山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌30巻2017
間質性肺炎合併肺癌切除患者 における術後急性増悪に関す る因子の検討
山梨 大 学 医 学部 第 二外 科 佐 藤 大 輔 、 松 原 寛 知 、 内 田 嚴 、 松 岡 弘 泰 市 原 智 史 、鈴 木 章 司 、 中 島 博 之 要 旨:【 は じめ に 】 肺 癌 学 会 の 学 術 研 究 に お い て 、間 質 性 肺 炎 合 併 肺 癌 に 関 す る 調 査 の 結 果 、7つ の 急 性 増 悪 危 険 因 子 が 報 告 され た 。 こ れ を 組 み 合 わ せ た リ ス ク ス コ ア は 、IP合 併 肺 癌 に お け る術 式 選 択 へ の 利 用 が 期 待 さ れ る 。 【対 象 と方 法 】2004年1 月 か ら2014年12月 の間 に 当 科 で 手 術 を 行 っ た 原 発 性 肺 癌510例 を 対 象 に 、 リス ク ス コ ア と急 性 増 悪 の 有 無 に つ い て 検 討 した 。 【結 果 】 性 別 は 、 男 性310例 、 女 性200 例 で あ っ た 。 術 式 は 、 部 分 切 除71例 、 区 域 切 除 も し く は 葉 切 除431例 、2葉 切 除 も し く は 片 肺 全 摘 術8例 で あ っ た 。 リ ス ク ス コ ア で 分 類 す る と、 低 リ ス ク 群:492例 、 中 リ ス ク 群:18例 、 高 リス ク 群 は な か っ た 。 術 後 急 性 増 悪 を16例 に 認 め 、14例 が 死 亡 し た 。 低 リ ス ク 群 で7/492(1.4%)、 中 リ ス ク 群 で9/18(50%)に 術 後 急 性 増 悪 を 認 め た 。 【考 察 】 急 性 増 悪 発 症 の 頻 度 は 約9.3%で 、 中 リス ク 以 上 の 症 例 に お い て 発 症 率 は 有 意 に 高 い 。 当 科 の 症 例 に お い て も 、 低 リ ス ク 群 に 比 べ て 中 リ ス ク 群 の 急 性 増 悪 発 症 率 は 有 意 に 高 く、 こ の リ ス ク ス コ ア は 有 用 と思 わ れ た 。 【結 語 】 間 質 性 肺 炎 の 術 後 急 性 増 悪 の リス ク ス コ ア は 有 用 で あ る と考 え られ た 。 キ ー ワ ー ド:肺 癌 、間 質 性 肺 癌 、 術 後 急 性 増 悪 は じめ に 間 質 性 肺 炎(lnterstitial Pneumonia;以 下IP)合 併 肺 癌 術 後 の 急 性 増 悪(AcuteExacerbation;以 下AE) は 肺 癌 手 術 に お け る重 篤 な 合 併 症 で あ る。2014年11Aに 開催 され た 第55回 日 本 肺 癌 学 会 総 会 に お い て 、IP合 併 肺 癌 に 関す る調 査 の結 果 、7つ のAE危 険 因 子 が 報 告 され た 。 そ の 後 、 そ れ を用 い た リス ク ス コア を提 示 した論 文 が発 表 され た1) (表1)。 当 科 に お い て も肺 癌 手 術 症 例 に つ い て 、 この リス ク ス コア に基 づ き評 価 を行 っ た の で 報 告 す る。①
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危 験 菌芋 術式 蔀於切除 KL-6{U/mi) <葉 ◎◎◎ 術龍 ステロイド なし 性別 女 α 翫見 9SVC{%} N⑰n-Ul汐 >80 過 蓑のAE畿 なし 点 数 酵 ◎ 韓 e ◎ ◎ ◎ 嬢 域切 瞼以 上 >100◎ あ 移 男 UIP 〈9◎ あサ 点 数 4 2 3 3 表17っ の急 陸増 悪 危 険 因子 リス クス コ ア 4 一冊一冊 1 5 禽討点 O∼IO 低 リスク群 質 ∼14. 15∼ 中 リスク群 高 リスク群 一38一平 成29年4月1日 表2患 者背景 項 羅
症例数
群
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衛i弍 民し6 徳麟 ステ 難イ緯 σ 所 見 e/eVC〈%} 過 宏 のAε既 往 男 女部分燐除
区 域 切 除併葉 窃 除 2葉 切 除 ◎r全嫡 <100◎ ≧1◎ ◎◎ あ り なし N◎n・-UIP UIP ≧8◎ く8G あ 琴 なし 低 リスク 492 292{59.3》 20◎{4◎.7) 711烹4.4} 423(84} 8(1.5) 49=L{99.8} 三(α2} 6(i.2} 486《98.8} 48S(98.6} 7(14} 423{85.8》 69(24.2} ◎(◎} 492{O} φ リス ク 28 i8{1◎0} ◎1◎} o(◎} ユ雛 ◎C} ◎⑥ 26{88.9) 2撫.1} 1〈5、6} 27(94.4) ◎{◎} 18{1◎ ◎} 15(83.3} 3{16.7) ◎(◎} 18{◎} §値 <e.◎ ◎1 e.1 ◎.05 G358 く◎.◎◎ ユ O.フ6 三 表3各 リス ク群 のAE発 症 の 結 果 低 リスク AEあ り(%};7{1.4} Aεな し(%)485{98.6} 中 リスクp鎮 9(50} 9{SO} <◎.◎Ol 対象と方 法 2004年1月 か ら2014年12月 に 当 科 に お い て 原 発 性 肺 癌 に 対 して 部 分 切 除 以 上 の肺 切 除 を施 行 した510例 を対 象 に 、 リ ス ク ス コ ア と急 性 増 悪 の 有 無 に つ い て検 討 した 。 結 果 患 者 背 景 を(表2)に 示 す 。 当科 の 症 例 で は 高 リス ク群 の 症 例 は 認 め な か っ た。 中 リス ク群 の患 者 は 全 て 男 性 で 、CT 所 見 で は 全 例 でUIPパ ター ン を認 め た 。 ま た 、 中 リス ク群 の患 者 で は 全 例 区域 切 除 以 上 の 術 式 が選 択 され て い た。 各 リス ク群 で のAE発 症 の 結 果 を(表 3)に 示 す 。 中 リス ク群 で は 低 リス ク群 に 比 べ て 有 意 にAE発 症 率 が 高 か っ た。 考 察 Sato等 の 報 告 で は 、IP合 併 肺 癌 に て 肺 切 除 術 を施 行 した 場 合 、AE発 症 の頻 度 は約9.3%で 、 そ の うち の 半 数 は死 亡 し て い た2)。各 リス ク群 のAE発 症 の 頻 度は 、 低 リ ス ク 群 で0-10%、 中 リ ス ク 群 で 10-25%、 高 リス ク群 で25%と され る。 当 科 の 症 例 で も 低 リ ス ク群 に 比 べ て 中 リ ス ク群 のAE発 症 率 は 有 意 に高 く、 この リス ク ス コア は 有 用 と思 われ た。 AE発 症 後 の 呼 吸 不 全 に よ る 死 亡 率 は 非 常 に 高 く、 当科 で も術 後AEを 発 症 し た16症 例 の うち 、14症 例 がAEに よ り死 亡 して い る。7つ のAE危 険 因 子 の 内 、外 科 医 が 選 択 で き る の は 術 式 の み で あ り、 縮 小 手術 を 選 択 す る こ とでAE発 症 率 を 下 げ る こ とが で き る 可能 性が あ る。 一 方 で、StageIAのIP合 併 肺 癌 の5 年 生 存 率 は 、部 分 切 除 で33.2%、 区 域 切 除 で61.0%、 葉 切 除 で68.4%と 報 告 され 一39一山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌30巻2017 て お り、 部 分 切 除 例 に お い て 死 因 の 50.2%が 癌 死 で あ っ た3)。 縮 小 手 術 を 選 択 した 場 合 の 長 期 的 予 後 は悪 い が 、縮 小 手 術 を選 択 す る こ とで AE発 症 リス ク を一 段 階 下 げ られ る症 例 に お い て は 縮 小 手 術 を考 慮 に 入 れ て 術 式 を選 択 す るべ きで あ る。 今 回 当科 に お い て 使 用 した 症 例 は な か っ た が 、 ピル フ ェ ニ ドンを 周 術 期 に使 用 す る こ とに よっ てIP合 併 肺 癌 術 後 の AE発 症 を 減 らす 可 能 性 が あ る とい う報 告 が あ る4)。 そ れ に よ る と、安 全 性 と有 効 性 に お い て 良 好 な 結 果 が 報 告 され て お り、 今 後 の報 告 に 期 待 され る。
Thorac Cardiovasc Surg. 2015;149:64-70
4)Takekazu Iwata, Ichiro Y, Shigetoshi Y, et al. A phase II trial evaluating the efficacy and safety of perioperative pirfenidone for prevention of acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis in lung cancer patients undergoing pulmonary resection: West Japan Oncology Group 6711L. Respiratory Research 2016;17:90 結語 間質性肺炎合併肺癌 において、7つ の 危 険 因子 を用 いた リス クス コア は有 用 であ り、それ らを考慮 して術式 を決 め る 必要 が ある。 引用文献