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IRUCAA@TDC : 舌癌におけるp16,p21,cyclin D1 遺伝子産物の発現の予後因子としての意義

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

舌癌におけるp16,p21,cyclin D1 遺伝子産物の発

現の予後因子としての意義

Author(s)

高木, 亮

Journal

歯科学報, 111(6): 654-655

URL

http://hdl.handle.net/10130/2674

Right

(2)

論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的

細胞が細胞周期を進行させて増殖していくためには,さまざまなチェックポイントを通過する必要がある。 中でも腫瘍細胞の増殖に最も重要な G1/S 期進行を制御する経路として,RB/E 2 F 経路および p53経路の二つ

がある。様々な癌において,細胞の複製を開始させる役割を持つ cyclin D1 と,細胞の複製に対して抑制的に 働く cyclin-dependent kinases inhibitor(CDK-inhibitor)である,RB/E 2 F 経路に属する p16および,p53経路 に属する p21のそれぞれ個々のタンパクの発現が予後の予測因子として有用ではないかといわれている。従来 より年齢,性別,TNM 分類,腫瘍の浸潤度,分化度,原発腫瘍の部位などの臨床病理学的因子が予後の予測 因子として利用されてきているが,これらのみでは未だ予後の予測は不確実である。そこで,口腔癌における これらの細胞周期関連タンパクの発現と予後との関連を追及し,さらに臨床病理学的因子と組み合わせて判断 していくことで,より確実な口腔癌の診断と診療方針決定における指標の一助とすべくこの研究を行った。 2.研 究 方 法 1996年2月から2003年3月までの間に東京歯科大学千葉病院口腔外科で舌扁平上皮癌と診断された症例のう ち,本研究の主旨に同意が得られた患者の生検時および手術時に採集した癌組織52検体を用い,p16,p21, cyclin D1 タンパクの発現を免疫組織化学的に観察し,臨床病理学的指標や予後との関連性を検討した。 3.研究成績および結論 1)N 因子は強い予後因子であった。 2)核にお け る p16,p21,cyclin D1 の 陽 性 率 は52例 中17例(32.7%),47例(90.4%),40例(76.9%)で あ っ た。 3)Log-rank 検定で細胞核に cyclin D1 が強く発現している症例は,低い生存率を示したが,単変量解析では 有意差は認めなかった。 4)細胞質における p16,cyclin D1 用成立は,52例中9例(17.3%),13例(25.0%)であり,p21は発現を認め なかった。また,いずれも予後との相関を認めなかった。 5)細胞核における p16,p21の発現は,舌扁平上皮癌の予後と相関しなかった。 6)細胞核における cyclin D1 発現は舌癌の予後と関連している可能性が示唆されたが,p16,p21は関連性は 氏 名(本 籍) たか ぎ りょう

(静岡県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1592 号(甲第 902 号) 学 位 授 与 の 日 付 平成16年3月17日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 学 位 論 文 題 目 舌癌における p16,p21,cyclin D1 遺伝子産物の発現の予後因子 としての意義 掲 載 雑 誌 名 日本口腔外科学会雑誌 第56巻 7号 13∼20頁 2010年 論 文 審 査 委 員 (主査) 野間 弘康教授 (副査) 山根 源之教授 木崎 治俊教授 下野 正基教授 歯科学報 Vol.111,No.6(2011) 654 ―106―

(3)

無いと思われる。 論 文 審 査 の 要 旨 従来より癌の臨床的な転帰と予後を予測する因子として,臨床病理学的因子が用いられているが,これらの 因子で良好な予後が予測されるような症例においても,予後不良の転帰を見ることがある。より精密な診断を 行い良好な予後の獲得と機能の温存を目指した治療を行うために,口腔癌の予後に関連したバイオマーカーの 検索は重要である。 本研究は舌扁平上皮癌における,腫瘍細胞の増殖に最も重要な G1/S 期進行を制御する二つの癌抑制遺伝子 系による細胞周期制御遺伝子産物の発現に着目し,検討を行ったものである。S期を開始させる cyclin D1 と,これに抑制的に働く CDK-inhibitor である RB/E 2 F 経路に属する p16および,p53経路に属する p21の発 現を免疫組織学的に検索し,それらの相互の発現と臨床病理学的指標や予後との相関を検討した。 その結果,舌扁平上皮癌組織で免疫組織学的に p16,p21,cyclin D1 の過剰発現が確認された。このうち細 胞核における cyclin D1 の発現と生存率が関連していることを明らかにした。また,細胞核における cyclin D 1 の発現は,リンパ節転移の状況や,細胞増殖に対し互いに相反する作用を持つ p16の発現と組み合わせて判 定することで,舌扁平上皮癌における,より高い精度での予後予測の可能性が示唆された。以上のことから, 今後の口腔領域における悪性腫瘍に対する診断・治療に応用し貢献できるものと考えられた。 本審査委員会では,1)実験法の妥当性,2)論文の構成について,3)英文表現についての討議ならびに 質疑がなされ,概ね妥当な回答が得られた。また,論文の構成や,図・写真の表現など,改善の指摘があり修 正がなされた。 本研究で得られた知見は,歯科医学の進歩発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定さ れた。 歯科学報 Vol.111,No.6(2011) 655 ―107―

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