超静止セルビウス方式における力率改善
数野寛(昭和46年9月13日受理)
Improvement of Power Factor for the Static Scherbius
System with Double-range Adjustable speed
HiroshiKAZUNO Synopsis Low power factor is a large defect of the static Scherbius system in which the ordi− nary thyristor bridges are used. It is based on the oparation of the thyristor bridges within the positive range of the control angle. But, the ordinary thyristor bridge cannot operate within the negative range of the control angle because it depends on the natural commutation. If we use the thyristor bridge furnished with commutating capacitors and series diodes, we can obtain the commutating voltage over the whole range of the cont− rol angle from positive to negative through zero. When these bridges are applied to the static Schebius system and are oprated within the negative range of the control angle, we can not only obtain the speed control over the double range from below to above through the synchronous speed, but also we can accomplish the remarkable improvement of its power factor, occasionally, it is possible to obtain even the leading power factor. 1. ま え が き 二次励磁による巻線形誘導電動機の速度制御法は, サイリスタやダイオードの進歩発達に伴い,補助回転 機はこれによって置き換えられ機器の静止化が行なわ れるようになってきた。筆者は巻線形誘導電動機の二 次回路に2組のサイリスタブリッジを適用し,同期速 度以下においては主としてすべり周波側ブリッジに整 流器動作,電源周波側ブリッジに他励式イソバータ動 作としての制御を行ない,同期速度以上にあってはそ れぞれその逆動作を行なうような制御を与え,同期速 度をはさんで以下から以上まで連続の無段変速制御を 行なう具体的な方法について検討を進めたきた。とこ ろがこの静止セルビウス方式において一般的な欠陥と 考えられる点は系の(皮相)力率が意外に低いことで あり,これはサイリスタブリッジの整流器動作が制御 遅れ角正の領域で行なわれるため,印加交流電圧に対 してほぼ制御角だけ流入電流が遅れ,また他励式イン バータ動作が制御進み角正領域で行なわれるため,印 加交流電圧に対して流出電流がほぼ制御角だけ進むか らである。そこで筆者はサイリスタブリッジに制御角 負の領域にあっても確実なる転流電圧が得られるよう にし,制御遅れ角負領域での整流器動作,制御進み角 負領域での他励式インバータ動作が行なえるように し,同期速度をさはんで以下から以上まで連続の無段 変速制御と併せて高力率運転を行なうことができたの で以下これについて述べる。 2. 力率調整の理論 2.1 基本波力率について 三相サイリスタブリッジは120°通電形とし,簡単 のために次の仮定をおく。直流回路の平滑用チョーク コイルは十分なるインダクタソスを有し,直流電流は 平滑とみなす。誘導電動機二次側のすべり周波側ブリ ッジならびに電源周波側ブリッジの交流側に換算され た漏れインダクタソス分および抵抗分は,比較的小な
b:1 朱 一輪 1=1、−11 βs Jd Bf I、=・i。+IS (・s) (γ∂ 図一1静[ヒセルビウス方式系統図(s>0の時) Fig.1 Block schematic diagram of the static Scherbius system at the range of s>0. るものとみて一応これを無視し,転流所要時間は通電 期間に比し無視しうるほどの短時間であるとみなす。 したがってブリッジ交流側電流は近似的に120°通電 形方形波電流であるとみなす(実際的には後述の直列 ダイオード方式により転流コンデンサを具備したサイ リスタブリッジを使用し,強制転流措置を講ずる)。 まずその基本波分のみに着目し基本波力率を考え る。振幅んなる120°通電形方形波電流の基本波実効 値は∪百∫∂/πで表わすことができる。図一1に静止セ ルビウス方式のすべりs>0のときの系統図を示す。 B、は誘導電動機1.M.の二次すべり周波側に適用さ れるサイリスタブリッジにして制御遅れ角をα、,Bア は電源周波側に適用されるサイリスタブリッジにして 制御進み角をγfとする。Tは電源とBfブリッジ間 の結合変圧器にして,Bゾブリッジ構成サイリスタの 許容耐圧に応じてそ○電圧比6を適当に選択するもの とし,場合によっては省略しても差支えない。この T(一,二次共に三相)二次側の120°通電形方形波電 流(振幅1,)の基本波実効値を一次側に換算すれぽ, Tの巻線の結線方式いかんにかかわらず∪百1d/πbと なる。同様,1.M.(一,二次共に三相)の電圧比を αとすれば,1.M.二次側の120°通電形方形波電流 (振幅」。)の基本波実効値を一次側に換算すれば,1. M.巻線の結線方式いかんにかかわらず〉百∫ば/παとな る。Tの励磁電流および1. M.の励磁電流は純正弦波 とみなし,一括して1.M.一次側で考えることにす る。電流を図示のごとくし, ノ,一レ百、、(COSαs一ノSlnαs) π ゾ,L旦.±亘、,(。。S、eVs−∫,i。CUs) a π i…4tt・・(…γ,+」・i・・Lf) ムL÷・呉(c・S・・+元・i…) 1。−」。(c・Sθ。一ノsinθ。) 11=IO十12’ 1・−1一13t−1。−LI,’−1,「 (1) とすれば,総合入力電流基本波実効値1は
ノ十嚇+呉(÷一一÷…・・)}
一本緬㌢(t・i・ ev・+t・in・・)} (2) となる。ただし∫oは1.M.およびTの合成励磁電流に してθ。はその遅れ位相角を示す。基本波力率COSφ1 は COSφ1一石嚇+子嶋一一÷㊤・・)
〆{・・ c・・…+÷T・・(÷一一÷…・・)ザ『 +{・・si・θ・+;t・・(÷・i・α・+÷・i・γ・)}2 (3) となる。基本波力率改善のためには,基本波電流無効 分 一元{・・Si・θ・+㎡誓・・(÷・i・α・一ト÷・i・)} ができるだけ小さい方がよい。いま,1。,θo,ん,α, b,1α、1,1γdが一定であるとすれば,0°<θ。≦90°, 1α、1≦90°,1γfl≦90°なるゆえ,二つの制御角α、,γf のうち何れか片方を負に選ぶか,または両者を共に負 に選ぶことによって,無効電流を小さくすることがで きるぼかりか,時には,さらに進んで進相電流たらし める可能性も予想される。 次に,s<0領域にあっては1, M.一次印加電圧が 正相順構成であったとしても,二次誘導起電力は逆相 順構成に変わり,この逆相順誘導起電力に逆らって外 部から進相電流が流入してきた場合には,それに対応 する一次負荷電流は正相順構成の遅相電流であること に注意しなければならぬ。数式的には次のことからう かがえる。いま,s>0領域において,一次印加電圧 (星形)を e1,t一㎡百E、 sinωZ elv−V’2’E,・i・( 2ωz−一一π 3) elw−V’2−E,・i・@一÷・) とし,それに対して二次誘導起電力は ,,.= = 一!V’2− sE、 si。S、。t a 鋤一e鵬・i・(…tr9・)
e・・− 狽uI・・E’i・i・(・・t−9・) であるとし,この電圧下で (4) (5)il驚i÷i:{
(6) なるδ、遅れの電流が流出しているものとし,それに 対応する一次負荷電流が, i、tu−⊥V2−1, si。(。t一δs) ゴ1㌦一諸ム・i・(t・t−6s一号・) 』わ五・i・(ωf .6,一告・) (7) であるとする。いまこの状態からs<0領域へ移行し たとすれぽ,(5),(6)式はそれぞれ次のように変形する ことができる。1;遼1{li撫}
1:1:ご:頴::ぱ:1二嶽/
i,.、.”、v・− Q−・, sin{(一・s)・(Dt・.F・6,+ 7zr+副 (8) (9) これは逆相順構成に変わった二次誘導起電力に逆らっ てδs進みの電流が流入していることを示すが,(7)式 はsに無関係であるから(9)式に対応する一次負荷電流 も⑦式の形式をとるものと見ることができる。 図一2にs<0時の系統図を示す。この場合Bsブリ ッジの制御進み角をγs,Bゾブリッジの制御遅れ角を αアとし電流を図のようにする。 i,一旦1、(,。,γ、+」、i。γ、) π 五’一吾L(…γs一ブ・i・・s) i3一呉(…α,一ブ・i・α,) b:1 r ⑩ 未 ヨ千 1=1、+il B、 Id Bf I、=∬。 +ll (γs) (αf)・ 図一2静止セルビウス方式系統図(s<Oの時) Fig.2 Block schematic diagram of the static Scherbius system at the range of s<O. i3→・㌢(…α,−」・i・α,) io == lo(cosθo一ノsinθo) 1、−10+12t 1−11+13L∬。+12t+13t とすれば,総合入力電流基本波実効値1は, i−o五酬争(t…γs+t…α・)}
一ノ{…i耐争(t・i・γs+t・i・α・)} ⑪ となる。基本波力率COSφ1は次のようになる。 ゐ戚+争(1 1㌃…γ・+5C・・α・) COSφ1一 〆{五⊇+争(1 1ffC・Sγ・+万C°Sα・)}2 +{…i…+争(t・i・γ・+t・i・α・)}2 (12) 前の場合と同様基本波力率向上のためにはγ,〈0,αア <0とすることが得策と言える。 2.2 皮相力率について 系の皮相力率に言及するには総合電流ひずみ波実効 値を知る必要がある。一般に変圧器においては,二次 側にひずみ波の負荷電流が流れると,これに対応する 一次負荷電流は同一波形のひずみ波電流となる。しか しながら誘導電動機においては大分おもむきを異にす る。先ずこれについて述べる。 2.2.1誘導電動機の二次ひずみ波電流に対応する 一次負荷電流 固定子側を一次,回転子側を二次とする普通の巻線 形三相誘導電動機において,印加電圧が正弦波である 場合,二次にひずみ波電流を流せぽ,一次漏れインピ ーダソス中に生ずる電圧降下はひずみ波電圧となり, 一般には励磁アドミッタンスへはひずみ波電圧がかか ることとなるが,印加電圧に比し一次漏れイソピーダ ンス中における電圧降下は非常に小さいものとしてこ れを無視すれぽ,近似的には誘導電動機は正弦波電圧 によって励磁され,正弦波磁束(時間的)を生じ,二 次誘導電圧も正弦波であるとみなすことができる。こ のような条件のもとで,二次に一定振幅九の120°通 電形方形波電流が流れると,基本波(時間的)の回転 磁束波とあずかってトルク形成に寄与するのは,二次 ひずみ波電流中基本波有効分のみである。一次励磁電 流の作る回転磁束波中には,二次各高調波電流があず かってトルク形成する磁束波は存在しないので,二次 各高調波電流は,その一部をさいて回転磁束波を作りつつ,回転子一次形,定電流駆動形の誘導機作用を呈 することとなる。この場合の固定子側電流の周波数は 回転数に応じて幅広く変わる。 いま,すべりsで回転しているときの二次電流(振 幅Idの120°通電形方形波電流)をフーリェ級数に展 開すれば次のようになる。 i・一㎡百」÷九(・i・1・1・弓・i・51・[・t −÷・i・71蝸㌃・i・111・1・t +吉・i・131・1・Dt−……) 一㎡2・≡[ oosin lslωZ+Σ(−1 n=1)n
{6辻1・i・(6・±1)⇒] ⑬
ただし,複号は同順とし,n−1,2,3,……とする。 【2.2.1.1】 第(6n−1)次高調波電流について この電流は逆相順構成となる。交流電源周波数を f〔Hz〕,ゾによる同期速度をNo〔rpm〕すべりをsと する。二次電流基本波周波数はlsfl〔Hz〕,1(6n−1)sfl 〔Hz〕に対するすべりをs6n−、とする。高調波電流に よる励磁の場合の鉄損は無視する。また交流電源側の 内部インピーダンスは零とする。固定子側もしくは回 転子側よりみた励磁インダクタソスをLiOもしくは L20とし,固定子側および回転子側における漏れイソ ダクタンスと巻線抵抗をそれぞれli, rlおよび12, r2 とし,固定子側電流16。−1(実効値),その周波数を f6n−、とする。16。一、,1、, r、の回転子側への換算値を 16n.、’, li’, rYとすれば, L・・一 llt一 (6n−1)1sNo7(・、
固定子の基本波電流『ノ⇔
:∫による同期速度 :回転子速度 回転磁界 , 71 「1=一S
16n.、La16n−、No
N。(1−s) sNo :回転子上の基本波電流回転磁界速度 (6n−1)sNo:回転子上の第(6n−1)次高調波電流 回転磁界速度 図一3 各速度間の関係 Fig.3 Relationship among each velocity. 璽 器 源 r2 12 11ノ ⑭ v’6− 1∂ ↑ (6n−1)π S6n−1 となる。この場合の各速度関係は図一3のごとくにな り,等価回路は図一4のようになる。図一3よりこの場 合のすべりs6。−1は 6ns−1 s6・’1 ==(6n−1)、 となり,固定子側電流の周波数 f6n.iは f6n_1=ls6n_i(6n −1)sf|=16ns−11f ⑬ ⑯ となる。また図一4より16n.1’を求め⑭,㈲式の関係 1(6n−・)sfi[H・〕 図一4二次電流中の第(6n−1)次高調波に対する等 価回路 Fig.4 Equivalent circuit for(6n−1)th harmonic of secondary current、 ノ2π1(6n−1)sゾILIo ノ2π1(6〃−1)・ゾ1(L1。+1、)+グ1 S6n−1 ⑰ を代入すれぽ次のようになる。 i・n−1・= i61.Siilil−−t、lda. 16n−i= ㎡百1, as) ㎡{2π(6ns−1)f(LiO十ll)}2十r12 【2.2.1.2】第(6n十1)次高調波電流について この電流は正相順構成となる。上記と全く同様にし て,固定子側電流実効値を16n+i,1(6n+1)sf]〔Hz〕に 対するすべりをS6n+、,固定子側電流の周波数をf6n+1 とすれぽ,それぞれ次のようになる。s・・+1−(i鵠s 倒
f6n+1=]6ns十11f 佗()) i・・+1−i6織π
元2π1(6n十1)sflLiO ⑳ (6n−1)απ 2rrl6ns−1]fLiO ∫2π1(6n+1)sfl(L1。+1,)÷「’ S6n+1 w百∫∂ 16n+1= (6n十1)aπ・而。(譜芸i鷺言百¢・)
以上いずれの場合においても,回転子側の各高調波電 流に対する固定子側電流の周波数は,それぞれすべり sに応じて幅広い変化をし,sのいかんによりfおよ び(6n±1)fなる周波数が含まれることもありうる。 また一方結合変圧器の一次電流の中にはfの他に(6n ±1)fなる周波数のものが含有されている。 2.2.2 ひずみ波実効値と皮相力率 電源から流出する総合電流ひずみ波実効値を求める にあたっては,各調波ごとにベクトル合成し,各調波 の実効値の自乗和の平方根を求めるべきであるが,い まの場合,sの変化に応じ1. M.回転子電流高調波分 のもたらす固定子電流の周波数は幅広く変わるので, 各調波ごとのベクトル合成は複雑となる。また,120° 通電形方形波電流の高調波振幅は基本波振幅に比し小 なるものとみて,次のような近似的取扱いをする。す なわち,Tおよび1. M.の二次基本波電流のもたらし た一次電流(基本波)と一次励磁電流(基本波)との 間の総合合成に関してのみ,ベクトル合成法を適用 し,残余の高調波分のもたらした一次電流について は,たとえ互いに同一周波のもの,もしくは電源周波 に等しいものが生ずることがあったとしても,それへ はベクトル合成法は適用せず,単に別個に根号内へ各 実効値の自乗和の形で加味して,総合電流ひずみ波実 効値を求めることとする。 振幅九なる120°通電形方形波電流のひずみ波実効 値はV2/31,となる。したがって, T一次側における 高調波分の実効値Ithを求めれぽ,・,h一斜』一芸 ⑳
となる。また1.M.一一次側(固定子側)の高調波分実 効値をImhとすれば,脇」瓢誉(6。1、)、
{2。隠讐塁瓢、+㎡]±21i
となる。ただし複号は同順とする。総合電流基本波実 効値は1なるゆえ,総合電流ひずみ波実効値1,は次 のようになる。 1.一㎡12+1、。2+lmh2 ㈱ s>0領域においては㈱式へ23),⑭式および(2)式 から求まる1の値を代入することにより, ・・ =m{・・C・・θ・+㎡1∫ば(t…α・一÷…γ,)}2 +{…i…+㎡募五(t・i・eVs+t・i・γ・))2 +芸(263π2) +霧ヨ( 16n+1)、,。(6蕊篭瓢i+z、一]e・)
となる。ただし複号は同順とする。したがってこの場 合の皮相力率COSφは次のようになる。 c…¢一去{i・c・…+一・(Stlk(÷一一t…γf)} ¢・)
s〈0領域においても全く同様にして,次のごとく 求められる。 …一 m{・・C・・θ・+㎡票∫d(÷…γ・+÷…α,)}2 +{…i…+≡(t・i・・s+÷㊤α・)}2 +誓(263π2) +票運(6n土1)・一“ {2。({2π(6ns±1)∫Llo}26ns±1)ゾ(Llo十11)}2十γ12]㌔萄 鵬φ一士{・・…仇+㎡要五(t・・S・・+去一・)} ⑳
以上,皮相力率改善のためには基本波力率改善の場合 と同様のことが言える。一般には基本波力率が向上す れぽ皮相力率も向上する。しかしながら,⑳,2S)式に おいて1,>1なるゆえ,皮相力率はいくら向上しても 100%に達することはない。またその遅進の判定はそ のときの基本波力率の遅進に従うものとする。 3.転流電圧について3)・6) 前節で系の力率改善のためには,Bs, Bf両サイリ スタブリッジに制御遅れ角負領域での整流器動作,あ るいは制御進み角負領域での他励式イン・9 一・タ動作を 行なわしめる必要のあることがわかった。したがっ てブリッジを制御角負領域内で動作させうるか否か が,力率改善実現上での岐れ道である。ここで最も問 題となるのはサイリスタブリッジの転流である。普通 のブリッジは制御遅れ角正領域内で整流器動作,制御 進み角正領域内で他励式イソー〈 一一タ動作をする場合に は,自然転流可能であるが,制御角負領域にあたって は,自然転流は最早不可能となるので,何等かの強制 転流措置を講じない限り,制御角負領域内での動作は不可能となる。転流電圧を得る一法として,筆者は B、,Bf両ブリッジとも直列ダイオード方式となし, 転流コソデソサを具備せしめることとした。 図一5に120°通電形直列ダイオード方式三相サイリス タブリッジの結線図を示す。転流コンデソサをCとす る。交流側の各相漏れインダクタンス(Tまたは1.M. の二次側より眺めた漏れイソダクタンス等)を1,交流 側抵抗は一応無視し,ダイオードおよびサイリスタは 理想的なるものとする。転流現象は印加交流電圧同期 に比し無視しうるほどの短時間に完了するものとし, この間交流側電圧の瞬時値は不変に保たれるものとみ なす。直流回路のインダクタンスは十分大にして直流 電流石は平滑とする。1中に保有されていた電磁エネ ルギーが放出され,いわゆる1,Cの共振現象を起こ そうとするが,直列ダイオードの放電阻止作用のた め,一旦充電された電荷は拘束され,これが次期転流 電圧の基礎となる。ブリッジの制御角をδ(−180°≦ δ≦180°)とする。印加交流電圧euv,εw, ew。(相順 nt・一・ v→w)は三相平衡電圧とし,最大値をEmとす る。 いま,W’アームがすでにターンオソしており, U アームからVアームへ転流するのを段階①とし,Vア ームがすでにターンオンしているときW’アームから U’アームへ転流するのを段階②とする。上群コソデン サと下群コンデンサはそれぞれ対称的な動作をし,か つ現象の三相対称性を利用すれぽ,段階①,②にまた がって解析することにより転流電圧を求めうる。段階 ①,②の等価回路を図一6(a),(b)に示す。各段階を三つ のモードに分けて考える。段階①についていうなら, モード1はら一九の単流期間にして,このモードの 継続期間をtiとする。モードllはん, ivの重流期間 であり,このモードの継続期間をτ2とする。モF−・・一ド lt v Ul ! (u) (の (助 Tt・
bv
τ@ u
h Drノ Cμ Du・ サ 叫 ∫d籾u/ L= d ↑ CD〆 ε’D・’ D〆σ’ s〔/ cT〆 Tr/ (U’.〉 (V’) (W’) 図一5直列ダイオード方式サイリスタブリッジ Fig.5 Thyristor bridge with commutating condensers by means of the se・ries diode system. 皿はiv=九の単流期間とする。モードIIにおいては w−v間電圧VwvによりDwを通じて上群各コソデソサ が追加的に充電されることもありうる。モード皿にお いてはewv, e。。によりDw, Duを通じて同じく上群 コソデンサが追加充電されることもありうる。段階② のモードHおよびモード皿においては同じくw−v間 電圧Vwv, ew。, u−v間電圧Vuv, e。vにより,それぞれ 上群コソデンサが追加充電を受けることも起こりう る。各追加充電によるGγ叩,Cアーvの端子電圧上昇分 を∠れ(≧0),i=1,2,3,……で示す。得られる転流w
r−iトー一 ÷一一一]トー一一一 Dll軍 よ 初‘ ⊃Aぐ ‘Tabw
初’1:1:;惣互劃
3 u (a) Vv蕊隠;}
(b) L=○○ 図一6 ブリッジの等価回路 (a)W’アームオン,UアームからVアームへ転流 (b)Vアームオン,UブームからWノアームへ転流 Fig.6 Equivalent cil’cuits of the bridge. (a)W,arm on, commutate from U to V arm. 、(b)Varm on, commutate from U’to W’arm.電圧をVcとすれば,解析より次の結果をうる6}。
1:二欝ご} B・)
V・−u/堰│llg(li−C・・−E・・i・δ+頴4れ (3・) また,転流電圧の最低値〔Vo〕皿i,とそのときの制御角 は次のように示される。1∵議鷲i∋
ただし,Id∼/21/1.5C≦2Emとする。 ti+τ2は転流所要時間とみることができ, β2) そのうち tiは遅れ期間,τ2は重なりの期間である。〔Va〕mi。>0 なるゆえδ全域にまたがって正なる転流電圧の得られ ることを知る。他励式インバータ時の制御進み角をγ, 整流器動作時の制御遅れ角をαとすれば次のように対 応する。 −180°≦δ≦−goo・・・・・・… o°≧γ≧−goo −90°≦δ≦0°…………−900≦α≦0° 0°≦δ≦90°…………0°≦α≦90° goo≦δ≦180° ・・・・・・… go°≧γ≧0° したがって,制御遅れ角負の整流器動作,制御進み角 負の他励式インバータ動作が可能となる。またもし交 流側の各相抵抗ち ダイオードの順方向電圧降下ed を考慮し,∼/21/1.5C》とすれば,次のように示さ れる。 R T b:1::二il≡ごヨ
Va一煤G…xp(訂亨)
一・L−E・・i・δ+…曇、dV, 4. 系め構成と速度ならびに力率調整5) B3) ⑭ 図一7に系の回路構成を示す。電源線間電圧実効値 をV、とすればすべりsなる時のB、,Bアブリッジの直 流回路における電圧平衡条件式は次のようになる。た だし回路の抵抗,重なり現象は無視する。s>0領域 では, 去・3呉れ・・sev、−t・3呉…γ, B・) Fig.7 E ,,図一7系の構成図
Block schematic diagram of the static Scherbius system.∴・一丁・:三㌃ B6)
ただし,α,はB,の制御遅れ角,γアはBアの制御進 み角。s<0領域では 去・3子(一・)V,…γ・一・3・tF2 v,…α∫ B7)∴一・一号・驚 (39
ただし,γsはB、の制御進み角,α∫はBプの制御遅 れ角。α、,γア,α∫,γsは正負にかかわらずそれぞれ 各絶対値に変わりがないならぽ同一のすべりが得られ ることが陶,Bs)式よりわかる。 aは1. M.の電圧比 ゆえ一応固定とすればsを変えるた めにはb,γア,α、もしくはb,αア, γ、の中いずれを可変してもよいが, ここでは一応a/(b COS eVs)もしくは a/(bCOS rs)は固定に保ち,γアもし u くはα!を可変する場合を採用する こととする。rfもしくはαfの同一・ の変化に対しsを大きく変化させる ためにはa/bをなるべく大きく選ぶ のが有利と言え,力率改善の見地か らすれぽαア,γ了を一90°を含むそ の前後なるべく小範囲で電動機の所 要変速範囲を包含することができる とすれば,系の総合電流へ与える進 相効果は最も大きく表われてくるの で,よしんば皮相力率が進み力率に なったとしても,同じ電力線系統へ接続される他の遅相力率負荷のことを考えれぽ,系統 力率改善の見地からするとむしろ望ましいことと言え る。 まずB、ブリッジの制御について述べる。1.・M.の二 次すべり周波誘導起電力はすべりに比例してその大き さが変わるぽかりか,s・=Oを境にしてその相順も変 わる。s>0領域では整流器動作, s〈0領域ではsf ヘルツの他励式インバータ動作をしなけれぽならな い。B,ブリッジを制御するためのゲートパルスはすべ りの正負にかかわらず,絶えず二次すべり周波電圧に 同期し,かつ点弧角を必要に応じて連続的に自由に変 え得るものが好都合である。したがってゲートパルス 発生時期を規制するための規制信号電圧はすべり周波 のものでなければならない。筆者は規制信号電圧を得 るために主電動機と同極数の入力3相出力6相のごく 小形小容量の整流子形周波数変換機F.C.を主電動機 に直結し,規制信号圧電を得るためのパイロットジェ ネレータとした。小形小容量め3相結線入力信号変圧 器T2(絶縁変圧器も兼ねる)の二次を星形結線とし中 性線を設けF.C.からの出力を六相星形電圧の形で得 てゲートパルス発生器を規制する。1.M.とF. C.の軸 結合位置に問題がある。図中P.S.は三相移相器であ り,規制信号電圧位相を自由に変えるために挿入した ものであるが,いまP,s.を除外しておいた場合, s> 0領域において1.M.の二次端子u−v間の誘導起電力 e。vに対し, F. C.のa−n間から得られる出力電圧e。nが q(>0)進むような位置で軸結合し(ただし1.M.二 次側での相順はu→v→w,F. C.出力側での相順はα →c’→b→a「→c→b’とする),Bsブリッジに適用され る六種類の電圧,それに対応する六種類の規制信号電 圧,ならびに対応する被制御サイリスタ対の組み合わ せを表一1のごとくなL.,規制信号電圧波上位相角240° の時点でゲートパルスを発生開始せしめるようにすれ ば,Bsブリッジはs>0領域においては終始制御遅れ 角α、一一qの整流器動作,引き続いてs〈0領域に おいては終始制御進み角γs−−qの他励式インバー タ動作を行なわせることができる。ψ可変のためには その都度1.M., F. C.の軸結合位置を変えなければ ならぬ煩わしさが存在するので,一般にはq−0とな し,その代り移相器P.S.を挿入することによって自 由にψに相当する角度を任意の値に選択できるように する。 次にBアブリッジの制御について述べる。ゲートパ ルス発生時期を電源周波数と同期させつつかつ連続的 に可変できうるようにする必要がある。図一8にBゾブ リッジに適用される六種類の電圧Vuv, Vuw, Vvw, Vv〃, ρw,Vwvを示す。 Vuv波上太い実線の部分は制御遅 れ角αゾが負,すなわち一90°≦αア≦0°に相当する部 分を示し,太い破線は制御進み角γfが負,すなわち 一90°≦γf≦0°に相当する部分を示す。いまVuvの電 圧波形上どの時点でゲートパルスを発生開始したらよ いか規制するための規制信号電圧としてVuvの逆位相 (vアu)より30°進んだ電圧波を用いるとすれぽ,−180° ≦δ≦0°の範囲は規制信号電圧波の下り勾配部(図中太 線の部分)に相当する。以下Vurv, Vvw, Vvσ……等に ついても同様である。いま一次三相星形,二次六相ダ イヤメトリカル結線変圧器を用いた場合のベクトル図 を示せば図一9のようになる。これからすれぽサイリス タブリッジに適用される六種類の電圧,規制信号電 圧,被制御サイリスタ対の組み合わせは表一2のように 行なえぽよいことがわかる。図一7中T3はBfブリッ ジ用の規制信号電圧を得るための三相星形一六相ダイ ヤメトリカル入力信号変圧器(絶縁変圧器も兼ねる) にして,二次中性点Nに直流バイアス電圧E.を重畳 し,これの可変により規制信号電圧波の下り勾配部任 意の点に動作点を移動できうるようにし,ゲートパル ス発生時醐巻一180°≦δ≦0°(−90°≦γf≦0°,−90° ≦αゾ≦0°)間の任意の時点に選び得るようにしたもの であり,このバイアス電圧可変により速度調整兼力率 調整を行なうことができる。 5.実 験 結 果 50Hz,4極,1.5kW,一次二重三角,二次二重星 表一1B、ブリッジ適用電圧,規制信号電圧および被制御サイリスタ対の 組合わせ法 Table l Combination method of apPlying voltagges to B、 bridge, controlling signal voltages and control止ed thyristor pairs. e B、に適用される電圧
規制信号電圧
被制御サイリスタ対 euv euw θαtn t ecn Us, Vs Us, Wst evw evu eb「n VS」 Ws ean Vs, Ust ewμ ectn 劉りs, Us ’ ewv ebn τσs, Vs ’δ_−180cδ=−90°δ=OD ’ l コ ; 、 1 ‘ α/ =−go°af=0° l I l ‘ じ コ ’γf;0°@γf =−90。 1 図一8Bゾブリッジ適用電圧と規制信号電圧の位相関係 Fig.8 Phase relationship between B了bridge apPlying vpltage and controlling signal voltage. v|vL u N’ ル Vl・lv Vuv Vthv 、、 〆 ’ x u ぐ N むしレ \ ノ ! 、 ’ 〆 v N ノ 1o \、 / v 秒川・一一一……一}N・N−一一…一ピ・lv ,’ \ ㈲ ,’ \ v ’ 、 ’ 、 一., ’ 一 、 ノ ノ N ノ び , 、 1)肌ノ v’vu 図一9 入力信号変圧器の電圧ベクトル図(一次3相星形, 二次6相ダイヤメトリカル) Fig.9 Vector diagram of input sigpal trans. former voltage(pfimary 3−phase star, secondary 6−phase diametrical). 形,100/82V(a−1.22)の巻線形誘導電動機に適用 し,定回転,定トルク負荷時における力率特性実測結 果の一例を示す。ただしT1なる結合変圧器としては 50Hz,200/100 V(b−2),1kVAの三相変圧器を使 用した。図一一10(a)はs>0領域での一例で,750rpm (s=0.5),負荷トルク2.53 N−mなる場合,Bアブリ ッジをγア>0(通常の場合)領域内とγア〈0領域内と 、 でそれぞれ動作させた場合両者につきα、をα、〈0領 域内で次第に深めた時の総合皮相力率,基本波力率, ならびに系の効率を比較して示したものである。これ よりγf>0領域内で動作させる限りにおいては,α、 <0領域内でα、を深めても力率改善効果はさほど顕 著ではないが,αs=0に保ったままγf<0領域へ動作 を移行させただけでも,力率改善効果は相当に顕著で あり,ましてやγア<0,α、<0領域内で動作せしめれ ば力率改善効果は非常に顕著となり,ある所から進み 力率に移行することがわかる。またα、<0領域内でα, を深めればそれに応じて効率が低下することがわか る。図一10(b)はs〈0領域での一例で,1650rpm(s− −0.1),負荷トルク2.・53・N−mなる場合,Bfブリッ ジをαア>0(通常の場合)領域内と,αア<0領域内と でそれぞれ動作させた場合両者につきγ、をγ、<0領 域内で次第に深めた時の特性比較である。(a)の場合と 同様αア>0領域内で動作させる限りにおし∴てメま,γ、 <0領域内でγsを深めても力率改善効果はさほど顕 著ではないが,α∫<0領域へ移行することによりその 効果は顕著に表われることがわかる。 また,表一3に計算結果と実測結果との比較の一例を 示す。(a)は850rpm(s−0.433),2.81N−mなる定ト ルク負荷時における総合電流ひずみ波実効値,基本波 力率,皮相力率について比較したもので,計算値は (3),26),助式より求めたものであり,L1。−36。4mH, 11==2.05mH, r、−0.26Ωとし, Ieの計算にあたって は⑳式中n−3すなわち1.−M.二次電流中第19次高 調波までを考慮して計算したものである。同様にして (b)は1600rpm(s=−0.0666),2.81N−mなる定トル ク負荷時につき比較したものである。計算値は⑫, 2S),29)式より求めたものであり, L,。,1、, r、, nにつ いては(a)の場合と同様である。いずれも実測値と計算 値とがほぼ一致していることがわかる。諸定数の正確 なる把握の困難さや,計算途上の諸仮定の不備が誤差 をもたらす一因とはなるであろうが,この結果からし て計算式の信頼性がうなづける。 図一11にブリッジ交流側電圧電流波の位相関係の一 表一2B≠ブリッジ適用電圧,規制信号電圧および被制御サイリスタ対の組 合わせ法 ’Table 2 Combination method of applying voltages to Bf bridge, controlling signal voltages and controlled thyristor pairs. B∫に適用される電圧
規制信号電圧
被制御サイリスタ対_竺
VvN σア,vプ η[7▽ VutN τ竺__一一一 Vvu VwN ZIvt」V L_ 一 u・・vv・’v・, w↓v,, u,・ Vvaひ Ww7 Vu1N VVf,σプ ㌘wtN Wf, vプ% 100 ”一F’80
k
)R60
% 100S80
3
R
60 η(α/<0)[ 40 40 三 憲20 − −−. :− η(・f>o) 、’\ 三餅20
0 Fig.10 一15 一30 Bsブリッジの制御角(α、) .(a) 一45, 一60 D’ 1650r.p.m. 2.53N−m 0 ’−15 −30 −45 JBぷブリッジの制御角:.( 7s)’ (bカ (a) s=O.5, τ=2.53 N−m (b)s=−O.1,τ=2.53N−m 図一10 力率(基本波,皮相),効率特性曲線の実測値 一60° Experimental performance characteristics of power factcr(displacement, total)and e缶ciency. Table 3 表一3 実測値と計算値の比較 ComFarison with measured results and calculated results. (a) αs EB 0° 一15 一30 3.4V 3.8 5.8 γf 一45 一一 66.0° 一67.4 一73.5 9・81−83・5 1d 5.OA 5.2 6.0 7.7 1e 実測値 4.45A 計算値 4.60A COSθ1 3.90 3.60 4. 36 実測値 計算値m−u
u
69.2% 3.99 80.5 3.58 95.9 4.23 進91.8 65.8% 77.6 95.5 進94.2 COSφ実測凶計飾
備考
66.7% 76.6 90.0 進85.0 64.1% 74.5 89.5 進86.9 N=850rpm(s=0.433>0),τ=2.81N−m, V=・100V, 10=5。18(cos’・84°一∫sin 84°),(3),⑳,⑳式使用。 (b) γs E. 0° 一15 一30 19.6V 19.4 21.0 α了 1d 1実測値 1e 一66.6° 一67.1 一63.0 6.6A 6.8 7.8 6.52A 6.12 6.40 計算値 6.35A 5.93 6。21 COSθ1 実測値 87.1% 94.4 進99.3 計算値 89. 3% 96.2 進99.9 COSφ 実測値 85.0% 91.6 進94.2 計算値備考
87.2% 93.2 進96.3 N=1600rpm(s=−0.0666<0),τ=2.81N−m, V・=100V, 10=5.16(cos 86.7°−jsin 86.7°),⑫,⑳,⑲式使用。例を示す(電圧は星形電圧に改めてある)。(a)はB,ブ リッジ制御遅れ角負の場合のもの,(b)はBfブリッジ 制御進み角負の場合のもの,(c)はs>0領域で両ブリ ッジが制御角負領域内で動作しているときの総合入力 電流に関する一例である。図一12にs〈0なるとき制御 角負領域内で動作している場合の転流コンデンサの端 子電圧変化の一例を示す。(・)はBsブリッジ側,(b)は Bゾブリッジ側のものである。 (a)Bsブリッジ交流側(α、<0) (a)at A.C. side of B、 bridge(atα3<0). (b)Bfブリッジ交流側(γf<0) (b)at A・C・side of Bf bridge(atγf<0). (c)系の入力端(αs<O,γプ〈O) (c)at illput side of the system (atαs〈0, γf<0). 図一11電圧(星形相電圧),電流(線電流) の位相関係 Fig.11 Phase relationships between star・ phase voltage and Iine current. 6, 結 論 実測結果はB、ブリヅジ(以下Bsという)側での力 率改善効果に比し,Bfブリッジ(以下Bfという)側 での効果の方がより顕著であることを示している。Bs の制御角を零に保ち,Bゾの制御角を正の範囲内で動 作させる普通の場合に比較すれば,単にBゾの制御角 を負の範囲内に移しただけでも,力率改善効果は相当 に顕著になる。さらに進んでB、の制御角をも適当に 負の範囲内へ移行することを併用すれば,力率改善効 果は一段と顕著になる。 しかしながら,一方Bsの制御角を負の範囲内で次第 に深めるにつれ,系の効率は低下する。いま定トルク 負荷について考えれば,二次電流基本波有効分は一定 でなければならないので,制御角が負方向へ深まるに つれ,同一基本波有効分を保つためには,二次電流実 効値が増大し,二次銅損の増加を招く。一方この場合 適当に進相化された二次基本波三流中の進相分は,一 次励磁電流遅相分を相殺するので,一次電流実効値は むしろ減少し,一次銅損の減少を招く。ところが一般 には一次回路に比すれば二次回路は,巻線抵抗の他に (a)Bsブリッジ側(γ,<0) (a) at Bs bridge side(γs〈0). (b)Bfブリッジ側(αア<0) (b) at Bプbridge side (αゾ<0). 図一12転流コンデンサ端子電圧波形 Fig.12 Terminal voltage wave shapes of the commutating condenser.
ブラシ,スリップリング,ダイオード,サイリスタ, チョークコイルの巻線抵抗等損失を招く要素が多いの で,一次銅損減少分に比し,二次銅損増加分の方が大 となり,系全体としての効率低下を招く原因となるか らである。したがって,系の効率の見地からすれぽ, B,側での力率調整はBア側でのそれの補助的手段と考 える方がよい。 実際的には,1.M.とF. C.との軸結合をs>0の とき,e。、がθ。vより適当な角度q(>0)だけ進むよ うな位置で行ない,Bsの制御角を一qに固定するか, または,軸結合はop−0に固定し,代わりに移相器 P.S.によってBsを負の一定制御角一Ptz固定する。 かくして単にBf側のバイアス電圧E.だけを変化さ せることによって,Bfに制御角負の範囲内での可変 動作を行なわせて,同期速度をはさんで以下から以上 まで連続して,力率改善を兼ねた速度調整を行なわせ る。 しかしながら,Bf側での進相効果は速度に伴って 変るものであり,Bアが制御角δアー−90°(γf一αアー −90°)の近傍にあるとき,最も進相効果は顕著であ る。一般にはこれは同期速度近傍の速度領域である。 またときには進相効果が非常に顕著で,系全体として の力率が進相力率になることも起こりうる。これは力 率改善という見地からすれぽ,必ずしも望ましいこと ではないが,電力線系統全体としての力率改善に寄与 することとなる。Bア側での進相効果は同期速度から 遠ざかるにしたがって次第に弱まり,その効果は固定 していないうらみはある。この点Bs側では制御角を ある負の一定値に固定すれば,進相効果は速度にかか わらず固定していると言える。 さて,従来一般の静止セルビウス方式による巻線形 誘導電動機の速度調整はもっぱら同期速度以下にのみ 主眼が置れていたようであり,かつブリッジをして, 制御角正の範囲内で動作させていたため,低力率の弊 害をまぬがれえなかったようである。これに比すれ ぽ,以一ヒ述べてきた方法のごとく,同期速度をはさん で以下から以上まで,単に直流バイアス電圧の可変の みで,連続的に速度制御することができ,併せて力率 改善をも同時に行ないうるとするならぽ,まさに超静 止セルビウス方式ということができ,従来からの方式 に一大特徴を付加し得たと見ることができ,電動機利 用上至って好都合なことと言える。これも一にかかっ て,サイリスタブリッジの制御角負領域内での動作可 能がもたらした産物といわなけれぽならない。最後に 御協力をいただいた溝田技官に感謝する。 1) 2) 3) 4) 5) 6) 参 考 文 献 数野:電気四学会連合大会,No.596,昭42.4 数野:電気四学会連合大会,No.473,昭43.3 数野:電気学会東京支部大会,No.209,昭43. 10 数野:山梨大学工学部研究報告第17号,p。139 ∼153, 目召 41.12 数野:電学誌,Vol.89−2, No.965, p.292∼ 301, 目召 44.2 数野:電学誌,Vol.90, No.10. p.1960∼1969 昭45.10