第28回群馬消化器病研究会
日 時:平成 22年 1月 30日 (土) 13:00∼ 会 場:前橋テルサ 8階『けやきの間』 当番世話人:竹澤 二郎 (原町赤十字病院 内科)A>
1.食道運動障害は胃食道逆流症と間違えられやすい 保坂 浩子,下山 康之,栗林 志行 名越 淳人,前田 正毅,財 裕明 茂木 文孝,河村 修,堀越 勤 森 昌朋 (群馬大医・附属病院・消化器内科) 草野 元康 (同 光学医療診療部) 【背 景】 高齢化, 食の欧米化などにより, 胃食道逆流 症 (GERD) は今後増加が見込まれる消化器疾患のひと つである. GERD の典型的な症状は胸やけと呑酸とされ ているが, 喉の違和感, 胸痛, 慢性咳嗽など多彩な症状を 呈することがあり, 未治療のままの GERD 患者も多く 存在すると思われる. 逆流性食道炎の問診票である F ス ケールは胸やけのみならずその他の症状も広く問診し, 胃食道逆流症 (GERD) の拾い上げに有用である. 【目 的】 2009 年 6∼ 7月に, 逆流性食道炎の啓発を目的と し F スケールを含む新聞広告が全国紙に掲載された. そ の記事を見て啓発され, GERD と自己診断して当科を紹 介または自己来院した患者の特徴を明らかにした. 【方 法】 対象患者の過去の医療機関受診の有無, 前医での 診断, 治療, 当院での診断 (内視鏡検査, 食道内圧検査な ど), 治療について検討した. 【結 果】 2010年 1月ま でに該当患者は 10名 (男性 6名, 女性 4名, 平 年齢 69.7歳) であった. 6名は群馬県内, 4名が他県からの受 診であった. 9 名は近医の受診歴があり, 6名が複数の医 療機関を受診していた. 前医での診断は GERD 2名, 術 後食道炎 2名, 異常なし 2名, 胃腸炎 1名, 食道狭窄 1 名, 不明 1名であった. 当院での診断は食道アカラシア 2名, 非特異的食道運動障害 (NEMD) 1名, 術後食道炎 3名,GERD 4名 (LA grade N 1名,grade M 2名,内視 鏡施行なし 1名),食道表在癌 1名であった.食道アカラ シア 2名のうち, 1名は当院で手術し症状は改善し, 1名 は前医でバルーン拡張術が施行された. NEMD の 1名 は PPI にて経過観察,GERD・術後食道炎患者では生活・ 食事指導と供に,PPI の変 や増量,メシル酸カモスタッ ト, 液状スクラルファートなどを投与し, 症状は軽快し ている. 食道表在癌患者は, 当院放射線科にて放射線化 学療法中である. 【結 語】 治療に抵抗する GERD 患 者の中には食道運動障害患者が含まれている可能性を念 頭に置き, 積極的に検査を行う必要がある. 術後の逆流 性食道炎では治療に対する満足度が低い患者もおり, 適 切な生活指導と薬剤の選択などが必要と えられた. 2.当院における食道 ESD の現況 小野里康博,飯塚 春尚,蘇原 直人 萩原 ,石原 弘(しらかわ診療所 群馬消化器内視鏡医療センター) 柿崎 暁 (群馬大医・附属病院・肝臓・代謝内科) 小川 哲 ,富澤 直樹 (前橋赤十字病院 消化器病センター) 伊藤 秀明 (同 病理部) 食道表在癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) は平成 20年 4月より保険収載されたが, 当院でも平成 18年 4月の開院時から食道に対する ESD を行ってい る. 今回, 当院における食道に対する ESD の現況を報告 する. 平成 18年 4月から平成 21年 12月までに 39 例 44 病変の食道疾患に対し ESD を行った. 平成 18年 3例, 平成 19 年 8例, 平成 20年 15例, 平成 21年 18例で, 保 険適応になった平成 20年以降に増加している. 切除病 変の内訳は, 扁平上皮癌 31例 39 病変, バレット腺癌 2 例, 顆粒細胞腫 1例, 癌が生検で強く疑われた非腫瘍 2 例であり,男女比は 35:4で,平 年齢 68歳であった.平 病変最大径は 21.7mm,平 所要時間は 69.8 で,後出 血や明らかな穿孔, 縦隔炎は認めなかったが, 翌日の胸 部レントゲンで胸水 1例, CT でのみ指摘できた縦隔気 腫 3例 (翌日 CT 施行 10例中 3例) を認めた. 偶発症は 狭窄 3例 (全例内視鏡的拡張術で改善), 予防的拡張術 2 例, Mallory-Weiss症候群 1例を認めたのみで重篤な偶 発症はなく, 予防的拡張術を施行した 2例を除き平 入 院期間は 8日間であった. 食道扁平上皮癌 31例 39 病変 の内訳は, 男女比 28:3で圧倒的に男性に多く, 平 年齢 275 Kitakanto Med J 2010;60:275∼28668.5歳 (46∼80歳) で, 病変最大径の中央値は 22mm (4 ∼47mm), 所要時間の中央値は 61 (18∼200 ), 病理 結果は,T1a-EP 19 病変,T1a-LPM 9 病変 ,T1a-MM 7 病変, T1b-SM1 1病変, T1b-SM2 3病変であり, 一括完 全切除率は 100%であるが, 脈管侵襲はリンパ管侵襲を 3病変 (T1a-MM, T1b-SM1, T1b-SM2それぞれに 1例 ずつ)に認めた.T1a-MM 以深は手術適応であり,脈管侵 襲陽性例や T1b-SM2は手術の絶対適応であるが, 追加 治療として 1例に外科手術を, 1例に放射線治療を行い, その他は他臓器癌の既往や, 合併があるため, 手術を拒 否され経過観察を行っている. 今のところ転移などが明 らかになった症例はないが, 厳重な follow upが必要で, リンパ節転移が明らかになった時点で放射線治療等を行 う予定である. 単発の食道癌は 13例で, 多発食道癌を 5 例 (2病変 2例, 3病変 3例) 認め, 他臓器癌の合併を 13 例に認めた. 重複があるが, 胃癌が一番多く 9 例で, 食道 ESD の前に 3例 (ESD 2例, 手術 1例) が治療されてい たが, 4例が同時に発見され (ESD 1例, 手術 3例), 食道 ESD 後の follow up 中に 2例 3病変発見され, ESD で治 癒切除が得られた. 胃の MALTomaの治療後が 2例で, その follow up中に食道癌が発見された. また 2例の下 咽頭癌が食道 ESD 時に発見され, 上部消化管内視鏡検 査時には, 咽頭から食道, 胃までの注意深い観察 (当然十 二指腸も含まれる) が必要であると えられた. その他 に大腸癌 3例, 前立腺癌 2例, 非ホジキンリンパ腫 1例, 子宮癌 1例の既往があった. 食道 ESD 翌 日 の CT で 1 例肺癌が発見され, 結局 1年後に肺癌死された症例もあ り, 食道癌には他臓器癌の合併が多いことを念頭に置き, CT など全身の検索が必要と えられた. 以上,当院の食道 ESD の現況を報告した.食道の ESD は注意して行えば非常に有用な治療法であるが, 食道癌 は食道以外にも注意が必要である. 3.NBIの早期表在癌の基礎となる胃粘膜毛細血管構築 大木 一郎,町田 守也,星野 洋一 梅沢 彦,東郷 庸 (恵愛堂病院 消化器科) NBI が表在癌の診断に用いられているが, 癌が粘膜内 に存在すると粘膜内の血管構築に変化が見られる. それ は又 1/100℃の単位で粘膜温に反映する. 癌では温度 布が異常である. 以上の変化を供覧する.