了 した者 に法 曹 へ の道 が 円滑 に開 け る仕 組 み につ い て広 く関 係 者 の聞 で検 討 して い く必 要 が あ る,と の提 言 に後 押 しさ れ た もので もあ る。 審 議 会 は,平 成11年12月 の 「司 法 制 度 改 革 に向 けて. 論点整理. 」. にお いて,「21世 紀 の司 法 を支 え る の にふ さ わ しい資 質 と能 力(倫 理 面 を含 一246一.
(6) 近畿大学法学. 第49巻第1号. む)を 備 え た法 曹 を ど の よ うに して養 成 す るか 」 と い う法 曹 養 成 制 度 の在 り方 に関 し,「課 題 は,大 学(大 学 院 を 含 む)に お け る法 学 教 育 の 役 割,司 法 試 験 制 度,司. 法 修 習 制 度,法. 曹 の継 続 教 育 の 在 り方 等 を 中 心 に,総 合. 的 ・体 系 的 に検 討 され な けれ ば な らな い」 と し,各 大 学 は じあ諸 機 関 に よ る 「法 曹 養 成 に特 化 した教 育 を行 う プ ロ フ ェ シ ョナ ル ・ス ク ー ル と して の 『法科 大 学 院』 の設 置構 想 は,新 た な 法曹 養成 制 度 の核 とな る もの と して, 有 力 な方 策 」 で あ る と位 置 づ け,同 審 議 会 は,平 成12年11月 に公 表 した中 問 報 告 で も,「3.人 的 基 盤 の拡 充 」の 「① 法 曹 の質 と量 の拡 充 」で 「ア. 新. た な 法 曹 養成 制 度 の 構 築 」を重 要 な施 策 と して掲 げ,「法 曹 養成 に特 化 した 教 育 を 行 う プ ロ フ ェ シ ョナ ル ・ス ク ー ルで あ る法科 大学 院 を 設 け る こ とが 必 要 か っ 有 効 で あ る と考 え る」 と述 べ て い る。. 2法. 曹養成制度と大学の使命. そ れ で は,な ぜ,こ の よ う に構 想 され て い る大 学 院 が 「法曹 養成 に特 化 した教 育 を行 う専 門大 学 院(プ ロ フ ェ シ ョナ ル ・ス ク ー ル)」 な のか,次 の 三 っ の視 点 か ら検 討 して み る。. 2.1法. 曹 の 量 的 ・質 的 基 盤 整 備. まず 第 一 に,司 法 が21世 紀 の わ が国 社 会 に お い て期 待 さ れ る役 割 を十 分 に果 たす た め の人 的 基 盤 の確 立 の た め に は,法 曹 の量 的 ・質 的 基 盤 整 備 が 必 要 で あ るが,法 科 大 学 院 構 想 は,質 の よ い法 曹 教 育 を,し か も大 量 に行 う こ とが で き る可 能 性 が あ る とい う点 で 最 適 と言 え よ う。 わが 国 の法 曹 人 口 は,先 進 諸 国 との比 較 にお いて,そ 試験. の総 数 お よ び司 法. 司 法 修 習 を経 て 誕 生 す る新 規 参 入 者 の いず れ にお いて も極 めて 少 な. い状 況 に あ り,と りわ け裁 判 官 の数 が 少 な い(詳 細 は,石 田 榮 仁 郎 「法 曹 一245一.
(7) 近畿大学法科大学院構想 の あ り方(問 題 提 起)」 近 畿 大学 法学47巻3・4号,平 時 司法 制 度 調 査 会 意 見 書(臨. 司意 見 書)の. 成12年3月. 出 た昭 和39(1964)年. 参 照)。 臨 に司 法 試. 験 合 格 者 数 が 戦 後 は じめ て500人 を 超 え た が,そ の後25年 ほ ど暫 く500人 前 後 が続 き,平 成11(1999)年. に な って は じめて 合 格 者 が1,000人 に達 した。. 人 的 基 盤 整 備 の最 た る,法 曹 人 口 の増 大 の フ ァー ス ト ・ス テ ップ た る司 法 試 験 の 合 格 者 を 倍 増 す る の に,臨 司 意 見 書 の 年 か ら数 え て実 に35年 もか か って い る有 様 で あ る。 審 議 会 が,法 曹 人 口の 大 幅 な 増 加 を 図 る必 要 性 を こ と さ ら強 調 す るの も,こ の よ うな背 景 に よ る もの と考 え られ る。 この よ うな 量 的 問 題 に加 え て,質 的 問 題 は ど うか 。 平 均 的 な 司 法 試 験 受 験 者 像 につ いて は,前 述 の とお りで あ る が,中 聞 報 告 は,「21世 紀 の 司 法 を 担 う法 曹 に必 要 な 資 質 」 と して,豊 か な 人 間 性 や 感 受 性,幅 広 い 教 養 と専 門的知識. 柔 軟 な 思 考 力,説 得 ・交 渉 の 能 力 等 と,こ の 基 本 的 資 質 に加 え. て,社 会 や 人 間 関 係 に対 す る洞 察 力,人 権 感覚,先. 端 的 法 分 野 の 知 見,外. 国 法 の 知 見,国 際 的 視 野,語 学 力 等 を挙 げて い る。 あ るべ き21世 紀 法曹 の 資 質 に関 して は,今 日一 様 に指 摘 され て い る と ころ で あ るが,特 に基 本 的 資質 教 育 は学 校 教 育 そ の もの が 担 うべ き任務 で あ る と考 え る。. 2.2「 点 」 偏 重 か ら 「プ ロセ ス」 重 視 の 法曹 養 成 第 二 に,法 曹 養 成 に お け るプ ロセ ス教 育 の重 視 に対 応 す る こ とで あ る。 審 議 会 は,「司 法試 験 を 含 む 法 曹 資格 付与 の在 り方 も,法 科 大 学 院 に お け る 教 育 に適 切 に対 応 した もの と し,プ ロセ ス を重 視 した法 曹 養 成 制 度 と して の一 貫 性 の確 保 」 が必 要 で あ る と して い る。 現 行 の司 法 試 験 は,「 開 か れ た 制 度 」 と して の 意 義 は有 して い る もの の, 合 格 者 数 の漸 増 に もかか わ らず 依 然 と して厳 しい受 験 戦 争 状 態 に あ り,受 験 者 の受 験 技 術 優 先 の傾 向 が い よ い よ顕 著 と な り,こ の よ う な競 争 激 化 が 「ダ ブル ス クー ル化 」 や 「大 学 離 れ」 を 引 き起 こ して い る と言 わ れ て い る。 一244一.
(8) 近畿大学 法学. 第49巻 第1号. また,こ れ以 上 の合 格 者 数 増 を そ の質 を維 持 しつ つ 図 る こ とに は大 きな 困 難 が伴 い,試 験 の 内容 や方 法 を 改善 した く らい で は 問題 克 服 に は な らな い とい う限界 状 態 に達 して い る。 この よ うな理 由 か ら,司 法 試 験 とい う 「点 」 の み に よ る選 抜 で は な く, 法 学 教 育,司 法 試 験,司 法 修 習 を有 機 的 に連 携 さ せ た 「プ ロセ ス」 と して の 法 曹 養 成 制 度 を 新 た に 整 備 す る こ と が 緊 要 か っ 早 急 の 課 題 と して 登 場 し,か く して,法 曹 養 成 に特 化 した教 育 を行 うプ ロ フ ェ シ ョナ ル ・ス クー ル と して の法 科 大 学 院 を設 け る こ との必 要 性 が うか が え る ので あ る。. 2.3大. 学 の教 育 理 念 と法 曹養 成. 第 三 に,法 科 大 学 院 構 想 は,各 大 学 の それ ぞれ の建 学 精 神 に基 づ く教 育 理 念 に基 づ いて 法 曹 養 成 教 育 を行 うこ とが で き る こ とで あ る。 これ まで の 法 曹 養 成 は,個 別 大 学 の 教 育 理 念 と の関 係 が 考 慮 され て いな か っ た よ うに 思 わ れ る。「金 太 郎 飴 的 法 曹 養 成 」 と皮 肉 られ て も,正 面 か ら反 対 で き る状 況 で はな か った と思 わ れ る。 これ で は,ワ. ンパ タ ー ンの 法 曹 が 養 成 され る. だ けで あ る。21世 紀 の 世 界 の 法 曹(法 曹 の グ ロ ーバ リゼ ー シ ョ ン)に 伍 し て 行 くに は,様 々 な 世 界 観 や 価 値 観 を 持 った 者 が 法 曹 とな る こ とが 必 要 で あ り,そ の た め に は多 様 な 教 育 理 念 の下 で 法 曹 養 成 教 育 を行 う必 要 が あ る。 ま た,大 学 に と って,と. くに私 立 大学 に お い て は,そ の 建学 精 神 に 基 づ. く教 育 理 念 に基 づ い て の 教 育 を 行 って こ そ存 立 の意 義 が あ るの で あ るか ら,も. しか りに,ワ. ンパ ター ンの 法 曹 養成 に参 画 す るだ けで あ れ ば,意 味. の な い こ とで あ る。 これ で は,大 学 は場 所 を貸 す だ け に す ぎな い こ とに な りか ね な い。 この 結 果,法 科 大学 院立 ち上 げ は,単 に大 学 の 格 付 け の た め, 生 き残 りの た め と酷 評 され て もや む を得 な い(伊 藤 進 「法 科 大 学 院構 想 の 現 況 と課 題 」)。この よ うな こ との な い よ うに,各 大 学 の独 自性,特 色 を遺 一243一.
(9) 近畿大学 法科大学 院構想 憾 な く発 揮 しな け れ ば な らな い。 公 平 性 ワー ドの真 の意 味 す る と ころ は,ま. 開放性. 多様性 の三 っの キー. さに こ こに あ り と言 え よ う。. ま た,大 学 が プ ロ フ ェ シ ョナ ル ・ス クー ル と して の法 科 大 学 院,す な わ ち専 門職 業 人 養 成 に取 り組 む とい う こ と は,そ の分 野 の専 門職 業 人 が担 う 社 会 的責 任(の 一 端)を. も担 う こ とで もあ る。 この意 味 で も,大 学 の果 た. す使 命 た る や極 め て大 と言 わ な け れ ば な らな い。. 2.4法. 科大学院制度設計上の検討課題. 「法 曹 養 成 に特 化 した教 育 を 行 う プ ロ フ ェ シ ョナ ル ・ス ク ー ル と して の 法 科 大 学 院 」 と一 口 に言 って も,制 度 設 計 上 の課 題 は数 多 くあ る。 ま ず第 一 に,何. と言 って も,大 事 な こ とは,そ の 教 育 内容 や修 了 者 の水 準 の確 保. で あ る。 量 的 ・質 的 基 盤 整 備 を キ ャ ッチ フ レー ズ に設 置 す る法 科 大 学 院 で あ る か らに は,量 的 拡 大 に伴 う質 的 向上 も維 持 さ れ な け れ ば な らな い。 専 門 大 学 院 で あ る以 上,専 門 職 業 人 養 成 に特 化 した大 学 院 と して,国 際 的 に も十 分 評 価 され る に足 る修 了 者 を実 務 界 に送 り出 す に相 応 しい 出 口教 育 と して,高 度 の実 務 経 験 を積 ん だ教 育 を含 む 実 践 的 職 業 教 育 に使 命 感 を もっ た教 員 組 織 が 充 実 して い な けれ ば な らな い。 それ は,法 科 大 学 院 設 置 時 だ けで な く,文 部 省 が 平 成12(2000)年9月29日. に提 出 した 「法 科 大 学 院(仮. 称)構 想 に関 す る検 討 会 議 の ま と め」 お よ び審 議 会 中 間 報 告 に もみ られ る よ う に,さ. らに継 続 的 に,教 育 内 容 や 修 了 認 定 の 水 準 を 確 保 す べ く,第 三. 者 評 価,外 部 評 価 が 義 務 づ け られ て い る。 第 二 は,第 一 と前 後 す る入 り 口の 問 題 で あ る。 他 大学 法学 部 や他 学 部卒 業 者 お よ び社 会 人 の 受 け入 れ を 含 め た 公平 で 開 か れ た,し か も弊 害 の 少 な い入学 者選 抜 方 法 の 開 発 で あ る。 第三 は,教 育 課 程 のあ り方,す な わ ち法 曹 に相 応 しい 高度 の 能 力 を 身 に っ けた 人材 を 養成 す るた め の教 育 内容 お よび教 育 方 法 で あ る。 そ れ は,実 一242一.
(10) 近畿大学法学. 第49巻第1号. 務 界 との 密接 な連 携 を 確 保 し,そ の要 請 を 的確 に教 育 内容 に反 映 させ る こ とで あ る。 第 四 に,専 門大 学 院 と して の 共通 の 枠組 は確 保 しな が ら も,各 法 科 大 学 院 は,そ の個 性,特 徴,学 風,建 学 の精 神 等 を活 か して特 色 あ る人 材 養成 を行 う こ とで あ る(合 田 隆 史 ・文部 省 高等 教 育 局 大 学 課 長 「大 学 改革 と し て の専 門大 学 院 と法 学 教 育 」 法 律 の ひ ろ ば53巻1号 最 後 に,(法)学. 〈平 成12年 〉)。. 部 教 育 の問 題 で あ る。現 在,わ が 国 に は,93の 法 学 部 が. あ り,毎 年 お よ そ5万 人(正 確 に は47,000人)に. 及 ぶ 法 学 部 入 学 生 を迎 え,. か つ法 学 部 卒 業 生 を送 り出 して い る。 卒 業 生 の うち,法 律 そ の もの を専 門 的 に取 り扱 う職 業 に従 事 す る者 は む しろ少 数 で,い わ ゆ る法 曹 三 者 に限 れ ば,お そ ら く2%に. 満 た な い程 度 と考 え られ る。 大 学 院 進 学 が約2%,公. 務 員 採 用 が約4%と. な って お り(前 掲 ・合 田 論 文),彼 らの卒 業 後 の進 路 は. ま さ に多 様 で あ り,ま た卒 業 後 に必 要 とさ れ る能 力 も極 め て多 様 で あ る。 法 科 大 学 院 を価 値 あ る もの とす る た あ に も,(法)学 部 教 育 の充 実 が 極 め て肝 要 と言 え よ う。 大 学 院 の 「学 部 化 」 を防 ぐた め,学 部 教 育 の再 建 に取 り組 む こ と(野 上 修 一 「法 科 大 学 院 を 考 え る」国 会 月報48巻625号)こ. そが. まず 第 一 に考 え ね ば な らな い ことか も知 れ な い。 法 学 部 を 消 滅 させ る た あ の法 科 大 学 院 で は もと よ りな い筈 だ か らで あ る。 いず れ にせ よ,法 科 大 学 院 構 想 を 検 討 す る と い う こ と は,大 学 改 革 を 検 討 す る こ と と軌 を 一 に なす もの で あ り,そ れ は,法 学 部 の 改 革 に と ど ま ら ず,大 学 法 学 教 育 の 改 革 及 び 大 学 院 改 革 に 資 す る と信 ず る(石 田榮 仁 郎 「最 後 の か な め 『司法 制 度 改 革 』」 国 会 月 報48巻628号)。. 一241一.
(11) ' 近畿大学法科大学院構想. 3近. 3.1近. 畿大学法科大学院の基本理念. 畿 大 学 法科 大 学 院 の 設 置 理 念. いか な る組 織 ・制 度 で あ れ,そ れが 求 心 力 を持 った魅 力 的 な もの と な る か ど うか は,そ. こに確 固 と した理 念 的 支 柱 が 存 在 す るか 否 か にか か って い. る と言 え る。 と りわ け,前 節 に お いて す で にふ れ た よ うに,わ が 国 社 会 に 法 科 大 学 院 制 度 が 新 た に導 入 され る こと の意 義 が,「法 の支 配 」が 貫 徹 され た公 正 な社 会 を実 現 す る た め の 「担 い手 」 を養 成 す る と い う こと に あ る以 上,法 科 大 学 院 の設 置 に あ た って は,そ. こに,人 づ く りの核 と な る何 か が. な けれ ば な らな い。 そ して,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 にお いて は,次 の5つ が そ の理 念 的 支 柱 を提 供 す る もの とな る。(1)教学 の精 神 の尊 重,② 実 学 重 視 の伝 統 を生 か した 法 学 教 育,(3)法 学 部 に お け る法 曹 養 成 教 育 の 資 産 の活 用,(4)地 域 社 会 と の連 携. そ して,㈲ 多 様 性 の重 視 と グ ロ ーバ ル な視 座 。. (1)教 学 の精 神 の尊 重 近 畿 大 学 の教 学 の精 神 は,「人 に愛 さ れ る人 」「信 頼 され る人 」「尊 敬 され る人 」 を育 む こ とで あ る。 近 畿 大 学 法 科 大 学 院 もま た,こ の教 学 の精 神 を 尊 重 しつ つ,市 民 に愛 され,信 頼 され,尊 敬 され る法 曹 の育 成 を 目指 す も ので な けれ ば な らな い。. (2)実 学 重 視 の伝 統 を生 か した法 学 教 育 下 表 の よ うに,い ち早 く設 置 され た 「経 営 法 学 科 」 を は じあ,産 業 ・法 律 情 報 研 究 所 な ど の専 門 研 究 機 関 の開 設,学 生 活 動 の一 環 と して の法 学 実 務 研 究 会,新 経 営 法 学 研 究 会,知 的 所 有 権 法 研 究 会 の 活 動 支 援 に見 られ る よ うに,こ れ まで も近 畿 大 学 法 学 部 は,職 業 生 活 や 日常 の 暮 ら しに生 か す 一240一.
(12) 近畿大学法学. 第49巻第1号. 1925年. 大阪専門学校設立. 1943年. 大阪理工科大学設立. 1949年. 新学制 により大阪専門学校,大 阪理工科大学 を合併,近 畿 大学設 立. 1950年. 法学部(法 律学科)設 置. 1966年. 経 営法学 科設置. 1970年. 大学 院法学研 究科 修士課 程設 置. 1972年. 大学 院法学研 究科 博士課 程設 置. 1977年. 国家試験研修所(司 法試験部 門 ・公務員試験部門)開 設. 1997年. 法廷教室 開設. 1999年. 裁判演習(現,裁. 判実務演習)開 講 近畿大学お よび法学部の歴史. こ との で き る 「 生 きた 」 法 的 知 識 の教 育 を努 め て きた。 近 畿 大 学 法科 大 学 院 も,こ う した 「実学 重視 」 の伝 統 を 引 き継 ぎな が ら,時 代 の要 請 に応 え う る新 た な 法学 教 育 を 目指 す。. (3)法 学 部 に お け る法 曹 養成 教 育 の 資産 の活 用 これ ま で に も近 畿 大 学 法 学 部 は コー ス制 カ リキ ュ ラム の下 に,法 律 コー スや企 業 法 務 コー ス を設 置 す るな ど,法 律 専 門 職 の養 成 を念 頭 に お い た学 部 教 育 の充 実 を図 って きた。 ま た,そ れ と と もに,わ が 国 で も数 少 な い法 廷 教 室 の設 置 を は じめ,司 法 試 験 研 修 所 や国 家 試 験 研 修 所 とい った,法 曹 志 望 者 支 援 の た め の制 度 的 枠 組 の整 備 にっ いて も力 を注 いで き た。 近 畿 大 学 法 科 大 学 院 は,こ れ ら豊 か な制 度 的 資 産,教 育 的 ノ ウ ・ハ ウを 引 き継 ぎ, 活 用 しなが ら,新 た な法 曹 教 育 の在 り方 を創 出 して い く。. (4)地 域 社 会 との 連 携 地 域 の 暮 ら しに根 ざ した 人 材 養 成 を 行 う こ と によ って,地 域 社 会,地 域 一239一.
(13) 近畿 大学 法科 大学 院構想 産 業 に貢献 す る こ と も近 畿 大学 法科 大学 院 の 目標 とな る。 ま た,法 曹 教 育 の プ ロセ スそ れ 自体 の 中 に地 域 社 会 との交 流 を取 り入 れ る こ と も,近 畿 大 学 法科 大 学 院 の特 色 とな る。 この よ うな教 育 の な か か ら,自 らの利 益 や業 務 の た め だ けで な く,「 まち 」の た あ に身 を 粉 に して 働 く,市 民 の た め の法 律 家 が育 ま れ る と考 え る。. ⑤. 多 様 性 の重 視 と グ ロー バ ル な視 座. 市 民 の生 活 に密 着 した 「ま ち」 の法 律 家 とい って も,今 日の複 雑 化 ・多 様 化 した法 律 業 務 を こな して い くた め に は,高 度 な国 際 感 覚 や多 文 化 社 会 へ の感 受 性 が もは や不 可 欠 と言 え る。 そ れ ゆ え,グ. ローバ ル で多 角 的 な視. 座 を持 って 日々 の業 務 を行 う こ とが で きる よ うな,逞. しい人 材 の育 成 こそ. が 目指 され な けれ ば な らな い。 そ して,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 も,他 学 部 出 身 者 や 職 業 経 験 を 持 っ 学 生 は言 うまで もな く,本 学 の 特 色 の一 つ で あ る数 多 い東 ア ジ アの 留 学 生 まで も念 頭 に置 い た多 様 性 重 視 の 選 抜 シ ス テ ムや, 開 発 途 上 国 の 法 律 支 援 を 含 む 交 流 プ ロ グ ラ ムの 設 置 も将 来 的 に は考 慮 に入 れ な が ら,健 全 な 庶 民 感 覚 と グ ロ ーバ ル か っ 多 角 的 な 視 座 を 併 せ 持 った, 逞 しい法 律 家 の 養 成 を 目指 す 。. 3.2近. 畿 大 学 法 科 大 学 院 が 目指 す もの. 「グ ロー バ ル な視 座 を 持 っ た,. ま ち の 臨床 法律 家」 の養 成 上 記 の理 念 的 な支 柱 に基 づ い て,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 が 養成 しよ う と 目 指 す法 律 家 や,そ れ を育 む た あ の法 学 教 育 の具 体 的 な イ メ ー ジを描 きだ す とす る な らば,そ れ は次 の よ うな姿 とな る で あ ろ う。. (1)地 域 社 会 と と もに あ る 「ま ち の 臨床 法 律 家 」 近 畿 大 学 法 科 大 学 院 が養 成 しよ うと企 図 す る の は,ま ず 第 一 に,法 へ の 一238一.
(14) 近畿大学法学. 第49巻第1号. コ ス ト的 ・心 理 的 ア ク セ ス障 害 の緩 和 に草 の根 レベ ルで 取 り組 み,そ れ を 通 じて 「法 の支 配 」 が 貫 徹 され た公 正 な市 民 社 会 の実 現 を あ ざす よ うな法 律 家 で あ り,そ れ は同 時 に,「人 に愛 さ れ る人 」「信 頼 され る人 」 「尊 敬 され る人 」 の 育 成 と い う本 学 の教 学 の 精 神 にふ さわ しい人 聞 味 あふ れ る法 律 家 で な けれ ば な らな い。 言 い換 え れ ば,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 が 目指 して い る の は,地 域 の た め に働 き,地 域 と と もに成 長 す る気 概 を 持 った 庶 民 の た あ の 法 律 家,い わ ば 「ま ちの 臨 床 法 律 家 」 の 養 成 に ほか な らな い。 こ う した 人 材 を 養 成 す る具 体 的 方 策 の 一 っ と して は,地 域 住 民 へ の 法 的 支 援 の 枠 組 を カ リキ ュ ラ ムの な か に埋 め 込 む こ とや,近 隣 地 域(大 阪 府,奈 良 県,和 歌 山 県,あ. るい は さ らに広 く近 畿 全 体)に か か わ る判 例 を 活 用 した 講 義 や. 実 習 な どを 行 う こ とな ど も考 え られ る。 また,「 法 の 支 配 」や 「自由 で 公 正 な 社 会」 の 担 い手 た り得 るよ うな,市 民 の信 頼 に答 え る気 概 と力 量 を 持 っ た 専 門 家 を育 て上 げ るた め に は,法 曹倫 理 や 法制 度 の背 景 にあ る基 本理 念 の教 育 に 関 して も,法 律 専 門科 目 と同様 の 力 を注 が な け れ ば な らな い。. ②. 「実 学 と して の法 学 」 を通 じて の地 域 産 業 へ の貢 献 一 一近 隣 企 業 と の連 携 に よ る法 学 教 育 と法 的支 援 の リン ク. 近 畿 大 学 の周 辺 に は,近 畿 経 済 の牽 引役 で あ る と同時 に,そ の独 自 の ノ ウ ・ハ ウ と技 術 に よ って世 界 的 に も独 占 的 な マ ー ケ ッ ト ・シ ェア を 占 め る 製 品 を生 み 出す よ うな,潜 在 的 な力 を持 った企 業 が少 な くな い。 近 畿 大 学 法 科 大 学 院 は,実 学 重 視 の伝 統 に の っと って,こ れ ら企 業 に対 す る法 的 支 援 を教 育 の一 環 に組 み入 れ,そ れ に よ って地 域 産 業 に貢 献 す る。 具 体 的 に は,ま ず,予 防 法 学 的 な手 法 に よ る法 的 リス ク事 前 回 避,紛 争 処 理 の ア ド バ イ ス,書 面 準 備 の援 助 を行 うこ と な どが 考 え られ る ほか,と. りわ け,こ. の地 域 の中 小 企 業 の なか に眠 っ て い る隠 れ た ノ ウ ・ハ ウや,い. まだマニュ. ア ル化 され て い な い知 識 を掘 り起 こ し,そ れ を 法 的 に保 護 され た権 利 へ と 一237一.
(15) 近畿大学法科大学院構想 転 換 す る と い った よ うな 知 的 所 有 権 関 連 の支 援 が,地 域 経 済 を グ ロ ーバ ル に展 開 させ,活 性 化 させ る と い う意 味 で も きわ め て 重要 とな って くるで あ ろ う。 近 畿 大学 法科 大学 院 は,こ れ ら業 務 にふ さわ しい 知 識 と技 量 を 持 っ た 法律 家 を 養成 す るた め,近 隣 企 業 の協 力 の下 で の企 業 実 習 や,研 究 セ ミ ナ ー に 臨 時講 師 と して招 聰 す る とい った人 事 交 流 な ど も視 野 に 収 あ っ っ, よ り実 践 的 な教 育 プ ロ グ ラム を準 備 す る。. (3)「 グ ロ ーバ ル で,多 角 的 な 視 座 」 を 持 った 法 律 家 を 市 民 生 活 に お け る外 国 人 定 住 者 の増 加 や,中 小 企 業 に お け る企 業 法 務 の 国 際 化 な ど に よ っ て,地 域 に密 着 した法 律 家 と して働 く際 に も,グ ロー バ ル な知 識 や 視 座,多 文 化 社 会 へ の感 受 性 が 必 要 不 可 欠 な もの と な りつつ あ る。 外 国 と の長 い交 流 の歴 史 を持 っ 近 畿 エ リア の中 心 に位 置 す る本 学 は, これ まで に も,外 国 人 留 学 生 と りわ け東 ア ジ アか らの留 学 生 を数 多 く受 け 入 れ て きた 。近 畿 大 学 法 科 大 学 院 は,こ う した 本 学 の 特 色 を生 か しなが ら グ ロ ーバ ル か っ 多 角 的 な視 座 を 持 っ た法 律 家 の 養 成 を 目指 して い く。 具 体 的 に は,講 義 や演 習 のな か に外 国 判 例 を 数 多 く取 り込 ん で い くこ とや,渉 外 業 務 関連 の セ ミナ ーや 実 習 を 充 実 させ て い く こ とな どの ほか,内 外 の 既 存 大 学 院 との連 携 を念 頭 にお い た補 助 プ ロ グ ラ ムを準 備 す る こ とな どが 考 え られ る。 そ れ と同 時 に,法 学 部 以 外 の 出身 者 や,職 業 経 験 の あ る学 生 た ち に広 く門戸 を 開 く こ とを通 じて,講 義 や演 習 に お け る議 論 の な か に多様 か っ多 角 的 な観 点 を導 き入 れ る こ と も,複 雑 化 ・高 度 化 した社 会 に お け る 法 律 業 務 の遂 行 に必 要 不 可 欠 な多 角 的 かっ 複 眼 的 な視 座 の洒 養 とい う意 味 で,重 要 な こと と な る。 この よ うに して,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 は,「 ま ち」 に密 着 しなが ら もグ ローバ ルで 多 角 的 な視 座 をっ ね に見 失 わ な い,こ れか らの時 代 にふ さわ しい法 律 家 を育 て 上 げ よ うとす る もので あ る。. 一236一.
(16) 近畿大学 法学. 4近. 第49巻 第1号. 4.1修. 畿大学法科大学院の基本的枠組. 業年限. 法 科 大 学 院 の修 業 年 限 は3年 と し,基 礎 的 法律 科 目の履 修 を 十 分 に終 え て い る者(法 科 大 学 院 の入 学 試 験 にお い て 法律 専 門科 目の試 験 に合格 した 者)は,法. 科 大 学 院 に お け る1年 次 の 「導 入 科 目」 の履 修 を免 除 す る こ と. に よ り,そ の修 業 年 限 が1年 短 縮 され る。. 4.2教. 育 内 容 ・方 法. (1)教 育 内容 a年. 間履 修 単 位. 1年 間 の履 修 可 能 単 位 は30単 位 程 度 とす る。2単 位1セ の開 講 を原 則 とす るの で,学 生 は1セ メ ス ター で7∼8科. メ ス ター の科 目 目程 度 を履 修 す. る こ とに な る。 後 に詳 論 す るよ うに,1年. 次 は,「導 入科 目」が 中心 で あ り,ほ ぼ す べ て. の科 目が必 修 とな る。2年 次 は 「基 盤(基 幹)科 中心 で あ り,そ. 目」 に 関 す る研 究 科 目が. の3分 の2程 度 の科 目が 必 修 と な る。3年. 次 は,「 発 展 科. 目」 お よ び 「学 際科 目」 な ど に関 す る研 究科 目,な らび に 「実 務 科 目」 に 関 す る演 習 科 目が 中心 とな り,そ の4分 の1程 度 の科 目が必 修 とな る。 法 科 大 学 院 に お け る授 業 方 式 は,① 講 義 方 式,② 対 話 方 式,③ 演 習 方 式, ④ 実 習 方 式 な どが考 え られ る。 そ して,特 に 「導 入 科 目」 は講 義 方 式 が, 「基 盤 科 目」,「学 際科 目」 は対 話 方 式 が 中 心 と な ろ うが,各 科 目お よ び各 教 員 ご とに,授 業 の あ り方 は工 夫 され て よ い。 b科 i)来. 目 た るべ き社 会 が 「自律 的市 民 」に よ る 自己決 定 と 自己責 任 を基 調 一235一.
(17) 近畿大学法科大学院構想 とす る社 会 で あ る とす れ ば,法 曹 の 役 割 は,す で に発 生 した 紛 争 を 法 的 に 解 決 す る こ と(裁 判 法学)に. と ど ま らず,多 種 多様 な生 活 ・取 引 状 況 にお. い て,市 民 ・企 業 が 自己 決 定 を す るた め に,法 的 な情 報 を 提 供 し,さ らに は助 言 ・協 力 す る こ と(予 防 法学)に. あ る。 この よ うな 法 曹 の 役 割 か らす. れ ば,求 め られ る法 曹 の 資質 と して は,① 法 的 な知 識 を 有 す る こ と は勿論 と して,② 様 々 な状 況 に お い て 問題 を発 見 し,そ れ を分 析 し,解 決 して い く能 力 こそ が,重 要 な もの と して要 求 され よ う。 と ころ で,近 畿 大 学 の建 学 の精 神 は,「 人 に愛 され る人,信 頼 され る人, 尊 敬 さ れ る人 」 を育 む こ とに あ った が,こ れ は,法 曹 が法 的 な助 言 者 ま た は協 力 者 と い う役 割 を果 た す た あ に必 要 不 可 欠 な,人 間 関 係 の基 盤 とな る もの で あ る。 さ らに,近 畿 大 学 の実 学 重 視 の伝 統 は,様 々 な状 況 の分 析 ・ 問 題 発 見 ・問 題 解 決 に際 して,多 大 の力 を発 揮 しよ う。 五)上. 述 の求 あ られ る法 曹 の 資 質 に対 応 して,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 で. は,そ の履 修 科 目 を,「 導 入 科 目」,「基 盤(基 幹)科 際 科 目」 お よ び 「実 務 科 目」 に大 別 した(付 録A科. 目」,「発 展 科 目」,「学 目一 覧 を 参 照)。. 「導 入 科 目」 は,法 曹 と して の基 本 的 な法 的 知 識(前 述 の資 質 ①)の 獲 得 を主 た る 目的 とす る もの で あ る。「基 盤 科 目」は,法 科 大学 院 にお け る教 育 の幹 にな る部 分 で あ り,状 況 分 析 ・問 題発 見 ・問題 解 決 を はか る能 力(前 述 の 資質 ②)の 滋 養 を企 図 す る もの で あ る。 「発 展 科 目」 は,今 日の 高度 に 複 雑 化 した社 会 に対 応 す べ く,専 門分 野 の拡 大 を方 向 づ けよ う とす る もの で あ る。 「学 際 科 目」 は,高 度 に複 雑 化 した社 会 に あ って は,し ば しば 多 角 的 ・複 眼 的 な視 座 が要 求 され るた め,そ れ に応 え よ う と して設 け られ た も の で あ る。最 後 に,「 実 務 科 目」 は,法 曹 実 務 の基 本 を訓 練 し,将 来 の実 務 訓 練 を準 備 す る もの で あ る。 地 域 社 会 との連 携 は,こ の科 目に お い て最 も 期 待 さ れ て い る。. 一234一.
(18) 近畿大学法学 c科. 第49巻第1号. 目一 覧. 付 録Aを 参 照 。. ② a「. 教育方法 点 」 か ら 「プ ロセ ス」 重 視 の教 育. 法 曹 養 成 制 度 の 改 革 は,「点 」か ら 「プ ロ セ ス」重 視 の 教 育 制 度 に変 革 す る こ とを,そ の基 本 理 念 とす る。 す な わ ち,「 一 発 勝 負 」的 な 性 格 を 持 った 極 め て 難 関 な 司 法試 験 に合 格 した 者 の み が,司 法 研 修 所 の 実 施 す る実 務 教 育 を受 けた うえ で,法 曹 と して 送 り出 され る とい う現 状 が,受 験 生 に対 し て マ ニ ュア ル化 され た 模 範 解 答 の 暗 記 中心 の学 習 を 余 儀 な くさせ る結 果, た とえ ば,問 題 を発 見 し解 決 す る能 力 の 劣 った 法 曹 の 出 現 とい った 弊 害 を 生 ん で い る と批 判 され る。 そ こで,新 た に設 置 され る法科 大学 院 が,法 曹 養成 の重 要 な部 分 を担 い,平 常 の学 習 や努 力 の積 み重 ね を重 視 した教 育体 制 を確 立 す る こ とに よ って,法 曹 の高 い 「質 」 を維 持 す るだ け で は な く, 社 会 が要 求 す る そ の 「量 」 に も応 え よ う とい うの で あ る。 bセ. メ ス ター制. 法 科 大 学 院 に お け る授 業 方 式 は,4.2(1)bで. み た よ うに,講 義 方 式,対 話. 方 式,演 習 方 式,実 習 方 式 な ど が考 え られ る が,こ れ らの授 業 の み で学 習 は完 結 す る もので は な く,図 書 館 で の判 例 や学 説 の調 査,レ. ポ ー トの作 成. な ど,授 業 を準 備 した り補 充 した りす る学 習 が か な りの程 度 に お い て要 求 され る。 した が って,授 業 を 集 中 的 に実 施 で き るセ メ ス ター制 を採 用 す る。 c進. 級 基 準 の設 定. 進 級 基 準 は,4.2(1)aで. み た よ うに,そ れ ぞ れ の学 年 にお け る必 修 科 目 の. 履 修 と,一 定 数 の 自由 選 択 科 目の 履 修 を 必 要 と し,1年 進 級 に必 要 な 単 位 数 は合 計26単 位,2年 位 数 は合 計26単 位 とす る。 一233一. 次 か ら2年 次 へ の. 次 か ら3年 次 へ の 進 級 に必 要 な 単.
(19) 近畿大学法科大学 院構想 d修. 了 認 定 に際 し修 了 試 験 の実 施. 法 科 大 学 院 の修 了 に際 して,後 述 の新 司 法 試 験 が 実 施 さ れ るが,こ. れと. は別 に修 了 試 験 を 実 施 す るか 否 か は検 討 を要 す る と ころで あ る。. 4.3入. 学者選抜. (1)基 本 的 枠 組 法 科 大 学 院 は,司 法 試 験 ・司 法 修 習 と連 携 した 基 幹 的 な 高 度 専 門 教 育 機 関 と して,公 平 性 ・開 放 性 ・多 様 性 を 旨 と し,理 論 的 教 育 と実 務 的 教 育 の 架 橋 を 図 る もの とす べ きで あ る(司 法 制 度 改 革 審 議 会 「中 間 報 告 」. 以. 下 「中間 報 告 」)こ とか ら,法 科 大学 院 の入 学 者 選 抜 にあ た って も,当 然 の こ とな が ら,公 平 性 ・開放 性 ・多様 性 を確 保 す べ きで あ る。 上 記 の三 っ の キ ー ワー ドの確 保 を前 提 とす る入 学 者 選 抜 は,入 学 試 験 の ほ か,学 部 に お け る学 業 成 績 や学 業 以 外 の活 動 実 績,社 会 人 と して の活 動 実 績 な ど を総 合 的 に考 慮 して合 否 を判 定 す べ き(文 部 省 法 科 大 学 院 〈仮 称 〉 構 想 に関 す る検 討 会 議 「検 討 の ま とめ」. 以 下 「検討 の ま とめ 」及 び 「中. 間報 告 」)で あ り,と くに多 様 性 を 確 保 し,プ ロセ ス と して の教 育 を重 視 す る観 点 か らす れ ば,総 合 評 価 方 式 が望 ま しい と言 え る。 も っ と も,具 体 的 に ど の よ うな方 法 に よ って(総 合 的 に)評 価 し,ま た判 定 に あ た って ど の よ うな程 度 の比 重 を与 え るか は,各 法 科 大 学 院 の教 育 理 念 に応 じた 自主 的 判 断 に委 ね られ るべ き(「 検 討 の ま とあ」 及 び 「中 間報 告 」)で あ ろ うが, 広 く国 民 の納 得 が 得 られ る公 平 性 と客 観 性 を 備 え た入 学 者 選 抜 とす る た あ に は,や は りそ の 中心 部 分 と して は入 学 試 験 を行 う こ とが不 可 欠(「 検 討 の ま とめ 」)で あ る。. ②. 出願 資格. 出願 資格 につ い て は,通 常 の 大学 院 出願 資格 が適 用 され よ う。 した が っ 一232一.
(20) 近畿大学法学. 第49巻第1号. て,学 部 卒 業(見 込)が 原 則 とな るが,学 部 を卒 業 して い な い者 で あ って も,法 科 大 学 院 が行 う資 格 審 査 に よ って 出願 資 格 の認 定 を可 能(「 中間 報 告 」)と す べ きで あ る。 ま た,法 学 部 か 否 か を問 わず,学 部 を3年 で 卒 業 して 出願 す る こ と も, あ る い は学 部3年. か ら飛 び 級 と して 出 願 す る こ と も可 能(「 検 討 の ま と. め」)で は あ ろ うが,こ れ につ いて は近 畿 大 学 法 科 大 学 院 で は将 来 の課 題 と した い。. (3)入 学 試 験 入 学 試 験 にっ いて は,法 学 既 修 者 と して 入 学 を 希 望 す る者 と法 学 未 修 者 と して 入 学 を 希 望 す る者 と にっ いて 定 員 枠,試 験 方 法 な ど にっ き近 畿 大 学 法科 大 学 院 構 想 委 員 会(以 下 「本 委 員 会 」)で も議 論 は分 か れ た が,最 終 的 に は,検 討 会 議 お よ び 審 議 会 の 結 論 に 従 った。 入学 試 験 にお い て は,法 学 既 修 者 で あ る と否 とを 問 わ ず,全 て の 出願 者 に っ い て適 性 試 験(法. 律学 に. っ い て の 知識 で はな く,法 科 大学 院 に お け る履 修 の前 提 と して要 求 され る 判 断 力,分. 析 力,表. 現 力 な ど の 資 質 を 試 す もの,日 本 版LSAT〈Law. SchoolAdmissionTest>)を. 行 い,法 学 既 修 者 と して の入 学(2年. 制)を. 希 望 す る者(修 学 年 限短 縮 希 望 者)に 対 して は,上 記 適 性 試 験 に加 え て, 法 律 科 目試 験(法 科 大 学 院 の基 礎 的 な法 律 科 目 の履 修 を省 略 で きる程 度 の 基 礎 的 な学 識 を備 え て い るか ど うか を判 定 す る もの)を 行 う こ と とす る。 試 験 実 施 の具 体 的 な方 法 に っ い て は,客 観 性 と公 平 性 の確 保 とい う観 点 か らす る な ら(全 国)統 一 試 験 方 法 が望 ま しい し,独 自性,自 立 性 の観 点 か らみ れ ば各 法 科 大 学 院 の判 断 に委 ね るべ き で あ ろ うが,こ. の点 につ い て. は,(全 国)統 一 試 験 実施 主 体,有 効 性 な ど を中 心 とす る技 術 的 問 題 の検 討 結 果 を待 ち た い(適 性 試 験,法 律 科 目試 験 の いず れ も統 一 方 式 とす るか 否 か につ い て も未 定)。 一231一.
(21) 近畿大学法科大学 院構想 ま た,適 性 試 験 や法 律 科 目試 験 に加 え て,小 論 文 や面 接(筆 記 試 験 お よ び 口述 試 験)な. どを組 み合 わ せ るか ど うか,そ の場 合 の配 点 比 率 は ど うす. るか な どに っ い て も議 論 が分 か れ る と ころ で あ る(と りわ け統 一 試 験 を実 施 す る場 合 に は重 要 とな る)が,本. 委 員 会 の結 論 と して は,統 一 試 験 を実. 施 す る と否 とに か か わ らず,組 み 合 わ せ方 式 を積 極 的 に採 用 す る こ と と し た。. (4)入 学 定 員 「21世紀 の法 曹 に は,経 済 学 や 理 数 系,医 学 系 な ど他 の分 野 を学 ん だ 者 を 幅広 く受 け入 れ て い く こ とが必 要 で あ る。 社 会 人 等 と して の経 験 を積 ん だ 者 を含 め,多 様 な バ ッ ク グ ラ ウ ン ドを 有 す る人 材 を 多数 法曹 に受 け入 れ る た め,法 科 大 学 院 に は学 部 段 階 で の専 門 分 野 を問 わず 広 く受 け入 れ,ま た, 社 会 人 等 に も広 く門戸 を 開放 す る必 要 が あ る。 そ の た あ,他 学 部 出 身者 や 社 会 人等 を一 定 割 合 以 上 入 学 させ るな どの措 置 を講 じ る」(「中聞 報 告 」)必 要 が あ る。 本 委 員 会 で も,本 学 法 学 部 出 身者,他 大 学 法 学 部 出 身者,他 大 学 他 学 部 出身 者,社 会 人 等 の下 限 枠 の設 定 や 法学 部 出身 者 の上 限 枠 の設 定 な ど いろ い ろの 角度 か ら検 討 して み た が,当 面 は,公 平 性,開 放 性 を背 景 と した 多 様 な 人材 確 保 とい う観 点 か ら,近 畿 大学 法学 部 お よ び近 畿 大 学 出身 者 特 別 枠 を設 け るべ きで はな い とい う こ と まで に と どめ た。 な お,近 畿 大 学 法科 大学 院 の 入学 定 員 は50名 程 度 とい うの が 本 委員 会 で の議 論 の す う勢 で あ る。. 4.4教. 員組織. 法科 大学 院 は,い わ ゆ る法 曹 養成 を 目的 とす る とい う事 に,特 化 した機 関 で あ るか ら,密 度 の 濃 い,徹 底 的 な少 人数 教 育 が求 め られ る。 一230一.
(22) 近畿大 学法学. 第49巻第1号. 法 曹 に は,具 体 的事 例 を処 理 す る にあ た り,法 的 問題 は ど こ にあ り,そ れ に っ い て どの よ うに分 析 ・判 断 し,そ の場 合 の最 も公正 で妥 当 な解 決 は 何 で あ る の か を導 く能 力 が要 求 され る。 そ の た め に は,大 学 院生 自身 に粘 り盤 く自分 の頭 で考 え さ せ,そ れ を 自分 の言 葉 で表 現 で きる よ うに な るま で を教 育 す る,と い う事 に な ろ う。 そ の責 任 を は た す こ とが で きる範 囲 に は,自 ず と限 界 が あ るか らで あ る。(現行 設 置 基 準 に よ って専 門大 学 院 に要 求 さ れ る要 件 を法 科 大 学 院 に適 用 す る と,収 容 定 員10名 につ き1名. の㊨. 教 員 が,本 大 学 院 専 任 教 員 と して必 要 に な る。 そ れ を,上 述 の 目 的 の完 遂 の た め,よ. り厳 格 にす べ きか,他. の問 題 と の関 連,特. に財 政 ・経 営 上 の要. 請 か ら,は るか に緩 和 す べ きか は大 き な課 題 で あ る。) また,法 曹 が 当 面 す る,い わ ゆ る法 律 実 務 と い う場 合,そ れ は,法 律 相 談 や 裁判 は も ち ろん,企 業 法 務. 行 政 に関 連 す る もの 等,多 岐 にわ た る と. 思 慮 され るが,そ の た めの 適 切 な教 育 ・指導 と い う観 点 か らす る と,現 在 そ れ らを担 当 して い る実 務 家 の協 力 な しに は実 効 は伴 わ な い と い う こ と に な ろ う。法 律 実 務 の教 員 と して参 加 を不 可 欠 とす る所 以 で あ る。(法律 実 務 経 験 者 の 総 教 員 数 に 占 め る割 合,雇 用 形 態 員 ・任 期 の付 与 ・兼 業 の可 否 近 年 の司 法 試 験 合 格 者 を,テ. 常 勤 ・非 常 勤 ・特 任 ・客. 等 も検 討 しな け れ ば な らな い。 そ して, ィー チ ン グア シス タ ン トと して活 用 す る,と. い う事 も考 慮 の余 地 が あ ろ う。) さ らに,運 営 体 は,独 立 研 究 科 と して,本 大 学 院 専 任 教 員 全 員 で 構 成 さ れ る独 自 の教 授 会 が,そ. 4.5奨. の任 に あ た る のが 適 当 で あ ろ う。. 学金制度等. 法 科 大 学 院 に要 求 され る独 自の 施 設 ・設 備,担 当 す る教 員 に対 す る人 件 費 等,未 解 決 ・流 動 的 な 問 題 が まだ まだ 山 積 して い る。 そ の よ うな 状 況 下 で,的 確 な判 断 は,な か な か 困難 で あ るが,巷 間 の説 によ れ ば,法 科 大学 一229一.
(23) 近畿大学法科大学院構想 院 生 が 負 担 す る こ と と な る学 費 は,現 行 大 学 院(法 学 研 究 科)の 大 学 院 生 の 負 担 して い るそ れ の2∼3倍. に な る,と いわ れ て い る。 現 今 の わ が 国 の. 経 済 状勢 を鑑 み る と き,そ の よ うな 負 担 に耐 え う る人 数 に は,か な り限 度 が あ る と言 わ ざ るを え な いで あ ろ う。 社 会 的正 義 の実 現 の念 に燃 え,い わ ゆ る法曹 に 目標 を定 め た 有 為 の 人材 の ゆ くて を,経 済 的 な事 情 の み で 閉 ざ す こ と はわ が国 に と って,大. きな損 失 で あ る。 経 済 的負 担 を そ れ ほ ど気 に. か け る こ とな く,勉 学 に集 中 す る事 の で き る環 境 を提 供 しな けれ ば な らな い責 務 が,法 科 大 学 院 に は課 せ られ て い る。 そ の支 援 の た あ に,当 面 考 え られ る もの と して は,次 の よ うな もの が あ ろ う。 奨学 金. 公 的 な もの,民 聞 の もの,近 畿 大 学 法 科 大 学 院 独 自 の もの. (給 付,貸 与) 教 育 ロ ー ンー. 金 融 機 関 か らの 出世 払 い 的 な ロー ン(法 科 大 学 院 が 保. 証) 授業料. 免 除,軽 減,(特. 待 生). 昼 夜 開 講 制(夜 間 ・通 信 制)社. 会人. これ らの諸 制 度 を,そ れ ぞれ 十 分 整 備 ・活 用 しな けれ ば な らな い。. 4.6財. 政問題. 国 立 大 学 の 法 科 大 学 院 と私 立 大 学 の そ れ との 授 業 料 に差 を も うけ るべ き で はな い。 そ の た あ に は,国 に よ る特 別 な 財 政 措 置(公 的 助 成 制 度,大 幅 な 予 算 増,法 的 整 備,税 制 改 正 等),私 学 助 成 の 強 化 ・拡 充 が 必 要 不 可 欠 で あ る。. 4.7そ. の他. 一228一.
(24) 近畿大学法学. 第49巻第1号. 付録A科. A-1種. 目一覧. 類 別 科 目一 覧. (1)導 入 科 目 科. 目. 単位 配 当学年. 授. 業. 内. 容. 授業方式. 憲法導入A 民法導入A 民法導入B 商法導入A 民亭 訴訟 法導入A 刑 法導入A. 21一 春夏 学期 21一 春夏 学期 21一 春夏 学期 21一 春夏 学期 21一 春夏 学期 21一 春夏学期. 総論 ・統 治機構 契約 法 不 法行為 法 商取 引法 民事 訴訟 法概要 刑 法総論. 講義 講義 講義 講義 講義 講義. 憲法導入B 行政法導 入 民法導入C 民法導入D 商法導入B 民事 訴訟 法導入B 刑 法導入B 刑 事訴訟 法導入 英米法研 究. 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 21一 秋冬 学期 22一 秋冬 学期. 基 本的人権 行政作 用法 ・行政救済法 物権 法 金 融法 会社 法 民事 訴訟 法論 点 刑 法各論 刑事 訴訟 法 英 米司法制度 ・手続 法. 講義 講義 講義 講義 講義 講義 講義 講義 講義. ② 科. 備 考. 基幹科 目 目. 単位 配 当学 年. 授. 業. 内. 窓. 授業 方式. 憲法研究A 民法研究A 民法研究B 商法研究A 民事訴訟法研究A 刑法研究A 刑事訴訟法研究. 22一 春 夏学期 22一 春 夏学期 22一 春 夏学期 22一 春 夏学期 22一 春 夏学期 22一 春 夏学期 22一 春夏学期. 総 論 ・統治機構 民 法全体(契 約 ・不法行為 ・物 権 ・金 融等) 民 法全体(契 約 ・不法行為 ・物 権 ・金 融等) 商取引法 判決手続 刑 法総論 と刑法各論の横 断的研 究 刑 事手続法. 対 話/講 対 話/講 対 話/講 対 話/講 対 話/講 対 話/講 対 話/講. 義 義 義 義 義 義 義. 憲法研究B 民法研究C 民法研究D 商法研究B 商法研究C 民事訴訟 法研究B 刑法研究B 法理学研究 憲法研究C 民事 法総 合研究 刑事 法総 合研究 企 業法総 合研究. 22一 秋冬 学期 22一 秋 冬学期 22一 秋 冬学期 22一 秋 冬学賄 22一 秋 冬学期 22一 秋 冬学期 22一 秋冬 学期 23一 春 夏学期 23一 春 夏学期 23一 春夏 学期 23一 春夏 学期 23一 秋冬 学期. 基 本的人権 民 法全体(契 約 ・不法行為 ・物 権 ・金 融等) 民 法全体(契 約 ・不法行為 ・物権 ・金融等) 会 社法 商法全体の高度 な研究 民事 執行法 ・倒 産法 刑 事実体法と刑事 手続 法の縦 断的研 究 法哲学 憲法訴訟 民事 にかんする実体法と手続 法の総合 的研 究 刑事 司法にかんする総合 的研 究 企 業にかんする実体法と手続 法の総合 的研究. 対 話/講 対 話/講 対話/講 対 話/講 対話/講 対話/講 対 話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講. 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義. 一227一. 備 考.
(25) 近畿大学法科大学院構想 (3)発. 展科 目. 科. 目. 授. 単位 配当学年. 業. 内 容. 授業方式. 英米私法研究 法律英語1 行政法研究 租税法研究 国際租税法研究 地方 自治法研究 環境法研究 情報法研究 消費者法研究 経済法研究 知的財産法研究 国際私法研究 労働法硬究 社会保障法研究. 23一 春夏学期 22一 春夏学期 22一 秋冬学期 23一 春夏学期 23一 秋冬学期 23一 春夏学期 23一 春夏学期 23一 秋冬学期 23一 春夏学期 23一 春夏学期 23一 春夏学期 23一 春夏学期 23一 秋冬学期 23一 秋冬学期. 英米契約 ・不法行為法 英文契約書実務 行政救済法 租税法 国際租税法 地方 自治法 ・地方公務員法… 環境行政法 ・環境私法 ・国際環境法… 情報公開 ・個人情報保護 消費者保護 の司法制度の枠組 経済活動 にかんす る司法制度の枠組 知的財産保護の司法制度の枠組 国際私法 労働法 社会保障法. 演習 演習 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講. 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義. 法律英語 皿 比較法史研究 法社会学研究 中小企業法研究 金融取引法研究 電子商取引法研究 国際取引法研究. 23一 秋 冬 学 期. ネイティブによる. 23一 秋 冬 学 期. 日本 法 史 ・西 洋 法 史 ・東 洋 法 史. 演習 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講. 義 義 義 義 義 義. (4)実. 23一 秋 冬 学 期 法 社 会 学 23一 秋 冬 学 期 中 小 企 業 特 有 の 組 織 法 ・取 引 法 23一 秋 冬 学 期 預 金 ・融 資 ・送 金 な どの 法 律 関 係 23一 秋 冬 学 期 各 種 取 引 の 電 子 化 の 法 的 処 理 23一 秋 冬 学 期 国 際 取 引 法. 考. 備. 考. 務科 目 目. 科. 単位 配当学年. 授 業. 内 容. 授業方式. リ ー ガル ・リサ ー チ21一. 春 夏 学 期 法 学 文 献 ・判 例 調 査 方 法 の 修 得. 演習. リ ー ガル ・リサ ー チ22一. 春 夏 学 期 法 学 文 献 ・判 例 調 査 方 法 の 修 得. 演習. 23一 春夏学期 模擬裁判 をつ うじた民事裁判の実習 23一 春夏学期 法曹倫理. 実務/演 習 講義. 秋 冬 学 期 摸 擬 裁 判 をつ う じ た刑 事 裁 判 の 実 習. 実務/演 習 実務/演 習. 民事裁判演習 法曹倫理 刑 事 裁 判 演 習23一. リー ガル ク リ ニ ッ ク23一. (5)学. 備. 秋 冬 学 期 エ ク ス タ ー ン シ ップ ・法 律 相 談 ・プ ロボ ノ. 初学年次必修 【法学未修者】 初学年次必修 【法学既修者】. 際科 目. 科. 目. 単位 配 当学年. 授. 業. 内. 容. コ ー ポ レー トガバ ナ ン ス ・M&A. 授業方式. 企業統治論 刑事政策研究. 23一 春 夏 学 期. 法 と医療 司法福祉論. 23一 秋冬学期 医療 にかんす る法学 と医学か らの アプローチ 対話/講 義 23一 秋冬学期 更生保護 ・被害者援 助 ・紛争鯉決援助 ・外国 実務/演 習. 23一 春 夏 学 期 犯 罪 学 ・刑 事 学 ・少 年 法 …. 人の法律支援. 一226一. 対話/講 義 対話/講 義. 備. 考.
(26) 近畿大学法学 A-2学. 第49巻第1号. 年 別 科 目一 覧. (1)1年. 生. (2)2年. 生. 一225一. }.
(27) 近畿大学 法科大学 院構想 (3)3年 科. 生 目. 単位 配当学年. 授. 業. 容. 23一 春夏学期 英米契約 ・不法行為法 23一 春夏学期 法哲学 23一 春夏学期 法曹倫理. 司法福祉論. 23一 秋冬学期 更生保護 ・被害者援助 ・紛争解決援助 ・外国 人の法律支援 23一 秋冬学期 エク スター ンシップ ・法律相談 ・プ ロボ ノ 23一 秋冬学期 ネイティブによる 23一 秋冬学期 日本法史 ・西洋法史 ・東洋法史 23一 秋冬学期 法社会学 23一 秋冬学期 情報公開 ・個人情報保護 23一 秋冬学期 国際租税法 23一 秋冬学期 中小企業特有 の組織法 ・取引法 23一 秋冬学期 預金 ・融資 ・送金 などの法律関係 23一 秋冬学期 各種取 引の電子化の法的処理 23一 秋冬学期 国際取 引法 23一 秋冬学期 企業 にかんす る実体法 と手続法の総合的研究 23一 秋冬学期 労働法 23一 秋冬学期 社会保障法 23一 秋冬学期 医療 にかんす る法学 と医学か らのアプローチ 23一 秋冬学期 模擬裁判 をつ う じた刑事裁判の実習. クリニ ック 法律英語H 比較法史研究 法社会学研究 情報法研究 国際租税法研究 中小企業法研究 金融取引法研究 電子商取引法研究 国際取引法研究 企業法総合研究 労働法研究 社会保障法研究 法 と医療 刑事裁判演習. 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一 23一. 授業 方式. 演習 対話/講 講義 春夏学期 憲法訴訟 対話/講 春夏学期 租税法 対 話/講 春夏学期 地方自治法 ・地方公務員法… 対 話/講 春夏学期 環境行政法 ・環境私法 ・国際環境法… 対話/講 春夏学期 消費者保護の司法制度の枠組 対話/講 春夏学期 経済活動にかんす る司法制度の枠組 対話/講 春夏学期 知的財産保護の司法制度の枠組 対話/講 春夏学期 国際私法 対話/講 春夏学期 コーポ レー トガバナ ンス ・M&A 対話/講 春夏学期 民事にかんする実体法と手続法の総合的研究 対話/講 春夏学期 模擬裁判をつ うじた民事裁判の実習 実務/演 春夏学期 犯罪学 ・刑事学 ・少年法… 対話/講 春夏学期 刑事司法にかんする総合的研究 対話/講. 一224一 ,i層. 内. 英米私法研究 法理学研究 法曹倫理 憲法研究C 租税法研究 地方自治法研究 環境法研究 消費者法研究 経済法研究 知的財産法研究 国際私法研究 企業統治論 民事法総合研究 民事裁判演習 刑事政策研究 刑事法総合研究. 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 習 義 義. 実務/演 習 実務/演 演習 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 対話/講 実務/演. 習 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 義 習. 備 考.
(28) 近畿大学 法学. 第49巻第1号. 付録B基. B-1法. 礎法関連科 目カ リキュラムの概要. 科 大 学 院 にお ける 基 礎 法 学 の 役 割. ロー ・ス ク ー ル に お け る基 礎 法 教 育 の役 割,位 置 づ け につ い て は種 々 の 議 論 の あ る と ころ で は あ る が,実 務 家 養 成 に お い て も,こ れ を決 して軽 視 す べ き で な い こ と は,衆 目 の一 致 す る と こ ろで あ る と思 わ れ る。 社 会 が 激 動 す る時 代 の法 曹 に と っ て は,既 存 の法 を修 得 す るだ けで な く,現 状 安 住 的 な法 的 思 考 を打 ち破 り,'既 存 の実 務 に対 す る批 判 的 視 座 を 養 う こ とが 重 要 で あ る と考 え る。 近 畿 大 学 法 科 大 学 院 にお いて は,主 と して 「ま ちの 臨 床 法 律 家 」 の 養成 を 目指 す と して い るが,多 種 多様 か つ 日々新 た な 問題 に 直面 す るで あ ろ う 「ま ちの 臨床 法律 家」 に と って は,幅 広 い知 識 と実 定 法 以 外 の基 礎 理 論 に裏 付 け られ た判 断 力,批 判 的創 造 力 が,切. に求 あ られ る. こ とに な るで あ ろ う。 基 礎 法 学 は,こ の よ うな判 断 力 と創 造 力 の源 泉 とな る理 論 的根 拠 と幅 広 い視 野 を提 供 す る もの と捉 え る こ とが で きる。. B-2基. 礎 法 関連 科 目一 覧. [第1学 年 配 当科 目] リー ガル ・リサ ー チ [第2学 年 配 当科 目] リー ガル ・リサ ーチ 英 米 法研 究 法律 英 語1 [第3学 年 配 当 科 目] 法曹倫理 一223一.
(29) 近畿大学法科大学院構想 リー ガ ル ・ク リニ ック 法理学研究 法社会学研究 比較法史研究 英米私法研究 法律英語 皿 環境法研究 情報法研究. B-3学. 年 配 当 の基 本 的指 向. 第1学 年 の 法学 未 修 者 を 対 象 に,判 例,法 令,法 学 文 献 の リサ ー チ方 法 を 修 得 す る リー ガル ・リサ ー チを必 修 科 目 と し,法 学 文献 の 調 べ 方 を学 ぶ こ と と した。 第2学 年 にお い て は,来 た るべ き社 会 の グ ロー バ ル化 に備 え,法 学 既 修 者 に対 して も早 い段 階 か ら,外 国 法,わ. けて も重 要 度 の 高 い英 米 法 に関 す. る専 門 的知 識 を身 に っ け る必 要 が あ る と考 え る。 選 択 科 目 と して,英 米 法 研 究,法 律 英 語1を. 開講 す る。. 第3学 年 に お い て は,よ り実 務 性 の高 い科 目を 置 き,来 た るべ き司法 試 験,実 務 研 修 に備 え る。 同 時 に,実 定 法 を修 得 した者 が,そ の価 値 判 断 の 基 礎 を構 成 す る基 礎 法 科 目を,そ れ ぞ れ の 目的,興 味 に あ わ せ て履 修 で き る よ うにす る。 まず,司 法 試 験 受 験 前 に,法 曹 の公 共 性,倫 理 感 覚 の重 要 性 に対 す る 自覚 を促 す た め,法 曹 倫 理 を必 修 科 目 と し,法 律 家 と して遵 守 す べ き倫 理 規 定 に っ い て 講 義 を 行 な う。 ま た,弁 護 士 実 務 研 修 と して, リー ガ ル ・ク リニ ック を必 修 の実 務 科 目 と して 開 設 す る。 この ほか,法 理 学 研 究,法 社 会 学 研 究,比 較 法 史 研 究,英 米 私 法 研 究,法 律 英 語II,環 法 研 究,情 報 法 研 究 を,演 習 形 式 で 選 択 的 に履 修 で き る こと とす る。 一222一. 境.
(30) 近畿大学法学 B-4科. 第49巻第1号. 目内 容. (1)1学. 年 配 当科 目. リー ガ ル ・リサ ー チ(1年 3年 制,2年. 春 夏 学 期). 制 の いず れ に お いて も,1年. 目 の春 夏 学 期 に必 修 科 目 と し. て 履 修 す る こ とを 要 求 す る。 専 門 技 術 化 した各 々の 法 分 野 にお け る法 的 問 題 解 決 の ため に は まず,法 令,判 例,学 術 論 文 な どの 法情 報 を適 切 か っ 迅 速 に検索 し,収 集 す る こ とが 不 可 欠 と な る。 また,事 後 チ ェ ック型 の 社 会 に移 行 し,法 曹 人 口が 増 加 す る に従 って,判 例 の 数 も増 大 す る こ とが 予想 され る。 直面 す る法 的 問 題処 理 にあ た って,適 切 な判 例 を検 索 し,整 理 す る能 力 は,法 曹 と して 活 躍 す る大 前 提 と して 極 め て 重 要 に な る と思 わ れ る。 こ こで はま ず,図 書 館,資 料 室 な どの利 用 方 法 を具 体 的 に説 明 し,法 情 報 の概 説 を行 な う。 次 に情 報 機 器 を 利 用 し,「 法 律 判 例 文 献 情 報 」 な どの デ ー タベ ー ス や イ ン ター ネ ッ トに よ る検 索 を実 践 す る。 情 報 機 器 の利 用 に あ た って は,最 終 学 年 生 を ア シ ス タ ン トと して個 別 指 導 に あ た らせ る こ と を検 討 して い る。 検 索 方 法 の説 明 の後,個. 々人 に具 体 的 な課 題 を与 え て,. 実 際 に法 情 報 の検 索,収 集 を行 な わ せ る もの とす る。 さ らに,単 な る受 動 的 な文 献 の収 集 だ け で な く,自 らの 目的 に沿 って主 体 的 に情 報 を検 索,分 類 す る能 力 を養 う こ とを も目的 と した い。 この点 に っ い て は後 の議 論 に委 ね る こ と とす るが,自 て,で. らの興 味 が あ る テ ー マ に関 し. き るだ け多 くの情 報 を獲 得 して分 類 し,そ の中 か ら重 要 な もの を選. 択 す る作 業 は,有 益 で あ ろ う。 同 時 に,法 律 の 条 文,判 例,法 律 文 章 の読 み 方 に関 す る基 礎 的 訓 練 も行 な う こ と とす る。. 一221一.
(31) 近 畿大学 法科大学 院構想 (2)2学 a英. 年 配 当科 目 米 法 研 究(2年. 秋 冬 学 期). 商 取 引 を 中心 と して あ らゆ る面 に お け る グ ロー バ ル化 が進 む21世 紀 に お い て は,大 規 模 法 律 事 務 所 で あ る と,ま ちの 臨 床 法 律 家 で あ る とを 問 わ ず, 英 米 法 の知 識 が求 め られ る こ とに な るで あ ろ う。 大 陸 法 と比 較 した英 米 法 の特 徴,英 米 の司 法 制 度,訴 訟 手 続 を解 説 す る。 b法. 律 英 語1(2年. 英 米 契 約 書,ま. 春 夏 学 期). た は英 米 の判 例 を読 み こなす た あ の基 礎 知 識 の修 得 を 目. 的 とす る。 渉 外 弁 護 士 な ど に よ る演 習 形 式 の授 業 に よ る。. (3)3学 a法. 年配当科 目 曹 倫 理(3年. 春 夏 学 期). 主 と して 実 務 家 に よ る講 義 形 式 の 授 業 で あ る。 大 量 の法 曹 養 成 が な され る場 合 に は,倫 理 教 育 を 充 実 させ る こ とが,司 法 に対 す る国 民 の 信 頼 を維 持 す るた め に不 可 欠 で あ る と思 わ れ る。 こ こで は,専 門 職 責 任 総 論,法 曹 一 般 の 倫 理 ,弁 護 士 倫 理,弁 護 士 法,民 事 訴 訟 法 にお け る弁 護 士 の 行 動 規 則 に該 当 す る部 分 な どを 修 得 す る。 bリ. ー ガル ・ク リニ ック(3年. 秋 冬 学 期). あ らゆ る法 律 業 務 の 源 で あ る法 律 相 談,弁 護 士 実 務 を 経 験 させ る。 法 知 識 に 偏 る こ とな く,市 民 の 法 律 家 と して 高 度 の 公 共 性 を 身 にっ け る契 機 と な る こ とを 目指 す。 法 律 相 談 を通 じて,法 的紛 争 の 解 決 へ 向 けて,交 渉 や 法 的助 言 の方 法論 を学 ん で い く。 こ こで プ ロ ・ボ ノ(probonopublico) 活 動 も行 な うか 否 か は今後 の 検討 課 題 とな るで あ ろ う。 c法. 理 学 研 究(3年. 春 夏学 期). 法 的 問題 に対 処 す るた あ の価 値 判 断 に お い て は,そ の根 底 に 法哲 学 的素 養 が必 要 で あ る こ とは い うま で もな い。 正 義 論 な どの伝 統 的 な法 哲 学 の 内 一220一.
(32) 近畿 大学 法学. 第49巻第1号. 容 に加 え て,ジ. ェ ン ダ ー と法 また は生 命 倫 理 な どの,す. ぐれ て 現 代 的 な 諸. 問題 に対 す る価 値 判 断 の基 礎 を学 ぶ。 また ア メ リカ にお い て議 論 され て い る 「法 と経 済 学 」 を も検 討 対 象 に含 め る。 d法. 社 会 学 研 究(3年. 秋 冬 学 期). 法 学 リア リズム が説 く 「現 代 社 会 の な か で働 く法 」 を観 察 す る。 司 法 制 度 論,弁. 護 士 論,ADRな. ど の紛 争 処 理 方 法 の 制 度 論 を 中 心 に,制 度 の 問. 題 点 とそ の あ るべ き姿 を探 る。 社 会 に生 じ る様 々 な法 的紛 争 を,公 平 か っ 効 率 的 に処 理 す る た め の能 力 開発 に資 す る こ とが で き るよ うな演 習 を行 な う。 e比. 較 法 史 研 究(3年. 秋 冬 学 期). 裁 く能 力,法 的 判 断 能 力 を養 うた め に は,論 理 的 思 考 力 と同時 に史 的知 識 が 必 要 で あ る。 実 定 法 を よ り深 く理 解 し,法 の解 釈 に役 立 っ た あ の 日本 の 法 制 史,法 の 歴 史 学 を社 会 変 動 と の関 わ りにお いて 解 説 す る。 ま た西 洋 法 史,東 洋 法 史 な ど との 比 較 を 行 い,法 の歴 史 にっ いて 幅 広 く学 ぶ こ と と す る。 f英. 米 私 法 研 究(3年. 春 夏 学 期). 英 米 契 約 法,英 米 不 法 行 為 法,反. トラ ス ト法 な どを 中 心 に,そ の 基 本 的. 法 理論 と我 が 国 の そ れ との 相 違 点 にっ い て,ケ ー ス ・メ ソ ッ ドを 用 いて 演 習形 式 に よ る授 業 を行 な う。 g法. 律 英 語ll(3年. 秋 冬 学 期). 法 律 英 語1に 続 い て,さ. らに 高度 な 法律 文 書 の読 解 や英 米 契 約 書 の ライ. テ ィ ン グを 中心 に演 習 を行 な う。 法律 英 語 に精 通 した ネ イ テ ィ ブに よ る指 導 が望 ま しい。 h環. 境 法 研 究(3年. 春 夏 学 期). 環 境 問 題 は現 代 社 会 に お け る も っと も深 刻 な問 題 の ひ と っ で あ る。 環 境 問 題 に対 処 す べ き法 は まず 環 境 汚 染 が発 生 す る前 の段 階 で そ の効 力 を発 揮 一219一.
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