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Academic year: 2021

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巻 頭 言

見えてきた AI による診療支援

佐久間貞行

最近 AI 研究者から AI による医療革命とくに診断領域での変革が目前のも のとして語られるようになってきた。 CT や MRI などの画像診断はとくにディープラーニングの格好の対象であ る。元々ディープラーニングは画像などから人間の脳の神経回路の仕組みを模 してその特徴を抽出することから始まっている。冠動脈 CT でも数値流体力学 の概念を使ったシミュレーションにより FFR(fractional flow reserve)を算出、 画像的狭搾のみならず虚血の程度、機能的な評価まで行える様になってきた。 学習が大切な診断推理も東京大学医科学研究所は IBM 社「ワトソン」に、2000 万件以上の生命科学の論文、1500万件以上の薬剤関連の情報を学習させ、がん 患者の発病に関わる遺伝子や治療薬の候補を提示させる研究を始め、「急性骨 髄性白血病」の患者の遺伝子情報を入力したところわずか10分で分析結果が示 され、「二次性白血病」という特殊なタイプであることが分かり、医師の判断で 治療薬を変更して数か月で回復して退院したとのことである。すでにこの女性 を含め計41人の診断や治療で有用な情報を提示して大きな成果をえているとの ことである。 京都大学でも疾患ごとの臨床情報やゲノム情報を統合、共同研究する富士通 が開発する機械学習・AI 技術で信頼度・精度の高い臨床解釈を付与して、日本 医療研究開発機構の進める遺伝子情報を病気の診断や治療に活用するゲノム医 療の実現と普及を目的とした「臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」に 応じようとしている。後は如何に良質な情報源を集積するかである。同じよう なことが薬剤情報やゲノム解析でも言えるであろう。 より多くの医師が、自らの臨床経験を提供することが出来れば、そしてその 情報を如何に的確に AI 処理するかによって診断支援による診断精度は飛躍的 に高くなるであろう。 (健康文化振興財団理事、名古屋大学名誉教授) ― 1 ―

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