社
会
系
教
科
教
育
学
会
『社
会
系
教
科
教
育
学
研
究
』
第17
号 2005
(pp.23-32)
アメリカ初等法関連教育の単元構成
―
"Primary VOICE"
どVOICE"
の
プ゜ジ
ェク
トを手がか
りに
して一
A Study on the Unit Organization of Law-Related Education in American Element;
Based on the Project of Primary
F
り尺:E
and
VC
(ヱ
が
司r Schools:
小
林
秀 行
(騎
西
町
立
騎
西
小
学
校
)
I。問題の所在
平成15
年
7月に
司法制度改革の
一環と
して,我
が
国の学校教育等における司法及び法に関す
る学
習機会を充実させ
るため
,法務省によって
「 ̄
法教
育研究会」1
)
が発足
した
。平成16
年10
月まで16
回
にわた
り
,文部科学省と連携
して調査
・研究
・検
討を行い
,同年11
月に匚
法教育」2
)
の普及
・発展
を目指すための報告書が提出された
。さらに裁判
員制度が
平成21
年度までに導入
される社会状況の
中で学校教育を初めとする様
々な場面において
,
司法の仕組み
や法の働きに関する国民の学習機会
を図ることが今後ますます必要に
なっている
。そ
こで
,小学校
・中学校において
「 ̄
法教育」を効果
的に進めるための教材の
充実や指導法
などの工
夫
,
研究
を進め
る必要が
ある。
一方,アメリカでは1960
年代後半か
ら,学校に
おいて広義に法の教育に取
り組むことが重要であ
るとの認識が高ま
り
,市民的資質教育の再生と青
少年の_
非行防止の目的で法関連教育(Law-Related Education)
のカリキュラムが数多く開発
され
てきている
。そ
して,現在も社会科教育の
主
要領域と
して積極的に位置
づけられ
,幼稚園を含
む小学校低学年から高校まで系統的に広
く実践
さ
れ
て
いる
。この
ようなアメ
リカの動
向を鑑み
ると,
日本の学校教育に
おいても発達段階を踏まえた適
切な
「法教育
」を行
うための
系統的なカリキ
ュラ
ム
を編成することが最重要課題である
。日本の社
会科における
「 ̄
法教
育
」の現状においては
,憲法
中心の制度理解にとどまっていて
,法的機能の理
解や身近な法
的葛藤
問題を合理的
・合意的に解決
する能
力や
態度形成
を系統
的に育成するま
でに
至っ
ていない。また
,初等のアメ
リカ法関連教育の
先
行研究3
)
においては
,カリキュラムの目標の分析
や,ルールや責任,紛争解決だけに焦点を当てた
カリキ
ュラム分析にとどまっており,統治機構や
法的参加などを含めた法関連教育の内容全体を扱
っ
た初等段階からのカリキュラム分析は
,いまだ明
らかにされていない。
そこで
,本研究では基礎段階となる初等を中心
としたアメリカ法関連教育プロジェク
トの
研究を
手がか
りに
,その系統的なカリキュラムを分析し,
単
元構成,授業構成を明らかにする。
本稿では,アメリカのイリノイ州シカゴにある
Constitutional Rights Foundation
(C
R
F
:憲法上の
諸権利財団)が,
1977
年に第4学年から第8学年
までを対象に市民的資
質の育成と青少年の非行防
止のために開発した ・
叨。lence-Preventi
。,7
θz,
た
。
。nes
in
Civic
£ducation
”
(
『市民教育におけ
る暴力防止の成果』以下/・VOICE'"0
と略記)と,
2003
年に”
V
O
I
C
E”の低学年向けとして第1学年
から第3学年までを対象に開
発した”Primary
V
分析する。分析にあたっては,”Primary
O
I
C
E
¨
(以下
,”Primary"
と略記)を取り上げ,
”と
”
V
O
I
C
E”の全体構成,単元構成を分析,比較し,
各単元構成の性格や単元構成原理を明らかにする。
皿
。全
体構
成
1バPrimary"
の
場
合
ジ
ョン
・トゥー
イン氏
を中心に開発
され
た
”Primary"
は
,ア
メ
リカの
公
民
・政治ナ
シ
ョナ
ル
ス
タ
ン
ダ
ー
ドや
イ
リノ
イ
州の
教
科
目標
に
準
拠
して
いる
。そ
して”Primary
”
は社会科
を中心と
しな
が
らも
,他教
科
との
ク
ロス
カ
リキ
ュ
ラム
の
中で
学
習が展
開
され
て
いる
。全体
は
,単
元
1
「統
治
」
,
23 ―
単 元2 厂
責任」, 単元 3「 紛 争 解決」,単 元 4 厂
参
加」 の全 4単元で16レッス ンか ら構成さ れてい る。
各 単元 の レッ ス ン名 につ いて ま とめ たも のが表 1
で あ る。
表1 ”Primary
”の全体構成
単元 1 統 治 レ ッ ス ンI : 私 た ち の ク ラ ス の た め の ル ー ル ① レ ッ ス ン 2 : 私 た ち の ク ラ ス の た め の ル ー ル (2) レ ッ ス ン 3: 私 た ち が 本 当 に 必 要 な ル ー ル レ ッ ス ン 4: 破 ら れ た ル ール 単 元 2 責 任 レ ッ ス ン 1 二決 め ら れ た責 任 レ ッ ス ン2 : 責 任 の 分 類 レ ッ ス ン 3: 行動 に お け る責 任 レ ッ ス ン4 : 責 任 と 意 思 決定 レ ッ ス ン 5 二責 任 と ク ラ ス 単 元 3 紛 争 解 決 レ ッ ス ン 1: ジ ャ マ イ カ と ブ リ ア ン ナ レ ッ ス ン 2 : ラ イ オ ネ ル と ア ミ ー リ ア レ ッ ス ン 3 : ロ ジ ー の 物 語 レ ッ ス ン 4 : 三 つ の 願 い 単 元 4 参 加 レ ッ ス ン 1 二金 髪 の女 性 は戻 り ま す レ ッ ス ン 2 : サ ー ビ ス ラ ーニ ン グ ・ プ ロ ジ ェ ク ト レ ッ ス ン 3 : 立 ち 上 が る こ と 2 /'VOICE ¨ の場 合 キ ャ ロ ラ イ ン ・ ベ レ イ ラ氏5)を 中 心 に 開 発 さ れ た ”VOICE” は, 1997 年 に 初 版 と し て ,・7‰ j VOICE ASK ME! ” と い う タ イ ト ル で , 第 5 学 年 の 社 会 科 の カ リキ ュ ラ ム の対 象 で あ っ た。 そ の後 , 2003 年 に 改 訂 さ れ, タ イ ト ル が・・VOICE・・と な り, "Primary" と 系 統 性 を 図 る た め , 第 4 学 年 か ら第 8学 年 ま で の 対 象 に変 更 さ れ た 。 ”VOICE” の 全 体 構 成 は , 単 元 I 匚ク ラ ス に よ い 基 礎 を 築 く こ と」 , 単 元 2「  ̄紛 争 を 調 停 す る こ と」 , 単 元 3 厂権 利 と安 全 の バ ラ ン スを 取 る た め の 協 同 学 習」 , 単 元 4「 立 法 府 : 法 律 を つ く る 協 同 学 習」 , 単 元 5「  ̄行 政 府 : 法 律 を 機 能 さ せ る こ と」, 単 元 6 匚司 法 府 : 法 律 を 解 釈 す る こ と」 , 単 元 7 匚奉 仕 と 学 習 : 一 緒 に 行 動 を 起 こ す こ と」 の 全 フ単 元 で50 レ ッ ス ン か ら構 成 さ れ て い る。 各 単 元 の レ ッ ス ン名 に つ い て ま と め た も の が 表 2 で あ る 。 ― 24 ― 表2 "VOICE" の全 体構成 単元 1 クラスによい基礎 を築く こと レ ッスン1:よい クラス とは何ですか レ ッスン2:よい クラス にす るための ルール レ ッス ン3:公園で の乗 り物 は禁 止です レ ッス ン4:誰 かが ルールを 破れば何か起 きますか レッス ン5:ク ラス選 挙 レッス ン6:有 権者 に世論調査を するこ と レッス ンフ:世論調査 の結果 レッス ン8:投 票者 単元 2 紛争を 調停す ること レッス ン1:調 停と は何 ですか レッス ン2:調 停ス テップ の学習 レッス ン3:少 しの豆粒 に価値が ありますか 一調停の練習 − レ ッス ン4:模 擬調停 レ ッス ン5:歴史上 の シナリオ: アメリカ独立革 命の 調 停 レ ッスン6:調 停を します か, し ませ んか 単元 3 権利 と安全 のバ ランスが取 れた政 府を作 る こと レ ッスン1:憲法 の前文 レ ッスン2:ア メリカヘ来 たこと レ ッスン3:宇宙か らの訪問者 レッ スン4:移住者 への質問 レッ スン5:セ ーレ ム魔女裁判 レッ スン6:学校の論争 問題「神聖 な刀」 レッス ン7: 復習 単元 4 立法府: 法律を作 ること レッス ン1:立 法府 とは何ですか レッス ン2:武 器の持ち込 み禁止 レ ッス ン3:人 々はどう思 います か レ ッス ン4:銃 規制法 に賛成 か反対 かの議論 レ ッスン5:上 院議員 スミスは決定 しなけ れば なりま せ ん レ ッスン6:公園 でのバ スケット ボール 単元5 行政 府:法律を 機能さ せるこ と レ ッスン1:行政 府とは何で すか レッ スン2:地域 の行 政権力:市長 レッ スン3:警 察を体 験する準備 レッス ン4:警 察 の会 議 レッス ン5:警 察 の体 験一追跡調 査 レッス ン6: セ ント ラルハイ ツの学 校の安全 哇 レ ッス ンフ:経 費と利益 レ ッスン 8:学 校を安全 にするた めの提案 レ ッスン 9:国 の行政権力 :大統領 レ ッスン10 : 大統 領の相談 役 単 元6 司 法府: 法律を解釈 するこ と レ ッスン1:司法府 とは何で すかレッス
ン
2
:自
己弁
護裁
判
の
紹介
レッス
ン
3
:ロー
ズの
ス
ポー
ツ
用
品
レッス
ン
4
:誕
生
日パ
ー
テ
ィー
レッス
ン
5
:刑
事
裁
判の
紹
介
レッス
ン
6
:裁
判
に備
える
こと
レッス
ン
フ
:州対
ビー
ンの
模
擬裁
判
レッス
ン
8
:ア
メ
リカ最
高
裁
判
所の
紹
介
レッス
ン
9
:デ
ィ
ン
カ一
対
デモ
イ
ン
の
模
擬裁
判
レッス
ン10 :
司法府
の
復
習
単
元
7
奉仕
と学
習
:一緒
に行
動
を起
こす
こ
と
レッス
ン
1
:サ
ー
ビス
ラー
ニ
ング
・プ
ロジ
ェク
ト
レッス
ン
2
:振
り返
りと評
価
レッス
ン
3
:最終
活
動
:披
露の
場
Ⅲ.
"Primary"
どVOICE
”の単元構成の類型視点
"Primary"
ど V
O
I
C
E”の単元構成の特徴を分
析するため
,単元内容を
「法作動過程」6
)
と捉え,
匚
法行動7
)
の基本概念」
,匚
法システム
」8
)
,
「 ̄
法行動」
の三つに分類した。そして,単元展開を厂
法行動
概念習得
・法的合意形成勹
( ̄
法的機能理解・法
的意思決定lo
)
」
「 ̄
法的機能理解・法的合意形成」
の三つに分類した。
そこで,”Primary"
と
”
V
O
I
C
E”の単元構成の類型視曵を以下の表3に
示した
。("Primary"
をP厂'VOICE
”をVと略記
し,単元,レッスンの順番で示している)
表3から厂'Primary
”の単元展開は法行動の基
本概念に基づいている。法遵守・逸脱行動,法使
用行動に基づく
「ルールの概念」には単元1
「統
治」が,匚
責任の概念」には単元2匚
責任」が該
当する。法使用行動
(紛争解決行動)に基づく
「 ̄
紛争解決の概念」には,単元3匚
紛争解決」が
該当する。法行動に基づく厂
サービスの概念」に
は単元4厂
参加」が該当する。
”Primary
”
の単元
展開では,法行動の基本概念習得と法的合意形成
を組み合わせた事例が5事例該当する。
次に”
V
O
I
C
E”の単元展開は,法行動と法シス
テムに基づいている。法遵守
・逸脱行動,法使用
行動に基づく厂
ルールの社会統制機能」には単元
1
「クラスによい基礎を築くこと」が該当する。
法使用行動
(紛争解決行動)に基づく厂
調停の
紛争解決機能」には単元2厂
紛争を調停すること」
が該当する。法運動に基づく
「
“サービスの社会改
善機裁判員制度関係省庁等連絡会議能」には,単
元7
「奉仕
と学習
:一緒に行動
を起
こすこと」が
該当する
。これ
ら三つの単元展開では,法的学習
機能理解と法的合意形成を組み合わせた事例が8
事例該
当する。
法システムは
,法規範の発動
(法使用行動)と
法機関の発動
(法使用行動)からなる
。法規範の
発動
(法使用行動)に基づく憲法の
人権
・自由擁
護機能は
,単元3匚
権利と安全のバランス
をとる
ための協
同学習
」が該当する
。単
元3の単元展開
では
,法的機能理解
と法的意思決定
を組み
合わせ
た事例が
1事例
,法
的機能理解と法的合意形成を
組み
合わせた事例が
2事例該
当する
。法機関の発
動
(法使用行動)に基づく立法機関の法制定機能
は
,単元4匚
立法府
:法律
を作る協同学習」に
,
行政機関の
治安維持機能は
,単元5
「 ̄
行政府
:法
律を機能
させること
」に,司法機関の紛争解決機
能は
,
「司法府
:法律を解釈すること」にそれぞ
れ
該当する
。単元4の単元展開では
,法的機能理
解と法的意思決定を組み合わせた事例が
3事例
,
法
的機能理解と法的合意形成を組み合わせた事例
が
1事例該
当する
。単元5の単元展開では
,法的
機能理解と法的意思決定を組み合わせた事例が
2
事例
,法的機能理解と法的合意形成
を組み合わせ
た事例が
I事例
該
当する
。単元
6の単元展開
では
,
法的機能理解と法的意思決
定を組み
合わせた事例
が
3事例
,法
的機能理解と法的合意形成を組み
合
わ
せた事例が
1事例該
当する。
以上のことから
,・・Primary・・
の単元構成は
,全
単元が法行動の基本概念習得と法的合意形成を意
図する単元構成であ
り/・
V
O
I
C
E
”の単
元構成は
,
法的機能理解と法的合意形成を意図する単
元構成
(単元1,
定
・法的合意形成を意図する単元構成
2, 7)と法的機能理解と法的意思決
(単元3,
4, 5, 6)の二つのパター
ンかおることが明ら
かになった。
25
表3 ”Primary”と"VOICE ”の単元 構成の類型 視点 法 行 動 概 念 習 得 法 的 合 意 形 成 法 的 機 能 理 解 法 的 意 思 決 定 法 的 機 依 理 解 法 的 合 意 形 成 捏1 彳乍 糜 } 弖邑 島1 -ネ4で 会 1妁 i咼 不9 -念 包Ξ 彳? 1肋 (7) j& 冲 こ 4覡 法 遵 守 一 逸 脱 行 動 、 法 使 用 行 動 ル ー ル の 概 念 F ’j抓 ・- ( 瓦) / 責 任 の 概 念 P 耳 廴2- ( 亟) / 法 使 用 行 動 ( 紛 争 解 決 行 動 ) 紛 争 解 決 の 概 念 PI 葬 3- (Z ) P 単 3- ④
/
/ 法 運 動 サ ー ビ ス の 概 念 P 単 4- ② / 法 規 範 の 発 動 ( 法 使 用 行 動 ) 憲 法 の 人 権 一 自 由 擁 霖萸 枴皀偖9/
丶/’球廴3- (IS) V 単 3- ③ V 単 3- ⑥ 載ii去 +i ン i 去 冫ζ 4幾 ラ ゜一 限 にム、 - -Sり三 大見 法 機 関 の 発 動 ( 法 使 用 行 動 ) 立 法 機 関 の 法 制 定 機 佃9/
V 単 4- ② V 単 4- ④ V 単 4- ⑤ V 単 4 − ⑥ 行 政 機 関 の 治 安 維 持 4幾 宥包/
V 単 5- ⑥ V 単 5- ⑩ V 単 5 − ⑧ 司 法 機 関 の 紛 争 解 決 4幾 宥包/
Vlp. 6 ― V 単 6- ④ V 単 6- ⑨ V 単 6 − ⑦ i去 彳? l釛 法 遵 守 一 逸 脱 行 動 、 法 使 用 行 動 ル ー ル の 社 会 統 制 機 翕皀/
ノ
V 単 ・- ② 丶/1 巨 ・- (亘) V 単 ・- ⑤ 法 使 用 行 動 ( 紛 争 解 決 行 動 ) 調 停 の 紛 争 解 決 機 龍/
/
V 単 2- ③ V 単 2- ④ V 単 2- ⑤ V 単 2- ⑥ 法 運 動 サ ー ビ ス の 社 会 改 善 枴皀翕紜/
/
V 単 7- ①£e鬯 ?・(ミ?y(?肺・ ⊆hilco碼 Kg do゛ Hillman. Farwick, Diane. Eslinger, Mary Vann. Banaszak, Ronald, Sr. Singleton, Lに e1 R. Eds. Violence-?revention O ぴたりmes in Civic Educatio 刀A Program for Elem 四 なりj Social Studies. Constitutional Rights Foundation, Chicago. 1 997, 2003. を も と に 筆 者 作 成 IV. "Primary・・ の 単 元 構 成 と そ の原 理 ?rimary" は, 導 入 部 の 単 元 1 「 統 治 」, 展 開 部 の 単 元 2 「 責 任 」, 単 元 3 「 紛 争 解 決 」, 終 結 部 の単 元 4「 参 加 」 で 構 成 さ れ て い る。 導 入 部 と展 開 部 で は, 生 活 レ ベ ル, 終 結 部 で は, 生 活 ・ 地 域 社 会 レ ベ ル の 法 的 問 題 を 取 り 上 げ て い る 。 1 . ル ー ル の 概 念 習 得 と 法 的 合 意 形 成 を 意 図 す る 単 元 構 成 一 単 元 1 「 統 治 」 − 導 入 部 で あ る 単 元 1 を ’・Primary” の 指 導 書 に 基 づ き, 過 程, レ ッ ス ン, 主 要 な 問 題 , 主 要 な 学 習 内 容 , 単 元 構 成 に 分 析 し た も の が 以 下 の表 4 で あ る。 導 入 部 で あ るレ ッ ス ン1 と レ ッ ス ン2 で は, ル ー ル の 必 要 性 を 文 集 づ く り の 活 動 を 通 し て 理 解 さ せ た 後 で , ク ラ ス に必 要 な ル ー ルを 作 成 し, 評 価 し て 必 要 な ル ー ル の 特 質 を 理 解 さ せ る 。 展 開 部 で あ 表 4 単元 1 「 統 治 」 の単 元 構 成 単 元 構 成 導 入 部 レ ッス ン ベ 1 .私 た ち の クラ ス の た めのル ー ル( 1) 主 要な 問題 ○ ク ラ ス の文 集 を 作 る とき に は ど ん なル ー ル が 必要 か。 主 要な 学習 内容 ・活 動 ・ ク ラ ス の文 集 を 作 る と き に は ど ん な ル ー ル が必 要 かを 話 し 合い , 必 要 な ル ール , 必 要 で ない ル ー ル につ い て 考え る。 ・ ク ラ ス の 活 動 に ふ さ わし い ル ール を 考 え , 評 価し , 全 て の ク ラス 活 動 に 適用 でき るル ー ルの リ スト を作 る。 る も ル の 1 づ ノレ ノレ ル ノレ の 概 念 習 の 必 要 性 i く り に お ル の 必 要 性 け 得 と 法 的 合 2。 私 たち の クラ ス の た め のル ール( 2) ○ よい ク ラス に す る た め に は, ど んな ル ー ル が 必要 か。 ・ よい ク ラ スに す るた めに は ど ん な ル ール が必 要 かを話 し合 う。 ・ よい クラ ス を 維 持 す る の ど ん な ル ー 26 け る ル よ い ク
ル が 必 要 か を 考 え る 。 ・ 悪 い ク ラ ス に な ら な い よ う に す る た め に は ク ラ ス の ル ー ル に 従 わ な け れ ば な ら な い 。 1 ラ ル ス の づ 必 く 要 り 性 に お 意 形 成 を 意 図 す る 単 一 兀 構 成 展 開 部 3 . 私 た ち が 本 当 に 必 要 な ル ー ル ( 法 的 合 意 形 成) ○ 本 当 に 必 要 な ル ー ル と は ど の よ う な ル ー ル で あ る べ き か。 ○ 必 要 な ル ー ル を ど の よ う に 決 定 し て い け ぱ よ い か 。 ・ 本 当 に 必 要 な ル ー ル と は 公 正 で あ り , だ れ も が 理 解 で き る ル ー ル で あ る こ と を 学 ぶ 。 そ し て , 投 票 で は な く , み ん な が 合 意 し て ル ー ル を 決 め て い く プ ロ セ ス を 理 解 す る。 ・ ル ー ル が 公 正 で あ る 。 ・ 理 解 す る の が 簡 単 で あ る。 ・ み ん な が ル ー ル に 従 う 。 ・ 本 当 に そ の ル ー ル を 必 要 と す る 。 ・ 問 題 を 解 決 す る の を 助 け る 。 ・ ル ー ル に は 分 か り や す い 言 葉 を 使 う 。 ・ み ん な で 話 し 合 い , 合 意 し て ル ー ル を 決 め る 。 口 必 セ 要 ス な ノレ 1 ル の 特 質 と 合 意 形 成 プ ノレ 1 ル の 特 質 と 合 意 終 結 部 4 . 破 ら れ た ル ー ル ○ ル ー ル が 破 ら れ た 時 に ど ん な 影 響 や 結 果 が 出 る か 。 ・ ル ー ル が 破 ら れ た 時 に ど ん な 影 響 や 結 果 が 出 る か を 考 え る 。 ・ リ リ ー が 授 業 中 遊 ん で い た り , 先 生 に 対 し て 侮 辱 的 な 絵 を 描 い た 態 度 は ル ー ル 違 反 で あ る 。 ・ ル ー ル を 破 り , 周 り に 迷 惑 を か け た ら , 公 平 に 罰 を 与 え る 必 要 が あ る 。 ・ リ リ ー の よ う に ル ー ル を 守 ら な か っ た ら 周 り に 迷 惑 が か か る の で , 統 治 者 に よ る 制 裁 は 必 要 で あ る 。 統 治 者 に よ る 制 裁 ノレ 1 ノレ 違 反 と 罰 則
Turn Jon. Singleton Laurel. Eds. Pr 加7aびVOICE £洫?rature and the £,7w j Pros?・am for Primar ア タocial Studies. Conふtutional Rights Foundation, Chicago. 2003, pp.2-13.を も と に 筆 者 作 成 ゜
る レ ッ ス ン 3で は, 必 要 な ル ー ル の 特 質 と 合 意 形 成 プ ロ セ スを 理 解 さ せ る。 終 結 部 の レ ッ ス ン 4 で は , ル ー ル が 破 ら れ た 時 に ど ん な 影 響 や 結 果 が 出 る か を 考 え さ せ , ル ー ル を 破 り , 周 り に迷 惑 を か け た ら, 公 平 に罰 を 与 え る 必 要 が あ る こ と を 認 識 さ せ る。 つ まり , 単 元 1 で は 法 的 な 手 続 き に 基 づ い て 合 意 を 意 図 す る ル ー ル の決 定 過 程 や ル ー ル の 限 界 性, 統 治 者 に よ る ル ー ル違 反 の罰 則 の 必 要 性 を 理 解 し, 問 題 な ル ー ル は 修 正 し て い く 必 要 が あ る こ と を 学 ぶ。 こ の よ う に 体 験 的 な 活 動 や 物 語 を 通 し て 法 的 な 合 意 形 成 を 図 り な が ら, ル ー ル の 概 念 が 習 得 で き る よ う に単 元 構 成 さ れ て い る。 以 上 か ら, 単 元 1 は 「 ル ー ル の概 念 習 得 と 法 的 合 意 形 成 を 意 図 す る単 元 構 成 」 と し て 位 置づ け ら れ るO ― 27
2。 "Primary"
の単元構成原理
”Primary
”では
,ルールの概念,責任の概念
を匚
法遵守
・逸脱行動,法使用行動」
,紛争解決
の概念
を匚
法使用行動
(紛争解決行動)
」
,サー
ビ
スの概念を匚
法運動
」とし,この
四つの概念を
匚
法行動の基本概念
」と捉え,単元構成を分析
し
た
。その結果
,単元
1厂
統治
」はルールの概念習
得と法的合意形成
を意
図
し
,単元
2匚
責任
」は
責
任の概念習得と法的合意形成
を意図
していた
。単
元3厂
紛争解決
」は紛争解決の概念習得と法的合
意形成
を意図
し
,単元
4匚
参加
」はサー
ビスの概
念習得
と法的合意形成を意図
していた
。以上の
単
元構成により
,・・Primary・・
の単元構成原理は,
厂
法行動の基本概念習得と法的合意形成を意図す
る単元構成」としてまとめることができる。
過程
導
入
部
展
開
1
1。
か
レッス
ン
立法
府
とは何
です
2,武器の持
ち込み
禁
止
(法
的意思
決定)
V厂・VOICE
”
の単元構成とその原理
ここでは,
"VOICE
”の単元構成の類型視点で
明らかになった法的機能理解と法
的意思決定
・法
的合意形成の単
元構成
(単元4)の特徴
を具体的
に分析する
。 ・・
V
O
I
C
E
”
は導入部の単元1,単元
2
,展開
1の単
元3,展開
2の単元4,単元5,
単元6
,終結部の単元7で構成されている。導入
部は
,身近な生活レベルの法的問題を扱い,展開
1と展開
2は
,地域社会
・国家レベルの法的問題
を取
り上げて
,統治機構の機能が理解できるよう
に構成
されている
。終結部の単元
7では
,生活
・
地域社会
レベルの法的問題を取
り上げている
。
1
.法的機能理解
と法的意思決定
・法的合意形成
を意図する単元構成一単元4
「立法府
:法律
を作
ること」の構成一
単元4を・・
V
O
I
C
E・・
の
指導書に基づき
,過程
,
レッスン
成に分析
,主要な問題
したものが以下の表
,主要な学習内容,単元構
5である。
表5
単元4
「 ̄
立法府
:法律
を作ること」の単
元構成
主
要
な
問題
○
組
立
織
法
され
府は
て
どの
いる
よ
か
うに
。
○
武器
の持
ち込
み
禁止
と
いう法
律
は妥
当
な
もの
か
。
主要
な学
習内容
・活動
・国
,州,地
方自治体はすべ
て立法
府
をも
つ
ことができる
。
・連邦議会
は上院
と下院か
らな
り,
上院は各
州
2名ずつ選出で諧
員数
は
。100
名で
ある
。
・下院は
,州人口によ
って割
り当て
られ議
員数
は435
名
。
・議員は法律のための提
案である法
案を作
成す
る
。
・学校への武器持参禁止の法律を解
釈
し
,批判的に分析す
る。
・学校での暴
力が増加
しているの
で
州の立法府は武器
を学校へ持
って
来る子
どもを追放
できるという法
律
を可決
した
。
・親
に罰則金
を科
す
る
ことが
で
きる
。
また
,子
どもは法
廷に
自動的に送
られ
,懲
役
2年以
内を宣告
され
る
。
・立法者は犯罪
を厳
しくし,学校が
よ
り安
全に
なるの
を助
ける
。
・学校の全ての入口で
「武器の持ち
−28−
単元構成
立
法
機
関
の
法
立
法
府
の
働
き
立
法
府
の
組
織
と
役
割
一
学
校
ヘ
の
武
器
持
参
禁
止
法
の
制
定
武
器
制
御
に
関
す
る
法
律
の
妥
機
能
理
解
と
法
的
意
思
決
定
込 み は 禁 止 で す 」 と い う 標 識 の 意 図 を 考 え , 標 識 を 掲 示 す べ き か 決 定 す る 。 妥 当 性 当 性 的 合 意 形 成 を 意 図 す る 単 一 兀 構 成 3 . 人 々 は ど う 思 い ま す か ○ 銃 規 制 法 に 対 し て , 人 々 は ど ん な 考 え を も つ か 。 ・ 銃 規 制 法 に 関 す る 世 論 調 査 の 分 析 を す る 。 ・ こ の 地 域 で 暴 力 を 経 験 し た こ と が あ る か , 銃 は あ な た 自 身 を 保 護 す る の に よ い 方 法 で あ る と 思 う か 調 査 す る 。 ・ 銃 を 得 る こ と を 難 し く す る た め に 銃 規 制 法 が あ る べ き だ と 思 う か 議 論 す る 。 銃 規 制 法 の 世 論 調 査 4 . 銃 規 制 法 に 賛 成 か 反 対 か の議 論 ( 法 的 意 思 決 定) ○ 銃 規 制 法 は , 妥 当 な 法 律 で あ る か 。 ・ 銃 規 制 法 に 賛 成 か 反 対 か 議 論 し , 子 ど も の 世 論 調 査 の 結 果 や 自 分 の 見 解 を 要 約 し た も の を 手 紙 と し て . 議 員 に 提 案 す る 。 ・ ア メ リ カ 合 衆 国 憲 法 の 修 正 第 2 条 ( 武 器 を 所 有 し . 携 帯 す る 権 利) に 基 づ い た 銃 規 制 法 に 賛 成 か 反 対 か を 決 め る 。 ・ 市 民 が こ の 問 題 に つ い て ど の よ う に 思 う か 考 え る。 銃 規 制 法 の 妥 当 性 展 開 2 5 . 上 院 議 員 ス ミ ス は 決 定 し な け れ ば な り ま せ ん ( 法 的 意 思 決 定) ○ ブ レ イ デ ィ 法 は 可 決 さ れ る べ き か 。 ・ ブ レ イ デ ィ 法 に つ い て 理 解 し , こ の 法 律 に つ い て , 上 院 議 員 の 立 場 に な っ て 妥 当 性 を 考 え る 。 ・ ブ レ イ デ ィ 法 は , 可 決 さ れ る べ き か ど う か を 上 院 議 員 ス ミ ス と 各 団 体 の 立 場 に 立 っ て ロ ー ル プ レ イ し , 法 案 に 対 し て 議 員 は 賛 成 す べ き か 反 対 す べ き か を 考 え る 。 ・ 上 院 議 員 は , 銃 規 制 法 の 法 案 を 支 持 す る べ き か 決 め る 必 要 が あ る こ とを 理 解 す る 。 ・ 法 案 は , 一 部 の 人 々 の 役 に 立 つ 場 合 や , 他 の 人 々 を 傷 つ け る 場 合 が あ る こ と を 理 解 す る 。 上 院 議 員 の ブ レ イ デ ィ 法 の 検 討 上 院 議 員 に よ る 法 案 の 検 討 終 結 部 6 . 公 園 で の バ ス ケ ッ ト ボ ー ル ( 法 的 合 意 形 成) ○ 公 園 で の バ ス ケ ッ ト ボ ー ル を 夜 に し て い い か ど う か 。 ・ 公 園 で の バ ス ケ ッ ト ボ ー ル を 夜 に し て い い か ど う か の 紛 争 を 調 停 し , 銃 規 制 問 題 と 関 連 さ せ て 考 え る 。 ・ バ ス ケ ッ ト ボ ー ル を し た 後 の 帰 り 道 で 少 年 が 撃 た れ た こ と で , 一 部 題 公 の 園 紛 で 争 の 解 夜 社 会 問 題 に 29
の 隣人 は バ ス ケ ッ ト ボ ー ル 禁 止 の 法 律 が 市 議 会 で 通 過 し て も ら うこ と を希 望す る。 ・ 他 の 隣人 は , バ ス ケ ッ ト ボ ー ル を 少 年 が続け る こ とを 希望 する。 ・ こ の 紛 争 を 調 停 し , 市 議 会 で , 新 た にバ ス ケ ッ ト ボ ー ル を 止 める た め の 法 律 を 作 るべ き か ど う か を 考 え る。 決 間 バ ス ケ ッ ト ボ お け る 法 的 規 制 の 紛 争 −I ル 禁 止 問 調 停
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ポ 器 路2
Foundation,
Chicago. 1997,2003, pp.52-63.
をもとに筆者作成
 ̄P S m arこy ” の 単 元 構 造 郤寥 入 劍S ‘ 刄路β囘l剳S 終 結 部 単 元 ・ 「 統 治 」 単 元 2 「 責 任 亅 単 元 3 「 紛 争 解 決 」 l 亀tラ云-4 「Si= ヵtl」 生 活 レ ベ ル 生 活 一 地 域 社 会 レ ベ ル ル ー ル の 概 念 責 任 の 概 念 紛 争 解 決 の 概 念 サ ー ビ ス の 概 念法 行 動 の 暴 本 概 念 習 得 と 粭 的 合 意 形a を 彦 回 す る 単 皃 構i;t ( 単 元 構lit 原 理 )
“ v o xc E ” の 単 元 橋 袂 _-1・・iL-i厚 入 l 邯 4F ?舌 l/ べ /1y 活 手 紛 用 統 争 寸 き 角尽 る を 決 S!-角苹5鹿 し TF 瀉t ラ己 二L Γ φΓ ラ ’.大 番こ Jこ 気/ヽ 基 礎 を 築 く こ と 」 捏 四 去 偃四 益 斤に キ − j兔 双弛 ∼ 9 に・ 士 4幾 会 猫 四 充 をr i & - 4 乍 │叉I WJ 寸−lia る . 溥秡 鑄1ぺ ) 511 al 4粹 脊勺 sい 幾 ͡ 賁甘 淌い 亟! こヌこ 角琴 l 蹲 と 5い た J甌 白勺 丿里 愈 ``へ1 悪 1 た 之: 二 湮逧 白り 一合ヽ 皿: 浬彡 貿5と 聊£ラ112 「 兎9 争 右「 領IW- 」-` 石 ご- と 」 4幾 糸9 皿 争 角豕 i夫r 刄略 四 X ま也 力夊 ネt 弓冫 一 国 SSl 1/ ベ ノL/ 活 を 紛 用 法 争 リ ー ふ/角琴 石J ぺi 夬7 f・・ ) ム- 週i -E 栢耻4 X 習寸 弄売 し き 肆1 ラ己 3 「 孝魯l翆り とW 全 ¢ ) バi ラ こ/ 冫ζ を- と 石 た め の 協 同 学 習 」 多い 左 奠い 見 i 卮 (X) 捕藍 人 7塵 キ 韲l 枴 龜 自 宕い ≡l 展 i羯 2 萼 廴ラ11 ・a r 寸7 名!1月qF こ 名!泛彳墫t を 作 る 協 岡 学 侶rj 法 制 定 機 能 l 抓 夕己 5 r 彳子 竡齔JFf =122 乖孰 を 機 能 さ せ る こ と 」 犯 罪 防 lト ー 治 安 維 持 機 能 芻・元 6 「 司 法 府 : 濫 律 を 解 釈 す る こ と 」 紛 争 解 決 機 能 宅去 4幾 1狷 グ) 笶!1 奠夕J 翦い 究 ?台 4幾 祁l 夕) 4幾 紊咎 禾吉 期 刄 ノl/4三 i 舌 ∼ j 也 ま或 老七 治r 1/ べ き ’糸9 を- 々卜 1匙 角琴 l 祭i 夬 4こ び) =ia 用 二E り −・i一 石 豪売 埣 廴ラ已 7 「 一 黼rl ここ彳・`皿y をr 起 こ す こ と = 奉 tt ごと ぞ笄 習y 亅 名左 適 重 蜀ね 名士 会 i汝ご i 穿 枴 忿 右包