松本歯学 37(2)・(3) 2011
第
72回松本歯科大学学会 (
総会)
■日時 :2011年7月9日仕) 13:00-13:50 ■会場 :講義館201教室プログラム
225 一 般 講 演1
4:
00 開会 の辞 高橋 直之 大学 院歯学独 立研究科長1
4:
05 座長 藤木 知- 准教授 1.東 日本大震災 における歯科医療派遣 を経験 して ○鈴木貴之1,河瀬聡一朗2,松尾浩一郎Z,小笠原 正2, 薄井陽平3,荒井 敦3,松 田浩和3, 山田-尋3, 村居正雄4
,
揮 口通洋4,栢本大祐4,笠原 浩 5 1(松本歯大 ・総合診療), 2(松本歯大 ・障害者歯科),3
(
松本歯大 ・歯科矯正),4
(長野県歯科 医師会), 5(松本歯大 ・衛生学 院)2.RPD
実習用4
倍大下顎小 臼歯石膏模型の製作 ○谷内秀寿1,黒岩昭弘2,松 山雄喜2,洋上真也2,小 町谷美帆2 1(松本歯大 ・入 門歯科 医学), 2(松本歯大 ・歯科補綴)3.
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における破骨細胞分化機構 の解析-M-CSF
はC
-Fo
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を介 し前駆細胞のRANK
を上昇す る一 〇荒井 敦1・2,溝 口利英1,小林泰浩1, 山下照仁1, 山田-尋2,宇 田川信之3,高橋直之1 1(粉本歯大 ・総歯研 ・機能解析 ), 2(松本歯大 ・歯科矯正),3
(
松本歯大 ・口腔生化)226 松本歯学 37(2)・(3) 20
1
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4:41
座 長 谷 山 貴- 講師4.CT検査および超音波検査 において s
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が疑 われた鼻歯槽嚢胞 の1
例○
山田真一郎1, 田口 明1,内田啓-1,落合隆永2, 杉 野紀幸1,長 内 秀1,望月慎恭1 1(
松本歯大 ・歯科放射線学),2
(
松本歯大 ・口腔病理)
5.松本歯科大学病院における顎関節 MRI
所見I
Jo
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の関連 因子 の評価一 〇黒岩博子1, 田口 明1,三木 学2,杉野紀幸1, 藤木知-1,内田啓一1, 山田-尋3,吉成伸夫2 1(
絵本歯大 ・歯科放射線)
, 2(
松本歯大 ・歯科保存 Ⅰ),
3
(
松本歯大 ・歯科矯正)
1
5:5
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閉会の辞高橋
直之 大学院歯学独立研究科長
松本歯学
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1.東 日本大震災における歯科医療派遣 を経験 して 鈴木貴之1,河瀬聡一朗2,松尾浩一郎2,小笠原 正2, 薄井陽平3,荒井 敦3,松 田浩和3,山田-尋3, 村居正雄4
,
浮口通洋4
,栢本大祐4,笠原 浩5 1(松本歯大 ・総合診療),2(校本歯大 ・障害者歯科), 3(松本歯大 ・歯科矯正)4(長野県歯科 医師会), 5(松本歯大 ・衛生学院) 【目的】 震災後の長期 間にわたる避難所生活では,栄養不良か らの口内炎,体重減少 による義歯不適,水不足 による口腔清掃不足 な どによ り口腔内環境の劣悪化が危供 される.そのため,被災地 においては,他 の 医療支援 と同様 に,歯科医療の支援活動 も必須 となる. しか しなが ら,歯科支援活動 においては,震災 後の活動報告はあるものの,歯科医療支援 システムの確立には至 っていない.今回われわれは,責災の 1カ月半後, 3カ月後の2回にわた り,宮城県下の被災地において歯科医療支援活動 に参加 した.両時 期での歯科支援活動の内容 と,歯科医療支援へのニーズ,障害者施設の歯科 ニーズ と対応状況 について 検討,報告 した. 【経緯】 震災か ら1カ月後の4月11日か ら,宮城県歯科医師会か らの依頼による全国か らの歯科医療派遣活動 が 開 始 さ れ た.我 々 は,4
月2
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日か ら5
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ま で と,6
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, 6月1
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日か ら6月1
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の3
期 にわた り,歯科 医療 派 遣 の要 請 を受け,歯科的支援 を行 った.活動場所 は,G3
が宮城県気仙沼市,南三陸町,G9,1
0
が宮城県気仙 沼市,南三陸町,石巻市であった. 【活動報告】G3
の時期 においては,気仙沼市の行政が作成 した一般避難所 の リス トをもとに して,4
0
ヶ所 の避難 所 を訪問 し,計81名への歯科的対応 を行 った. しか し,避難所 リス トの中には障害者施設は無 く,行政 も把握 していなかった.そ こで,独 自に聞 き取 り調査 を行い,障害者施設 を発見 した.歯科支援の必要 性 を認めたため, 8名の処置 をお こなった.G9,1
0
では震災か ら3ケ月が経過 してお り,避難所 は合 併,縮小状態が進んでお り,避難所 における歯科的ニーズは少 な く,2
0
ヶ所 の避難所,計59名 の被災者 の対応 を行 った.派遣前 に宮城県保健福祉部障害福祉課 と連絡 をとり,被災地 における障害者施設一覧 を情報提供 して もらった.その一覧か らニーズの状況 を確認 し,障害者へ の歯科 支援 を重 点 的 にお こ なった.4施設で計52名の障害者に対 して口腔内診査 をお こなった. 【まとめ】 避難所 の縮小化や統合が始 まっていたG3
では,歯科 医療援助 も被災者- の応急処 置か ら,地域歯 科医療への還元への移行期 と考 えられた.G9,1
0
では震災か ら3
ケ月経 ち,被災者 は,徐 々に避難所 か ら仮設住宅へ と移行 し, 日中の避難所 はあま り被災者がいない状況 となっていた.今 回の活動 を通 し て,行政や歯科医師会 を通 しての障害者施設への歯科支援が不十分であることが明 らかになった. この ような有事の際の障害者への医療支援 は,一般被災者 と比 して後手に回ることが多い.今後 この ような 震災が起 こった際には,行政,各 自治体が災害時に,指定避難所の把握だけではな く,障害者施設へ も 対応体制作 りが必要であると考 える.2.RPD
実習用4
倍大下顎小臼歯石膏模型の製作 谷内秀寿1,黒岩昭弘2,松 山雄喜2,溝上真也2,小町谷美帆2 1(松本歯大 ・入 門歯科医学), 2(松本歯大 ・歯科補綴) 【目的】 部分床義歯学実習では4
倍大下顎小臼歯石膏模型 を用 いて,補綴的前処置 を想定 した レス トシー トお228 松本歯学 37.2・3 2011 よび ガ イ ドプ レー ンの形 成 を行 って い る.設 計 はRPIク ラス プ と し模 型 は ニ ッシ ン社 のC4-SW. P.3 N0.5を使用 して きた. しか し, この模 型 は義歯着脱 方 向が分 か りに くく, ガ イ ドプ レー ンの形 成立が少 な くなる, レス トシー トの先端 が判 りに くい な どの欠点が あ った. そ こで我 々は本実習 の教 育 U的 をよ り明確 に, よ り簡イ酎 こす るため に新 たに4倍大下顎′」、臼歯石啓模型 を製作す ることに した. 【方法】 新 しい模型 を作 るに当た り課題 を設 けた.1.着脱 方 向 を表示 す る.2.RPIクラス プ を設 計 し易 くす る. 3.唆合而 レス トの先端 部 を分か り易 い形 にす る. 4. ガ イ ドプ レー ンを設 計 し易 い形 にす る.5.歯 冠 を高 くしガ イ ドプ レー ン,小過 純 子 の 形 成 を し易 くす る.6.模 型 の 高 さをC4-SW. P.3 No.5模型 よ りも低 くす る.7.模 型基底 部 を小 さ く,扱 い易 くす る.8.複 数の模 型 を並 べ易 く,破損 しに くい形 にす る.9.基底 部側面 に名前等 を 晋け る ようにす る. 次 に, この課題 を具現化す るために,①新模型 の F顎小l:日射の近遠心径 は,ニ ッシン社 のデ ンタルモ デ ルC3-304(L14S) 4倍 大歯牙模 型 の近遠 心 径 を参 考 に した.(参そ して近遠 心径 を基 にRPIク ラ スプ を設計 し易 い下顎甜 則小 円歯模型 を作 った.③ 続 いて模 型1馴 Uにで きる舌側 の鼓形空 隙 を′ト連結 で -が 形成 し易 い形 に した.① 模 型基底 部 は長 方形 の4隅 を削 り管理 しやす くす る と同Il封 こ操作性 を求 め た.5そ して製品化 をl刈った. イ山 fl材 料は 普
通
7
7
,
77・,パ ラ フ ィンワ ックス. イ ンレー ワ ックス,複印象材 デュプ リコー ンであ り,模 型 菌を彫刻 し排列 し基底 部を作 り,補 正 して完成 度が上が る ように努めた. 【結果 ・考察】 製作 した膜 増はニ ッシン社 の協力の もとにC4-MM. P.25模 型 となった (図).そ して2010年 度の ,I-fl5分床義 解 学実習 に川 いた. 1捌 illlが目
視 で きるこ とで作 業は本来の 技 工操作 に近 くな り.小JU_化 ・軽:
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t化 を図った こ とで拙 作性 を改-77亨・で きた. また,指導 し易 く,竹即 し易 い結 火 となった.加 えて,'R習時 日1).)の短縮 化 もl'ylれた と.[且われ る. 【結論】 C4lSW.P.3No.5 C4-MM.P.25 今 回,我 々の製作 した4倍 人下顎小 臼歯石膏模型 は, ニ ッシ ン社 のC4-SW.P.3 No.5模 型 に比 べ て,RPIク ラ ス プ を設 計 し レス トシー ト, ガ イ ドプ レー ンを形成す るこ とにお いてはデザ イ ン性 に優 Jt,操作性 に優 れて いる. また,実'lLflJ申・
実習後 の管
理 ・保管 に優 れている. 3.i
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0にお ける破骨細胞 分化機 構 の解析-M-CSFはC-Fosを介 しl朋 相 川包のRANKを LiLす
る-光井 敦12,
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小林泰
iIJi・.,山下
照 仁), ‥lH -甘 ,字 lll川信 之3, lLLlB橋 直 之l '(松 本l'i・-r人 ・総的†
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・機能研析 ), (松本 LJfl)く・歯科矯正 ), (松 本 前人 ・口腔生化 ) 【目的】 以 J'111-我 々は,破 骨細胞 前駆細胞 をRANK陽性釧胞 と して′LlJl・必 抗で同定 した. さ らに,RANK陽性Ml 胞 の挙動 を,破骨細 胞形成不 全 マ ウス (C-Fos欠j
11マ ウスお よびRANXL欠損 マ ウス) を川 いて解析 し.次 の2日兄 を得 た.DF4 80陽性 マ クロフ ァー ジ (M¢) は,RANKL欠損 マ ウスお よびC-Fos欠J
uマ ウスの骨組織 に存在 した.(診RANK陽性 細 胞 は,RjN lく⊥ 欠損 マ ウスの骨 表 面 にのみ存 在 し,C -1・10.()
(
川 マ r'/スで は全 く認 め られ なか った.以上 よ り,骨 表 面にお け る破 骨紬勉
前駆細胞 のRjNX の ・脚光LHrLL RANln は必 要な く,cIFosが必 要であ るこ とが示 唆 された.今 回,破 骨糾‖泡前駆細胞松本歯学 37(2)・(3) 2011 229 における
C
-Fo
s
を介 したRANK
の発現上昇機構 について検討 した. 【結果】 ①M-CSF
受容体(
C
-Fms
)
陽性細胞は,RANK
L欠損マ ウスおよびC
-Fo
s
欠損マ ウスの骨組織の両 方 に認め られた.②野生型マ ウス由来M
中に対す るM-CSF
刺激 は,C
-Fo
s
とRANK
の発現 を上昇 さ せた.一方,c
IFo
s
欠損マ ウス由来M
中ではM-CSF
刺激 によるRANK
の発現上昇 は認め られ なか っ た.③C
-Fo
s
欠損マ ウス由来M
中へ のc
IFo
s
の過剰発現 は,RANK
の発現 を上昇 させ た.④C
-Fo
s
欠 損マ ウス由来M
中へ のRANK
の過剰発現 は,RAN
EL誘導性の破骨細胞分化 を レスキューで きなか っ た. 【考察】 これ までc
IFo
s
は,RA
NKNK
シグナルの下流でのみ破骨細胞分化 に寄与す ると考 え られて き た.今回の結果 よ り,破骨細胞前駆細胞 においてC
-Fo
s
は,M-CSF/
C
-Fms
シグナルの下流でRj
N K
の発現上昇 に も必要であることが明 らか になった.骨表面 にお ける骨 芽細胞 由来のM-CSF
は,破骨 細胞前駆細胞のRANK
の発現 を上昇 させ ることによ り,効率的に破骨細胞分化 を誘導す ることが示唆 された.4.
CT
模査および超音波検査においてs
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が疑 われた鼻歯槽嚢胞の1例山田真一郎1,田口 明1,内田啓-1,落合隆永2, 杉野紀幸1,長内 秀1,望月慎恭1 1(粉本歯大 ・歯科放射線学), 2(松本歯大 ・口腔病理) 【緒言】 鼻歯槽嚢胞 は,歯科臨床の場 において非歯原性嚢胞のなかで も比較的遭遇す る機会が少 ない軟組織 内 に発生す る嚢胞である.発生部位 は鼻翼の付け根 に近い歯槽突起 の上で,鼻翼基部か ら口唇上部 にかけ て波動性の腫脹 を認め,長期間無症状で経過 して上顎骨の吸収が進んでか ら発見 されるこ とが多い.そ の本態や発生機序 については未だに不明な点が多 く, さまざまな議論が提唱 されている.年齢 は30-70 歳 に多 く発症 し20歳以下 と80歳以上 は稀 である.特徴的画像所見 としては,病変内沈殿物
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といわれる石灰化像が稀 に存在す るこ とが報告 され てい る.今 回我 々は93歳 と高齢 な女性 におい て,造 影cT
検査 お よび超 音波検査 におい てs
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が疑 われた鼻歯槽嚢胞の1
例 について報告す る. 【症例】
93歳,女性.初診 :2009年 4月.主訴 :上顎前歯部唇側歯肉部の腫脹.既往歴 :子宮筋腫.家族歴 : 特記事 項 な し.現 病 歴 :2009年 3月 頃か ら上 顎 前歯 部唇 側 歯 肉部 の腫 脹 を 自覚 す る も放 置 して い た.2009年 4月義歯 による顎堤部への圧痛 を認め近在歯科 を受診 し,上顎前歯部唇側歯肉部の腫脹 を指 摘 され精査治療のため本学病院を紹介 され来院 した. 【現症】 全身所見 :体格 は中等皮であった.その他 と くに異常 は認めなかった. 口腔外所見 :左側鼻翼基部の腫脹 を認めたが,皮膚表面 に異常 は認めなかった.口腔内所見 :上顎左 側前歯部昏倒歯槽部歯肉に軽度な腫脹 と圧迫による違和感を認めた. X線写真所見 :パ ノラマ Ⅹ線写真では,左側前歯顎骨部か ら左側下鼻 甲介基部 レベ ル まで,側方 は 鼻腔内側壁 まで不透過像が認め られた.岐合法エ ックス線写真では,左側梨状 口下縁 の消失 と上顎左側 前歯部の顎骨部の吸収が認め られた.切歯管側壁 に異常 は認めなかった. 非造影CT
検査 (水平断)では,左 側梨状 口下縁 か らその上方 にか けて類 円形 の軟組織病変 を認 め た.病変に接す る上顎骨前面では皿状 に骨が圧迫吸収 されてお り,病変内部のCT
借 は37HU (粘桐 な 液体成分) を示 した.造影cT
検査では,病変内部に造影効果は見 られなかったが,周囲に一層 の造影 効果が認め られた.早期造影 に比 して晩期造影で も変化 は見 られなかった.冠状断多断面再構築画像で230 松本歯学 37(2)・(3)2011 病変内の下部 に,骨のエ ッジ効果の影響 とは異 なるややCT値の高い領域が存在 した.病変内部のCT 値 は上部で28,下部の高濃度域 は70を示 した. 超音波検査では,境界明瞭で類 円形の単房性病変 を認めた.辺縁 は平滑であ り病変の内部上方はほぼ 均一な低エ コーを呈 したが,歯槽頂部に近い病変の底部では均一 な高エ コーの層が見 られ,病変内沈殿 物が疑われた.底面エ コーお よび後方エ コーは著明であったが,側面エ コーは不明瞭であった.カラー ドップラーでは病変の辺縁のみに血流が見 られた. 画像診断 :鼻歯槽嚢胞. 処置お よび経過 :2009年6月1日,上顎左側前歯部口腔前庭部か ら穿刺吸引を施行 した ところ茶褐色 の内容液 を吸引 した.穿刺吸引後腫脹 は消失 した.患者の希望 もあ り摘出術 は行 わずに外来にて経過観 察であ り,再発所見 は認めず術後の経過観察中である. 【考察 ・まとめ】 鼻歯槽嚢胞 は極めて稀 な軟組織 内に発生す る嚢胞であ り,その本態や発生機序 については未だに不明 な点が多い.特殊画像検査 において極めて有用 な所見が得 られた,93歳の高齢女性 に生 じた鼻歯槽嚢胞 の
1
例 を経験 したので報告 した.5.
松本歯科大学病院 における顎関節MRI
所見-Jointeffusionの関連尚子 の評価一
黒岩博子1,田口 明1,三木 学2,杉野紀幸1, 藤木知-1,内田啓一1,山田-尋3,吉成伸夫2 1(松本歯大 ・歯科放射線),2(松本歯大 ・歯科保存Ⅰ), 3(松本歯大 ・歯科矯正) 【目的】 松本歯科大学病 院に磁気共鳴撮像 (MRI)装置が導入 され,以後行われた顎 関節検査 にお いて得 ら れたMRI所見 を検討 し,特 にJointe軌sionに関連す る因子 を評価することを目的 とした. 【方法】
MRI装置 は,1.5TSignaHDxt(GE横河 メデ ィカル システム株 式会社,東京) を使用 した.顎 関 節MRIの撮像法 は,開口時 矢状 断プロ トン密度強調画像,閉口時 矢状 断で2強調画像,開口時 変法前頭 断プロ トン密度強調画像,開口時 矢状断プロ トン密度強調画像で行 った.顎関節MRI評価 項 目を,関節 円板転位 (前方,内側,外側),上下 関節腔 における液貯留 (Jointeffusion),下顎頭 の 骨変形,下顎頭の骨髄信号変化,関節円板 の復位 とした. 顎関節MRI診断経験17年 の 日本歯科放射線学会専 門医1名 (AT), 日本歯科放射線学会専 門医3名 で,所見評価 は,ATl名のみ,あるいはATと他の評価者2名 によ り行 った. 対象 者 は本 院 MRI装 置導 入 後 の2009年3月30日か ら2011年4月 1日に撮 像 され た80名 (男性15 名,女性65名)の160関節,経過観察のため数 回撮像 した対象者 に対 しては初 回撮像時の画像 を評価 し た.平均年齢27歳 (8-79歳),撮像依頼科 は,矯正科55名,口腔外科19名,外部紹介6名であった. 【結果】 所 見 が 認 め られ た の は,円板 前 方 転 位 右 側71(89%)左 側66(83%),円板 内 側 転 位 右 側19 (24%)左側19(24%),円板外側転位 右側30(38%)左側35(44%),Jointefusf ion 右側43(54%)
左側43(54%),骨変形 右側45(56%)左側47(59%),骨髄信号異常 右側13(16%)左側12(15%), 復位性 円板前方転位 右側44 (55%)左側34 (43%),非復位性 円板前方転位 右側27(34%)左側32 (40%)であった. Jointeffusionは,円板前方転位の左右側 と円板外側転位の左 側 に有意 な関係 を示 した.円板外側転 位 の右側では関係 あ りの傾向が認め られた. Jointeffusionは,円板が転位 になるに従い有意 に認め られた.ただ し,復位 と非復位では差 は認め
校本歯学 37(2)・(3) 2011 231
られなかった. 【結論】
円板前方転位によりJointeffusionは有意に増加 した.円板前方転位の復位,非復位 との間に Joint effusionの差は認め られなかった.また,円板内側転位,骨変形お よび骨髄信号異常 はJointefFusion
と関係を有 きなかった.