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フォイヤーシュタインの理論と日本での実践 : 発達障害から才能教育まで

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フォイヤーシュタインの理論と日本での実践 : 発

達障害から才能教育まで

著者

藤本 浩一, 芦塚 英子

雑誌名

研究紀要. 人文科学・自然科学篇

47

ページ

37-59

発行年

2006-03-10

URL

http://doi.org/10.14946/00001534

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フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン の 理 論 と 日本 で の 実 践

発 達 障害 か ら才 能教 育 まで

本 論 で は 、 イ ス ラ エ ル の ル ー ベ ン ・フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン(Reuven Feuerstein,1921-)に よ っ て創 始 され た認 知 訓 練 プ ロ グ ラム を取 り上 げ た 。 そ の 理 論 に は、 彼 が学 ん だ発 達 心 理 学 者 ピア ジ ェ(JeanPiagctl896-1980)の 影 響 が 見 られ る一方 で、 学 ん だ 形跡 の ない ヴ ィ ゴ ツキー(Vigotsky,LS.1896-1934)の 発 達 理 論 とか な り共 通 す る部分 が あ る。 同 じユ ダヤ系 とい うこ と に由 来 す る か も知 れ な い 。対 象 者 は、 知 的発 達 遅滞 や 学 習 障 害 な どの 発 達 障 害 児 を始 め と し て、 現 在 で は優 秀 成 人 の 才 能 開発 に至 る まで 、 全 て の人 々 に広 げ られ て い る。 本 論 の 第 一 章 で は、 紙 と鉛 筆 と慎 重 な こ とば を用 い て行 われ る そ の実 践 と理 論 に つ い て 、 発 達 心 理 学 の 観 点 か ら第 一 著 者 の藤 本 が検 討 を行 い 、 第2章 に お い て に 日本 で数 少 ない 資 格 取 得 者 で あ る芦 塚 が 、理 論 的 背 景 と実 践 報 告 を記 述 し た 。 第3章 で 藤 本 が 心 理 査 定 法 を詳 述 した後 に 結 語 を述 べ た。 当 プ ロ グ ラム の 紹 介 と検 討 を行 う こ とを本 論 の 目的 と した 。 この プ ロ グ ラム の ね らい は生 活 習 慣 の獲 得 な どの個 々 の行 動 形 成 に と ど ま る もの で は な く、 あ くまで も抽 象 的 で概 念 的 な思 考 の訓 練 、 お よび 認 知 構 造 の変 容 に こそ 定 め られ て い る。 何 故 な ら、 抽 象 的 ・体系 的 な概 念 的 思 考 こ そ 人 を人 た ら しめ る と考 える か らで あ る。 ピア ジ ェの 認 知発 達 説 の最 終 段 階 で あ る形式 的 操作.段階、 あ るい は ヴ ィ ゴツ キ ー の生 活 的概 念 に対 す る科 学 的概 念 の獲 得 を そ の ゴー ル とす る と言 え る。 私 た ちの社 会 で は 、個 人 の知 的 能力 に つ い て 特 別 の 関心 が払 わ れ る。 大 学 入 試 や就 職 試験 を含 め て 、 この社 会 で は頭 の サ イ ズ や 身 長 で は な く知 的能 力 が 最 優 先 され るの は 、 知 能研 究 者 のStemberg(2000)も 同様 の例 えで 指 摘 す る とこ

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ろで あ る。 当 プ ロ グ ラ ム は 、知 的 能力 の発 達 可 能 性 を追 求 す る もの で あ り3特 殊 教 材 と そ の 実 践 、 お よび知 能 の 力 動 的 な査 定 方 法 か ら成 る。 本 論 で は 日本 で は ほ とん ど知 られ る こ との なか っ た この方 法 の理 論 と実 践 を紹 介 し、 発 達 心 理 学 の観 点 か ら理 論 的検 討 を加 えて 評 価 す る こ とを 目的 と した。 1.フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン ・プ ロ グ ラ ム の 特 微 と位 置 づ け 1-1.「 人 は変 容 可 能 で あ る」 とい う信 念 知 能 を生 来 的 ・遺伝 的 な素 質 と考 え、IQは そ の 指標 で あ る とす る 「IQ神話 」 を今 な お抱 く人 々 の 中 に は、 自分 の力 が 及 ば な い ところ で何 か が 決 定 され て い た り、 誰 か が 限 界 を 「診 断」 して くれ る こ とに」 種 の安 心 感 を見 出 そ う とす る 傾 向 が あ るの で は な い だ ろ うか 。 しか し、IQの 経 年変 化 につ い て 調 べ た 狩野 広 之 ・(1960)に よ る と、8年 後 に再 検 査 して 最初 の検 査 と比 べ た とこ ろ平 均 ±20 以 上 の 変動 が あ り(藤 本 、1990に よった)、IQ神 話 につ い て は否定 的 なデ ー タが 示 され て い る。 一 ,学 校 教 育 の場 面 で も、 人 の 能 力 を 固定 した もの と して 扱 う実体 的知 能 観 は見 え 隠れ して い て、 「や れ ば で きる」 とい う こ とば に触 れ る回数 ほ どに は人 々 はそ れ を信 じて い な い よ うだ 。 実体 的 知 能観 を持 つ 人 は、 成 績 が低 け れ ば そ 劃 が不 安 材 料 とな り、 動 機 づ け が 低 下 す るが、 学 習 に よ って知 的 能力 が 増 す と考 える 増 加 的 知 能 観 を持 つ人 は 、 自分 の失 敗 が 未 学 習 領 域 を表 す と考 え て、 学 習 意欲 が増 す こ とを、 及 川(2005)は 実 験 研 究 で 明 らか に した。. 児 童 ・生徒 の 成 績 が あ た か も固定 的 な知 能 の 指 標 の よ うに扱 わ れ 、 志 望 校 決 定 の た め の診 断 的 評価 と しての み 使 わ れ る こ とが あ る。 学 校 の教 師 や 塾 講 師 は 大 勢 の 生 徒 を公 平 に見 る 必 要 性 か ら、 生 徒 の現 在の 学 力 水 準 の 相 対 評価 を重 ん じる こ とは致 し方 ない が 、 本 来 な らば成 績 に基 づ いて個 人 内評価 を行 い 、 成績 が 悪 け れ ば なぜ 伸 び な い の か、 どん な勉 強 をす れ ば よい か を まず 最初 に検 討 し、 適 切 に対 処 す べ きで あ ろ う。 現在 の 評価 を重視 す るあ ま りに、個 人 の可 能性 を ・考 慮 す る余 裕 が な くな っ て い る と考 え られ る。 この こ と は大学 教 育 に お い て も 例 外 で は ない 。 教 える立 場 の教 員 は、7定 の基 準 を設 け て ・教 わ る側 が そ の基

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準 に達 して い る か ど うか を 「診 断」 し評価 す る形 で学 生 の限界 を定 め る 。 しか し子 ど もの 親 はt他 の 誰 で もな い我 が 子 だ け の成 長 を見 守 れ ば 良 く、 大 勢 の 生 徒 を公平 に見 な け れ ば な らな い教 員 と は異 な り4相 対 評 価 か ら自 由 な立 場 で い られ る。 現 在 の水 準 で は な く、 可 能 的 な水 準 を見 据 え て 子 ど もの 成 長 を 願 い 、 信 じる こ とが で き るの で、 未 だ 見 え て こ ない 子 ど もの上 昇 カ ー ブ を 「見 る」 こ とが で きる。 例 え子 ど もの成 績 が悪 くて も、 あ る い は知 的 障 害 で発 達 の 限界 を 宣告 され た と して も、 将 来 可 能 な 能力 の水 準 を想 い描 け る し、 また 、 そ こ に至 るた め の 日常 生 活 で の 訓 練 や 具 体 的 な工 夫 に、 子 ど も と と もに 熱心 に取 り組 む こ とが で きる。 フ ォイ ヤ ー シ ュ タ イ ン ・プ ロ グ ラム は後 者 の 立 場 を代 表 す る もの で あ り、 た とえ どん な に重 度 の 障 害 が あ っ て、 そ の 限界 を専 門家 に 申 し渡 され て い た と し て も、 なお 知 的発 達 が 可 能 で あ る と信 じる、 い わ ば増 加 的知 能観 に立 脚 して い る。 そ の適 用 範 囲 は 発 達 障害 児(者)に と ど ま らず 、 普 通 児(者)の 学 習 に お い て、 さ らに優 秀 児(者)の 才 能 開 発 に広 げ られ 、 人 は必 ず 変 容 可 能 で あ る と い う信 念 を持 つ 。 1 1-2.積 極 的変 容 世 界 的 な ピ アニ ス トで あ る館 野 泉 は、 演 奏 中 に脳 溢 血 で倒 れ たが 、2年 半 の 闘 病 の後 に左 手 一 本 の ピア ニ ス トと して見 事 に復 活 し、 再 び世 界 の 舞 台 に立 っ た。 再 起不 能 と宣 告 され た 人 が 懸 命 の リハ ビ リで 奇 跡 的 に快 復 す る た め に は、 可 能 性 につ い て の信 念 が 必 要 で あ る。 遺伝 的 な 素 因 に よる知 的 発 達 障 害児 に と って 、 抽 象 的 ・概 念 的 な認 知 構 造 の 変 容 を実 現 す る こ とは1誰 もが 無 理 だ と判 断 した と ころ か ら努 力 を始 め るの で あ る か ら・ 絶 壁 を登 る よ うな 困 難 が予 想 さ れ る。 片 桐 他(1999)は 、 寝 た き りで 通常 の 意 思 表示 が で きな い脳 性 ま ひ児 に 対 して、 不 快 の 自発 的 表 現 が わ ず か に見 られ た こ とを手 が か りに して 、 脳 波 や 心 拍 な どの生 理 的指 標 を確 認 しつ つ 療 育 した と ころ 、 表 情 の 変 化 や手 足 の動 き な どを導 き出 したが 、 そ の実 践 に は、 反応 が ほ とん ど ない 最 重 度 障害 児 へ の発 達 援 助 が い か に困難 で あ る か が 示 され て い る。 出 来 な い こ とが あ っ て もな お 出 来 る よ うに努 力 を続 け させ る こ とは積極 的変 容 で あ り、 困 難 な 問題 に直 面 して

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とて も解 決 で きそ う に な け れ ば、 そ れ を認 め て 出 来 る だ け快 適 に過 ご させ よ う とす る受 容 的 現 状 維 持 と区別 され る。 後 者 は相 手 の立 場 を尊 重 して 一 見 愛 情 深 い や さ しい接 し方 に 受 け取 れ る。 そ して その こ とが不 可 欠 な場 合 もあ る。例 え ば ア キ レス 腱 を切 断 し て入 院 して い る人 に対 して、 早 く快 復 す る よ うに努 め て 歩 か せ る な ど は禁 物 で 、 絶 対 安 静 を保 た な け れ ば な らな い 。 伊 藤 、 他(2003) は、 障 害 者 の家 族 の心 理 につ いて、 「世 間」 か ら隠 して そ っ と してお こ う とい う 思 い が あ る こ と を報 告 して い る。 しか しそ の 配 慮 が 、 実 は本 人 の成 長 の 芽 を摘 ん で しま う こ とが あ る 。教 科 の成 績 の悪 い児 童 生徒 に対 して、 学校 の勉 強 な ん て 出 来 な くて い い か ら安 心 しな さい と言 って 主 要教 科 に対 す る働 きか け を弱 め る こ とは、 結 果 的 に概 念 的 思 考 へ の 発 達 を妨 げ る こ とに な る。 生 活 習 慣 の形 成 や 職 業 訓練 が 重 要 で あ る こ とは言 う ま で もな い が 、 抽 象 的 ・体 系 的 な認 知 構 造 の 形 成 に至 る まで発 達 す る こ とが 人 聞存 在 と して の願 いで あ ろ う。 ヴ ィ ゴッ キ ー は、 概 念 的 思 考 は 生 活 的 思 考 と異 な り、 教 科 の学 習 を通 じて の み 達 成 され る と述 べ てい る とお り(中 村 、2004)、 学 校 教 育 な い し個 人教 授 に よっ て 、例 え難 し くて も根 気 強 く働 きか け 、 学 習者 の 動 機 づ け を高 め て 学 習 課 題 の 達 成 を促 す こ とは 、次 世 代 を育 成 す る者 の責 務 で あ る と考 える 。 唯 一 の邦 訳 書 「こ の ま ま で い い なん て い わ ない で」(Feuerstein,Reuve皿,etaL1997)と い う タイ トル に は 積 極 的 変容 の意 味 が こめ られて い る。 自覚 的 な媒 介 者 が 学 習 者 に積 極 的 に働 きか け る こ とは 、激 し く叱 った り無 理 強 い す る厳 しい しつ け を意 味 す る わ け で は な い。藤 永 、 他(2005)は 、 ダ ウ ン 症 児 の 母 親 の養 育 態 度 を調 べ て、 ほ め る こ とが と りわ け有 効 で あ る こ とを示 し た。 厳 しい叱 責 は、 吉 田(2003>が 主 張 す る とお り、 何 らか の 能 力 障 害 を抱 え る子 ど もに対 して 、 出 来 な い こ とを要 求 し否 定 す る こ とに な り、 自尊 心 が砕 か れ、 自己否 定 的 、 自信 喪 失 な ど、 二 次 的 な障 害 を もた らす よ うに な る 。 訓練 や 養 育 が、 対 象児 の 自信 と誇 り、 人生 の楽 しさ につ なが る こ とが 必 要 で あ る。 出 来 ない とい う こ と をた だ受 け入 れ る の で は な く、 積 極 的 に 変 容 を め ざす こ との 根 拠 は、 出 来 ない こ とが 固定 的 な能 力 の欠 如 を表 してい る の で は な く、 何 らか の 形 で 学 習 の機 会 を奪 わ れ てい る と考 え る剥奪 理 論 に あ り、 そ れ は 第2章 にお い て詳 述 す る通 り、 この プ ログ ラ ムの成 立 と深 く関 わっ て い る。

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剥 奪 説 は 、1960年 代 ア メ リ カ で のヘ ッ ド ・ス タ ー ト計 画 の理 論 的根 拠 に もな った。 ア フ ロ ・ア メ リ カ ンの幼 児 は発 達 の機 会 が奪 わ れ て い る と して 、 大規 模 な就 学 前 教 育 が 実 施 され た に もか か わ らず 、 白人子 弟 に比 べ て 再 び学 力 低 下 が 見 られ た が 、 そ の理 由 は遺 伝 的 素 因で は な く、 や は り彼 らを待 ち受 け て い た 劣 悪 な生 育 環 境 に求 め られ るだ ろ う。 また、 孤 児 院 で の養 育形 態 を調 べ た ス キ ー ルズ は 、施 設児 に手厚 い発 達 の機会 を与 え る こ との重 要 さ を示 した(藤 本,1990 よ り)。 そ の研 究 で は実 験 群 の1入1人 に継 続 的 にお 姉 さん役 の世 話係 をつ け る と、 施 設 に残 っ た統 制 群 に比 べ て数 年 の後 に知 的 水 準 に大 き な開 きが 生 じた こ とが示 され た 。 主 な違 い は物 理 的環 境 で は な く、 環 境 と施設 児 との 間 を媒 介 す る 「人 」 で あ った。 人 は環境 との媒 介 者 と して学 習 者 の発 達 を促 す役 目 を担 う。 1-3.媒 介 、最 近 接 発 達 の領 域 一 ヴ ィゴ ツキ ー との共 通 点一 典 型 発 達 の 子 ど も は通 常 の生 育 環 境 か ら刺 激 を取 り込 み 、 適 切 に処 理 し、 表 現 す る こ とが 出 来 る。 心 理 学 の 歴 史 にお い て、 行 動 主 義 で は そ の過 程 をS(刺 激)-R(反 応)と 表 記 し、 認 知 心 理学 で はS-0(主 体)-Rの よ う に主体 の 働 き を強 調 した 。他 方 で、 知 的 な遅 れ の あ る子 ど も は、 い くら物 理 的 環 境 が 与 え られ て も独 力 で 十分 に刺 激 を処 理 して学 ぶ こ とが 出 来 難 い。 彼 ら に代 わ っ て 入 力 情 報 を選 び 、 整理 して提 示 し、 適 切 な処 理 方 法 の ヒ ン トを与 え、 そ して 表 現 の仕 方 に気 づ か せ る大 人 が 、 彼 ら と環 境 を媒 介 す る必 要 が あ る。 そ れ は 明確 な意 図 を持 っ た 自覚 的 な療 育 者 、教 師、 そ して 親 で あ る。 フ ォイ ヤ ー シ ュ タ イ ン理論 で は この 過程 を、S-H(人)-0-H(人)-Rと 表 記 す る。 私 達 は環 境 との直 接 経 験 に よ り学 ぶ こ とに加 え て 、 入 を媒介 に して、 さ らに は文 化 を媒 介 に して、 よ り複雑 で 抽象 的 な事 柄 を学 んで い く。 ヴ ィゴ ッキ ー 心理 学 で は、 媒 介 につ い て次 の よ う に考 え る(中 村 、1998)。 人 は記 号 を媒 介 に して 人 間 自身 の心 理 過程 を支 配 し、 行 動 の 決 定 を行 う。 最 も本 質 的 な記 号 は こ とば で あ り、 私 達 は こ とば を媒 介 に して 思考 を行 う。 記 号 と し て の こ とば を媒 介 に して、 記 憶 、 注 意 、 意志 な どの諸 機 能 が 、低 次 の段 階(自 然 的段 階)か ら高 次 な 段 階(文 化 的段 階)へ と導 か れ る。 フ ォイ ヤ ー シ ュ タイ ン ・プ ロ グ ラ ム は、 後 の章 に見 る よ うな具体 的 な方 法 にお い て、 単 に課 題 が 解

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け るだ け で な く、 こ と ば で説 明 で き る こ とを と りわ け重 視 す る。 こ とば を用 い る こ とで概 念 的 思 考 に至 る とい う点 で 、 ヴ ィ ゴ ツキ ー心 理 学 と通 じ合 う とこ ろ が あ る。 積 極 的 変 容 を 目指 す とはい え、 本 人 の 努力 が 及 ば な い こ と を要 求 す る こ とは 逆 効 果 で あ る。 ま た、 と きに は 楽 に解 け る問題 を与 えて 、 出来 た こ とを ほ め て 自信 を 持 た せ た り、 動 機 づ け を 高 め た りす る手 立 て が 必 要 に な る。 山 本t他 (1999)は 、 発 達 障 害児 に対 して、 出来 る問題 を させ て満 足 感 や有 効 感 を増 加 さ せ る こ と に よ り、 自力 で 問題 を解 く一 連 の行 動 を形 成 させ る こ とに成 功 して い る。 も っ と も、 そ の 実 践 研 究 の 目的 は 、 発 達 障 害 児 が 自分 で 問 題 を解 い た り、 解 け な い 問題 を 自分 で 調 べ た りす る行 動 の形 成 で あ り、現 状 に 満足 せ ず に 次 の ス テ ップ を 目指 す 点 で は積 極 的 な変 容 を期 待 す る もの と言 える。 当 プ ロ グ ラ ム で は多 数 の教 材 が 難易 度 の順 に 用 意 さ れ、'受容 的現 状 維 持 に甘 ん じ る こ とな く、 学 習 者 の現 在 の水 準 で は解 け ない が 指 導 者 が 媒 介 す る と解 け る よ う な課 題 を与 えて 訓 練 を進 め て い く。 これ は ち ょう ど、 ヴ ィ ゴ ツキ ー の最 近 接 領 域 の発 達(「 発 達 の最 近接 領 域 」 と訳 され て きた)の 考 え 方 と符 合 す る。 最 近接 発 達 の 領 域 とは 、 子 ど もが あ る課 題 を独 力 で解 決 で きる知 能 の発 達水 準 と、 大 人 の指 導 の 下 や 自分 よ り能 力 の あ る仲 間 との共 同 で な らば解 決 で き る知 能 の発 達 水 準 との 隔 た りで あ る。 中村(2004)に よれ ば、 これ は子 ど もに対 す る外 的 な教 育 作 用 一 般 で は な く、 あ くまで も自然 発 生 的 な生 活 的概 念 に代 わ っ て 、学 校教 育 を通 じて科 学 的概 念 を形 成 す る文脈 にの み 限 定 使 用 され る。 す な わ ち、 抽象 的 ・体 系 的 な科 学 的概 念 の獲 得 が 目的 で あ り、 学校 の 教 科 教 育 を通 じて の み 達 成 され る過 程 に お い て で あ る。 また そ の過 程 は、教 科 の既 成 の 知 識 を移 植 す るだ け で は な く、 教 授 者 が学 習 者 の認 知 構 造 の発 達 一 ピア ジ ェの段 階 説 で は 具体 的 操 作 か ら形 式 的 操 作 に至 る まで の過 程 で あ る 一が 学 習 者 内 部 で 自 ず か ら行 わ れ るべ く橋 渡 しをす る もの で あ る。 当 プ ロ グ ラム で も、概 念 的 思考 を 目指 す とい う 目的 と、 順序 立 て て行 うや り方 にお い て、 ヴ ィ ゴ ツ キ ー の上 記 の理 論 と呼 応 す る。

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亙.実 践 報 告 と理 論 的 背 景 .

∬-1.「 『この ま ま で い い 』 な ん て い わ な い で1」(注1) 2001年8月 、 カ ナ ダ 中 部 の 都 市 ウ ィ ニ ペ グ で 開 催 さ れ た 「lnstrume皿tal Enrichment(IE)一 認 知 能 力 強 化 教 材 」 指 導 者 養 成 ワー ク シ ョ・ッ プ に 出掛 け た 。 筆 者(芦 塚)は 中 学 校 ・高 等 学 校 で 英 語 を担 当 す る 教 職 に あ りt生 活 指 導 面 で は 様 々 な 問 題 を抱 え る 生 徒 と格 闘 す る 現 場 の 人 間 で あ っ た 。 爾 来 毎 夏 、ICELP (TheIntemationalCcntcrfbrtbeEnhahCcmentofLeamingPotential一 学 習 能 力 向 上 の た め の 国 際 セ ン タ ー)が 主 催 す る 指 導 者 養 成 ワ ー ク シ ョ ッ プ に 参 加 す る こ と に な る 。ICELPは エ ル サ レ ム に あ り、 ル ー ヴ ェ ン ・フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ンが 創 設 し 主 宰 す る 研 究 所 で あ る 。 筆 者 は 各 年 の 開 催 地 で あ る シ カ ゴ 、 ギ ル フ ォ ー ド (イ ギ リス)、 ア ム ス テ ル ダ ム 、 パ リ を 訪 れ 、370時 間 の トレー ニ ン グ の後 、IE教 師 を 養 成 す る ト レ ー ナ ー と し て の デ ィ プ ロ マ を 得 た 。 ま た こ の 間 、 第2次 大 戦 直 後 来 日 し、社 会 福 祉 学 の 草 分 け 的 活 動 を行 っ た ロ イ ド ・B・ グ レ ア ム と夫 入 の エ ヴ ェ リ ン ・グ レ ア ム の 悲 願 、 日本 に お け るIE指 導 者 養 成 ワ ー ク シ ョ ッ プ 開 催 を 、 グ レ ァ ム た ち の 弟 子 が 中 心 と な っ て2004年3月 に1週 間12005年8月 は2 週 間 開 催 す る こ とが 可 能 と な っ た 。 障 害 を持 つ わ が 子 の 教 育 の た め に 参 加 し た 親 た ち の 熱 心 な 取 り組 み は す で に 成 果 を あ げ 始 め て い る。 カ ヴ ァー さ れ た コ ー ス は 、2004年 、IE一 レベ ル ・1、IE一 ベ ー シ ッ ク ・レベ ル1。2005年 、IE一 レベ ル 1・ π、LPADI、IEベ ー シ ッ ク レベ ル1・ 皿で あ る 。2001年 、]Eの 入 気 課 題 で あ る 「点 群 の 組 織 化 」 に取 り組 ん だ 別 室 登 校 生 は 現 在 外 国 語 短 期 大 学 で 学 ん で い る 。'" ∬-2.「 認 知 構 造 変 容 理 論 」 と 「E」 InstrumentalEnrichmentは 、 「「こ の ま ま で い いJな ん て い わ な い で1」 の 著 者 注1訳 者 の ロイ ド ・B・ グ レアムが筆者(芦 塚)の 英 語 の 師で あっ た とい う縁 に導 か れ 出版 前 の訳 文 を眼 に した。著 者 、 ルー ヴ ェ ン ・フ ォイヤー シ ュタイ ンとそ の協 力者 た ち ,に よ る忍 耐 強 い働 きか け に よっ て知 的発 達 障 害 を克 服 して い った 数 々の 青 少 年 の 記録 と、そ れ を可 能 に した理論 が記 述 され てい た。 読後 、衝 撃 と、強烈 な好 奇心 が入 り混 じ った複雑 な感動 が襲 った。L

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ル ー ヴ ェ ン ・フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン に よ っ て 開 発 さ れ た 教 材 で 、IE(ア イ ・イ ー)と 愛 称 さ れ 、 障 害 児 教 育 の 分 野 に 止 ま らず 、 世 界 中 の 学 校 教 育 の 現 場 で 実 践 さ れ て い る 。 グ レ ア ム は 、 こ の 語 を 「認 知 能 力 強 化 教 材 」 と訳 し た が 、 原 語 のlnstrumentalEnriclunentは 、 い わ ゆ る翻 訳 至 難 の 言 葉 で あ る 。Instrumentalは も ち ろ んlx strurnentの 形 容 詞 で あ り、 血strumentに は 、 楽 器 、 道 具 、 媒 介 者 な どの 意 味 が あ る 。 あ え て 「認 知 能 力 強 化 教 材 」 と い う訳 語 に 補 足 す る な ら ば 、IEは 、 認 知 能 力 を 強 化 し豊 か に す る心 理 学 的 道 具 で あ り、 さ ら に そ の 道 具 の 使 用 は媒 介 的 手 法 を も っ て な さ れ る、 とい う多 層 性 を持 つ 名 前 な の で あ る 。 ル ー ヴ ェ ン ・フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン は1921年 、 ル ー マ ニ ア に 生 ま れ た ユ ダ ヤ 人 で 、 青 年 期 、 第2次 世 界 大 戦 時 に は ナ チ ス ドイ ッ の 手 か ら青 年 子 女 を イ ス ラ エ ル に 移 民 させ る た め の 地 下 活 動 に 身 を 投 じて い る 。1950年 ∼1954年 に は ス イ ス 、 ジ ュ ネ ー ヴ 大 学 の ジ ャ ン ・ピ ア ジ ェ の も と で 認 知 心 理 学 を 学 ん だ 心 理 学 者 で あ り、 ま た 教 育 者 と し て イ ス ラ エ ル 建 国 時 の教 育 分 野 に お け る リ ー ダ ー と し て 、 ホ ロ コ ー ス トを 生 き延 び 、 陸 続 と して イ ス ラ エ ル に 移 民 し て くる 児 童 ・若 者 の 教 育 に 専 心 す る 。 彼 の も と に 集 ま っ た 年 少 の 移 民 の 多 く に は 知 的 発 達 障 害 や 行 動 障 害 が 見 ら れ た が 、 子 供 た ち の 目 の 光 を 前 に し て 「知 能 と は 何 で あ ろ う か 」 と 自 問 し、 イ ス ラ エ ル が 受 け 入 れ た 若 者 す べ て を 市 民 と し て 教 育 す る こ と を 自身 の 課 題 と した 。 黎 明 期 の 国 家 と い う イ ス ラ エ ル の 特 殊 性 は 、 ピ ア ジ ェ に 発 し た フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ンの 発 達 観 に ダ イ ナ ミ ック な 動 き を もた らす こ と に な る。 ホ ロ コ ー ス ト ・サ ヴ ァ イ ヴ ァー で あ る 子 ど も た ち や 若 者 た ち は 、 親 や 共 同 社 会 を奪 わ れ 、 文 化 ゼ ロ と い う極 限 状 況 の な か で 成 長 期 を 過 ご し イ ス ラ エ ル に移 民 して い た 。 フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン は 、 若 者 の 多 くが 示 す 問 題 は 、 精 神 発 達 に と っ て 必 須 の 条 件 で あ る 文 化 を奪 わ れ た こ とに あ る と想 定 し、 発 達 上 の 「臨 界 期 」 説 に 挑 戦 した 。 知 能 に は ダ イ ナ ミ ク ス(力 動 的 な力)と メ カ ニ ク ス(構 造/仕 組)の 両 面 が あ り、 よ り高 い 順 応 を 人 が 遂 げ て い く プ ロ セ ス で あ る 、 とFeuerstein,Reuven (2003)は 知 能 を定 義 す る 。 彼 は、 発 達 障 害 、 行 動 障 害 、 売 春 、 非 行 、 様 々 な 問 題 を か か え た 若 年 の 移 民 た ち を前 に 、 知 能 は ダ イ ナ ミ ッ ク に 変 容 す る可 塑 性 を

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持 つ との仮 説 「認 知 構 造 変 容理 論 」 を立 て、 彼 らの 治 療 教 育 に あ た り・ そ れ を 証 明 す る多 くの事 例 を得 た 。彼 らの た め に フ オイ ヤ ー シ ュ タイ ンが 開発 した道 具 が 、LPAD(潜 在 的 学 習 向性 評 価 法)、IE(認 知 能 力 強化教 材)・ そ して 「媒 介 学 習体 験 」 と呼 ばれ る指 導 法 で あ る。 IE(認 知 能 力 強化 教 材)は 、14課 題、 全 部 で お よそ500枚 に及 ぶA4版 の プ リ ン トで構 成 され て い る。14の 課 題 は次 の通 りで あ る。 「点 群 の 組 織 化 」 「空 間定 位1」 「分 析 的知 覚 」 「比 較 」 「分 類 」 「空 間定 位E」 「イ ラス トレー シ ョン」 「時間 関係 」 「家 族 関係 」 「数 列 」 「推 移 関係 」 「指示 」 「三 段 論 法 」 「ス テ ン シル ・デザ イ ン」。 各 ペ ー ジ に は、 言 語 、 図形 、 描 画 、 数 字 な ど、 さ ま ざ ま に表 現 形 態 を変 え、 難易 度 と複 雑 さ と抽象 性 を増 しなが ら、 世 界 を組 織 し系 統 立 て て い る 関係 が封 じ込 め られ て い る。 媒 介 者 と呼 ばれ る教 師 の指 導 の も と、 紙 と鉛 筆 と消 しゴム を も っ て系 統 的 に学 習 を続 け る なか で 、 生徒 は学 習 や 思 考 の 前 提 条件 と な る認 知 機 能 、 認 知 操 作 、 方 略 を内在 化 して い く。 情 報 を収 集 し、 比 較 し、 分 類 し、 仮 説 を立 て 、 推 理 し、 関係 性 を見 出 しr認 知 構 造 を変 容 させ 、 抽 象 的 思 考 を獲 得 し、 自分 自身 を媒 介 す る力 を持 つ独 立 した学 習 者 に まで至 るの で あ る。 代 表 的 な認 知構 造 に は記憶 ・思 考 ・想 像 な どが あ るが 、以 下 皿 一3に 紹 介 す る認 知 機 能 が よ く発 達 し活性 化 され て い れ ば、 認 知構 造 は ダ イ ナ ミ ック に活 動 し効 率 が 高 ま る。 した が って、 発 達 不全 を示 して い る認 知機 能 が観 察 され れ ば、 そ れ を鍛 え、 活 性 化 させ る こ とで認 知 構 造 の変 容 が 起 る。 そ してそ れ を 可 能 に す る鍵 が 、媒 介 学習 体 験 と呼 ばれ る指 導 法 なの で あ る。 亙一3.DeficientCogniti▼eFunctions-一 認 知 機 能 不 全 Feuerstein,Reuven(1980)の 分 類 に な る 認 知 機 能 不 全 を リス トア ッ プ す る 。 彼 は 、 文 化 の 喪 失 他 さ ま ざ ま な 理 由 で 媒 介 を 受 け る 機 会 を 持 た な か っ た た め に 起 き た 機 能 不 全 は 、 認 知 構 造 の 中 心 に あ る 認 知 操 作 な ど処 理 機 能 の 不 全 と い う よ りは 、 周 辺 的 な 学 習 態 度 や 習 慣 、 動 機 の 欠 如 と し て 現 れ る と 論 じ て い る 。 近 年 日本 の 社 会 に お い て 深 刻 化 しつ つ あ る 若 者 の 問 題 を 分 析 す る た め の ヒ ン トが こ こ に は 多 く見 られ る。

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入 力 段 階 の不 全;課 題 や 問題 状 況 に 直 面 した際 に 、 情 報収 集 の段 階 で見 られ る 機 能 不 全 。 「散 漫 で ぼ ん や りと した 知 覚 」 「無 計 画 ・衝 動 的 、 や み く もな 情 報 収 集 」 「空 間 定 位 の不 全 」 「時 間概 念 の 不 全 」 「正 確 さ に対 す る欲 求 の 欠 如 」 「同 時 に2つ 以 上 の情 報 を考 慮 す る こ とが で きず 、 情 報 が 断 片 的 で全 体 と して ま とま ら ない」 精 緻 化 処 理段 階 の不 全;取 得 して い る情 報 や 手 が か りを有 効 に用 い る段 階 の 機 能不 全 。 「取 り組 もう とす る問題 の把 握 が不 正 確 で あ る、 あ るい は曖 昧 で あ る」 「自 発 的 に比 較 し よ う とす る習慣 が 育 っ て い ない」「知 識 の ネ ッ トワー クが狭 い 」 「経験 が そ の場 か ぎ りの 一 過性 で 終 わ る」 「論 理 的 な根 拠 を求 め よ う と し な い 」 「イ メ ー ジ を描 くこ とが で きな い」 「仮 説 ・推 論 が 立 て られ な い」 「仮 説 を立証 す る方 略 を もた な い」「問 題 解 決 に必要 な計 画 の枠 組 みが つ くれ ない」 「計 画 に基 づ い た 行動 が 出 来 な い」 「概 念 を獲得 してい ない ため に課題 解 決 に要す る処 理が で きない領域 が あ る」 情 報 の精 緻 化 処 理 段 階 で の機 能 に 問題 が な く創 造 的 で あ っ て も、 入 力段 階 の 情 報 が 適切 で な け れ ば結 果 は正 確 な もの に は な りが たい 。 出力段 階 に お け る不 全:最 終 的 な回答 を表 現 す る際 の不 全 「相 手 に分 か る よ うに表 現 す る こ とが で きない」 「仮 想 関係 の予 測 ・投 影 が で きな い」 「思 考 が一 時停 止 状 態 に お ちい る」 「試 行錯 誤 反 応」 「理 解 して い るの に、 言 葉 が み つ け られ ない 」 「答 え を正確 に表現 し よ う とす る欲 求 が 希 薄 で あ る」 「視 覚 が捉 え た像 を離 れ た位 置 に移 して再 現 す る こ とt視 覚 移 動 が で き ない」 「衝 動 的、 無 反省 な反応 」 この 段 階 に 困 難 を持 つ 場 合 に は、 前 の2つ の段 階 が 正 し く処 理 され て い て も、 理 解 困難 な反 応 と しか み な され な い こ とが あ り、 注 意 が 必要 で あ る。 皿一4.MediatedLearningExperience一 媒 介 学 習 体 験 第 二 次 世 界 大 戦 直 後 の イ ス ラ エ ル で の フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ン の 取 り組 み は NILE一 媒 介 学 習 体 験 理 論 と して 結 実 し た がs彼 め 発 見 し た 認 知 能 力 不 全 の 背 後

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に あ る 若 者 た ち の 文 化 喪 失 体 験 は 、 こ こ に も色 濃 く反 映 さ れ て い る。 彼 は 、 人 間 の 相 互 作 用 にMLEの 質 を与 え る 要 件 と し て 次 の11の 特 徴 を あ げ て い る(Feuerstein,Reu.ven,1988)。 1.Intentionality‐ 図性 とReciprocity一 相 互 性 2.Transcendenc。 一超 越 性 3.MediationofMea血1g一 意 味 の 媒 介L 4.自 己 有 効 感 の 媒 介5.行 動 の 抑 制 と調 整 の 媒 介6.分 か ち 合 い 行 動 の媒 介 7.人 に は 個 性 が あ り相 互 に 異 な る 存 在 で あ る こ と の 媒 介 8.目 標 を 設 定 し、 計 画 し、 追 及 し、 達 成 す る こ と の 媒 介 9.新 し さ や 難 し さ に挑 戦 す る こ との 媒 介 10.人 間 は 変 化 す る存 在 で あ る こ との 媒 介11.楽 観 的 選 択 肢 の 媒 介 以 上11の 特 徴 の う ち 、 特 に 最 初 の3つ がMLEを 成 掌 させ る た め の 必 須 条 件 と さ れ て い る が 、 自 己 有 効 感 や 、 目標 達 成 の 媒 介 、 変 化 や 楽 観 的 選 択 肢 の 媒 介 は 、 生 き る 意 味 を 見 失 っ て い る 現 代 の 若 者 に と っ て 、 非 常 に 重 要 で あ る 。 以 下 に 、 必 須 要 件 と さ れ る 最 初 の3つ に つ い て 簡 単 に 述 べ る 。 1.Intentionality一 意 図 性 とReciprocity一 相 互 性 大 人 が 子 供 に 対 して 働 き か け の 意 図 を もつ こ と で あ り、 知 識 や 価 値 、 相 手 に 対 す る 願 望 な ど 、 様 々 な も の が 大 人 の 意 図 を 形 成 す る 一意 図 性 。 大 人 は 鏡 を 見 る よ う に 自 分 の 働 き か け の 効 果 を 点 検 し、 子 供 の 反 応 に 応 じ て 自 分 の 働 きか け を 柔 軟 に 変 化 させ る 一相 互 性 。 子 供 を変 化 さ せ た い と 願 う と き に は 、 ま ず 大 入 か ら変 化 し な け れ ば な ら な い 。 相 手 に 向 か う批 判 の 矢 を 自分 に 向 か わ せ な け れ ば な ら な い 。 2.Transcendence‐ 超 越 性 大 人 の 働 きか け が 直 接 的 な 目的 を 超 越 し た よ り高 い 目標 に 向 か う こ と を い う。 あ る 少 年 が2004年3月 に 来 日 し たICELPス タ ッ フ に よ る ス ク リ ー ニ ン グ を 受 け 、 典 型 的 な 「優 秀 児 」(GeniusUnderAchiever)と の 観 察 を 得 た 。 こ こ で い う優 秀 児 と は 、 高 い 機 能 が 逆 説 的 に 幼 児 期 に お い て 大 人 の 介 入(媒

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介)を 拒 絶 す る傾 向 と結 び つ いた た め に媒 介 不 足 を ま ね き、 結 果 と して認 知機 能 の ア ンバ ラ ンス に至 る。 これ が学 齢 期 に至 っ て学 業 不 振 とい う形 に な っ た子 供 の こ と を言 う。 こ こで取 り上 げ る少 年 は 、 情 報 の精 緻 処 理 段 階 にお い て は 、 高 い創 造 的 な機 能 を示 す が 、 入 力 段 階 の 諸 機 能 や 出力 段 階 の 特 定 機 能が う ま く働 い てい な い。 漢 字 を書 くこ と も読 む こ と も苦 手 で 文 章 の読 み 書 き に強 い抵 抗 を持 つ た め、 勉 学 そ の もの を放 棄 して い た。 この 少 年 はIEに よ る指 導 を楽 しん で続 け て い るが 、2005年 の夏 、LPAD課 題 の なか の ア ン ドレ ・レイ に よ る 「複 雑 図 形 」 の媒 介 を受 け細 部 と全 体 の 関連 性 を 読 み 取 り、 複 雑 な 図形 を記 憶 し再現 す る課 題 と取 り組 ん だ 。彼 が こ こで獲 得 した 方 略 は、 不 得 手 とす る 漢 字学 習 に超 越 的 に用 い る こ とが 可 能 で あ っ た 。 漢 字 は象 形 文 字 で あ る。 漢 字 の歴 史 、 形 の 意味 を学 ぶ こ とは、 超 越 し て 遠 く深 く 日本 ・中 国 の文 化 へ 向 か うこ とにつ なが る 。彼 は筆 順 の 意 味 を 知 り、 抵 抗 を解 き、 平 行 してIE学 習 を続 け なが ら長 い 文 章 を書 く練 習 を し て い る。 「複 雑 図 形 」 と漢 字 との 関 連 の 媒 介 は、 以 下 の 「意 味 の媒 介 」 と もつ な が る。 3.MediationofMeaning意 味 の媒 介 「意 味」 は価 値 、 真 意、 重 要性 、 伝 達 した い こ と、 な ど を意 味 す る。 子 ど も との相 互 関 係 の な か で 、 大 人 は なぜ そ れ が 大 切 で あ る の か を伝 え る。 子 ど もの行 為 が 大 人 の 価 値 を満 た す と きに は媒 介 者 の よ ろ こび が 意 識 的、 無 意 識 的 に子 供 に伝 わ る。 そ の行 為 は 強化 さ れ、 子 供 の価 値 観 を形 成 して い く。 フ ォ イ ヤ ー シ ュ タ イ ンは こ こ で も文化 を認 知構 造 を育 む もっ と も豊 か な土 壌 と して重 要視 す る。 II-5.事 例 一一LFAD 以 下 は 、 ア ン ド レ ・レ イ の 複 雑 図 形 に 基 づ くLPAD(次 章 で 詳 述 す る)を 、 一 少 女 に 実 施 した 事 例 で あ る 。

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サ じ ごゆ ロは ゆ お 1)見 本 図 形 を 見 な が ら の 第1コ ピ ー2)記 憶 に 基 づ い 差 絵

→媒介(描 き順 、注 意点 、図形 を構 成す る部 分 のコ ンセプ ト、全体 の つ なが りな どの媒介 を受 け る) 見 本 図 形}3》 見本 図 形 を見 なが らの第2コ ピー4)記 憶 に基 づい た絵

1趣灘 鴎 審

購 誰

図1複

雑 図形の模写課題(評 価者:林 照子(大 阪教育大学))

こ の 図1は 、 中 学 校 入 学 以 前 に受 け た心 理 検 査 で 軽 度 発 達 障害 と判 定 され て い た 少 女 がIEに よ る指 導 を受 け始 め て か ら9ヶ 月後 、2004年10月 に描 い た もの で あ る。 さか の ぼ っ て2004年3月 、 彼 女 はICELPス タ ッフ に よ り、 高 い変 容 の 可 能 性 が予 見 され て い た。1)の コ ピー段 階 で は細 部 や 正 確 さに や や 難 点 が 見 られ るが 、 全 体 的 な フ レー ム は しっ か りと捉 え られ て い る 。2)は 、 顔 が 連 想 さ れ る 部 分 に気 を と られ て し まっ て記 憶 が 混 乱 した た め 「これ で い い や」 とい い な が ら楽 しい顔 を い くつ も描 い た 。 しか し、 注 意 深 く見 る と、全 体 の フ レー ム は コ ピー 図形 よ り も見 本 図 形 に近 く、 平 行 が よ く保 た れ て い る。 次 に媒 介 の 段 階 が 挿 入 され る。IEの 最 初 の課 題 で あ る 「点群 の 組 織 化 」 を学 習 して い る 間 に、 彼 女 が 入 力 段 階 で の視 知 覚 に 困 難 が あ り、 出力 段 階 で は 、視 知 覚 移 動 に困 難 を示 す こ とが観 察 され て い た。 直 角 、正 方 形 、 直 角 二等 辺 三 角 形 な どの 識 別 が 難 し く、 図形 の コ ンセ プ トは まだ 脆 弱 さ を残 して い た。 媒 介 の段 階 で は 、 こ れ らの コ ンセ プ トや 、 全 体 と部 分 の 関係 性 把 握 の 強化 が 図 られ た 。 媒 介 の 後 、 彼 女 は大 き な飛 躍 を遂 げ て い る。3)2度 目の コ ピー 画 が 描 か れ た 。 媒介 に よ る コ ンセ プ トの 強化 は視 知 覚 入 力 ・視 覚移 動 出力 に正 確 さ を与 え、 細 部 の 描 写 も豊 か さ を加 えて い る。4)最 後 に 、2度 目の記 憶 に基 づ く画 が 描 か れ た 。 全 体 の フ レー ム は第2の コ ピー 画 よ り も見本 画 の特 徴 を更 に正 確 に と らえ、彼 女 の表 象(mentalrepresentation)機 能 が 活発 で あ る こ と を示 して い る。 彼 女 の媒 介 を受 け入 れ る変 容性 の 高 さが こ こで も示 され た。

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皿一6.事 例 一IEと 英 語 IE学 習 に お い て は、 ブ リ ッジ ング(近 い 領 域 へ の橋 渡 し→ 応 用)と い う作 業 が 教 師 の 大切 な役 割 で あ る。 す な わ ち 、 そ の 日の課 題 ペ ー ジで 学 ん だ コ ンセ プ トや方 略 な ど を学 校 の 教 科 学 習 や 日常 生 活 と結 びつ け る作 業 で あ る。 モ デル

ロム

d

課題 ・ ・ ・ ■ ・ .・ ● ● ・ 1正 解 1 L よ く あ る ま ち が い 1 一 一 一

図2点

群の組織化課題(当 図版の複製および無断使用は差 し控 えていただきたい)

図2は 「点 群 の組織 化 」の 第2ペ ー ジ、4つ 目の課 題 で あ る。 「点群 の組 織化 」 は 、 ピア ジ ェの 高 弟 、 ジ ュ ネ ー ヴ大 学 の ア ン ドレ ・レイが 、 特 別 な空 間処 理 技 術 を 要 す る 職 業 へ の 適 性 を 調 べ る た め に 考 案 し た 課 題 に 基 づ い て い る が (Feuerstein,Reuven1980)、 レイ が考 案 した課 題 を フ ォイ ヤ ー シ ュ タイ ンは合 計 16ペ ー ジの課題 に ダイ ナ ミ ック に発展 させ て い る。 モ デ ル 図形 を探 す た め には 、正 方形 ・直 角 ・平 行 ・辺 な どの コ ンセ プ トが獲 得 され て い な け れ ば な らな い。 方 略 と して は、 つ な ぎあ わせ る と直 角 に な る3 つ の 点 を さが して3角 形 をつ くる、 あ る い は互 い に平 行 な等 しい長 さの2本 の 線 を見 出す 。 「よ くあ る 間違 い」 が 例示 され て い るが、 ここで は直 角 は見 出 した もの の 、2辺 が 等 し くな い こ とに気 が つ い てい な い。 角 度 ・辺 の 長 さを考 慮 せ ず衝 動 的 に答 え に とび つ いて い る の で あ る。 こ の よ うな複 数 の情 報 源 を意 識 し て 処 理 し なけ れ ば な らな い プ ロ セ ス は様 々 なIE課 題 で 強 化 さ れ るが 、 英語 学 習 へ の橋 渡 しと して は初 歩 的 な例 と して 図2を 用 い たい。 主 語 が3人 称 単 数 、'動詞 の 時 制 が 現 在 で あ れ ば 、動 詞 の語 尾 に 「s」また は 「es」をつ け る とい う規 則 は英 語 を学 び始 め た時 点 で教 え られ る。 しか し、 単純 極 ま りな く思 え る この 作 業 もあ な どれ な い。 こ こで は 人称 ・数 ・時 制 ・語 尾 等

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の 複 数 の 情 報 を 同 時 に 処 理 し な け れ ば な ら な い 。 も し 間 違 い を 繰 り返 す 生 徒 が い れ ば 、 入 力 段 階 で の 複 数 の 情 報 を 同 時 に 考 慮 す る機 能 が 脆 弱 で あ る と仮 定 し て 、 人 称 ・数 ・時 制 ・語 尾 を 意 識 し て 同 時 に 考 え る よ う指 導 す る が 必 要 が あ る だ ろ う。 人 称 ・数 ・時 制 ・語 尾 へ の 意 識 は 、3単 現 に 止 ま らず 、 高 度 な文 法 ・ 文 章 に お い て も常 に 求 め られ る 事 柄 で あ る。 中 学2年 生 に な る と 、 複 文 が あ ら わ れ 、 不 定 詞 の 学 習 が 始 ま る 。 上 で 紹 介 し た 少 女 に と っ て は 「比 較 」 が 思 い が け な い 難 関 で あ っ た 。 次 の よ う な 問 題 で あ る 。 一 枚 の 絵 に、Am!MegIBeth!D。rothyの4人 が 身 長 の 順 に描 か れ て い る 。 問 題:空 欄 に 適 当 な語 を い れ な さ い 。 1)Annis()thanDorothy.2)()isshorterthanMeg, 3)Dorath、yis()thanAnn, 課 題 の 絵 が 身 長 を 基 準 に し て 系 列 的 に 並 べ られ て い る こ と に 気 づ か な か っ た 彼 女 は 、 当 惑 し た 。 こ の よ う な 問 題 を解 決 す る の に はIEの 分 類 課 題 が 有 効 で あ る。 i. 

点i」1

薯薯[脅

図31E分 類 課 題 この 課 題 で は、 分 類 の 対象 で あ る鉛 筆 を まず 「サ イ ズ」 で 分 類 す る。 次 に サ イズ ご とに分類 され た もの を さ らに 「色 」 で 分 類 す る。 最 終 的 に は4つ に分 か れ た 鉛 筆 の 記 号 を空 白欄 に 書 き入 れ る とい う課 題 で あ る。 分 類 の 基 準 とな る

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「サ イ ズ 」 や 「色 」 は抽象 名 詞 であ り背 後 に隠 れ て い る。 隠 れ てい る基 準 を見 出 す作 業 は、 対 象 物 か ら属 性 を抽 象 す る作 業 で あ る。 類 似 の課 題 で こ の よ う な分 析 を重 ね て い くこ とで、 分 類 の基 準 を見 出 す 習慣 が 育 っ て い く。 ま た 、形 容 詞 は 物 の 属 性 を 表 す 語 で あ り、 分類 作 業 は形 容 詞 を見 出 して い く作 業 で もあ る。 IE課 題 は 臨機 応 変 に応 用 的 に発 展 させ る こ とが で きる。 この ペ ー ジ で サ イ ズ を 表 す 「大 ・小 」 は比 較 に馴 染 むが 、 色 と して分 類 され た 「緑 ・黒 」 は比 較 で は な い 。 なぜ だ ろ う。 この 疑 問 に対 して は緑 色 を系 列 化 した教材 を用 意 し、 「dark !light」 を見 出 す よ う に導 く。 少女 が戸 惑 っ た 「tall-short」あ る い は 「big-small」

「dalk-light」は み な段 階 的 に変 化 す る もので 、 相対 的 関係 で比 較 され る とい う発 見 に まで 導 い て い くこ とが で きる 。 少 女 は こ の よ うな作 業 を非 常 に 楽 しみ 、 英 語 大 好 き少 女 に育 っ て い る。

皿.LPAD(潜

在 的学 習 向性 評価 法)

皿 一1.LearningPropensityAssessmentDevice(LPAD)の 特 徴 第 二 次 大 戦 後 の イ ス ラ エ ル で 、 ル ー ベ ン ・フ オイ ヤ ー シ ュ タ イ ン は 、 「発 展 性 の な い 心 理 テ ス トで 本 人 の 能 力 を 測 定 す る こ と を 主 眼 とす る 代 わ り に 、 そ の 人 の 変 容 の構 成 や 対 応 能 力 を 評 価 す る ア プ ロ ー チ を展 開 した 」(Feuerstein他1997)。

こ の 杢 定 法 の 特 徴 を 、Feuersteinら(2003>お よ びLFADマ ニ ュ ア ル(Feuerstein ら1995)を 参 照 しな が ら以 下 に示 す 。 ① 事 前 テ ス ト → 媒 介 → 事 後 テ ス ト か ら成 る 。 媒 介 と は 、 指 導 者 に よ る 指 差 しか ら言 語 的 教 示 、 さ ら に 対 象 児 の 手 を と っ て 正 解 に 導 くな どの 働 きか け の こ と で 、 出 来 な け れ ば この サ イ ク ル を何 度 で も繰 り返 す 。 ② 時 間 は 無 制 限 。 ③ 全 部 で15種 類 の テ ス トか ら、 被 検 者 の 状 態 に よ り選 ば れ る 。H-5の 図 1の 図 形 模 写 や 、II-6の 図2の よ う に 、 点 の 集 ま りの 中 か ら見 本 図 形 を見 つ け て 線 で 結 ぶ 課 題 、 ま た 、 図4の マ ト リ ク ス テ ス トな ど の 視 覚 課 題 や 、16単 語 を 順 次 口 頭 で 言 っ た あ と に 再 生 を 求 め る 聴 覚 的 ・言 語 的 な 記 憶 課 題 な ど か ら成 る 。 各 テ ス トの ね らい は 認 知 案 内 図(Cognitivemap) とい う ガ イ ドラ イ ンか ら指 定 さ れ て い る 。

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④ で きな けれ ば理 由 を探 り、 そ の原 因 を変 え る こ と を 目指 す 。 失敗 の 原 因 を認 知 機 能 不 全 リス ト(第2章 参 照)に 従 い 解 釈 す る。 認 知 査 定 に と ど ま らず 、 そ の 後 の介 入 の方針 を探 る 目的が あ る。 ⑤ 査 定 で あ る と同 時 に認 知 訓 練(教 育)で もあ る。 比 較 、 推 論 、 表 象 、 論 理 的思 考 、課 題解 決 の ため の汎用 性 の あ る方 略 を獲得 す る ⑥ 相 対 評 価 で は な く絶 対 評価 で あ る。 被 験 者 自身 の以 前 の 成 績 と比較 す る。 ⑦ 個 人 の機 能 を よ り高 度 な水 準 にく背 伸 び 〉 させ る。教 育 目標 を、 現 時 点 で そ の人 が で きる こ とに基 づ い て 設 定 す る の で は な く、 そ の 入 の 機 能水 準 を上 げ る た め に必 要 な介 入 を行 っ た後 に得 られ るで あ ろ う能 力 に基 づ い て 設 定 す れ ば、 そ の 人 の 将 来 の 人 生 の質 に 、 よ り大 きな意 味 と影 響 を 与 え るで あ ろ う、 と主 張す る(Feuerstezn他2003)。 こ れ は前述 の通 りヴ ィ ゴ ツ キー の最 近接 発 達 の領域 の考 え方 に通 じる。 ⑧ 被 験者 と評 価 者 の相 互 作用 か ら、被 検 者 自身 の 認知構 造 の変 容 を はか る。 ヴ ィゴ ッキ ー の、 「相 互作 用 か ら内化 へ 」 とい う主 張 と呼応 す る。 ⑨ 動 機 づ け の面 で は、 成 功 体 験 に よ り自己 イ メ ー ジや 自己有 効 感 を変 化 さ せ る 次 節 で は、15種 類 の課 題 の うち の い くつ か を例 に挙 げて、 実 施 方 法 を述 べ る。 皿一2.複 雑 図形課 題 の 実施 要領 こ こ で は、1T-5の 図1の 複雑 図形 の模 写 につ い て、 手 続 き と媒 介 の仕 方 お よび評 価 につ い て解 説 す る。 実施 順 序 は、模 写 → 記 憶 に よる再 生 → 媒 介 →模 写 → 記 憶 に よる再 生 、 で あ る。 ま とま りを見 つ け 、 十 分 時 間 を か け て正 確 に描 くこ とを教 示 し、 図形 の 中 の ダ イ ヤ モ ン ドの 部 分 が被 検 者 の右 側 に 来 る よ う に方 向性 に注 意 して 提 示 し て、 第1回 目の模 写 を行 わせ る。 時 間経 過 と共 に描 い た部 分 を特 定 す る た め に、 色 鉛 筆 を数 本 用 意 して30∼45秒 毎 に鉛 筆 の色 を変 え させ る。所 要 時 間 を計 る こ と を告 げ、 後 の解 釈 の 参 考 にす る 。描 画 中 の 被 検者 の 言語 的 ・非 言 語 的 な様 子 を 記 述 す る 。終 了 した ら図形 を被 検 者 の 目 に触 れ ない よ うに遠 ざ けて 、3分 後 に 第2回 目で は記 憶 に よ り描 画 させ る。遅 延 時 間 を設 け た結 果 、 この テ ス トは単

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な る 図 形 記 憶 で は な く、 目の前 の複 雑 な刺 激 を どの よ うに体 制 化 して 自分 の認 知 的枠 組 み に組 み 入 れ るか が 問 わ れ る課 題 とな っ て い る。 そ の 後 に今 度 は媒 介 を 開 始 す る。 媒 介 に は検 査 結 果 に よ り4段 階 の 程 度 が 設 定 され て い る。1)最 小 限 の媒 介 図 形 の構 造 化 を意識 させ る もの で 、 「これ ら の細 部 を どん な ふ うに 割 り当 て た らい い か な?」 とい う質 問 に と どま る 。2) 第2水 準 の媒 介 評価 者 は 図 形 の 主 た る要 素 を分 析 して 名 前 をつ け て、 名 前 を 繰 り返 し て言 う よ う に励 ま し、 よ り良 い体 制 化 の た め に そ れ らに注 意 を払 わせ る 。 図 形 体 制 化 の た め に大 きな 長方 形 を名 づ け て 注意 を向 け させ る。3)第3 水 準 の 媒 介 図 形 の構 造 につ い て話 し合 う。 評価 者 が 描 き、 被 験 者 が 同 じ絵 を 描 く。4)手 と 目の協 応 が不 自由 な極 端 な場合 、 被験 者 の 手 を とっ て線 を引 き、 大 き な長 方 形 か ら始 め て 前段 階 と同 じ順 序 で 描 く。 評 価 者 は指 導 す るが 、 この 極 端 な媒 介 をや め る タ イ ミ ング に感 受 性 鋭 く準 備 してお く。 事 後 の2回 目の 模 写 に続 い て、2回 目の記 憶 に よる模 写 を、 各 々1回 目 と同 様 の手 続 きで 実 施 して 終 了 す る。 描 い た順 序 に つ いて 言 語 的 に報 告 させ る。 課 題 につ い ての 効 率性 と体 制 化 の洞 察 が 出 来 て い る か を評 価 す る。 結 果 の 評 価 は、 図形 各 部 や全 体 につ い て 点数 化 し、 合 計 点 で 表 す量 的評 価 と、 構 造化 の 程 度 に よ り定 め られ た7段 階 の質 的評価 か ら実 施 され る。 こ こで の 媒 介 と は、 決 して正 解 を教 え る単 な る フ ィー ドバ ッ クで は な く、 ま た 、特 定 の 図 形 を上 手 に模 写 で きる こ とが 目的で はな い。 課 題 と して は 図形 模 写 で あ るの に、 こ とば に よる概 念 化 の働 きが 強 調 され て い る こ とが わ か る。 目 の 前 の 複 雑 な事 象 を 自 らの 枠 組 み で捉 え、解 決 す る心 的 能力 に転 移 す る こ とが 期 待 され て い る。 皿 一3.例3.16words 定 め ら れ た16の 日常 語(名 詞)を ゆ っ く り と順 に 読 み 上 げ 、 言 い 終 わ っ て10 ∼15秒 の 遅 延 の 後 に 、 順 不 同 で 言 語 的 に 再 生 を 求 め る 。 刺 激 語 は 例 え ば(り ん ご ・み か ん ・バ ナ ナ ・柿/う さ ぎ ・羊 ・牛 ・馬/ジ ュ ー ス ・牛 乳 ・コ ー ヒ ー ・ 麦 茶/テ レ ビ ・冷 蔵 庫 ・掃 除 機 ・洗 濯 機)の よ う に 、4群 の カ テ ゴ リ ー に 分 か れ て い て 、 ラ ン ダ ム に 予 め 一 定 の 順 序 で 並 べ ら れ て い る 。 媒 介 な し で4回 連 続

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再生 課 題 を行 っ た後 に、 用 い た方 略 につ い て尋 ね る。4回 で も完 答 しな けれ ば、 単語 群 を カ テ ゴ リー に分 け る と覚 えや す い こ と を、 ヒ ン トを与 え て段 階 的 に教 えて媒 介 す る。 あ る学 業 低 下 傾 向 の 女 子 高 校 生 に この テ ス トを行 っ た とこ ろ、 好 成 績 で は あ った が4回 目で も完 答 に至 らな か った 。 通 常 は2、3回 目 く らい に な る と カテ ゴ リー 別 に再 生 す る よ うに な るが、 彼 女 の場 合 は4回 を通 して 、 ほ ぼ 提 示 順 序 と同 じ順序 で 再 生 して い た。 従 って カ テ ゴ リー に気 づ かせ る よ うに少 しず つ 考 え させ なが ら媒 介 した ら、 そ の後 に完 答 した。 カ テ ゴ リー に分 け て 覚 え る とい う、 高校 生 な らす ぐに気 づ く よ うな 方 略 に気 づ か なか っ た とい う結 果 か ら、 彼女 は そ れ ま で の学校 で の教 科 の学 習 にお い て、 情 報 を処 理 す る有 効 な 方 略 を 自分 で 見 つ け る工 夫 が 足 りなか っ た の で は な い か と推 測 され た。 従 来 の知 能 テ ス トで は結 果 の 点数 しか判 断 材 料 が な い が、 こ の査 定 法 で は被 検 者 の情 報 入 力 ・処 理 ・出力 の各 段 階 の様 子 を 自己報 告 を求 め て知 る こ とが で きるの は大 変有 益 で あ る。 皿 一4.レ ー ブ ン ・カ ラ ー ・マ トリ ク ス 行 と列 に お い て 、 あ る 規 則 を 元 に 変 化 す る 図 形 群 の う ち1つ が 空 白 に な っ て お り、 空 白 部 分 に あ て は ま る 図 形 と して ふ さ わ しい もの を下 欄 の 6つ の 選 択 図 形 か ら1つ 選 び 出 す (図4に 一例 を示 した)。 解 答 に先 立 ち、 「こ こで は どん な こ と しな い とい け ない?」 と質 問 して 、 課 題 を方 向 づ け られ る か を調 べ 、 そ れ に よ っ て 以 後 の 媒 介 を 計 画 す る 。 次 に 見 本 図 形 群 の下 の6つ の 選 択 図 形 か ら正 しい もの を選 ば せ て 、 正 解

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図4カ ラ ー ・ レ ー ブ ン ・ テ ス ト の 一 例(Feuersteia,R.1997よ り)

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な ら理 由 を 問 う。不 正 解 な ら媒 介 す る。 仮 説 的 思 考 、系 統 的探 索 、 論 理 的証 拠 が 出 来 てい る か を見 る た め に1例 え正 解 して も、 わ ざ と誤 答 の 図 形 を指 差 して 「ど う して これ で はい け な い の?」 な ど と問 い、 決 定 した 理 由 を言 語 的 に表現 で き るか を調べ る。 軽 い 媒 介 は、 「よ く注 意 して見 て」 な ど と言 い つ つ 指 で指 し示 す だ けで 、少 し踏 み 込 ん だ媒 介 は、 「線 は何 本 あ るの」 「これ は どん な形」 「四角 が あ る ね え、 丸 が な くな って る」 な ど言 語 的媒 介 で あ る。 正解 を教 えて 解 説 す る の は最 も重 い媒 介 とい える。 発 達 障 害児 の なか に は、 こ の種 の視 覚 的課 題 を直 感 的 に解 け る場 合 が あ るが、 あ え て正 解(不 正 解)の 理 由 を言 語 化 す る こ とが 求 め られ る。 た だ正 解 す る こ とが 目的 で は な く、 こ と ば を道 具 と して使 用 し、 概 念 的 思 考 を形 成 す る こ とが 求 め られ る。 前 節 の女 子 高校 生 に対 して レー プ ン ・テ ス トと似 た 適 度 に難 しい 別 の テ ス ト を行 わせ た と こ ろ、 不 正 解 だ っ た の で行 と列 の そ れぞ れ の規 則 に気 づ かせ る よ うに 媒 介 した 。 次 に よ り難 度 の 高 い 問題 を提 示 した ら、 しっ か り と正 解 した 。 問 題 の構 成 が 徐 々 に難 し くな る よ うに順 序 立 て られ て い る。 前 間 で解 き方 の手 が か りを得 て 、 そ れ を応 用 して か な り難 しい 問 題 が解 け た こ と を彼 女 に告 げ て 賞 賛 した とこ ろ、 非常 に満 足 した様 子 だ っ た 。彼 女 の 高校 の教 師 に よれ ば、 そ の 後 の 授 業 で の彼 女 の 顔 つ きが 変 わ り、 学 習 に とて も意欲 的 に取 り組 ん で い る こ とを 間接 的 に知 った 。LPADとIE教 材 の効 果 か らか 、 数 ヶ月後 に は、 個 人 内 評 価 で は あ るが 数 学 の成 績 が 飛 躍 的 に向上 した そ う蔦 「や れ ば で きる」 とい う言 葉 が 単 な る気 休 め で あ る こ と を思 い知 らされ て きた彼 女 に も、 自分 の や り方 で 難 しい 問 題 が解 け た こ とは 自分 の 能力 を信 じる に足 る経 験 で あ り、 自己効 力 感 を高 め た の で あ ろ う。 動 機 づ け の観 点 か ら も、 順 序 よ く問題 が 構 成 され た査 定 と教 材 は 非常 に効 果 的 で あ り、 対 象 者 に と って 楽 しみ を もた ら し、 さ らに 問題 を解 きた い と意 欲 をか き立 て させ る よ うで あ る。

以 上 見 て きた 通 り、 個 々の 教材 に は、 従 来 の 知 能 テ ス トの 問 題 の よ うな認 知 課 題 に紙 と鉛 筆 に よ り回答 す る もの が 多 いが 、 特 定 の 問 題 が 解 け る こ とが 決 し

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て ゴ ー ル で は な く、 概 念 的 思 考 の 形 成 を 目的 と して い る。 す な わ ち 、 課 題 に正 解 す る こ とで 得 られ る あ ら た な認 知 的操作 が 、 別 の よ り広 範 な課 題 に転 移 す る こ と を期 待 して い る。 そ の 意 味 で は教 育 学 に お い て昔 か ら存 在 す る形 式 陶冶 的 な考 え方 が あ り、 こ と さ ら新 しい もの で は な く、 む しろ教 育 の正 統 派 とい え よ う。 またrわ が 国 に お い て も発 達 障 害 児 に対 す る認 知 課 題 訓 練 の 実 践 報 告 は多 く見 られ(例 え ば小 池 、他 、2001)、 特 に革 新 的 な方 法 と言 うわけ で もない 。 し か し、 当 プ ロ グ ラ ム で は、 第2章 以 降 に示 され た よ う に、 学 習 者 の 入 力 ・処 理 ・出力 の3段 階 につ い て ピア ジ ェ理 論 の影 響 を思 わせ る認 知機 能 の 詳細 な分 析 を 試 み て い る こ とや 、体 系 的 で豊 富 な教 材 が 用 意 され て い る こ と、 そ して 教 材 が__..人歩 き しな い よ うに指 導 方 法 と指 導 者 の 養 成 が厳 し く管理 さ れ て い る こ とrな ど特 筆 す べ き点 が あ る。 も っ とも、 最 後 の 点 に つ い て は、 そ の慎 重 さが 皮 肉 に も少 な くと も 日本 に お け る 当 プ ロ グ ラ ム の普 及 の ス ピ ー ドを緩 め る原 因 に な って い る。 欧米 で は定 期 的 に指 導者 養 成 コー ス が 開 か れ 、 国 家 的 プ ロ ジ ェ ク トを推 進 して い る国 もあ る よ うだ が、 わが 国 で は2003年9月 に芦 塚 らが 中心 と な ってNPO(特 定 非 営利 活 動 法 人)Feuelste血learningCenterが 設 立 され た ば か りで あ る。 今 後 日本 人 の 資格 を得 た指 導 者 が 増 えて 、 当 プ ロ グ ラム を待 ち望 む よ り多 くの 人 々 の成 長 を支 援 し、 目覚 しい成 果 を挙 げ る 日が 到 来 す る こ と を 願 って い る。 (本 学教 授 、 非 常 勤 講 師)

Feuerstein,Reuven.2003Fε 麗ε縦 ε加 智Thepり2&.4〃"ε4β ン∫∫8加5,AReaer:Jerusalem: KELP

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