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家族関係と自己呈示や自己の非開示の特徴に関する研究

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森岡 実緒 *・石﨑 淳一 **・池田 浩之 ***

家族関係と自己呈示や自己の非開示の特徴に関する研究

 本研究では,自己の非開示や自己呈示の規範に合致した行動をしている人の違いに着目し,その背景に は日常生活において最も関わりの深く,影響を受けるであろう家族が関係しているのではないかと考え, 3つの関連を調査することを目的とした。対象者は関西圏の大学に通う大学生231名で,質問紙調査を行っ た。その結果,女性は家族成員間の情緒的絆を大事にしている人が多く,家族関係がバランスよく機能し ている人の場合,具体的に他者に対して否定的な感情やそれに関する情報を抑制する可能性があることが 分かった。また,家族機能が機能していないと認識できている人は,対人関係の場において否定的・嫌悪 的に自己の情報を開示することがあると示された。本研究では自己呈示は日常的に具体的な他者に対して 行われているにも関わらず,受け手である周囲が十分に検討されなかった。今後の研究としては,呈示者 を受け手の双方向のコミュニケーションとして捉え,その効果に実証的な検証を行う必要性がある。 キーワード:家族,自己開示,自己呈示,大学生 1. 問題 1-1. 自己開示及び自己呈示  日常生活において他者とのコミュニケーション の中で,私たちは自分自身に関する情報を伝える という行為を頻繁に行っている。こうした自分自 身に関する情報の伝達行為は,心理学において「自 己開示」や「自己呈示」とよばれている。この2 つの大きな違いとしては,行為性の意図性や,伝 達される内容の率直さにある。自己開示は,自己 の内に秘められている自己の心情や事実を他者に 伝える過程のことで,聞き手に対して率直に自分 自身の気持ちや経験などを伝えることである。一 方,自己呈示は他者が抱く自己への印象や評価を 意図的にコントロールして,自分にとって都合の 良いイメージを他者に伝える行為である。また, 自己開示は言語的な伝達が中心であるが,自己呈 示では容姿や服装,振る舞い方など,非言語的な 伝達も含めて全体的にどのようなイメージを他者 に伝えるかという点が重視されている。また,本 研究では,自己開示に関しては逆の考え方として 自己の非開示を用いることにした。 1-2. 自己の非開示について  自己の非開示の考え方として,自己隠 がある。 自己隠 とは「否定的もしくは嫌悪的と感じられ る個人的な情報を他者から積極的に隠 する 傾 向 」 と 定 義 さ れ て い る(河 野,2000)。 河 野 (2008)は日本語版自己隠 尺度を作成し,積極 的抑制の理論である心的外傷性の出来事を告白せ ずに抑制しておくには認知的な負荷がかかり,そ れがストレスとなる結果,健康状態を悪化させる という理論の妥当性を検討するために,自己隠 傾向と自覚的身体症状との相関を検討した。18 ∼ 25歳(平 均 年 齢19.79歳)の 大 学 の 学 生580名 (男性348名,女性232名)を対象に行った結果,自 己隠 尺度では性差が認められ,男性の平均が女 性よりも高いことが分かった。また,自己隠 尺 度得点と身体症状得点に有意な正の相関が認めら れた。これによって,自己隠 傾向が高いほど自 *  兵庫教育大学大学院学校教育研究科 ** 神戸学院大学心理学部 ***兵庫教育大学発達心理臨床センター

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かと考えた。家族とは,夫婦を中核とし,親子,きょ うだいなど少数の近親者を主要な構成員とする集 団である。家族関係は,夫婦関係,親子関係,きょ うだい関係,祖父母―孫関係,および全体として の家族の関係など様々な視点からとらえることが できる。さらに家族関係の中でも,親子関係のあ り方は子どもの発達に重大な影響を及ぼし,「自己 に対する肯定的な感情の獲得」,「他者と肯定的, 協力的,親密な関係を形成する力の形成」,「自己 の能力,目標を見極め,アイデンティティを達成 する」などの健全な発達に乳幼児期から青年期ま での親子関係の質が重要な意味をもつ(岡田・泉 澤,2018)。ボウルビィは乳児と母親の愛着の安 定の差が,後の親密な対人関係,自己理解,心理 的障害に長期的に関連するとし,乳児の頃に安定 した愛着を有していた子どもは就学前や10歳時 に,教師やカウンセラーとの間に適切な関係が展 開されることを明らかにしている。このことから, 家族関係のあり方がその後の発達に影響し,人と の関係づくりに影響していることが分かった。ま た,脳は環境によって構築される部分もあり,環 境からの刺激を受けた神経回路だけが生き残って 発達し,環境適応のための自然沙汰は幼い脳の中 で開始される。そのため,家庭内で過ごす時間も 子どもにとっての環境であり,価値観や考え方, 人との関わり,相手の心境理解など影響すること も考えられる(市川,2004)。脳機能における研究 では,ボディイメージを司っている脳の場所は, 相手の意図理解にも関わり,身体がしっかりして いると相手の身体の姿勢,動き,動作から相手の 意図理解,社会性・コミュニケーションにもつな がることが明らかにされている(小泉,2006)。ま た,草田・岡堂(1993)は家族関係とは家族1人 1人の感情が複雑に絡み合うものであると同時に, きわめてプライベートで,家族以外の人々には明 かしにくいような様々な事情やいきさつを含んで いるため,家族関係を家族以外の者が外部から客 観的にとらえるのは難しいと述べている。本研究 では,自己呈示と自己の非開示の伝達行動の背景 には,日常生活において密接した関係にある家族 覚的な身体症状が多いことが明らかになった。 1-3. 自己呈示について  自己呈示の定義としてJones&Pittman(1982)よ り「他者との関係の中で自己の勢力を増大しよう とする動機に基づき,自己の特性に関する他者の 帰属を誘発あるいは形成するために行われる行 動」(吉田,2005;2014)とされている。しかし, 近年では自己呈示を特定の場面で生じる勢力の拡 大を目的とした表面的な振る舞いとして扱うので はなく,日常的な社会的相互作用も含めて,広く 目標志向的なコミュニケーションとして捉えるこ とが提唱されている(福島,1996)。また,人は一 般的に,自らが属する文化の中で望ましいとされ る価値・規範に基づいて行動することによって周 囲の他者と良好な関係を形成し,そのような振る 舞いを通じて自己のあり方に満足する傾向がある。 吉田・浦(2003)は,日本文化には自己卑下呈示 を望ましいとする文化的な自己呈示規範が存在し ており,自己卑下呈示を通じて適応が促進される 過程は2つあるとしている。1つ目は自己卑下呈 示を行うことそれ自体によって適応が直接的に促 進される過程で,2つ目は自己卑下的に呈示した 内容を他者から「そんなことはない」と否定する 反応を受け取ることによって,間接的に適応が促 進される過程であると述べている。また,自己卑 下呈示とは「他者に対して選択的に自己の否定的 な側面を提示すること,自己の肯定的な側面を積 極 的 に 呈 示 す る こ と を 避 け る こ と 」(吉 田; 浦,2003)と定義している。これは,日本文化では, 自己卑下呈示に自らを提示する人物が,他者から 好ましい人物として評価されるということは, 人々が自己卑下呈示を通じて,周囲の他者と良好 な関係性を築くことができることを示している。 1-4. 家族関係について  本研究では,非自己開示や自己呈示の規範に合 致した行動をしている人の違いに着目し,その背 景には日常生活において最も関わりが深く,影響 を受けるであろう家族が関係しているのではない

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家族関係と自己呈示や自己の非開示の特徴に関する研究 とって測定するものである。また,自己の非開示 を測定する尺度として使用する日本語版自己隠 尺度は,否定的あるいは嫌悪的な情報に限定して, どの程度積極的に話さないようにするかを測定す るものである。 2. 目的  本研究では,非自己開示や自己呈示の規範に合 致した行動をしている人の違いに着目し,その背 景には日常生活において最も関わりが深く,影響 を受けるであろう家族が関係しているのではない かと考え調査した。また, 1 自己隠 尺度が向上すると,自己呈示規範内 在化尺度は低下する 2 男女別に分類した際に3つの尺度の下位因子 間でそれぞれ大きく差が出る 3 家族機能測定尺度の合計得点が高い人と低い 人では自己呈示規範内在化尺度と自己隠 尺度の 得点に差が出る 4 群分けの分類では自己呈示規範内在化尺度と 自己隠 尺度の下位因子においてそれぞれの群分 けで差が大きく出る 5 円環モデルに基づいた分類では自己呈示規範 内在化尺度と自己隠 尺度の下位因子の得点にお いてそれぞれの分類の中で大きく差が出る と仮定し調査を実施した。 3. 方法 3-1. 研究の対象  調査対象者は,18歳から23歳までの4年生私立 大学に在籍する大学生231名(平均年齢20.0歳)で, 性別の内訳は男性111名(平均年齢20.1歳),女性 120名(平均年齢19.9歳)であった。 3-2. 材料  本調査では3つの尺度を使用した。1つ目は家 族機能を測定する尺度として,立山(2007)の家 族機能測定尺度(FACESⅢ)を利用した。これは, 関係が影響を与えていると考え,質問紙を使用し 大学生を対象に調査を行った。 1-5. 測定に用いる尺度について  家族機能を測定する尺度として,家族機能測定 尺度(吉田,2003;河野,2000)を用いた。この尺 度は,図1の円環モデルが基礎となっており,円 環モデルでは家族機能を「凝集性」「適応性」「コ ミュニケーション」の3次元でとらえる。立山 (2007)によると凝集性とは「家族成員間の情緒 的絆」と定義されており,主に情緒的な結びつき, 家族成員間におけるお互いの関与の程度,時間, 空間,意思決定,友人,趣味,余暇活動といった 項目によって構成されている。また適応性とは, 「状況的・発達的ストレスに応じて,勢力構造や 役割を変化させる夫婦・家族システムの能力」と 定義されており,主にリーダーシップ,規律,話 し合いのスタイル,役割関係,規則といった項目 によって構成されている。コミュニケーションは 凝集性と適応性の両次元を促進させる働きをもつ。 さらに,凝集性はA遊離,B分離,C結合,D膠着 の4つに分類することができ,適応性はE硬直,F 構造化,G柔軟,H無秩序の4つに分類することが できる。また,これらを円環モデルに位置づけす る場合,バランス群がGB,GC,FB,FCに群分け でき,中間群にはGA,FA,HB,HC,GD,FD, EB,ECに群分けでき,極端群にはHA,HD,EA, EDに群分けすることができる。自己呈示を測定 する尺度として使用する自己呈示規範内在化尺度 は,自己高揚呈示と自己卑下呈示の2つの因子か ら成り,それぞれに関わる規範について,個人が 自分の中に取り入れて各規範に合致した行動を が外部から客観的にとらえるのは難しいと述べて いる。本研究では、自己呈示と自己の非開示の伝 達行動の背景には、日常生活において密接した関 係にある家族関係が影響を与えていると考え、質 問紙を使用し大学生を対象に調査を行った。 1-5. 測定に用いる尺度について 家族機能を測定する尺度として、家族機能測定 尺度(吉田,2003・河野,2000)を用いた。この尺度は、 図1 の円環モデルが基礎となっており、円環モデ ルでは家族機能を「凝集性」「適応性」「コミュニ ケーション」の3 次元でとらえる。立山(2007)に よると凝集性とは「家族成員間の情緒的絆」と定 義されており、主に情緒的な結びつき、家族成員 間におけるお互いの関与の程度、時間、空間、意 思決定、友人、趣味、余暇活動といった項目によ って構成されている。また適応性とは、「状況的・ 発達的ストレスに応じて、勢力構造や役割を変化 させる夫婦・家族システムの能力」と定義されて おり、主にリーダーシップ、規律、話し合いのス タイル、役割関係、規則といった項目によって構 成されている。コミュニケーションは凝集性と適 応性の両次元を促進させる働きをもつ。さらに、 凝集性はA 遊離、B 分離、C 結合、D 膠着の 4 つ に分類することができ、適応性はE 硬直、F 構造 化、G 柔軟、H 無秩序の 4 つに分類することがで きる。また、これらを円環モデルに位置づけする 場合、バランス群がGB,GC,FB,FCに群分けでき、 中間群には GA,FA,HB,HC,GD,FD,EB,EC に群 分けでき、極端群には HA,HD,EA,ED に群分け することができる。自己呈示を測定する尺度とし て使用する自己呈示規範内在化尺度は、自己高揚 呈示と自己卑下呈示の2 つの因子から成り、それ ぞれに関わる規範について、個人が自分の中に取 り入れて各規範に合致した行動をとって測定する ものである。また、自己の非開示を測定する尺度 として使用する日本語版自己隠蔽尺度は、否定的 あるいは嫌悪的な情報に限定して、どの程度積極 的に話さないようにするかを測定するものである。 2. 目的 本研究では、非自己開示や自己呈示の規範に合 致した行動をしている人の違いに着目し、その背 景には日常生活において最も関わりが深く、影響 を受けるであろう家族が関係しているのではない かと考え調査した。また、 1 自己隠蔽尺度が向上すると、自己呈示規範内在 化尺度は低下する 2 男女別に分類した際に 3 つの尺度の下位因子間 でそれぞれ大きく差が出る 3 家族機能測定尺度の合計得点が高い人と低い人 では自己呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の 得点に差が出る 4 群分けの分類では自己呈示規範内在化尺度と 自己隠蔽尺度の下位因子においてそれぞれの群分 けで差が大きく出る 5 円環モデルに基づいた分類では自己呈示規範内 在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子の得点にお いてそれぞれの分類の中で大きく差が出る と仮定し調査を実施した。 3. 方法 3-1. 研究の対象  調査対象者は,18 歳から 23 歳までの 4 年生私 立大学に在籍する大学生231 名(平均年齢20.0歳) で、性別の内訳は男性111 名(平均年齢 20.1 歳),女 性120 名(平均年齢 19.9 歳)であった。 18 28 34 38 48 34 23 19 16 9 凝集性 適 応 性 図1. 家族機能測定尺度の群分け図 極端群 中間群 バランス群

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発達心理臨床研究 第26巻 2020 間の相関を求め,表1に示した。表1より,自己 呈示規範内在化尺度と自己隠 尺度の相関係数に 負の相関が認められた。よって,仮定1の自己隠 尺度が向上すると,自己呈示規範内在化尺度は 低下するが支持された。 4-2. 自己に関わる2つの尺度の下位因子間の相関 係数  自己呈示規範内在化尺度と自己隠 尺度の下位 因子の相関係数を求め,表2に示した。その結果, 自己卑下呈示と自己高揚呈示で負の相関が認めら れた。しかし,表1より自己卑下呈示と自己隠 の相関に負の相関が認められ,有意であることか ら自己高揚呈示が高い人ほど自己隠 をする傾向 にあり,自己卑下呈示が高い人ほど自己隠 の頻 度が高くなるという矛盾した結果となった。 4-3. t検定による男女別グループ統計量  また,表3では下位因子を男女別に分類し,平 均値と標準偏差を求めた。その結果,凝集性にお いて女性が男性よりも有意傾向であることが示さ れた。( t (229) = -1.85, p <.05 )しかし他の男女 差においては明確な差は認められなかった。この ことから,2男女別に分類した際に3つの尺度の 下位因子間でそれぞれ大きく差が出るという仮定 では,凝集性にのみ男女差が認められることが示 された。 質問項目は20項目で「1全くない」「2たまにある」 「3時々ある」「4よくある」「5いつもある」の5段 階評定である。2つ目は自己呈示を測定する尺度 として,吉田・浦(2003)の自己呈示規範内在化 尺度を使用した。これは,質問項目は22項目で「A 非常に望ましい」「Bやや望ましい」「Cどちらと もいえない」「Dあまり望ましくない」「E全く望 ましくない」の5段階評定である。3つ目は非自 己開示を測定する尺度として,河野(2000)の日 本語版自己隠 尺度を使用した。これは,質問項 目は12項目で「1まったくそうではない」「2あま りそうではない」「3どちらともいえない」「4ま あそうである」「5そうである」の5段階評定である。 3-3. 手続き  本調査は2018に4年制私立大学で2回に渡り 行った。また,質問紙は調査者がマイクを通して 教示を読んだ後,手渡しで配布した。調査対象者 全てに配布し終えた後,10分ほど待ち,一度マ イクを通して記入に時間が必要な方がいるかどう か確認をしてから回収した。回収方法については, 1回目は調査対象者に手渡しで渡してもらい,2 回目では調査者が調査対象者の元へ取りに行き回 収した。 3-4. 分析方法  本調査では家族機能測定尺度と自己呈示規範内 在化尺度や日本語版自己隠 尺度の相関や得点の 差について分析した。また,下位因子ごとの相関 も分析した。さらに,円環モデルを使用して家族 機能測定尺度をバランス群,中間群,極端群の3 つに群分けし,それを凝集性の中で遊離,分離, 結合,膠着の4つと適応性の中で硬直,構造化, 柔軟,無秩序の4つに分類し,他の2つの尺度と 下位因子と比較した(今野,2006;溝上,2010)。 分析には,SPSSver.18を使用した。 4. 結果 4-1. 自己に関わる2つの尺度間の相関係数  自己呈示規範内在化尺度と自己隠 尺度の尺度 3-2. 材料  本調査では3 つの尺度を使用した。1 つ目は家 族機能を測定する尺度として、立山(2007)の家族 機能測定尺度(FACESⅢ)を利用した。これは、質 問項目は20 項目で「1 全くない」「2 たまにある」 「3 時々ある」「4 よくある」「5 いつもある」の 5 段階評定である。2 つ目は自己呈示を測定する尺 度として、吉田・浦(2003)の自己呈示規範内在化 尺度を使用した。これは、質問項目は22 項目で 「A 非常に望ましい」「B やや望ましい」「C どち らともいえない」「D あまり望ましくない」「E 全 く望ましくない」の5 段階評定である。3 つ目は 非自己開示を測定する尺度として、河野(2000)の 日本語版自己隠蔽尺度を使用した。これは、質問 項目は12 項目で「1 まったくそうではない」「2 あ まりそうではない」「3 どちらともいえない」「4 ま あそうである」「5 そうである」の 5 段階評定であ る。 3-3. 手続き  本調査は2018 に 4 年生私立大学で 2 回に渡り 行った。また、質問紙は調査者がマイクを通して 教示を読んだ後、手渡しで配布した。調査対象者 全てに配布し終えた後、10 分ほど待ち、一度マイ クを通して記入に時間が必要な方がいるかどうか 確認をしてから回収した。回収方法については、 1 回目は調査対象者に手渡しで渡してもらい、2 回 目では調査者が調査対象者の元へ取りに行き回収 した。 3-4. 分析方法  本調査では家族機能測定尺度と自己呈示規範内 在化尺や日本語版自己隠蔽尺度の相関や得点の差 について分析した。また、下位因子ごとの相関も 分析した。さらに、円環モデルを使用して家族機 能測定尺度をバランス群、中間群、極端群の3 つ に群分けし、それを凝集性の中で遊離、分離、結 合、膠着の4 つと適応性の中で硬直、構造化、柔 軟、無秩序の4 つに分類し、他の 2 つの尺度と下 は、SPSSver.18 を使用した。 4. 結果 4-1. 自己に関わる 2 つの尺度間の相関係数 自己呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の尺度 間の相関を求め、表1 に示した。表 1 より、自己 呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の相関係数に 負の相関が認められた。よって、仮定1 の自己隠 蔽尺度が向上すると、自己呈示規範内在化尺度は 低下するが支持された。 4-2. 自己に関わる 2 つの尺度の下位因子間の相 関係数  自己呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の下位 因子の相関係数を求め、表2 に示した。その結果、 自己卑下呈示と自己高揚呈示で負の相関が認めら れた。しかし、表1 より自己卑下呈示と自己隠蔽 の相関に負の相関が認められ、有意であることか ら自己高揚呈示が高い人ほど自己隠蔽をする傾向 にあり、自己卑下呈示が高い人ほど自己隠蔽の頻 度が高くなるという矛盾した結果となった。 4-3. t 検定による男女別グループ統計量 また、表3 では下位因子を男女別に分類し、平 均値と標準偏差を求めた。その結果、凝集性にお 自己呈示 隠蔽 自己呈示   隠蔽  **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) 表1. 自己に関わる2つの尺度間の相関係数 自己卑下 自己高揚 隠蔽 自己卑下    自己高揚   隠蔽  表2. 自己に関わる2つの尺度の下位因子間の相関係数 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側)  本調査では3 つの尺度を使用した。1 つ目は家 族機能を測定する尺度として、立山(2007)の家族 機能測定尺度(FACESⅢ)を利用した。これは、質 問項目は20 項目で「1 全くない」「2 たまにある」 「3 時々ある」「4 よくある」「5 いつもある」の 5 段階評定である。2 つ目は自己呈示を測定する尺 度として、吉田・浦(2003)の自己呈示規範内在化 尺度を使用した。これは、質問項目は22 項目で 「A 非常に望ましい」「B やや望ましい」「C どち らともいえない」「D あまり望ましくない」「E 全 く望ましくない」の5 段階評定である。3 つ目は 非自己開示を測定する尺度として、河野(2000)の 日本語版自己隠蔽尺度を使用した。これは、質問 項目は12 項目で「1 まったくそうではない」「2 あ まりそうではない」「3 どちらともいえない」「4 ま あそうである」「5 そうである」の 5 段階評定であ る。 3-3. 手続き  本調査は2018 に 4 年生私立大学で 2 回に渡り 行った。また、質問紙は調査者がマイクを通して 教示を読んだ後、手渡しで配布した。調査対象者 全てに配布し終えた後、10 分ほど待ち、一度マイ クを通して記入に時間が必要な方がいるかどうか 確認をしてから回収した。回収方法については、 1 回目は調査対象者に手渡しで渡してもらい、2 回 目では調査者が調査対象者の元へ取りに行き回収 した。 3-4. 分析方法  本調査では家族機能測定尺度と自己呈示規範内 在化尺や日本語版自己隠蔽尺度の相関や得点の差 について分析した。また、下位因子ごとの相関も 分析した。さらに、円環モデルを使用して家族機 能測定尺度をバランス群、中間群、極端群の3 つ に群分けし、それを凝集性の中で遊離、分離、結 合、膠着の4 つと適応性の中で硬直、構造化、柔 軟、無秩序の4 つに分類し、他の 2 つの尺度と下 4. 結果 4-1. 自己に関わる 2 つの尺度間の相関係数 自己呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の尺度 間の相関を求め、表1 に示した。表 1 より、自己 呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の相関係数に 負の相関が認められた。よって、仮定1 の自己隠 蔽尺度が向上すると、自己呈示規範内在化尺度は 低下するが支持された。 4-2. 自己に関わる 2 つの尺度の下位因子間の相 関係数  自己呈示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の下位 因子の相関係数を求め、表2 に示した。その結果、 自己卑下呈示と自己高揚呈示で負の相関が認めら れた。しかし、表1 より自己卑下呈示と自己隠蔽 の相関に負の相関が認められ、有意であることか ら自己高揚呈示が高い人ほど自己隠蔽をする傾向 にあり、自己卑下呈示が高い人ほど自己隠蔽の頻 度が高くなるという矛盾した結果となった。 4-3. t 検定による男女別グループ統計量 また、表3 では下位因子を男女別に分類し、平 均値と標準偏差を求めた。その結果、凝集性にお 自己呈示 隠蔽 自己呈示   隠蔽  **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) 表1. 自己に関わる2つの尺度間の相関係数 自己卑下 自己高揚 隠蔽 自己卑下    自己高揚   隠蔽  表2. 自己に関わる2つの尺度の下位因子間の相関係数 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) いて女性が男性よりも有意傾向であることが示さ れた。( t (229) = -1.85, p <.05 )しかし他の男女差に おいては明確な差は認められなかった。このこと から、2 男女別に分類した際に 3 つの尺度の下位 因子間でそれぞれ大きく差が出るという仮定では、 凝集性にのみ男女差が認められることが示された。 4-4. 家族機能測定尺度 次に、家族機能測定尺度の得点を平均点で分割 し、得点が高い人と低い人に分類した。また、分 類した2 つのグループそれぞれで自己呈示規範内 在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子との相関を求 めた。しかし、分割した2 つの相関に有意差は認 められなかった。よって、3 家族機能測定尺度の 合計得点が高い人と低い人では自己呈示規範内在 化尺度と自己隠蔽尺度の得点に差が出るという仮 定は棄却された。 4-5. 円環モデルに基づく群分け 家族機能測定尺度ではさらに円環モデルを利用 して、分散分析により家族機能測定尺度により極 端群と中間群とバランス群の3 つに群分けし、3 群間で各尺度の下位因子にさがあるのかと調べた。 群分けした結果、図2 より極端群がバランス群と 中間群に比べて約10 人ほど人数が少ないという ことが分かった。さらに、群分けごとの自己呈示 規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子の平均 値の差を表4 で確認した。その結果、自己卑下呈 示と自己高揚呈示では差が認められなかった。し かし、自己隠蔽尺度にでは、極端群とバランス群 ではほどんど同じ得点であるのに対して、中間群 ではそれよりも約3 点高いという結果となった。 また、これらの平均値の差を調べると、自己隠蔽 尺度では 10%水準では有意傾向であることが認 められた( F (2,231) = 2.61, p <.05 )。これにより、3 群分けの分類では自己呈示規範内在化尺度と自己 隠蔽尺度の下位因子においてそれぞれの群分けで 差が大きく出るという仮定では、自己呈示規範内 在化尺度の下位因子では差は出なかったものの、 自己隠蔽尺度では少しの差があることが示唆され た。 4-6. 円環モデルに基づく分類 家族機能測定尺度の円環モデルに基づき、凝集 性はA 遊離、B 分離、C 結合、D 膠着の 4 つに分 類し、適応性はE 硬直、F 構造化、G 柔軟、H 無 秩序の4 つに分類した。また、分類ごとに自己呈 示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子ごと の得点を求め、表5 に示した。その結果、これら を分散分析すると、凝集性では有意差は認められ なかったが、適応性の自己隠蔽尺度では有意傾向 にあることが分かった( F (3,230) = 0.32, p <.001 )。 また、表5 より凝集性では自己隠蔽において A 遊 離とC結合では差があったが、有意差はなかった。 しかし、適応性の自己高揚呈示の分類においてE 硬直とG 柔軟で点差は確認された。よって、円環 モデルに基づいた分類では自己呈示規範内在化尺 度と自己隠蔽尺度の下位因子の得点においてそれ 平均 標準偏差 平均 標準偏差 t値 有意差                女性>男性           注) **p<.0.1,*p<.0.5 表3. 男女別の下位因子尺度得点の平均値と標準偏差,t検定の結果 自己卑下 自己高揚 凝集性 適応性 自己隠蔽 下位尺度 男性(n=111) 女性(n=120) 自己卑下 自己高揚 自己隠蔽 極端群    中間群    バランス群    表4. 3群の自己卑下,自己高揚,自己隠蔽の平均値 †:p<.10

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家族関係と自己呈示や自己の非開示の特徴に関する研究 れた( F (2,231) = 2.61, p <.05 )。これにより,3 群分けの分類では自己呈示規範内在化尺度と自己 隠 尺度の下位因子においてそれぞれの群分けで 差が大きく出るという仮定では,自己呈示規範内 在化尺度の下位因子では差は出なかったものの, 自己隠 尺度では少しの差があることが示唆され た。 4-6. 円環モデルに基づく分類  家族機能測定尺度の円環モデルに基づき,凝集 性はA遊離,B分離,C結合,D膠着の4つに分類し, 適応性はE硬直,F構造化,G柔軟,H無秩序の4 つに分類した。また,分類ごとに自己呈示規範内 在化尺度と自己隠 尺度の下位因子ごとの得点を 求め,表5に示した。その結果,これらを分散分 析すると,凝集性では有意差は認められなかった が,適応性の自己隠 尺度では有意傾向にあるこ とが分かった( F (3,230) = 0.32, p <.001 )。また, 表5より凝集性では自己隠 においてA遊離とC結 合では差があったが,有意差はなかった。しかし, 適応性の自己高揚呈示の分類においてE硬直とG 柔軟で点差は確認された。よって,円環モデルに 基づいた分類では自己呈示規範内在化尺度と自己 隠 尺度の下位因子の得点においてそれぞれの分 類の中で大きく差が出るという仮説では,表5よ り凝集性では自己隠 では点差が認められ,適応 性では自己高揚呈示で点差は認められた。 5. 考察 5-1. 自己に関わる2つの尺度  自己に関わる2つの下位尺度間の相関係数にお いて,自己呈示規範内在化尺度の内部相関が強く, 4-4. 家族機能測定尺度  次に,家族機能測定尺度の得点を平均点で分割 し,得点が高い人と低い人に分類した。また,分 類した2つのグループそれぞれで自己呈示規範内 在化尺度と自己隠 尺度の下位因子との相関を求 めた。しかし,分割した2つの相関に有意差は認 められなかった。よって,3家族機能測定尺度の 合計得点が高い人と低い人では自己呈示規範内在 化尺度と自己隠 尺度の得点に差が出るという仮 定は棄却された。 4-5. 円環モデルに基づく群分け  家族機能測定尺度ではさらに円環モデルを利用 して,分散分析により家族機能測定尺度により極 端群と中間群とバランス群の3つに群分けし,3 群間で各尺度の下位因子に差があるか調べた。群 分けした結果,図2より極端群がバランス群と中 間群に比べて約10人ほど人数が少ないというこ とが分かった。さらに,群分けごとの自己呈示規 範内在化尺度と自己隠 尺度の下位因子の平均値 の差を表4で確認した。その結果,自己卑下呈示 と自己高揚呈示では差が認められなかった。しか し,自己隠 尺度にでは,極端群とバランス群で はほどんど同じ得点であるのに対して,中間群で はそれよりも約3点高いという結果となった。ま た,これらの平均値の差を調べると,自己隠 尺 度では10%水準では有意傾向であることが認めら いて女性が男性よりも有意傾向であることが示さ れた。( t (229) = -1.85, p <.05 )しかし他の男女差に おいては明確な差は認められなかった。このこと から、2 男女別に分類した際に 3 つの尺度の下位 因子間でそれぞれ大きく差が出るという仮定では、 凝集性にのみ男女差が認められることが示された。 4-4. 家族機能測定尺度 次に、家族機能測定尺度の得点を平均点で分割 し、得点が高い人と低い人に分類した。また、分 類した2 つのグループそれぞれで自己呈示規範内 在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子との相関を求 めた。しかし、分割した2 つの相関に有意差は認 められなかった。よって、3 家族機能測定尺度の 合計得点が高い人と低い人では自己呈示規範内在 化尺度と自己隠蔽尺度の得点に差が出るという仮 定は棄却された。 4-5. 円環モデルに基づく群分け 家族機能測定尺度ではさらに円環モデルを利用 して、分散分析により家族機能測定尺度により極 端群と中間群とバランス群の3 つに群分けし、3 群間で各尺度の下位因子にさがあるのかと調べた。 群分けした結果、図2 より極端群がバランス群と 中間群に比べて約10 人ほど人数が少ないという ことが分かった。さらに、群分けごとの自己呈示 規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子の平均 値の差を表4 で確認した。その結果、自己卑下呈 示と自己高揚呈示では差が認められなかった。し かし、自己隠蔽尺度にでは、極端群とバランス群 ではほどんど同じ得点であるのに対して、中間群 ではそれよりも約3 点高いという結果となった。 また、これらの平均値の差を調べると、自己隠蔽 尺度では 10%水準では有意傾向であることが認 められた( F (2,231) = 2.61, p <.05 )。これにより、3 群分けの分類では自己呈示規範内在化尺度と自己 隠蔽尺度の下位因子においてそれぞれの群分けで 差が大きく出るという仮定では、自己呈示規範内 在化尺度の下位因子では差は出なかったものの、 自己隠蔽尺度では少しの差があることが示唆され た。 4-6. 円環モデルに基づく分類 家族機能測定尺度の円環モデルに基づき、凝集 性はA 遊離、B 分離、C 結合、D 膠着の 4 つに分 類し、適応性はE 硬直、F 構造化、G 柔軟、H 無 秩序の4 つに分類した。また、分類ごとに自己呈 示規範内在化尺度と自己隠蔽尺度の下位因子ごと の得点を求め、表5 に示した。その結果、これら を分散分析すると、凝集性では有意差は認められ なかったが、適応性の自己隠蔽尺度では有意傾向 にあることが分かった( F (3,230) = 0.32, p <.001 )。 また、表5 より凝集性では自己隠蔽において A 遊 離とC結合では差があったが、有意差はなかった。 しかし、適応性の自己高揚呈示の分類においてE 硬直とG 柔軟で点差は確認された。よって、円環 モデルに基づいた分類では自己呈示規範内在化尺 度と自己隠蔽尺度の下位因子の得点においてそれ 平均 標準偏差 平均 標準偏差 t値 有意差                女性>男性           注) **p<.0.1,*p<.0.5 表3. 男女別の下位因子尺度得点の平均値と標準偏差,t検定の結果 自己卑下 自己高揚 凝集性 適応性 自己隠蔽 下位尺度 男性(n=111) 女性(n=120) 自己卑下 自己高揚 自己隠蔽 極端群    中間群    バランス群    表4. 3群の自己卑下,自己高揚,自己隠蔽の平均値 †:p<.10 図2 自己隠蔽における群分けの平均値 †: p<.10 ぞれの分類の中で大きく差が出るという仮説では、 表5 より凝集性では自己隠蔽では点差が認められ、 適応性では自己高揚呈示で点差は認められた。 5. 考察 5-1. 自己に関わる 2 つの尺度  自己に関わる2 つの下位尺度間の相関係数にお いて、自己呈示規範内在化尺度の内部相関が強く、 自己卑下呈示と自己高揚呈示では負の相関が認め られた。また、自己高揚呈示が向上していく人ほ ど自己卑下呈示は低下していくことが分かった。 しかし、自己卑下呈示と自己隠蔽の相関が有意な ことから、自己高揚呈示の高い人ほど自己隠蔽が 高くなり、自己卑下呈示の高い人でも自己隠蔽の 頻度が高くなるという結果となった。このことか ら、自己を高く見せながらも自己に関して隠蔽す る人が多い為、自己を卑下する傾向の高い人ほど 自己を隠蔽せず対人関係の場において、受け手と のコミュニケーションが取りやすいのではないか と推測できる。 5-2. 家族機能測定尺度と円環モデル 立山(2007)では家族機能測定尺度において凝集 性と適応性の男女差が認められなかったことに対 して今回の調査では、男女差が有意傾向にあり、 女性の方が高いことが分かった。このことから、 本研究では女性は男性よりも家族成員間の情緒的 絆を大事にしていることが推測できる。しかし、 自己呈示規範内在化尺度ではあまり差が認められ なかったことから、男女差よりも個人差の方があ るのではないかと考えられた。また、円環モデル ではバランス群に得点が集まることが理想とされ ている。これにより、群分けごとの分類では自己 隠蔽尺度で極端群とバランス群の得点と中間群の 得点では得点としては大きく出なかったものの、 差が認められたことから、自己隠蔽尺度において 家族機能が関係しているのではないかと推察され る。さらに適応性に関しては、円環モデルにおい てE 硬直と G 柔軟に差があることから、自己を 高く見せることに関してはG 柔軟は高く、E 硬直 とH 無秩序では低いために、自己を肯定的に見せ つけることができない人が多いことが考えられた。 5-3. 考察  本研究では家族機能と自己呈示や自己の非開示 への影響について分析した。家族機能測定尺度の 円環モデルを利用することで、自己呈示規範内在 化尺度と自己隠蔽尺度との関係性についてより詳 しく分析することができた。しかし3 つの尺度に おいてはっきりとしたつながりを見出すことがで きなかった。これにより、家族関係とコミュニケ ーション能力は直接的な関係は認められないとい うことが推察される。また、他者に自己を呈示ま たは開示することは、社会での周囲の関係性や環 境が影響しているのであって、必ずしも家族関係 が影響しているのではないということが分かった。 5-4. 本研究の限界 本研究の限界点として棄却された仮説があると いうことである。今回使用した自己呈示と自己隠 蔽尺度は社会での他者とのコミュニケーションに ついて問う質問であった。そのため、家族機能測 定尺度に関係性が出るような自己呈示と自己開示 の尺度を見つけることができないと考えられる。 自己呈示と自己開示の測定の仕方について改善の 余地が考えられた。すなわち、自己呈示は日常的 に具体的な他者に対して行われているにも関わら ず、受け手である周囲のコミュニケーション能力 が十分に検討されてこなかったことである。その ため、呈示者を受け手の双方向のコミュニケーシ ョンとして捉えて、その効果について質問紙調査 自己卑下 自己高揚 自己隠蔽 凝集性 A遊離    B分離    C結合    D膠着    適応性 E硬直    F構造化    G柔軟    H無秩序    表5. 分類ごとの得点

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しく分析することができた。しかし3つの尺度に おいてはっきりとしたつながりを見出すことがで きなかった。これにより,家族関係とコミュニケー ション能力は直接的な関係は認められないという ことが推察される。また,他者に自己を呈示また は開示することは,社会での周囲の関係性や環境 が影響しているのであって,必ずしも家族関係が 影響しているのではないということが分かった。 5-4. 本研究の限界  本研究の限界点として棄却された仮説があると いうことである。今回使用した自己呈示と自己隠 尺度は社会での他者とのコミュニケーションに ついて問う質問であった。そのため,家族機能測 定尺度に関係性が出るような自己呈示と自己開示 の尺度を見つけることができないと考えられる。 自己呈示と自己開示の測定の仕方について改善の 余地が考えられた。すなわち,自己呈示は日常的 に具体的な他者に対して行われているにも関わら ず,受け手である周囲のコミュニケーション能力 が十分に検討されてこなかったことである。その ため,呈示者を受け手の双方向のコミュニケー ションとして捉えて,その効果について質問紙調 査だけでなく,実証的な検証を行う必要性がある。 引用文献 福島 治(1996).身近な対人関係における自己呈 示:望ましい自己イメージと自尊心及び対 人   不安の関係 社会心理学研究,12 (pp20-32) 市川 伸一(2004).子どもの発達と教育⑥開かれた 学びへの出発 金子書房,163-164. 小泉 英明(2006)「脳科学と教育」研究の現状と 展望,脳と発達OFFICIAL JOURNAL OF   NEUROLOGY 38 (4),253-257. 今野 暁子(2006).高校生における家族関係と食生 活との関連 尚絅学院大学学術機関リポジ トリ Retrieved from https://shokei.repo.nii.ac.jp/?action=pages_ 自己卑下呈示と自己高揚呈示では負の相関が認め られた。また,自己高揚呈示が向上していく人ほ ど自己卑下呈示は低下していくことが分かった。 しかし,自己卑下呈示と自己隠 の相関が有意な ことから,自己高揚呈示の高い人ほど自己隠 が 高くなり,自己卑下呈示の高い人でも自己隠 の 頻度が高くなるという結果となった。このことか ら,自己を高く見せながらも自己に関して隠 す る人が多い為,自己を卑下する傾向の高い人ほど 自己を隠 せず対人関係の場において,受け手と のコミュニケーションが取りやすいのではないか と推測できる。 5-2. 家族機能測定尺度と円環モデル  立山(2007)では家族機能測定尺度において凝 集性と適応性の男女差が認められなかったことに 対して今回の調査では,男女差が有意傾向にあり, 女性の方が高いことが分かった。このことから, 本研究では女性は男性よりも家族成員間の情緒的 絆を大事にしていることが推測できる。しかし, 自己呈示規範内在化尺度ではあまり差が認められ なかったことから,男女差よりも個人差の方があ るのではないかと考えられた。また,円環モデル ではバランス群に得点が集まることが理想とされ ている。これにより,群分けごとの分類では自己 隠 尺度で極端群とバランス群の得点と中間群の 得点では得点としては大きく出なかったものの, 差が認められたことから,自己隠 尺度において 家族機能が関係しているのではないかと推察され る。さらに適応性に関しては,円環モデルにおい てE硬直とG柔軟に差があることから,自己を高 く見せることに関してはG柔軟は高く,E硬直とH 無秩序では低いために,自己を肯定的に見せつけ ることができない人が多いことが考えられた。 5-3. 考察  本研究では家族機能と自己呈示や自己の非開示 への影響について分析した。家族機能測定尺度の 円環モデルを利用することで,自己呈示規範内在 化尺度と自己隠 尺度との関係性についてより詳

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家族関係と自己呈示や自己の非開示の特徴に関する研究

価大学・創価女子短期大学学術機関リポジ ト リRetrieved from https://soka.repo.nii. ac.jp/?action=pages_view_main&active_ action=repository_view_main_item_ detail&item_id=35036&item_no=1&page_ id=13&block_id=21   html(2018年6月13日) 吉田 綾乃(2005).自己卑下呈示と精神的健康との 関連――文化的な自己呈示規範内在化傾向 の世代差が及ぼす影響―― 東海学院大学 東海学院大学短期大学部学術機関リポジト リ Retrieved from h t t p s : / / t o k a i g a k u i n - u . r e p o . n i i . a c . jp/?action=pages_view_main&active_ action=repository_view_main_item_ detail&item_id=2573&item_no=1&page_ id=13&block_id=21    html(2018年6月5日) 吉田 綾乃(2014).自己卑下呈示が受け手の自己評 価に及ぼす影響:対人関係,自己呈示の信憑性 および自己呈示規範内在化傾向との関連性 の 検 討  東 北 福 祉 大 学 機 関 リ ポ ジ ト リ  Retrieved from  https://tfulib.repo.nii.ac.jp/?action=pages_ view_main&active_action=repository_view_ main_item_detail&item_id=38&item_ no=1&page_id=47&block_id=149 html(2018年6月5日) 吉田 綾乃・河野 和明(2000).自己開示・自己呈示  宮本 聡介(編) 堀 洋道(監) 心理尺度集Ⅴ ――個人から社会へ〈自己・対人関係・価 値観〉―― (pp.252-263) 吉田 綾乃・浦 和明(2003).自己卑下呈示を通じた 直 接 的・ 間 接 的 な 適 応 促 進 効 果 の 検 討  J-STAGE Retrieved from   https://www.jstage.jst.go.jp/article/ jjesp1971/42/2/42_2_120/_article/-char/ ja/   html(2018年6月5日) view_main&active_action=repository_view_ main_item_detail&item_id=31&item_ no=1&page_id=13&block_id=21 html(2018年7月8日) 河野 和明(2000).自己隠 尺度(Self-Concealment Scale)・刺激希求尺度・自覚的身体症状の関 係 J-STAGE Retrieved from https://www.jstage.jst.go.jp/article/ jjesp1971/40/2/40_2_115/_article/-char/ ja/   html(2018年6月18日) 河野 和明(2008).自己隠 尺度(Self-Concealment Scale)および抑制的会話態度尺度の尺度特性 ――記述統計と因子分析―― 東海学園大 学学術情報リポジトリ    Retrieved from http://repository. t o k a i g a k u e n - u . a c . j p / d s p a c e / handle/11334/261   html(2018年6月18日) 草田 寿子・岡堂 哲雄(1993).家族関係・友人関係  吉田 富二雄(編) 堀 洋道(監) 心理尺度集 Ⅱ――人間と社会のつながりをとらえる〈対 人関係・価値観〉――(pp.143-148)サイ エンス社 溝上 菜摘(2010).児童期の家族関係と両親イメー ジが現在の自尊感情に与える影響 佛教大 学大学院Retrieved from https://archives.bukkyo-u.ac.jp/repository/ baker/rid_DK003800002953 html(2018年7月8日) 岡田 郁子・泉澤真紀(2018).看護大学生の向社会 的行動の状況――家族機能との関連――  旭川大学リポジトリ Retrieved from https://aulib.repo.nii.ac.jp/?action=pages_ view_main&active_action=repository_view_ main_item_detail&item_id=845&item_ no=1&page_id=13&block_id=32 html(2018年7月9日) 立山 慶一(2007).家族機能測定尺度(FACESⅢ)邦 訳版の信頼性・妥当性に関する一研究 創

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Study on characteristics of family relations, self-presentation and no-self-disclosure

Mio MORIOKA*, Junichi ISHIZAKI**, Hiroyuki IKEDA*** *Graduate School of Education, Hyogo University of Teacher Education

**Kobe Gakuin University

***Center for Development and Clinical Psychology, Hyogo University of Teacher Education

In this study, we focused on the differences between people who acted in accordance with the norms of no-self-disclosure and self-presentation. We thought that this is related to the family which has big influence in our daily life. Therefore, we conducted a questionnaire survey on 231 college students in Kansai area. As a result, many women cherished emotional bonds between family members. Besides, it was found that person whose family relationship is functioning in a well-balanced manner, there is a possibility of specifically suppressing negative emotions and information related to others. In addition, it was shown that people who can recognize that the family function is not functioning may disclose their information negatively or aversive in the interpersonal relationship. Although the self-presentation was routinely given to a specific person, the surroundings of the recipient were not fully examined. Future prospects, it is neccessary to consider the interaction between the communication of the presenter and the communication of the receiver. It is also necessary to conduct empirical effect verification.

参照

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