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特 集 序 文

特集「炭素循環社会の鍵を握るバイオマス変換技術:

我が国の最前線」によせて

跡 見 晴 幸

Haruyuki Atomi 化石燃料・資源に依存した社会からの脱却は人類にとって重要な課題であることはいうまでもない。我々 の生活を支えているエネルギーや日用品の大半は化石燃料・資源を利用して生産されており,これらに代わ る再生可能な原料が求められている。バイオマスは水や大気中の二酸化炭素が原料となっていることから再 生可能であり,またその利用も化石資源と異なり炭素循環に新たな負荷を加えることなくカーボンニュート ラルである。このような観点から近年,デンプンからのバイオエネルギー生産に関する技術開発は各国で精 力的に行われ,大きな進展を見ている。実際デンプンなどが安価な地域ではすでにバイオエタノール生産が 実用化されている。一方でさとうきび,トウモロコシなどの可食性バイオマスからのエネルギー生産は,食 糧の供給との競合が懸念されている。そこで現在では,膨大に存在するセルロースやリグニン,キチンなど の非可食性バイオマスの有効利用に大きな期待が寄せられている。しかしながらセルロースやキチンなどの β-多糖や芳香族化合物の高分子であるリグニンはデンプンと比較して効率的な分解・変換は困難であり,こ れらバイオマスの利用拡大の大きな障壁となっている。この律速段階を突破できれば炭素負荷がこれ以上増 加することのない新たな社会システムの実現へ大きく前進することが期待される。 このような背景からシンポジウム「炭素循環社会の鍵を握るバイオマス変換技術:我が国の最前線」を企 画し,この分野における我が国を代表する先生方にご講演をお願いして,本学会 2012 年度大会において開 催した。シンポジウムでは以下の 4 題の講演が行われた。 ・リグノセルロース包括利用を目指した植物細胞壁の精密構造解析と担子菌,電磁波反応による変換 ・ シュガー・プラットフォームを構築する環境バイオ技術:Clostridium cellulovorans セルロソームによる ソフトバイオマス完全糖化 ・ウォータージェットと耐熱性酵素を用いたバイオマス利用技術の開発 ・液体バイオ燃料の次世代技術 シンポジウムでは 150 名を越える盛況となり,活発な議論が行われた。バイオマス変換技術の現状の整理, 当分野が直面している課題とそれらの解決に向けた様々なアプローチが紹介された。本シンポジウムを通じ て今後の我が国のバイオマス変換技術の研究分野が進むべきおおきな方向性が提示できたと実感している。 特集総説では本シンポジウムの内容がまとめられており,これを通じてさらに多くの方々に我が国おけるバ イオマス変換技術の最先端をご紹介できれば幸いです。 (京都大学大学院工学研究科)

参照

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