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Risk factors for second eye involvement in eyes with unilateral polypoidal choroidal vasculopathy 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 館野 泰 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医 学 ) 学 位 記 番 号 医工博乙 第76号 学 位 授 与 年 月 日 平成27年6月18日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第2該当 専 攻 名 博士課程医学領域

学 位 論 文 題 名 Risk factors for second eye involvement in eyes with unilateral polypoidal choroidal vasculopathy (片眼性ポリープ状脈絡膜血管症の僚眼発症の危険因子) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 松川 隆 委 員 准教授 石原 裕 委 員 講 師 大森 真紀子

学位論文内容の要旨

(研究の目的)

ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)は脈絡膜の異常血管網とそ の先端のポリープ状病変を特徴とし、インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(indocyanine green angiography:ICGA)が診断に有用である。PCV は網膜血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation:RAP)とともに滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の 特殊型であり、白人よりアジア人に多いとされている。日本では滲出型AMD の半分以上が PCV と 報告されている。

補体因子H(complement factor H:CFH)遺伝子が最初に AMD の感受性遺伝子として報告されて 以来、AMD と関連する 19 の遺伝子座が報告されている。これらの中で CFH I62V(rs800292)と age-related maculopathy susceptibility 2(ARMS2) A69S(rs10490924)は日本の PCV 患者の 主要な感受遺伝子である。 横断研究によるとPCV 患者の 20%は両眼性であるので、片眼性 PCV 患者の相当数が僚眼への発症 の危険性がある。日本での長期間の研究では僚眼へのPCV の発症の累積は 5 年間で 11.1%である。 今回の研究で片眼性PCV の僚眼への発症に関連する危険因子を調べた。 (方法) 山梨大学医学部附属病院眼科網膜外来を受診した片眼発症のPCV 患者で 24 ヶ月以上経過観察で きた 179 名を対象とした。初診時に矯正視力検査、細隙灯顕微鏡検査、カラー眼底写真、フルオレ セイン蛍光眼底造影検査(fluorescein angiography)と ICGA、光干渉断層計などの包括的な検査を 施行。患者は患眼の治療方針に応じて 1~3 ヶ月毎に受診。患眼への抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抗体の硝子体注射は 101 眼に対して施行され、78 眼は注射せ ず保存的に経過観察された。PCV に滲出性変化を伴う場合が硝子体注射の対象となった。滲出性変

(2)

化が中心窩から遠く離れている場合や治療不可能な巨大な網膜下血腫は硝子体注射の対象外とした。 全患者から血液を採取し、TaqMan 法で CFH I62V と ARMS2 A69S の遺伝子多型を決定した。 (結果)

経過観察中(平均55.6±33.6 ヶ月)に 179 名中 20 名(11.2%)で僚眼に PCV を発症した。発症 時期は初診後5~180 ヶ月(平均 52.3±42.0 ヶ月)であった。僚眼 PCV 発症患者では非発症患者と 比較し ARMS2 A69S のリスクアリル(T)の頻度が有意に高かった(p=0.0046)。Cox 回帰分析で ARMS2 A69S の遺伝子型は PCV の僚眼発症の唯一の危険因子であることが示された(p=0.027、オ ッズ比2.53、信頼区間 1.11~5.73)。生存率分析では ARMS2 A69S 遺伝子多型のリスクアリルをホ モで持つ場合(TT)は ARMS2 A69S の他の遺伝子型より有意に短い期間に僚眼に PCV を発症する ことが明らかとなった(p=0.0177、log rank test)。一方 CFH I62V の遺伝子型では有意差は見られ なかった。

(考察)

PCV を含む滲出型 AMD 患者では両眼発症することがあり、遺伝的要因が両眼性発症に関連して いる可能性がある。

Tamura らは PCV、典型 AMD、RAP を含む滲出型 AMD の両眼性の発症には ARMS2 A69S のリス ク塩基が関連し、またARMS2 A69S の TT の遺伝子型は他の遺伝子型より早期に僚眼へ発症すると 報告している。 今回我々はPCV に焦点を当て、ARMS2 A69S のリスクアリル(T)が片眼性 PCV の僚眼への発症 に関連していることを示した。Kaplan-Meier 生存曲線では TT の遺伝子型は他の遺伝子型より有意 に早く僚眼にPCV を発症し、その 50%は初発眼発症後 180 ヶ月以内に両眼性 PCV になると予想さ れた。 PCV において ARMS2 A69S の遺伝子型は病変の表現型とも関連があり、リスクアリルを多く持つ ほど造影検査での病変のサイズが大きく、光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)後の視力 予後が悪いことが報告されている。また硝子体出血、網膜下出血、槳液性色素上皮剥離、出血性色素 上皮剥離等、重症な表現型を来たしやすい事が示されており,ARMS2 のリスク塩基をホモで持つ者 は初発眼の視力は不良である可能性が高い。本研究で ARMS2 のリスク塩基をホモで持つ患者は僚 眼に発症する危険性が高いことから、短いフォローアップ間隔での定期的な観察が早期発見,早期治 療につながると考えられる。 (結論) 片眼性PCV 患者の僚眼への PCV 発症は ARMS2 A69S の遺伝子型と関連する。

論文審査結果の要旨

1.学位論文研究テーマの学術的意義

補体因子 H(complement factor H ; CFH)遺伝子が最初に滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration ; AMD)の感受性遺伝子として報告されて以来、19 の感受性遺伝子が報告さ れている。その中でもわが国ではCFH 遺伝子の I62V 多型(rs800292)と age-related maculopathy susceptibility 2(ARMS2)遺伝子の A69S 多型(rs10490924)が滲出型 AMD の発症に強い関連が みられることが明らかになっている。

(3)

滲出型AMD は両眼に発症することがあり、遺伝的要因が両眼性発症に関連している可能性がある 。片眼性の滲出型AMD の僚眼発症には ARMS2 遺伝子 A69S 多型のリスクアリル(T)が関連し、リス クアリルをホモで持つTT の遺伝子型は他の遺伝子型より早期に僚眼へ発症するとの報告がある。ま た滲出型AMD の subtype である網膜血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation ; RAP)は 同じくsubtype である典型 AMD、ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy ; PCV)と比較し僚眼への発症の割合が高いとの報告がある。今回の研究では日本人に多いとされる PCV に焦点を当て、片眼性 PCV の僚眼発症の危険因子について検討した。

経過観察中(平均55.6±33.6 ヶ月)に 179 名中 20 名(11.2%)で僚眼に PCV を発症した。僚眼 PCV 発症患者では非発症患者と比較し ARMS2 A69S のリスクアリル(T)の頻度が有意に高かった (p=0.0046)。Cox 回帰分析で ARMS2 A69S のリスクアリル(T)を持つことが PCV の僚眼発 症の唯一の危険因子であった(p=0.027、オッズ比 2.53、信頼区間 1.11~5.73)。ARMS2 遺伝子 A69S 多型のリスクアリルをホモで持つ場合(TT)、他の遺伝子型より有意に短い期間に僚眼に PCV を発症した(P=0.0177,log rank test)。その半数は初発眼発症後 180 か月で僚眼に PCV を発症すると 見積もられた。CFH 遺伝子 I62V 多型の遺伝子型では有意差を認めなかった(P=0.49,log rank test)。

以上より片眼性PCV の僚眼への PCV 発症は ARMS2 遺伝子 A69S 多型の遺伝子型と関連するこ とが示された。本結果は臨床的・学術的に極めて有意義な知見だと考えられる。

2.学位論文および研究の争点、問題点、疑問点、新しい視点等

PCV において ARMS2 遺伝子 A69S 多型の遺伝子型は病変の表現型とも関連がある。ARMS2 遺 伝子 A69S 多型のリスクアリルを多く持つほど、造影検査での病変面積が大きく、光線力学療法 (photodynamic therapy ; PDT)による治療反応性が悪く、再発が多い。また硝子体出血、網膜下 出血、漿液性色素上皮剥離、出血性色素上皮剥離など重症な表現型を来しやすいとの報告がある。 ARMS2 遺伝子 A69S 多型のリスクアリルをホモで持つ患者は初発眼が重症である可能性が高いとと もに、経過観察中に僚眼にPCV を発症する危険性も高いことから、短い間隔でのフォローアップが 早期発見早期治療につながると考えられる。 僚眼に PCV を発症した患者数が少なかったため(20 人)、CFH 遺伝子 I62V 多型の遺伝子型と PCV の僚眼発症については統計学的有意差が出るには至らなかった。症例数を増やして更に検討す る必要があると考えられる。 3.実験およびデータの信頼性 今回の研究は PCV に焦点を絞ったものであるが、典型 AMD、PCV、RAP を含む片眼性滲出型 AMD の僚眼発症に関する報告と同様の結果、つまり僚眼発症には ARMS2 遺伝子 A69S 多型のリス クアリル(T)が関連し、リスクアリルをホモで持つ TT の遺伝子型は他の遺伝子型より早期に僚眼へ 発症するとの結果が得られた。

4.学位論文の改善点等

今回提出された論文は、既に一流の欧文誌であるOphthalmic Genetics に採択(in press)されて おり、内容も様式も学位論文として全く問題が見当たらず、改善点は無いと判断した。

参照

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