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COVID-19パンデミック下での薬局薬剤師の役割

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COVID-19 パンデミック下での薬局薬剤師の役割

岡田 浩1)、鈴木 渉太1,2) 1)京都大学大学院医学研究科社会健康医学系健康情報学、2)奈良県立医科大学附属病院臨床研究センター

TheRoleoftheCommunityPharmacistsduringtheCOVID-19Pandemic

HiroshiOkada1),ShotaSuzuki1,2)

1)Health Informatics, Graduate School of Medicine & School of Public Health, Kyoto University, 2)Institute for Clinical and Translational Science, Nara Medical University Hospital

Abstract:DuringtheCOVID-19pandemic,communitypharmaciesprovidedreliableinformationtothepublicas wellasmasks,disinfectantsanddrugsupplies.Thisreviewarticlefirstdescribestheinformationandsupportpro-videdtopharmacistsandpharmaciesbytheU.S.CDC,FIP,andPharmaceuticalassociationsinUSA,UK,Canada, andAustralia.Lastly,theactivitiesofKyotoUniversitySPH,whichprovidedinformationoninfectioncontrolto communitypharmaciesinJapanduringtheCOVID-19pandemic. Key words:COVID-19,pandemic,communitypharmacy ──────────────────────────────────────────────── はじめに  中国から報告された新型コロナウイルス感染症(COVID- 19)は、3 月には北米・ヨーロッパに急速に広がり、都 市部ではロックダウンが実施された1)。日本国内でも 4 月には緊急事態宣言が発令され、国民生活に大きな影響 を与えることになった2)。本総説では、2020 年 3 月から 約半年間の COVID-19 感染拡大下における、アメリカ CDC(米国疾病予防管理センター、CentersforDisease ControlandPrevention:CDC)、薬剤師の国際団体であ る FIP(国際薬剤師薬学連合、InternationalPharma-ceuticalFederation:FIP)、海外の薬剤師会(アメリカ、 イギリス、カナダ、オーストラリア)から COVID-19 感 染拡大に対する薬剤師向けに行われた情報提供について 紹介する。また、国内でいち早く薬局向けの情報発信を 始めた京都大学 SPH 薬局情報グループの取り組みにつ いてもその概要について取り上げる。 1. 武漢の新型肺炎発生から COVID-19 パンデミックへ  2019 年 12 月に中国・武漢市から、病原体が特定され ていない新型肺炎が報告されると、翌年 2020 年 1 月に WHO( 世 界 保 健 機 関、WorldHealthOrganization: WHO)は新型のコロナウイルスによるものだと発表し た1)。日本へは 2 月 3 日横浜港に香港からの乗客を乗せ て帰港したダイヤモンド・プリンセス号の船内にて COVID-19 の感染拡大が起こり、世界中から注目を集め た。その後すぐ、欧州・北米での急速な感染拡大から、 都市のロックダウンが始まり、WHO は 3 月 11 日に COVID-19 のパンデミックを宣言するに至った。日本で は、欧米から約 1 か月遅れで感染拡大が始まり、4 月 7 日に 7 都道府県で緊急事態宣言が出された2)(Table1)。 2. 海外の対応:アメリカ疾病予防管理センター:CDC  アメリカは疾病予防管理センター(CentersforDis-easeControlandPrevention:CDC)があり、医療者向 けから市民向けまで幅広く COVID-19 対策についての 情報提供を行っている。その中には、介護施設や歯科医 院と並んで薬局での COVID-19 対策についてのガイダ ンス:GuidanceforPharmacies も作られている。最新 版は 2020 年 11 月 3 日版であるが、それまでは毎月改訂 されていた3)  このガイダンスの冒頭にはその目的として、「全薬局 スタッフに適用され、SARS-CoV-2 への曝露のリスクを 最小限にし、COVID-19 パンデミック下の患者のリスク を軽減するためのもの」と述べられている。また、「薬 局は医療システムの重要な一部として、医薬品、治療 薬、ワクチン、および重要な保健サービスを国民に提供 する上で重要な役割を果たしている。COVID-19 パンデ ミックの間、薬局の継続的な機能を確保することが重要 である」と、パンデミック下での薬局の役割についても 明言している(Fig.1)。  この他、ガイダンスには感染拡大防止のため、「マスク 着用の推奨」、「体調不良のスタッフに自宅待機させる」 や、薬剤の供給に関しても「患者向けの手指消毒剤をカ ウンターに置く」ことや、「オンライン診療・服薬指導 を推奨」し、「保険証などを直接扱うことをやめる」、 「宅配サービスの利用」など、具体的ですぐに役立つ情 報が並んでいる。  「密接な接触を最小限に抑えるための戦略」として、 「薬局に入る人のために、社会的な距離(6 フィート: 1.8m)を維持する」、「カウンターから 6 フィート離れ るように、フロアマーカーなどを使用する」とし、「飛

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沫を防ぐために、患者との接触部分に透明なプラスチッ クのバリア保護を設ける」とも書いている。清掃に関し ても、「カウンターと患者との接触エリアを頻繁に清掃 し、消毒する」、「パソコン、キーボード、電話機、ドア ノブなど、頻繁に触れるものの表面を清掃し、消毒す る」としている。  この他、アメリカの薬局では「COVID-19 の検査」 (簡易検査・POCT:PointofCareTesting や検体採取) を行っている州もあるため、それらについても触れられ ている。また、北米では 20 年の歴史があり、全州で行 われている薬局での「ワクチン接種」についても言及さ れている。  CDC は 2020 年 7 月 23 日に CommunityPharmacistsʼ Contributions to Disease Management During the COVID-19Pandemic:「パンデミックにおける地域薬剤 師の疾病管理への貢献」という総説もだしている4)。こ こでは、「薬局薬剤師は、慢性疾患管理、予防接種、 COVID-19 検査(PointofCareTest:検体検査室を含 めて)などパンデミック対応を提供する重要な役割を担 う」とし、「薬剤師は、COVID-19 への曝露から身を守 ることの重要性について患者を教育する立場にある」と 記されており、アメリカの COVID-19 パンデミック下、 薬剤師が地域社会の公衆衛生へ重要な貢献をしていたこ とがうかがえる内容となっている。  また、この総説の中で、「パンデミック下で、薬局薬 剤師は、COVID-19 のリスクが最も高い人々を含む地域 に重要な保健サービスを提供している。COVID-19 パン デミック下で薬局薬剤師が果たしている新たな役割が、 パンデミック時以降に明らかになる可能性が高い」とも 述べており、感染症対策を行う CDC の Web サイトに、 薬局薬剤師の活躍を高く評価する総説が掲載されている ことは大変興味深い。 3. 海外の対応:国際薬剤師薬学連合:FIP  薬剤師の国際団体である国際薬剤師薬学連合(FIP: InternationalPharmaceuticalFederation) も 今 回 の COVID-19 の感染拡大を受けて、FIPCovid-19Informa-Table 1 COVID-19 関連の出来事(2020 年 1~5 月) COVID-19 関連事象 1 月      中国 武漢から報告    6 日 厚生労働省 注意喚起 2 月    3 日 ダイヤモンド・プリンセス号帰港(横浜)   27 日 小中高休校要請 3 月   11 日 WHO パンデミック宣言   18 日 ドイツ 外出禁止   23 日 イギリス 外出禁止   24 日 東京五輪延期発表   26 日 京大プロジェクト始動(岡田、鈴木) 4 月     6 日 京大 SPH 薬局情報グループ Web サイト公開     7 日 緊急事態宣言(7都府県)    9 日 日薬 支部へ京大 Web サイト情報を連絡   16 日 緊急事態宣言(全国)   21 日 日薬チェックシート発表 5 月   25 日 緊急事態宣言解除(全国) Fig. 1 アメリカ CDC Web サイトの薬剤師向けガイダンスのページ 薬局での具体的な感染 防御策が簡潔にまとめられている。日本で実施したプロジェクトでも、初期にこのサ イトの内容をまとめて 10 項目のチェックリストにして公開した。

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tionHub という特設サイトを設けて、情報を発信してい る5)(Fig.2)。特に、薬剤師向けにガイドとそのサマリー (要約版)を出しており、Web セミナーも会員を問わず に参加できるようにしている。  また、薬剤師は COVID-19 対策の最前線で働いている ということを示す「PharmacyHeroes」という各国の薬 剤師の投稿動画も公開して、臨床の現場で活躍する薬剤 師を勇気づける活動も行っている。そこには、「コロナ ウイルス最前線にいることをアピールするために、“P” の 文 字 を 入 れ て 写 真 を 撮 っ て く だ さ い。 写 真 に は “#pharmacyheroes”をつけて」とある。さらに「自身 の行動に誇りを持ち、パンデミックとの戦いで、あなた の支援が幅広い貴重な知識と決意に基づいていることを 示そう」と呼びかけている6)

 FIP が出している COVID-19 対策のガイドは、FIP COVID-19guidance(Part1):Clinicalinformationand treatmentguidelines(臨床情報と治療ガイドライン)、 FIPCOVID-19guidance(Part2):Guidelinesforphar-macistsandthepharmacyworkforce(薬剤師と薬局従 事者のためのガイドライン)、FIPCOVID-19guidance (Part3):Frequentlyaskedquestionsandmythbusting (よくある質問と迷信的な話や不安に対するアドバイス) の 3 つが準備されている(Fig.3)。  ガイドの詳細については、実際の英語版・日本語版を 見ていただきたいが、たとえばPart1では、COVID-19に ついての臨床情報、特に薬剤師として知っておきたいワ クチン開発の現状や、治療薬の臨床試験の進捗がまとめ られている。Part2 では各国の薬局で行われた COVID- 19 対策について最初に書いてあり、オーストラリアで は、処方医の承認なしに薬剤の変更が可能になったこと や、カナダ・ケベック州では薬剤師が検体採取を行った ことなど、各国での薬剤師の活躍が大変興味深い。Part 3 は Q&A 集であるが、現場の薬局薬剤師を応援する メッセージが込められている点が印象的である。たとえ ば、「薬剤師が地域社会に提供できる心理的介入とは?」 という質問に対しては、「薬剤師や薬局スタッフは、地 域の人々を安心させたり、情報を提供したりすること で、心理的なサポートをすることができます」とあり、 Fig. 2 FIP Covid-19 Information Hub FIP の COVID-19 対 策をまとめたページ。ほぼ 2 か月ごとに対策ガイドも 更新されており、京都大学 SPH 薬局情報グループで は、7 月改定版を日本語に翻訳した。

Fig. 3 FIP の COVID-19 対策ガイド Part 1「臨床情報のガイドライン」、Part 2「薬剤師と薬局従事者のための ガイドライン」、Part 3「よくある質問と迷信・不安に対するアドバイス」の 3 部からなる。

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さらに「不確かな時代に、質の高い情報を与えられる ロールモデルとして、薬剤師が与える影響は決して小さ くありません」と述べている。 4. 海外の薬剤師会の対応  アメリカ  アメリカ薬剤師会(AmericanPharmacistsAssocia-tion:APhA)は、薬局向けの COVID-19 対策情報を発 信している7)。感染症については、すでに紹介した CDC の情報を引用しながら、薬局独自の情報について簡潔に まとめられている。ここでは、1.処方箋オーダーとリ フィル、2.支払い、3.スタッフへの注意、4.薬局全 体への注意からなる。印象的なのは、北米では錠剤はボ トルに詰めて渡されるため、患者の持参するボトルを再 利用しないことや、感染拡大期には薬局に来局しないよ うに伝えることなどが書かれている点である。また、ア メリカの薬局ではワクチン接種や簡易検査(POCT)が 広く実施されており、そのため Web サイトには検査や ワクチンの情報が充実していることも特徴的である。そ の他、感染拡大が長期化することによる市民の不安や詐 欺への対応についても書かれており、アメリカ社会での 薬局薬剤師へ期待される役割の幅広さをうかがい知るこ とができる。  イギリス  イギリスでは、イギリス薬剤師会(RoyalPharma-ceuticalSociety:RPS)が、Web サイトに新型コロナ対 策ページをつくり、独自の薬局での感染防御対策やよく ある質問(FAQ)を薬局向けに提供している8)。全般的 な市民向けの情報については、NHS(NationalHealth Service)などにリンクが張ってあり信頼できる情報が 入手しやすくなっている。患者から受ける質問の FAQ 集(よくある質問集)については、全て出典が明らかに されており、詳細な情報を調べたい時には容易にアクセ スできる。また、薬局で掲示する市民向けの COVID-19 対策啓発ポスターも作成しており、自由にダウンロード して使えるようにしている。その他、患者から質問され そうな公的扶助の申請や、相談窓口などの情報について も薬剤師会のサイトからリンクが張ってある。情報が一 元化されていることで、現場で働く薬剤師にとっては手 間が省けるよう工夫されている。  カナダ  カナダ薬剤師会は政府と協力して、COVID-19 感染拡 大下でさまざまな地域医療への貢献を行った9)。平時は 薬剤師の業務の範囲は州により大きく異なるが、パンデ ミック下では全ての州で薬剤師の業務の範囲を拡大さ せ、医師からの許可を得ずに処方薬物の代替や、新規薬 剤の処方が可能になった(Fig.4)。また、薬剤師会は現 場の薬剤師を支援するため、COVID-19 対策の掲示用の ポスターや Web セミナーを Web サイトで公開し、新た な資材を開発するたびに SNS を活用して周知している。 薬剤師会の初期の対策は、主に患者向けの感染防御対策 のポスターや熱が出た時には電話で相談するように促す Fig. 4 カナダ薬剤師会 COVID-19 対策ページ 各国の薬剤師会は COVID-19 の感染拡大 を受けて、特設の対策ページを設けて情報発信を行っていた。特にこのカナダ薬剤 師会は、SNS や動画を活用した情報発信を活発に行っていた。

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ものであった。しかし、感染拡大が長期化すると、薬剤 師向けに感染防御具の使い方や、現場の薬剤師がバーン アウトすることを防ぐためのメンタルヘルスへの注意を 促すパンフレットなどを作成し公開している(Fig.5)。  オーストラリア  オーストラリアは、紹介した FIP のガイドなど海外 の情報を活用しつつ、薬局現場で働く薬剤師を勇気づけ る活動を Web サイトやメールでの情報発信を通じて 行っている。感染拡大当初 Web サイトには毎週、薬剤 師会会長から現場の薬剤師への激励の動画メッセージが 更新され、メールでもメッセージを発信していた。また、 薬剤師のメンタルヘルスへの配慮として、普段は有料の 認知行動療法の不眠や不安に対する Web プログラムを、 Web サイト上で試せるようにするなど、現場の薬剤師 を精神面からも支えるという意図が伝わってくる10) 5. 京都大学 SPH 薬局情報グループ:薬局 COVID-19 対策プロジェクト  2020 年 3 月には北米とヨーロッパの主要都市でロック ダウンが始まっていたが、国内の薬局で具体的な感染防 止対策を実施するには至っていない状態であった。その ような中、3月26日に京都大学 SPH 健康情報学(中山健 夫教授)内の薬局情報グループの岡田・鈴木で協議し、 薬局が感染クラスターになることを防ぐ必要があるので はないかということになった。そこで薬局情報グループ では薬局での COVID-19 対策を Web サイトを通じて提 供することにした。本稿で紹介した、1 か月先行して感 染拡大が起こっていたアメリカ・カナダやイギリス、 オーストラリア薬剤師会などの対策を研究し、日本の薬 局向けに実情に合わせて情報発信を行った11)(Fig.6)。  まずプロジェクト開始時に実施したのは、1.プロジェ クト活動を周知するための「広報活動」、2.薬局で使用 できる「資材の開発」、3.「協力者の確保」の 3 点で Fig. 5 カナダは州により薬剤師が実施できる業務に違い COVID-19 感染拡大期間中は、ほぼ全ての州で薬局 薬剤師の業務が広げられた。(図中、✓チェック部分が実施できる業務、原本を元に著者が改変) Fig. 6 京都大学 SPH 薬局情報グループ「薬局 COVID-19 対策 プロジェクト」Web サイトページ 緊急事態宣言前日の 4 月 6 日に、ポスター、動画、リンク集などを公開した。

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あった。広報については、薬剤師関係団体やチェーン薬 局、マスコミ各社に連絡して告知をお願いした。一方で、 海外の薬局向けの COVID-19 対策についての原稿を書 いて各誌に掲載を依頼した。また、「資材の開発」はポ スター作製を知人の保健師でデザイナーである阿部圭子 氏にカナダ薬剤師会などのポスターを渡して制作を依頼 した。また、研究室の感染症専門医・井村春樹氏と内科 医・西川佳孝氏に動画での COVID-19 対策の対談や講 演を依頼し、動画を作成することにした。協力者に関し ては、SNS で募集するとすぐに 10 名の薬剤師が協力を 申し出てくれ、動画編集や字幕作成を手分けして行って くれた。その後も、多くの方の協力を得て、プロジェク ト開始後 10 日後の 4 月 6 日には、研修動画・患者向け 啓発ポスター、COVID-19 情報のリンク集を含む Web サイトを公開できた(Fig.7)。  公開後すぐに業界各誌が取り上げてくれたこともあ り、開始後わずか 3 週間で 6 万アクセスに達した。また、 7 月に FIP が COVID-19 ガイドを改訂したことに合わ せ、FIP と翻訳交渉を行い、京都大学 SPH 健康情報学 と翻訳覚書を締結した。京都大学 SPH 所属の翻訳家を 含めた、薬剤師を中心とした有志 20 名により FIP ガイ ドの翻訳版を作成し、8 月に Web サイトに PDF ファイ ルとして公開した。 6. まとめ  COVID-19 パンデミック下の薬局薬剤師への感染対策 情報提供について各国の状況について紹介した(Table 2)。各国の政府や薬剤師会の対応からは、COVID-19 感 染拡大下でも薬局はマスクやアルコールといった衛生材 料や薬剤供給のみにとどまらない、信頼できる情報を提 供する場として機能することを求められていることがわ かる。また、この感染防御の最前線にいる薬剤師を支え るため、政府と薬剤師会は様々な手段で情報と市民・薬 剤師向けの啓発資材の提供を行っていた。  本邦では、海外と比べて 1 か月遅れて感染拡大が起 こったにもかかわらず、薬局は必ずしも迅速に感染防御 に対応できたわけではなかった。また、海外の薬剤師会 などで必ず見られた現場の薬剤師のバーンアウト(燃え Fig. 7 Web サイトで公開したオリジナルポスター 左、中央が最初に公開した感染拡大を防止する目的で作成した ポスター。右は COVID-19 の影響が長期化したためメンタルヘルスへの配慮を呼びかけるポスターも作製し た。(公開したポスターは、保健師・デザイナーの阿部圭子氏、BonBon 株式会社尾﨑由紀氏の作品)

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尽き)やメンタルヘルスへの配慮もほとんど見られな かった。今後も繰り返し起こることが予想される新興感 染症の脅威に備え、1.薬局での迅速な感染防御対策の 徹底、2.地域社会への情報提供体制の整備、3.薬剤師 と住民へのメンタルヘルスへの対応が今後の課題として 残されたのではないだろうか。京都大学 SPH 薬局情報 グループでも、今回の感染拡大下での活動について現在 分析を行っている。研究グループでは、今回のことを貴 重な教訓とし、次なる脅威への備えとして活用できれば と考えている。 謝 辞  プロジェクトにご協力いただいた京都大学の皆様、プ ロジェクト・メンバーの皆様、協力企業の皆様に感謝い たします。 京都大学 中山健夫、佐藤恵子、西川佳孝、井村春樹、小泉志 保、立山由紀子 プロジェクト・メンバー 黒田泰司、原田祐希、森和明、松澤京子、山下恵、西 村亜佐子、阿部圭子、五十嵐恵美子、清家三紀、笠原 正幸、三浦彰久、神林弾、大和幹枝、戸倉なおみ、木 村千代、梅垣真紀子、一ノ瀬照子、永谷祥智、長田真、 花野郁子、五嶋妙子、矢島友香、柿沼暁子、廣田有 紀、若園惠子、河本一真、山口和美、守屋真美、松井 孝良、田中孝明、藤田あゆみ、國富達矢、山根めぐみ 関係企業 河口八重子(NutsCreate)、山本孝(フィットネス企画 Q)、蓮行(劇団衛星)、荘子万能、尾𥔎由紀(BonBon 株式会社) 利益相反  申告すべき利益相反はない。 引用文献 1)WHO NovelCoronavirusEvents.https://www.who.int/ emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/events-as-they-happen(2020 年 11 月 11 日アクセス) 2)内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策.https://corona. go.jp/(2020 年 11 月 11 日アクセス) 3)CDC:GuidanceforPharmaciesandPharmacyTechni-cians in Community Pharmacies during the COVID-19 Response.https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/ hcp/pharmacies.html(2020 年 11 月 11 日アクセス) 4)CDC:CommunityPharmacistsʼContributionstoDisease ManagementDuringtheCOVID-19Pandemic.https:// www.cdc.gov/pcd/issues/2020/20_0317.htm(2020 年 11 月 11 日アクセス) 5)FIP:Covid-19InformationHub.https://www.fip.org/ coronavirus(2020 年 11 月 11 日アクセス) 6)PharmacyHeroes.https://pharmacyheroes.com/#world (2020 年 11 月 11 日アクセス) 7)ア メ リ カ 薬 剤 師 会 AmericanPharmacistsAssociation (APhA) : Pharmacistsʼ Guide to Coronavirus.  https:// www.pharmacist.com/coronavirus(2020 年 11 月 11 日 ア クセス)

8)イギリス薬剤師会 RoyalPharmaceuticalSociety(RPS): Coronavirus (COVID-19) https://www.rpharms.com/ coronavirus(2020 年 11 月 11 日アクセス) 9)カ ナ ダ 薬 剤 師 会 CanadianPharmacistsAssociation (CPhA):COVID-19Informationandresources.https:// www.pharmacists.ca/advocacy/covid-19-information-for-pharmacists/(2020 年 11 月 11 日アクセス) 10)オーストラリア薬剤師会 PharmaceuticalSocietyofAus-tralia(PSA):Coronavirusdisease(COVID-19)information for pharmacists.  https://www.psa.org.au/coronavirus/ (2020 年 11 月 11 日アクセス) 11)京都大学 SPH 薬局情報グループ.https://www.kyoto-sph-pharmacy.com/covid-19(2020 年 11 月 11 日アクセス) Table 2 各国の薬局・薬剤師への COVID-19 対策情報提供の概要 FIP ・Web セミナー ・対策ガイドとサマリーの提供 ・各国の薬局の状況をまとめて発信 アメリカ ・CDC:薬局向けガイド ・APhA:予防接種・検査情報の詳しい情報を提供 ・社会不安や市民の不安対策などにも言及 カナダ ・Web セミナーの開催やポスター等の資材提供がさかん ・市民向けにも薬剤師の活躍を動画や SNS で情報発信 ・メンタルヘルスへの配慮 イギリス ・RPS による対策ガイド ・FAQ は NHS などの Web サイトへリンク ・市民の失業補償やメンタルヘルスについての情報なども提供 オーストラリア ・薬剤不足への対応などへの情報が多い ・ガイドは FIP を活用 ・薬剤師会の会長が現場の薬剤師を鼓舞する動画を配信 ・薬剤師の鬱防止で、認知行動療法プログラムを提供 日本 ・薬剤師会がチェックリストを作成 ・FAQ などは厚生労働省が作成 ・京都大学 SPH 薬局情報グループがポスターや動画で情報を発信

Fig. 3 FIP の COVID-19 対策ガイド Part 1「臨床情報のガイドライン」、Part 2「薬剤師と薬局従事者のための ガイドライン」、Part 3「よくある質問と迷信・不安に対するアドバイス」の 3 部からなる。

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