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母子健康手帳等の交付件数の推移について

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椙山女学園大学

母子健康手帳等の交付件数の推移について

著者

中島 正夫

雑誌名

椙山女学園大学看護学研究

2

ページ

23-30

発行年

2010-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1454/00003034/

(2)

I

母子健康手帳等の交付件数の推移につい て

Trends in Number of Maternal and Child Health Handbook Issue

研 究 者 中 島 正 夫(Masao NAKASHIMA) 椙 山 女 学 園 大 学 教 育 学 部 は じ め に 「 母 子 健 康 手 帳 制 度 」 の 原 形 で あ る 「 妊 産 婦 手 帳 制 度」 は 瀬 木 三 雄 氏 に よ り 企 画 立 案 さ れ1)、1942 (昭 和17 ) 年 に 「 妊 産 婦手 帳 規 程」 とし て 創 設 さ れ た 2)3)。「妊 産 婦 手 帳 制 度」 は 、「そ れ ま で 、 医 療 従 事 者 の み の 所 有 物 で あ っ た 保 健 管 理 記 録 を 、 保 健 サ ービ ス を 受 け る 側 の 者 に も 所 持 さ せ 、 保 健 の 自 己 管 理 を 促 し た点 で 、 我 が 国 公 衆 衛 生 上 画 期 的 な 制 度で あ っ た。」 と 評 価 さ れ て い る 手 帳 制 度 は 、 そ の 後 児 童 福 祉 法に 基 づ く 「母 子 手 帳 制 度 」、 そ し て 母 子 保 健 法 に 基 づ く 「 母 子 健 康 手 帳 制 度」 へ と 発 展 し つ つ 今 日 ま で 存 続 し て い る 、 わ が 国 の 代 表 的 な 母 子 保 健 施 策 の1 つ で あ る 。 母 子 健 康 手 帳 に つ い て、 こ れ ま で 、 そ の 制 度 ・ 内 容 の 変 遷1)4)∼1 5)や 利 用 に 関 す る 報 告10)1 6)`1 8)は 多 い も の の 、 交 付 件 数 の 推 移 に 関し て ま と め た 報 告 は 見 ら れ な い 。 当 研 究 は、 妊 産 婦 手 帳、 母 子 手 帳 及 び 母 子 健 康 手 帳 の 交 付 件 数 の 推 移 を 明 ら か に す る こ とを 主 な 目 的 と す る。 Ⅱ  方 法 各 手 帳 の 交 付 件 数 を 各年 の 「妊 娠 の 届 出 件 数」 な ど か ら 把 握 する と と も に 、 当 該 年 の 出 生 数 で 除 し た「 交 付 率」 を 算 出 し 、 そ れら の 推 移 を 明 ら か に する 。 具 体 的 に は 、 瀬 木 三 雄 氏 の 遺 さ れ た 論 文1 9)、 並 び に 財 団 法 人 母 子 衛 生 研 究 会 発 行 「母 子 衛 生 の主 なる 統 計 」( 昭 和24 年 ∼平 成5 年 )、 及 び 「 母 子 保 健 の 主 な る 統 計 」(平 成6 年∼ 平 成20 年) に 掲 載 さ れ て い る 「 妊 娠 の 届 出 件 数 」 に よ り 、 妊 産 婦 手 帳 、 母 子 手 帳 、 母 子 健 康 手 帳 の 「交 付 件 数 」を 、 ま た 厚 生 労 働 省 「人 口 動 態 統 計 年報 」 から 把 握 し た 出生 数 で 除 し た 「交 付 率 」 を 得 る。 な お 、 母 子 手 帳 制 度 以 降 、 手 帳 は 妊 娠 し た 子 ど も の 数 に よ り 複 数 交 付 さ れ る こ と と な っ た が 、 こ こ で は 「 妊 娠 の 届 出 件 数 」 を も っ て 「手 帳 の 交 付 件 数 」 と す る。

(3)

また、厚生労 働省「人口動 態統計 年報」に より、 妊産婦死 亡率及 び乳児 死

亡率 の推移を併せて観察する。

Ⅲ  結 果

妊 産婦 手帳 の交 付件 数につ い ては 瀬木 氏 が 遺さ れた論 文1 9)

に より1942

(昭和17 )年から1945

( 昭和20 )年 まで の数値を、また母子手帳及び母子

健 康手帳 の交付件数 につい ては「母子衛 生の主な る統計」及 び「母子保 健の

主なる 統計」により1954

(昭和29 )年以降 の「妊娠の届出件数」から得る

こ とができ た。しかし、

「母子衛生 的主な る統計」に は1946

(昭和21 )年か

ら1953

( 昭和28 )年 まで の「妊娠の届出件数」は記載さ れておらず、これ

らの数値を得ることはできなかっ た。

母 子健康 手帳等の交付 件数及び 交付率 の推移、並びに 妊産婦死 亡率及び 乳

児死亡率の推移を 図に示 す。

2 ^ X 1 0 0 ) s(oooo 0 1 / \ ゛ ゝ ? ・ .゜ ● ` .・ .゜ ● ゛゛● .゛'・ ● ゛ .“ ,“y ・戸% \〆 豪 ’ ` S ’ § ’ ヴ S 9 ’ 4 S 0 400 3S0 300 出 生 数 に 対 す る 交 付 件 数 の 割 合 ︵ % ︶ 乳 児 死 亡 歎 ︷ 出 1  千 対 ︸ 妊 農 婦 花 亡 率 ︷ 出 廬 1 0 万 舛 ︸ 1 1 . 1 1 1 1 1 A g I I I 一 l ぎ ¥ χ t ぇ t . i 或! t S χ χ 灸 凡 ︲ ・‘ l ︰ − 5 0         0 0           5 0 too so j 。 ○ 9001 1^001 naai 802 9661 9661 M6i zm o6 $i 8861 n6i 簒9 ︷ 1961 0861 su; $t 9m ≫M1 Uf >l U61 9961 9961 Mt ^l 2: <}6i a ≫i 8 !^61 9S61 H6t l <≫l ' `'へ 、・ ゝ 轟 / ゝ ゝ ≫ 6 1 9 ^ 1 i ≪ 6 l Z H i o ≫ e i a c 6 1 9 £ 6 l H 6 i t i 6 i Q i S i i t i i 9 Z 6 i ^ Z 6 l i s H H n 9 伊哨 i`゛〃 i 〃〃 I〃〃〃 ㎜ 手 帳 交付 件 数( 綿グラフ) ( 妊娠 の 届 出 件数) = 出生数Sこ対する( 析峻グラヵ 交付件数の甜合 ㈲ 一 一乳 児死 亡 率 (出 生 千 対) ∼ ( 出 廬a 万 対) 圓: 手 帳交 付件数(妊 娠の 届出件 数)、出生 数に対 する交 付 件数 の割 合、乳 児死亡 率、妊 産婦死 亡 率の推 移 妊 産 婦 手 帳 の 交 付 件 数 に つ い て 、1942 ( 昭 和17 ) 年2,056,000 件 、1943 ( 昭 和18 ) 年2,576,000 件 、1944 ( 昭 和19 ) 年1,946,000 件 、1945 ( 昭 和 20 ) 年1,632,000 で あ っ た 。 こ れ ら を 出 生 数 が 把 握 で き る 年 の 交 付 率 で み る と 、1942 ( 昭 和17 ) 年9 2 % 、1943 ( 昭 和18 ) 年114 % で あ っ た 。 母 子 手 帳 の 交 付 率 に つ い て は 、1954 ( 昭 和29 ) 年 か ら1965 ( 昭 和40 ) 年 ま で の 記 録 し か 確 認 す る こ と が で き な い が 、1954 ( 昭 和29 ) 年 か ら1956 ( 昭 和31 ) 年 は80 % 台 、1957 ( 昭 和32 ) 年 か ら1965 ( 昭 和40 ) 年 ま で は 概 ね90 % 台 で あ っ た 。

(4)

母子 健康手帳 の交付率 について は、1966

( 昭和41 )年以 降2006 ( 平成

18)年に至るまで概 ね100

%を超えてい る。

この間、妊産婦死亡率及び乳児死亡 率は劇的 に改善し てい る。

IV 考 察     ‥ 1  各 手 帳 制 度 の 目 的 や 交 付 の 状況 な ど に つい て O ) 妊 産 婦 手 帳 制 度 ( 根 拠 : 妊 産 婦 手 帳 規 程 ) 主 要 な 目 的 は 、 流 ・ 死 ・ 早 産を 防 止 す る ほ か 、 妊 娠 及 び 分 娩 時 の 母 体 死 亡 を 軽 減 す る こ と3)で あ り 、 そ の ため ( ア) 妊 娠 し た 者 の 届 出を 義 務づ け 、 そ の 者 に 妊 産 婦 手 帳を 交 付 す る こ と( 妊 娠 の 届 出 を な す た め に は 医 師 又 は 助 産 婦 の 妊 娠 証 明 書 が 必 要 で あ り 、 又 妊 娠 の 届 出 は な る べ く 早 く す べ き こ と が 要 請 さ れ て い る こ と か ら 妊 婦 は 可 及 的 妊 娠 初 期 に 診 察 を 受 け る こ と に な る2 ,)。) ( イ ) 妊 産 婦 は で き る だ け 保 健所 、 医 師、 助 産 婦 又 は 保 健 婦 に よ る 保 健指 導 を 受 け 、 診 察、 治 療 、 保 健 指 導 又 は 分 娩 の 介 助 を 受 け た とき は 所 定 の 事 項 を 記 載 し て もら う こ と 、( ウ ) 妊 産婦 手 帳 は、 妊 娠 、 育 児 に 関 し 必 要 な 物 資 の配 給 そ の 他 妊 産 婦 及 び 乳 幼 児 保 護 の た め 必 要あ る 場 合 に こ れ を 使 用 さ せ る こ と 等 が 定 め ら れ た3)。 厚 生 、 内 務 、 農 林、 商 工 次 官 共 同 通 知 を 各 地 方 長 官 あ て に 出 し 、 届 出 妊 産 婦 に 対 し 妊 産 婦 用 必 需 物 資 及 び 食 糧 の 特 配 、 優 先 的 配 給 に つ い て 本 制 度 を 活 用 す る よ う 指 示 し た3)こ と から 、 制 度 が 創 設 さ れ た 年 か ら100 %前 後 の交 付 率 であ っ た と 考 え ら れ る 。 な お 、1944 ( 昭 和19 ) 年 及 び1945 ( 昭 和20 ) 年 に つ い て は 出 生 数 が、 1946 (昭 和21 ) 年 は交 付 数 ・出 生 数 と も に 、 ま た1947 ( 昭 和22 ) 年 は 交 付 数 が 確 認 で き な か っ た 。 こ の た め、1944 ( 昭 和19 ) 年 か ら1947 ( 昭 和 22 ) 年 ま で の 交 付 率 を 得 る こ と が で き な か っ た が 、 少 な く と も 全 妊 婦 の 70 %以 上 が 妊 産 婦 手 帳 の交 付 を 受 け た も の と 推 測 さ れ てい る ‰ (2 ) 母 子 手 帳 制 度 ( 根 拠 : 児 童 福 祉 法 ) 第2 次 世 界 大 戦 後 、 妊 産 婦 手 帳 は 配 給 欄 の 有 効 性 な ど から1946 ( 昭 和21 ) 年 予 算 で 認 め ら れ 、 ま たGHQ に 妊 産 婦 手 帳 制 度 の 本 来 の 目 的 で あ っ た 妊 産 婦 自 身 の 健 康 管 理 に 資 する とい う 点 に つ い て 理 解 が 得 ら れ、1947 ( 昭 和22 ) 年 、 児 童 福 祉 法 制 定 の 際 こ の手 帳 の 視 野を 小 児 ま で 延 長 す る こ と、 配 給 に つ い て 妊 婦 に は 米 の 増 配 、 乳 児 に は 人 工 粉 乳 と 砂 糖 を 配 給 す る こ と とさ れ たI) ( 施 行 は1948 ( 昭 和23 ) 年 )。 こ の こ と に つ い て 、 瀬 木 氏 は、1942 ( 昭 和17 ) 年 の 国 民 体 力 法 の改 正 に よ り 制 度 化 さ れ る も1945 ( 昭 和20 ) 年 に 自 然 消 滅 す る に 至 っ た 「乳 幼 児 の 体 力 手 帳」 の 分 を 兼 ね る に 至 っ た1 9)と、 ま た 「 手 帳 は 生 ま れ 出 る 児 の方 に 自 然 に 移 り ゆ き 、 児 の 保 健 指 導 の 記 録 と し て 、 用 い ら れ る こ と と な っ た 。」「 こ の 小 児 へ の 延 長 が 実 現 し た 背 景 に は、 枯 れ た 乳 腺 、 出 ぬ 母 乳 の た め に 牛 乳 の 配 給 を 叫 ぶ 母 の 声 が あ っ た。」 と 述 べ てい る ’、)。 な お 、 配 給 制 は1953 ( 昭 和 28 ) 年4 月 以 降 廃 止 さ れ て い る。

(5)

妊 産 婦 手 帳 が 妊 婦 の 健 康 管 理 を 念 頭 に 作 成 さ れ て い た の に 対 し 、 母 子 手 帳 は、 乳 幼 児 の 保 健 指 導 等 に 資 す る 部 分 が 新 設 さ れ る な ど 、 母 と子 ど も で 一 体 とし て 健 康管 理 に 資 す る という 観 点 か ら の も の で あ り1)、 母 子 手 帳 の取 扱 は 従 来 の 妊 産 婦 手 帳 の 取 扱 とほ ぼ 同 一 ( 昭 和23 年3 月31 日 厚 生 省 児 発 第20 号 「児 童 福 祉 法 施 行 に 関 す る 件」(各 都道 府 県 知 事 あ て 厚 生 事 務 次 官 通 達 )) とさ れて い る 。       犬 交 付 率 に つい て 、1946 ( 昭 和21 ) 年 から1953 (昭 和28 ) 年 ま で の交 付 件 数 が 確 認 で き な い た め 得 る こ と がで き な か っ た が、1954 ( 昭 和29 ) 年 か ら1956 ( 昭 和31 ) 年 は80 %台 、1957 ( 昭 和32 ) 年 か ら1965 (昭 和40 ) 年 ま で は 概 ね90 %台 で あ っ た 。 1954 ( 昭 和29 ) 年 から1956 (昭 和31 ) 年 の 交 付 率 が 低い 理由 に つ い て 、 そ の 前 の 交 付 率 の 推 移 が 不 明 で あ る た め 比 較 は で き な い が 、 配 給 制 が1953 ( 昭 和28 ) 年4 月 以 降 廃 止さ れ た こ との 影 響 も あ る と 考 え ら れ る。 (3 ) 母 子 健 康手 帳 ( 根 拠 : 母 子保 健法 ) 1965 (昭 和40 ) 年 、 母 性並 びに 乳 児 及 び 幼 児 の 健 康 の 保 持 及 び 増 進 を 図 る た め 、 母 子 保 健 に 関 す る 原 理 を 明 ら か に す る と と も に、 母 性 並 び に 乳 児 及 び 幼 児 に 対 す る 保 健 指 導 、 健 康 診 査、 医 務 そ の 他 の 措 置を 講 じ 、 もっ て 国 民 保 健 の 向 上 に 寄 与 す る こ と を 目 的 とす る 母 子 保 健 法 が 制 定 さ れ た こ と に 伴 い 、 母 子 手 帳 は 母 子 健 康 手 帳 と 改 称 さ れ 、 そ の 内 容 の 充 実 が 図 ら れ た ( 施 行 は 1966 ( 昭 和41 ) 年 )。 昭 和41 年5 月18 日 厚 生 省 児 発第315 号 「 母 子 保 健 施 策 の実 施 に つ い て 」 ( 各 都 道 府 県 知 事 あ て 児 童 家 庭 局 長 通 達 ) に お い て 、「母 子 健 康 手 帳 は 、 妊 娠 、 出 産 及 び 育 児 に 関 す る 一 貫 し た 健 康 記 録 簿 で あ り 、 ま た、 保 健 指 導 の 基 礎 資 料 と な る も の で あ る の で、 名 称 を 従 来 の 母 子 手 帳 か ら 母 子 健 康 手 帳 と 改 め る こ と に より 、 そ の 性 格を 明 ら か にし た も の で あ る 。」 と さ れ てい る。 全 体 的 に は 、 詳 細 な 医 学 的 記 録 ( メ デ ィ カ ル レ コ ー ド ) とし て の 性 格 が 強 ま る 一 方 、 保 護 者 の 記 録 欄 が 加 わ り、 ま た 妊 娠 ・ 出 産 ・ 育 児 に 関 す る 情 報 を 充 実さ せ るな ど、 育 児 日 誌 的 性 格を も 付 加 し た も の とな っ た1)。 な お 、 母 子 健 康 手 帳 制 度 へ の 発 展 に 伴 い 、 妊 産 婦 手 帳 制 度 及 び 母 子 手 帳 制 度 に お い て は 妊 娠 の 届 出 に 必 要 と し て い た 医 師 ・ 助 産 婦 の 作 成 す る 「妊 娠 証 明 書」 は不 要 とさ れ た1,)ノ そ の 後 、10 年 ご と に 実 施さ れ る 乳幼 児 身 体 発 育 調 査 の 結果 、 母 子 保 健分 野 の 新 た な 知 見 、 関 係 法 令 の 改 正 や 施策 の 充 実 、 社 会 情 勢 の 変 化 な どを 踏 まえ 、 繰 り 返 し 記 載 内 容 の 改 正 が 行 われ て い る1)8)1 5)が 、 特 記 す べ き こ と とし て、 平 成3 年 の 母 子 保 健 法 の 改 正 (平 成4 年4 月 施 行) に よ り 手 帳 の 交 付 事 務 が 都 道 府県 か ら 市 町 村 に 委 譲 さ れ た こ と に 伴い 行 わ れ た手 帳 の 構 成 に 関 す る 全 面 改 正 が あ る 。 こ の 改 正 は 筆 者 が 厚 生 省母 子 衛 生 課 在 職 中 に 担 当 し た も の で あ る が、 手 帳 を 構 成 す る 「記 録 (医 学 的 記 録 、 保 護 者 等 の 記 載 事 項 の記 録)」 と 「情 報 (行 政 情 報 、 保 健・ 育 児 情 報 )」 の うち 、 前 者 は 母 子 保 健 法 施 行 規 則 様 式 第3 号 で 定 め て 全 国 共 通 と す る が 、後 者 は 施 行 規 則 第7 条 で 記 載 事 項 の み を 定 め て 、 内 容 は 各 自 治 体 の 裁 量 に 委 ね る こ と と し 、 地 域 の 状 況 に 応 じ た き

(6)

め細やかな情報提供を可能とした。

交付率は、1966

(昭和41 )年以降2006 (平成18 )年に至るまで概ね

100

%を超えている。

2  各 手 帳 の 交 付 率 と 妊 産 婦 死 亡 率 ・ 乳 児 死 亡 率 の 推 移 な ど に つ い て 妊 産 婦 手 帳 の 交 付 率 は1942 ( 昭 和17 ) 年9 2% 、1943 ( 昭 和18 ) 年 114% 、 母 子 手 帳 の 交 付 率 は1954 ( 昭 和29 ) 年 か ら1956 ( 昭 和31 ) 年 は80 %台 、1957 ( 昭 和32 ) 年 から1965 ( 昭 和40 ) 年 ま で は 概 ね90 % 台 、 母 子 健 康 手 帳 の 交 付 率 は1966 ( 昭 和41 ) 年 以 降2006 ( 平 成18 ) に 至 る ま で 概 ね100 %を 超 え て い る。 ま た、 こ の 間 、 妊 産 婦 死 亡 率 及 び 乳 児 死 亡 率 は 劇 的 に 改 善 し てい る。 妊 産 婦 死 亡 率 は 妊 産 婦 の お か れ て い る 保 健 管 理 レ ベ ル を 表 す 指 標 の1 つ で あ り 、 ま た 乳 児 死 亡 率 は 乳 児 の 生 存 が 母 体 の 健 康 状 態 、 養 育 条 件 等 の 影 響を 強 く 受 け る た め 、 そ の 家 庭 の 生 活 水 準 や 衛 生 状 態 、 ひ い て は 地 域 お よ び 社 会 全 体 の 保 健 水 準 を 反 映 す る 指 標 の1 つ と 考 え ら れ て い る2 1)。 す な わ ち 、 妊 産 婦 死 亡 率 や 乳 児 死 亡 率 に は 様 々 な 要 因 が 関 与 し て お り 、 妊 産 婦 手 帳 制 度 、 並 び に 母 子 手 帳 制 度 及 び 母 子 健 康 手 帳 制 度 は、 母 及 び 母 と 子 ど も の 一 体 的 な 健 康 管 理 に 役 立 つ こ と が 期 待 さ れ る 施 策 であ る が 、 こ れ ら の 制 度 が 両 指 標 の 改 善 に 寄与 し て き た と 評 価 す る こ と は 容 易 で は ない 。 本多 は 、 手 帳 制 度 に つい て 、「医 師 ・ 助 産婦 ら が、 最 初 か ら こ れ に 積 極的 に 協 力 し 、 妊 産 婦 に 受 領 を 勧 め 、 妊 娠 中 の 診 査 記 事 や 出 産 記 事 の 記 録 に 協 力 し て き た こ と が 普 及 の 大 き な 支 え と な り 、 母 子 衛 生 指 標 ( 乳 児 死 亡 率 な ど ) の 飛 躍 的 な 改 善 に つ な が っ て い る こ と は 誰し も が 否 定 し え な い で あ ろ う。」 と 述 べ て い る4)。 平 山 は 「乳 児 死 亡 率 が 昭 和 初 期 の 出 生 千 対100 以 上 か ら 数 十 年 の 間 に 見 事 に 低 下 し 、5 とい う 世 界 最 低 のレ ベ ル ま で 達 し 得 た理 由 」 に つ い て、「 そ の 正 確 な 解 答 も そ れ を 裏 付 け る 資 料 も 持 ち 合 わ せ て い な い が、 抗 生 剤 の 開 発や 輸 液 療 法 の 改 善 を は じ め と す る 小 児 医 療 の 進 歩 と 並 ん で 、 母 子 健 康 手 帳 と 乳 幼 児 健 診 を 柱 とし た 地 域 母 子 保 健 サ ー ビ ス が 大 き な 力 で あ っ た こ と は 間 違い な い 。」 と 述 べ てい る22)。 Kiely ら はヽ わ が 国 の 乳児 死 亡 率 の改 善 に 関 連 する 事 項 とし て、 社 会 経 済 的 な 格 差 が 小 さ い こ と、 国民 皆 保 険 制 度、 道 路 網 の 整 備、I C U を 含 め た 二 次 医 療 を 提 供 す る 総 合 病 院 の 整 備 、 地 域 保 健 サ ー ビ ス の 利 用、 日 本 の 社 会 が 出 産 や 子 ど も に 高 い 価 値 を お い て い る こ と な ど が 推 測 さ れ る と 報 告 し て お り 、 地 域 保 健 サ ービ ス の 例 と し て 母 子 健 康 手 帳 や 各 種 健 診 な ど を あ げ て い る22)。 ま た、 手 帳 制 度 の 評 価 に 関 し て は 、 実 際 の 手 帳 の 活 用 状 況 に つ い て 検 討 す る 必 要 があ る。 各 手 帳 の 活 用 な ど に 関 す る 主 な 報 告 は 次 の と お り で あ る 。 (1 ) 妊 産 婦 手 帳 制 度 に つい て 「 記 述 は 最 小 で も 、 次 の 出 産 に は多 大 な 参 考 」 に な っ た と の 評 価 もあ る1・)。 (2 ) 母 子 手 帳 に つ い て 1966 (昭 和41 ) 年 度 入 学 の 小 学 校1 学 年 児 童 が 保 管し てい た 母 子 手 帳 に 関

(7)

す る 調 査1 6)に お い て は 、 保 存 率 は87.5 % と高 かっ たが 、 記 載 状 況 は 次 の とお り 報 告 さ れ て い る。 ア  妊 産 婦 の 項 の 記 載 状 況 妊 婦 の 検 診74.1% 、 お 産 の 記 事98.0% と良 い が、 妊 婦 の 記 事 及 び 産 後 の 母 の 健 康 状 態 の 記 事 は 記 載 が 悪 く なっ てい る。 イ  子 供 の 項 の 記 載 状 況 新 生 児 の 記 事 は96.7 % と 良 く 、 誕 生 日 前 後 、 満3 歳 前 後 の 幼 児 の 健 康 状 態 の 記 録 は 、 そ れ ぞ れ79.6 % 、52.4 % と低 下 、 そ れ以 降 は ほ と ん ど 記 載さ れ て い な か っ た 。 ウ  母 親 の 自 主 的 な 記 入 欄 であ るお ぼ え 書、 予 備 欄 の 記 載状 況 有 効 な 記 録 と し て 残 し てい ない 。 (3 ) 母 子 健 康 手 帳 につ い て ア 1982 ( 昭 和57 ) 年 の 調 査1 7) 対 象 は 民 間 団 体 が 実 施し た 乳 児 健 診 受 診 者 及 び 小 児 科 開 業 医 を 受 診 し た1 ∼6 歳 の 児 であ り 、 母 子 健 康 手 帳 の 利 用 は 乳 児 だけ 、 幼 児 は た か だ か1 歳6 か 月 健 診 ご ろ ま で し か 利 用 さ れ て い な い 、 と の 評 価 で あ る 。 記 載 状 況 の 概 要 は 次 の と お り で あ る 。 ( ア ) 妊 産 婦 妊 婦 の 記 録90 %以 上 、 出 産 の 状 況91.7% な ど。 ( イ ) 乳 幼 児 健 診 に つ い て は1 か 月98.1% 、3 ∼4 か 月87.8 % 、1 歳53.3 % 、1 歳6 か 月32.3% 、3 歳 児39.8% 、 保 護 者 の記 録 に つ い て は1 か 月 、3 ∼4 か月 ご ろ は 概 ね7 5% 、 満1 歳 の こ ろ54.0% 、1 歳6 か 月 の こ ろ33.5 %、3 歳 の こ ろ43.8% な ど。 イ 1999 (平 成11 ) 年 の 調 査1 8) 対 象 は1 歳6 か 月 健 康 診 査 を 受 診 し た 保 護 者 であ る 。 記 載 状 況 な ど の 概 要 は 次 の と お り で あ る が、 既 読 率 、 書 き 込 み 率 と も に 高 率 で あ っ た と 評 価 さ れ て い る 。 (ア ) 妊 産 婦 妊 婦 の 健 康 状 態95.9% 、 妊 娠 中 の 経 過98.6 %、 出 産 の 状 態98.5 %な ど。 ( イ ) 乳 幼 児 1 か 月 健 診98.6 %、3 ∼4 か 月 健 診88.7% 、1 歳 健 診68.0% 、 保 護 者 の 記 録 概 ね8 5% 程 度 な ど 。 以 上 、 妊 産 婦 手 帳 制 度、 母 子 手 帳 制 度 、 母 子 健 康 手 帳 制 度 の 目 的 と し く み 及 び 交 付 の 状 況 、 ま た 手 帳 活 用 に 関 し 妊 産 婦 に つ い て 「妊 婦 の 検 診 ・ 妊 娠 中 の 経 過 」「 出 産 の 状 況 」、 ま た 子 ど も に つ い て1 歳 こ ろ ま で の 健康 診 査 や 保 護 者 の 記 録 は 概 ね5 5 % 以 上 記 載 さ れ て き て い る こ と な ど か ら 、 こ れ ら の 手 帳 制 度 は 妊 産 婦死 亡 率 や 乳 児 死 亡 率 の 改 善 に 一 定 の 役 割 を 果 たし て き た と 推 察 さ れる 。

(8)

V  ま と め

妊産 婦手帳、母 子手帳 及び母子 健康手帳 の交付 件数・交付率 の推移 が明ら

かになった。

交付 率は妊産 婦手 帳制度 が創設さ れた年から100

%前後であり、 終戦前

後 な ど一定 の年 の交付 件数を 得るこ とがで きなかっ た が、1954

(昭和29 )

年から1956

( 昭和31 )年は80

%台、昭和30 年代 から90

%に、 昭和40

年代からは100

%を超え現在に至ってい る。

この間、妊産婦死亡率及び乳児死亡率 は劇的に改善し てい る。

こ れらの結果 から、直 ちに各手 帳制度が妊 産婦死亡 率や乳児 死亡率 の改善

に寄与し てき たと評 価するこ とは容易で はないが、制 度の目的 とし く み並び

に各手 帳の交 付率及 び活用状況 等から、一定 の役割を 果たし てきた と推 察さ

れる。

こ の 研 究 は 椙 山 女 学 園 大 学 学 園 研 究 費 助 成 金 (C ) に よ る 助 成を 受 け た。 文   献 1 ) 2 ) 3 ) 厚 生 省 児 童 家 庭 局 母 子 衛 生 課 編 .日 本 の 母 子 健 康 手 帳 .東 京 : 保 健同 人. 1991. 厚 生 省 医 務 局 編 集 .医 制 百 年 史 ( 記 述 編 ). 東 京 :ぎ ょ う せ い, 1 976:336-337. 厚 生 省 五 十 年 史 編 集 委 員 会. 厚 生 省 五 十 年 史( 記 述篇 ). 東 京: 財団 法 人 厚 生 問題 研 究会 , 1988;459-460. 4 ) 本多洋 ノ母子健康手帳の変遷とその時 代的意義 について(そ の1 ).日本助産婦会雑誌 1985; 39(1):5-9・ 5 ) 本多洋. 母子健康手帳の変遷とその時代的意義について(そ の2 ).日本助産婦会雑誌 1 985; 39(2):5-11. 6 ) 本多洋. 母子健康手帳の変遷とその時代的意義について( その3 ).日本助産婦会雑誌 1985; 39(3):5-12. 7 ) 本多洋. 母子健康手帳の変遷とその時代的意義について(そ の4 ).日本助産婦会雑誌 1 985; 39(4):5-1 1. 8 ) 本多洋. 母子健康手帳の変遷とその時代的意義につい て(そ の5 ).日本助産婦会雑誌 1985; 39(5):5-13. 9 ) 西内正彦 .日本の母子保健の揺藍期(連載2 ).世界と人口1981(8); 64-73. 10 )西内正彦 .日本の母子保健の揺藍期(連載3 ).世界と人口1981(9); 54-62. 11 )西内正彦 .日本の母子保健の揺藍期(連載4 ).世界と人口1981(10); 68-76. 1 2 )西内正彦 .日本の母子保健の揺藍期(連載7 ).世界と人口1982(1); 70-79. 1 3 )西内正彦 .日本の母子保健の揺藍期(連載1 0 ).世界と人口1982(4); 62-72. 1 4 )西内正彦 .日本の母子保健の揺藍期( 最終回).世界と人口1982(5); 60-69. 1 5 )中島正夫. 母子健康手帳記載内容の変遷. 椙山女 学園大学教育学部紀要第3 号2010; 71-83 1 6 )和気健三. 母子 健康手 帳の公衆衛生学的意義とその問題 .日本衛生学会誌1970: 25: 248-264. 1 7 ) 高 橋 悦 二 郎. 母 子 健康 手 帳 の 利 用 .村 上 勝 美, 福 渡靖, 監 修. 小 児 期 保 健 事 例 集 ∼ 母 子 保 健 の 理 論 と 実 際 ∼ 事 例 編. 東 京 : 東 京 法 令 出 版, 1 983; 549-555. 18 ) 藤 本 員 一 ,中 村 安 秀, 池 田 真 由 美, 他. 母 子 健 康 手 帳 の利 用 状 況 調 査 .日 本 公 衆 衛 生 雑 誌 200 1 ; 48: 486-494. 1 9 ) 瀬 木 三 雄 .日 本 に お け る 「 母 子 衛 生 」 の 発 達 (No.l ). 産 婦 人 科 の 世 界1 957; 9: 1 95-207.

(9)

20 )瀬 木 三 雄 .母 子 健 康 手 帳−30 年 の そ の 歴 史を か え り み てー. 産婦 人 科 の世 界1972; 24: 685-687. 2 1 )下 田 智 久 ,編 著 者 代 表 .衛 生 行 政 大 要 改 訂22 版 .東 京 :財 団 法 人 日 本 公 衆 衛 生 協 会 2009; 89. 2 2 ) 平 山 宗 広 .新 し い 母 子 健 康 手 帳 .平 山 宗 広 ,川 井 尚 ,編 .乳 幼 児 保 健 指 導 一 新 し い 母 子 健 康 手 帳 と 幼 児 健 康 度 逃 散 成 績 を 中 心 に一 小 児 保 健 シ リ ー ズN.39. 東 京 : 社団 法 人 日 本 小 児 保 健 協 会 ,1992; 3-13.

2 3 )Kiely M. Hirayama M. Wallace HM, et al. Infant Mortality in Japan and the United State・

Wallace HM. Green G.Jaros KJ, et al, ed. Health and Welfare for Families in the 2 1 st

参照

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