大学生のQRコード決済利用状況の実態調査による分析

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(1)1P1-6. 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. 大学生の QR コード決済利用状況の実態調査による分析 Analysis of the actual situation of the QR code settlement usage situation of university students 西村奨之・遠藤正之(静岡大学) 要旨: 日本ではキャッシュレス決済としてクレジットカードが主流である。本報告では静岡大学生を 対象にクレジットカード、QR コード決済の利用状況をアンケートにより実態調査し、調査期間の異な るアンケート結果から利用状況の変化、また、利用目的を比較、分析することで、クレジットカード利 用者の QR コード決済併用可能性について考察していく。 Abstract: In Japan, credit cards are the mainstream for cashless payments. In this report, we conducted a questionnaire survey on the usage status of credit cards and QR code payments for Shizuoka university students, and compared and analyzed changes in usage status from the results of questionnaires with different survey periods, as well as analysis of usage purposes. We will consider the possibility of using QR code settlement together with users.. 1. はじめに. 時期を示している。研究の概要と結果詳細は以下 である。. 現在、世界中に猛威を振るっている新型コロナウ イルスの感染拡大を受け、キャッシュレス決済への. ・研究概要. 注目がより一層高まっている。キャンペーン期間な. 調査期間:2019 年 12 月 26 日~2020 年 1 月 5 日. どを考慮すると、QR コード決済はシェアが拡大し. 調査対象:18 歳~69 歳の男女. ていると予想した。そこで私は、QR コード決済に. 有効回答:48,208 人. 焦点を当て、独自に収集したアンケートの分析結果. ①普段の支払い方法. などを考慮しながら、利用状況の実態を調査・分析. 普段の支払い方法では、現金支払いがトップであ. していく。. り、キャッシュレス決済を利用している人の中で も、クレジットカードの割合が高かった(図 1) 。. 2. 先行研究 図 1 普段の支払い方法. 山本(2019)はモバイル決済全体に対して「ユ ーザインターフェース」 、 「低価格戦略」 、 「ネット ワーク効果」 、 「セキュリティ信頼性」の 4 つに対 して、 それぞれ普及戦略に関する考察をしており、 PayPay が「低価格戦略」 、 「ネットワーク効果」 の二点において優位性を築いているとした。 山本(2020)の、2019 年 12 月 17 日に静岡 大学情報学部二年生を対象とした QR コード決済 に関するアンケートでは、QR コード決済の中で PayPay の利用率が 34.8%であった MMD 研究所(2020)では①普段の支払い方法、 ②QR コード決済の認知・利用状況、③最も利用 を検討している QR コード決済サービス、④最も 利用している QR コード決済サービスの利用開始. 133.

(2) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. ②QR コード決済の認知・利用状況. 図4 最も利用しているQR コード決済サービスの. QR コード決済を「現在も利用している」人は. 利用開始時期. 29.3%と低い水準であることが確認できた (図2) 。 図 2 QR コード決済の認知・利用状況. ・先行研究と本報告の関係性 先行研究では、キャッシュレス決済を利用してい ても、クレジットカードの利用率が高いことと、 QR コードでは PayPay がトップであることが示 されている。本報告では独自のアンケート調査を ③最も利用を検討している QR コード決済サービ. 行い、クレジットカードにも焦点を当てつつ、QR. ス. コード決済の利用率を調査していく。. PayPay が 42.3%でトップであり、楽天ペイ、d. 3. 払い、auPAY が続いた(図 3) 。. 研究方法 仮説として、 「QR コード決済の利用率は向上し. 図 3 最も利用を検討している QR コード決済サ. ている」と設定し、山本(2020)と同様に静岡大. ービス. 学生に対し、アンケートを実施する。その際、7 カ月間での利用状況の変化を分析するため、山本 のアンケート質問項目の一部を含めて調査する。 クレジットカードについても調査し、クレジット カードと QR コード決済の利用状況の比較・分析 を行う。. 4. アンケート概要. 目的:キャッシュレス利用者の中で、クレジット カード決済を利用し、QR コード決済は利用して いない人の現状分析、理由などを調査する。 質問項目: キャッシュレス決済の利用有無を調査し、利用し ている人に対しては、4 カテゴリー(クレジット ④最も利用している QR コード決済サービスの利. カード・デビットカード、交通系以外の電子マネ. 用開始時期. ー、交通系電子マネー、QR コード決済)に対し、. サービスの利用開始時期としては、2019 年の 7. 利用の有無と共通の質問を実施する(表 1) 。. 月から急速に伸びており、最近になって QR コー. 共通の質問は全て 5 段階評価(5.当てはまる 4.ど. ド決済への注目が集まりだしたことが分かる(図. ちらかと言えば、当てはまる 3.どちらでもない 2.. 4)。. どちらかと言えば、当てはまらない 1.当てはまら 134.

(3) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. ない)で行った。さらに QR コード決済利用者に. 5. 研究の結果. は、最も利用する QR コード決済サービス、サー. クレジットカードを利用している人は全体の. ビスを知ったきっかけ、サービスを使い始めた理. 57.4%、QR コード決済を利用している人は全体. 由も加えて質問(こちらも 5 段階評価)。利用して. の 43.6%という結果が得られた (表 2)。. いない人に対しては、キャッシュレス決済を利用. 表 2 クレジットカードと QR コード決済の利用. しない理由を調査した。. 状況その 1. 調査期間:2020 年 7 月 27 日~2020 年 7 月 30 日. 回答(n=101) クレジットカードを利用している QR コード決済を利用している. 調査対象:静岡大学生(浜松キャンパス)101 名 調査方法:Google forms. はい いいえ 57.4% 42.6% 43.6% 56.4%. また、クレジットカード、QR コード決済の2つ. 本報告では、クレジットカード・デビットカー. を考慮した利用状況を分析したところ、クレジッ. ド、QR コード決済を利用している人に焦点を当. トカードは利用しているが、QR コード決済は利. て、分析を行うため、その質問項目と結果をピッ. 用していない人は 25.7%という結果が得られた. クアップした。※以後、 「クレジットカード」はデ. (表 3)。. ビットカードも含むものとする。. 表3 クレジットカードとQRコード決済の利用状. 表 1 質問内容. 況その 2. 利用有無 キャッシュレス決済の利用有無 クレジットカード・デビットカードの利用有無 QR コード決済の利用有無 クレジットカード・QR コード共通の質問 サービスを使う理由(5 段階評価) ①支払いがスムーズ②ポイントがたまる③キャッシュレ ス還元があったから④使えるお店が増えたから⑤財布 がかさばらないから⑥現金を持ち歩きたくないから⑦現 金が無いときに使えるから QR コード決済に追加した質問内容 サービスを知ったきっかけ(5 段階評価) ①公式サイト②関連アプリ上での案内③テレビ CM④企 業からの配信⑤友人、知人の紹介⑥Web メディアの記 事⑦テレビ番組⑧店舗の案内やポスター⑨SNS の投稿 ⑩店舗で利用している人を見た⑪雑誌⑫新聞⑬電車 や街中の広告⑭その他 サービスを使い始めた理由(5 段階評価) ①ポイントがたまるから②キャンペーンを知り興味を持 ったから③普段使っているサービスとポイントが連動し ている④会計が早いから⑤良く行くお店で利用できる から⑥会計の際に現金を出すのが面倒だから⑦クレカ を登録すれば、カードを出さなくてもよい⑧新サービス を試してみたいから⑨お金の管理がしやすい⑩自分の 使った金額が一目でわかるから⑪銀行口座と紐づけて クレカを使わなくてもよい⑫ATM 等から現金を引き出す のが面倒だから⑬お財布を持ち歩きたくないから⑭友 人・知人に勧められたから⑮現金を引き出す手数料が 勿体ないから⑯家族に勧められたから⑰割り勘や、送 金が楽⑱お店の店員に勧められたから⑲その他. 回答(n=101) クレジットカード. 利用 非利用. QR コード決済 利用 非利用 31.7% 25.7% 11.9% 30.7%. クレジットカードを利用しているが QR コード非 利用の人に対するクレジットカード利用理由のアン ケート結果は以下の通りであった。 「支払いがスムー ズ」や、 「現金が無いときに使える」が、使う理由に なっていることが確認できた(表 4) 。 表 4 クレジットカード共通質問結果. QR コード決済利用者に対するアンケート結果は 表 5 の通りであるが、表 4 と違いが見られた。クレ ジットカード利用、QR コード非利用者の方が高か った項目は「支払いがスムーズ(100%)」 、 「お財布が かさばらないから(76.9%)」 「現金が無いときに使え る(92.4%)」であり、QR コード決済利用者の方が高 かった項目は「キャッシュレス還元があったから. 135.

(4) 経営情報学会2020年全国研究発表大会 2020年11月7日(土)~11月8日(日) オンライン開催. (88.6%) 」 、 「使えるお店が増えたから(70.5%) 」で. いる人は 27.5%から 34.6%に上がっていることが. あった。. 確認でき、PayPay はキャッシュレス全体の中で. 表 5 QR コード決済質問結果. も注目を集めていることが伺える。まとめたもの. (QR コード決済の使い始めた理由は半数以上が「はい」と回答したもの のみを抽出). が表 6 である。 MMD 研究所(2020)の 2019 年 12 月~2020 年 1 月のアンケート調査(図 1,図 2)によると QR コード決済の利用率は 29.3%であり、今回行った アンケート結果(表 2)でも利用率が 43.6%となっ ており、クレジットカードより普及率が低い。し かし、 「クレジットカード利用、QR コード決済非 利用(25.7%) 」 (表 3)が QR コード決済のキャ ッシュレス還元サービスなど QR コード決済の強 みに注目することで利用率は上がる可能性がある。. 6. 7. 考察. 今後の研究課題. 山本(2020)のアンケート(2019 年 12 月)と. 本報告のベースとなるアンケートについては、. 本報告のアンケート(2020 年 7 月) (両方とも静. 母集団が限定されている制約はあるが、今後も継 続した分析調査を続けていきたい。. 岡大学生を対象に実施)を比較した所、QR コー ド決済の利用は 52.2%(表 6「利用しない(47.8%) から算出」)から 43.6%(表 2)と下がっていること. 8 おわりに 本報告では、クレジットカード利用者の QR コ. が確認できた。. ード決済利用可能性について分析してきた。クレ. 表 6 2019 年 12 月と 2020 年 7 月のアンケート. ジットカード利用者に焦点を当てる事で普及率は. 調査の比較. 上がっていく余地がある。また、調査期間の違う アンケートを比較することで、PayPay の利用率 は上がっていることが確認出来た。この先の QR コード決済の動向に注目していきたい。. 主要参考文献 MMD 研究所(2020) 「2020 年 1 月 スマートフォ ン決済利用動向調査」. https://netshop.impress.co.jp/node/7216 山本龍平(2019)「モバイル決済アプリ「PayPay」の 普及戦略の考察」 『経営情報学会 2019 年秋季全国研 究発表大会』 山本龍平(2020)「モバイル決済アプリ「PayPay」の 普及戦略の考察」 『静岡大学情報学部 2019 年度卒業 論文』. しかし、7 か月間での PayPay を最も利用して. 136.

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