成
人
看護学 実
習
に
お
け
る
看
護 学
生
のア
ロ マテ ラ
ピ
ー
効 果
Effect
of
Aromatherapy
onNursing
Students
Attending
Adult
Nursing
Practice
鈴
木
は る み,
飯
出
美枝子
,澁谷
貞子
要 約
学生 に とっ て 患者との コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン は緊 張の連 続であ り,
ス ト レス フル な悩み の一
つ である.
アロ マ テ ラ ピー
は,
香 り を 嗅 ぎ な が ら 患者の肌に直接 触れて安心感を与える こ と,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン を図る利 点が ある.
今回,
本 研 究におい て実 習 中,
ア ロマ テ ラ ピー
を取 り入れ,
その効 果を明らか にするこ と を 目的と した.
対 象は 看護短期 大 学3
年生78 名 と成 人看 護 学 実 習 中に受 け持っ た患 者である.
調 査 内 容はア ロ マ テ ラピー
の 方 法・
目的・
内容・
効 果・
学生自 身の感 想につ い て行っ た.
その結 果,
患 者との関 係が 良 くな り,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ンが とり やす く なっ た.
リ ラ ック ス で き た な どが あっ た.
つ ま り, ア ロ マ テ ラ ピー
を 通 し て ア ロ マ オ イ ルの香 りや, 直 接 触れ る とい うこ と を契 機にコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンが とりやす くなっ たの で はない か と考 えられ る.
また, 実 施 者に よる タッ チン グにおい て,
患者の肌に直 接 触れ るこ とで安 堵 感を与える こと も 明ら か に なっ た.
キー
ワー
ド 成 人 看 護 学 実 習,
看 護 学生,
アロ マ テ ラピー
は じ め に医 療の高 度 化
・
専 門 家, 疾 病構造の変化,
入 院期間 の短 縮 化,
患 者の権利の尊 重など,
臨地実習 を取 り巻 く環境は変化して い る.
その 中で,
看 護 学生は,
教 員 や他の学生 だ けで なく,
患 者や 家 族,
医療従事 者との 複雑 な 相 互作用の状 況 下で実 習 を 行っ てい る.
そ して,
学 生に とっ て患者 との コ ミュ ニ ケー
シ ョ ンは緊張の連 続であ り,
特に,
現 代の学生 は対人関係がス ムー
ズに で きにくい傾 向が あ りの,
患 者 とのコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンはス トレス フル な悩みの一
つ で あ る.
看 護 領域での アロマ テ ラ ピー
は,
患 者や 家族の不 安 を取り除 く とい う大き な役 割が あ る,
そ れ 以外に も,
積 極 的にい ろい ろな症 状の緩 和の手助 けをするこ とが で き る.
例 えば,
芳 香 浴や足 浴・
手浴・
な ど を利 用し て行い,
様々 な症 状を軽 減 する こと も可 能である.
ま た,
患者だ けで な く介 護 者や看 護 者の緊張を和らげた り,
医 療 者と思 者,
あるい は家 族との間のコ ミュ ニ ケー
シ ョ ンの促進 を は かるこ と も可能になっ てくる2〕.
ア ロマ テ ラ ピー
を看 護 介 入と し た研 究につ い ては,
手 術 前の不 安 緩 和 効 果コ)や心 臓 手 術 後 , ICU に入室 し た患 者に対 する心 理的 影 響な どにつ い ての研 究が報 告 さ れてい る4).
さ らに , 病棟 看 護 師の ス ト レス 軽 減に 関 す る 研 究 が 報 告 さ れ5 〕,
産婦人科領 域で き わ めて有 用であ るこ と も報 告さ れてい る6 }.
ま た,
癌の補 完 的 治 療に も有 用であるこ と が報 告さ れてい る7).
しか し,
看 護 学生 が,
実習 中に アロ マ テ ラ ピー
を取 り入れ た研 究 は 未 だみら れてい ない.
そこで,
本研 究で は,
成 人 看 護 学 実 習中に,
看 護 学生 が受 け持ち 患者の援助に ア ロマ テ ラ ピー
を取 り入れ,
その効 果の検 討を行っ た.
研 究 目的
成人看 護 学 実 習 中におい て,
アロ マ テ ラ ピー
を取 り入れ,
その効 果を学生の記 録 物か ら明らか に し, 看 護 援 助の一
助とする.
用 語
の操 作 的 定 義
1.
ア ロマ テ ラ ピー
ア ロ マ テラ ピー
とは 「エ ッ セン シ ャ ル オ イル (精 油 ;essential oil)を用い て,
その香 りを楽し んだ り,
リラ ク セー
ショ ン を得た りする ことに利 用する こと」 である.
研究方
法
1.
調 査 対 象 看 護 短 期 大 学 3年生78 名と成人看 護 学 実習 中に受け 135 桐生短 期 大 学 紀 要.
第17号.
2006一
持っ た患 者
2.
調査期 間 2005 年4 月18日〜
11月4日の実習期間中3.
調 査 内 容 アロ マ テラ ピー
の目的・
方 法・
内 容・
効果・
学生 自身の 感 想につ い て,
記 録 物に記 載し たもの を分 析 した.
4.
分 析 方 法 記 録 物の内 容を主 語と述 語からなる一
文 章 を記録単
位,一
つ の ま と ま り を文脈単 位として 内容分析を 行い,
複 数の研 究 者間で繰 り返 し検 討し,
合意の 得 ら れ た内容を採用 した.
5
.
倫理的配慮1)
学 生 に対 す る倫理 的 配慮この 調査は
,
アロマ テ ラピー
の 効果 につ い て,
記 録物か ら検討 し, 純 粋 に教育研 究の 検討 を 目 的 に行 うことで ある こ と,
ま た,
記 入の 有 無によっ て成 績 に影 響す るこ と及 び個人 的 に 不 利 に な るこ と は絶対 に ない こ と,
この調査 の依 頼を拒 否・
中断 する権 利 が あ り,
研 究 としてま と めて公表
す る 際には個人 が 特 定で き ない よう
プライバ シー
の 保 護・
秘 密は厳 守 す ること を 口頭で説明 し 同 意の得ら れ た 者であ る.
2)
患者に対す る倫理的配慮こ の調査は
,
アロマ テ ラピー
の 効果 につ い て,
記 録 物か ら検 討 し,
純 粋に教 育 研 究の検 討を目 的に行 うこ と であ るこ と.
ま た,
アロ マ テ ラ ピー
を実 施す ることによ り個人的に不 利にな るこ と は絶 対にない こ と,
こ の調査の依 頼を拒 否・
中 断 する権 利があ り,
研 究と してま と めて公表 する際には個人 が特 定で き ない ようプライバ シー
の保 護・
秘 密は厳 守 する こ と を,
口頭と文 書で説 明し同 意の得ら れ た者である.
ま た,
主治 医の許可が得ら れ た者である.
6.
アロ マ テ ラ ピー
の講 義と演 習1
)講 義 成人看 護 学 実 習 前に テ キ ス トを用い 1時間の 講 義を 実 施してい る.
内容は,
アロ マ テ ラ ピー
の目 的,
方 法, 効 果, 留 意 点な ど につ い て である.
2 )演 習学生5 人に対し て教 員 1人で実 施 する
.
学生 同士で, エ ッセ ン シャ ルオ イルを用い てマ ッ サー
ジ を行 う 3 )マ ッ サー
ジオイル の希 釈 方 法 エ ッ セ ンシ ャ ル オ イ ル は植 物の 有 効 成分 を希 釈し たもの なの で, 原液の ま ま皮 膚に塗 布 する こ とは で きない.
アロ マ テ ラピー
の マ ッ サー
ジ で は, エ ッセ ン シャ ル オイル を植 物オ イル で希 釈 し て使 用 する.
この希 釈用の 植 物オ イ ル をキャ リア オ イ ル と呼ぶ.
キヤ リ ア オ イル は原料の植 物から抽 出さ れ た100%天 然の植 物オ イ ル である.
エ ッ セン シャ ル オ イ ル の希 釈 濃 度は2% と し, マ ッサー
ジオ イルと して使 用 し て い る.
7.
ア ロ マ テ ラ ピー
の実 際 1)同意と主 治 医の 許可 が得ら れた患 者 を対 象に実 施 2 )パ ッチテス トエ ッ セ ンシ ャ ル オ イルや キャリ ア オ イル で皮 膚が
,
ア レル ギー
反 応 を起 こさ ない か チェ ック する た め に 行 う.
使用 す る 濃度よりや や 濃い め(
2
倍 く らい)に希
釈 した精油 を1滴ガー
ゼやテ ィ ッ シュ に 落 とし , 皮 膚(
前腕)
に 発赤や 掻痒 感が ない か10〜15
分後に確
認 す るs 〕.
3)
部分 浴(
足浴)
の場合40
度く らい の温 湯 にエ ッセ ン シャ ル オ イル3 〜4
滴 を落と し,10〜20
分ほ ど足 関節が 隠 れ る 程度の 温 湯 で 行う.
結
果
成人 看 護 学 実 習 中78
名の学生 が受 け持ち 患者を対象
と し実 習を行っ た.
その 結 果,
アロ マ テ ラピー
を 実 施 した48
名 中42
名の学生の記 録 物の分 析を行っ た.
受
け持ち 患者につ い て は,
表1
に示 す 通 りであ る.
平 均 年齢は68.
35
±12.
74
歳,
性別は女 性24
名,
男 性18
名 であっ た.受
け 持 ち 平均日数は11.
75
±4.
53
日間で あ っ た,
主 な疾患で最も多
かっ たの は,
消 化 器 疾患20
名,
血液 疾 患5
名,
内 分 泌 疾 患5
名,
脳血管 疾患4
名 等 であっ た.
1.
ア ロマ テ ラピー
の方 法 (表2
) アロ マ テ ラ ピー
の 目的で最も多かっ た は,
「リラ ク ゼー
シ ョ ン」 27 件 (47
%)であっ た.
次い で,
「保 温・
保 湿 」, 「浮 腫 軽 減 」が共に5件 (12%)であっ た.
アロマ テラ ピー
の方 法で最 も多かっ たのは,
「手 浴・
足 浴 」 27 件 (64%), 次い で, 「清 拭 」 11 件 (29%) であっ た.
アロ マ テ ラ ピー
の オイル の内 容 (植 物オ イル)は 「ラベ ンダー
」 19 件 (46%), 「グレー
プフ ルー
ッ」 14 件 (34%)であっ た.
2.
アロ マ テ ラ ピー
の効 果 アロ マ テ ラピー
の 効 果につ い ての 記 録か ら得ら れ た224 個の デー
タ から,
記 録 単 位 224, 文 脈 単 位 102, サ ブ カ テゴ リ48 , カ テゴ リ34, コ ア カ テ ゴ リ6が形 成 され, 最 終 的に抽 出され たコ ア カテゴ リは, 『コ ミュ ニ ケー
ショ ン効果』, 『香 りの効果』
, 『リ ラ ク セー
シ ョン効果』, 『保 温・
保 湿 効果』 , 「陲眠・
覚 醒 効 果 』 , 桐 生 短 期 大 学紀 要.
第17号,
2006
136一
表1 受け持ち患 者の 属性 N
=
42 表2 ア ロマ テ ラ ピー
の方法 N=
42 目 的 件 数 (%) リ ラ ク ゼー
ション 20 (47%) 保 温・
保湿 5 (12%) 浮 腫 軽 減 5 (12%) 入 眠 4 (10%) リハ ビ リ 2 〔5%) 鎮 静 1 (2%) その他 5 (12%) 方法 件 数 〔%〉 手 浴・
足浴 27 (64%〉 清 拭 正2 (29%) リハ ビ リマ ッサー
ジ 2 (5%) 環境整 備 1 (2%) 内容 (植物オ イ ル〉 件数 (%) ラベ ンダー
20 (47%) グレー
プフ ルー
ツ 14 (33%) ペ パー
ミ ン ト 6 (15%) オレ ンジベー
ス 2 (5%)、
「疼 痛・
浮 腫 軽 減 効 果 』の6
個で あっ た (表 3),
1) 『コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン効果』 この カ テ ゴ リは,
アロ マ テ ラ ピー
を媒 介に して,
学生 と患 者との関係 性を表 す.
アロ マ テ ラピー
とい う媒 介を 通して会 話が弾 ずみ,
その 後の 会 話をス ムー
ズに進 め る こ とが で で きた.
そ して,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン が とりやす くなり , 語彙が増 え, 話が弾み, 笑 顔がみ られ, 患 者との関係が良 くなっ たと 記 述 さ れ てい た.
2) 「香 りの効果』この カ テゴ リは, アロ マ オ イル の香り に 対 す る 効 果 につ い て表 す
,
4 種類の ア ロ マ オ イル を使用 して い る が, そ れ ぞ れの 目 的 に応じ, ま た, 患 者の 好み も 踏 まえアロ マ オ イル を使用 してい る.
そのた めに,
オ イル の香 りに対 して,
良い 香 り,
良い 匂い,
匂い で ホ ッ とするとい う印象
を与 える こ と がで き たこ と が記述 さ れてい た.
3)
「リラ クセー
シ ョン効 果』この カテ ゴ リ は
,
アロ マ テ ラ ピー
によ る リラクセー
シ ョ ン の効 果につ い て表 し た.
アロ マ テ ラ ピー
を 行うこと に よ り,
気持 ち よ かっ た と ほっ と してい た.
ま た,
笑 顔が み ら れ,
精 神 的に安 定が図れ,
リラッ クス で き た と記述 さ れてい た.
4
) 「保 温・
保 湿 効 果 』こ の カ テ ゴ リは
,
ア ロ マ テ ラ ピー
に よ る保温・
保 湿の効 果につ い て表し た.
オ イル の効 果で肌に湿 潤 がみら れ,
乾 燥が な く なっ た.
ま たアロ マ テ ラ ピー
後,
足が ポカポカ して き た と記述 さ れてい た.
5
) 「睡 眠・
覚 醒 効 果 」 こ の カ テ ゴ リは,
ア ロ マ テ ラ ピー
よる に睡 眠・
覚 醒 効 果につ い て表した.
アロ マ テ ラ ピー
実 施 後に よ く眠れ た り,
ウ トウ トで きて気 持ち よ かっ た.
ま た,
逆に アロ マ テ ラピー
後,
目が覚め て 日中 起 きてい ら れ た と記 述さ れ てい た.
6
) 「疼 痛・
浮腫 軽 減 効 果 』こ の カ テ ゴ リ は, アロ マ テ ラ ピ
ー
に よ る疼 痛・
浮 腫の軽 減につ い て表した.
アロ マ テラピー
に よ っ て , 痛みが軽 くなっ た り , 忘れ ら れた り した.
また, 手 の む くみ が楽になっ た と記 述されて い た.
考 察
アロ マ テ ラ ピ
ー
の主な作用は,
交不安 作用,
鎮 静 作 用, 覚醒 作 用,
強 壮作用,
鎮 痛 作用,
抗 炎症作用,
抗 菌 作用 などさ まざま なもの が あ る2).
本 研 究 で は,
成 人看 護 学 実習 中 に看 護 学生 が,
受け持ち 患者を 通 して実施 した,
アロマ テラ ピー
効 果 につ い ての 知 見 を 述べ る.
1.
コ ミュ ニ ケー
ション技術 と しての効果 成 人看 護 学 実習 を 通 して,
最も患者の援 助に関わ っ たの は,
足浴や清 拭の清潔
援助で あっ た.
清潔 援 助 は,
皮 膚の 生 理機 能を発揮さ せ,
血行 促進,
気分 爽 快などを 目的として い る9 }.
清 潔 援 助は日常生活 援 助では 必要不 可 欠 な 援 助であ り,
学生 が 日々 関わ れ る援 助 項目で も あ る.
本 研 究で は,
清 潔援 助時,
特に,
足浴 及び清拭時 の アロ マ テ ラピー
におい ては,
コ ミュ ニ ケー
シ ョン が と りやす く なっ た という
結 果が得ら れ た.
今西1°) の調査で は,
アロ マ テ ラ ピー
には,
看 護 師と患 者と 137 桐生短 期 大 学 紀 要.
第17号.
2006一
表3 ア ロマ テ ラ ピ
ー
の 効 果 N=
=
42 カテ ゴ リ コ アカテ ゴ リ 会話のきっ か けがつか め た アロ マ とい う共通の話題 から会話できた コ ミュ ニ ケー
ションが と りやすい 会話が弾ん だ 語彙が増え た 笑顔が み ら れ た 患 者との関 係が良 くなっ た コ ミュ ニ ケー
ション効 果 良い香 りが する い い匂い がする 匂い でほっ とする さ わ や か な香 り 大 好 きな 香 り 香りの効果 リ ラックス できて いた 気持ちよ さ そうな表情が み ら れ た 笑顔が み ら れ た 深いた め息でほっ と して いた 気 持 ちよ かっ た と言っ て くれ た 精神 的 な 安 定 が 図れ た リ ラ クセー
ショ ン効果 皮 膚の乾 燥がな くなっ た 肌がつ やつ や に なっ た 足が ポ カ ポ カ して きた 保温・
保湿効果 よく眠れ た 目が覚め た ウ トウ トできて気 持 ちよかっ た 睡 眠・
覚 醒 効 果 痛み が軽 くなっ た気がする 手の む く み が楽に あっ た 痛み を忘れ ら れ た 疼 痛・
浮腫 軽 減 効果 の コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン を,
あるい は看 護師 と患者・
家 族とのコ ミュ ニ ケー
ショ ン を は か ること がで き る 利 点があると報 告し てい る.
本研 究で も,
看 護 師と看 護 学生 とい う立場の相 違 は み られ る が,
今 西と同様の結 果であっ た.
臨 床 場 面における学生 にとっ て,
患者とコ ミュ ニ ケー
シ ョ ン を は かるこ と は緊 張の連 続で,
ス トレ ス フル な技 術で悩み の一
つ で ある.
さ らに,
学生 が何 か援 助を実 施してい る時は,
尚 更,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ン をは か る ことは至難の業で ある.
特に, 学生は,
清 潔援 助 時に,
手順や手 元の手 技に集 中し,
尚かつ,
援 助に要 する時 間や温湯の温度に も配 慮 し てい る.
そのた めに,
患 者の表 情や言 動に注 視 する こ と が,
おろそか にな り, 無 言・
無 表 情で必死 に実 施し てい る姿をみかける こ とが多い.
そ れに伴っ て,
患 者も 必死な 学生 に声をかけるこ とが で きな くなっ て い る ようで ある.
そ こ で, アロ マ テ ラ ピ
ー
とい う援助 を 通 して , ア ロ マ オ イル の 香 りを話題 にする ことで も, コ ミュ ニ ケー
ショ ン を は か るこ とがで き, そ れ を契 機に会 話 が 弾んで いっ たの で は ない か と推 察で きる.
ア ロ マ テラ ピー
の 重要 な役 割の一
つ にス キ ンシ ッ プ が ある.
アロ マ テ ラピー
は, 直接, 肌 に触れ る こ とによっ て患者 に安心感を与 え,
ス トレス を軽 減 す る こ とがで きる こ と は知 ら れて い る1〔エ}.
学生 は , 清 潔 援助時に 温 湯 タ オルを介して で はな く,
直接, 患 者の肌に触れ るこ とにより,
ス キンシッ プ を は か り, 患者の肌 か ら伝わっ て くるサ インや表情・
口調 な ど か ら,
会 話のキャ ッ チ ボー
ル が が 成 立 してい っ たの では ない か と考 えら れる.
以 上の知 見よ り
,
アロ マ テ ラ ピー
に よ り,
看護援 助 時にも,
コ ミュ ニ ケー
シ ョ ンが と りやす く なっ た こ とが示 唆さ れ た.
2 .
安 堵 感を与え る効 果本 研 究では
,
香り を嗅ぐ行 為の効 果と直接手
で 触 れる こ とで の リ ラ ク セー
シ ョ ン効 果が認め ら れ た.
今西8)
は,
アロ マ マ ッサー
ジによる,
リ ラ クセー
シ ョ ン効 果を検 討 し た結 果,
有意 な不 安 軽 減が得ら れ た.
そ し て,
健 常人には リ ラ クセー
シ ョ ン を誘導
す る こ と が明ら かに なっ てい る.
リラ ッ クス し た 状 態 を体 験するた めの方 法はい くつ もある.
音 楽を聴く,
よい 香 りを か ぐ,
マ ッ サー
ジ ケアを受 ける とい うも のな どがあるL2〕.
ア ロ マ テ ラ ピー
は,
実 施 者によっ て タ ッ チ ン グ や 軽 く指圧 を行なう.
その際,
機 械 的な行 為では なく,
相 手の呼 吸や状 況に応 じ て加 減しなが ら,
相 手に意 識 を集 中させ, 心をこ め て援 助 する こ とで,
安 堵 感 を与 える こ と が で きるの で は ない かと考えら れ る.
また,
アロ マ テ ラ ピー
は, 五感を通し て,
直 接 肌に 触れ, 植 物オ イルの香 りを嗅 ぎ, 学 生の笑 顔を見て, 学 生の 声を聞い て , 患 者 自身に快い 刺 激と なっ て い るの で はない か と推 察で きる.
ア ロマ オイル に おい て は,
フ ロー
ラ ル な甘い 香 り の するラベ ンダー
が,
最 も多 く使用 さ れてい た,
ラ ベ ン ダー
オ イル は , 弱い 芳 香 条 件で は香 りに対 する 好 感 度は比較 的 高 く,
心理学 的テス トで も, 鎮 静,
爽快感の増 加, 不安軽減の ような安静化の傾向を示 すとい われてい る11 ).
臭い や香りは, ヒ トの健 康 と密 接に 関連 してお り, 私たちの 健康に大 きな影 響を与 えて い る ことが 明ら か に なっ てい る2〕
,
本 研 究で もアロ マ オ イルの香 りや臭 い を嗅 ぐこと により,
ホッ とするとい う精 神 的安 定が,
桐生短期大 学 紀要,
第17号,
2006 138一
は か れて い るとい う同様の結 果が得られて い る
.
以 上の知 見より
,
アロ マ テ ラピー
は, 香りを嗅 ぐ 行 為の効 果と直 接 手で触れ る こ とで の リラ ク セー
シ ョ ン効 果がある とい うこと が示 唆さ れた.
結 論
成 人看護学 実習 中に おい て, ア ロ マ テ ラ ピ
ー
を取 り入れ,
その効果 を検 討した結果,
以下の 示唆 を得 る こ と がで きた.
L
日常生活 援 助で ある 清潔に アロ マ テ ラ ピー
を取 り 得るこ と で,
患 者 との 関係が 良 くな り,
コ ミュ ニ ケー
ショ ンが とりやす くなっ た.
2.
実 施 者 に よ る タッ チ ングにおい て,
患者の肌に直 接 触れる こ とで安 堵 感を与えるこ とが明ら かになっ た.
研
究
の限 界
と今後
の課 題
本 研 究は,
研 究の趣 旨を同 意し た対 象に対して の、
t’
み実施し た もの である た めに,
結 果の一
般 化に は制 約が あ る.
ま た,
デー
タ の情 報 源は,
主 に,
学生 の 主観中 心 の記述物の み で あるため に,
デー
タとし て の有 効 性が制 限さ れてい る.
そ して,
アロ マ テ ラ ピー
は,
看 護i
ケ ア とし て実 施 する際に適 応 基 準が確 立 さ れて い ない の で,
看 護 師の 判 断で実 施してい る の が現 状であ り, ケア の水 準 化が統一
化で きてい な い,
今 後は
,
患 者の客 観 的 なデー
タ か らア ロ マ テ ラ ピー
の 効果 を 明ら か に し, 看 護 介入 と し て位置づ け て い きた い.
さら に
,
ア ロ マ テ ラ ピー
技 術が充 分で ない 学 生の 技術 もさ ら な るス キル アップ を 望 みたい.
引
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139 桐生短 期 大 学 紀 要.
第17号.
2006一
Effect
of
Aromatherapy
on
Nursing
Students
Attending
Adult
Nursing
Practice
Harumi
Suzuki
,Mieko
Iide
,[Ibiko
Shibuya
Abstract
Forstudents, making communication with patientsisastressfu1 event and provokes unbroken tension,
Aromatherapy isadvantageous when making communication becauseitcan relief patient'sanxiety and givesense of relief by touchingtheirskin
directly
inasoothing aromatic room,
We
decided
toapply aromatherapyfbr
thisstudyduring
nursingpractice.
The purpose ofthisstudy isto clarify theeffectofaromatherapy,78 seniors efjunior nursing college and the
patients
who were charged bythoseseniers were subjected tothis study.We
investigated
themethod,purpose,
contents, and effects of aromatherapy and the students' comments on aromatherapy.The
students reported thatthey could establishgood
relationship withpatients,
which eased anxieties tocommunicate with
patients
and relieved theirstress.That
is
considereddue
tothatthe
scent of aromatic oiland directtouchthrough aromatherapy