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資本蓄積と貨幣価値 (<特集>経済学)

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資本蓄積と貨幣価値 五四

資本蓄積と貨幣価値

ノ、

は し が き  今日、わが国では、経済成長理論を基礎とした所得倍増計画が強力に展開されているが、それと共に、労働不足、労賃 の騰貴並びに物価騰貴が問題となり、更に国際収支の悪化が問題となって来た。物価問題については、消費財物価の騰貴 の労賃へのはねかえりとその相互作用、建設費の高騰ないし膨張と利子負担および減価償却費の加重による企業の圧迫な どが問題になって来るが、このまま放任され更に助長されるようになると、やがて輸出価格の上昇による国際競争力の弱 化、輸出成長力の鈍化、延いては、わが国の経済成長力にまでひびいて来はしないかという憂も生じかねないのである。  こうした所にもはっきり現われているように経済成長と物価ないし貨幣価値という問題は、経済成長の政策並びに理論 の重要な課題の一つとなって来たということが出来よう。  アメリカでも上院議員P・H・ダグラス︵”p巳寓.一︶。話房︶を委員長とする合同経済委員会︵宣匠気8コ。邑。O。∋ヨ律侍①①︶ でこの問題がとりあげられ、多くの著名な経済学者の参加の下に近年幾多の若書並びに報告が提出されている。そして学        界でもポツポツそれが理論的研究の対象になって来たように思われるが、本格的な展開は今後のことになるであろう。  私もこの問題を胸にいだき乍らも、研究は未だ予備毅階にある程度に過ぎない、ただ本格的な前進をする前に、投資な

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いし経済発展と貨幣価値の問題をおそらく最初に定式化したと考えられるケインズの﹁貨幣価値の基本方.程式﹂を検討し 乍ら、ケインズに欠けている投資ないし資本蓄積の生産力効果をとりいれで資本蓄積と貨幣価値の問題を考えて見ようと 思う。  ドーマールはケインズの﹁一般理論﹂の考え方を批判して、ケインズが投資の所得造出効果すなわち乗数効果のみを取 り上げ、投資の生産力効果を導入しなかった点を指摘し、投資の二重効果をもととして彼の成長理論の基本方程式をうち    ③ たてた。ところで、投資の生産力効果を無視してい.る点では貨幣価値の基本方程式についても同様なことがいいうる。こ うした点に注目し乍ら一歩前進して見ようというのが、この論文の主要なねらいである。 ①国資日睾℃・雪ぎ玲ど国民覧。団ヨ2ρO目。葺ず国拭℃二8い①︿Φす﹀殉①5①≦﹀﹃二9ρ↓ぴ。胃①三①≦oh国8ぎ巨2・巳の雷出獄6ρ団Φ亨  毎帥蔓一㊤①一.はHoぎけ国8昌。巨∩Oo誉日富⑦①の調査についての評論的研究である。なおこの論文の巻頭に右委員会の一九五九年九月から六〇年始  めにかけての研究報告二十数部の題名がかかげてあるが、これ以前にも.ガ9p二〇富霞唱oh勺ユ6①脇8国ooロ。ヨ8ω3げ注讐敵昌α国oo8ヨ宥Oδ≦9..  に関する数多の缶舞二臥αq吟やOoヨヨΦ耳国二〇。。が出版されている。 ②一九五九年十月、十一月渡米の折、カルフォルニア大学にエリス教授を訪ね、﹁経済成長と貨幣価値﹂の問題でアメリカの学界でどのように研究が  進んでいるかという質問をしたのに対し、同教授は右の委員会を中心とする研究活動について話した後、学界でようやく理論的に取上げねばならない  という機運がおこりかけている。自分もいまこの問題についての研究を進めているということであった。 ③.閏くωΦ団∪・UO日叫ひ国ω雛︽ωぎ9Φ画すΦO轡︽Oh国680ヨざO﹁O≦窪℃一㊤㎝﹃噂や謡.㍗c。君臨.周知のようにこの本は一九四六年四月国国oO口Oヨ⑦1  茸ざ。<o一・匡・に掲載した論文以後の論文をあつめたものである。 二  資本主義的な経済発展ないし経済成長の中軸をなすものは、 の進歩と歴史的経験から最早疑う余地はない。       資本蓄積と貨幣価値 投資ないし資本蓄積であるということは今日までの経済学 五五

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     資本蓄積と貨幣価値      五六  ところで、今日の経済成長理論は、物価でデフレートした実質単位︵HΦ〇一 け①︻旨P︶で理論をくみたて、先ず恒常的成長 ︵。・滞油団喚。葺﹃︶の条件を検出するという平ぎ方を主流としている。 このようにして、それは一つには政策上の準則を見 出そうとするわけであるが、他方では右の恒常的生長からの循環的乖離において循環的成長という資本主義の経済変動を 説明せんとするねらいをもっている。  しかし、資本主義経済はもともと貨幣経済であり価格機構を媒介として変動する点は今日といえども変りはない。所得 接近をとるケインズ以後の巨視的経済学は、価格従って貨幣的側面と実物的側面の対立を無視するような実質単位で分析 を進めている点では、現実の説明力という点から見れば、大きな欠陥をもっているといわねばならない。この欠陥は、さ きに述べたように、わが国の所得倍増計画にも含まれているので、それが今日わが国の物価問題に端的に表現されている ということが出来よう。理論的研究をするものも、このような現実を直視し、そこから根本的に考えなおす必要があると 考えられる。  ところで、シュムペーターの経済発展の理論は、資本主義重富済発展を均衡論的にとらえず、徹底的に動態理論として 展開した点に特色をもっている。この理論では、勿論、貨幣的側面と実物的側面が対立においてとらえられ、而も企業革        新︵一5口O︿9祥月〇冨︶ないし新結合の遂行に経済発展の基本動因を見ようとしている。そして、新しい経済成長理論も不安定性        の問題を取⊥げようとすれば、シュムペ三身ーのこうした理論を取入れざるを得なくなるように見える。また戦後の経済 発展もぎ口。<讐δpを無視しては最早説明がつかなくなっているといって過言ではないであろう。  シュムペーターの﹁経済発展の理論﹂は、一九一二年にその初版を出している。その後数回版を重ねているが根本的な 改訂はないし、更に一九三九年には大著﹁景気循環論﹂︵切量器ω。・9号ω︶を公刊しているが、理論的基本線は変,っていな い。従って、彼の経済学の理論体系は﹁経済発展の理論﹂において懸紙完成したと見て大過ないであろう。

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 ところで、彼はこのように経済発展の理論を完成した後、貨幣理論を樹立せんとして﹁貨幣理論の基本方程式﹂をうち         たて、これを中心に論じているが、そこでは発展の理論は殆ど取上げられず、定常的均衡状態を土台として、その上に全         <静態的な理論を樹立したに過ぎなかった。私はかってこの点を問題にして詳論したが、その際、根本的理論として彼の 理論体系は中山伊知郎博士が適切に指摘されたように﹁静態と動態との区別を強調するにすぎてこの両者の交渉に対して        充分な注意を払わなかった﹂こと、従って﹁動態と静態との交渉﹂或は﹁発展を含む循環﹂ないし﹁投資を含む均衡﹂を 体系的に理論化しなかったことをあげた。また、その際も触れたことであるが、中山博士はこの﹁動態と静態との交渉﹂ を理論化するため、リヒ.ター。アルトシェヅフェル ︵置■カ一〇プ一Φ﹃1>一房。ゲ騨頃の目︶ の用語に従ってこの交渉を動態的局面と静 態的領域と見、前者には発展的な企業者の創造的活動にもとつく生産の革新、従ってかかる新結合のための創造信用にも        とつく投資を見、後者には消費者の需要に応ずるところの単純なる生産過程の循環を見るのである。そして両者の交渉を ﹁発展を含む循環﹂または﹁投資を含む均衡﹂としてとらえる。そして動態的局面の作用が静態的領域に対して中立的に        止まる条件こそは、自然利子論にいう貯蓄と投資との均等によって与えられるという。シュムペーターの静学と動学との 前述のような二元的な理論体系が、こうした統一にまでもたらされることなしには、経済発展の理論を彼の貨幣、理論の中        に有機的に理論化する事が出来ないのではないかと考えられる。  ところが、シュムペーターとむしろ対立的でさえあったケインズは、 ﹁貨幣論﹂において、シュムペーターの二元的体 、系を克服し中山博士の謂わゆる﹁発展を含む循環﹂ないし﹁投資を含む均衡﹂という立場から﹁貨幣価値の基本方程武﹂         .を定.害したと見られる。私のこのような見解についてはかって詳論したところで.あるが、ここでは新な議論をすすめるに 必要な限度において触.れるに止めよう。  ケインズは﹁貨幣論﹂において﹁基本方程式﹂を展開するにさきだって﹁私は、貨幣使用の目的とは無関係に、貨幣の全      資本蓄積と貨幣価値      五七

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     資本蓄積と貨幣価値      五八 量より出発する伝統的な方法より脱出して、その代りに社会の収入または貨幣所得の流れと、それの二重の分割、即ち6 消費財及び投資財の生産によってそれぞれに得られた部分と口消費財及び貯蓄にそれぞれ支出される部分とに分つことを        以て出発し喰いと思うしと述べ、その基本的な立場を明らかにしている。高橋泰蔵博士はこの立場を考慮にいれ、ハイエ クの生産構造図式を応用して次のような経済循環図式を発表された。この図式について高橋博士は﹁生産構造を生産段階 として見るハイエクの方法と、最終生産を消費財生産と新投資財生産とに分つケインズの方法とを結合することによっ て、全生産を消費財生産部門と新投資財生産部門とに分ち、直接の消費財生産並に新投資財生産以外の生産財の生産を、   ﹁ーー﹁ーー111。購蓄軌腸一薪楼巨細−−lIーー これに先行し、これら両部門を立体的に構成する生産段階として   一      .    ⑪         第一 図

r;:=二⊃L.学長?.襲毎∫二=

ll  漕費支出 E−s   l貯蓄S;

       一L___一_i   のの    へ の1   ,     つドー一一

魯    所得の構成

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ラ甫二尉R 新投資財C  冷.__ 表現するしと述べている。  この図式はハイエクの生産段階の考え方を導入しているもの の、経済循環として見れば、ケインズの基本方程式の基礎となって いるものを明確に表現していると見てよい。それは次に述べるケ インズの基本方程式をこの図式と対照して見れば自明であろう。  ところで、高橋博士のこの図式は先に述べた中山博士の謂わゆ る﹁静態と動態との交渉﹂すなわち﹁投資を含む均衡﹂ないし        ﹁発展を含む循環﹂を端的に表現していると解すことが出来る。 この図式の左側が、中山博士のいう静態的領域であり、右側が動 態的局面に相当するわけである。シュムペーターは、ここでいう 動態的局面すなわち発展ないし投資の部面を、静態的領域すなわ

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ち﹁消費者の需要に応ずるところの単純なる生産過程の循環﹂から峻別して夫々の理論を二元的にうちたてるに止った のに反し、ケインズは上述の如く、これを綜合した﹁発展を含む循環﹂の場に立って貨幣価値の理論を樹立したと見られ ⑲ る。この理論を表わす基本方程式は次の如きものである。       雪義窯区無誘蘭引π囲呼び無卦廿画嚢        ⑧          ︹識1㊦旗斜凝繭具︺  、・肉旨肉i向 肉1㌧11肉●﹄r,        O 、.置け肉−吻11吋1、+N・一覧ロ﹂門・肉+、1恥       O   ・・。、−一L門+、1恥       O    肉  αきサ善灘凝e強藁呉構㊦踏袖曝勢叫謎一㊦臆母d齢磐d母 ぴ。  ☆へ黛瓦興聾甦矯母㊦自三三矯、、曝箔高叫ふ母繭跳興勢叫舜 サ・詩誉!終B\収︵︸W●菊.ωげ¢50く︶翼☆へ窯X㊦献沁母π溢 Od蝋鶏渡母㊦粛鼓誉三山三三叫ぴ繋θ辻商培曝誉ddぐノぴ。       O  、、・O時ト ㌧”肉・       O ㌧・611守、+NI㌧11肉●O+NI、       O

  ・下雛+N㎝N

         ︹融11㊦三斜d繭跳︺  計.OD肉一己十N     資本蓄積と貨幣価値       ︹融   畑︺ 肉⋮⋮⋮曄泌誘烈職 N、c⋮⋮︵猷︶難踏紐癖臨サ①沁⑤き詩館誘翌黒門瀧。^爆麟葦     ㊦餅鰍撮 肉1、⋮毒灘醍醗認サ①沁①き詩鴻誘ヨ融℃瀧。ぺ善灘母.㊦餅     醗踊 防⋮⋮⋮器   曝 N⋮⋮⋮霜鵬渇廉㌧癖Od︵盗︶難麟濁θ轟三三舜ぐノC州㊦津     即 肉一砺⋮三山一一“融Oぺ善踊ヨ㊦講一一舜ぐノC雨㊦四三副 肉⋮⋮⋮善蹄紐︵沖Qヰー内図︶θ搬 O⋮⋮⋮︵蝋︶洋鵬避θ脚 011肉十〇⋮吟認匠擁 、⋮⋮⋮盤期母㊦自叢渠楼 、、⋮⋮⋮︵蝋︶憩矯理㊦自鼓呉構 H⋮⋮⋮曄禽㊦ぎ怠呉構 P⋮⋮善鯉母野◎θ口紅㊦漣謹〇一口肉−防1︵肉1、︶11NI恥 9⋮⋮貼踏醗野O㊦畝享㊦詮謹0,.・11Ni、        五九

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資本蓄積と貨幣価値   肉1﹄十N !1

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十〇

〇FT  吻 OHO一十◎“・⋮婿享㊦詮藍ゆ理 ◎11、1恥十︵NIN︶日Nl恥 六〇  なお、第二の基本方程式の分子は丞雌︵肉−恥︶+髄鵬︵N︶ でケインズの﹁一般理論﹂にいう総有効需要に相当する。 ケインズは右に述べた基本方程式において一方では、夫々の需要と供給との対立において価格決定を明らかにすると共に その最終の式では夫々の価格水準を産出量の単位当り生産費と単位当り意外の利潤︵又は損失︶の合計として示している。 ①9ωoげロヨ。卑。び円冨。﹁冨ユ興三﹁房。び銭臣。中口.則艮≦ざ匹ロロαq、N磐津QD.㊤潔い中山伊知郎、東畑精一共訳﹁シュムペ三白ー経済発展の理論﹂  一六四頁以下。 ②∪陰出国ヨσΦ﹃堕国8コ。巨∩OH。≦9四巳ぢω母三年ざお㎝①−中臥p⊃8で●己、唱■b。刈。。. ③旨ωo冨ヨ℃Φ什ΦびU器Qり。臨。ピ﹃o三身信具象Φ菊①9窪唱h①昌嚇PO3ωωΦコロ巳し口①一片畠αq①N母OΦ冠38ユ①︿8冨耳ρ﹀旨翫くh霞のoN一巴1  ≦尻ωΦ塁9鋤津ロコ自のoN一9。一ロ。一一瓜ぎbd9瞳﹂一㊤一Q。−oQQQ.㊦ミーコ9 ④拙稿﹁貨幣理論におけるシュムペーターとケインズ﹂バンキング第一〇一号一八頁以下参照。 ⑤中山伊知郎著﹁発展過程の均衡分析﹂二四九頁。 ⑥ 中山博士右著二五七頁以下。 ⑦中山博士右著二六六頁。 ⑧⑨ 拙稿﹁貨幣理論におけるシュムペーターとケインズ﹂バンキング第一〇一号二一頁以下参照。

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9ζ◆国①冒窃℃﹀↓﹃窪識ω①o目]≦oロ①ざ<〇一﹂.娼・一二●鬼頭仁三郎訳﹁ケインズ貨幣論﹂第二分冊一八頁。 高橋泰蔵著﹁国民所得の基本問題﹂八九頁。 拙著﹁増訂再生産と貨幣経済﹂二二四頁 参照。 拙稿﹁貨幣理論におけるシュムペーターとケインズ﹂バンキング第一〇一号二三頁参照。 旨ζ。内Φ冒Φρ﹀↓﹁$ユωΦoロヌ。口。ざく。ド一■℃o●一ω㎝一塁O.鬼頭氏訳﹁ケインズ貨幣論﹂第二分冊一三三、 一三四頁。

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三  ケインズが前述の基本方程式において産出量をコンスタントとして害えていたことは﹁一般理論﹂の序文において彼自        ら﹁.私のいわゆる基本方程式は産出高を一定と想定しての瞬間的描写であった﹂と述べていることを見ても明瞭である。 ただ、彼はこれに続いて﹁それは産出高を一定と仮定したうえで、利潤の不均衡をひき起し、ひいては産出高の変化を要        求する諸軍が如何にして発展しうるかを示そうとする企てであった﹂と述べているのであるが、現実に産出高の変化を規 定する諸力の研究にまでは進んでいない。この仕事は﹁一般理論﹂の主要な課題であって彼自身の言葉で示せば、それは ﹁全体としての産出高および雇傭の規模の変化を規定する諸力の研究を主とするものにまで発展しているのであって、貨        幣は不可欠なかつ特有な仕方で経済機構のうちに入り込むものであることが示されているのである﹂ということになる。 たしかに﹁一般理論﹂では、将来についての予想の変化に対処する経済主体の合理的配慮が、貨幣保有の需要すなわ,ち流 動性選好として現われ、これが貨幣量との関係で利子率を左右し、それがまた資本の限界効率との関係で投資を決定し、 後者が乗数との関係で所得従って有効需要を波及的に形成し、ひいては雇用量従って産出高に影響する仕組みになってい る。ただ、ここでは、投資によって雇用量が増加して、.投資財が増産されたとしても、この増産された投資財自身のもつ 生産力効果にまでは論及していないのである。ドーマールがケインズが投資の乗数効果のみを強調して、その生産力効果 を無視しているというのはこのようなことをさすと見て誤りないであろう。      .  かくの如く、﹁基本方程式﹂における産出量一定という仮定をはずして、産出量の規模の変化を規定する諸力の研究を 主としたコ般理論しにおいてすら、投資の生産力効果はとりいれていないのである。況んや、産出量一定の仮定にとど まっている﹁基本方程式﹂においてそれが事えられていないことは当然といってよいであろう。      資本蓄積と貨幣価値      六﹃

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     資本蓄積と貨幣価値       幕軍  ケインズの﹁基本方程式﹂の背景となっている経済循環を見事に描き出したと見ることの出来る高橋博士の前述の経済         循環図式も投資の生産力効果をとりいれていないことは、かつて私が詳論した通りである。諮りに、中山博士が述べてい         る自然利子論にいう貯蓄と投資の均等においてこの過程がくりかえざれると次々と投資財が生産され蓄積されていく。だ が、この蓄積された資本財の生産力︵〇四℃POHけ蜜︶の影響は無視してよいものか。これが問題である。ケインズの﹁基本方程 式﹂もこのことを考慮に入れれば重要な改訂を余儀なくされるといわねばならない。  ところで、後に進める議論との関係上、ケインズの﹁基本方程式﹂の背景となっている経済循環を私なりに描いて見る と次の如くなる。ここでR部門というのは消費財生産部門で、Aは消費財生産のために調達される雇用労働であり、オは 投資財生産のために用いられる雇用労働である。そしてκは資本蓄積を示す。そのほかは、前述した基本方程式の記号に 従った。        便宜のため図式の下にもう一度﹁基本方程式﹂        8 第=二図 P=       =一十     R    O 〔Shenoyの方程式〕

P蚤一真+1εz

〔第二基本方程式〕 。=E−s+1_旦一+1一∠       o     o    o 〔第一基本方程式〕

   E−S E

li−S

R

を掲げたので、方程式と図式を比較して見・れば 両者の関係は容易にわかるであろう。ところで 問題は図式のKすなわち資本蓄積が何ら経済循 環に生産的に貢献していないことである。すな わち投資従?て資本蓄積の生産力効果は考えら れていない。参考までにシュム。へーターの新結 合をこの図式で考えて見るとそれはKのところ にいれて見ればはっきりする。そしてR部門で

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       ⑥ 旧結合を考えればよいであろう。ただシュムペ下町ーは新結合の新生産力効果は明らかに認めていた。  ①②③↑蜜.閑。旨Φρ09震巴↓冨。蔓。h国ヨ覧。︽ヨ魯r一ケ日目。珍き山言8。ざ一か日ρ唱.≦一・塩野谷九十九訳コ雇傭・利子および貨幣の一般理   論L原著者序八−九頁。  ④拙著﹁再生産と貨幣経済﹂一三四頁以下。  ⑤中山伊知郎著﹁発展過程の均衡分析﹂二六六頁。  ⑥9ωoぎ言℃90さ日冨。ユ①Ω①村≦葺。・oげ早島。冨コ国馨≦8巴自αqlb。﹀自 ω﹂切⑩.中山、東畑訳﹁経済発展の理論﹂二六八一二六九頁参照コ 四  ところで一歩前進するため、投資従って資本蓄積の所得誘発効果と生産力効果の二重性を考慮にいれた経済循環モデル の構成から始めるべきであるが、順序として先ず投資のおこっていない定常的経済循環ないし単純再生産のモデルから出 発しよう。     一  マルクスは単純再生産表式を次の如く表現している。   H 800つ十目OOO讐十δOO§一11800穿   国 卜⊃OOO畠十〇〇〇謡十αOO§b。HωOOO肉§     H興餅隠母餅鰍嬰謡    窯眞餅眠紐叫労ぴ嚇餅鰍唱蠕     目舜恭距翠餅眠嬰濁    沁ミ叫諺膿紐       偽丁聲ごミ[莚冷寿H嬰凄㊦到溝鵬斜層倒野望斜博蜘濯強颪       鳥b。uqぎ§b。興澱為目嬰圃㊦引熾蠣斜M図野卑景植労逮官颪  この場合、生産財生産部門および消費財生産部門が単純化のため、それぞれ個別資本によって担当されるとすれば、再 生産は次の如き資本の運動として現われる。      資本蓄積と貨幣価値      六三

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H

資本蓄積と貨幣価値

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9︷三き禽㌻

       3 前記マルクスの再生産表式は右の資本循環のそれぞれ      ゴ        ミ一 のためには、このミ、一︵窪︶11Q一十q一+ミ一と垂下。︵肉§︶118十q“・十ミb・ よび穿㍗卜。・なる生産要素が購入されねばならない。 図 工 第 A−G−W 六四

−養窒︶蓮τ︷穿8慈−三聖

き︵・解読下︷聾刀鉾雪ぎハ瞭

  

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穿︶︷下び妻三重式・表わ・た・のであ毒生産

      なる生産物が販売され、その代金で再びそれぞれ穿ご﹄一お 財が再生産される。ところで家計の所得合計 、の経済循環は完結する。      上記の経済循環モデルは右に掲げた単純再生産表式を循環図として示    したものである。いま右の再生産表式をこの循環図にあてはめて考えて    いくと次の如くである。 磁       、 除   先ず工部門では前期の産出高㌧ミ︵一1おOOつ+一〇〇〇嬢一+一〇〇〇ミ一H①OOO︶の売上 ら   高①OOOのうちδOOミ一は資本家の所得となりαOOOは新生産の貨幣資本となり、 職.7︶     うちおOOつは窒一の購入にあてられ、一〇〇〇§は労働力卜[の購入にあてられ 君聰 州岬  その結合によって新に①OOO窪が再生産される。これが更に工部門にはらOO穿一  G     が、 豆部門には悼OOO、ミ。。が売却される。 ∬部門でも同様に前期の産出額内ミ     ︵目卜。OOO爵+㎝OO謡+αOOミ“・11し。OOO肉§︶の売上代金ωOOOのうち㎝OOミ。・はその資     本家σ所得に帰し、残り謡OOの貨幣資本からト。oOO3は1部門の.産出物㌧ミ㎜     の購入に、㎝OO嬢。・は︾b・の購入にあてられる。かくして、またωOOO肉ミの消費 HOOO哩一+δ8ミ一+㎝OOqb・+㎝OOミ舶11。。OOOは右の消費財の購入にあてられ、この単純再生産

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図四周

      \、、、     ,/ノ     るこ之が出来る。いうまでもなく上述め経済循環モデ川は単純再生産        のみによって生産されると仮定し、所得は9+§一+貿時・+ミ“・と考え っている。そして㌧ミ一と♪との交換は1部門内に止まる。そこで単純化のため1部門を捨象レて消費財が路一+卜b・11昌  ところで、右の単純再生産においては91ーゴ+ミ一前記の表式でいえば800911HOOOゴ+戸OOOミ瞬はその均衡条件とな 本循環自体が、かかる社会的再生産を媒介とすることなしには成立し得ないことの反映である。 成立の根拠が示されうる。これは、資本家的再生産も一定の歴史的形態をとれる社会的再生産にほかならず、従って、資 れる。各個別資本の循環も家計の循環もそれ自体としては決して成立し得ず、再生産的経済循環を基盤として始めてその  再生産表式は、この図式では、資本と家計の夫々の循環の相互連関が統一的な再生産的循環を形成するものとして示さ       ヘ       ノ   マ     \魅    1      /’〃マ  或は定常的循環を表わしているに過ぎぬから、発展のための投資ない﹁     、、ox 、ーーー−oーーー−−一−,        、      ,    、      ,

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     .資本蓄積と貨幣価値      六六 は第三図は単純再生産ないし定常的均衡の循環モデルであるのに対して、第四図はこれを基盤とした所の﹁投資ないし発 展を含む循環﹂のモデルであることを意味する。  第四図では、以下の叙述の便宜上、消費財部門を第一部門とし、生産財部門を第二部門.投資財部門を第三部門とした。 従って消費財部門を中心とする労働力︵︾︶、生産手段︵、§︶、その、労賃︵感︶、余剰価値︵§︶、その合計蟹1一感+§生産 手段の代価袋にそれぞれ添字︵−︶を附した。これに準じて生産財部門では添字︵2︶を用い、投資財部門では添字︵3︶を用 いた。従って消費財部門から生ずる貨幣所得は,ざ11き+蚕生産財部門から生ずるそれはさ11毒腺§郎・投資財部門から 生ずるものはぎーー、11娯ω+ミωとなる。この場合§は余剰価値であるが正常利潤と考えてよい。簡単化のため、これは 労賃と一緒に前払されると仮定する。この前払される竪+ミより売上が多い場合、その差額は意外の利潤であり、逆の 場合は意外の損失と考える。これらの意外の利潤ないし損失は不均衡において発生すると考えてよい②新設拡張のための 投資財生産のためにN、が金融部門からの借入によって投ぜられ﹄ωの調達によって投資財﹂肉が生産される。投資財生 産部門では労働﹄ωの追加によってのみ生産増加が行われると仮定すれば単純であるが、この部門でも、それに属する資 本蓄積がもたらす、ミ﹂・と出﹂・とによって生産を行うと考えればより厳密になる。  いま投資も貯蓄もない定常的均衡から出発する。すなわち第三図の如きモデルを出発点とする。ただ第四図における記 号は第三図のそれとは異っている。定常的均衡の場合は各記号にドットをつけている。       − 憎⋮⋮満謡轡到職 図11図一十︽。。M 甲、一闘q一十ミ丁︽。。1−q塾。十ミ榔。 O⋮⋮滞遜啓譲踊認矧MO口︽ 肉⋮⋮満点呂譲漉母臨書曲”謙Od癖議 肉11も︵鵠ミ伊十郎一︶ 蜘還禽颪告ぐノC謹謹漸顎口d耀き“饒魁11Hd母ぴ迅ψ   宙Cメ曝茸き弗升晩マノ疎∼恥VH&漁ごヌ味ぐ! 串き毫噺 ●

(14)

    穿⋮盗詠書餅認賀鰍圧擁 緊ミー1、ミ一十︾鳶     茎⋮⋮㌧ミ一甲臼違叫伽蹄暴㍊任     §⋮⋮曳ミ。・π灘叫邸泌誘糾圧     q陪讐ボ§

    ︾⋮虚廊紐藩善自叢呉構㍗恩−

    ∀・⋮爵臨響盗慈自叢呉騰、バ柊        窯     謡詠啓蟄麟冷詳⋮⋮量11図降。11S十§。。   購π         ロ      ロ     コ      ロ        の      コ        リ        ロ       の              、肉11、鵯︵窯一十b炉︶11量十ミ一十ミーーーq阜・十§ゆ十爆一十ミ一目ざ十閃時。  経済が上述の如き定常的均衡を保っている所にぎ口。︿⇔9口その他の投資需要にうながされて投資財部門では金融部門 より信用創造に基づく借入㌧をなし、これを投じて労働力︾.・を調達して投資財﹂内を生産する。これは、実質的に固 定設備および原料の追加ストックと考えてよい。 \肉は期宋に完了し、同じ期末に消費財部門が金融部門で調達した﹂ によって購入され資本蓄積肉に組入れられる。ただ投資財部門も映がもたらす、ミし・を以て投.資.財を生産すると考え る場合は、、は消費財部門の行う投資支出と投資財部門の行う投資支出の合計と老えればよく、鋏は右両部門の資本蓄積 の合計と考えればよい。だから、この場合、隠、§一は消費財部門の所有に、§ωは投資財部門の所有に属し、共にその代 金支払の問題は生じない。  ところ.で、前記の期末に産出される﹂鍾のもたらす﹂、ミ一はこの期の追加消費財﹂沁の生産には間に合わない。従っ て、この期首には前期と同様㌧§扁と︾とで消費財の生産を行い期末には依然沁11働︵㌧ミ一+︾一︶なる消費財が生産を      資本蓄積と貨幣価値      ・       六七

(15)

    資本蓄積と貨幣価値         ,       六八 完了し市場に供給される。他方この期の所得は憾+静+、となり貯蓄は硫であるから 昂+静+㌧1晦11特+N﹁勉淋 この期の消費財需要となる。従ってその価格、は    ℃睡図+粕−硫⋮⋮⋮⋮⋮︵μ︶ 投資財価格、、、は    @・、、−蹄−N証幣、−郎+N駄、⋮⋮⋮⋮・⋮︵・・︶ となる。  ところで、前に述べたように、ケインズは﹁貨幣論﹂で投資財生産から生ずる所得を、とし、消費財生産から生ずる 所得を﹄一㌧としている。従って全所得は﹄11、十三i、である。他方われわれのモデルでは、 定常的均衡においては 91一さであるから、    、涛口量十唱一十ミ一11図噂・十団開 となり、瓦結局この場合消費財生産から生ずる所得を メ+ざ11図として、生産財部門を捨象して考えることが出来る。 そしてそれはケインズの肉IN、と等しいということになる。従って前記の式は

   、11肉1㌧+㌧i硫      ・

となり、ケインズの第一基本方程式にほかならない。また前記のω式の、こを、、に書きかえ﹂hをOと書きかえると この式は   

@・、−砿、+野、・摯ぺ・歯dG﹁窪づ・﹁騨+N駄

(16)

となりvさきに述べたシェノイの基本方程式と同一になるσ  従ってケインズの基本方程式は投資財が生産され販売に供せられ、未だ生産力効果を発揮しない場合の瞬間写真である ということが出来よう。ところが、われわれのモデルでは、次期になって、﹂鋏がもたらす﹂ぎ[が新に調達された ﹂︾と結びついて、期末に﹂罪なる追加消費財の生産を完了して供給すると仮定する。これに関連して﹂ざ11﹂づ+眠茎 が形成される。  以上述べた所を前提として、投資ないし資本蓄積の貨幣所得誘発効果と生産力効果に目を注ぎ乍ら、もう一度投資から 生ずる影響を追跡して見よう。  第一期㌧︵μ︶を投じ期末に﹂肉︵μ︶を生産し誉︶で販売する。添字①は第一期を示す。以下これに準ずる。定常的循環 のバックとなっている資本存在量を別として、新な資本蓄積肉は、これが始まりであるから肉︵ド︶11﹂因︵H︶である。  第二期 日 ﹂肉︵μ︶のもたらす﹂ぎ§︶はこの期に﹂国忌︶と結合して、新に追加消費財﹂肉︵N︶を生産する。      ﹂差︵N︶         1ーミ鱒︶⋮臼㊦謹π討q心餅隠矧瀕θ赫ゆ㊦融恥昌憐      ﹂窯一︵bo︶   

@ −漿P−ミ・・垂・誓暴講掛θ窒謹難饗蕊雪瞬普餅曇軽

  

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│・、§・・..s韓討ま響叢肉eθ譲躍母亀鑑

     ﹂ざ︵M︶         ロN一︵卜δ︶⋮臼㊦濫甲自討qα昧趣﹁﹂ト一㊦弼靱黒お餅瞬、屡      ﹂並︵“。︶   

@ 

ラ羅陥ξ..g響謹窪鞍

     資本蓄積と貨幣,価,値      六九

(17)

     資本蓄積と貨幣価値       七〇   

@ 

@誌︸⋮⋮ ←・︵⋮..s韓警ぴ轟﹂卜・㊦覇塾譲購酵     3︵国︶+陣︵“。︶HN§¥﹂ざ︵N︶11誉一︵悼︶+﹂§︵悼︶舜ぴサ欝      塞叩.u・§ミ・母..臼㊦奨臼菖ぴ糞塁濫翠巌︵﹂騰・︶隷講  なお、ここで﹃を分析して食+葡にまで進めたのは、労賃率袋が物価水準決定にとって決定的重要性をもつので、 この点を明らかにせんがためである。  口 ㌧︵トコ︶が投ぜられ期末に﹂映︵卜。︶が生産されN︵悼︶で買われ資本蓄積に組入れられる。この期末の資本蓄積肉︵笛︶1一﹂肉︵ ︶ ︵同1、︶+﹂因︵卜・︶但し、は消耗率である。いま第二期における消費財価格水準の方程式を求めると次の如くなる。     、︵卜.︶“o+鳶︶+﹂雌︵・診︶占︵・。︶⋮⋮⋮⋮⋮︵ω︶       肉+﹂肉︵卜。︶ 晋篤C誉烈①サCd     ﹂留︵馳︶11賛︵鱒︶匙︵b。︶q︵b。︶内︵μ︶H︵食昌︵爬︶監房︵卜。︶︶匙︵N︶q︵“。︶肉︵μ︶︾ L肉︵酌︶11q、︵b・︶q︵b・︶肉︵μ︶ d母ぴサ9臼き騒げ㊦跳甲臼湾メ叫び伴黛㊦醤く舜ぴ・    、︵b⊃︶11G+N、︵N︶+︵撰N︶+旬H︵N︶︶喬︵N︶q︵N︶肉︵μ︶占︵N︶⋮⋮⋮⋮⋮︵璽︶        肉十q、︵b。︶q︵b・︶内︵H︶ 以上述べた所に基づいて一要素に工期の消費財価格水準の基本方程式を求めると次のようになる。

  

@、s”。+、舗聚.−物s−−⋮−−︵膳︶

(18)

    空︶一○丸︵・︶+︵袋糧よ匪︵・︶︶畠︵・︶q︵・塗㍗同︶占︵・︶:⋮⋮⋮⋮.︵心・︶        肉十q、︵蛛︶q︵牒︶肉︵馬lH︶  この場合肉︵、一μ︶は、一H期末、従って味期首における資本蓄積量である。     肉︵味L︶“﹂肉︵㍗ミ︶︷一1︵謡一H︶←十⋮⋮十﹂肉︵→悼︶︵一1、︶十﹂肉︵→ド︶ この肉︵㍗μ︶の産出する﹂穿ξ︶は、期に﹂︾μ︵味︶と結びついて﹂需︵肺︶を生産しこれと関連して﹂雌︵味︶が誘発されるこ とは前に述べた所から明らかである。  右の基本方程式において資本蓄積の貨幣所得誘発効果すなわち   

@ 

站チ⋮喜sミs−︵・・⋮+蔦§︶ミs

と資本蓄積の消費財生産効果すなわち.     ﹂肉︵牒︶ 、        “q︵鳳︶q︵帖︶     h︵肺L︶

が決定的な役割を警ている.それは・もに鰻.準§すなわち集金の生産力効果塞熱している.そして

これこそがケインズによって看過されたものである。このことはq︵鳳︶一10とおけば、上記の基本方程式はケインズの第一 の基本方程式となるところからも明らかであろう。.すなわち、q︵咄︶結Oならば、上記の式の﹂ざ︵執︶と﹂沁︵怖︶とはゼロと なり、次の如くなる。       ロ       の   孕︶鷲ゆ+、︵指硫Q︶財㊦沸θ里欝N︶童至正伴 ㌣o+肉−偽 伴贈ぴ.         肉       勾      資本蓄積と貨幣価値      r     、       七一.

(19)

     資本蓄積と貨幣価値      七二  前にも述べたように011図はケインズの記号で書き換えれば肉1き沁は肉であるから、右の式は次の如く書き換 えられ、ケインズの第一の基本方程式となる。   

@ 

コ肉丸徽占學ぺ講珍く肉−㌧−㊥・肉d二言 二軸+憶矧硫

 さて、われわれのモデルにおいて総労働力供給量を﹄︵縣︶とした場合︾︵牒︶1︵︾+︾じ・︶膨郎ω︵、︶+﹂︾る︶である限り、 資本蓄積肉︵口占︶の消費財産出効果も所得誘発効果︵従って雇用需要効果︶もフルに有効に発揮されるが、卜︵曝︶一︵出一十 出5・︶︿︸︵咋︶+﹂卜§となる場合、すなわち完全雇用限度をこえて、︵妹︶および﹂穿μ︵、︶ にもとつく雇用需要が生ずる場 合はq︵鳳︶肉︵帖占︶h﹂ぎ昼︶も充分な﹂炉を伴うことが出来ず﹂肉︵咄︶の産出も充分には出来なくなるか、或は︾ が充 分に調達出来ず沁の産出量に影響し︵ともかく肉+﹂肉Q︶ーー沁︵陣︶が充分に伸びることが出来なくなる。またト。や郎辱・ の調達にも影響し﹂肉およびぎじ・”穿一の生産にも悪くひびいてくるかも知れない。他方全体として労賃二食︵咄︶は騰 貴し結局インフレ的物価騰貴をひきおこすこととなる。  これを要するに、投資従って資本蓄積が雇用余裕度トー︵鋸+眠b・︶ どの関係において誘発する消費財産出効果は追加 消費財の供給量L肉を決定し、投資と資本蓄積が誘発する追加所得は貯蓄との関係において追加消費財需要以Oを決定 する。かくして、さきに述べた基本方程式にほかならない     ミ︶一−⑩+鳳陰卜−一。︵p        肉+﹂肉︵帖︶       簿蛛︶ という消費財価格水準の動態的決定の機構が成立する。  前にも述べた如く、資本蓄積肉︵㍗目︶は﹂図萎︶11廿︵味嵩︵鳳︶q︵鳳︶映︵→同︶の関係で一定の追加所得を誘発するが、この所得

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﹁と誉聾︶の形成する所得との湘から貯蓄砺︵殊︶を差引いたものは、消費財需要のための貨幣増発となる。かくして消費財       ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ  ヘ   へ 価格水準、従って貨幣価値が安定するか否かは、貨幣増発が消費財の拡大再生産を有効に媒介しうる度合にかかっている ということが出来る。  もっとも、ケインズの第二の﹁基本方程式のように譲曝母+洋麟母という意味における全産出物の価格水準の決定機構 を以て貨幣価値決定機構と考えることも出来よう。その場合、われわれの老え方からすれば、かかる意味の物価水準§は        檎+﹂o︵・︶+N︵・︶110+鳶妹︶+﹂図§占︵・︶+辱、︶⋮⋮⋮⋮⋮︵q︶     笥Q︶h       肉十﹂肉︵駄︶+﹂肉︵帖︶        肉+﹂肉︵味︶+﹂映︵肺︶ これは  G+、︵鳳︶+﹂ざ︵駄︶目図︵鄭y沁+罠︵鳳︶11勾︵鳳ご尽賎︶i鉾へ︶116︵鴨︶とすれば、ケインズの第二基本方程式の形式に従って         メ、︶+N︵亀︶1孕妹︶⋮       ⋮:::八α︶     濁︵、︶h         沁s+﹂肉︵縣︶ と書き換えることも出来、また﹁一般理論﹂の形式に従って、次のように表現することも出来る。         O︵味︶十押覧︶        ::::・:二:︵刈︶     ㌶︵蛛︶11        肉︵嚇︶十﹂内︵馬︶  而してN︵帖︶”勲帖︶であれば二般理論しにおけるが如く、図︵鳳︶110︵帖︶+層Sとなるが、ミ︶才防︵牒︶ならばこのようになら ない。﹁一般理論﹂はN血振の場合Nが乗数効果によって所得水準憎を動かし、従ってOおよび砺をうごかしてN“吻 図110+Nで均衡する場合を古謡っているに過ぎない。われわれの場合、この均衡の場合も含みうるが、そうでない場合 をも含む物価水準の動態的決定機構が問題となっている。      ’  このように形式としては﹁貨幣論﹂の﹁第二の基本方程式﹂にも﹁一般・理論﹂の取扱い方にも似せることは出来るが、 ケインズの右のいずれの場合とも異り、根本において資本蓄積の生産力効果を考慮にいれている点が、われわれのモデル      資本蓄積と貨幣価値       七三

(21)

     資本蓄積と貨幣価値       七四 の特徴である。  以上に展開した考え方は定常的均衡を出発点とし、それに対する追加的需要と追加的供給を決定する要因を考え、この 如何によって如何に価格水準が変動するかを問題としている。従って、資本蓄積といっても追加的需要ないし供給に影響 を及ぼす所の追加的資本蓄積のみを問題としているので、これは定常的均衡の基礎となっている資本存在量を除外してい る。そこでいま、これまでの定常的均衡を出発点とする考え方をすて、従って資本蓄積に右に述べた資本存在量を含めて 考えると次のようになって来る。  右のような意味における資本蓄積を肉とし、これを固定設備および原料ストックとする。この場合、ード期の資本蓄積は     肉︵味L︶日﹂肉︵㍗蕊︶︷μ1︵§1目︶、︸十⋮⋮十﹂肉︵帖1ひ。︶︵一1、︶十﹂因︵咋一μ︶  この肉︵㍗目︶は、期にぎ一+ぎ.・+窓ωなる生産力効果を.発揮する。ぎωは投資財生産に用いられる生産用役で、 これは毎ωと結びついて期末に﹂肉︵賎︶を生産する。§口+§警・は結局消費財生産のためのものと解してこれをぎ、とす る。従って︾+卜昏・もト、とし、昌⊆・およびぎωは夫々﹄馬およびき軌とする。然る場合     ㌔ぎる︶        Dミ︵肺︾  曳ミス軸︶日ミ︵騨︶﹂︵︵7一︶     肉︵“⊥︶     箏§︵肺︶        ”S︵軸︾  ㌔ミ答︶11q塾︶肉︵7一︶     肉︵竿一︶   

@ 

_h艶︶−咲き・肉⋮−咲ミき内・エ︶

    践

       口q、誉︶も.・ ﹂内”q、誉︶q誉︶肉︵“1一︶     ㌧§︵購︶     ︾誉︶        1ーミ︵鮮︶: ︾ス肚︶門ミ︵“︶ミ︵昏︶内︵一−叶︶     穿る︶

(22)

  

@ 

堅h︶−§ぎ−・⋮§肉・エ︶

    さ11竪、十ミ、     ざ11N、11♂十ミ笛     −鞭−−ミ⋮善躍理餅臨s昧翻儀     靡−・・.韓踏遭餅轡瞭鱒楓     鱒←・..薩躍醍餅臨瞭轡㊦臣薫藷醗曝解     鱒墨・−薄踏葺餅鰍昧轡㊦目蕪ロ薔餅鳳降     ざ・︵肺︶ロ︵孚︵“︶十孕︵“︶︶魯る︶qる︶肉︵→一︶     さ︵軸︶1一、︵h︶11︵ミ︵躰︶+鳶答︶︶合答︶q誉︶肉︵→一︶  従って前述の⑥式は次の如く書きかえることが出来る。すなわち         ︵黛λ弊︶十旬ミ︶︶ミS♀︵鴨︶内︵㍗ド︶+︵纂︵馬︶+曾︵、︶︶§︵縣︶S︵、︶映︵㍗μ︶十ミ︶1恥︵肺︶     刹︵、︶11      q、きq登きし︶+q、§§︶肉︵工︶        :⋮⋮⋮⋮.︵。。︶     ミーーミー1鼻や閥奪11恥伴呼き弗         ︵黛十b︶宕養︶qミ︶映QL︶十畠ミ︶qミ︶肉︵執L︶︸十NSl軌︵蛛︶        ⋮・::・⋮⋮︵O︶     論︵琵日        qべ︵肺︶ミS肉︵、ム︶十q、ミ︶s︵、︶因︵牒Ih︶  この基本方程式は根本において資本蓄積の生産力効果をはつぎりさせ、これに基づいて消費財および投資財の産出効果 と所得誘発効果との関係において物価水準の変動機構を明らかにせんとするねらいと労賃率と労働の正常利潤生産性の如 何がここで演ずる役割を明瞭にせんとするねらいをもっている。従ってこの方程式をもととして、回ま日本で見られるよ うに彪大な設備投資がなされ、宋だそれが投資財および消費財の産出効果を充分発揮しないうちに労働不足から労賃率が      資本蓄積と貨幣価値       七五

(23)

     資本蓄積と貨幣価値      七六 騰貴し物価水準が騰貴しているという事態を説明することが出来る。 舛詩   ミ︵監︶♀︵肺︶肉︵咋1μ︶11卜、︵帖︶   ... ♀︵篤︶﹂︵︵㍗ド︶“μ\匙養︶・卜λ咋︶   §︵咋︶q養︶.肉︵㍗け︶11郎悉︶   ・。● ミ︵蛛︶肉︵妹ム︶11μ\畠養︶・︾ミ︶ d母ぴ愚ノ①堕臼き曝︵O︶異π冷メ叫び陛賢θ卦ロ︿舜ぴ     ミ︶11 ︵黛芯︶︵単︵・︶+郎竃︶+ミ︶1砺︵、︶⋮⋮⋮⋮.:︵§          q﹃s卜養︶+qミ︶溢︵帖︶          轟、︵味︶        畠画︵監︶  この妹をはずしN11防とおけば︾憶+掛11﹂<とし、肉+﹂肉119さ+尽h図とおけば0110︵㌧6導図11︽︵㌧6となり       図︵N6     あロ       ロ       O︵﹂︿︶ となる。こうすれば、﹁一般理論﹂的な表現となって来る。ただ、このようにすれば、資本蓄積の生産力効果および所得 誘発効果は表面から姿を消してしまうわけである。  次に一般物価水準斜の成長倍率O同を求めると次の如くなる。     O昌11 貝覧︶ ⋮⋮一贈曹強洪懸㊦爵畑粛樹        §︵牒1μ︶     9−b︵・︶       ⋮⋮讃調畑㊦鳥野禽樹u︵Q。︶齢θゆ呂州逗パb︵琳︶伴呼び。        b︵㍗H︶     9−o︵・︶       ⋮⋮お瞬庄脚︵肉十﹂因︶㊦爵畑粛樹”︵Q。︶外㊦ゆ醸轡逗パO︵、︶伴呼が。        O︵殊L︶         O“     Oq11

    、  9

(24)

また消費価格水準の成長倍率︵○サ︶を求めると次のようである。 O特11 O“11

沁90ミ、

S−  1, lo一 :/”     o−

 Ul

 Q

:⋮:善酵母強叢済槽㊦爵畑粛樹 O、11

輪踏胡驚︶−⋮毒還粥δ撃手

911

肉︵→μ︶ O“ O憶 ⋮⋮:⋮⋮⋮⋮・⋮⋮⋮:理窟鐸蕪叢δ鳥如粛榔  従来、貨幣価値は﹁般物価水準の逆数として考えられ、後者は諸価格の平均として考えられて来た。然るに諸価格は再 生産体系の反映である価格体系と考うべきではなかろうか。従って貨幣価値も当然かかる価格体系を基礎として考うべき ではないかと思う。そして、価格体系において、真実の所得を形成する消費財の価格は、中心的意義をもち、全価格体系 はこれを中枢として全体的な動きを呈すると考えることが出来る。詳言すれば、入間生活の維持発展を直接的に支えるも         のは消費財であり、従って諸価格中で消費財価格は実質所得決定の重要な鍵である。だから、色々な価格の動きも消費財 価格水準に影響を表わすや、それが労賃に影響し、更に労賃は全体の価格水準を動かし、従って一般物価水準をもうごか して来るということが出来る。それ故、貨幣価値を表わすのに、投資財、生産財更には軍需品をも含めるといヶ意味での 諸財貨の価格の平均値を以てするよりも、前述の意味において価格体系の中枢をなす消費財価格水準をもってする方がよ り合理的であると考える。されば、貨幣価値の加速度的低落を来す悪性インフレーションも、このような行き方をとって こそその合理的な説明が出来ると思う。       ︵一九六一年八月末脱稿︶      資本蓄積と貨幣価値       七七

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