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JAIST Repository: 発明者情報をもとに抽出した国立大学の教職員による特許の実態

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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 発明者情報をもとに抽出した国立大学の教職員による 特許の実態 Author(s) 細野, 光章; 中山, 保夫; 富澤, 宏之 Citation 年次学術大会講演要旨集, 32: 313-317 Issue Date 2017-10-28

Type Conference Paper

Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/14903

Rights

本著作物は研究・イノベーション学会の許可のもとに 掲載するものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Research Policy and Innovation Management.

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1.はじめに 大学における科学研究はイノベーティブな新技術 の主要な源泉の一つであり、その実態を把握するた めに、学術論文を用いた科学の定量化に加えて、知 の社会還元のための主要な形態として技術の側面か ら、発明の特許化や利用活動について知ることが必 要である。 大学で創出された発明は、知的財産としての権利 化と産業利用を促す各種の政策的支援が奏功し、国 立大学の法人化以降、特許権取得のための出願は 急増した。また、大学の役割として教育、研究に加え て、社会貢献が明示的に位置づけられ、大学は産学 連携活動や知的財産の活用に関して、自己の特色 を考慮しつつ、自身の戦略的な運営方針及び施策 を考え、その実現に向けた実効的な活動計画の策 定・実行が求められるようになった。 本稿では、文部科学省科学技術・学術政策研究 所(以下、NISTEP という)で調査分析した国立大学に よる発明の特許出願状況について、調査資料として 取りまとめた中から一部を抜粋し報告を行う。 2.調査分析の手順 調査分析は、以下の手順で実施する。 StepⅠ 特許出願の特定 国立大学の研究者による発明について、特許権を 取得するために行った出願(以下、「国立大学発特 許出願」と呼ぶ)を特定する。特許出願の特定方法は 後述する3項に記した 5 つの方法である。 ここで言う国立大学の研究者とは、大学教員であ る教授、准教授、助教、助手、講師のほか、客員教 授、特任教授などの非常勤教員、学部・大学院の学 生、留学生、特別研究員などの契約職員、および技 術職員などの教職員等を指す。 特許出願は特許庁が発行する公開特許公報、公 表特許公報、再公表公報等をデータソースとする特 許情報の商業データベース((株)日立システムズ、 SRPARTNER 国内・国外版)を用いて特定する。従っ て、特定する特許出願は国内特許出願である。 外国出願はそれら国内出願を基礎出願とするパリ 条約に基づく優先権主張や日本を指定国とする国際 出願の国内移行情報により把握する。 StepⅡ 発明者の所属機関の特定 特定した特許出願の発明者について、特許書誌 の出願人名、発明者名及び発明者住所をもとに、 KAKEN、日本の研究.com 等の研究者情報検索や CiNii Articles、J-GLOBAL などの科学技術情報検索 等の各種の Web 情報を活用して、発明が行われた 時点の所属機関を特定する。 StepⅢ 国立大学発特許出願データベースの構築 特定した 1993 年度~2013 年度の国立大学発特 許出願数は 61,414 件である。 これら特許出願について、出願番号、公開番号な ど特許出願を一意に識別する情報や、出願人、発明 者、発明者の所属機関、発明の名称、IPC などの技 術内容などの書誌情報、要約、審査請求状況、審査 状況、外国出願情報などを収めた国立大学発特許 出願データベースを構築する。 StepⅣ 分析 構築した国立大学発特許出願データベース及び 分析目的に応じた他のデータを加えて分析を行う。 3.特許出願の特定方法 国立大学発特許出願であっても、次の a.~d.の場 合は公報から国立大学の名称で出願人情報を検索 しても当該の特許を特定することはできない。このた め、特定方法 2~5 に記載する方法を用いて特定を 行っている。 a.研究成果の民間等への移転促進のためにTLOか ら出願 b.大学が権利を承継しない発明で発明者(個人)又 は発明者から権利譲渡された企業等から出願 c.出願前に大学から企業等に権利の有償(又は無償) 譲渡が行われ、譲渡先から出願 d.補助金などにより発明が行われた場合で、契約で 定められた権利者から出願 特定方法1 国立大学を出願人とする特許出願 出願人が国立大学法人又は国立大学長である特 許出願について出願人検索を行うことで特定する。 法人化以前もデータベース化するため、現 86 国立大 学に加えて、統合又は移行した 17 大学の特許出願 についても特定している。 特定方法2 TLOを出願人とする特許出願 外部TLO35 機関(承認 TLO)の名称で出願人検 索を行うことで特定する。広域TLOの場合、発明者 の所属情報を確認し、発明者に国立大学の研究者 が存在しない特許出願は排除する。

発明者情報をもとに抽出した国立大学の教職員による特許の実態

○細野 光章 (文部科学省科学技術・学術政策研究所/岐阜大学) 中山 保夫 (文部科学省科学技術・学術政策研究所) 富澤 宏之 (文部科学省科学技術・学術政策研究所)

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特定方法 3 ファンディング機関を出願人とする特許出願 科学技術振興機構ほかの機関(統合又は変更前 の機関名を含む)について出願人検索を行うことで 特定する。さらに、発明者の所属を検証し、発明者に 国立大学の研究者が存在する出願のみ選択する。 特定方法 4 発明者住所を利用した特許出願 発明者住所に国立大学名の記載があり、且つ当 該発明者が発明当時に同大学の研究者であると確 認できる特許出願を特定する。 特定方法 5 発明者同定による特許出願 発明者個人、或いは企業等に権利を譲渡された 出願で、特許書誌に大学名などの手掛かりがなく通 常の検索では見つけることのできない出願を見つけ 出すために行う。国立大学の研究者の姓名と同人が 発明に関与した最低 1 件の特許出願をソースとして、 同姓同名者の出願情報を集め、出願人、共同発明 者構成、住所の近接性、特許全文の類似性などを判 別することにより研究者と同一者の出願を特定し、そ の発明が国立大学所属当時に創出されたものである ことを確認する。 4.国立大学発特許出願データベースの特徴 上記のように構築した国立大学発特許出願データ ベースは次の特徴を有する。 ①多様な出願形態を考慮して、可能な限り国立大学 発特許出願を網羅性高く収集したこと ②法人化前の 1993 年度から 2013 年度に渡る長期間 の国立大学発特許出願を収集していること ③発明者は全て名寄せが行われ、同姓同名の別人 は区別した取り扱いが可能なこと ④特許出願した発明がなされた時点の発明者の所 属情報が付加され、発明者個々人のライフサイク ルに渡る特許出願状況を定量化することがきること 5.国立大学発特許出願状況 5.1 国立大学発特許出願数 国立大学発特許出願データベースによる年度別 の特許出願数は図 1 の棒グラフに示す通りである。 (以下、本稿の分析対象年度は 1995 年度から 2012 年度の 18 年間である) 42 43 90 174 231 307 362 448 896 2,842 4,590 4,968 4,332 4,150 4,164 4,032 3,914 3,949 368 395 521 768 1,049 1,582 1,889 2,468 3,282 4,144 5,331 5,751 5,196 4,994 4,906 4,755 4,638 4,631 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 特 許 出 願 数 年度 図 1 国立大学の出願人検索による特定範囲 同じく、図 1 の面で表したグラフは、3項の特定方 法 1 に記した国立大学の名称で出願人検索した特 許出願数であり、5 つの特定方法の中で、一番容易 且つ一般的なこの特定方法で国立大学発特許出願 数のどの程度特定できるかを表している。 従って、棒グラフと面グラフの差分は、3項 a.~d. に記した特許出願であり、特定方法 2~5 を用いるこ とで抽出することが出来た特許出願である。 データベースのこうした国立大学発特許出願の網 羅性によって、特許を受ける権利が原則個人帰属と されていた国立大学の法人化前の特許出願状況が 可視化できるようになった。 5.2 出願人の構成 国立大学発特許出願の書誌に記載される全出願 人の構成を図 2 に示す。 図は各年度の出願人区分ごとの出願人数小計を 同年度の出願人数合計に対する割合で示している。 ここで、国立大学は高等教育機関に含まれ、且つ高 等教育機関による出願のうち 98%以上を国立大学の 出願が占めることから、高等教育機関は国立大学に よる出願と置き換えて見て差し支えない。 図 2 から、国立大学法人化後の権利の機関帰属 が可能になったことを主因とする国立大学からの出 願の急増により出願人の構成率が激変したことが見 て取れる。 出願人に承認TLOが現れるのは 1998 年度以降 であり、同年は大学等技術移転促進法(承認TLO制 度)の制定・施行年である。法人化後、承認TLOから の出願が先細りとなっているのは、知的財産の組織 的な創出・管理・活用を図る体制を整備する大学知 的財産本部整備事業が開始され、外部 TLO に代わ り大学内部組織にて事業実施する選択を行った大学 が増えたことによる。 また、法人化前の大学の研究に基づく発明に関す る権利は、昭和 53 年の文部省通知により国の承継 基準に非該当の発明は個人帰属とされていたことも あり、「その他」の大多数は出願人として国立大学の 研究者の個人名が記載された出願となっている。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 出 願 人 の 構 成 年度 その他(個人など) 高等教育機関 TLO 公的機関 国内営利企業 外国機関 医療機関 図 2 出願人の構成 5.3 国立大学と企業の出願比較 5.2項でも述べたが、国立大学の法人化後は、主 に次の理由により国立大学からの特許出願が急増し た。 1K03.pdf :2

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①特許を受ける権利の機関(国立大学法人)帰属 が可能になったこと ②国立大学法人は国とみなされ特許関連諸費用 が免除されたこと(産業技術力強化法附則第 3 条) ③法人化後の大学評価(産学連携活動)の指標の 一つとして特許の出願実績を重視したこと 図 3 に示すように、国立大学からの特許出願数は 2006 年度をピークとして 2007 年度から減少に転じた。 これは特許料金の要因が大きく、2007 年度より国立 大学の出願料は免除から全額負担に変更され、先 願の地位を確保するための安易な出願が許されなく なったことが挙げられる。 国立大学からの特許出願のうち、国立大学の単独 出願の割合(図 3 折れ線〇マーカー)は、法人化以 前は減少傾向にあるものの高い水準にあるのに対し、 法人化以後はさらに減少し 2010 年度からは 40%に 満たない状況になった。同様に、企業出願(他機関と の共同出願を含む)のうち、企業の単独出願の割合 (図 3 折れ線□マーカー)も、法人化を境に急激に減 少し、直近は 10%台半ばで推移する。 これらの事柄は国立大学又は企業の単独出願が、 企業が減少し、国立大学の共同出願に変化した事 象(特に企業の単独出願において)の裏返しに他な らない。(図 3 棒グラフ 国大・企業共同出願参照) そうした中において、法人化後の企業が単独で 行っている特許出願は、法人化前の大学の研究者 が出願作業を企業に一任していた出願とは一変し、 企業にとって真に価値の高い発明のみ大学から権利 の譲渡を受けて出願していると考えられる。 5.4 外国出願 日本で特許権を取得してもその効力は日本国内 に止まる。外国において発明の保護等を受けるため には、外国の特許庁に特許出願を行う必要がある。 これを外国出願という。 外国出願を行う方法として、直接各国に出願をす る 場 合 と 国 際 出 願 ( 特 許 協 力 条 約 ( Patent Cooperation Treaty)に基づいて行なわれる出願でP CT出願ともいう)を経由して各国へ移行する場合の 二つに大別される。 外国出願を行う場合、通常、先に国内出願を行い、 その出願日より1年以内にパリ条約による優先権主 張を伴って権利化を望む国に直接出願する。特許権 を取得したい国が複数で出願費用を抑制したいなど の事情がある場合、PCT加盟国(2017 年 6 月 9 日現 在で 152 ヶ国)すべてに同時に出願したことと同じ効 果を与える国際出願が行われる。 図 4 は、国立大学発特許出願について、それらを 基礎出願とした優先権主張出願や国際出願の国内 移行に該当する外国出願を実施した国立大学発特 許出願の数を示したものである。 棒グラフの全高は各年度の外国出願が行われた国 立大学発特許出願の総数であり、系列(積み上げ要 素)は外国出願の内訳である国際出願(PCT出願と 表記)と直 接 出願等(各 国直接出 願 やEPC出願 (ヨーロッパ特許出願))の出願数を示している。 図 4 の折れ線グラフは、各年度の国立大学発特許 出願数のうち外国出願が行われた数が占める割合で あり、1990 年代の 20%半ば程度から、近年は 40%超 に倍加している。 国際出願は、法人化直後は外国出願数の 30%程 度であったが、近年はJSTの知財活用支援事業など の成果もあり、10%程度増加し外国出願される国立大 学発特許出願の 40%程度が国際出願となっている。 705 692 473 480 385 247 190 116 50 29 18 18 4 4 3,282 4,213 2,350 2,357 1,597 1,099 758 312 133 106 81 55 25 29 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 外国出願数 出 願 国 数 図 5 出願国数 図 5 は、外国出願する場合、どの位の数の国に出 願するのかを知るために表した図である。外国出願 の優先権主張のもとになった基礎出願又は国際出願 について、出願国の数別に該当する出願の数を、国 立大学法人化以前 9 年間(1995 年度~2003 年度) と法人化後 9 年間(2004 年度~2012 年度)に分け対 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 単 願 率( %) 特 許 出 願 数( 整 数 カ ウ ン ト) 年度 国大出願 企業出願 国大・企業共同出願 国大単願率 企業単願率 図 3 国立大学の出願と企業の出願 80 88 123 199 243 347 421 601 736 834 1,065 1,152 1,159 1,101 1,088 1,084 1,190 1,137 5 15 13 22 22 66 86 107 249 389 759 876 733 648 790 889 788 805 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 年度 外 国 出 願 率( %) 外 国 出 願 数 直接出願等 PCT出願 外国出願率(%) 図 4 外国出願状況

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比して示している。なお、国内出願は出願国数に含 めていない。 図 5 に見る通り、出願国数のピークは 1、2 箇国で あり、この状況から出願費用の点で各国直接出願に 代わって国際出願が主流になるということは考えにく い。 6.発明を行った国立大学の研究者 ここで構築した国立大学発特許出願データベース の特徴として、発明者に関する情報の充実がある。 具体的には、書誌情報に記載される発明者は全て 名寄せが行われ、同姓同名の別人は区別した取り扱 いが可能なこと、また、特許出願した発明がなされた 時点の発明者の所属情報を付加していることから、 以下に示すような分析も可能であり、また、発明者 個々人のライフサイクルに渡る特許出願状況を定量 化することもできる。 6.1 発明を行った国立大学の研究者数の推移 図 6 は特許出願した発明を行った国立大学の研 究者の数を年度ごとに示している。 334 317 398 465 596 775 891 1,198 1,573 2,203 2,941 3,394 3,557 3,523 3,471 3,333 3,480 3,336 528 525 734 1,062 1,477 2,208 2,717 3,686 4,538 5,757 7,487 7,807 7,335 6,963 7,220 7,117 6,803 6,763 697 728 1,000 1,512 2,122 3,242 4,057 5,420 7,348 9,039 11,954 12,821 11,755 11,108 11,365 11,109 10,756 10,699 0 5,000 10,000 15,000 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 年 度 研究者数 国大の研究者数(延べ) 国大の研究者数(実研究者数) 産学共同発明を行った国大の研究者数(実研究者数) 図 6 発明を行った国立大学の研究者数 図 6 では、研究者の延べ数に加えて、同姓同名の 別人を区別し名寄せした実研究者数も示している。 また、それらの研究者のうち、産学共同発明を行った 研究者の数も合わせて示している。 1995 年度~2012 年度を通した発明の特許出願実 績を持つ国立大学の研究者は 38,626 名(実研究者 数)である。また、産学共同発明を行った発明者は、 法人化後では当該年度の国立大学所属の発明者の 半数程度である。 6.2 国立大学の研究者の特許出願数 図 7 は、特許出願数階級別に国立大学の研究者 数を示したものである。ここで、研究者数は名寄せを 行い同姓同名の別人を区別した実人数であり、特許 出願数は整数カウント法による。 100 件以上の特許出願実績を持つ研究者が存在 する一方、1 件のみの者の割合は特許出願実績を持 つ国立大学の全研究者の過半数(53%)を占めるな ど、発明者の出願数に偏りが生じている。偏りを示す ジニ係数を計算すると 0.57 であり、「1995 年度~ 2012 年度の特許出願数(累積数)上位 20%の国立大 学研究者による特許出願数の合計は、全国立大学 の特許出願数のおおよそ 65%を占める」程度の偏りで ある。 6,439 5,018 2,229 1,285 818 1,101 499 263 182 172 108 36 13 15 20,448 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 20000 21000 国 立 大 学 の 研 究 者 数 特許出願数 図 7 特許出願数階級別の国立大学の研究者数 7.地域内連携により発明された特許 国立大学の教育・研究と並ぶ使命として社会貢献 がある。大学と企業等の研究者とが共通の課題につ いて対等の立場で共同して行う共同研究などがそれ であり、様々な形で地域や産業界に貢献している。 そうした活動を通じて、国立大学の研究者と企業 の研究者が共同で行った発明が如何に特許出願さ れ、また、特許を通じた技術移転がなされているかを 知ることは意味深い。 国立大学の産学連携・技術移転活動の状況は、 文部科学省による「大学等における産学連携等の実 施状況調査」において調査されているが、大学と共 同研究を行った企業の名称等の調査は 2003 年度以 降行われていない。 幸い特許は出願人や発明者の名称、住所が公報 されており、それらを利用することで、特許出願に関 する産学連携状況の可視化が可能になる。ここで は、国立大学と企業との地域内連携(同一都道府県 内)について、共同発明企業の所在地ごとに分数カ ウントした特許出願数を使って定量化した内容につ いて報告する。 7.1 共同発明企業の所在地 共同発明企業として出願人情報を用いると、出願 企業は実際に発明に貢献した企業の一部に過ぎな い場合があること、発明企業の知財を管理する親会 社からの出願となっていること、さらには出願人に企 業が含まれていないなどの場合があり正確さを欠く。 1K03.pdf :4

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そこで、ここでは 2 項 StepⅡで特定した発明者の所 属企業と発明者住所を使い、国立大学と共同発明し た企業の所在地(都道府県)ごとの特許出願数を算 出し、地域内連携の状況を定量化する。 なお、特許書誌における多くの企業発明者の住所 は所属企業の所在地で記載されるが、一部に発明 者個人の住所で記されている場合もある。ここでは処 理に手間がかかるが、その住所が所属企業の本社と 異なる都道府県である場合、記載住所の近郊に所属 企業の事業所・研究所などが存在(支社・支店・営業 所等の営業拠点を除く)するかを確認し、存在する場 合は記載住所の都道府県を所属企業の所在地とし て実際の連携状況に近づけるよう取り扱いしている。 7.2 所在地ごとの特許出願数の算出 所在地ごとの特許出願数は、ある特許出願を 1 とし て、発明者の所属機関数で除した値を所属機関の所 在地(都道府県)に与えることで算出する。例えば、あ る特許出願の発明者の所属機関が国立大学と企業 の 2 機関である場合、さらに、企業発明者に企業は 同じであるが所在地の異なる本社と研究所の所属者 が含まれる場合、A国立大学(東京)、B企業本社(大 阪)、B企業研究所(神奈川)の 3 機関としてそれぞれ の所在地の特許出願数を 0.33 とする。なお、ここで は連携する機関の所在地を主題とすることから、機関 に所属する発明者数による重みはつけていない。 最後に、国立大学ごとの研究者と企業の研究者が 共同で行った発明の特許出願について、所在地(都 道府県単位)ごとに総和を算出する。 左棒 右棒 1995~2003年度 2004~2012年度 0. 3 0.7 2. 0 0. 5 0. 5 2. 0 3.0 0 .3 3. 7 1. 2 6. 3 18. 8 2. 9 8. 3 0. 2 2. 5 1. 3 1. 5 4. 2 11. 8 47. 5 0. 8 5. 2 19. 3 0 .5 1.5 5. 0 0. 7 6 .2 4. 5 13. 9 0. 8 1.8 0. 5 0. 5 0. 2 0. 7 0. 8 0. 3 2.5 0 .5 岐阜大学の例 図 8 産学連携特許の共同発明企業の所在地(例) 図 8 は岐阜大学について共同発明企業の所在地 ごとの特許出願数を可視化した例である。 大企業の所在地を本社で取り扱いしてしまうと、企 業集積度の高い東京都等の大都市圏の棒が高く なってしまうが、ここでは実際に共同発明を行った発 明者が活動する事業所・研究所等の所在地情報を 使っており、より産学連携の実態に即した表現になる よう配慮している。 8.おわりに 本稿は、NISTEP で実施した調査研究「国立大学 による発明の特許出願状況(第一部)」から抜粋し、イ ントロ部分の一部を紹介した。調査報告書には、国 立大学別に特許出願・審査状況、外国出願状況、特 許出願技術分野、出願人の構成、共同発明企業、共 同発明企業の所在地別特許出願数などが掲載され ており、現在発刊手続き中である。 上記のデータは基本分析と言えるものであり、今後 は、権利の保有・譲渡、発明の新規性・進歩性・影響 力・持続性、グローバル戦略性など特許内容に踏み 込んだ分析を行うとともに、学から産への特許を媒体 とした知識移転、大学と企業を結ぶ“ハブ研究者”の 同定など政策ニーズの大きいテーマについて分析を 進める。 【参考文献】 [1]中山保夫,細野光章,富澤宏之,国立大学による発明の特許出願 状況(第一部), NISTEP 調査資料, 258, (2017 発行手続き中) [2]細野光章・中山保夫・富澤宏之,国立大学に所属する特許発明者 に関する分析, 研究・技術計画学会第 30 回年次大会, 4, (2015) [3]中山保夫・細野光章,国立大学の特許の特色:発明者と技術領域 の分析, 研究・技術計画学会第 29 回年次大会, 6, (2014) [4]中山保夫・細野光章,国立大学研究者が発明した特許の民間企 業への権利譲渡に関する分析, 研究・技術計画学会第 28 回年次 大会, 6, (2013) [5]中山保夫・細野光章,特許権者の変更情報に見る国立大学の特許 とその技術移転,研究・技術計画学会 26 回年次大会, 5, (2012) [6]中山保夫,細野光章,国立大学に関連する特許の分析:発明技術 領域及び関連企業業種による差異,研究・技術計画学会 26 回年次 大会, 6, (2011) [7]中山保夫,細野光章,産学連携データベースを活用した国立大学 の共同研究・受託研究活動の分析, NISTEP 調査資料, 183, (2010) [8]中村達生・富澤宏之・細野光章・中山保夫・片桐宏貴・峯尾翔太, 類似度評価を加味した発明者名寄せ手法, 第 11 回日本知財学会 学術研究発表会,4,2013 [9]峯尾翔太・中村達生・片桐広貴・大石宏晶・富澤宏之・中山保夫, 内容の類似性評価手法を利用した同一特許発明者の特定, 研究・ 技術計画学会第 30 回年次大会, 4, (2015) [10]東京大学,大学発特許による経済的効果に関する研究報告書,平 成 21 年度特許庁大学知財研究推進事業,193,(2010) [11]佐田洋一郎,初めて知財を担当する人のための大学知財の基礎 入門,知財プリズム,Vol.6No.70(財)経済産業調査会,7,(2008) [12]川畑弘,国立大学の特許出願の特徴に関する調査研究, NISTEP

Discussion Paper No. 67,47,(2010)

[13]金間大介,奥和田久美,大学関連特許の総合調査(Ⅱ)国立大 学法人の特許出願に対する知財関連施策および法人化の影響, NISTEP 調査資料 154,80,(2008)

[14]特許庁,特許行政年次報告書

参照

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