ストック・オプションの会計処理をめぐる諸問題
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(2) 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). 92(92). を手がかりに,ストック・オプションの会計処. の行使価格すなわち新株の発行価額が払込資本. 理について検討してみたい.ただし,ストッ. 8)として計上される.. ク・オプションの公正価値測定の問題には立ち 入らず,公正価値は所与として検討する.. 2.会計処理の現状と動向 まず,次の設例に基づき,わが国およびアメ. リカの会計基準,ならびにIFRS案に従ったス. ×1年1月1日∼×3年12月31日 仕 訳 な し ×5年1月1日(@¥50×34,000株分の権利行使) (借)現金預金 1,700,000. (貸)払込資本 1,700,000. トック・オプションの会計処理を見てみよう. 2.2 アメリカの現状 【設例】7). アメリカではSFAS123において,原則とし. 付与日 ×1年1月1日. て公正価値法(fair value based method)によ. ストック・オプション数 500人×100株分. る処理が規定されている.ただし,公正価値法. 行使価格 @¥50. に基づく利益及び一株当たり利益の開示を条件. 権利確定日(一括確定:cliff vesting) ×3年12月31日. として,従来の基準である会計原則審議会意見. 行使期間開始日 ×5年1月1日. 書第25号「従業員に発行された株式の会計」9). 加重平均見積退職率(3年間平均) 20%. (以下APBO25)の本源的価値法(intrinsic. 付与日の公正価値(失効可能性調整前) @¥15. value based method)による処理も認められて. 付与日の株価 @¥56. いる.実際には,費用計上額が小さくなる(測. 実際の退職率(失効10,000株分)は見積りどおり. 定日にイン・ザ・マネーの状態でなければゼロ. であった.. 行使表面開始日(株価@¥60)に34,000株分が行. となる)APBO25による処理を採用する企業が 多いようであるから,ここでもまず,本源的価. 使された.. 値法による会計処理を示してみよう.. 6,000株分は権利行使されず,消滅した.. 本源的価値法によれば,「測定日の株式の最 新市場価格から,従業員の支払いが必要ならば. 2.1 わが国の現状. その額を控除して測定される」(APBO25,. 前述のとおり,わが国にはストック・オプシ. par.10)ので,固定型ストック・オプション付. ョンに係る会計基準はないが,平成13年の商法. 与日の本源的価値(@¥56一@¥;50)に基いて. 改正に伴い公表されたASBJの実務対応報告第1. 支払報酬の総額が測定され,サービスを受け入. 号「新株予約権及び新株予約権付社債の会計処. れる期間に配分される.lo). 理に関する実務上の取扱い」に従った処理が行 われることになろう.そこでは,「ストック・. 【本源的価値法】. オプションに係る会計基準が設定されるまでの. ×1年1月1日(付与日). 当面の会計処理として,当該新株予約権は,…. (借)繰延支払報酬 300,000. 中略…発行価額で計上されることとなる.この. Deferred compensation expense. ため,無償で付与される新株予約権の場合には,. (貸)未行使ストック。オプション 300,000. 負債は認識せず費用の認識も行われないものと. Stock options outstanding. 考えられる」(Q4.A)とされている.したがっ. て,ストック・オプション自体について会計処 理は行われず,以下のように,専ら権利行使時.
(3) ストック・オプションの会計処理をめぐる諸問題(原 俊雄). ×1年12月31日(決算日:500人分). (93)93. (借)支払報酬 240,000 (貸)未行使ストック・オプション 240,000. (借)支払報酬 100ρ00. Compensation expense (貸)繰延支払報酬 100,000. という費用の発生と資本の増加が記録されてい. ク(失効分修正:33人分). るのである.. これに対して公正価値法では,「従業員に発. (借)未行使ストック・オプション 19,800. (貸)繰延支払報酬 13,200. 行された持分金融商品及び対価として受け入れ. 支払報酬 6,600. たサービスのコストは,発行された持分金融商. ×2年12月31日(決算日:467人分). 品の公正価値に基づいて測定・認識される」 (SFASI23,par.16)ので,ストック・オプショ. (借)支払報酬 93,400. (貸)繰延支払報酬. 93,400. ンの公正価値(@¥15)に基づき支払報酬の総 額(@¥15×50,000×0.8)が測定され,サービ. ク(失効分修正:34人分). スを受け入れる期間に配分される.11). (借)未行使ストック・オプション 20,400. (貸)繰延支払報酬. 6,800. 支払報酬. 13,600. ×1年1月1日(付与日). ×3年12月31日(決算日:433人分) (借)支払報酬 86,600 (貸)繰延支払報酬. 【公正価値法】. (借)繰延支払報酬 600,000 86,600. (貸)未行使ストック・オプション 600,000. ×1年∼×3年12月31日(毎決算日). ク(失効分修正:33人分). (借)支払報酬. (借)未行使ストック・オプション 19,800. (貸)支払報酬. 19,800. (貸)繰延支払報酬. ×5年1月1日(@¥50×34,000株分の権利行使). ×5年1月1日(行使日). (借)現金預金. (借)現金預金. 未行使ストック・オプション. (貸)払込資本. 1,700,000. 200,000 200,000. 1,700,000. 未行使ストック・オプション. 204,000. 1,904,000. 消滅時. (貸)払込資本. 510,000. 2,210,000. 消滅時. (借)未行使ストック・オプション (貸)7肖滅ストック・オプション. (借)未行使ストック・オプション. 36,000. 36ρ00. expiration(払込資本). 90,000. (貸)払込資本. 90,000. (未行使オプション払込剰余金). 繰延支払報酬勘定は資産の勘定ではなく,未. このように,本源的価値法との異同は,支払. 行使ストック・オプション勘定(資本の勘定). 報酬勘定及び払込資本の勘定の金額のみである.. の控除的評価勘定であり,両者の差額が受け入. 設例とは異なり,付与日にイン・ザ・マネーの. れたサービス額となる.したがって,ストッ ク・オプションの付与日に費用の発生と資本の. 状態にない現実的なケースの場合,本源的価値. 増加が記録されているのではなく,実質的には. ロとなるのに対して,公正価値法によれば時間. 失効による修正を除くと,サービスを受けた期. 的価値部分が配分されることになる.. 法によれば支払報酬の総額はゼロ,配分額もゼ. 間にわたって,. 2.3 国際財務報告基準公開草案. 国際会計基準審議会のIFRS案では,. 「受け入.
(4) 94(94). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). れた財またはサービス,及び対応する資本の増. ×5年1月1日(行使日). 加は,受け入れた財またはサービスの公正価値. (借)現金預金. で直接的に,あるいは付与された持分金融商品. 未行使ストック0オプション. の公正価値を参照して(by reference to)間接. (貸)払込資本. 的に,公正価値をより容易に決定できるいずれ. 消滅時: 資本の部の振替処理を妨げない. かで測定する」(par.7)ことになっているが,. (IFRS案, par.16). 1,700,000. 510,000. 2,210,000. 「従業員との取引については,付与された持分 金融商品の公正価値の方が,受け入れた従業員. 上記の処理で明らかなように,失効が生じた. のサービスの公正価値よりも容易に決定できる. 場合,配分にあたってSFAS123のように,期. ので,企業は受け入れた従業員のサービスの公. 間をベースに定額配分するのではなく,サービ. 正価値を前者の参照によって測定する」. ス単位数という数量をベースに費用計上額が決. (par.11)ものとしている.. 定されている.したがって,権利確定条件に影. 具体的には,付与日に,権利確定期間にわた. 響する退職者数が見積りと異なった場合,. って従業員から受け入れることが期待されるサ. SFAS123では,失効が生じた期間の支払報酬. ービス単位(units of service)数を見積もり,. 額を調整し,その総額を最終的に権利確定数に. サービスの公正価値と等価であると想定された. 基づき計算する修正付与日測定法(modified. 持分金融商品の公正価値を,このサービス単位. grant−date method, hybrid of grant−date and. 数で除することによって,爾後,受け入れるサ. vesting−date measurement methods)が採用. ービス単位のみなし公正価値単価を計算する (par.15).門門の公正価値単価は,. されているのに対して,IFRS案では,失効を 公正価値の算定の際,あるいは公正価値の修正. ¥600,000(ニ@¥15×500×100×80丁目. として考慮し,その後,数量ベースの費用計上. ÷1,350単位(ニ3年×400+1.5年×100). を行う結果,失効が生じた期間の支払報酬額に. ≒@¥444.44. 間接的に反映する付与日法(grant−date. となる.. method)が採用されている.12). 以上,設例を使って概観してきたように,ス. ×1年1月1日(付与日). トック・オプションについてわが国ではまった. (貸)未行使ストック・オプション 600,000. く処理が行われないのに対して,APBO25, SFAS123及びIFRS案では,サービス受入時に. ×1年12月31日(決算日:467+33×0.5単位). 費用と払込資本が計上されるのである.. (借)繰延支払報酬 600,000. (借)支払報酬 214,889. しかし,どの処理法も費用の発生という資本. (貸)繰延支払報酬 214,889. の減少原因と払込資本という資本の増加を同時. ×2年12月31日(決算日:433+34×0.5単位). に記録するため,至極当然のことではあるが,. (借)支払報酬 200,000. 次頁の図表で示すとおり,わが国の処理法を含. (貸)繰延支払報酬 200,000. め,その異同は損益計算書上の費用の額,そし. ×3年12月31日 (決算日:400+33×0.5単位). て貸借対照表上の払込資本と留保利益の額,す. (借)支払報酬 185,lll. (貸)繰延支払報酬 185,111. なわち資本内構成だけであり,資本の総額は変 わらない.. このようにストック・オプションの会計処理 は,資産および負債に影響を与えることなく, もっぱら資産と負債の概念から誘導されるはず.
(5) (95)95. ストック・オプションの会計処理をめぐる諸問題(原 俊雄). 支払報酬 日 本. 払込資本. 留保利益. 資本合計. 1∼3年. 0. 0. 0. 0. 1年. 93,400. 93,400. △93,400. 000. Q年. V9,800. P73,200. 「173,200. R年. U6,800. Q40,000. 「240,000. 1年. 200,000. 200,000. △200,000. Q年. Q00ρ00. S00,000. 「400,000. R年. Q00ρ00. U00,000. 「600,000. 1年. 214β89. 214,889. △214,889. Q年. Q00ρ00. S14,889. 「414,889. R年. P85,111. U00,000. 「600,000. APBO25. SFAS123. IFRS案. 000. 000. の資本と費用とを同時に記録するものである.. によって,従業員のサービスの消費を費用認識. したがって,ストック・オプションの会計処理. の根拠としている.厳密には「サービスの消費. を,資産負債アプローチを採用しているといわ. →資源の受入→サービスの消費」となっている. れる両基準で説明することはできないのではな. 測定プロセスを,第一段階のサービスの消費を. かろうか.. 無視し,現物出資と同様に,「資源の受入→サ 3.取引の擬制. SFAS123では,費用を認識する根拠として, ストック・オプションは価値のある持分金融商. ービスの消費」と擬制している.ちなみにわが 国の商法でも,無限責任社員による労務出資が. 認められてはいるが(商法第68条,民法第667. 品であり,その対価として従業員のサービスを. 条第2項),これはサービスそのものの出資で はなく,あくまでもサービスを受領する権利の. 受け入れ,受け入れた資産に具体化された便益. 出資であり,資産計上された後,費用化される. を企業活動に使用することによって費用になる. ものである.しかしながら,ストック・オプシ. と主張する.すなわち,サービスのような資産. ョンの場合は,従業員のサービスの提供は義務. の受領の場合,その使用が事実上,受領と同時. ではなく,オプションであるため,付与日の資. に生じ,多くの場合,資産として記録されない. 産計上はできず,勤務期間にサービス受領権で. とする(SFAS123,pars.88∼89,n.14).また,. はなく消費額が計上されることになる.両基準. IFRS案においても,概念フレームワークでは, 資産を貸借対照表上,資産として認識しうる資. の採用する資産負債アプローチでは,費用を直. 接把握するのではなく,あくまでも資産の減. 源に限定しておらず,将来,受け入れるサービ. 少・負債の増加によって間接的に把握すること. スは貸借対照表に計上されることはないが,サ. になるため,サービスの消費を資源の受入と擬. ービスの受領時には資産であり,通常,それが. 制し,それが消費されるという説明を行わざる. 即座に消費されるとし,. をえないのである.13). (借)受入サービス(貸)支払現金. これに対して,費用を直接的に把握しようと. という処理を示した後,借方記入は現金支出を. するのが収益費用アプローチであるが,このア. 意味するのではなく,受け入れた資源を意味し,. プローチによれば費用認識の根拠を説明できる. 結果として生じる費用は当該資源の消費を意味. のであろうか.. するという(IFRS案,parBC40∼48).すなわち,. 収益費用アプローチが給付費消計算であるな. いずれも資源(資産)の瞬間的消費という擬制. らば,従業員のサービスの消費を費用計上する.
(6) 96(96). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). ことが必要となる.しかし,収益費用アプロー. 提に反するからである.. チ,あるいはわが国で損益法とよばれる損益計. 次に,権利確定日の擬制は,権利が確定した. 算の原理に基づいても,やはり費用計上の根拠. 時点で払い込まれる収入,すなわちワラントの. は明確ではない.それは,伝統的な損益計算が. 発行による収入を擬制し,これをサービスの消. 給付費消計算ではなく,あくまでも収支の裏付. 費期間にわたって見越計上される未払報酬と相. けのある収益費用計算であり,「収益は給付の. 殺するものである.ここで,権利確定時に実質. 対価たる収入であり,費用は財貨の費消された. 的にワラントとなるストック・オプションの公. 部分に対する支出」14)だからである.. 正価値が@¥12と見積もられたと仮定すると,. したがって,支出を伴わないストック・オプ. 次のようになる.16>. ション取引について,あえて費用を計上するた めには,現物出資と同様に現金収支を擬制する. (借)支払報酬. 必要がある.ここで,費用の発生という事実を. (貸)未払報酬. 重視すれば,その発生時に支払うべき支出額を. (借)現金預金. 直接的に見積もり,これに見合うストック・オ. (貸)確定ストック・オプション. プションの発行による収入で,それが相殺され. (借)未払報酬(3年分). たと解釈することになろう.しかし,前述のと. (貸)現金預金. 160,000 160,000 480,000. 480,000 480,000 480,000. おり,費用は,費消額そのものではなく,あく までも対価で測定するのが伝統的な費用測定の. この支払報酬の額は,勤務条件を満たすこと. 手法である.. が見込まれるものに限定されているため,その. そこで,対価の側の擬制を考えると,付与 日・権利確定日・権利行使日の3つの段階での. 見積りが実績と異なる場合は,誤差調整が必要. 擬制が考えられる.. そして最後に,権利行使日の擬制は,株主の. 付与日の擬制は,ストック・オプションの発. 地位が確定した段階に払い込まれる収入,すな. 行による収入を擬制し,これを報酬として支払. わち権利行使時の株価から行使価格を控除した. ったとみなすものである.前節の設例の数値を. 額の収入を擬制し,これをサービスの消費期間. 使って,現金預金の受払という擬制部分も含め. にわたって見越計上される未払報酬と相殺する. て示すと付与日に次のような処理が行われる.. ものである.権利行使時の株価が@¥60と見積. 15). もられたと仮定すると,次のようになる. (借)現金預金. (借)繰延支払報酬 (貸)現金預金. (借)支払報酬. 750,000. (貸)付与ストック・オプション. となる.. 750ρ00. (貸)未払報酬. (借)未払報酬(3年分). 750,000 750,000. 113,333. 113,333 340,000. 現金預金. 1,700,000. (貸)払込資本. 2,040,000. そして,この繰延支払報酬がサービスの消費 期間に支払報酬として配分されることになる.. この支払報酬の額は,権利行使が見込まれる. この場合,勤務条件を満たさないことによる失. ものに限定されているため,それが実績と異な. 効があったとしても,これを取り消すべきでは. る場合,やはり誤差調整が必要となる.. ない.なぜなら,ストック・オプションの発行 による収入を擬制して費用を測定するという前.
(7) ストック・オプションの会計処理をめぐる諸問題(原 俊雄). 4.むすびにかえて. (97)97. 払い込んだものだけでなく,潜在株主が払い込 んだものも資本として処理するものである.こ. FASB及びIASBが求めるストック・オプシ. の場合の負債と資本の区分について,資本主理. ョンの会計処理において,費用の発生と資本の. 論と企業主体理論の対峙とする見解もあるが,. 増加という奇異な結合関係となる記録は,付与. 私見によれば,あくまでも資本主理論内での資. 日ではなく,あくまでもサービスの消費があっ. 本主の解釈の相違であると思われる.したがっ. た期間に行われている.そのために資産の瞬間. て,この問題は収益費用アプローチ及び資産負. 的消費という擬i制が必要となったのであるが,. 債アプローチの間隙をつく,「資本とは何か?」. 本来の趣旨は,サービスの消費を損益計算書に. を明確にしない限り,結論は得られないのかも. 計上することにある.したがって,両審議会の. しれない.17). 標榜する資産負債アプローチはこれに馴染まな. しかしながら,「当該会計期間中の資産の流. いのではなかろうか.費用計上を積極的に主張. 出若しくは減価又は負債の発生の形をとる経済. するためには,給付費消計算に基づく収益・費. 的便益の減少であり,持分参加者への分配に関. 用アプローチをとる必要がある.. 連するもの以外の持分の減少をもたらすもの」. しかし,ストック・オプションに係る費用の. 18)と定義される費用を計上するために,収入. 計上については,サービスの消費額を直接,把. を擬制することに鑑みれば,費用計上の相手勘. 握することができない以上,費用の計上を前提. 定は,負債あるいは資本の仮勘定ではなく,控. とすれば,前記の3パターンのいずれかによる. 除対象となる特定の資産の勘定は存在しないが,. 収入の擬制が必要となってくる.問題は支払報. 将来の収入見込額からの控除,すなわち資産全. 酬の相手勘定である.. 体に対する評価性引当金あるいは控除的評価勘. この点についてFASB及びIASBでは,概念. 定とも考えられるのではなかろうか.. フレームワークの負債の定義に該当しないから 資本であると考えられている(SFAS123,pars. 88,149,IFRS案parsBC92∼97).すなわち積極. 注. 的に資本であるというのではなく,あくまでも. 1)沼田嘉穂『簿記教科書(五訂新版)』同文舘, 1992年置44頁.中村忠「現代簿記(第3版)』. 負債ではなく,もちろん収益でもないから結果. 白桃書房,2002年,21頁,久野秀男「批判的. 的に資本とされているにすぎない.また,権利 が未確定の段階で払込資本として計上している ものの,いずれも測定の際,権利確定条件を満 たさないことによる失効の影響を考慮している 点から,基本的には権利確定日の収入を擬制す る立場であると考えることができる.この場合,. 前節で示したように,貸方は未払報酬勘定であ. 『簿記テキスト』試論」『学習院大学経済論集』 第27巻第1号も参照.なお,古いテキストでは,. 費用を家計から支払った取引を費用の発生と 資本の増加の結合関係の例として掲げている が,この取引は,実質的には出資取引と費用 の支払という2つの取引からなる.たとえば 太田哲三『簿記の研究』旺文社,1954年,31 頁参照. 2)中村忠『新稿現代会計学(7訂版)』白桃書房,. り,収益費用アプローチによれば「費用・未支. 2003年,11頁.なお,伊藤邦雄「ストック・ オプション制度の諸課題」「企業会計』第49巻. 出項目」すなわち負債であるが,資産負債アプ. 第9号参照.. ローチによれば,負債ではないために資本とし. 3)http:〃www.daiwa.cojp/daiwasmbc/Stockoption/. Pd∬sopl.pdf(2004年1月30日).. ているのである.これは,ワラント債等を区分. 4)IASB, Exposure Draft, International Financial. 処理した場合,ワラントの対価部分を払込資本. Reporting Standards No.2,5「んαrθ一わ。∫64 Pの配6班,. として処理する現行の基準(APBOI4, IAS32). と軌を一にするものである.すなわち,株主が. 20028Zo∬α耽y.. 5)FASB, Statement of Financial Accounting Standards No.123, Acco朋伽8!br 5’ocん一、8α364.
(8) 98(98). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). Coη2ρ6η∫α∫’oη,1995およびlA5B (2002ブ 。. 10)勘定科目はDelaney, P.R., et al., W∫1εy Gα卯2003. 6)(財)財務会計基準機構編「ストック・オプ ション会計の国際比較』2003年. 企業会計基準委員会『ストック・オプション に係る論点の整理』2002年. 柴健次『自己株式とストック・オプションの 会計』新世社,1999年.. John Wiley&Sons,2002,第18章によっている.. 田中健二「ストックオプション会計と負債概. たほうが良いであろう.FASB(1995),. 念」『産業経理』第62巻第4号.. Appendix B, pars.293∼295参照.. 名越洋子「会計理論からみたストック・オプ. 11)権利確定前の失効については,付与日に権利 確定数を見積もり,その修正が必要になった 段階で支払報酬を調整する方法と,権利確定 が見込まれるオプションはすべて確定するも のとし,実際に失効が生じた時点で失効を認 識する方法とがあるが,ここでは前者によっ た.後者によれば繰延支払報酬は¥750,000に. ションの本質」「会計理論の視点からの評価」. ストック・オプション等株式関連報酬制度研 究委員会編『ストック・オプション等の会計 をめぐる論点』企業財務制度研究会,1999年.. 野口晃弘「ストック・オプションの本質と会 計処理」中村忠編著『制度会計の変革と展望』 白桃書房,2001年.’. なお,FASI23の公正価値法の例示では,付与. 日の処理は示されておらず,決算日の 「(借)Compensation cost(貸)Additonal paid−in. capital−stock options」という処理のみが示さ. れているが,支払報酬の総額を主要簿に示し. なる.FASB(1995),par.28.. 與三野二階『ストック・オプションと公正価. 12)FASB(2002),pars.30∼32参照.. 値測定』千倉書房,2002年.. FASB, Exposure Documents,、4cco照πη8メor. 13)資産の瞬間的消費という擬制よりも,サービ スの消費すなわち費用の発生と負債(未払費 用)の増加を認識し,その決済として持分金 融商品が発行されるという擬制を行った方が 現実的であると思われるが,この場合,貸方 科目が負債の定義に該当しないという問題が. 5∫ocん一Bα564 Co叩8η5α’∫oη’ACo〃脚r∫30η6ゾ. 生ずる.. FA5B 5臨’ε〃z6班ノVo.123, Acco一班’η8プbr 5’ooん一. 1η卿ρr6∫α加η5,αη41A3B 1)ro1フ05841F1∼∫,5肱r6一. 14)岩田巖『利潤計算原理』同文舘,1956年,133 頁.この点については米山(2003)も参照. 15)以下の会計処理における貸方科目の性格につ. 傭64pα遡θ砿2002, Appendix Hも参照.なお,. いては後にとりあげる.. 付与日にイン・ザ・マネーとなっているケー スは非現実的ではあるが,後出の本源的価値 法と公正価値法の比較を行うために,このよ. 16)権利確定日の公正価値の予測は,現実には困 難である.これは行使時の株価についても同 様であるが,ここでは測定可能性の問題は切. うな二七にした. 8)制度上,新株発行の場合は資本金または資本. り離して考えている.. 米山正樹「ストックオプションの会計問題」 『経済論集(学習院大学)』第39巻第4号.. 7)本比例は,IASB(2002)のAppendix B, Example lを一部修正して使用している.. 、8α564 Co襯1フ6η5副。η, 侃4 ノ’5 RεZα’84. 金及び資本準備金,金庫株による場合は自己 株式及び自己株式処分差損益となるが,ここ では一括して払込資本勘定とした. 9)AICPA, Accounting Principles Board, APB Opinion No.25, Acco配η伽8!∂r 5∫ocんノ55配64’o. 17)資産負債アプローチと呼ばれているが,負債 は資産とパラレルに定義されているにすぎず, 実質的には資産アプローチであり,資本のみ ならず負債の概念も曖昧である. 18)IASC, Frα配8worん.声or地8 Pr6ραFα’∫oηαη4 Pr636η’α∫∫oηρプ」F∫ηoηdαZ 3’α∫6〃z6η’5,1989, par.70.. E〃2ρ10yθ63,1972.. 〔はら としお 横浜国立大学経営学部助教授〕.
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