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古事記及び日本書紀に現はれたる樹木に就いて

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302  林 學 會 雜 誌 第十六卷  第 四 號

古事 記及 び 日本書紀 に現 はれ た る樹木 に就 い て

(昭 和 八 年 十 月 十 六 日 受 理)

緒 言 本 稿 は古事 記 及び 日本書 紀に現 はれ た る記 載 に徴 して 、其 の樹 種 、 生存 地 、分布 状熊 、初 用 、樹 名 に使 用 せ る文 字 、古名 と現 在名が如 何 に變 化せ るや 、其 の 出現 の順序 年代 の如 何等 の 大要 を知 らん と して試 み し もの な り。尚 ほ考 究 の餘地 も少 なか らざ るべ く或 は錯誤遺 漏 も あ るべ しと思料 す 。識 者の叱 正 に よ り是 正 し得 ば幸甚 な り。 添 付 の表 に よ りて前記 目的 の大要 は了知 せ られ や うと信 ず る も、多少補 足の意味 に於 て若 干 の説 明 を附 記 せん とす 。以下 古事記 を記 、 日本書 紀 を紀 と記 し、樹 各 も主 として現 左の名 を 以 て記 し、 生 育 場 所 の 如 き も現 在 の地 名 を以 て 述 ぶ 。 其 一  神 代 記 、 紀 に現 は れ た る神 代 の樹 木 中林 業 上 有 用 な る もの は 、 ク ス ノキ 、 クハ 、 メ ダ ケ 、ヤダ ケ 、 ウハ ミヅ サ ク ラ 、サ カ キ 、 カ ヂ ノキ 、 カ ウ ゾ 、 ヒノキ 、 スギ 、マ ツ 、カヤ 、マキ 、ムク ノ キ 、 カ ツ ラ 、ヤ マ ウル シ等 に して 、其 の内記 に現 はれ ざるも の 、カヤ 、 マキの二種 、紀 に 現 はれ ざ る もの 、 ウハ ミヅ サ ク ラ 、 ム ク ノキ の 二 種 な り。 夫 等 の 大 様 を出 現 の 順 は 述 べ ん 。 最 初 に現 はれ し もの を ク ス ノ キ とす 。 イ ザ ナ ギ の 尊 とイ ザ ナ ミの 尊 が オ ノ コ ロ島 に 於 て八 尋 殿 を見 立 て 、茲 に於 て ク ス船 を生 み た ま ふ と あ り。 紀 に は 此 の船 で 蛭 見 を 載 せ て順 風 に放 ち 棄 て た まふ と あ り、當 時 は ク ス ノキ船 が 水 上 交 通 上 重 要 な る役 割 を演 ぜ しを 知 る に 足 る 。 又 ワ カ ム ス ビの 神 の 頭 らの上 に蠶 と ク ハ と生 りと あ り。 イ ザ ナ ギ の 尊 が イ ザ ナ ミの 尊 を ヨモ ツ國 に見 た ま ひ て 逃 げ 還 りま す 時 に、 ヨ モ ツ シ コ メ追 ひ しか ば 、 ミ カ ヅ ラ を投 げ 玉 へ ば エ ビ ヅ ル 生 ず 、更 に ユ ツ ツ マ ク シ を引 き闕 きて 投 げ 棄 て 玉 へ ば 、竹筍 生 ず 、猶 ほ追 ひ しか ば ヨモ ツ ヒラ坂(記 に は今 の 出雲 國の伊 賦 夜坂 とな も謂 ふ と あ り)に 生 ぜ る桃 子 を取 りて投 げ 撃 ち玉 へ ば も シ コ メ等 逃 げ 返 へ る と あ り。其 處 でイ ザ ナ ギ の 尊 は イ ナ シ コ メ キ タナ ニ國 に至 りて あ り け りと て、(ツク シ ヒム カ の タ チ バ ナ の ヲ ドの ア ハ キ 原 に て 〓 ぎ 玉 ふ 。 ア ハ キ 原 は幅 岡 市 附 近 に て ア ハ キ は 植 村 博 士 に よれ ば 淡 木 即 ち落 葉 濶 葉 樹 の 一 部 の 稱 と解 す る をア ヲ キ 、 カ シ と解 す る よ り も良 し とせ ら る。 都 久 志 、第 三號所 載筑 紫 の檍 原 と大 木 の 樟 埋 木 に 就 て 、參 照 。 紀 に は ア シハ ラ の ナ カ ツ國 に ウ ケ モ チ の 神 あ り。 この 神 の眉 の 上 に 璽 生 れ り。 記 に は オ ホ (20)

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古事 記及び 日本書紀 に現 はれ た る樹 木 に就 いて(大 野)  303 ザ ツ ヒ メの 神 の 頭 に 蠶 な り とあ れ ば前 掲 の ワ カ ム ス ビの 神 が 蠶 と ク ハ を生 ぜ る と云 ふ に 同 じ く 、當 時 養 蠶 の 業 行 は れ を りしな るべ し。 ス サ ノラ の 尊 の タ カ マ ノハ ラ に上 られ る に 當 りて 、 ア マ テ ラス オ ホ ミ神 、弓 矢 を取 り稜 威 の タカ トモ を著 き と あれ ば 、弓 材 に何 にが 使 用 せ られ た る か は不 明 な る も 、ア メ ワ カ ビ コが ア シハ ラの ナ カ ツ 國 に降 る に 際 し 、ハ ジ弓 を賜 ひ 、又 天 孫 降 臨 の 時 に もハ ジ弓 を把 り と あ れ ば 、 ヤ マ ウ ル シの 材 の 弓 に て あ りし な る べ し。 白井 博 士 の 樹 木 和 名 考 に 於 て は 徳 川 時 代 に於 て 山 ウ ル シ を ヤ マ ハ ジ と呼 び し は琉 球 ハ ジに對 す る名 に し て古 代 に あ りて は今 日 の所謂 山 ハ ジ 即眞 の ハ ジ な りし な り草 木 圖 説 の ヤ ブ ウル シ即 植 物 名 彙 の ヤ マ ハ ゼ も古 代 に あ りて は矢 張 ハ ジ と呼 び 、 山 ウ ル シの ハ ジ との 間 に 區 別 を立 て ざ り し もの と思 な る 、而 して 弓 材 は専 ら山 藤 の ハ ジ よ り之 れ を取 りし もの と思 は る る は 弓 木 又 ヤ マ ア ヅ サ の 方 言 あ る に て 知 ら る る な り と。 又 箭 に な 當 時 よ りヤ ダ ケ が 使 用 せ られ しな らん 。 タカ トモ は 竹 製 發 音 器 な れ ば メ ダ ケが 用 ひ られ しな るべ く、 マ ウ ソ ウ チ ク 、ハ チ ク 、マ ダ ケ は 古 代 に は 自 生 せ ざ りし處 な れ ば な り。 竹 類 は區 別 出 來 難 き爲 め 記 載 よ り判 斷 して 便 宜 メ グ ケ 、 ヤ ダ ケ 、 サ サ の 三 種 に區 別 して表 示 せ り。 ア マ テ ラ ス オ ホ ミ神 が ア マ の イ ハ ヤ に こ も りま しぬ 時 に 諸 神 ア メ の ヤ スの カ ハ ラに 會 合 ま し て 、 ア メの カ グ ヤ マ の ウ ハ ミヅ サ ク ラ を 取 りて 占 合 ひ 、 サ カ キの 下 枝 に は ニギ テ(カ ヂ ノ ーキ 、 カ ウ ゾの 繊 維 よ り作 り し もの)を 著 け 、 テ イ カ カ ヅ ラ を髭 と な し 、 サ サ葉 を手 に も ちて 舞 ふ と あ り。 スサ ノ ヲ の 尊 。 イ ヅ モ の 國 の ヒ ノ カ バ 上 の トリ カ ミの 地 に 降 りま す 。 其 地 に 大 蛇 あ り 、そ の 身 に ヒ ノキ 、 ス ギ 、 マツ 、 カ ヤ 等 生 ひ と あ れ ば 、今 の船 通 山 一 帶 の 地 は之 等 の樹 種 生 育 せ しな る べ く、 マ ツ は 普 通 ア カ マ ツ 、 ク ロ マ ツに 分 別 す る も當 時 は 兩 者 を包 含 す る は勿 論 更 に 廣 義 に用 ひ られ し もの な る べ し 。 紀 は更 に イ ソ タ ケ ル の 尊 朝 鮮 よ り多 くの 樹 種 を齎 ら し ツ ク シ よ り初 め て オ ホ ヤ シ マ 國 を全 シラ スル 部 青 山 に な す と あ れ ば 何 處 も美 林 存 せ し な る べ し。 又 ス サ ノヲ の尊 、吾 兒 の所 御 の 國 に 浮寳 (船)な か るべ か らず と て 、髯 を坂 き散 した まへ ば ス ギ と な り、胸 毛 は ヒ ノキ に 、 尻 毛 は マ キ に 、眉 毛 はク ス ノ キ と な る 且 つ 之 等 の 用 途 を示 した ま ひて の た ま は く、 ス ギ 、 ク ス ノキ は船 材 に 、 ヒ ノキ は瑞 宮 の 材 に 、 マ キ は 枢 に と 。 已 に樹 の 性 質 が 一 般 に 悉 知 せ られ 居 り し を知 る に 足 る。 又 尊 は 〓 ふ べ き多 數 の 木 種 を よ く播 殖 した まへ り。 タク ヅヌ(栲 綱)の 白 き 云 々 とて 白 の 枕 詞 に ク ケが 用 ひ られ 或 は 千 尋 の栲 縄 と云 ふ や うな 言 葉 が 用 ひ られ 居 る も、 これ は前 記 の カ ヂ ノキ 、 カ ウ ゾ の 繊 維 よ り作 れ る もの を云 ふ な り。 白 井 博 士 は タ ク は ヒ メ カ ウ ゾ な り とせ られ る も、牧 野 博 士 は カ ヂ ノ キ 、 カ ウ ゾ の 兩 者 が ダクー と 稱 せ られ し もの とせ らる 。 植 物 研 究 雜 誌 第 八 卷 第 五 號 、 白 井 博 士 、 古 事 記 に見 えた る植 物 及 同文 中 の 〔牧 野 云 フ〕 の 項 を參 照。

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304  林 學 會 雜 誌 第十六卷 第 四 號 宮 を造 るに は 柱 は 高 大 。 板 は 廣 厚 。 海 に遊 ぶ た め に 船 を作 り云 云 とあ れ ば神 代 の末 期 に於 て は製 材 の 技 術 も多 少 の 進 歩 を示 す もの とす べ き な り。或 は ア シ ハ ラ シ シ コ ヲ と謂 ふ 神 ム ク ノキ の 實 と赤 土 を咋 ひ唾 出せ ば とあ る 故 當 時 か らム ク ノキ の 實 は 食 用 に供 せ られ しか 、天 詔 琴 樹 に觸 れ て 響 くと あ れ ば 樂 器 の 存 せ し を知 る に足 る 。 マ ナ シ カ タ マ の小 船 を作 りて 或 は これ を浮 木(船)に つ く りて と あ る が カ タ マ は竹 籠 に し て マ ナ シ即 ち密 に 組 め る こ と を云 ふ か ら今 の 竹 筏 の こ と な る べ し 、 これ が 薩 摩 地 方で は船 に 代 用せ られ し な る べ し。 この 竹 筏 で 海 神 の 宮 に至 れ ば 宮 は 城 闕崇 萃 。樓 臺 壮 麗 と あれ ば建 築 の 術 更 に 一段 の進 境 を示 す もの と解 し得 。 ア シハ ラナ カ ツ國 の ア メ ワ カ ビ コが 門 前 に カ ツ ラあ り又海 神 の 宮 に もカ ツ ラ あ り とあ る も 夫 れ が現 在 の カ ツ ラ 科 の カ ツ ラな りや 否 は疑 問 な り と岡 不 崩 氏 は 萬 葉 集 草 木 考 に 述 べ ら る も 茲 に は カ ツ ラ科 の カ ツ ラ を掲 げ を りけ り若 し支 那産 の もの な れ ばLiquidambar formosaua な り。 神 代 に於 て は天 石 楠 船 、眞 坂 樹 、湯 津 香 木 等 の 如 く、 天 、 眞 、湯 津 を事 物 の 名 稱 に前 置 し あ る も省 略 せ り、天 は美 稱 、眞 は接 頭 語 、湯 津 は清 淨 と解 して 可 な らん 。 更 に ク カマ ノハ ラ、 オ ホ ヤ シマ 國 、 ア シ ハ ラナ カ ツ國 が 現 在 の何 處 に相 當 す るか は不 明 な り。 其 二  神 武 天 皇 よ り清 寧 天 皇 まで 神 武 天 皇 御 即 位 前 六 年 よ り清 寧 天 皇(紀 元1114年)に 至 る間 に 記 載 せ らる る 樹 種 は可 成 の 多數 な る も 、紀 に な く記 に あ る もの は ツク バ ネ ガ シ 、 イ チ ヰ ガ シ 、 ア ヲ ツ ヅ ラ フヂ 、ナ ネ カ ヅ ラ 、 フヂ 、 シャシャン ポ 、 ニ ハ トコ、 ビ ラ ウ な り。 而 して 記 に な く紀 に あ る もの は シ ヒノ キ 、 ク ハ 、 ツ タ 、 ヤ マ サ ク ラ 、 ヒ ヒ ラ ギ 、 シ ラ カ シ な り。 而 して 記 は清 寧 天 皇 以 降 推 古天 皇 の 御 世 ま で あ る も記 す べ き樹 木 な し、 紀 は尚 ほ 持 統 天 皇 ま で の 古 史 あ り、清 寧 天 皇 以 降 持 統 天 皇 まで 約 二 百 十 餘 年 中 に新 に記 載 せ られ し もの 次 の 九 種 、 エ ノキ 、 ヌ ル デ 、 ヤ ナ ギ 、 スモ モ 、 イ ヌ ザ ン セ ウ 、 ヂ ン カ ウ 、 セ ン ダ ン 、 ク チ ナ シ 、 ナ シ な り。 然 もヂ ン カ ウ 、セ ンダンは 佛 教 の 傳 來 に 伴 ひ 恐 ら く印度 産 の 品 が 輸 入 せ られ し もの な らん 故 、 此 の 二 種 を除 け ば 自生樹 木 は僅 か に 七 種 に 過 ぎ ざれ ば 、平 均 三 十 年 間 に 一 種 が 記 載 され し こ と と な る 。 以 下 大 體 に現 は れ た る重 要 樹 木 の 概 要 を述 べ ん 。 神 武 天 皇  天 皇 御 即 位 前 六 年 薩 摩 國 よ り東 征 の 軍 を興 さ る るに 際 して 、 朕 聞 く東 に 美地 あ り青 山 四周 す と宣 べ 玉 ふ 。 これ 大 和 地 方 が 一 帶 の 欝 蒼 た る森 林 あ り し こ と と解 して 可 な るべ し 。天 皇 親 ら舟 師 を 帥 ゐ て 豊 後 國 佐 賀 ノ關 町 に て 漁 人 に稚 〓 の 末 を授 け 玉 ひ て 海 導 者 とな し 玉 ふ 。 とれ 薩 摩 地 方 一 般 に 當 時 シ ヒ ノキ を舟 棹 に用 ひ し なる べ し 。 又 天 皇 大和 國 宇 陀 郡 の宇 陀 川 の 上 流榛 原 町 附 近 に て 川 に瓮 を況 め玉 ひ て 、若 しマ キ の 葉 の 浮 くが 如 くば 云 云 と所 り玉 ひ 、 よ つ て サ カ キ を取 りて 諸 神 を祭 ひ王 ふ と あ れ ば 附 近 に マ キ 、 サ カ キ の 生 育 せ し な る べ く、 サ 加 キ を廣 義 に 解 して 榮 樹 な り とな す もの あ る も狹 義 に 解 す 。 想 ふ に 神 代 よ り現 在 まで (22)

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古事紀 及び 日本書紀 に現 はれ たる樹木 に就 いて(大 野)  305 サ カ キ は神 前 に供 す る樹 と して 用 ひ られ 來 り しな り。 東 征 以 來 六 年 に な りね 、當 に 山 林 を披 拂 ひ 宮 室 を經 營 して恭 み て 寳 位 に 臨 み 云 云 と宣 べ 玉 ひ し よ り考 ふ る に 當 時 橿 原 町 附 近 は密 林 な りし な り。 垂 仁 天 皇  こ の御 世 に 注 意 す べ き は尾 張 の相 津(未 詳)の 二 俣 ス ギ で舟 を作 りて 、香 久 山 村 に あ りし池 に浮 べ て 遊 び き と 、 ス ギ材 の 船 と して 明 瞭 に 記 録 せ られ た り。 ク ス ノキ船 よ リ ス ギ船 に移 行 せ る は 木 材 加 工 の 技 術 の進 歩 せ る を示 す もの な り。 神 代 に 於 て は 空 洞 利 用 の 點 よ りク ス ノ キ が 適 當 な り しな らん 。 又曙 立 王 大 和 で ツ クバ ネ ガ シ を祈 り枯 し 又 生 し王 ひ き とか 。 出 雲 に於 て檳 榔 の 長 穗 宮 に坐 せ まつ りて と あ り、 古 代 に於 て は ビ ラ ウが ア ゲ マ サ と呼 ば れ し も 、 出雲 地 方 に ビ ラ ウ が 古 代 に 生 ぜ しや 否 や は疑 問 な り、何 ん とな れ ば 現 在 ビ ラ ウ は 日本 海 岸 で は 福 岡 縣 を北 限 と し 、太 平 洋 岸 で は 高 知 縣 を北 限 とす れ ば な り。 或 は シ ュ ロ科 の植 物 に て ビ ラ ウ と呼 ば れ し もの あ り しや 、 又 は單 に葉 の 長 き よ り長 穗 の枕 詞 と して 用 ひ られ しか 考 究 を要 す る も表 に は 掲 げ 置 げ り。 天 皇 常世 國 今 の 朝 鮮 近 海 の 島 な らん に トキ ジ ク の カ クの 實 、 これ 今 の 橘 な りと記 され し を 取 りに 遣 は し玉 ふ 、恐 ら くは ミカ ン の 類 に て あ り しな る べ し と し て表 に は ミカ ン を掲 ぐる ご と とせ り。 文 倭 姫 命 大 神 を以 て 大 和 國 磯 城 郡 織 田 村 の 嚴 橿 の 下 に鎭 め 坐 せ て 祠 と あ り、嚴 は神 聖 の 意 に して 單 に カ シ とあ る は 常 線 ブ ナ 科 の 總 稱 と して 用 ひ しな る べ し。 景 行 天 皇  注 意 す べ き は坂 手 ノ池(大 和 國 磯 城 郡 川 東 村)を 作 りて 其 の 堤 に竹 を植 ゑ しめ 玉 ひ しこ とな り。 當 時 鞭 根 が 堤 の 強 固 化 に役 立 つ こ とが 判 明 し を り しな る べ し 。 これ 竹 植 栽 勅 命 の 最 初 に て あ らん 。 天 皇 土 蜘 蛛 を討 ち玉 ふ 時 豊 後 で ツ バ キ の根 棒 を作 ら しめ玉 ひ て 兵 器 とせ られ 、 日本武 尊 は 出 雲 建 を殺 す に イ チ ヰ ガ シで 詐 刀(木 劍)を 作 り玉 ふ 。 又 尊 の東 征 に際 して は天 皇 ヒ ヒ ラギ の 八 尋 矛 を賜 ふ と あれ ば ヒ ヒ ラ ギ は 大 和 地 方 に 自生 せ しな り。 又 尊 は伊 勢 國 桑 名 郡 多 度 村 に て 一 つ松 の 許 に て 御 歌 よみ した ま ふ 、 これ 松 が 和 歌 に 詠 ぜ られ し最 初 と な さ る 。 この 場 所 は 海 岸 近 くで あ れ ば 恐 ら くは ク ロマ ツ に て あ りし な らん 。 又 御 歌 に よれ ば 當 時 大和 地 方 で は ツ ク バ ネ ガ シ 、 シ ラ カ シ が 髪 飾 に用 ひ られ しが 如 し。 素 朴 な る風 俗 偲 ぶ べ きな り。 紀 に は 此 の 御 世 に 筑 後 國 三 池 郡 三 池 町 附 近 に 大 木 の 優 樹 あ りそ の 悟 れ ざ る の 前 に は朝 日 の 輝 く ど き は杵 島 山 を 穩 し 夕 日 に 輝 く と き は阿 蘇 山 を覆 した 、 長 さ九 百 七 十 丈 の もの あ りしか ば 、天 皇 間 ひ て の た ま は く、是 れ 何 の 樹 ぞ 、 一 老 夫 あ りて クヌ ギ な りと答 へ け れ ば天 皇其 處 を御 木 國 と號 け玉 へ り。 歴 木 は 國 木 で 國 の 名 稱 とな りし木 の 意 な り。或 は互 大 な る埋 木 で も あ り しか 。 日本 山 林 新 聞 第144號 の 薗 部 博 士 の 大 木 と名 木 、大 日本 地 名 辭 書 の 三 池 郡 の 項 參 照 。

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306  林 學 會 雜 誌 第 十六卷 第 四 號 仲 哀天 皇 新 羅 を討 たんに はマ キの友 を瓠 に入れ箸 、比 羅 傳(葉 盤 に して當時 は樹 葉 が食 器 に代 用せ られ しな り)を 多 く作 りて海 に散 せ と教 ヘ 王ふ 神 あ りとある も、此等 の ものが何 に使用 せ られ しか は不 明な る も勝利 の呪 か 、靜波 、起 波の 法か 、追 風 を起 す独 か、或 は魚類 を集 め る法 にか用 ひ られ しな らん 。 直木 とある故 通 直 な木 と も解 し得 るも筑 前 國香椎 村 にての こ となれば マ キき解 す。 神 功皇 后  皇后武 内宿禰 に命せ て忍熊 王を討 た しめ王 ふ時 に熊之 凝 と云 ふ 者己が 衆 を勸め む とて高 唱 せる歌 に徴 す るに山城 國 宇治 町附近 に は荒 れた松 原 あ り又當 時 ケヤキの材 の弓が 用 ひ られ しな るべ し。軍逃 げ るに及んで近 江 國膳所 町附 近 で 多 く斬 り、其處 の栗 林 に血つ け る故 其栗 林の菓 を御 所 に進 め すと あ り。當時 膳所 町附 近に 栗林 存せ しな るべ し。 應 神 天 皇  天 墨 豊明 聞 こ し め す 日 、髪 長 比 賣 に 大 御 酒 の柏 を取 ら し め と あ り 、 これ 當時柏 の 葉 が 酒 杯 に 用 ひ ちれ しな るべ く 、た だ に柏 の み に 非 ざ り し も柏 が 代 表 的 な り し を示 す もの な り。 又 天 皇 の 御製 に三 栗 の な る 枕 詞 あ り。 これ 栗 が 一 苞 中 に 普 通 三顆 を包 み そ の 中 央の も の と云 ふ 處 か ら中 の枕 詞 と して 當 時 用 ひ られ し もの な らん 。 又 サ ネ カ ヅ ラ の根 よ り滑 を取 り て 人 の イトふ る る様 に〓 橋 に 塗 りて と あ り。 又 宇 遲 能 和 紀 郎 子 の 山 代 國 宇 治 町 附 近 の 御 歌 にア ヅ サ 弓 マ ユ ミ と詠 じ玉 へ る もの あ り、 これ 今 の ヨグ ソ ミネ バ リ及 び マ ユ ミが 其 當 時 弓 材 と し て 用 ひ られ し と同 時 に 其 附 近 に之 等 の 樹 が 生 育 せ る を示 す もの な り。 更 に 此 の 御 世 に伊 豆 國 船 を貢 れ り。 これ を 枯 野 と號 し官 用 に せ られ し處 、 朽 ちた れ ば この 船 材 を薪 と して鹽 を燒 き 、五 百 籠 を得 て 、之 れ を諸 國 に施 して船 を作 ら しめた ま ひ し處 一 時 に 五 百 の 船 を 貢 れ り とあ り、且 又此 の船 材 の 餘 燼 を琴 に作 ら し めた ま ひ し處 其 音 さや か に して 遠 く聆 ゆ と、 これ は 足 柄 山 の ス ギで 造 りし船 な り と云 は る 。 仁 徳 天 皇  天 皇淡 路 島 に て 遙 望 しま し て前 略 オ ノ コ ロ島 、 ア ヂ マ サ の 島 も見 ゆ 、 サ ケ ツ島 見 ゆ と 、 この ア ヂ マ サの 島 は紀 伊 方 面 の 島 な る べ き も所 在 不 明 な り。 然 し往 昔 紀 伊 方 面 に ビ ラ ウが 生 育 せ し は疑 な き所 な り、何 ん とな れ ば今 もオ ホ タ ニ ワ タ リが 生 育 すれ ば な り、然 し 現 在 で は ビ ラ ウ 生 育 せ ず 。 宇 井 縫 造 著 紀 州 植 物 誌 參 照 、垂 仁 天 皇 の 項 參 照 。 大 后 熊 野 岬 に 幸 で ま して 御 綱 柏 を取 られ た と あ り、 これ 今 の オ ホ タ ニ ワ タ リに て草 本 に入 る べ き もの な る も最 近 ま で 樹 木 と見 做 され し もの な れ ば 特 に 表 に 掲 げ しな り。 荒 陵 の松 原(大 阪 市 茶 臼 山)に 二本 の クヌ ギ が 生 じ路 を挾 ん で 末 合 へ り と、珍 ら し き木 あ り しな り。 更 に 此 の 御 世 に 、河 内 國 龍 華 町 に 一 高 樹 あ り、丁 度 景 行 天 皇 の 御 世 の 筑 後 の ク ヌ ギ に似 た り、朝 日に は高 安 山 を超 え 、 夕 日に は 影 淡 路 島 に 及 ぶ と、 この 木 に て船 を作 りて そ れ を 枯 野 と號 け 、後 ちに 薪 と して 鹽 を燒 き餘 燒 は 琴 に 作 りし處 、其 音 よ く響 く と あり 。 これ スギの 大 未 に て あ り しか 。 又 大 井 川 の 河 の 曲 に其 の 大 き な 十 圍 の 元 一 で 末 兩 の 木 流 れ 停 れ り との 上 言 あ りしか ば 、天 (24)

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古 事 記 及 び 日本 書 紀 に 現 はれ た る樹 木 に就 い て(大 野)  307 皇 それ で船 を作 ら しあた まふ まあれ ば大井 川 の上流 に生 育せ るスギ にて もあ りしか 。 履 中天皇  此 の御 世に室 山(大 和 國南葛 城 郡秋津 村)に 櫻 を得 とあれ ば凡 らくは ヤマ サク ラな りしな るべ し。 允 恭 天 皇  輕 大 郎 女(衣 通 王)の 御 歌 に ヤ マ タ ヅの 迎 へ を云 ふ とて これ を迎 へ の枕 詞 と し て用 ひ られ しは ニハ トコ に て 夫 れ は對 生 羽 状 複 葉 な る よ り、 む か ひ 合 つ て 居 る處 か ら由來 せ る を用 ひ られ し もの な らん 。 雄略 天 皇  注 意 す べ き は桑 に宜 し き國 縣 に桑 を殖 ゑ しめ 玉 ひ 、 又 宮 中 に て 養 蠶 を 行 ひ玉 ひ し こと な り。 又天 皇大 和 國 初 瀬 町 に あ り し百 枝 の ケ ヤ キ の 下 に 坐 しけ る と き 、 三 重 〓 に よ りて 、 マ キ サ ク、檜 の御 門 と云 ふ 歌 詞 あ り、 これ は ヒ と云 は ん と して マ キ サ ク を 用 ひ し な り、 これ ヤ キ榮 え る所 の意 に て 、眞 木 を通 直 な 木 と解 し得 る もマ キ と解 して よ ろ しか らん 。 又 平 群 山 に ツ ク バ ネ ガ シ、 メ ダ ケ 生 ず る の 御 歌 あ り。 更 に葛 城 山に は ハ ン ノ キ あ りし と。 其 三  顯 宗 天 皇 よ り持 統 天 皇 まで 顯 宗 天 皇  ヤ ナ ギ 初 め て 記 され た り。 繼 體 天 皇  メ ダ ケ で 笛 を作 り又 琴 を 作 る との 御 歌 あ り。 安 閑 天 皇  大 阪 市 姫 島 町 に あ り し松 原 に牛 を放 ちた ま ひ を 。放 牧 の 最 初 に て あはらん 。 欽 明 天 皇  佐 渡 島 に て シ ヒ の 實 を採 ひ て 熟 し喫 せ ん とし 灰 の裏 に置 き し所 そ の 皮 二 人 に な り て火 上 に 騰 る の 上 言 あ り。 ク ス ノ キの 沈 木 が 和 泉 國 の海 岸 に あ り き。 そ れ で 佛 像 を作 ら しめ 玉 ふ 。 夫 は吉 野 寺 で 光 を 放 つ もの これ な りと 。 崇 峻 天 皇  河 内 國 に て 大 連 エ ノ キ の枝 に昇 りて 弓 を射 る と 、又 厩 戸 皇 子 が ヌ ル デ で 四天 王 の 像 を作 りて頂 髪 に 置 きて 祈 り玉 ふ と あれ ば 、小 さき像 に て あ りし な る べ し。 推 古 天 皇  沈 木 淡 路 島 に 漂 着 す 。 其 の 大 き さ一 圍 新 に交 へ て 燒 く と き烟 氣 遠 く 薫 り し か ば 、之 れ を獻 る と あ る が 、沈 香 の 材 が 漂 着 せ りと も考 へ られ ざれ ば 何 か 芳 香 性 の木 の 漂 着 せ し もの な らル 。 二 十 四 年 正 月 に モ モ 、 ス モ モ實 れ り、 三 十 四 年 正 月 に モ モ 、 ス モ モ華 け り。 大 即 國 平 坦 部 の 事 に て あ るべ し。 寄 明 天 皇  十 年 九 月 モ モ 、 ス モ モ華 け り と 、大 和 平 坦 部 で の事 な り。 皇極 天 皇  法 興 寺 の ケ ヤ キ の下 に打 毬 の 會 あ り。 これ よ り後 ち屡 と この ケ ヤ キ現 は れ る も 省 略 す る こ と とす 。 又 富 士 川 の 邊 の 人 、常 に タチ バ ナ とイ ヌ ザ ン セ ウ に生 す る と 云 ふ 常 世 の 神 な る蟲 を村 里 に祭 る こ と を勸 め た り。 孝 徳 天 皇  白 雉 四 年 に薩 摩 國 川 邊 郡 加 世 甲 村附 近 の 海 に て 難 船 し 、竹 筏 を作 りて 助 か り し 人 あ り。

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308  林 學 會 雜 誌 第十六 卷 第 四 號 齊 明天皇  龍 に乘 れ る者 が大阪 市住吉 區 の松 の嶺 よ り西 へ馳 せ た とあ り。又 大和 國 多武峰 タカ トノ の頂上 の 二本 の クヤキの邊 に觀 を起 てた まふ 。 天智 天 皇 天 皇使 を遣 は して法興 寺 の佛 に〓水 香 、栴檀 香 を奉 る とあれ ば これ 印度 産 の も の な らん 。 天武 天 皇 大 阪市玉造 町附近 の松 林 に綿 の如 き もの零 れ り。時 人 甘露 と云 ふ と。 九年 正 別 に神戸 市神 戸區 附近 一帶 の處 にモモ 、 スモモ實 れ り。 七 月に は法 興寺 の ケヤ キの 枝 自然 に折れ て落 ちた りと。 十年 八 月に種 子 島 よ り使 人等歸 へ りて クチ ナ シを其 他 の産物 と共 に貢 る。染 料 に用 ひ られ し もの な るべ し。 十三 年 に吉野 の人 、 白 ツバ キ を貢 る。 十 四年 ヤダ ケ を二 千蓮 、大和 よ り筑紫 に送 り下 す 。 持 統天 皇  注意 すべ きはクハ 、カ ラム シ、ナ シ、 ク リ.カ ブ ラ等 の草木 を勸殖 せ られ しこ とな り。 結 言 以上 に て甚 だ簡單 に大要 を説 明 せ る こととす 。記 、紀 に現 はれ た る樹 種 は五 十三種 に して 二 十七科 四十屬 な り。其 の 内和歌 中に現 はれ をる もの 三十種 の多 數 な り。分布 表 よ り古代の 文 化 中心點 に多 くを、夫 を離 るるに從 ひて 少 な く佐 渡 島以北 と種 子 島以 南 は表 はれ す。當時 の交通 關係 に よる もの なるべ し。更 に此等 の生育 地 は現在 と殆 ん ど同様 なるは 、 これ植生に 變 化 を惹起 す る人爲 的及 び 自然的 激變 生ぜ ざ りしに よるべ し。 出現 順序 の表 よ り何 が最 も早 く表 はれ しか を見 る を得 べ く、利 用表で は古代 と現代 とでは 其 の用 途 の種 類 を増 加せ るに過 ぎざるが 如 く、根本 的 に は何 等 の變 化 もな きな り。花 の美 し き もの香 の よき もの は觀賞 用 に供 せ られ た るべ し。 古名 和名 及學名 の表 よ り誤 ま り呼 ばれ し もの 、變 化せ し もの 、何 等 の變 化 な き もの及び使 用 文字 を知 り得 るな り。 これ は主 として樹 木和 名考 に よれ り。 更 に各代 の天 皇 は概 ね新 に帝 宅 を御 造營 あ らせ られ且 又欽 明天 皇 よ り持 統天 皇 に至 る約 毛 十年 問に大和 地 方に二 十有餘 の大 寺が作 られ しな り。想 ふ に營時 は翠嶺 萬里 等 の形 容詞が如 實 に當 篏 ま りし もの なるべ く、之等 の用 材 は他 地方 よ り移 入 す る を要 せ ず して 、大和 地方に 存せ しもの を利用 して充 分 な りしな るべ く、山林 繁榮 の状 想起 す るだ に快感 を覺 ゆ 。 其 他 の兩書 に現 はれた る林業 關係事 項 は他 日に讓 る。 本 稿 を草 す るに際 して懇 切 な る御教示 を賜 ひ し植 村博 士 に深甚 の謝 意 を表 し尚 ほ學 名に對 して一覽 を煩 はせ る初島 學士 に謝 意 を表 す。 參 考 文 獻 日本山林新聞社 筒本山林新聞144-7號 (26)

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古事 記及 び 目本書紀 に現 はれ た る樹 木に就いて(大 野)  309 本多靜六 改 正 日本森林植 物帶論 豊田八十代 萬 葉植物考 東大 史料編纂 所 讀 史備 要 岡 不崩 萬 葉草木考 上村勝爾 樹木 百話 吉田東伍 大 日本地 名辭書 津 田左右吉 神 代史 の研究 〃  日本上代史 研究 都 久志刊行會  都 久志第 三號 津村研究所 出版 部 植物 研究 雜誌第8卷 第2,3,4,5號 宇井縫造 紀 州植物誌 農商務省 山林局  木材 の工藝 的利 用 農林省 山林局 樹 木名方 言集 松 岡靜雄  日本古語大辭 典 松村任三 改 訂植物名彙 前、後編 牧野富太郎 、根 本莞 爾  改訂増補 日本植物總 覽 警眼 社 帝國行政 區畫便覽 經濟雜誌 社 國史大 系第 七卷の古事 記、古事本紀 、神 道五部書 、釋 日本 記 〃  〃  第 一卷 日本書 紀 雄 山閣 大 日本 地誌 大系 第27卷 雲陽誌 〃  〃  第3卷 相模 風土 記 白井光太郎 植 物渡 來考 〃  樹木和 名考 神宮司廰 古事類苑(植 物一) 古 名 、和 名 及 學 名 表

(9)

310  林 學 會 雜 誌 第十 六卷 第 四 號

(10)

古事 記及び 日本書 紀 に現 はれ た る樹 木 に就 い て(大 野)  311

(11)

312  林 學 會 雜 誌 第十六 卷 第 四 號

樹 種 分 布 表(*印 は神代 に現 はれ しもの)

(12)

古 事 記 及 び 日本 書 紀 に現 はれ た る樹 木 に就 い て(大 野)  313

樹 種 別 生 育 地 及 利 用 表(*印 は和歌 にあ り)

(13)

314  林 學 會 雜 誌 第十六卷  第 四 號

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