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加工状態同定のためのインプロセス測定 第1報 : 切削抵抗の測定法 利用統計を見る

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(1)

加工状態同定のためのインプロセス測定

―第1報 切削抵抗の測定法―

小尾誠

丹沢恒正

(昭和54年8月31目受理)

In-process Measurement of Cutting Condition

-1st Report The Measurement of Cutting

Force-MakotoOBI TsunemasaTANZAWA        Abstract  This studay shows the measurement of the cutting force. The measurement of the cutting force is obtained through the quantity of deformation of the tool post. This method is used because there are many contact planes at the tool post which will deform within the elastic limit, when the cutting force affects on it.  According to the results, it is proved that this measurement successfully agreeds with the measurement made by the tool dynamometer using strain gage. The biggest merit of this measuring method is in remarkably easy procedure. Further, the cord from the sensor will not interfere with the tool changing work or the tool post turning, and the measuring error by the drift of temperature will not appear, and moreover it is possible to measure radial com・ pornent of cutting force entirely in the same condition with other compornents.

1.緒

言  工作機械の運転状態を監視したり,加工状態の最適 化を計る時,これらの目安となる物理的現象に注目す る。切削加工においては,切削抵抗,切削温度,振 動,工具摩耗などが状態変数として考慮される。した がって,これら状態変数の検知は単なる実験的方法か ら,さらに生産ラインに導入されるような実用的方法 が要求されるようになった。従来,こういった方面か らの検討は少なかったが,適応制御手法の開発ととも に非常に重視され,インプロセス測定という名のもと に多くの研究がなされているように思われる1)。  近年,機械加工分野において適応制御のためのイン プロセス測定あるいは計測という言葉が多く使用され るようになった。インプロセス測定とは工作機械運転 中,あるいは加工工程中の測定であることはいうまで もないが,測定結果を何らかの方法によりオンライン で工作機械なり,工具にフィードバックするのを目的 とすることがあえてインプロセス測定と言われるゆえ んであると思われる。したがって単純なフィー一ドバッ ク制御であろうとも,また高度な適応制御であろうと もそういった制御システムの一一一一要素として適さなけれ ぽならない。  今後,生産システムの自動化,無人化を進めてゆく ためには,加工状態,機械の運転状態をインプロセス で検知,同定するためのセンサとして信頼性があり, 安価でしかも取り付けによって機械の運転や加工に支 障や拘束を与えないものが求められる。これまでにも 多くの方法が試みられてきたが,さらに進んだ技術の 開発と,これまでの方法の実用性の確認を急がなくて はならない。  本研究は最適化を計る目的でそのac−一段階として まず適切な切削抵抗の測定法について検討を行なっ た。

(2)

2・切削抵抗の測定 2.1測定原理  切削抵抗は切削過程の力学的状態を判断し,また切 削工具の摩耗,破損あるいは切削温度を予知するため の重要な状態変数である。このためこれまで非常に多 くの方法が試みられている。それらの方法は1)2)3)  1) 切削工具の一部あるいは取り付け台の一部に歪   ゲージをはり歪計で測定する最も多く使用されて   いる方法。  2)工具の下に荷重計を取り付け,その中の荷重か   ら抵抗を検知する方法。  3) 工作機械主軸に弾性的に弱い部分をつくり,切   削トルクによるねじれ歪を歪計で測定する方法。  4) ころがり軸受をもつ工作機械の主軸の軸半径方   向の変位を変位計で測定する方法。 などが使われている。しかし,これらの方法はいずれ も特殊なあるいはかなり拘束された条件での加工を対 象としている場合が多く,汎用測定法としては幾多の 解決すべき課題を有しているといわれている。たとえ ぽ歪計(歪ゲージ)を取り付けるためには局部的に剛 性低下部分をつくらなけれぽならず,また温度に対す る特性変化,工具,回転軸からの信号の取り出しなど のため苛酷な加工状態の中での測定には大きな困難と 費用をついやす。本研究ではこのような点を解決する ものとして次のような方法を試みた。  工作機械には多くの締結部分があり,切削抵抗が作 用するとこれらの締結部分に弾性的変形が生ずること に注目して弾性変形による変位量から逆に切削抵抗を 推定しようとするものである。  具体的に旋盤を例にしてみるなら図 一1に示すように工具に切削抵抗が作用 すると,切削抵抗の大きさ,その作用 する方向に応じて工具台は変形する。 これは工具台内部の締結部分の数ミク ロンから数十ミクロンにおよぶ勇断変 形および垂直変形である。切削抵抗の 大きさが切削工具,工作機械に許容さ れる範囲であれぽ,この変位は普通弾 性限度内にとどまり,工具台変位量は 切削抵抗に比例し,また切削抵抗を除 くと工具台の変形は回復する。このよ うな変位量は数ミクロンから数十ミク ロンであるため,機械式電気式あるい は光学式などの適切な拡大方法をもつ 変位計を工作機械に固定することにより容易に検出す ることができる。このような測定法の長所は工具保持 台の適当な場所を変位計で測定するだけで切削抵抗を 知ることができるため,測定のために何らかの工作機 械設計変更を必要としないこと,測定が非常に容易 で,装置を工作機械内部に取り付けうるので,工具交 換あるいは工具台回転等作業の障害にならず,また温 度による特性変化が小さいことなどがあげられる。  2・2 切削抵抗による工具台の変形とその変位量  工具刃先に切削抵抗が作用すると,その大きさ,方 向により工具台は変形するが,その様子を接触機電気 マイクロメータによって測定した結果を図一1,図一2 に示す。図一1は切削抵抗主分力,送り分力,背分力が 工具刃先に100kg作用した時の工具台の各変位量を 矢印の長さで示している。例えぽ切削抵抗主分力に対 しては工具台はa−b点のX方向への変位が最も大 きく,ついでc点のZ方向の変位がわずかに見られ る。一方,X, Z方向に比較してY方向の変位成分

z

   主分力     送り分力    背分力      基準荷重:100kg,変位量:μm/mm・    図一1切削抵抗による工具台の変形 1「、 ’F£ Fπ     i

x

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x

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1 2 3 4 5 6 7

X方向工具台変位(μ) 図一2 切削抵抗による工具台変位

(3)

は全く認められない。これらの結果から工具台は数ミ グロンから数十ミクロン程度の変形があり,この程度 の変位量は市販の安価な微少変位計により正確に測定 できる。一方図一2を見ると切削抵抗(三成分力)と工 具台変位量とは直接関係にあり,このことは工具台変 位量から切削抵抗を検出することを要易にしている。 しかしながら切削抵抗をその三成分力(主分力,送り 分力,背分力)に分けて考える時,工具台の各変位は それら三成分力が相互に干渉して生ずる。たとえぽ図 一2中に示されるようにa点をみると,いずれの成分 力においても大きさ方向は異なるが,X方向変位が 認められる。このため何点かと変位を同時に測定し, 適当な演算により各成分を求めなけれぽならない。  工具台の異なった適切な三点X,Y, Zと切削抵抗 の三成分力,主分力瓦,送り分力瓦,背分力Fnと の関係は

i]iii iiiiii)i

として表される。ここでall a12 ”…a33は定数で 個々の工作機械の剛性等によって定まる。したがって 切削抵抗主分力瓦についてみれぽ,   Fe=∠411 X十A12 Y十.A 13 Z として求めることができ,An, A12,・413はall al2… a33によって定まる定数であるので,一例として示し た図一3のような簡単な演算回路により要易に分離検 出することができる。  2・3 切削抵抗の測定結果と考察  以上述べた方法により実際に切削抵抗を測定した結 果を図一4に示す。図一4は切削抵抗の三成分力を同時 に測定記録している。切削抵抗を測定する場合もっと も多く使用されている方法として,工具に歪ゲージを とりつけ,その歪を歪計で測定するが,こういった方 法では切削抵抗背分力の測定は困難であるが,工具台 変位からの測定方法では,主分力あるいは送り分力と 全く同様に容易に測定することが可能になる。これら の測定結果を歪ti 一一ジによる動力計と比較した記録を 図一5,図一6に示す。これらの実験結果は切削条件を マニュアルあるいは制御テープで任意に変え,その時 の切削抵抗の変化を工具台変位による測定装置と歪ゲ ージによる切削動力計とで同時に測定記録したもので ある。図一5は切削送り変動による切削抵抗の変化,図 一6は切込み変化による切削抵抗の変化を示す。いずれ の実験結果においても工具台変化による切削抵抗値と       R、       R2

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図一3切削抵抗成分測定の演算回路

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一二二1三運三当玉当:三葺薫鐸葦ミ

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一一O=一L÷†∴÷一「庁干送り分力i二.. 図一4 切削抵抗三成分力の測定結果   一シ 六  i・一  の   吊一 く一致することが認められる。図一7,図一8 に工具台変位による測定法を歪ゲージ動力計 による測定法と比較した主分力の実験結果を 示す。X軸に工具変位計による切削抵抗測 定装置からの出力値を,またY軸に歪計に よる工具動力計からの出力値を示している が,いずれも非常に良く対応し,ほぼ45度の 線に沿った直線的な関係を示すことが理解さ れる。  ところで,すでに述べたように,切削抵抗 を測定するために工具台内部の接合面の弾性 的変形に注目しているが,接合面の変形に関 してはヒステリシス的現象がしぼしぽ問題に なる。実験結果によると,このような現象は 送り方向成分に大きく現れる。他の方向成分 に比較して送り方向成分にこういった現象が 非常に強く現れるのは,工具台の構造からも 推定される。図一9に示す実験結果は,工具 台を油圧(数値制御旋盤では多く油圧機構が 使用されている)により固定した電源入力初

期から,工具送り分力荷重0から200kgの

範囲でくり返しながら,その時の工具台の変

(4)

一 =  iiヨ’一 耳=一≡…1−一_≡ ≡=≡ ≡≡_已.一.…≡≡∈≡妻 一 .一..一.‡ _一≡ 『≡一 i・ふ=:壬ヨ≡’ ≡==『一 ッ≡ ≡ _一一一一 “ヨ、100kg 二=:≡≡≡ 一 ≡_‡=__ 一『一    ≡コ”=一に≡ 一 ≡一垂奎50kgi・ i蓑ヨ≡_一≡,一’一一^ ’甲一 一  , τ三一 _

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? 一 ・≡一黎__一_…≡…≡ 一三≡三モ≡’≡一…≡      .≡=一…≡…

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・一・   一 O…ヨ三控咋’}一一一          一 H具台変位計による切削抵抗値 主工 図一5切削抵抗測定結果 丁 塁 § ⊥ 豆. 埋 塁 葦 誉 濫 くロ 皿K

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00 T0 O0 T0 o 00 50       100       150      20     工具動力計による切削抵抗値(kg) 図一7 工具台変位による測定装置と歪ゲ    ージ切削動力計による抵抗測定値 150 図一6切削抵抗測定結果 位を測定記録したものである。これから明らかなよう に,最初の増加荷重に対して工具台は極端に変形し, また荷重を取り除いても完全には回復しない。しかし 何回かくり返すことにより,その差は小さくまた荷重 の変化に対しほぼ直線関係に収束することがわかる。 本実験装置では図一3中に簡単に示しているが,荷重の 方向が反転した時常に零点補正を行っている。

3.結

果  切削抵抗が作用する時,その大きさ方向に応じて工 具台は変形するが,この時の工具台の変位から逆に切 削抵抗を検知する方法を試みた。以下に結果を簡単に まとめる。  1) 工作機械,特に工具台には多くの締結部分があ   り,この締結部分に力が作用すると工具台は変形   する。その変位量は数ミクロンから数十ミクロン   であり市販されている微小変位計により測定可能   な範囲であることがわかった。  2) 切削抵抗と工具台変位量とは直線関係にある

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(5)

 ら,各切削抵抗の成分は何点かの工具台の変位を  同時に測定し,適当な演算によって求めることが  できる。 3) たとえぽ切削抵抗主分力瓦は工具台の三点の  変位をX,Y, Zとすると   Fc=ノ111 X十A,2 Y十ノ113 Z  ただしAll, A12, A13は定数。といった変位成分  の和として求めることができる。 4)以上の原理にもとついて試作した測定装置によ  り切削抵抗を測定した結果,歪ゲージによる工具 動力計とほぼ同等な精度で測定しえた。

参考文献

1) 佐田,小尾:適応制御のためのインプロセス   測定精密機械,38−10,1 2) 竹山,土井外:工作機械の最適化制御に関す   る研究,日本機械学会論文集,34−261,992 3)T・C・Marley:Adaptive Control・The Lo9’   ical Next Stepin Machine Tool Control   ASTME Technical Paper MS 68−812

参照

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