国語科における音読の指導に関する研究 : 理解と表現を共に豊かにする学習指導を求めて
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(2) はド︶めに. 本研究の目的は、 ︿理解と表現を共に豊かにする総合学習活動﹀としての音読の学習指導実践を分析・考察 し、 ︿音読総合学習指導﹀実現のための要件を明らかにすることである。. 音読の指導については、これまでも多くの先行研究や先行実践が成されている。それらは大きく二つの立場に 分けられると言ってよいだろう。. 一つ目は、 ﹁音読を理解の手だてとする﹂立場である。これについては、音読することによって文章の内容が 明らかになったり、音読の仕方を考えることによって理解の深化・拡充が行われたという実践が多く成されてい. る。これらに共通するのは、 ﹁音読は理解のための手段﹂であり、あくまでも指導の手だての一つであるという 考え方である。. 二つ目は、 ﹁音読そのものを高めようとする﹂立場である。 ﹁音読の技能を身につけさせる﹂ことに重点が置 かれ、よりよい表現をめざして何度も何度も声に出して読むことが繰り返される。. 本研究においては、音読の指導を、 ﹁理解のための手段﹂か、 ﹁表現力を高める手段﹂かという、どちらか一. 方に偏ったものとしてとらえるのではなく、両方を統合したものとして考えていきたい。音読を︿理解と表現を. 共に豊かにする総合学習活動﹀ととらえ、どのような学習指導を行えば、読みと音読が共に豊かになっていくの かを明らかにする。. 音読総合学習指導の基礎理論 音読総合学習指導の具現化 音読総合学習指導の要件の確立. このような目的のもと、本稿は次の三章により構成されている。 第一章 第二章 第三章.
(3) 第一章では、まず、 ﹁総合学習活動としての音読﹂の定義を行い、音読総合学習活動によって展開される学習. とその目的について明らかにしていく。 次に、音読総合学習指導の要件を導き出すために、 ︿個の学習活動をどのように豊かにするか﹀とく集団での 学習活動をどのように豊かにするか﹀という二つの柱から、次の五つの観点を設定し、それをもとに授業の構想 を図 る 。. ︿個の学習活動をどのように豊かにするか>. 1 活動のサイクルをどのように何回行わせるか 2 総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか 3 個の理解と表現をどのように作り出させるか く集団での学習活動をどのように豊かにするか>. 4 個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか 5 集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか. 第二章では、音読総合学習指導をどのような方法で行っていくかを探っていくために、具体的な授業実践の検 討を五つの観点に基づいて試みる。なお、実践は小学校五年生に対して論者自身が行った。 ここでは、1∼5の五つの観点をさらに下位項目を立てて分類し、実践の分析・考察を行う。 第三章では、第一章の理論と第二章における学習指導の分析・考察を踏まえ、音読総合学習指導を成り立たせ る要件を整理し、まとめる。.
(4) はじめに. ︼H口次. 第一章音読総合 学 習 指 導 の 基 礎 理 論 第一節 ﹁理解と表現を結びつける活動﹂としての音読 第二節 理解と表現を共に豊かにする音読総合学習活動. 1 音読総合学習活動の定義 2 音読総合学習活動の目的 3 音読総合学習活動の流れ 4 音読総合学習活動における個と集団の学習 第三節 音読総合学習指導の要件を導き出すための観点 1 ﹁個の学習活動をどのように豊かにするか﹂についての観点 2 ﹁集団での学習活動をどのように豊かにするか﹂についての観点 第二章 音読総合学習指導の具現化 第一節 音読総合学習指導具現化の観点をもとにした授業構想 第二節 音読総含学習指導具現化の観点をもとにした授業の実際 第三節 音読総合学習指導実践の分析・考察 1 活動のサイクルをどのように何回行わせるか. ●. ●. ●. 一. ・ 二. ⋮ 一〇. ・二七. ・・二八. ・四〇.
(5) 2 総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか 3 個の理解と表現をどのように作り出させるか 4 個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか. 5 集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか. 第三章 音読総合学習指導の要件の確立. 第一節 音読総合学習指導を成り立たせるための要件 ・・・・⋮.・ 1 観点1﹁活動のサイクルをどのように何回行わせるか﹂における要件 2 観点2﹁総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか﹂における要件 3 観点3﹁個の理解と表現をどのように作り出させるか﹂における要件 4 観点4﹁個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか﹂における要件 5 観点5﹁集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか﹂における要件 第二節 音読総合学習指導における今後の課題 ・・・・・⋮ おわりに. 文献目録 資料編. ・六一. ・七五.
(6) 第 一 立早 第 一 硫即. 、. 音読総合学習指導の基礎理論. ﹁理解と表現を結びつける活動﹂としての音読. 本研究では、 ﹁音読﹂という用語を使用している。一般に声に出す読みとして﹁音読﹂と﹁朗読﹂という用語 がよく使われる。そこで、まず﹁音読﹂と﹁朗読﹂の関係を明らかにしておきたい。. ﹁音読﹂と﹁朗読﹂について﹃国語教育指導用語辞典﹄ ︵田近洵一 井上尚美編著 教育出版 一九九三年︶. には、次のように定義されている。 ︵引用中の傍線は内藤によるものである。以下同様。︶. ︻音読︼. 学習指導要領では、音読を﹁理解﹂の領域に置き、 ﹁表現﹂の領域にある朗読と区別している。音読の一. 部で、聞き手を意識し掛表現としての読み力朗読であると考えてもよい。つまり音読とは、文 の内容把握. ︻朗読︼. 朗読とは、文章を内容に即して声高く読むことである。朗読は音読の一種であるが、日読としては完成段. 階に近い読みである。したがって朗読に際しては、事前の段階で内容をよく読み取っていることが大切であ る。. これらの定義のように、 ﹁朗読﹂は﹁音読﹂の一種であること、つまり、 ﹁音読﹂の方が大きな概念であり、.
(7) 二. ﹁朗読﹂は﹁音読﹂の一形式であることは共通理解されていると考えてよいであろう。本研究では﹁音読﹂とい う言葉を﹁朗読﹂をも含めた意味で用い、次のように定義する。. 文章を読み、理解したことを音声によって表現する活動. なお、本論では、文章を読んで理解したものを﹁読み﹂、文章を声に出して読むことを﹁音読﹂と表記する。. 第二節理解と表現を共に豊かにする音読総合学習活動 1 音読総合学習活動の定義. 前節において述べたように、音読は、 ︿文章を読み、 ﹁理解﹂したことを音声によって﹁表現﹂する活動﹀で. ●. ●. 読みが形成される。. ・自分の読みを振り返る中で、 ﹁理解﹂の確認・深化・拡充・変容がなされ、新たな. よりょい﹁表現﹂を求めて活動していく中で、自分の読みの振り返りが行われる。. ・自分の中に形成された読みをもとに、音声によって﹁表現﹂する活動を行う。. ●. ・学習者が文章を﹁理解﹂する活動を行い、自分の読みを形成する。. ある。 ﹁理解﹂したことを音声化していく活動は、学習者の中で次のような過程を経て展開される。 ﹁理解﹂の活動①・. ⇔ ﹁表現﹂の活動①・. ⇔ ﹁理解﹂の活動②・. ⇔.
(8) ﹁表現﹂. ⋮ ⋮. の活動②⋮新たな読みをもとに、より豊かな﹁表現﹂が生み出される。 ※これらの活動が学習者の中で繰り返される。. このように﹁理解﹂の活動が﹁表現﹂を生み出し、 ﹁表現﹂の活動が﹁理解﹂の吟味を迫り、 ﹁理解﹂活動に. よって深化・拡充された読みが、より豊かな﹁表現﹂を生み出していくことになる。ここに﹁理解﹂の活動と﹁ 表現﹂の活動が、共に刺激し合い、高まり合う学習活動が成立する。. この学習活動は﹁理解﹂か﹁表現﹂かどちらかの活動のみを行う︿取り立て﹀の活動と違って、 ﹁理解﹂と﹁. 表現﹂のどちらをもく総合的に高める﹀活動である。つまり、音読は﹁理解﹂と﹁表現﹂を共に豊かにしていく という意味で、 ︿総合学習活動﹀になり得る可能性を持っているのである。. 本論で言う﹁音読総合学習活動﹂は次のように定義できよう。. 読みが音読を形成し、音読が読みの深化・拡充を促し、新たな読みがより豊かな音読を形成していく一連 の活動であり、理解と表現を結びつけ、両方の力を伸ばしていくもの。. 2 音読総合学習活動の目的. 前項において、音読総合学習活動とは理解と表現を共に豊かにしていく活動であると定義した。本節では、音. 読総合学習活動が、どのように展開されていくのかということについて、個の学習と集団の学習とに分けて論じ る。. 三.
(9) ︻個の学習︼. まず、学習者個々が、文章を読んで理解する活動を行い、読みを形成する。次に形成された読みをもとに、学. 四. 習者個々が音読を生み出す。音読を生み出す過程において、学習者は読みの振り返りを行い、各自の読みを深化 ・拡充していく。. 学習者個々の読みと音読は、このように展開されるのであるが、その読みと音読が本当に確かで豊かなもので. あるかは、個の中にあるだけでは完全には保障されない。次の集団の学習を経ることによって、本当に確かで豊 かなものになっていくのである。 ︻集団の学習︼. 教室で行われる学習活動である限り、教師は集団の中でどう学習させていくかを考えなければならない。集団. の中で学習する良さは、学習者同士の交流によって、学習者個々が多様な読みと音読に出会えることである。こ. のことによって、学習者は自分の読みと音読がどういう位置を占めているかを︿確認﹀し、自分の読みと音読を. ︿深化﹀させたり、 ︿拡充﹀させたり、 ︿変容﹀させたりしていくことができる。このように学習者同士の交流. を行うことによって、学習者個々の読みと音読が、より確かで豊かになっていく。 以上のことから、音読総合学習活動の目的をまとめると次のようになろう。. ︻個︼. 学習者が、理解したことと音声化することを結びつける一連の活動を行い、理解と表現を豊かにしていく こと。 ︻集団︼. 個が生み出したものを学習者同士で出し合うことにより、個が学習したものを見つめ直し、個の理解と表.
(10) 現をより豊かにしていくこと。. 3 音読総合学習活動の流れ. 前項で述べたような目的を達成するためには、学習者一人一人の読みと音読が円滑に結びついていかなければ. ならない。そこで、学習者個人が、理解したことと音声化することをしっかりと結びつけることができるように 教師が配慮していく必要がある。. 本研究では、次の図のように学習者個人の﹁理解の活動﹂と﹁表現する活動﹂との間に﹁表現の工夫をする活 動﹂を置いてみた。. ﹁理解の活動﹂←﹁表現の工夫をする活動﹂←﹁表現する活動﹂. ﹁表現の工夫をする活動﹂を置くことによって、学習者は理解したことを整理した後、表現の仕方を考えていく. ことを通して、理解したことと音声化することを結びつけていくことができるのである。. また、 ﹁理解の活動﹂、 ﹁表現の工夫をする活動﹂、 ﹁表現する活動﹂というそれぞれの活動の後に、学習者. 同士の交流を行わせ、理解と表現を共に豊かにしていこうと考えた。 ︿個の学習﹀とく学習者同士の交流﹀によ ってどのような学習活動が展開されるかは、八頁に図示する。. これまで述べてきたように、音読総合学習活動には、大きく分けて︿個の学習の面﹀とく学習者同士の交流の. 面﹀がある。次節においては、この二つの面がどのように展開されるかということについて述べる。. 五.
(11) 活. C 表 す. ↑. をする活動. B、表現の工夫. ↑. A、理解の活動. 学習者工︵図1︶. 展開される。ここで理解と表現が結びつく。. ﹁表現の工夫をする活動﹂をもとに、音声で表すCの﹁表現する活動﹂が. ︿B←C>. とをBからAへ戻る矢印で示した。. の工夫﹂をすることによって理解の深化・拡充が行われるのである。このこ. は、その部分の読みを深めたり、広げたりすることになる。つまり、 ﹁表現. ﹁この部分をどう工夫して音読したらよいか﹂ということを考えること. ︿B←A>. に、理解したことをもとにBの﹁表現の工夫をする活動﹂が展開される。. まず、文章を読んで理解するというAの﹁理解の活動﹂が行われる。次. ︿A←B>. について述べる。図1に、ある一人の学習者の学習活動を図示した。. まず、音読総合学習活動において、 ︿個の学習﹀がどう展開されていくか. ︵一︶ 音読総合学習活動において、 ︿個の学習﹀がどう展開されていくか. 4 音読総合学習活動における個と集団の学習E. す. 示. の. 流. を. 場. 交. 部. は. 線. 斜 ※. ︿C←A・B>. 音声で表す表現の活動を行うことは 、 新たな理解を生み出したり、新たな表現の工夫を生み出したりするとい. 六.
(12) うことである。そうすることにより、さらに新しい表現を生み出していくと考えられる。 ﹁表現する活動﹂を行. うことにより、理解の深化・拡充が行われると共に、表現の工夫の深化・拡充、表現の深化・拡充が行われてい. くのである。このことをCからAとBへ戻る矢印で示した。 今述べたことは、Aの﹁理解の活動﹂、Bの﹁表現の工夫をする活動﹂、Cの﹁表現する活動﹂という活動を. 一回行う中で展開される学習活動のことである。個の読みと音読はこのような活動の流れを一回行う中でも確か. で豊かになっていくと考えられる。しかし、個の読みと音読をより確かで豊かにしていくためには、このような 活動のサイクルを何回も繰り返すことが必要になってくるであろう。. ︵2︶ 音読総合学習活動において、 ︿学習者同士の交流﹀がどう展開されていくか. 次に、音読総合学習活動において、 ︿学習者同士の交流﹀がどう展開されていくかについて述べる。. 音読総合学習活動において、最も重要な交流の場は、Cの﹁表現する活動﹂の交流である。Cの﹁表現する活. 動﹂の交流を行う場を設けることにより、学習者に自分の表現と他の学習者の表現を比較させることが可能とな る。その結果、新たな理解と新たな表現の工夫と新たな表現を生み出していくと考えられる。つまり、Cの交流 がそれぞれの学習者のA、Bへと返っていくと共に、Cも豊かにしていくのである。 Cだけが音声化の活動を伴い、交流しやすいということを表すため、図1では、斜線を引いた部分で示した が、理解と表現を共に豊かにするためにはA、Bの交流も必要になってくる。Cの﹁表現する活動﹂だけでな. く、Aの﹁理解の活動﹂、Bの﹁表現の工夫をする活動﹂をも充実させていくことが、音読総合学習活動を実現 する重要なポイントになってくると言えるであろう。. さらに、このようなA、B、Cの交流を何回も繰り返していくことによって、 ︿個の学習﹀の中では得られな. 七.
(13) かった豊かな理解と表現を作り出していくことができると考えられる。音読総合学習活動において、 ︿個の学. 学習者H. ーーlIl・・一←. . ②理解の交流. ーーーiI響墨ーーーΨ. . ④表現の工夫の. ⑥ 王の︷猟. 壽. 皿. ↓. C、 王す. ⑤. B、表現の工夫 をする活動. ①. ↑. 流 交 の. 当日﹄ A、理解の活動. ⑤. 、表現る. 手. の. 工. 現 表. ④. 流 交. ②. 解 理. を. を. 表. 流 交. の. 工す. 夫。. 年. 表. “の. B. A. す. い. が、. うが. 甕. も や が し。 れ をる そ り 交で て め要 た必. 事つ. をな 動的. 鏡. 表よ をに 流と 交こ. 童父く音に はでいはめ 分分て動た 部部れ活の たたさる流 しし映す交 施施反現の. 。声は. のう猿 れ の表 得 の具 表を 化・ 嘉. 流す現を の表表動 習を・活. の交交学 内ののの. 藩. 裂 結 一lllIーーーーllL一. 一 一 ︸. ※※ ※. 斜斜生CA. 千丁動の・. ををに表B. 自. 1−1ーーーIlll一一ー1−lL一 →Ilー一一iiーーーlIーーーlL. →ーーllIl一⋮ーーーL. の. 習﹀とく学習者同士の交流﹀がどのように展開されるかを整理すると、図2のようになる。この図を使って音読. 学習者1 ①. ⑤ C、 する. ↑. 総合学習活動の学習過程をまとめてみる。 図り乙. 11Ii一←. の. 工. の. 流一. 一一. 一﹁一. ﹁←. ﹁ ﹁ 1−lll. 重 夫. 現 量. 流 交 解 理. ④. の. ②. ーーilIーーーー1−IIlΨ. ﹁1﹁ ーーーーIll−ilーー. ③ ↓. ﹁一IlIlーーlllーーー11一← A、理解の活動. 一. ﹁IlIーーllーーー1ーー1ーーll. ①. 八.
(14) ︿理解の活動﹀. ①ある学習者1・1・皿の中で、文章を読んで﹁理解﹂する活動が行われ、読みが形成される。 ︿理解の交流﹀. ②学習者1・11・皿の中で形成された読みを集団の中で他の学習者の読みと分かち合う﹁理解の交流﹂が行 われる。これによって、学習者1・11・mの読みが深化・拡充されていく。 ︿表現の工夫をする活動﹀. ③﹁理解の交流﹂によって形成された新たな読みをもとに学習者1・E・皿の中で、﹁表現の工夫﹂をする. 活動、つまり、音読の工夫が行われる。これによって、それぞれの学習者の中で、B←Aへの読みの深化 ・拡充が行われていく。 ︿表現の工夫の交流﹀. ④学習者1・H・皿の中で形成された音読の工夫を、集団の中で他の学習者の表現の工夫と分かち合う﹁表. 現の工夫の交流﹂が行われる。これによって、学習者1・11・mの﹁理解﹂と﹁表現の工夫﹂が深化・拡 充されていく。 ︿ 表 現 する活動﹀. ⑤﹁表現の工夫の交流﹂によって形成された新たな読みと新たな音読の工夫をもとに、学習者1・H・皿の. 中で、 ﹁表現﹂する活動、すなわち、音読する活動が行われる。これによって、それぞれの学習者の中. で、C←B・Aへの﹁表現の工夫﹂の深化・拡充と﹁理解﹂の深化・拡充が行われていく。 ︿表現の交流﹀. ⑥学習者1・11・皿の中で形成された音読を集団の中で他の学習者の音読と分かち合う﹁表現の交流﹂が十. 九.
(15) われる。これによって学習者1・H・皿の﹁理解と表現の工夫と表現﹂が深化・拡充されていく。. ︿個の学習﹀. ※このような①∼⑥の活動が、何度も繰り返されることによって、理解と表現をより豊かにしていく。. これまで述べてきたことをもう一度目とめると、音読総合学習活動の目的を達成するためには、 とく学習者同士の交流﹀の中に、次のような活動を用意することが必要なのである。 ︿個の学習﹀. ・﹁理解の活動﹂←﹁表現の工夫をする活動﹂←﹁表現する活動﹂という学習の流れを繰り返し置くこと ︿学習者同士の交流﹀. ・﹁理解の交流﹂、 ﹁表現の工夫の交流﹂、 ﹁表現の交流﹂を繰り返し行わせていくこと. 第三節音読総合学習指導の要件を導き出すための観点. 前節において、音読総合学習活動の目的とそこで展開される学習活動について論じた。さらに音読総合学習活. 動において展開される学習活動をもとに、それぞれの教室において授業を組み立てていく道筋を探る必要があ. る。授業を組み立てていく道筋を探るためには、どんな点に留意して音読総合学習活動の過程を生かしていくの かを考えていかねばならない。. 本論の目的は、音読総合学習活動を生かした指導、つまり、音読総合学習指導を行っていくための要件を導き. 出すことにある。本節では、音読総合学習指導の要件を導き出すための観点について論じる。. Z. 、一.
(16) 前節にお、いて、音読総合学習活動の目的を達成するためには、 ︿個の学習﹀の中に﹁理解の活動﹂←﹁表現の. 工夫をする活動﹂←﹁表現する活動﹂という学習の流れを繰り返し置くことと、λ集団の学習﹀の中で、 ﹁理解. の交流﹂、 ﹁表現の工夫の交流﹂、 ﹁表現の交流﹂を繰り返し行わせていくことが必要であると述べた。つま. り、音読総合学習活動の目的を実現していくためには、 ︿個の学習活動﹀とく集団での学習活動﹀のどちらも豊. かにしていくことが必要なのである。このことから、本節では音読総合学習指導の要件について、次の二つの柱. 個の学習活動をどのように豊かにするか. ﹁個の学習活動をどのように豊かにするか﹂についての観点. 2 集団での学習活動をどのように豊かにするか. 1. に分けて考えていく。. 1. ︿活動のサイクル﹀. 前節において、個の学習活動を豊かにするためには、A﹁理解の活動﹂■▼B﹁表現の工夫をする活動﹂←C ﹁表現する活動﹂という活動のサイクルを何回も繰り返すことが必要であると述べた。しかし、実際の授業では. まったく同じサイクルをただ単純に繰り返していくわけにはいかない。活動のねらいにしたがって、柔軟に変え. ていくことが必要なのである。これらのことから﹁活動のサイクルをどのように何回行わせるか﹂という観点が 必要となる。 ︿技能の指導﹀. 一一.
(17) 総合学習活動を行わせ、学習者個々の理解と表現を豊かにしていくためには、活動を支える技能が学習者の身. につくようにしていかねばならない。そのため・には、教師が技能をどのように指導していくのかという技能指導. の枠組みを持っている必要がある。 ﹁総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか﹂という観点がこ こから出てくる。 ︿個の理解と表現﹀. もう一つ考えておかねばならないことは、集団での学習を行う前提として、個の学習をどう行わせていけばよ. いかということである。集団での交流を行うためには、学習者個々の中において理解したことと表現したいこと. がしつかりと整理されていることが前提となる。つまり、 ﹁個の理解と表現をどのように作り出させるか﹂とい う観点を設定する必要がある。. 以上の﹁個の学習活動をどのように豊かにするか﹂の観点を整理すると次のようになる。 1 ﹁個の学習活動をどのように豊かにするか﹂についての観点. ︵1︶活動のサイクルをどのように何回行わせるか ︵2︶総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか ︵3︶個の理解と表現をどのように作り出させるか 以下、それぞれの観点について論じる。. ︵1︶活動のサイクルをどのように何回行わせるか. 一二.
(18) ﹁表現読み指導﹂を提唱している児童言語研究会の荒木茂氏は、次のように述べている。. ひとたび口頭からでた音声表現は、内容理解の不十分さを指摘します。声にだして読んでみると、いかに自 分が不十分な内容理解しかしていなかったかがわかります。自分の音声表現を、自分の耳で聞いている自分. が、さっきの音声表現よりいまの音声表現のほうがいい、悪いと指摘をします。これが、もう一度下部の内容. 理解領域に戻って︹解釈深め篁日声表現︺の話し合い︵共同助言︶を行わせます。再度、上部の音声表現領域. に戻って実際に音声表現をします。一回目より二回目の音声表現がベターになっているはずです。それにも不. 満を持ちます。さらに下部領域に戻って内容理解深めをします。また上部領域に戻って実際に音声表現をしま. す。これをくりかえします。こうして音声表現のたびごとに内容理解、つまり作品に新しさを発見します。そ のたびごとに音声表現を豊かにしていきます。. 一光社 一九七九 =ハ五∼=ハ六頁︶. このような内容理解領域と音声表現領域との幾回とない往復作業︵弁証法的な相互作業︶によって、内容理 解が深まり、新しい音声表現が開発されます。 ︵荒木茂著 ﹃表現読み入門 その理論と実際﹄. このように荒木茂氏は、 ﹁内容理解﹂と﹁音声表現﹂の相互交流を何度も繰り返していくことによって、理解 と表現がより豊かになっていくと述べている。つまり、理解と表現を共に豊かにしていくためには、 ﹁内容理. 解﹂と﹁音声表現﹂の相互交流という活動のサイクルを設定し、そのサイクルを繰り返し行っていくことが必要. であると考えられる。このような荒木茂氏の考え方をもとにして活動のサイクルのことを考えてみると、 ︿どの. ような活動のサイクルを設定するか﹀、 ︿活動のサイクルを何回行わせていくのか﹀ということを教師が考えて おかなければならないということになる。. 一三.
(19) 前節において、音読総合学習活動の目的を達成するためには、 ︿﹁理解の活動﹂■▼﹁表現の工夫をする活動﹂. B、表現の工夫をする活動. 耳. C、表現する活動. ←﹁表現する活動﹂﹀という学習の流れを繰り・返し行う必要があると述べた。このような学習の流れは活動のサ イクルの﹁基本形﹂と言うこともできよう。. 1▼. ︿活動のサイクルの基本形﹀. A、理解の活動 改めて、この﹁基本形﹂の特徴をまとめてみょう。. 音読総合学習指導において、理解と表現を共に豊かにしていくためには、理解が表現を生み出し、表現が理解. を支えるような活動のサイクルを設定していかねばならない。そこで、Aの﹁理解の活動﹂の後に、すぐにCの. ﹁表現する活動﹂を置くのではなく、二つの活動の間にBの﹁表現の工夫をする活動﹂を置いた。そうすること. によって、学習者個人が、理解したことと音声化することをしっかりと結びつけていけると考えたのである。. このような活動のサイクルを単元の中で一回行うだけでは、理解と表現を豊かにしていくことは難しい。活動. のサイクルを何度も繰り返していくことによって、理解から表現が生まれ、表現から新たな理解が生まれてい. く。そこで、学習指導の計画を立てるとき、サイクルを構成する活動をどのようなものにし、何回行わせていく かを考えていくことが必要になってくる。. なお、この活動のサイクルは﹁基本形﹂であり、必ずしもすべての活動のサイクルを同じ形で行わなくてもよ. い。その場の指導のねらいと照らし合わせて、柔軟にこの︿基本﹀サイクルを︿応用﹀していく必要があるので ある。. 一四.
(20) ︵2︶総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか. 音読総合学習指導において、技能をどう身につけさせていくかということは、教師が持っておかなければなら. ない重要な視点である。学習者に理解したことと表現を結びつけさせようとしても、音読の技能が身についてい. なければ、豊かな表現を生み出していくことができないからである。また、豊かな表現を生み出すことができな ければ、豊かな理解に返っていくことも期待できない。. 音声言語の指導に関する研究を長年に渡って積み重ねている高橋俊三氏は、次のように述べている。. これらの技術を逐一全部教えていこうというのではない。時に応じて、意図的、計画的に、厳選して指導 していこうというのである。. 技術なくしては、意欲は衰えてしまう。やってみたいと思うとき、やってみられるだけの力がなかった. ら、やってみる訳にはいかない。また、やってみてもいつも同じで、不充分のまま進歩がなかったら、子ど もは飽きてしまう。. ﹃実践国語研究﹄一二七号 一九九三・四−五 一七頁︶. 自己を表現する喜びと自己を表現する力とは、車の両輪のようなものだ。二つが揃ったとき、車は前進す. る。朗読とて、例外ではあり得ない。 ︵高橋俊三 ﹁﹃音読﹄そのものに価値を置くこと﹂. このように高橋俊三氏は、音読の技能指導、つまり﹁自己を表現する力﹂を身につけさせることは、 ﹁自己を. 表現する喜び﹂と共に﹁車の両輪﹂のようなものであり、必要不可欠なものであると述べている。また、技能指. 導は﹁意図的、計画的に、厳選して﹂進めていくことが大切であると述べ、段階的な指導の必要性を提言してい. 一五.
(21) るα. では、音読の技能をどのように段階的に指導していったらよいだろうか。技能指導の段階を導き出すために、. 児童言語研究会が提唱する﹁表現読み﹂における﹁上達の三段階﹂の考え方を分析してみることにする。 ﹁上達. の三段階﹂は、技能を身につけさせる指導から応用させる指導への段階が明確に示されているだけでなく、技能 指導を読みと関連させてあることから、ここで取り上げることにした。 ︵1︶楷書読み︵初級コース︶. 第一段階は﹁楷書読み﹂の水準のコースです。. 継続的な音読指導が行われていない学級では、低次な音声表現の実態がみられます。へんな読み癖がありま. す。小声よみ、つつかえよみ、ずらずらよみ、早口よみ、一本調子よみ、お経よみ、うなりよみ、気取りよみ などが見られます。. 表現読み初期の指導の重点は、これら種々雑多な音声表現をこわす指導から始めなければなりません。楷書. で読ませる指導に重点をおくことです。つまり、個人癖のない、くずさない、へんなうねり・うなり・上げ下. げのない、たっぷりした声量で、正確に発音し、ゆっくりと、きちんと読み下す標準的な音声 現の指導をめ. ざします。 , ︵中略︶. ︵2︶行書よみ︵中級コース︶. 第二段階は﹁行書よみ﹂の水準のコースです。. 文学的文章では情感づけの音声表現を、説明的文章では意味内容の論理が露呈するようにメリハリをつけて. 力点をおいた音声表現をすることをめざします。野球の比喩で言えば、直球ばかりを投げないで変化球も投げ. 一六.
(22) に重点をおきます。. るようにしていきます。一生一命に行儀よく読むだけでなく、ああでもない、こうでもないと思考しながら立 愁のある音戸表王に糸み立て、イり 一ていく指、 ︵中略︶. ︵3︶草書よみ︵上級コース︶. 第三段階は﹁草書よみ﹂の水準のコースです。. 抑制をきかして、軽みのある音声表現をめざす指導です。 気張らずに、 飾らずに、淡々と読んでいて、それ. でいて洗練された美しさや豊かさを感じさせる音声表現をめざします。 ごてごてした厚化粧でなく、あっさり. した薄化粧でさりげなく音声表現をさせます。 ︵中略︶行書よみは優等 生 的 な 読 み 方 、 つまり、きちんとし. た、行儀のよい、はたんのない音声表現だとすれば、草書よみは横道にそれて遊びつつ、楽しみつつ、冒険し つつ音声表現する段階です。. ︵荒木茂 ﹃音読指導の方法と技術﹄ 一光社 一九八九 三六∼三九頁︶. ︵1︶楷書よみ・. ・よりよい音読をめざして、試行錯誤的に技能を使う練習をさせていく段階. ・きちんと音読するための基本的な技能を身につけさせる練習をさせていく段階. ﹁上達の三段階﹂を技能指導の段階という観点から分析してみると、次のように言い換えることができよう。. ︵2︶行書よみ・. ・身につけた技能を使いこなして、より豊かな音読を求めさせていく段階 ●. ●. ■. ︵3︶草書よみ・. 右の段階を総合学習指導を支える技能を指導していく段階として整理し直すと、 次の三つの問題に関わってく ると思われる。以下、順に述べる。. 一七.
(23) ③. ②. ①. 技能を読みと関連させてどう使いこなせるようにしていくか. 技能を読みと関連させてどう使わせていくか. 技能の練習を単元の中にどのように置く、か. ①技能の練習を単元の中にどのように置くか. 技能は、練習なくしては身についていかないものである。そこで、単元の中に練習の時間を置くことは必要不 可欠となる。この場合、次の三つの点について考えていかなければならない。 a 指導すべき技能としてどんな技能があるか. b 指導すべき技能の中からどんな技能を抽出していくべきか C 技能の練習をどのように行わせていくか. a﹁指導すべき技能としてどんな技能があるか﹂については、教師が音読の技能にはどんなものがあるのかを. 分類・整理していく必要がある。それによって、技能と技能の関係が明らかになり、技能の全体像が確立され. る。この段階で初めて、教師による技能の抽出が可能になり、技能指導の基盤ができる。. b﹁指導すべき技能の中からどんな技能を抽出していくべきか﹂については、学習者の実態把握が必要になっ. てくる。分類・整理された技能の中から、実態に応じて、その場で指導する技能を選び出すことを考えていかね. 一八.
(24) ばならない。. c﹁技能の練習をどのように行わせていくか﹂については、技能の練習の場を単元の中にどのように置き、 のように練習させていくかということを考えていく必要がある。. ②技能を読みと関連させてどう使わせていくか. 技能は練習するだけでは身についていかない。練習した技能をどこで使うかが分からなければ、単なる練習の. ための練習に終わってしまう。それは、練習した技能は、使う場があって初めて身についていくものだからであ. る。しかし、いきなり場を与え、技能を使わせようとしても、自由自在に技能を使いこなしていくことは難し. い。この段階では応用といってもすべてを自由にするのではなく、技能を教師の設定した枠の中で使わせ、その 中で、読みと関連させて︿技能を使う練習﹀をさせていくことが大事である。. ・使う技能をいくつかに限定すること. その枠とは、次のようなものである。. a 使う技能の数の枠・・. ・音読させる部分を限定すること. ■. b 音読させる部分の枠・. ど. a﹁使う技能の数の枠﹂については、授業の中でどの技能を指導するかという教師のねらいによって異なって. くる。b﹁音読させる部分の枠﹂については、授業の中でどの部分の理解と表現を豊かにしていこうとしている. のかという教師のねらいによって限定される。つまり、枠を限定するときは、教師自身がどの技能をどの部分で 指導していくのかということを、考えておかなければならないのである。. 一九.
(25) ③技能を読みと関連させてどう使いこなせるようにしていくか. 二〇. 実際に使う練習をした技能は、自由自在に使いこなせるようになっていかないと、本当に身についたことには ならない。そこで、この段階では、②の段階で使う練習をした技能を、読みと関連させて総合的に使わせていく. ことを考える必要がある。そのために留意しておかねばならないことは、どのような︿場﹀を設定していくかと いう点である。ここでは、次の二つの点に留意して場を設定する必要があろう。. a 技能の使い方の例示・・⋮・多様な技能をどのように使うかを教師が示すこと. b 技能を使いこなす場の設定・・ ・多様な技能を使うことができる場所の中で、児童に自力で表現の工夫 をさせること. 単一の技能を使う練習である②の段階とは違い、この段階では、多様な技能を一度に使わせていかなければな らない。多様な技能をどのように使っていけばよいかが分からなければ、技能を使いこなしていくことはできな. いであろう。a﹁多様な技能の使い方の例示﹂をすることによって、どのように多様な技能を使っていくかを示 していく必要がある。. 場の設定におけるもう一つの留意点は、b﹁多様な技能を使える場の設定﹂である。aが教師という︿他者﹀ が技能の例示を行ったのに対して、ここでは学習者が︿自力﹀で技能を使わせることをねらっている。多様な技. 能を使うことができる場所の中で、児童が自力で技能を使いこなせるようにしていくことをめざしたものであ る。.
(26) ︵3︶個の理解と表現をどのように作り出させるか. 第一節において、学習者個々の読みと音読は、個の学習の中でも確かで豊かになっていくかもしれないが、学. 習者同士の交流によって、より確かで豊かなものになっていくと述べた。つまり、集団での学習活動を豊かにし. ていくためには、交流は欠かせないものである。ただし、交流を行う前提として、個の学習の中で理解と表現が 豊かに作り出されていなければならない。. 音読総合学習指導の中で行われる個の学習には、前項の活動のサイクルのところで述べたように、 ﹁理解する. 活動﹂ ﹁表現の工夫をする活動﹂ ﹁表現する活動﹂の三つがある。それぞれの活動において、個の活動を促すと. き、個人まかせにしていては、確かで豊かな個の理解と表現を作り出させていくことはできない。そこで、音読 総合学習活動の中では、次のような活動を用意していくことを考えた。 a 文章を微視的にとらえ、部分に目を留めさせる活動. b 文章を巨視的にとらえ、全体に目を向けさせる活動 C 学習をより充実させる練習の活動. a﹁文章を微視的にとらえ、部分に目を留めさせる活動﹂においては、文章の部分を︿分析的﹀にとらえさ. せ、その中で理解と表現を作り出させていく。b﹁文章を巨視的にとらえ、全体に目を向けさせる活動﹂におい. ては、文章を︿総合的﹀にとらえさせ、その中で理解と表現を作り出させていく。このように教師が︿部分﹀と. く全体﹀という二つの視点を持ち、この二つの活動を両方とも行わせることが個の理解と表現を豊かにしていく. 二一.
(27) c﹁学習をより充実させ. 二二. また、今回のように音声表現を伴う学習において大切にされなければならないのは、. より豊かな表現が作り出. ことになる。. る練習の活動﹂である。それは、音声表現の場合、練習を繰り返し行うことによって、. ﹁集団での学習活動をどのように豊かにするか﹂についての観点. されていくと考えられるからである。. 2. 第一節において、 ︿A﹁理解の活動﹂、B﹁表現の工夫をする活動﹂、C﹁表現する活動﹂﹀の交流を、集団. の中で何回も繰り返していくことによって、 ︿個の学習﹀の中では得られなかった豊かな理解と表現を作り出し. ていくことができると述べた。つまり、 ﹁集団の中で学習者個々の理解と表現を表出していくこと﹂によって、. 学習者個々が多様な理解と表現に出会う。そして、 ﹁学習者が多様な理解と表現に出会うことにより、自己の理. 解と表現を見つめ直し﹂、自己の理解と表現を︿確認﹀、 ︿深化﹀、 ︿拡充﹀、 ︿変容﹀させていくのである。. したがって、集団の中での個の学習活動を豊かにしていくためには、次の二つの段階が必要になってくる。. ︵1︶ 個の学習の中で作り出された理解と表現を、集団の中で表出していく段階. ﹁集団での学習活動を豊かにするための観点﹂を整理してみる。. ︵2︶ 集団の中に出された理解と表現を個に還元していくことによって、個の理解と表現をより豊かにし. ていく段階 この二つの段階に分けて、 ︿個の表出﹀.
(28) 集団での学習活動において重要なことは、個の学習の中で作り出されたものを集団の中に︿表出﹀させていく. ことである。 ︿表出﹀することがなければ、交流は成立していかない。そこで、教師はどのように︿表出﹀を行. わせていくのかを考えていく必要がある。ここから﹁個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか﹂ という観点が導き出されてくる。 ︿個への還元﹀. 個が︿表出﹀したものは、個の理解と表現に影響を与えることによって、意味のあるものとなる。集団の中で. どれだけ活発に︿表出﹀が行われても、 ︿表出﹀されたものが個に︿還元﹀されていかなければ、個の理解と表. 現は豊かになっていかない。そこで、教師は集団の中で出されたものをどのように個に︵還元﹀させていくかを. 考えていかなければならない。このことから﹁集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか﹂ という観点を設ける意味が見い出せよう。 2 ﹁集団での学習活動をどのように豊かにするか﹂についての観点. ︵1︶個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか ︵2︶集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか 以下、それぞれについて述べていく。. ︵1︶個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか. 集団での学習活動を豊かにするためには、まず、個が学習したものを集団の中でどのように表出させていくか. 二三.
(29) 二四. を考えていかねばならない。個が生み出したものを集団の中で表出していくことによって、学習者同士で多様な. 理解と表現の存在を知ることになる。つまり、・個の生み出した理解と表現は他の学習者の生み出した理解と表現. と照らし合わされることによって、差異が明らかになるのである。表出の方法として次のようなものがあろう。 a 教師が学習者の意見をまとめて提示する表出. b 口頭発表による表出 C 音読の表出. a﹁教師が学習者の意見をまとめて提示する表出﹂は、全員の考えを一目で概観することができる。ただ、話. し合いによってそれぞれの考えを練りあげていくことが難しいという欠点も持っている。. b﹁口頭発表による表出﹂は、一斉学習の中で、効率よく話し合いを進めていく方法の一つである。ただ、全 員の考えを表出することが難しいという欠点も持っている。. このように学習者の考えを表出していく方法には、それぞれ長所も短所もある。そこで、一つの方法だけでな. く、場に応じた多様な表出のさせ方を考えていく必要がある。また、c﹁音読の表出﹂は、今回のような音読総. 含学習指導において必要不可欠な活動である。 ﹁音読の表出﹂がなければ、理解と表現を豊かにしていくことは できない。. ︵2︶集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか. 集団での学習活動を豊かにするためのもう一つの観点は、集団の中で生み出されたものをどのように個に還元.
(30) していくかということである。集団の中で、個の学習したものを表出するだけでは、交流は成立しない。集団の. 中に表出された個の理解と表現をもとに、学習者それぞれが自分の位置を︵確認﹀し、自分の理解と表現を︿深. 化・拡充﹀し、︿変容﹀させていって初めて、交流の意味が出てくる。つまり、集団の中で生み出されたものを どのように個に還元し、個の学習を見つめ直させていくかを考えていかなければならないのである。. 個の学習を見つめ直させていく場合、 ﹁集団の中で表出されたものをもとに自分を振り返らせる﹂ことをする. だけでも、個の理解と表現は豊かになっていくと考えられる。しかし、交流を重視する今回のような場合、学習. 者同士の関わり合いを考えていかねばならない。 ﹁他者の感想や意見を個へ返していく﹂ことが、必要になって. くるのである。このように、個の学習を見つめ直させていく場合、次の二つに留意する必要がある。 a 集団の中で表出されたものをもとに自分を振り返らせる還元. b 他者が感想や意見を個に返していくことによって、個が自分の学習を見つめ直す還元. a﹁集団の中で表出されたものをもとに自分を振り返らせる還元﹂の場合は、個の学習を振り返らせていく場 を保障していくことが必要となる。. b﹁他者が感想や意見を個に返していくことによって、個が自分の学習を見つめ直す還元﹂の場合は、感想や. 意見を受け取った個が、自分を見つめ直すことができるような還元方法を行っていくことが大切である。. このように集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくかを考えていく場合、どんな場を保障. していくのか、どんな還元の仕方をしていくのかということを考えていかねばならない。. これまで述べてきた音読総合学習指導の要件を導き出す観点をまとめると、次のようになる。. 二五.
(31) ︿個の学習活動をどのように豊かにするか>. 1 活動のサイクルをどのように何回行わせるか 2 総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか 3 個の理解と表現をどのように作り出させるか く集団での学習活動をどのように豊かにするか>. 4 個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか 5 集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか. 二六.
(32) 第一一立早. 音読総合学習指導の具現化. 前章では、音読総合学習指導の要件を導き出すための観点を明らかにした。. 本章では、その観点を踏まえて実践した授業をもとに、具体例を挙げ、その実践の分析・考察を通して、 総合学習指導の在り方について検討する。. なお、以下に挙げる実践は論者自身による実践である。 ・単元 ﹃わらぐつの中の神様﹄ ︵光村図書 平成四年図版 五年下︶. ・対象 岐阜市立長良東小学校 第五学年 三十四名︵男子十五名 女子十九名︶ ・日時 平成六年二月八日︵火︶∼二十四日︵木︶ ︵全十三時間︶. 音読総合学習指導具現化の観点をもとにした. ※教材本文は、論尾に資料として掲げた。 第 一 儲即. 樋仮当禾構相心. 音読. 第一章章三節﹃音読総合学習指導の要件を導き出すための観点﹄において明らかにした観点は次の五点である く個の学習活動をどのように豊かにするか>. 1 活動のサイクルをどのように何回行わせるか 2 総合学習指導を支える技能をどのように指導していくか 3 個の理解と表現をどのように作り出させるか. 二七.
(33) ︿集団での学習活動をどのように豊かにするか>. 4 個が学習したものをどのように集団の中で表出させるか 5 集団の中で生み出されたものをどのように個に還元していくか. 二八. この五つの観点をもとに次の四つの段階のように授業を構想した。四つの毅階に分けたねらい・意図について は、次頁の授業構想案の下に詳述する。左のように段階1∼段階3においては五つの観点を全て用いた。段階4. 件を導き出す五つの観点の配置. については、教師による児童への評価の還元であることから、観点5のみを置いた。なお、五つの観点を具体的 にどのように展開したかについては、第二節において分析・考察する。. 段階1 第一次 読みと音読の準備をさせる過程段階2 第二次 読みと音読を深化・拡充させる過程段階3 第三次 読みと音読を確立させる過程段階4 課外 読みと音読の評価. 授業構想案を次頁に掲げた。この授業構想案では、理解と表現をどのように豊かにしていこうとしたかをとら. えやすくするために﹁読み﹂と﹁音読﹂とを上下に分けて整理してある。なお、それぞれの時間の見出しには、. 音読総合学習指導具現化の観点をも七 にした. 教師のねらい・意図を書き、ア∼ホの記号をつけて示した。さらに、下位項目として、児童の活動を記した。. 第一一網戸. 授豊禾の由夫際.
(34) 授業構想案︵全十一鼻壁間︶. ⋮﹂. 藻ぽ惹練習︸⋮⋮・・作品の の読み取り. ︵三時間︶. 音 読 嵩 甕楚⋮欝欝態欲づ娃 鰍懲曇音競の⋮輝撮讐.の誕瀬・詩の与島 ・講読を聞くこと. 一 1 − I l − I l − 1 ⋮ 一 l l 一 一 一 一 ”編ク嚢塁鯛の、.爺.二握り・作品の 2具覗. ︵六時間︶. m弩音読の技艇㊧練習冒⋮・四聖眈のめあての発表 ・立塁睨の基礎的⋮⋮⋮⋮⋮な技能の練習. ︹ . ャ].一㌦・立塁就の工夫を書き、発表すること ・音読の練習 ・指名巌二黒. 鵬[渉音読の練習罵・本時の場面の虫塁就練習麟懇懇解の無難の⋮縫脳趨繋,資読の蕊豪徽 密の交羅憩強弾塁調の形絞磁喫幽塁認の交 ﹁. 稲⋮. 1 − 1 − 1 一 一 1 − 1 − l l − 1 − 1 一 一 l l − 1 − 1 一 一 1 − l l − 1 − 1 一. ﹄オ構威の理解掌力感懇の確認塗キ各⋮ 一 還場面の読み販灘の観慮の確認劉・構成を考えること ・感想の広がりを知ること ・読み取りの観点を知ること. i − 1 − 1 一 一 一 一 一 1 一 一 1 − 1 − 1. 漏ヲ読み翼墾趣毒意欲づ鍵⋮難赫歳懇﹁の ⋮騰形成鞍纒醗海・初発の感想を書くこと. 読 み. i階鷹・・ .,.⋮⋮⋮.第・糊⋮次翻読み乞難読の準嫡を惑姓る過程瓶. 3. 2. 1. 時. ⋮ h、. へ[シ読みの形蔑圃ス諸芸.の六事偽菌セ號璽 ﹁・みのま鉱め]﹁,・読みとったことを書き、発表すること・教師の読みのまとめを聞くこと. i階2ゴ 第二次∴.⋮⋮⋮読み螢音読を深化.漁拡充させる過程 ⋮ 1. 吟,. ヌみのまとめを書く,こと. ︵四時間︶. 2時・3時・4時・5時・6時も同じようなねらいで 同、 様の活動を行わせた。. @[. 一 一 一 1 − 1 − 1 一 一 1 − l l − 1 一 一. ・⋮編︹⋮二音読砂霊蒸の把握]憾・教師の立壁心のテープを聞き、工夫点を発表すること ⋮⋮融 濫獲繊の悪難霞懇.琶魚・立塁箋五の評価の観点を知ること.∵ヤ離[バ富鐘丑塁蟹呆を作ること. 児童に. 一 一 1 − 1 − i i I − l l I − i− 1 一一 1 − 1 一 一 一 i 一 一 1 − 1 − l l − 1. ⋮轟︹義霧覗の懸遷.罐な回読遜の確認貿・教師の読みと立具眺の工夫点を知ること、凸ノ の読みの確認瞬撫・立掻玉の仕方を考えること. 1 − − 一 − 一 1 − I i l l l 一 一 一 1 一. ?iの主題を書き、発表すること ・第二次感想を書くこと. ⋮ . i∵階 3∴第三次﹁﹁一読みと音読を確立させる過程”∵ 1. 2. 弓4. ⋮課外ド⋮﹂﹁.読み&音読の評価ポ門嵩毒教師によ雲譲縷憾教師が一人一人の卓塁祝について、読み取ったことが立塁碗につながっているかを評価し、. ︷段階紗⋮⋮.口. 返す。. ︿読みと皇具覗を振り返らせる活動﹀. 段階3で確立された読みと章読について、児童の立昇訊と立昇業種をもとに評価した。 ホ﹁教師による評価﹂. この段階では、次のように︿読みの基盤 となる活動﹀と金塁訊の基盤となる活動﹀ の二つを行った。そこで、読みと玄塁眠につ いて、第二次以降の学習の準備をさせた。 ︿読みの基盤となる活動﹀. らイメージを広げる練習﹂. ア﹁読みに対する意欲づけ﹂・イ﹁感想 の形成と把握﹂・オ﹁構成の理解﹂・カ ﹁感想の確認﹂・キ﹁各場面の読み取り の観点の確認﹂・ケ﹁一つ一つの言葉か 金具覗の基盤となる活動﹀ ウ﹁堂上碗に対する意欲づけ﹂・エ﹁立具訊. の仕方の把握﹂・ク﹁立塁覗の目標把握﹂ ・コ豆塁覗の技能の練習﹂. この段階では、場面ごとに読みを持たせ、 部分の読みと立昇覗を深化・拡充させること を行った。読みでは、場面の中の言葉一つ 一つに目を向けさせ、部分の読みを形成さ せた。卓嘉島では、段階1で練習した技能を 使う練習をさせた。 金豆読の基盤となる活動﹀. サ三塁眺の練習﹂ ︿読みを深化・拡充させる活動﹀. 佃 r. シ﹁読みの形成﹂・ス﹁読みの交流﹂ セ﹁読みのまとめ﹂ 釦 ︿読みと立塁就を深化・拡充させる活動﹀. ソ﹁立具睨の工夫の形成﹂・タ﹁立具覗の工. 夫の交流﹂・チ三具涙の形成﹂・ツ﹁音 読の交流﹂ ︿読みと立塁訊を振り返らせる活動﹀. 釦 テ﹁新たな読みの形成﹂. このようなサイクルを一時間単位で六回 行った。. た部分の読みと立塁覗を統合させていくこと. この段階では、第二次で深化・拡充させ を行った。読みでは、細部の読みをもとに. ︿部分の読みを統合させる活動﹀. 全体の読みを形成させた。立昇眈では、技能 を総合的に使いこなすことを行わせた。 ト﹁主題の交流﹂・ナ﹁読みのまとめ﹂ ︿読みと立具覗を確立させる活動﹀. 釦 二﹁立葵覗の工夫の把握﹂・ヌ﹁立塁眠のも. とになる読みの確認﹂・ネ﹁喜暴⋮発表会. の評価の観点﹂・ノ﹁児童百身の読みの 確認﹂・ハ﹁立塁蟹呈傘作り﹂・ヒ﹁立塁覗. の練習﹂・フヨ丁零の交流﹂ ↑ ︿音読を振り返らせる活動﹀. へ﹁評価の交流﹂.
(35) 読みと音読の準備をさせる過程. 前節の基本構想案にしたがって授業実践を行った。以下授業の展開に沿って、順に述べる。 又皆− 第一次 長几β. 読みと音読を深化・拡充させる過程 読みと音読の評価. 読みと音読を確立させる過程. 段階2 第二次 段階3 第三次 段階4 課外. 段階1第一次読みと音読の準備をさせる過程. 第一次は、読みについて、音読について、それぞれに関する基本的な事柄をきちんと身につけていかせる段階. み. ともに、立具覗に対する意欲づけをする。 ・範読を聞かせる。. 読. ・詩︵﹃五十ユ昌北原白秋︶を斉読させ、発声練習をさせると. 音. である。この段階は合計三時間で展開されている。以下、読みと音読に分けて、それぞれの基本的な事柄をどの ように身につけさせていこうとしたかについて述べていく。. 読. 段階1第一次読みとユ星賜の準備をさせる過程 ︵三時間︶ 時. 1 薫闘読み,鍵盤.する意識づ紺駿揮感想㊧彩成漆据握︼零墨. ・わらぐっとスキーぐつの実物を見せ、比較させることによ って、物語に対する興味を持たせる。 ・初発の感想をノートに書かせ、回収する。. 二九.
(36) 2. 3. 概作品を三つのまとまりに分けて、おみつさんとおばあちゃ んが同一人物であることを確認させ、作品の構成を理解さ せる。. ・前時に書かせた初発の感想を教師が模造紙にまとめ、児童 に提示することにより感想の広がりを確認させる。 ・教師が前もって用意した︵どの部分に注目すれば各場面の 読み取りができるかについての︶観点を模造紙にまとめて 提示し、ノートに書き写させる。. るために、教師が第一場面の冒頭部分を噌文ずつ読み上. ザ、.一つ一つの表現を丹念に読み取ることの大切ざに気づかせ. げ、言葉一つ一つからイメージできることを発表させる。. ・本又の冒頭部を働人で出塁覗させ、自分の富塁覗の問題点をノー トに書かせる。. ︵例、声の大きさ・間・強弱・速度など︶. 技能に絞り、練習させる。 ︵声の大きさ・正しさ・速さ︶. ・前髪に書かせた音読の問題点を踏まえ、音読のめあてを全体 の場で発表させ、教師がまとめて板書に整理する。 ・児童の実態を踏まえ、各自の音読のめあての中から基礎的な. [構成の理解、感想の確認、各場面の読み取りの観点の確認]. [読みに対する意欲づけ、感想の形成と把握]. 第二時. [一つ一つの言葉からイメージを広げる練習]. 読み 第一時 第三時. ﹁読みに対する意欲づけ﹂のために、まず、題目にも取り上げられている重要な素材であるわらぐっとスキー. 三〇. ぐつの実物を見せた。そして、二つを比較させることによって主人公の心情の変化について興味を持って読み進 めていかせようとした。. ﹁感想の形成と把握﹂のために、教師の範読を聞かせた後、 ﹁心に残ったこと﹂という題で初めの感想をノー. トに書かせた。そして、感想を書いたノートは教師が回収し、児童の読みを把握することに役立てた。. ﹁構成の理解﹂は一本題材において児童が読みを深めていくために重要な指導内容であると考え、読みの準備.
(37) 段階’で指導することにした。そのために、作品を三つのまとまりに分けさせ、おみつさんとおばあちゃんが同一. 人物であることに気づかせることによって、 ﹁現在−過去一現在﹂の構成をとらえさせた。. ﹁感想の確認﹂は、児童一人一人に様々な読みがあることを分からせると共に、第二次以降の読みの準備にな. る。そこで、児童にそうした感想の広がりをとらえさせやすくするために、前時に回収した児童の感想を教師が. 分類・整理し、模造紙にまとめて提示した。また、一つ一つの感想の良さをつかませるために、教師が模造紙に 書かれた感想を読み上げ、価値づけを行った。. ﹁各場面の読み取りの観点の確認﹂では、第二次で行う場面ごとの読み取りの視点を教師が用意し、模造紙に まとめて提示し、児童に知らせていった。 ︿第三時・・∴麗燃 躍 駄 .繕⋮じ. ここでは、第二次で豊かな読みをさせていくための準備として、一つ一つの言葉からイメージを広げる練習を. させた。そのために、教師が第一場面の冒頭部分を一文ずつ読み上げ、言葉一つ一つからイメージできることを. 第二時. 音読 第一時. [音読の技能の練習]. [音読の目標把握]. [音読に対する意欲づけ、 音読の仕方の把握]. そのリズム・響き・面白さにひた. 発表させていった。言葉一つ一つから様々な読みができるということを児童に分からせようとしたのである。. 第三時. ﹁音読に対する意欲づけ﹂として、詩︵﹃五十音﹄北原白秋︶を斉読させ、 らせ、音声化する活動への興味を引き出した。. ==.
(38) ﹁音読の仕方の把握﹂に関しては音読するのに適切な速さ・間・強弱などに注意して白糖し、児童に聞かせた. ﹁音読の目標把握﹂については、児童に自分の音読の問題点を見つけさせることによって、音読の目標を立て. させ、主体的に音読練習に向かわせることを意図して行った。教材本文の冒頭部を指定し、個人で音読させた。. これは、自分の音読を思い出して問題点を見つけるのでは、あいまいな問題しか浮かび上がらないが、実際に音. 三二. 読し、自分の音読を耳で聞くことを行えば、問題点が明確になっていくと考えたからである。さらに、自分の音. 読の問題点をノートに書かせることによって、音読の目標を思い出すことができるようにさせた。 ︿第三時⋮諺・嶺音議φ⋮技﹁縫の練.習﹂遜⋮ ﹀. 音読の技能の練習は、教師が一方的に技能を決めて練習させても、児童が意欲を示さなければ、児童の身につ いていかない。そこで、次の二つのことを大切にした。. 一つは、 ﹁児童の実態や要求に応じた技能の練習をさせていく﹂.ことである。前軍にまとめさせた音読の目標. を全体の場で発表させ、教師がまとめて板書に整理することによって、共通の問題点を導き出した。児童が自分 の音読に対して、どんな問題意識を持っているのかを教師が把握するためである。. もう一つは、 ﹁教師が児童に最も身につけてほしい技能を前もって想定する﹂ことである。そこで、児童が発. 表した音読の目標の中から教師がその授業の中で、最も身につけてほしい技能を選び、練習させていった。 段階2 第一一次 読みと音読を深化・拡充させる過程. 第二次は、読みと音読を深化・拡充させる過程である。読みにおいては、第一次で練習した一つ一つの言葉か らイメージを広げることを意識させて、部分の読みを形成させることをねらった。音読においては、第一次で練.
(39) 習した技能を実際の場で使わせていくことを考えた。. 第二次は、本題材を六つの場面に分けて読み取らせていったため、六時聞で構成されている。それぞれの時間. み. る。. 読. ・三時の学習場面を確認のために全体の場で、二∼三人に指名講読させ. 文章︶に佳苫⋮を絞り、立塁覗プリントに立具覗の工夫を書かせる。 ・立塁訊プリントに書かせた音読の工夫を全体の場で発表させる。 ・学習者それぞれの立塁疏の工夫を比較させることを通して、各自の虫星覗の 仕方を決め、それをもとに本時の学習場面の立塁軌練習をさせる。. ・児童の意見が集中したところや教師が音読させたいところ︵二∼四行の. ・各自で本時の場面の立具訊練習をさせる。. 音. の展開の仕方は、活動に多少の省略はあったものの、ほぼ同じ流れで指導を進めた。その流れを次に示す。. 読. 段階2 第二次読みと富塁姻を深化・拡充させる過程 ︵六時間︶. 時 1. ・第一次の第二時で教師が提示した第一場面の読み取りの観点にしたが って、各自の読み取りを読みプリントにまとめさせる。 ・読みプリントにまとめさせた各自の読み取りを全体の場で発表させる ・教師が、板書に整理した意見や心情曲線をもとに読みのまとめをさせ る。. ・用具訊の学習を通して、新たに見えてきたものを中心に、各自の読みを 振り返らせ、読みプリントに各自の読みのまとめを書かせる。. て、本時学習する場面の内容を再確認させるということも意図した。. これは、第一次で練習した技能を反復練習によって定着させるという意図で行わせ た。音読させた部分は本意学習する部分である。この活動では、音読することによっ. ︿技能の反復練習﹀. 2時・3時・4時・5時・6時も同じような学習を行わせた。. ↑. 三三.
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